JPH10119039A - 繊維強化プラスチック製機械部材製造用の成形資材、及びその製造方法 - Google Patents

繊維強化プラスチック製機械部材製造用の成形資材、及びその製造方法

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JPH10119039A
JPH10119039A JP27454196A JP27454196A JPH10119039A JP H10119039 A JPH10119039 A JP H10119039A JP 27454196 A JP27454196 A JP 27454196A JP 27454196 A JP27454196 A JP 27454196A JP H10119039 A JPH10119039 A JP H10119039A
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JP
Japan
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molding material
fiber
producing
reinforced plastic
sheet
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Masaharu Toyama
正春 遠山
Kazuki Ito
和貴 伊藤
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THERMO SETSUTA KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】大きな強度と摺動性を保持した繊維強化プラス
チック製成形資材の製造方法。 【解決手段】熱硬化性樹脂粉末と強化繊維と滑り剤を水
に分散させ、これを抄造してシート状の基材とし、つい
でこの基材を巻取ってロール状の成形材料とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化プラスチ
ック製機械部材を製造するために使用される成形資材の
製造方法、及び該製造法により作成される成形資材に関
するものであり、より詳しくは、最終品として作成され
る繊維強化プラスチック製機械部材に補強素材として含
有せしめた補強繊維を、当該機械部材の中心部を中心と
する渦巻状若しくは同心円状に配向すべく、予め製造さ
れる繊維強化プラスチック製機械部材製造用の成形資材
の製造方法、及び該製造法により作成される成形資材に
関するものである。
【0002】この明細書において、最終品として作成さ
れる繊維強化プラスチック製機械部材とは、スペーサ
ー、インシュレータ、ガスケット、スラストワッシャ、
ギヤー、ボビン、ピストン部材、シリンダー部材、プー
リー、ポンプ部材、軸受け、その他これらに類するもの
をすべて含む広い意味の概念である。但し以下では、便
宜上、主としてスラストワッシャを例に挙げて説明す
る。
【0003】
【従来の技術】例えば、樹脂製のスラストワッシャは、
トランスミッションのリテーナとミッションケースとの
間に摺動材として用いられるために、摺動性と寸法精
度、強度が要求される。
【0004】従来、かかるスラストワッシャの製造方法
としては、特公平7−20681号公報、特開平5−7
8500号公報において開示されたスラストワッシャの
製造方法があり、そのフローチャートを図3に示す。図
3において、この製造方法は、熱硬化性樹脂粉末と補強
繊維とカーボン粉末を必須成分としてこれらを液中に分
散させて抄造し、得られる抄造シートを所定の厚さにな
るように重ねて多層シート状の成形材料とし、ついで、
ドーナツ形状に打ち抜き加工を施し、そして、加熱加圧
成形(直圧成形)するスラストワッシャの製造方法であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の製造方法には、抄造シートを所定の厚さになるよう
に重ねて多層シート状の成形材料とし、この成形材料を
ドーナツ形状に打ち抜き加工(所謂板取り加工)をする
から、これらの作業がまことに面倒でその作業性が悪い
ことに加えて、多層シート状の成形材料のロスが多く、
かかる無駄をなくすために一般には再抄造する作業が必
要となるという問題があった。
【0006】本発明は上述した事情に鑑みなされたもの
であって、特には、抄造してなるシート状の素材を巻取
って得た成形材料の一部ないし全部が、所定形状に加圧
成形される行程を経て作成されるところに構成特徴を有
する繊維強化プラスチック製機械部材製造用の成形資材
の製造方法、及びこの製造法で作成された成形資材を提
供して、叙上の諸問題を解消しようとするものである。
なお、最終製品たる繊維強化プラスチック製機械部材
は、補強素材として含ませた補強繊維が、当該機械部材
の中心部を中心とする略渦巻状若しくは略同心円状に配
向されているところに構造特徴を有するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に採った、請求項1の発明の要旨とするところは、繊維
強化プラスチック製機械部材を製造するために使用され
る成形資材の製造方法であって、抄造してなるシート状
の素材を巻取って得た成形材料の一部ないし全部が、所
定形状に加圧成形される行程を含み構成されていること
を特徴とする繊維強化プラスチック製機械部材製造用の
成形資材の製造方法にあり、請求項2の発明の要旨とす
るところは、前記成形材料が シート状に抄造されつつ
巻取られてなることを特徴とする請求項1記載の成形資
材の製造方法にあり、請求項1又は2の製造方法は、抄
造してなるシート状の素材を巻取ってロール状の成形材
料とされ、その一部ないし全部が、所定形状に加圧成形
される構成であるから、シート状の素材として若しくは
巻取ったロール状の成形材料としての連続生産が可能と
なり、生産効率の向上が図れ、しかも、精度の高い当該
機械部品を作成できる。特に、請求項1の製造方法は、
抄造してなるシート状の素材を別途作成して保管し、必
要に応じてこれを巻取ったロール状の成形材料とするこ
とができる。すなわち、生産調整が可能となる。
【0008】また、シート状基材に張力が働いておら
ず、得られた成形材料に歪みが残らない。また、補強繊
維が従来の混合混練の場合のように外力で折れることが
ないから、初期の繊維長を殆どそのまま保たせることが
できる。すなわち、補強繊維が切断されるため、強度の
低下が大きくなるとか、射出成形のように補強繊維が配
向して成形品の強度に方向性ができてしまうとか、ドー
ナツ形状の成形を行なうのでウエルドが発生しやすく、
ウエルドが発生した部分では強度が低下して割れやすい
とか、という諸問題を解消した機械部材を製造し得る成
形資材を製造できる。
【0009】また、最終製品である機械部材にあって
は、補強繊維を当該機械部材の中心部を中心とする略渦
巻状若しくは同心円状に配向させることができる。すな
わち、例えばスラストワッシャに含まれる補強繊維の全
てを、スラストワッシャの半径方向に配向させることが
でき、反りやねじれの変形が発生し難く、また、強度の
方向性や変形がなくなるとともにウエルドが発生し難
く、ウエルドが発生した部分で強度が低下することがな
く、したがって割れ難い。
【0010】また、当該機械部材がスラストワッシャで
ある場合にはその摺動面の摺動性により優れ、当該機械
部材が例えばピストンの外筒である場合には外筒内面の
滑動性により優れる等の格別顕著な機能を確保できる。
【0011】さらにまた、前記成形材料を打抜き加工し
て使用する場合とは異なり、打抜き屑が発生しないか
ら、従来のように、打抜き屑を液中に浸漬してほぐし、
再度抄造する必要がない。すなわち、成形材料を無駄な
く利用できるとともに、かかる面倒な作業を省け、人件
費の低減が図れるとともに、当該機械部材を製造し得る
成形資材が簡便かつ確実に製造でき(生産性の向上が図
れ)、しいては機械部材の製造コストの低減が図れ、当
該機械部材を廉価に提供できる。
【0012】請求項3の発明の要旨とするところは、前
記成形資材の製造方法において、前記成形材料が、熱硬
化性樹脂と補強繊維とを主成分として成形され、加熱加
圧成形されることを特徴とする請求項1又は2記載の繊
維強化プラスチック製機械部材製造用の成形資材の製造
方法にあり、請求項1又は2の製造方法が具有する作用
に加えて、特に、熱硬化性樹脂と補強繊維が主成分とし
て成形され、加熱加圧成形されるため、硬度が高く、機
械的強度の向上した当該機械部材を製造し得る成形資材
が簡便且つ確実に製造できる。
【0013】請求項4の発明の要旨とするところは、前
記成形資材の製造方法において、前記成形材料が、熱硬
化性樹脂と補強繊維と滑り剤(摺動剤、滑動剤)とを主
成分として成形され、加熱加圧成形されることを特徴と
する請求項1又は2記載の繊維強化プラスチック製機械
部材製造用の成形資材の製造方法にあり、請求項5の発
明の要旨とするところは、前記滑り剤が、カーボン粉
末、カーボン繊維、ふっ素化樹脂粉末、ふっ素化樹脂チ
ップ、又はチタン酸カリウムウイスカのうちのいずれか
であることを特徴とする請求項4記載の繊維強化プラス
チック製機械部材製造用の成形資材の製造方法にあり、
請求項1〜3いずれかの製造方法が具有する作用に加え
て、特に、滑り剤(摺動剤、滑動剤)が主成分として含
まれているため、請求項3の製造方法によるも、さらに
摺動性や滑動性に優れた当該機械部材を製造し得る成形
資材が簡便かつ確実に製造できる。
【0014】請求項6発明の要旨とするところは、前記
成形資材の製造方法において、前記熱硬化性樹脂が、フ
ェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、又はジアリ
ルフタレート樹脂のうちいずれかであることを特徴とす
る請求項3〜5のいずれかに記載の成形資材の製造方法
にあり、請求項3〜5の成形資材の製造方法と、実質的
に同一の作用を奏する。
【0015】次に、請求項7の発明の要旨とするところ
は、繊維強化プラスチック製機械部材を製造するために
使用される成形資材において、該繊維強化プラスチック
製機械部材に補強素材として含まれる補強繊維を当該機
械部材の中心部を中心とする略渦巻状若しくは略同心円
状に配向すべく予め製造される前記成形資材の製造方法
であって、抄造してなるシート状の素材を巻取って得た
成形材料の一部ないし全部が、所定形状に加圧成形され
る行程を経て作成されることを特徴とする成形資材にあ
り、請求項8の発明の要旨とするところは、前記繊維強
化プラスチック製機械部材を製造するために使用される
成形資材において、該成形材料が シート状に抄造され
つつ巻取られてなることを特徴とする請求項7記載の成
形資材にある。
【0016】請求項7又は8の成形資材は、抄造してな
るシート状の素材を巻取ってロール状の成形材料とし、
その一部ないし全部を、所定形状に加圧成形して製造さ
れたものであるから、シート状の素材として若しくは巻
取ったロール状の成形材料としての連続生産が可能とな
り、生産性の向上が図れる。特に、請求項7の製造方法
によれば、抄造してなるシート状の素材を別途作成して
保管し、必要に応じてこれを巻取ったロール状の成形材
料とすることができるため、当該機械部材の生産調整が
極めて容易である。
【0017】また、シート状基材に張力が働いておら
ず、得られた成形材料に歪みが残らず、また、補強繊維
が従来の混合混練の場合のように外力で折れることがな
いから、初期の繊維長を殆どそのまま保持させることが
できる。すなわち、補強繊維が切断されることが原因と
なって、強度の低下が大きくなるとか、ドーナツ形状の
成形を行なうのでウエルドが発生しやすく、ウエルドが
発生した部分では強度が低下して割れやすいとか、とい
う従来の製造方法により製造された機械部材の具有する
諸問題を解消した当該機械部材が製造できる。
【0018】また、成形材料の中心部を中心とする略渦
巻状若しくは同心円状に、補強繊維を配向させることが
できる。言い換えれば、例えばスラストワッシャに含ま
れる補強繊維の全てを、スラストワッシャの半径方向に
配向させることができる。すなわち、反りやねじれの変
形が発生し難く、また、強度の方向性や変形がなくなる
とともにウエルドが発生し難く、ウエルドが発生した部
分で強度が低下することがなくしたがって割れ難く、し
かも、精度の高い当該機械部材が製造できる。特に、前
記機械部材がスラストワッシャである場合には、補強繊
維の全てがスラストワッシャの半径方向に配向れている
から、摺動面の摺動性により優れ、また、前記機械部材
が例えばピストンの外筒である場合には、例えば外筒内
面が、抄造された一枚の同一シート状の基材で構成され
ることとなるからその滑動面での滑動性にとり優れる、
などの様々な優れた機能を有する機械部材が製造でき
る。
【0019】さらにまた、前記成形材料を打抜き加工し
て使用する場合とは異なり、打抜き屑が発生しないか
ら、従来のように、打抜き屑を液中に浸漬してほぐし、
再度抄造する必要がない。すなわち、成形材料を無駄な
く利用できるとともに、かかる面倒な作業を省け(人件
費の低減が図れ)、しいては機械部材を安価に製造でき
る。
【0020】請求項9の発明の要旨とするところは、前
記繊維強化プラスチック製機械部材を製造するために使
用される成形資材において、該成形資材が、熱硬化性樹
脂と補強繊維とを主成分として成形され、加熱加圧成形
されてなることを特徴とする請求項7又は8に記載の成
形資材にあり、請求項7又は8の成形資材が具有する作
用に加えて、特に、熱硬化性樹脂と補強繊維を主成分と
して成形され、加熱加圧成形されるため、当該成形資材
簡便且つ確実に製造でき、強いては強度のより向上した
機械部材を廉価に製造できる。
【0021】請求項10の発明の要旨とするところは、
前記繊維強化プラスチック製機械部材を製造するために
使用される成形資材において、該成形資材が、熱硬化性
樹脂と補強繊維と滑り剤とを主成分として成形され、加
熱加圧成形されてなることを特徴とする請求項7又は8
に記載の成形資材にあり、請求項11の発明の要旨とす
るところは、前記滑り剤が、カーボン粉末、カーボン繊
維、ふっ素化樹脂粉末、ふっ素化樹脂チップ、又はチタ
ン酸カリウムウイスカのうちのいずれかであることを特
徴とする請求項10記載の成形資材にあり、請求項7〜
9のいずれかの成形資材が具有する作用に加えて、特
に、カーボン粉末、カーボン繊維、ふっ素化樹脂粉末、
ふっ素化樹脂チップ、又はチタン酸カリウムウイスカの
ごとき滑り剤が主成分として含まれているため、請求項
9の成形資材よりも、さらに摺動性や滑動性に優れた当
該機械部材を製造できる。
【0022】請求項12の発明の要旨とするところは、
前記繊維強化プラスチック製機械部材を製造するために
使用される成形資材において、前記熱硬化性樹脂が、フ
ェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、又はジアリ
ルフタレート樹脂のうちいずれかであることを特徴とす
る請求項9〜11のいずれかに記載の成形資材にあり、
請求項9〜11のいずれかに記載の繊維強化プラスチッ
ク製の機械部材と実質的に同一の、摺動性や滑動性に優
れた当該機械部材が製造できる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した実施例
に基づいて詳細に説明する。本発明に係る方法を実施す
るにあたり、フェノール樹脂粉末の粒径は、1〜100
μmが適当であるが、抄造するときに分散させることが
できれば特に限定するものではなく、フェノール樹脂に
代えて、エポキシ樹脂、ポリイミド、若しくはジアリル
フタレート樹脂のごとき熱硬化性樹脂を使用できる。補
強繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維等である。滑り剤
としてカーボン粉末を使用する場合のカーボン粉末の粒
径は、1〜50μmが適当であるが、抄造するときに分
散させることができれば特に限定するものではなく、カ
ーボン粉末に代えて、カーボン繊維、ふっ素化樹脂粉
末、ふっ素化樹脂粉末、ふっ素化樹脂チップのごとき他
の滑り剤を使用しても構わない。抄造に際しては、他の
充填材や添加剤を適宜配合してもよい。
【0024】実施例1 図1は、本発明のスラストワッシャの製造方法を示すフ
ローチャートであり、図2(a)及び図2(b)は、こ
の製造方法で作成されたスラストワッシャーの概略斜視
図であり、摺動面における強化繊維の配向が模式的に示
されている。
【0025】フェノール樹脂粉末(粒径1〜20μm)
とガラス繊維(径9μm、繊維長6〓)とアラミド繊維
(径5〜20μm、繊維長2〓)とカーボン粉末(粒径
1〜20μm)を重量比で35/20/10/35の割
合で水に分散させ、これを抄造してシート状の基材とし
直ちにロール状に巻取って成形材料とした。
【0026】次に、この成形材料を所定サイズの金型内
に移し、上下方向から圧力700kg/cm2以上で抑
圧したままの状態で、200℃で10分間、加熱加圧成
形(直圧成形)を施し、ついで、室温に戻した後、カッ
ターで切断してドーナツ形状とし、さらに表面全体を研
磨して、外径70mm、穴径56mm、厚さ3mmスラ
ストワッシャとした。その特性を表1に示す。
【0027】実施例1の製造方法にあっては、抄造して
なるシート状の素材を直ちに巻取ってロール状の成形材
料とし、その一部ないし全部が、所定形状に加圧成形さ
れる構成であるから、この成形材料を連続的に生産でき
るので、生産効率の向上が図れる。
【0028】また、シート状基材に樹脂ワニスを含浸乾
燥する場合のように張力が働いておらず、得られた成形
材料に歪みが残らない。また、補強繊維は、初期の繊維
長を殆どそのまま保っているから、補強繊維の切断によ
る強度の低下が大きくなるとか、射出成形のように補強
繊維が配向して成形品の強度に方向性ができてしまうと
か、ドーナツ形状の成形を行なうのでウエルドが発生し
やすく、ウエルドが発生した部分では強度が低下して割
れやすいとか、という従来の製造方法の具有する諸問題
が解消できる。
【0029】また、補強繊維を当該機械部材の中心部を
中心とする略渦巻状若しくは同心円状に配向させること
ができる。すなわち、例えばスラストワッシャに含まれ
る補強繊維の全てを、スラストワッシャの半径方向に配
向させることができ、反りやねじれの変形が発生し難
く、また、強度の方向性や変形がなくなるとともにウエ
ルドが発生し難く、ウエルドが発生した部分で強度が低
下することがなく、したがって割れ難い。
【0030】また、当該機械部材がスラストワッシャで
ある場合にはその摺動面の摺動性に優れ、当該機械部材
が例えばピストンの外筒である場合には外筒内面の滑動
性に優れる等の優れた機能を確保できる。
【0031】さらにまた、前記成形材料を打抜き加工し
て使用する場合とは異なり、打抜き屑が発生しないか
ら、従来のように、打抜き屑を液中に浸漬してほぐし、
再度抄造する必要がない。すなわち、成形材料を無駄な
く利用できるとともに、かかる面倒な作業を省ける。す
なわち、人件費の低減が図れるとともに、生産性の向上
が図れ、機械部材の製造コストの低減が図れ、廉価な当
該機械部材を提供できる。
【0032】特に、熱硬化性樹脂と補強繊維とカーボン
粉末が主成分として成形され、加熱加圧成形されている
ので、硬度が高く、機械的強度に優れるとともに、摺動
性や滑動性に優れた当該機械部材を製造し得る成形資材
が簡便かつ確実に製造できる。また、加圧成形又は加熱
加圧成形済みの成形資材を所望する寸法形状に切断し、
ついで研磨されると、さらに摺動性や滑動性に優れた当
該機械部材を、確実に製造できるから、好ましい。
【0033】すなわち、高品質のこれら繊維強化プラス
チック製の機械部材を、廉価に製造でき、提供できる。
【0034】実施例2 フェノール樹脂粉末(粒径1〜20μm)とガラス繊維
(径9μm、繊維長6〓)とアラミド繊維(径5〜20
μm、繊維長2〓)を重量比で40/50/10の割合
で水に分散させ、これを抄造してシート状の基材とし、
このシート状の基材を乾燥して水分を除去した。尚、こ
の乾燥は、フェノール樹脂の硬化反応が進まない温度範
囲(常温)で行なった。ついで、水分を除去したシート
状の基材を、ロール状に巻取って外径70mm、穴径5
6mmの中空の成形材料とした後、以下実施例1と同様
に処理した。その特性を表1に示す。
【0035】この実施例2の製造方法及び該製造方法に
よって作成された機械部材の具有する作用効果は、前記
実施例1の具有する作用効果に加えて、抄造してなるシ
ート状の素材を別途作成して保管し、必要に応じてこれ
を巻取ったロール状の成形材料とすることができるた
め、小ロットの製造に好都合となるとともに、生産調整
が極めて容易になるという優れた作用効果が得られる。
他の作用効果は、前記実施例1と実質的に同様であるか
ら、繰り返し述べない。
【0036】従来例1 フェノール樹脂粉末(粒径1〜20μm)とガラス繊維
(径9μm、繊維長6〓)とアラミド繊維(径5〜20
μm、繊維長2mm)とカーボン粉末(粒径1〜20μ
m)を重量比で35/20/10/35の割合で水に分
散させ、これを抄造してシート状の成形材料とした。抄
造後に乾燥して水分を除去した成形材料は、厚さ6m
m、坪量1450g/cm2である。尚、前記乾燥は、
フェノール樹脂の硬化反応が進まない温度範囲(常温)
で行なった。この成形材料を外径68mm、穴径58m
mのドーナツ形状に打抜き加工したものを3枚重ねて加
熱加圧成形(直圧成形)し、外径70mm、穴径56m
m、厚さ3mmのスラストワッシャとした。図2(c)
及び図2(d)は、この製造方法で作成されたスラスト
ワッシャーの概略斜視図であり、摺動面における強化繊
維の配向が模式的に示されている。
【0037】従来例2 フェノール樹脂粉末(粒径1〜20μm)とガラス繊維
(径9μm、繊維長6mm)とアラミド繊維(径5〜2
0μm、繊維長2mm)を重量比で40/50/10の
割合で水に分散させ、これを抄造してシート状の成形材
料とした。抄造後に乾燥して水分を除去した成形材料
は、厚さ6mm、坪量1550g/cm2である。この
成形材料を外径68mm、穴径58mmに打抜き加工し
たものを芯層とし、実施例1で使用した成形材料を両表
面層として加熱加圧成形により、外径70mm、穴径5
6mm、厚さ3mmのスラストワッシャとした。
【0038】但し、従来例1、2のスラストワッシャの
特性は、前記特開平5−78500号公報に記載のスラ
ストワッシャの製造方法によって製造されたものと同一
であるから、特開平5−78500号公報に記載の数値
が引用されている。
【0039】 表1 実施例 従来例 1 2 1 2 (1)シャルピー衝撃強度 縦 4.6 7.6 4.5 7.5 (kg/cm/cm2) 横 4.6 7.6 4.5 7.5 (2)反り (mm) 0.03 0.03 0.1 0.1 (3)摩擦係数 0.01 0.12 0.11 0.11
【0040】表1において、反りは定盤上にスラストワ
ッシャを置き、その縁の定盤からの浮き上がり量を隙間
ゲージで測定した。
【0041】ところで、上述した各実施例の機械部材の
製造方法及び該製造方法によって作成された機械部材
は、本発明の代表的な実施態様として述べたものであ
り、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本
発明を実施する場合には、例えば歯車(ギヤー)とすべ
く製造された当該成形資材を切削するとか、例えばその
寸法形状等を設計変更するとか、中空ロール状ではなく
円柱状に成形するとか等、この発明の趣旨から逸脱しな
い範囲で適宜設計変更して実施できる。
【0042】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の繊維強化プ
ラスチック製機械部材の製造用の成形資材の製造法はい
ずれも、これら機械部材に補強素材として含まれる補強
繊維が、当該機械部材の中心部を中心とする略渦巻状若
しくは略同心円状に配向されるべく構成されているとこ
ろにその構造特徴を有する「成形資材」を製造するため
の方法であるから、つぎに示す優れた作用効果が得られ
る。
【0043】(1) 前記成形資材は、抄造されたシート基
材の巻取りにより作られているから、シート状基材に樹
脂ワニスを含浸乾燥する場合のように張力が働いていな
いから、得られた成形資材に歪みが残っていない。そし
て、本発明の成形資材は、補強繊維の繊維長も当所の長
さを保持したまま、均一の厚さ寸法となるように作成す
ることができるから、寸法精度に極めて優れる。また、
補強繊維の切断による強度の低下が大きくなるとか、射
出成形のように補強繊維が配向して成形品の強度に方向
性ができてしまうとか、ドーナツ形状の成形を行なうの
でウエルドが発生しやすく、ウエルドが発生した部分で
は強度が低下して割れやすいとか、という従来の製造方
法で製造された成形資材からなる機械部材の具有する諸
問題の全てが解消できる。
【0044】(2) 前記補強繊維は、初期の繊維長を殆ど
そのまま保たせたままの状態で、各成形資材の軸心を中
心とする略渦巻状若しくは同心円状に配向できるため
に、成形後に成形品内部に歪みが残らないから変形が小
さく、かつ、強度の大きな機械部材を製造でき、提供で
きる。
【0045】(3) つぎに、成形材料を打抜き加工して使
用する従来技術とは異なり、打抜き屑が発生しないか
ら、打抜き屑を液中に浸漬してほぐし、再度抄造する必
要がない。したがって、かかる面倒な作業を省け、人件
費の低減が図れるとともに、生産性の向上が図れるか
ら、当該機械部材の製造コストの低減が図れ、廉価な当
該機械部材を製造でき、提供できる。
【0046】(4) 前記成形資材が、熱硬化性樹脂と補強
繊維とを主成分として成形されている場合には、硬度が
高く、機械的強度に優れ、摺動性や滑動性に優れた当該
機械部材を、簡便かつ確実に製造でき、提供できる。そ
して、前記成形資材が、熱硬化性樹脂と補強繊維とカー
ボン粉末のごとき滑り剤とを主成分として作成されて場
合には、滑り剤が含まれているので、例えば、当該機械
部材がスラストワッシャである場合には、摺動面の摺動
性に優れたスラストワッシャを廉価、簡便且つ確実に製
造し、提供できる。また、当該機械部材が例えばピスト
ンの外筒である場合には、滑動性に優れた外筒内面を有
するピストンの外筒を廉価、簡便且つ確実に製造し、提
供できる。特に、加圧成形又は加熱加圧成形済みの成形
資材を所望する寸法形状に切断し、ついで研磨すると、
さらに摺動性や滑動性に優れた当該機械部材を製造で
き、提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例の成形資材を使用した
スラストマッシャの製造方法を示すフローチャートであ
る。
【図2】図2(a)及び図2(b)は本発明の実施例1
の製造方法で作成されたスラストワッシャーの摺動面を
示す平面図であり、図2(c)及び図2(d)は、従来
例1の製造方法で作成されたスラストワッシャーの摺動
面を示す平面図であり、各図において、摺動面における
強化繊維の配向がそれぞれ模式的に示されている。
【図3】図3は、特開平5−78500号公報記載のス
ラストワッシャの製造方法を示すフローチャートであ
る。
【符号の説明】
10…本発明のスラストワッシャ 10’…従来のスラストワッシャ 20…強化繊維
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 507:04

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維強化プラスチック製機械部材を製造
    するために使用される成形資材の製造方法であって、 抄造してなるシート状の素材を巻取って得た成形材料の
    一部ないし全部が、所定形状に加圧成形される行程を含
    み構成されていることを特徴とする繊維強化プラスチッ
    ク製機械部材製造用の成形資材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記成形材料が シート状に抄造されつ
    つ巻取られてなることを特徴とする請求項1記載の繊維
    強化プラスチック製機械部材製造用の成形資材の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記成形資材の製造方法において、 前記成形材料が、熱硬化性樹脂と補強繊維とを主成分と
    して成形され、加熱加圧成形されることを特徴とする請
    求項1又は2記載の繊維強化プラスチック製機械部材製
    造用の成形資材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記成形資材の製造方法において、 前記成形材料が、熱硬化性樹脂と補強繊維と滑り剤とを
    主成分として成形され、加熱加圧成形されることを特徴
    とする請求項1又は2記載の繊維強化プラスチック製機
    械部材製造用の成形資材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記滑り剤が、カーボン粉末、カーボン
    繊維、ふっ素化樹脂粉末、ふっ素化樹脂チップ、又はチ
    タン酸カリウムウイスカのうちのいずれかであることを
    特徴とする請求項4記載の繊維強化プラスチック製機械
    部材製造用の成形資材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記成形資材の製造方法において、 前記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、
    ポリイミド、又はジアリルフタレート樹脂のうちいずれ
    かであることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記
    載の繊維強化プラスチック製機械部材製造用の成形資材
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 繊維強化プラスチック製機械部材を製造
    するために使用される成形資材において、 該繊維強化プラスチック製機械部材に補強素材として含
    まれる補強繊維を当該機械部材の中心部を中心とする略
    渦巻状若しくは略同心円状に配向すべく予め製造される
    前記成形資材の製造方法であって、 抄造してなるシート状の素材を巻取って得た成形材料の
    一部ないし全部が、所定形状に加圧成形される行程を経
    て作成されることを特徴とする成形資材。
  8. 【請求項8】 前記繊維強化プラスチック製機械部材を
    製造するために使用される成形資材において、 該成形材料が シート状に抄造されつつ巻取られてなる
    ことを特徴とする請求項7記載の成形資材。
  9. 【請求項9】 前記繊維強化プラスチック製機械部材を
    製造するために使用される成形資材において、 該成形材料が、熱硬化性樹脂と補強繊維とを主成分とし
    て成形され、加熱加圧成形されていることを特徴とする
    請求項7又は8に記載の成形資材。
  10. 【請求項10】 前記繊維強化プラスチック製機械部材
    を製造するために使用される成形資材において、 該成形材料が、熱硬化性樹脂と補強繊維と滑り剤とを主
    成分として成形され、加熱加圧成形されていることを特
    徴とする請求項7又は8に記載の成形資材。
  11. 【請求項11】 前記滑り剤が、カーボン粉末、カーボ
    ン繊維、ふっ素化樹脂粉末、ふっ素化樹脂チップ、又は
    チタン酸カリウムウイスカのうちのいずれかであること
    を特徴とする請求項10記載の成形資材。
  12. 【請求項12】 前記繊維強化プラスチック製機械部材
    を製造するために使用される成形資材において、 前記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、
    ポリイミド、又はジアリルフタレート樹脂のうちいずれ
    かであることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに
    記載の成形資材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013094880A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Sumitomo Bakelite Co Ltd 被研磨物保持キャリア材用基材、および製造方法

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