JPH10117931A - 液体封入用袋及び電子レンジ調理用食品被覆材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 袋体の柔軟性を損なわない程度に食用油等の
液体を封入しても該液体の片寄りを極力防止し得るよう
にした液体封入用袋を提供する。 【解決手段】 一端に開口部２を有する合成樹脂製の袋
体３を形成し、該袋体３において重なり合う一対の合成
樹脂シート１，１を局所的に接合する複数の溶着部４，
４’，４”を形成して液体封入用袋を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、液体封入用袋及び
電子レンジ調理用食品被覆材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般的に、冷凍された食品を急速に解凍
する際には電子レンジが用いられることが多いが、電子
レンジによる誘電加熱で食品の解凍を行った場合、マイ
クロ波は食品の角部に吸収され易く、該角部が局所的に
過剰加熱されてしまうことにより食品の加熱状態にバラ
ツキが生じる。

【０００３】例えば、冷凍された赤身の生肉を電子レン
ジによる誘導加熱で解凍すると、一般的な切り身の状態
で−３０℃位から−５℃〜−３℃まで解凍するのに数分
で解凍できるが、生肉の角部が局所的に加熱され過ぎて
煮えた状態で解凍されてしまい、均一に解凍することが
困難であった。

【０００４】そこで、本発明者らは、冷凍された食品を
電子レンジで解凍する際に、食用油を封入した合成樹脂
製の袋体により食品を被覆し、該食品の温度分布を食用
油の良好な熱伝導性により均等化させて食品の外側部分
における局所的な過剰加熱を防止することを創案するに
至った。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、単純に
合成樹脂製の袋体に適量の食用油を封入しただけでは、
袋体を食品に被覆した際に袋体の外周部分が撓んで垂れ
下がり、その垂れ下がった袋体の外周部分に食用油が片
寄ってしまって食品を適当な層厚の食用油で被覆するこ
とができなくなるという不具合が生じ、また、食用油の
片寄りが生じないよう封入圧を高めて袋体の最大容積分
に相当する多量の食用油を封入した場合には、袋体の柔
軟性が損なわれて食品に対する被覆が困難になるという
不具合を招いた。

【０００６】本発明は上述の実情に鑑みてなしたもの
で、袋体の柔軟性を損なわない程度に食用油等の液体を
封入しても該液体の片寄りを極力防止し得るようにした
液体封入用袋と、該液体封入用袋に熱伝導性の高い食用
油等の液体を封入して成る電子レンジ調理用食品被覆材
を提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、一端に開口部
を有する合成樹脂製の袋体を形成し、該袋体において重
なり合う一対の合成樹脂シートを局所的に接合する複数
の溶着部を形成したことを特徴とする液体封入用袋、に
係るものである。

【０００８】而して、開口部から袋体内部に適量の液体
を導入して前記開口部を溶着により閉じると、前記袋体
内に封入された液体は、複数の溶着部により囲まれた部
分を膨らませて溜まるが、このように複数の溶着部に囲
まれた部分は、周囲の溶着部により自由な拡張を制限さ
れているので、この部分に通常の状態で無理なく受け入
れ得る液体量も自ずから制限されることになる。

【０００９】この為、例えば袋体の傾きによって液体が
袋体の下方側に片寄り始めても、該袋体の下方側で無理
なく受け入れ得る液体量に制限があることから袋体の上
方側からの液体の移動に大きな抵抗がかかり、袋体内に
おける液体の極端な片寄りが防止される。

【００１０】袋体内における液体の極端な片寄りを効果
的に防止するにあたっては、溶着部を千鳥状に形成する
ことが好ましい。

【００１１】ここで、千鳥状とは、千鳥足のように左右
の足の織りなす模様の如きジグザグ状の配置を意味して
いる。

【００１２】また、本発明の液体封入用袋では、溶着部
の外形を角部のない丸みを帯びた形状に形成することが
好ましく、このようにすれば、液体を封入した袋体に何
らかの強い衝撃が加わっても、溶着部にかかる衝撃力が
分散して緩和される。

【００１３】更に、本発明の液体封入用袋では、溶着部
の大半を袋体の長手方向に対し略直角な向きに細長く延
ばして形成することが好ましく、このようにすれば、溶
着部が占める領域を極力縮小することが可能となる上
に、袋体の複数の溶着部に囲まれた部分における自由な
拡張を効果的に制限することが可能となり、しかも、袋
体が長手方向に撓む際に袋体の柔軟性が溶着部で損なわ
れることがなくなる。

【００１４】また、本発明の液体封入用袋では、少くと
も開口部に近接した適宜数の溶着部を袋体の縦方向に細
長く延ばして形成することが好ましく、このようにすれ
ば、開口部から袋体内部に適量の液体を導入する際に溶
着部が邪魔にならず、液体を袋体内に導入し易くなる。

【００１５】更に、本発明は、前述した如き液体封入用
袋に熱伝導性の高い液体を封入して成る電子レンジ調理
用食品被覆材、にも係るものであり、このような電子レ
ンジ調理用食品被覆材で冷凍食品を被覆して電子レンジ
で解凍するようにすれば、食品を被覆した際に袋体の外
周部分が撓んで垂れ下がっても、その垂れ下がった袋体
の外周部分に液体が極端に片寄るような状態を防止する
ことが可能であり、食品を適当な層厚の液体で良好に被
覆して食品の局所的な過剰加熱を防止することが可能と
なる。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照しつつ説明する。

【００１７】図１〜図４は本発明を実施する形態の一例
を示している。

【００１８】図１に示す如く、一対の合成樹脂シート
１，１が互いに重ね合わされており、該合成樹脂シート
１，１の両側辺同士及び底辺同士が溶着されて頂辺側を
開口部２とした袋体３として形成され、且つ該袋体３の
両側辺及び底辺に囲まれた内側部分には、両合成樹脂シ
ート１，１間を局所的に接合する溶着部４が千鳥状に形
成されている。

【００１９】ここで、本形態例においては、袋体３が縦
方向に長く形成されており、各溶着部４の大半が袋体３
の横方向（袋体３の長手方向に対し略直角な向き）に細
長く延びる楕円形状に形成されている。

【００２０】ただし、開口部２に近接した位置にある幅
方向中央の溶着部４’と、袋体３の底辺に近接した位置
にある幅方向中央の溶着部４”とについては、袋体３の
縦方向に細長く延びる楕円形状として形成してある。

【００２１】また、図２に示す如く、袋体３を形成する
合成樹脂シート１，１は、ナイロン層５とポリプロピレ
ン層６とから成るラミネート構造となっており、ナイロ
ン層５を外側に向け且つポリプロピレン層６を内側に向
けて袋体３が形成されている。

【００２２】而して、図３及び図４に示す如く、開口部
２から袋体３内部に適量の液体７を導入して前記開口部
２を溶着により閉じると、前記袋体３内に封入された液
体７は、千鳥状に配置された溶着部４により囲まれた部
分を膨らませて溜まるが、このように複数の溶着部４に
囲まれた部分は、周囲の溶着部４により自由な拡張を制
限されているので、この部分に通常の状態で無理なく受
け入れ得る液体量も自ずから制限されることになる。

【００２３】この為、例えば袋体３の傾きによって液体
７が袋体３の下方側に片寄り始めても、該袋体３の下方
側で無理なく受け入れ得る液体量に制限があることから
袋体３の上方側からの液体７の移動に大きな抵抗がかか
り、袋体３内における液体７の極端な片寄りが防止され
る。

【００２４】従って、袋体３の柔軟性を損なわない程度
に適量の液体７を封入しても該液体７の片寄りを極力防
止することができるので、食用油等の熱伝導性の高い液
体７を袋体３内に封入して電子レンジ調理用食品被覆材
を構成し、この電子レンジ調理用食品被覆材で冷凍食品
を被覆して電子レンジで解凍するようにすれば、食品を
被覆した際に袋体３の外周部分が撓んで垂れ下がって
も、その垂れ下がった袋体３の外周部分に液体７が極端
に片寄るような状態を防止することができ、食品を適当
な層厚の液体７で良好に被覆して食品の外側部分におけ
る局所的な過剰加熱を防止することができる。

【００２５】また、本形態例では、溶着部４の外形を楕
円形状としてあるので、液体７を封入した袋体３に何ら
かの強い衝撃が加わっても、溶着部４にかかる衝撃力が
分散されて緩和されるので、袋体３が衝撃により破れる
ような不具合を極力防止することができる。

【００２６】ここで、溶着部４にかかる衝撃力を緩和す
るだけであれば、溶着部４の外形を角部のない丸みを帯
びた形状に形成するだけで良いが、特に食用油等の熱伝
導性の高い液体７を封入した電子レンジ調理用食品被覆
材として使用する場合には、液体７を溜めることができ
ない溶着部４が占める領域を極力縮小することが必要と
なるので、本形態例に示した如く、溶着部４を細長く延
ばして形成することが好ましい。

【００２７】また、このように溶着部４を細長く延ばし
て十分な範囲を接合しておかないと、袋体３の複数の溶
着部４に囲まれた部分における自由な拡張を効果的に制
限することができないのである。

【００２８】更に、食用油等の熱伝導性の高い液体７を
封入することにより電子レンジ調理用食品被覆材を構成
し、該電子レンジ調理用食品被覆材で冷凍食品を被覆し
て電子レンジで解凍する場合には、袋体３が長く形成さ
れている方向（長手方向）に袋体３が撓むように使用さ
れるのが一般的である為、本形態例に示した如く、袋体
３が縦方向に長く形成されているのであれば、各溶着部
４の大半を袋体３の横方向（袋体３の長手方向に対し略
直角な向き）に細長く延ばして形成することが好まし
く、このようにすれば、使用時に袋体３の柔軟性が溶着
部４で損なわれることがなくなる。

【００２９】従って、本形態例に示した如く、各溶着部
４の大半を袋体３の横方向（袋体３の長手方向に対し略
直角な向き）に細長く延ばして形成すれば、溶着部４が
占める領域を極力縮小することができる上に、袋体３の
複数の溶着部４に囲まれた部分における自由な拡張を効
果的に制限することができ、しかも、袋体３を長手方向
に撓ませる際における袋体３の柔軟性が溶着部４で損な
われることを回避できる。

【００３０】また、本形態例に示した如く、開口部２に
近接した位置にある幅方向中央の溶着部４’を袋体３の
縦方向に細長く延ばして形成しておけば、開口部２から
袋体３内部に適量の液体７を導入する際に溶着部４’が
邪魔にならず、液体７を袋体３内に導入し易くなる。

【００３１】尚、本形態例において、袋体３の底辺に近
接した位置にある幅方向中央の溶着部４”についても袋
体３の縦方向に細長く延びる楕円形状として形成してあ
る理由は、溶着部４’，４”の配置を縦方向に対称な配
置として、液体７の移動に対する影響が不均等に作用し
ないようにする為である。

【００３２】更に、本形態例に示した如く、合成樹脂シ
ート１，１をナイロン層５とポリプロピレン層６とから
成るラミネート構造とし、ナイロン層５を外側に向け且
つポリプロピレン層６を内側に向けて袋体３を形成する
ようにすれば、袋体３の外側をナイロン層５として袋体
３の破損を極力防ぐことができ、一方、袋体３の内側を
シール性の高いポリプロピレン層６として液体７の漏れ
を確実に防ぐことができる。

【００３３】ここで、袋体３の内側におけるシール性だ
けを考慮した場合には、ポリプロピレン層６に替えてポ
リエチレン層とすることも可能であるが、ポリプロピレ
ン層６の場合にはシール性に加えて良好な耐熱性を期待
でき、また、ポリエチレン層の場合にはシール性に加え
て良好な柔軟性を期待できるので、使用目的に応じて適
宜選択して用いれば良い。

【００３４】尚、本発明の液体封入用袋及び電子レンジ
調理用食品被覆材は、上述の形態例にのみ限定されるも
のではなく、合成樹脂シートは必ずしもラミネート構造
とする必要はなく、単層の合成樹脂シートとしても良い
こと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て種々変更を加え得ることは勿論である。

【００３５】

【発明の効果】上記した本発明の液体封入用袋及び電子
レンジ調理用食品被覆材によれば、下記の如き種々の優
れた効果を奏し得る。

【００３６】（Ｉ）袋体の柔軟性を損なわない程度に適
量の液体を封入しても該液体の片寄りを極力防止するこ
とができる。

【００３７】（ＩＩ）溶着部の外形を角部のない丸みを
帯びた形状に形成した構成を採用すれば、液体を封入し
た袋体に何らかの強い衝撃が加わっても、溶着部にかか
る衝撃力を分散させて緩和することができるので、袋体
が衝撃により破れるような不具合を極力防止することが
できる。

【００３８】（ＩＩＩ）溶着部の大半を袋体の長手方向
に対し略直角な向きに細長く延ばして形成した構成によ
れば、溶着部が占める領域を極力縮小することができる
上に、袋体の複数の溶着部に囲まれた部分における自由
な拡張を効果的に制限することができ、しかも、袋体を
長手方向に撓ませる際における袋体の柔軟性が溶着部で
損なわれることを回避できる。

【００３９】（ＩＶ）少くとも開口部に近接した適宜数
の溶着部を袋体の縦方向に細長く延ばして形成した構成
によれば、開口部から袋体内部に適量の液体を導入する
際に溶着部が邪魔にならず、液体を袋体内に導入し易く
なる。

【００４０】（Ｖ）液体封入用袋に熱伝導性の高い液体
を封入して成る電子レンジ調理用食品被覆材によれば、
この電子レンジ調理用食品被覆材で冷凍食品を被覆して
電子レンジで解凍する際に、食品を被覆した際に袋体の
外周部分が撓んで垂れ下がっても、その垂れ下がった袋
体の外周部分に熱伝導性の高い液体が極端に片寄るよう
な状態を防止することができ、食品を適当な層厚の液体
で良好に被覆して食品の局所的な過剰加熱を防止するこ
とができるので、冷凍食品を均一に解凍することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を実施する形態の一例を示す平面図であ
る。

【図２】図１の合成樹脂シートの拡大断面図である。

【図３】図１の袋体内に液体を封入した状態を示す平面
図である。

【図４】図３のＩＶ−ＩＶ方向の矢視図である。

【符号の説明】

１ 合成樹脂シート ２ 開口部 ３ 袋体 ４，４’，４” 溶着部 ５ ナイロン層 ６ ポリプロピレン層 ７ 液体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 足立 宗三郎 埼玉県八潮市木曽根727−１ 株式会社ギ ンポーパック内

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一端に開口部を有する合成樹脂製の袋体
   を形成し、該袋体において重なり合う一対の合成樹脂シ
   ートを局所的に接合する複数の溶着部を形成したことを
   特徴とする液体封入用袋。
2. 【請求項２】 溶着部を千鳥状に形成したことを特徴と
   する請求項１に記載の液体封入用袋。
3. 【請求項３】 溶着部の外形を角部のない丸みを帯びた
   形状に形成したことを特徴とする請求項１又は２に記載
   の液体封入用袋。
4. 【請求項４】 溶着部の大半を袋体の長手方向に対し略
   直角な向きに細長く延ばして形成したことを特徴とする
   請求項１、２又は３に記載の液体封入用袋。
5. 【請求項５】 少くとも開口部に近接した適宜数の溶着
   部を袋体の縦方向に細長く延ばして形成したことを特徴
   とする請求項１、２、３又は４に記載の液体封入用袋。
6. 【請求項６】 請求項１、２、３、４又は５に記載の液
   体封入用袋に熱伝導性の高い液体を封入して成る電子レ
   ンジ調理用食品被覆材。