JPH10117513A - 棒状植生マット - Google Patents

棒状植生マット

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JPH10117513A
JPH10117513A JP27964296A JP27964296A JPH10117513A JP H10117513 A JPH10117513 A JP H10117513A JP 27964296 A JP27964296 A JP 27964296A JP 27964296 A JP27964296 A JP 27964296A JP H10117513 A JPH10117513 A JP H10117513A
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JP
Japan
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seeds
vegetation mat
rod
soil
shaped vegetation
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JP27964296A
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Inventor
Yoshihiro Nishiyama
嘉寛 西山
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Okayama Prefectural Government
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乾燥に弱い木本種子に適した植生状態を保持
させるための植生マットを提供すること。 【解決手段】 穴あきの微生物分解性筒状体に木本種子
と土壌の混合物を充填したものを、さらに微生物分解性
シートで被膜してなる棒状植生マットとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、緑化用植生材に関
するものであり、とくに乾燥に弱く発芽率の低い木本類
の種子、例えばコナラ、シラカシ、ウバメガシなどによ
る山地・法面の植生緑化に好適に用いられる棒状植生マ
ットの提供を目的とする。
【0002】
【従来の技術】従来の緑化用植生材では、アカマツ、ヤ
シャブシ類、ハギ類、イタドリ、ヨモギ、牧草類、クロ
ーバー類といった細粒種子が主に使用されている。これ
らの種子は乾燥しても発芽能力が高いため、緑化用植生
材の培地に水分を含ませる必要がなく、場合によっては
紙に上記の種子を貼り付けただけでもよい。例えば、培
地に土壌を使用した緑化用植生材として、軽量のバーミ
キュライトを用い、これにハギ類等の乾燥種子を混ぜ、
棒状の糸入り有機紙袋内に収容したものがある。また、
培地に土壌を使用しない緑化用植生材として、有機紙に
種子や肥料等を貼り付けて袋状にしたものがある。これ
は一般に植生土嚢と称されており、法面等に使用される
ものである。さらに、植生袋付の植生マット・肥料基袋
をネットに取付けることで、法面の緑化目的に使用され
ている緑化用植生材もある。
【0003】しかしながら、いずれの緑化用植生材でも
乾燥対策は施されていないので、一般に乾燥に弱い種子
である木本類は使用されていないのが現状である。
【0004】また、緑化方法の一つとして種子の直播き
も行われているが、この方法では種子が動物や鳥類の食
害にあいやすい欠点があった。とくに、実際の緑化事業
においては面積当たりの播種量や樹種の組み合わせ等を
決定して作業を行う必要があるので、作業が煩雑にな
る。さらに播種をする際にも、数樹種の種子を使用する
場合には、種子の大きさ(厚み)に合わせて土中に埋める
深さを調整しなければ一定の発芽率は期待できない。例
えば、大きい種では深く、小さい種では浅く覆土する必
要がある。
【0005】また、ポット苗を植える緑化方法も行われ
ているが、ポット苗の場合は、一定期間育苗後に植える
ために、根が直根性の樹種の場合であっても、ポットの
容積や形状による制約から根が真っ直ぐに入らずに鉢状
に回ってしまい、本来の自然の根の形態と異なってしま
う欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、とくに
山地において等高線に沿って緑化する場合、あるいは長
い防火林帯を作る場合、従来は乾燥に強い種子を用いた
緑化用植生材や種子の直播き、ポット苗又は苗木植栽方
式によらざるを得なかった。その一方、一般に防火樹と
して知られている樹種は、そのほとんどが乾燥に弱い種
子からなるドングリ類、ヤマモモなどの木本類である。
したがって、このような乾燥に弱い種子に対応した植生
材ができれば、等高線にそって防火林帯を作る場合で
も、防火樹種の中で乾燥に弱い種子を用いた帯状の緑化
が可能となるし、また、樹種選択によって数種類の樹種
を組み合わせることも可能となろう。本発明は、こうし
た課題を解決するためになされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る棒状植生マ
ットは、穴あきの微生物分解性筒状体に木本種子と土壌
の混合物を充填してなるものである。ここにいう微生物
分解性筒状体としては例えば、周囲に適宜穴をあけたい
わゆる段ボール紙からなる紙管が用いられる。また、紙
管に限らず、合成樹脂、例えばポリエチレンやポリオレ
フィンに澱粉を混入したものからなるチューブなども有
用である。なお、段ボール紙を用いる場合には、耐水段
ボール又は通常の段ボール紙をパラフィン塗工したもの
など、ある程度素材に耐水性のあるものを使用する。
【0008】段ボール紙に耐水性が不足する場合、ある
いは水分の保持性を高めるためには前記紙管からなる筒
状体を微生物分解性シートで被覆する。この微生物分解
性シートとしては、耐水性も備えた油紙、ポリエチレン
やポリプロピレン中に澱粉を混合して得られたシート若
しくはこのようなシートから得られたフラットヤーンを
用いたワリ布やメッシュクロス、さらにはこれらシート
から得られたスプリットヤーンを用いた短繊維不織布、
レーヨン不織布のような微生物分解性不織布などが好適
に用いられる。すなわち、乾燥に弱い種子では、一定の
水分を含んだ土壌の中に種子を入れてやり、かつ水分が
外部に逃げないようにしなくてはならない。そのため、
紙管には古紙とクラフトパルプから構成されたもの(ト
イレットペーパーの芯やダンボールの表面に使用されて
いる材質)を使用したり、さらに紙管の表面を油紙等の
微生物分解性シートで被覆することにより、水分の蒸発
を抑えるとともに通気性を確保して、内部に収容された
種子の発芽を可能にする。また、紙管だけの場合は水分
により破損し易いが、紙管の表面に微生物分解性シート
を被覆することによって、植生マット自体の強度を高め
ることもできる。以上のような構成の棒状植生マットと
した結果、本来乾燥に弱い種子であっても、湿潤後1カ
月程度であれば、常温でも保存可能かつ発芽可能となっ
たのである。
【0009】さらに本発明では、ドングリ等の大粒で乾
燥にきわめて弱い種子を植生する場合であっても、前記
のように、穴あきの筒状体たる紙管と微生物分解性シー
ト内に一定の水分を保った棒状植生マットとしたこと
で、緑化施工方法も大幅に改善される。すなわち、棒状
植生マットを水で十分に湿らせた後、斜面に階段工を施
した水平部分に前記棒状植生マットをほぼ等高線に沿っ
て設置することによる斜面の緑化方法が実現されるので
ある。この緑化施工方法によって、従来は不可能と考え
られていた樹種による、等高線に沿った帯状の緑化を可
能にし、防火林帯や列状植栽の効率的な施工を可能にす
るものである。最近は山火事が多発しており、防火林帯
を築く意味でも本発明は有用である。さらに、棒状植生
マットの重量も軽いことから、緑化作業がしやすい利点
も得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例に基づいて
詳細に説明する。
【0011】はじめに、本発明に係る棒状植生マットの
製作手順の一例を、図1にしたがって説明する。
【0012】工程1では、まず筒状の紙管と油紙とを用
意する。1本の棒状植生マットに使用される紙管は、そ
の長さ及び太さ(内径)とも自由に選択しうるが、植生作
業の効率を考慮すると、他の植生材メーカーの製品と同
程度の長さ30〜35cmに形成するのがよいと思われる。紙
管の内径は、紙管内部に収容されるドングリ等の種子の
大きさ(約1cm内外)の倍以上は必要である。なお、紙
管の周囲を被覆する油紙には、紙管の外周とほぼ同じ面
積のものを用いる。
【0013】次に、工程2においては、紙管と油紙に多
数の穴をあける。これは、紙管内部における通気性の確
保とともに、発芽した木本類が成長した場合にこの穴を
通して地上部に芽を出させるためのものである。通常、
穴の径は3〜10mm、穴の数は3〜6個/10cm2程度でよ
い。なお、紙管の周囲は油紙で被覆する。
【0014】工程3では、紙管の一端を押しつぶしてテ
−プやステープラー等で止めて開口部を閉塞する。場合
によっては、紙管の内径に適合した蓋を端部に嵌め込ん
で開口部を塞いでもよい。
【0015】工程4では、紙管内部に培地を入れる。培
地は木本類が発芽できるものであれば組成は問わない。
例えば、種子の貯蔵によく使用されるオガ(マツ、ブナ)
でもよい。ただし、紙管の周囲には多数の穴があいてい
るため、穴から培地がこぼれ出ないようにやや粒子の大
きな培地を選ぶことが必要である。この培地となる土又
はオガとともに紙管内部に植生したい種子を入れるが、
培地と種子はあらかじめ混ぜておいてもよいし、種子と
培地を交互に入れてもよい。なお、鳥類や動物による種
子の食害を防ぐ意味から、鳥類の忌避剤(成分TMTD
ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスフィド80%)を入
れる。この忌避剤は、粘性の水和剤として使用すること
から、種子に粉衣処理するとよい。また、雑菌の繁殖に
よる発芽率低下を防ぐため、種子消毒用殺菌剤(粉状の
もの)を種子につけたり、培地に混ぜたりすることも、
培地条件によっては必要である。
【0016】工程5では、紙管内の培地や種子がこぼれ
出ないように、油紙を被覆した紙管のもう一方の開口端
部をテ−プ又はステープラーで止めて閉塞する。
【0017】工程6では、紙管を水又は種子消毒用殺菌
剤を入れた水溶液に漬けて全体的に湿らせる。
【0018】工程7では、余分な水分を取って棒状植生
マットが完成し、これを設置時期まで保存する。
【0019】次に、本発明に係る棒状植生マットの具体
的な製作事例を説明する。棒状植生マットの形状と使用
した種子を表1に示す。紙管は、古紙やライナ−紙等の
環境にやさしい素材からなり、長さ35cmに統一して、内
径38mm、厚さ0.65mmのものを用いた。この紙管に8方向
から穴をあけた。穴の内径は6mmで、紙管1本当りの穴
の数は約180〜190個程度である。これは紙管の全表面積
の約15%程度に相当する。マサ土45%、バーク堆肥45
%、パーライト5%、鹿沼土5%からなる培地200〜250
gに種子消毒用殺菌剤を2g程度を入れ、よく混ぜた。
完成後の棒状植生マット1本当たりの種子量は、コナ
ラ、ウバメガシで各6粒、シラカシで10粒である。各種
子には、あらかじめ粘性のある鳥類忌避剤をまぶしてお
く。紙管の開口部の一端をステープラーで閉塞した後、
培地と種子を交互に紙管に入れ、穴をあけた油紙で紙管
を被覆してから他方の開口端もステープラーで閉塞し、
さらに水に漬けてよく湿らした後、水を切って完成とし
た。
【0020】
【表1】
【0021】以上のような手順で平成7年2月に製作し
た棒状植生マットについて、常温で38〜39日保存した場
合と、常温で2〜3日おいた後さらに低温(摂氏5度以
下)で36日保存した場合とに分けて保存状態を比較し
た。その結果、後者の低温保存の方が植生マットの水分
保持には有効であることが判明した。これら棒状植生マ
ットの保存条件を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】本発明に係る棒状植生マットの発芽率調査
は、岡山県林業試験場内で行った。棒状植生マットの設
置場所は(a)屋外、(b)温室内の2通りである。図2(a),
(b)に棒状植生マットの配置を示す。(a)屋外は埋立、転
圧、整地されており、固い地盤である。この表面を数mm
削りとり、植生マットを設置した。(b)温室内の場合と
は異なり、(a)屋外の場合は水の散布は行わず、自然状
態にまかせた。(b)温室内では、ベンチに鹿沼土を幅80c
m、高さ約40cmくらい入れて、棒状植生マットの厚み分
だけ埋め込んだ。表面の油紙は、取り除いた場合とその
まま装着した場合とに分けた。加温は行っていないが、
温室内は外気に比べて2〜3℃気温が高い。水は棒状植
生マットの設置後3日置きに約10mm散布した。
【0024】発芽率調査に使用した棒状植生マットは平
成7年2月17〜18日に製作したものである。使用した種
子は、コナラ、シラカシ、ウバメガシ(以上ドングリ)と
いった大粒種子で、いずれの種子も非常に乾燥に弱いも
のである。棒状植生マットの設置日は平成7年3月28日
である。シラカシ、ウバメガシは岡山県林業試験場内に
植栽されており、コナラは岡山県北部に広く分布してい
る。発芽率及び生存率の結果を表3に示す。
【0025】
【表3】
【0026】発芽率は、常温で1カ月以上保存した棒状
植生マットの場合、コナラ、ウバメガシが60%台、シラ
カシが30%台であった。低温保存で同じく1カ月以上保
存した棒状植生マットの場合では、コナラが80%台、ウ
バメガシが70%台、シラカシが60%台であった。この結
果より、本発明の棒状植生マットでは、常温で保存する
よりも低温で保存した方が発芽率が高い傾向があること
がわかる。特にシラカシではこの傾向が顕著であった。
【0027】平成8年5月末での生存率を調査したとこ
ろ、温室内で棒状植生マットを半分埋め込んだ場合に
は、枯損は全く見られなかった。また、屋外で棒状植生
マットをそのまま土壌面に放置した場合では、ウバメガ
シ、シラカシでは生存率が70%台にまで低下したもの
の、十分に実用に供し得る程度であることが判明した。
なお、この調査結果からみると、実際の緑化作業におい
ては、棒状植生マットを土壌表面に載置するよりも、土
中に埋め込む方法の方がより効果的であると考えられ
る。
【0028】次いで、棒状植生マットの重量減少と発芽
率の関係について調査した。調査結果を図3に示す。シ
ラカシでは棒状植生マット製作時の重量の80%、コナ
ラ、ウバメガシでは同重量の60%以上を保つことによ
り、60%以上の高い発芽率を維持できた。
【0029】さらに、棒状植生マットの保存期間と重量
減少の関係についても調査した。調査結果を図4(a),
(b),(c)に示す。これらの図から明らかなように、コナ
ラ、ウバメガシ及びシラカシの3樹種とも、5℃以下の
低温で保存した方が明らかに水分を保持できることが実
証された。前述の発芽率との関係でみると、シラカシで
は低温で1カ月程度、コナラ、ウバメガシでは低温、常
温いずれの保存方法を選択しても1カ月程度、それぞれ
保存した後においても60%以上の発芽率が期待できるこ
とになる。
【0030】本発明に係る棒状植生マットを、それぞれ
温室内と屋外に設置した場合を樹高(苗高)で比較してみ
ると、表4に示すように、温室内の方が成長が良い傾向
がみられた。ただし、このことは、温室内の場合は鹿沼
土を敷き詰めたベンチ内に棒状植生マット埋め込んだの
で、水はけが良く、根の侵入も容易であるのに対し、屋
外の場合は埋立、転圧した土壌の非常に固い地盤に棒状
植生マットをそのまま放置したので、乾燥しやすく、か
つ根の侵入が難しいという両者の土壌条件の差も影響し
たものと考えられる。
【0031】
【表4】
【0032】屋外に設置した3樹種の棒状植生マットに
ついて、その一部を平成8年8月に掘り起こしてみたと
ころ、根は地際部で曲がっているものの直根は土中に入
っていたことから、棒状植生マットに用いた紙管及び油
紙(いずれも穴あき)は、植生材の素材としては良好であ
ると考えられる。
【0033】なお、以上の結果から、本発明に係る棒状
植生マットでは、常温又は低温保存で1カ月以上は十分
に発芽が期待できることが判明した。また、発芽した種
子の根が土中に入らないように植生マットの下側にシー
トを敷くことにより、一定期間手元で育てて時期に応じ
て緑化施工目的地に供給する方法をとれば、年間を通じ
て植生マットを供給することが可能である。
【0034】最後に、本発明に係る棒状植生マットを用
いた斜面の緑化方法について説明する。緑化試験地は、
岡山県玉野市王子ケ岳の玉野市有林内とした。同地は平
成6年8月11日の大規模火災により被災したが、この被
災跡地の緑化を目的としたものである。試験地の標高は
115〜125m、斜面方位は西向き、傾斜は10〜20゜、谷筋
にある面積200m2の被災地である。試験地の土壌は花崗
岩質で、土壌型Im−β型(粗粒残積性未熟土壌)の肥力
に乏しい土壌である。試験地における棒状植生マットの
配置を図5に示す。
【0035】試験地に棒状植生マットを設置するに当た
り、先の火災により焼死したアカマツ、ウバメガシ、ソ
ヨゴ等の樹木を取り除いた。
【0036】使用した棒状植生マットは平成7年2月17
〜18日にかけて製作したもので、使用種子はコナラ、シ
ラカシ、ウバメガシ(以上ドングリ)の3樹種である。こ
れらの種子自体は非常に乾燥に弱い。
【0037】棒状植生マットは、平成7年3月1日〜2
日にかけて設置した。効果を比較するために、植生マッ
ト表面の油紙の有無、肥料帯設置の有無の4処理に分け
て設置した。棒状植生マットの設置本数は、1樹種につ
いて24本で、1処理につき6本づつである。設置する
際、棒状植生マットの厚み分だけ土中に埋め込み、竹串
(長さ約15cm)でマットの両端を固定した。肥料帯として
使用した肥料は鶏糞である。棒状植生マットに使用した
ものと同じ穴あきの紙管(6mm径の穴を設けたもの)に鶏
糞を約250g詰め、棒状植生マットの山側に隣接して埋
め込み、竹串で固定した。
【0038】鳥類被害を予想して、種子には忌避剤を粉
衣処理しておいた結果、シラカシの一部で食害がみられ
た他は、高い発芽率を記録した。3樹種とも岡山県林業
試験場内での試験結果と同様、発芽率は平均して60%以
上を達成した。なお、油紙、肥料帯の有無による発芽率
の差は顕著には認められなかった。発芽した樹種の生存
率は、平成8年5月末の時点で、3樹種とも80%以上と
高い数値を記録している。発芽率と生存率の結果を表5
に示す。
【0039】
【表5】
【0040】各棒状植生マット内に収容した種子からの
根の伸長具合について調べた結果、植生マットよりさら
に下側の土壌内にまで根が伸びており、樹高成長も良好
で表6に示す結果が得られた。
【0041】
【表6】
【0042】岡山県玉野市王子ケ岳の試験地は、岡山県
林業試験場内に比べ、降水量が少なく、かつ肥力に乏し
い悪地であるが、平成8年6月時点では、林業試験場内
のものと比べても、3樹種とも同等かそれ以上の成長が
みられた。なお、平成8年6月では、いずれの場所の樹
種も前年よりさらに伸長していた。
【0043】この結果から、本発明に係る棒状植生マッ
トは、岡山県南部の土壌条件や水利条件の悪い山地部で
も利用可能であることが判明した。
【0044】
【発明の効果】本発明の棒状植生マットでは、一定の湿
った状態で種子を筒状の植生マット中に保持させること
ができるので、従来は緑化用製品として使用されていな
かった乾燥に弱い種子についても発芽させることが可能
となる。加えて緑化に使用する樹種の選択の幅が広がる
ので、緑化施工地周囲の自然植生に適合した種子を用い
ることが可能となり、修景にあった緑化が可能となる。
【0045】また、植生マットの形状が横長の棒状であ
るという特徴を生かして、斜面に階段工を施工した場合
の水平部分に棒状植生マットを等高線に沿って設置する
ことで、樹種を変えた帯状の緑化を効率的に進めること
ができる。したがって、本発明は、岡山県南部等の瀬戸
内乾燥地のような山火事多発地帯における防火林帯の新
設に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】棒状植生マットの製造工程を示すフローチャー
トである。
【図2】棒状植生マットの配置を示す平面図であり、
(a)は屋外、(b)は温室内である。
【図3】棒状植生マットの重量減少率と発芽率との関係
を示すグラフである。
【図4】棒状植生マットの保存期間と重量減少率との関
係を示すグラフである。
【図5】棒状植生マットの試験地における配置を示す平
面図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 穴あきの微生物分解性筒状体に木本種子
    と土壌の混合物を充填してなる棒状植生マット。
  2. 【請求項2】 穴あきの微生物分解性筒状体に木本種子
    と土壌の混合物を充填したものを、さらに微生物分解性
    シートで被覆してなる棒状植生マット。
  3. 【請求項3】 微生物分解性筒状体が紙管であり、か
    つ、微生物分解性シートが穴あきの油紙である請求項2
    記載の棒状植生マット。
JP27964296A 1996-10-22 1996-10-22 棒状植生マット Pending JPH10117513A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104255110A (zh) * 2014-09-04 2015-01-07 兰州大学 促进紫花苜蓿种子萌发的方法

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