JPH10120563A - 免疫抑制剤 - Google Patents

免疫抑制剤

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JPH10120563A
JPH10120563A JP29935796A JP29935796A JPH10120563A JP H10120563 A JPH10120563 A JP H10120563A JP 29935796 A JP29935796 A JP 29935796A JP 29935796 A JP29935796 A JP 29935796A JP H10120563 A JPH10120563 A JP H10120563A
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Hajime Hirata
肇 平田
Hitoshi Yagisawa
仁 八木澤
Shinichi Nakatsuji
慎一 中辻
Hideaki Kamata
英明 鎌田
Yoshinari Ikegami
良成 池上
Yoshito Yokoyama
嘉人 横山
Keiko Kawauchi
敬子 川内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な免疫抑制剤、アポトーシス誘導剤及び
白血病治療剤の提供。 【解決手段】 シクロプロジギオシンあるいはその塩類
を有効成分とする免疫抑制剤、アポトーシス誘導剤及び
白血病治療剤。塩類としては、シクロプロジギオシン塩
酸塩がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な免疫抑制
剤、アポトーシス誘導剤及び白血病治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】臓器移植のさいに、臓器移植される生体
(レシピエント) において拒絶反応が生じることがあ
る。従来、この拒絶反応を抑制するために、免疫抑制剤
が用いられている。このような免疫抑制剤としては、タ
クロリムス(FK506) 、シクロスポリンなどが用いられて
いる。しかし、これらの薬剤を投与すると重篤な副作
用、特に腎障害を招くおそれがある。その機構の詳細に
ついては最近まで不明であったが、この機構は、最近に
なって、これら薬剤の免疫抑制機構であるカルシニュー
リンを介した作用であることが示唆された (J.Exp. Me
d., 176, 751-760(1992))。このため、このような免疫
抑制機構とは異なる機構による免疫抑制剤を開発し、免
疫抑制効果を高め、重篤な副作用の誘発を軽減し、臓器
移植を成功させることが期待されている。
【0003】本発明者らは、このような免疫抑制剤の開
発について着目し、種々の化合物を用いて免疫抑制効果
を検討したところ、海洋細菌の1種のシュードアルテロ
モナス・デニトリフィカンス(Pseudoalteromonas den
itrificans) AK-1株(FERM P-15771)の産生する赤色物質
シクロプロジギオシン塩酸塩が、コンカナバリンA刺激
によるマウスリンパ球の増殖を特異的に抑制することを
見出した。そしてこの化合物を免疫抑制剤の有効成分と
して用いることについて検討した。さらにシクロプロジ
ギオシン塩酸塩の薬理作用を調べたところアポトーシス
を誘導し、種々の白血病細胞株の生育を阻害することを
見出した。そして、この化合物から塩化水素をはずし塩
酸塩のない遊離のシクロプロジギオシンについても同様
の作用があることを見出した。従来、シクロプロジギオ
シンが抗菌活性や抗真菌活性を持つことは知られている
が(Tetrahedron Letters 30 (13) 1725 (1989))、シク
ロプロジギオシン及びその塩酸塩の前記したような薬理
作用に関しては、全く知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記のことからみて、
本発明の課題は、新規な免疫抑制剤、アポトーシス誘導
剤及び白血病治療剤を提供することにある。さらに、本
発明の課題は、シクロプロジギオシン及びその塩類の新
規用途を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
解決するためになされたものであって、シクロプロジギ
オシン (化I)あるいはシクロプロジギオシン塩酸塩 (化
II) その他の塩を有効成分として含有する免疫抑制剤に
関する。
【0006】
【化1】
【0007】
【化2】
【0008】また、本発明は前記化合物を有効成分とす
るアポトーシス誘導剤及び白血病治療剤に関する。この
ような化合物としては、シクロプロジギオシンあるいは
シクロプロジギオシン塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩、過塩
素酸塩、カルボン酸塩(例えば、酢酸塩、クエン酸塩、
シュウ酸塩等)、ヨウ素酸塩、臭素酸塩、ピクリン酸
塩、スルホン酸塩、テトラフルオロボレート塩等を例示
することができる。
【0009】シクロプロジギオシンは、海洋細菌のアル
テロモナス ルブラ、(Alteromonasrubra)(Tetrahedron
Letters 24 (26),2701-2704(1983))あるいはベネッケ
アガゾゲネス(Benekea gazogenes) (同上誌 24(27),2
797-2798(1983)) から産生される赤い色素であり、また
2- メチルシクロヘキサノンを出発物質として次の工程
を経て合成する方法も知られている(Tetrahedron Lett
ers 25,(13) 1387-1388(1984))。
【0010】
【化3】
【0011】シクロプロジギオシン塩酸塩等の前記化合
物は、このようにして得られたシクロプロジギオシンを
塩の形に変換することによって得ることができる。塩と
する手段は、通常の塩形成手段を用いることができる。
しかし、これらの海洋細菌から得られるシクロプロジギ
オシンは、数種のプロジギオシン類を爽雑物の形で産生
しているので、抽出物のなかからシクロプロジギオシン
単体を単離するには煩雑な単離操作を必要とした。ま
た、前記化学合成によってシクロプロジギオシンを製造
する方法は多工程にわたる複雑な工程を必要としてい
た。
【0012】本発明者らは、海洋細菌の代謝産物につい
て検討を行なっていたところ、シュードアルテロモナス
デニトリフィカンス(Pseudoalteromonas denitrifi
cans) AK-1株(FERM P-15771)がシクロプロジギオシン塩
酸塩を、他のプロジギオシン類の爽雑物を含むことなく
産生することを見出した。前記菌体を培養するとシクロ
プロジギオシン塩酸塩が菌体内及び培地中に大量に生成
蓄積されるので、これを高純度で大量に作ることができ
る。このシクロプロジギオシン塩酸塩は、カラムクロマ
トグラフィー処理することによって容易に塩化水素をは
ずし塩酸塩のない遊離のシクロプロジギオシンを得るこ
とができる。そして、この遊離シクロプロジギオシン
(シクロプロジギオシン塩酸塩から塩化水素をはずした
式(I) で示される化合物をいう) をリン酸、硫酸等の酸
で処理することによって前記した塩類とすることができ
る。本発明で使用するシクロプロジギオシン塩酸塩、そ
の他の塩は、水に可溶性であり、蒸留水等に溶解して使
用することができる。従って、注射剤、ドリンク剤等と
しても用いることができる。
【0013】本発明においてシクロプロジギオシンある
いはシクロプロジギオシン塩酸塩その他の塩が免疫抑制
剤の有効成分となること、及びこれらの化合物がコンカ
ナバリンA(ConA)刺激によるマウスリンパ球の増殖を特
異的に抑制する作用があることに基づくものである。ち
なみに、コンカナバリンAはT細胞のマイトジェンとし
て知られている。さらに、本発明者らは、シクロプロジ
ギオシンあるいはシクロプロジギオシン塩酸塩が、急性
リンパ芽球性白血病患者の末梢血に由来するヒトT細胞
株の Jurkat 細胞でDNAを分断化し、特異的にアポト
ーシスを誘導する作用があることを見出した。アポトー
シスは、最近注目されるようになってきた細胞死のひと
つである。アポトーシスが最近注目されることになって
きたのは、次の理由からと考えられる。
【0014】アポトーシスが個体形成において重要な
役割を演じていること、 生体内での内的、外的要因による細胞死が多くの場合
アポトーシスによること、 エイズその他の疾病の原因となる体細胞 (リンパ細胞
等) の変性にアポトーシスが深く関与していること、 各種の抗ガン剤によるガン細胞の破壊にアポトーシス
が関与していること、及び 細胞生物学的に Programmed cell death(プログラム
された細胞死) との関連で、基本的興味がもたれている
こと。
【0015】従って、本発明におけるシクロプロジギオ
シンあるいはシクロプロジギオシン塩酸塩等のシクロプ
ロジギオシンの塩類がアポトーシスを誘導するという知
見は、これらの化合物をアポトーシスが関与する疾病の
治療やそれらの基礎研究に応用することを可能にするも
のである。さらに、本発明者らは、前記 Jurkat 細胞及
び M1-3b細胞 (骨髄白血病のSLマウス由来骨髄芽球細
胞) を用いて、シクロプロジギオシン塩酸塩等のシクロ
プロジギオシン塩の細胞生育に対する影響をみたとこ
ろ、これらの白血病細胞株の生育を阻害し、致死させる
ことを見出した。
【0016】本発明におけるシクロプロジギオシン、シ
クロプロジギオシン塩酸塩あるいはその他の塩は、これ
をそのまま免疫抑制剤その他の薬剤として用いることが
できるが、通常は、賦形剤、その他の補助剤とともに適
当な製剤の形にして経口あるいは非経口の形で投与され
る。経口剤としては、粉剤、顆粒剤、錠剤、糖衣剤、丸
剤、カプセル剤、ドリンク剤等がある。また、非経口製
剤には、坐剤、パップ剤、注射剤等がある。注射剤は、
筋肉注射、動脈注射あるいは静脈注射の形の剤型とする
とよい。これらの賦形剤その他の補助剤としては、乳
糖、しょ糖、各種のでん粉、ぶどう糖、セルロースある
いはその誘導体、ステアリン酸マグネシウム、タルク等
が用いられる。また、蒸留水等の溶媒を用いることがで
きる。これらは、製剤手段として通常知られている手段
で経口あるいは非経口の製剤にすることができる。投与
量は、症状、年齢、性別等によって相違するが、経口投
与の場合は、シクロプロジギオシンあるいはその塩酸塩
その他の塩を1日当り 0.1〜0.5mg/体重kg、非経口投与
の場合は、注射剤で1日当り 0.1〜0.5mg/体重kgを投与
することが望ましい。
【0017】これらの化合物の毒性については、シクロ
プロジギオシン塩酸塩をICR雌性マウス(5週令、体
重25〜29g)の腹腔内に投与したところ LD50 値は10mg以
上であった。また、シクロプロジギオシン塩酸塩をリン
脂質平面膜法 (1992年7月10日(株)東京化学同人発
行、(財)日本生化学会編 新生化学実験講座「生体膜
と膜輸送(上)」第 181-187頁) により比抵抗を検討し
た。その結果を図1に示した。この図に示されるように
イオノフォアのひとつであるカルボニルシアニド−p−
トリフルオロメトキシフェニルヒドラゾン(FCCP)に比較
して、イオノフォア活性を示さなかったことからみて、
毒性がきわめて低いものと判断される。
【0018】本発明のシクロプロジギオシン塩酸塩の製
造例を示す。バクトペプトン(Difco)2.5g 、バクトイー
ストエクストラクト(Difco)0.5g 及びリン酸鉄(III)n水
和物(和光純薬)0.1g を天然海水1L中に溶解した後、滅
菌し、その 3ml中に、シュードアルテロモナス・デニト
リフィカンス(Pseudoalteromonas denitrificans) AK
-1株 (FERM P-15771) を、接種し、15〜20℃で1日間振
盪培養を行なった。得られた培養物を上記組成の培地 6
00mlに移し、1日間培養を行なった。
【0019】このようにして培養された培地を22,000 r
pmで20分間遠心分離し、菌体を回収した。菌体は5〜10
g が回収された。この菌体にアセトン- ジエチルエーテ
ル(4:1) 混液を加え200 振盪/minで色素 (シクロプロジ
ギオシン塩酸塩) を抽出した。抽出液を12,000 rpmで10
分間遠心分離して上清液を得た。この上清液に無水硫酸
マグネシウムを加えて水分を吸着除去し、この硫酸マグ
ネシウムを濾過して除去した。濾液を乾固するまで濃縮
し、これを薄層クロマトグラフィーによって分析した(K
ieselgel 60 F254; 展開溶媒ベンゼン: エーテル=1:
1)。Rf 0.20 に単一のスポットが得られた。この濃縮物
を塩化メチレン5ml に溶解し、この溶液から温度差を利
用して再結晶した。生成した結晶をペンタンで洗浄し、
吸引濾過して結晶 5mgを採取した。この結晶は、赤色の
金属光沢をもった針状結晶であって、融点はなく、約 2
30℃で分解した。この結晶を、元素分析し、またその M
ass スペクトル、UVスペクトル、IRスペクトル、 H-NMR
スペクトルを解析したところ、シクロプロジギオシン塩
酸塩(化II) のそれと一致し(Tetrahedron Letters,
24 (26), 2701-2704(1983)) 、同化合物であることが同
定された。
【0020】このようにして得られたシクロプロジギオ
シン塩酸塩 5mgを塩化メチレン10mlに溶解し、シリカゲ
ルカラム (口径 1.5cm,長さ12cm, 流速1.2ml/min)を通
過させ、溶媒を留去して遊離シクロプロジギオシン 4mg
を得た。この物質が遊離シクロプロジギオシンであるこ
とはH-NMR 等のデータによって確認された。
【0021】次にシクロプロジギオシン薬理作用を実験
例を示して説明する。 〔実験1〕 コンカナバリンA刺激によるマウスリンパ
球の細胞増殖に対する抑制効果 マウス脾臓よりリンパ球を採取し、これを10% FBS-RPM
I1640 培養液で希釈し、 2.0×106 cells/mlの細胞液と
した。この細胞液 1mlに、コンカナバリンA1または5
μg/mlとシクロプロジギオシン塩酸塩を最終濃度が図2
に示される濃度になるように加え、37℃で48時間インキ
ュベートし、トリチウムチミジン0.25μCiを添加し数時
間培養後、濾過して細胞を回収した。濾紙に吸着した細
胞にシンチレーター溶液 1mlを加え、これを液体シンチ
レーションカウンターで測定し、細胞中に取り込まれた
トリチウム放射能量を測定した。その結果を図2に示
す、図にみられるようにコンカナバリンA刺激によるマ
ウスリンパ球の増殖を特異的に抑制した。現在、臨床で
使用されている FK 506,シクロスポリンもコンカナバリ
ンA刺激によるマウスリンパ球の増殖を阻害するが、コ
ンカナバリンAの濃度が高いと増殖抑制効果は弱いとい
われている(The Journal of Antibiotics XLIII(10),12
93-1301(1990))。これに対し、本発明では、シクロプロ
ジギオシン塩酸塩は、コンカナバリンAの濃度依存的に
増殖抑制効果を示す。またその化学構造も FK 506,シク
ロスポリンと相違することからみてシクロプロジギオシ
ン塩酸塩によるリンパ球の増殖抑制機構は FK 506,シク
ロスポリンと相違するものと考えられる。
【0022】〔実験2〕 遊離シクロプロジギオシン及
びシクロプロジギオシン塩酸塩のリンパ球増殖抑制効果 コンカナバリンA濃度を2μg/mlとし、シクロプロジギ
オシン塩酸塩と遊離シクロプロジギオシンとを用い実験
1と同様にマウスリンパ球増殖に対する抑制効果を検討
した。その結果を図3に示した。図3に示されるよう
に、シクロプロジギオシン塩酸塩及び遊離シクロプロジ
ギオシンは、いずれも同様にマウスリンパ球の増殖を抑
制し、免疫抑制効果があることが確認された。
【0023】〔実験3〕 Jurkat細胞のDNA分断化作
用 シクロプロジギオシン塩酸塩を10mMとなるようにDMSOに
溶解し、その後さらに水で希釈した。これを最終濃度が
図4に示される濃度になるように10%FBS-RMPI1640培養
液に添加し、あるいはこれにコンカナバリンA 2μg/ml
を添加し、5×106cells/10cm dishの細胞密度でヒトT
細胞株 Jurkat を接種し、37℃で18時間インキュベート
した。この培地を遠心分離して細胞を回収し、細胞溶解
溶液を加えて、遠心して上清を採取した。得られた上清
500μl に対して、3M酢酸ナトリウム50μl 、エタノー
ル1mlを加えてよく攪拌し、−20℃に1時間放置し、15
000 rpm で30分間遠心し、沈殿を生ぜしめた。この沈殿
をTE溶液に溶解し、260nmの吸光度を測定し、この吸光
度に基づいてヌクレオチド2μg/μl を含有する溶液を
調製し、これにRNA分解酵素を加え、37℃で1 時間イ
ンキュベートした。得られた酵素処理液を、アガロース
ゲルを使用し、ゲルローディングバッファー2μl と前
記酵素処理液10μl とを混合したものを電気泳動にか
け、DNAの分断化を確認した。この結果を図4に示し
た。白いバンドはDNAを示している。図Aは、シクロ
プロジギオシン塩酸塩単独添加を、Bはこれとコンカナ
バリンAで細胞を刺激したものを示す。またマーカーと
してλ−Hind IIIを使用した。図4に示されるように、
シクロプロジギオシン塩酸塩の濃度依存的に断片化され
たDNA量が増加していることが分かる。これは、シク
ロプロジギオシン塩酸塩を単独で用いることにより特異
的にアポトーシスを誘導することができることを示して
いる。また、シクロプロジギオシン塩酸塩にコンカナバ
リンA 2μg/ml添加することによって、同じレーンにお
いても図AよりDNA量が増加している。これは、コン
カナバリンAを添加することによってアポトーシス誘導
をさらに亢進することが確認された。なお、図Bのレー
ン2は、シクロプロジギオシン塩酸塩を添加せず、コン
カナバリンAのみで刺激したものである。このレーン2
が図Aのレーン2と同じ電気泳動のパターンを示してい
る。図Aのレーン2は、シクロプロジギオシン塩酸塩を
添加しないものの電気泳動パターンであるから、このこ
とからみてコンカナバリンA 2μg/mlのみではアポトー
シスを誘導することができないことが確認される。シク
ロプロジギオシン塩酸塩は、アポトーシスが関係する各
種の疾病の治療及びその研究に応用することができる。
【0024】〔実験4〕 Jurkat細胞及び M1-3b細胞に
対する生育阻害作用 前記したようなJurkat細胞及びマウス白血病細胞株 M1-
3b細胞を用い、これらの細胞の生育に対するシクロプロ
ジギオシン塩酸塩の影響を MTT法により調べた。 MTT法
は、生細胞がテトラゾリウム塩である MTTを青色のホル
マザン産物へ転換することを原理とし、生細胞数の指標
としてよく用いられる方法である。これらの細胞を、シ
クロプロジギオシン塩酸塩で刺激し、24時間後に595nm
の吸光度を測定し、シクロプロジギオシン塩酸塩無添加
の対照の吸光度を 100とし、その比率を求めたものであ
る。また、NRK 細胞 (ラットの腎臓由来細胞株) につい
ても同様の方法で実験を行なった。この結果を図5に示
す。図5に示すように、NRK 細胞では、シクロプロジギ
オシン塩酸塩(PdG) の濃度が高くなっても細胞生育阻害
は生じていないのに対し、Jurkat細胞、M1-3b 細胞で
は、シクロプロジギオシン塩酸塩の濃度に依存して生育
阻害がおこり、細胞を死滅させている。両者ともほぼ 5
μg/mlの濃度で生育がほとんど阻害されている。このよ
うにシクロプロジギオシン塩酸塩は、白血病細胞株に対
して特異的に致死効果をもたらし、白血病の治療薬とし
て有効である。
【0025】次に実施例として製剤例を示す。
【実施例1】 シクロプロジギオシン塩酸塩 0.5g 乳糖 400 g ヒドロキシプロピルセルロース 50 g 澱粉 50 g 上記の成分を混合し、常法により顆粒剤を製造した。
【0026】
【実施例2】 シクロプロジギオシン塩酸塩 20 mg Tween 80 0.4 g 蒸留水 200 ml シクロプロジギオシン塩酸塩20mgをTween 80 0.4g とと
もに蒸留水 200mlに溶解し、20mlのアンプルに充填し、
加熱殺菌して静脈注射剤を調製した。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、シクロプロジギオシン
あるいはその塩酸塩等のシクロプロジギオシン塩のリン
パ球、Jurkat細胞生育抑制効果を利用してこれらの化合
物を臓器移植のさいの免疫抑制剤又はアポトーシス誘導
剤あるいは白血病治療剤として有効に用いることができ
る。そして得られた剤は、経口または非経口で投与する
ことによりこれらの疾病の治療効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シクロプロジギオシン塩酸塩のリン脂質平面膜
の比抵抗を示す。
【図2】実験1のコンカナバリンA刺激によるリンパ球
の増殖活性におけるシクロプロジギオシン塩酸塩の影響
を示す。
【図3】実験2の遊離シクロプロジギオシン及びシクロ
プロジギオシン塩酸塩の免疫抑制効果を示す。
【図4】実験3のシクロプロジギオシン塩酸塩のヒトT
細胞株のDNA分断化を示す電気泳動図を示す。(A
は、シクロプロジギオシン塩酸塩の単独使用を、Bは、
これとコンカナバリンAで細胞を刺激したものの電気泳
動図を示す。) レーン1はマーカー、レーン2〜8は順にシクロプロジ
ギオシン塩酸塩を最終濃度が 0,1,4,11,36,107,357 ng/
mlになるように添加したものを示す。
【図5】実験4のシクロプロジギオシン塩酸塩(PdG) の
白血病細胞株に対する生育阻害効果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12P 17/16 C12P 17/16 // C07D 403/14 207 C07D 403/14 207 (C12P 17/16 C12R 1:01) (72)発明者 鎌田 英明 兵庫県赤穂郡上郡町金出地1479−1 姫路 工業大学理学部内 (72)発明者 池上 良成 兵庫県赤穂市坂越329番地 赤穂化成株式 会社内 (72)発明者 横山 嘉人 兵庫県赤穂市坂越329番地 赤穂化成株式 会社内 (72)発明者 川内 敬子 兵庫県赤穂市坂越329番地 赤穂化成株式 会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロプロジギオシンまたはその塩を有
    効成分として含有する免疫抑制剤。
  2. 【請求項2】 有効成分がシクロプロジギオシンである
    請求項1記載の免疫抑制剤。
  3. 【請求項3】 有効成分がシクロプロジギオシン塩酸塩
    である請求項1記載の免疫抑制剤。
  4. 【請求項4】 シュードアルテロモナス・デニトリフィ
    カンス(Pseudoalteromonas denitrificans) AK-1株(F
    ERM P-15771)の産生するシクロプロジギオシン塩酸塩を
    用いる請求項3記載の免疫抑制剤。
  5. 【請求項5】 シクロプロジギオシンまたはその塩を有
    効成分として含有するアポトーシス誘導剤。
  6. 【請求項6】 シクロプロジギオシンまたはその塩を有
    効成分として含有する白血病治療剤。
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