JPH1011591A - 有穴ポリゴンの幾何学的分割方法 - Google Patents

有穴ポリゴンの幾何学的分割方法

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JPH1011591A
JPH1011591A JP16788996A JP16788996A JPH1011591A JP H1011591 A JPH1011591 A JP H1011591A JP 16788996 A JP16788996 A JP 16788996A JP 16788996 A JP16788996 A JP 16788996A JP H1011591 A JPH1011591 A JP H1011591A
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polygon
vertex
vertices
hole
graph
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JP16788996A
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Gen Kumamoto
玄 隈元
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Daikin Industries Ltd
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Daikin Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新たな頂点の設定を行うことなく、かつ簡単
な処理で有穴ポリゴンを複数個の無穴ポリゴンに分割す
る。 【解決手段】 分割対象の有穴ポリゴンの頂点とエッジ
との関係に基づいて単方向グラフを作成し、有穴ポリゴ
ンのアウトラインの1頂点と穴ポリゴンのアウトライン
の1頂点とを連結し、この連結線を双方向グラフとして
設定し、2以上の穴ポリゴンが存在することを条件とし
て、穴ポリゴンのアウトラインの1頂点と他の穴ポリゴ
ンのアウトラインの1頂点とを連結し、この連結線を双
方向グラフとして設定し、次いで、単方向グラフおよび
双方向グラフに沿って閉ループを探索して切り取られる
ポリゴンを決定する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は有穴ポリゴン(内
部に穴ポリゴンを有するポリゴン)の幾何学的分割方法
に関し、さらに詳細にいえば、グラフ理論を適用して有
穴ポリゴンを幾何学的に分割するための新規な方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、コンピュータ・グラフィックス
(以下、CGと略称する)でポリゴン(多角形)をぬり
つぶし描画するに当って、表面に穴があいているポリゴ
ン(有穴ポリゴン)のぬりつぶし描画を行うことはでき
ない。例えば、3次元グラフィックス分野では、実質的
に標準といわれているグラフィックス・ライブラリであ
るGL、OpenGLにおいても、ポリゴン形状の定義
はその外輪郭を司る頂点を与えるだけである。
【0003】他方、一般的なCAD、CGモデリングな
どのアプリケーションでは、有穴ポリゴンを取扱えない
という制限はなく、有穴ポリゴンをも含めて任意のポリ
ゴン形状の処理が可能でなければならない。したがっ
て、有穴ポリゴンが処理できないライブラリ、またはハ
ードウェアでも処理(描画)できるように、与えられた
有穴ポリゴンを無穴ポリゴン(穴ポリゴンを含まないポ
リゴン)群に分割するためのアルゴリズムが必要であ
る。
【0004】このようなアルゴリズムとして、有穴ポリ
ゴンをその頂点毎にスキャンラインで分割して複数個の
台形領域に分割する方法が提案されている{大野義夫:
「ラスター・グラフィックスのソフトウェア(7)多角
形の台形分割」、PIXEL(No.18),pp12
9−133,図形処理情報センター」。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記台形分割法は、穴
ポリゴンの数にほぼ比例して有穴ポリゴンの外輪郭の任
意位置に分割後のポリゴン頂点を定義しなければならな
い。この場合に、有穴ポリゴンをグローシェーディング
のようなスムーズ・シェーディング手法で表示しようと
すれば、分割された台形領域の境界線に沿って輝度の不
連続さが目立つ場合が多く、画質が劣化することにな
る。実際にラジオシティ・レンダリングにおいては、エ
ッジ上の新しい頂点をT頂点と呼び、画質を劣化させる
原因になると指摘している。
【0006】また、エッジ上の新しい頂点を計算する場
合の精度が不十分な場合には、分割処理により生成され
たポリゴン形状が変形するおそれがある。特に3次元パ
ッチどうしの突き合せ部分で奥行き値(z値)と、場合
によってはx値およびカラー値に誤差が生じ、これらの
誤差に起因する穴を生じる場合がある。具体的には、例
えば、z軸方向から見た場合に、図8中(A)に示すよ
うに、誤差に起因する穴が全く生じていない場合であっ
ても、視線をz軸からずらすことによって、図8中
(B)に示すように、誤差に起因する穴が生じてしまう
ことがある。
【0007】さらに、台形分割法は新たな頂点を発生さ
せるので、元のポリゴンの頂点のみに基づいて分割する
場合と比較して、一般的に分割後のポリゴン数が増加
し、後処理で処理すべき幾何データの量が増加すること
になる。さらにまた、台形分割法では、分割後のポリゴ
ンのy方向(スキャンラインと直交する方向)の幅が細
くなる傾向を有しているので、幅が0のポリゴンを生じ
易く、表示の際の画質が劣化してしまう。特に、ラジオ
シティ計算の際に画質劣化の影響を受け易い。
【0008】
【発明の目的】この発明は上記の問題点に鑑みてなされ
たものであり、新たな頂点の設定を行うことなく、かつ
簡単な処理で確実に有穴ポリゴンを無穴ポリゴンに分割
することができる有穴ポリゴンの幾何学的分割方法を提
供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の有穴ポリゴン
の幾何学的分割方法は、分割対象の有穴ポリゴンの頂点
とエッジとの関係に基づいて頂点間の単方向の連結情報
を作成し、有穴ポリゴンのアウトラインの1頂点と穴ポ
リゴンのアウトラインの1頂点とを連結し、この連結線
を頂点間の双方向の連結情報として設定し、2以上の穴
ポリゴンが存在することを条件として、穴ポリゴンのア
ウトラインの1頂点と他の穴ポリゴンのアウトラインの
1頂点とを連結し、この連結線を頂点間の双方向の連結
情報として設定し、次いで、これらの連結情報に沿って
閉ループを探索して切り取られるポリゴンを決定する方
法である。
【0010】請求項2の有穴ポリゴンの幾何学的分割方
法は、切り取られるポリゴンを規定する閉ループが探索
できなかったことに応答して、有穴ポリゴンのアウトラ
インの他の1頂点と穴ポリゴンのアウトラインの他の1
頂点とを連結して、この連結線を頂点間の双方向の連結
情報として設定し、2以上の穴ポリゴンが存在すること
を条件として、穴ポリゴンのアウトラインの他の1頂点
と他の穴ポリゴンのアウトラインの他の1頂点とを連結
して、この連結線を頂点間の双方向の連結情報として設
定する方法である。
【0011】請求項3の有穴ポリゴンの幾何学的分割方
法は、前記全ての連結情報に基づいて連結情報を表す行
列を作成し、この行列をたどることにより切り取られる
ポリゴンを決定する方法である。
【0012】
【作用】請求項1の有穴ポリゴンの幾何学的分割方法で
あれば、分割対象の有穴ポリゴンの頂点とエッジとの関
係に基づいて頂点間の単方向の連結情報を作成し、有穴
ポリゴンのアウトラインの1頂点と穴ポリゴンのアウト
ラインの1頂点とを連結し、この連結線を頂点間の双方
向の連結情報として設定し、2以上の穴ポリゴンが存在
することを条件として、穴ポリゴンのアウトラインの1
頂点と他の穴ポリゴンのアウトラインの1頂点とを連結
し、この連結線を頂点間の双方向の連結情報として設定
し、次いで、これらの連結情報に沿って閉ループを探索
して切り取られるポリゴンを決定するのであるから、頂
点間の単方向の連結情報と頂点間の双方向の連結情報と
を簡単に作成することができ、しかも、これらの連結情
報を作成した後は、これらの連結情報に沿って閉ループ
を探索することにより簡単に、切り取られる無穴ポリゴ
ンを得ることができる。もちろん、新たな頂点を全く発
生させることなく、有穴ポリゴンの分割を達成すること
ができる。
【0013】請求項2の有穴ポリゴンの幾何学的分割方
法であれば、切り取られるポリゴンを規定する閉ループ
が探索できなかったことに応答して、有穴ポリゴンのア
ウトラインの他の1頂点と穴ポリゴンのアウトラインの
他の1頂点とを連結して、この連結線を頂点間の双方向
の連結情報として設定し、2以上の穴ポリゴンが存在す
ることを条件として、穴ポリゴンのアウトラインの他の
1頂点と他の穴ポリゴンのアウトラインの他の1頂点と
を連結して、この連結線を頂点間の双方向の連結情報と
して設定するのであるから、請求項1の方法によっては
分割することができなかった有穴ポリゴンをも無穴ポリ
ゴンに分割することができる。
【0014】請求項3の有穴ポリゴンの幾何学的分割方
法であれば、前記全ての連結情報に基づいて連結情報を
表す行列を作成し、この行列をたどることにより切り取
られるポリゴンを決定するのであるから、頂点間の単方
向の連結情報および頂点間の双方向の連結情報を効率よ
く保持することができ、ひいては有穴ポリゴンの分割を
効率よく達成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、添付図面によってこの発明
の実施の態様を詳細に説明する。図1はこの発明の有穴
ポリゴンの幾何学的分割方法の一実施態様を説明する図
である。なお、以下においては、グラフ理論(篠田庄司
他、「演習グラフ理論」、オーム社、参照)で採用され
ている有向グラフ(directed graph)を
例にとって説明する。この有向グラフには、後述する単
方向グラフと双方向グラフが含まれる。
【0016】図1中(A)に示すような有穴ポリゴンが
与えられた場合に、有穴ポリゴンの外輪郭の頂点および
内輪郭の頂点に基づいて、図1中(B)に矢印で示すよ
うに単方向グラフ(頂点間の単方向の連結情報)を作成
する。なお、有穴ポリゴンの外輪郭と内輪郭とは、例え
ば、外輪郭の頂点を時計回り方向に設定し、内輪郭の頂
点を反時計回り方向に設定することにより区分すること
ができる。また、外輪郭の頂点と内輪郭の頂点との区
分、内輪郭の頂点と他の内輪郭の頂点との区分は、例え
ば、ループを構成する頂点接続データどうしの間に区分
を明示するデータ(例えば、頂点番号として使用されな
い値である“−1”)を介在させることにより達成され
る。
【0017】したがって、図1中(B)においては、0
−1−2−3が外輪郭を示す頂点接続データであり、4
−5−6−7、8−9−10−11、12−13−14
−15、16−17−18−19−20がそれぞれ内輪
郭を示す頂点接続データである。次いで、図1中(C)
に示すように、外輪郭の頂点と内輪郭の何れかの頂点と
を連結する連結線を双方向グラフ(頂点間の双方向の連
結情報)として設定する。なお、図1中(C)において
は、外輪郭の頂点の数が4であり、内輪郭の数が4であ
るから、外輪郭の各頂点が、それぞれ互いに異なる内輪
郭の何れかの頂点と双方向グラフを介して連結されてい
る。ただし、1つの頂点から2以上の双方向グラフが設
定されないようにする必要があるので、外輪郭の頂点の
数と内輪郭の数とが異なる場合には、外輪郭と内輪郭と
の間の双方向グラフが設定されない頂点または内輪郭が
生じることになる。また、内輪郭からは2本以上の双方
向グラフが設定される必要がある。前記のように設定さ
れる双方向グラフは外輪郭、内輪郭の何れのエッジ(頂
点どうしの間の輪郭線)とも交差しないように設定する
ことが必要である。もちろん、他の双方向グラフとも交
差しないように設定することが必要である。さらに、最
も距離が短い外輪郭の頂点と内輪郭の頂点とを連結する
ことが好ましい。
【0018】その後、図1中(D)に示すように、内輪
郭の何れかの頂点と、他の内輪郭の何れかの頂点とを連
結する連結線を双方向グラフとして設定する。ここで設
定される双方向グラフの数は、後述する特殊の場合を除
いて、内輪郭の数よりも1だけ少ない数である。なお、
この双方向グラフを設定するに当っての制約条件は、図
1中(C)における双方向グラフの制約条件と同じであ
る。
【0019】なお、以上の処理を行った場合に、他の内
輪郭と連結されなかった内輪郭が存在する場合には、該
当する内輪郭を、外輪郭の頂点のうち、内輪郭と連結さ
れていない頂点と連結し、この連結線を双方向グラフに
設定する。図2は、以上のように設定された単方向グラ
フおよび双方向グラフに基づいて作成された隣接行列
(連結情報を表す行列、adjacency matr
ix)である。なお、この隣接行列において、“1”は
単方向グラフを、“2”は外輪郭と内輪郭とを連結する
双方向グラフを、“3”は内輪郭どうしを連結する双方
向グラフをそれぞれ示している。ただし、外輪郭と内輪
郭とを連結する双方向グラフと、内輪郭どうしを連結す
る双方向グラフとは、特別に区別していなくてもよい。
【0020】その後、図1中(E)に示すように、任意
の頂点を始点として、単方向グラフおよび双方向グラフ
に沿って閉ループを探索し、閉ループが得られた場合
に、該当する閉ループを外輪郭とする無穴ポリゴンを切
り取りポリゴンとする。なお、この場合に、何れかの頂
点において単方向グラフと双方向グラフとが存在してい
る場合には、必ず双方向グラフの方に進むことが必要で
ある。
【0021】このようにして決定された切り取りポリゴ
ンをそれぞれ切り取ることにより、図1中(F)に示す
ように、元の有穴ポリゴンを複数個の無穴ポリゴンに分
割することができる。ただし、有穴ポリゴンが1つの穴
ポリゴンのみを含んでいる場合には、外輪郭の頂点と内
輪郭の頂点とを2カ所で連結すればよい。したがって、
このような場合について、穴ポリゴンの数を最初に判定
し、1つの穴ポリゴンのみを含むと判定された場合に
は、上記の処理を行えばよい。
【0022】また、エッジや既に設定された連結線と、
新たに形成しようとしている連結線とが交差しないよう
にするために、2線分の交差判定を行う。通常は、これ
に先立ってmin−maxテストを行う。このmin−
maxテストは全エッジ単位で行えば確実であるが、処
理時間の効率化を考慮する場合には、内輪郭包括ポリゴ
ン座標の最大値、最小値で判定すればよい。
【0023】前記交差判定では、2ベクトルのスカラー
3重積を計算するが、山口富士夫:「コンピュータディ
スプレイにおける形状処理工学」、p227−228、
日刊工業新聞社によれば、交差の条件は、内積値S1,
S2が、S1≦0かつS2≦0である。ところが、この
判定基準では、連結対象となる2つの内輪郭のエッジ
と、内輪郭どうしを連結する連結線とが同じ直線を構成
するような場合に、内積値S1,S2が共に0になって
しまい、交差していると判定されてしまうので、連結線
を設定することができなくなってしまう。このような不
都合を解消するためには、交差判定条件をS1<0かつ
S2<0とすればよい。ただし、この場合には、前記エ
ッジを含む連結線も許容されることになるので、外積計
算後に、全ての成分が0の場合に、2線分に重複してい
る部分がある場合には連結線を設定しないという判定を
行うようにすればよい。
【0024】図3は上述の処理では分割することができ
ない有穴ポリゴンの一例を示す図である。この有穴ポリ
ゴンは、中央部に方形の第1の穴ポリゴンを有している
とともに、この穴ポリゴンのほぼ全周を包囲する第2の
穴ポリゴンを有している。この場合には、図から明らか
なように、外輪郭の1頂点と第1の穴ポリゴンを規定す
る内輪郭の1頂点とを連結する連結線は、第2の穴ポリ
ゴンを規定する内輪郭の何れかのエッジと交差するの
で、このような連結線を形成することが不可能である。
【0025】したがって、図3中(A)に示すように、
外輪郭の1頂点と第2の穴ポリゴンを規定する内輪郭の
1頂点とを連結する連結線を形成し、その後、両内輪郭
の1頂点どうしを連結する連結線を形成することによ
り、単方向グラフおよび双方向グラフの設定を完了する
ことになる。しかし、この状態においては、有向ポリゴ
ンを分割することはできない。
【0026】そこで、このような場合には、図3中
(B)に示すように、外輪郭の他の1頂点と第2の穴ポ
リゴンを規定する内輪郭の他の1頂点とを連結する連結
線を形成し、その後、両内輪郭の他の1頂点どうしを連
結する連結線を形成する。このように連結線を追加的に
形成すれば、単方向グラフおよび双方向グラフに基づい
て複数個(図3の場合には3個)の無穴ポリゴンに分割
することができる。 なお、図3よりも複雑な有穴ポリ
ゴンが分割対象になった場合には、連結線を追加的に形
成する処理を、有穴ポリゴンが確実に無穴ポリゴンに分
割できるようになるまで反復すればよい。
【0027】次いで、図4に示す有穴ポリゴンを例にと
って隣接行列の作成手順を説明する。図4に示す有穴ポ
リゴンの外輪郭の3つの頂点8,9,10が反時計回り
方向に与えられ、穴ポリゴンを規定する内輪郭の3つの
頂点11,12,13が時計回り方向に与えられてい
る。
【0028】この状態において、先ず、総頂点数と頂点
番号のオフセット値を記憶する。図4の有穴ポリゴンの
場合には、総頂点数(最大頂点番号−オフセット値)が
6、オフセット値が8である。そして、総頂点数×総頂
点数のサイズの2次元配列分のメモリを確保し{図5中
(A)参照}、全配列要素を“0”に初期化しておく
{図5中(B)参照}。
【0029】次いで、全頂点番号からオフセット値を減
算し、単方向グラフの方向に沿って頂点を順に移動す
る。したがって、図4の有穴ポリゴンの場合には、8−
9−10−(−1)−11−12−13であったのが、
0−1−2−(−1)−3−4−5になる。そして、頂
点の移動と同時に、現在いる頂点番号の行の、次に到達
する頂点番号の列の行列要素に“1”を格納する。外輪
郭の頂点群に沿って一周した後は、内輪郭の頂点群に沿
って一周する。外輪郭の頂点群に沿って一周した状態の
隣接行列は図5中(C)に示すとおりになり、内輪郭の
頂点群に沿って一周した状態の隣接行列は図5中(D)
に示すとおりになる。
【0030】その後、措置輪郭の頂点と内輪郭の頂点と
を連結する連結線についても同様に、頂点の移動と同時
に現在いる頂点番号の行の、次に到達する頂点番号の列
の行列要素に“2”を格納する。もちろん、有穴ポリゴ
ンの分割処理が終了した後は、オフセット値を加算する
ことにより正しい頂点番号に戻すことが必要である。
【0031】ただし、各頂点番号に1対1に対応する連
番のルックアップテーブルへ、各頂点番号を予め対応付
けさせておくことが可能であり、この場合には、オフセ
ット計算を行う代わりにルックアップテーブルを参照す
るだけでよいから、総頂点数の算出、頂点番号の変更お
よび復元などが不要になり、処理を簡単化することがで
きる。また、この場合には、与えられた頂点番号が連番
でない場合であっても、二次元配列分のメモリ容量を必
要最小限にすることができる。
【0032】図6は有穴ポリゴンの分割のさらに他の具
体例を示す図、図7は図6に対応する隣接行列を示す図
である。なお、隣接行列の“0”が与えられる行列要素
は簡単化のために空白で示してある。この有穴ポリゴン
は、図6中(A)で示すように、方形の外輪郭と、方形
の第1の内輪郭および三角形の第2の内輪郭とを有して
いる。そして、外輪郭の4つの頂点が反時計回り方向に
0−1−2−3で与えられ、第1の内輪郭の4つの頂点
が時計回り方向に4−5−6−7で与えられ、第2の内
輪郭の3つの頂点が時計回り方向に8−9−10で与え
られている。したがって、この有穴ポリゴンの外輪郭、
第1の内輪郭、第2の内輪郭に基づいて隣接行列が図7
中(A)に示すように得られる。
【0033】次いで、外輪郭の頂点と第1、第2の内輪
郭の頂点とを、図6中(B)に示すように、連結線で連
結する(具体的には、外輪郭の頂点0と第1の内輪郭の
頂点7とを連結し、外輪郭の頂点2と第2の内輪郭の頂
点9とを連結する)。そして、この連結線は双方向グラ
フに設定されるのであるから、図7中(B)に示すよう
に、双方向グラフに対応する行列要素に“2”を格納す
る。
【0034】その後、両内輪郭の頂点どうしを、図6中
(C)に示すように、連結線で連結する(具体的には、
第1の内輪郭の頂点5と第2の内輪郭の頂点8とを連結
する)。そして、この連結線は双方向グラフに設定され
るのであるから、図7中(C)に示すように、この双方
向グラフに対応する行列要素に“2”を格納する。以上
の処理を行うことにより、有穴ポリゴンを分割するため
の隣接行列が完成する。
【0035】その後は、任意の頂点からスタートして、
隣接行列をたどることにより、分割される無穴ポリゴン
を得ることができる。ただし、隣接行列をたどるに当っ
て、単方向グラフの方向に分割ポリゴンを構築していく
のであるが、単方向グラフと双方向グラフとが存在して
いる場合には、必ず双方向グラフの方に進み、直前にた
どったエッジが双方向グラフである場合には単方向グラ
フの方に進み、スタート頂点に戻った時点で分割ポリゴ
ンの構築を終了する。また、単方向グラフをたどった場
合には、該当する行列要素を“0”に変更する。
【0036】具体的には、図7中(D)に示すように、
頂点0をスタート頂点として選択した場合には、双方向
グラフをたどって頂点7に至り、単方向グラフをたどっ
て頂点4,5に至り、双方向グラフをたどって頂点8に
至り、単方向グラフをたどって頂点9に至り、双方向グ
ラフをたどって頂点2に至り、単方向グラフをたどって
頂点3,0に至る。
【0037】この結果、図6中(D)で示すように、0
−7−4−5−8−9−2−3で与えられる無穴ポリゴ
ンが分割ポリゴンとして得られる。その後は、隣接行列
内に要素がある頂点(例えば、要素が“1”である頂
点)から開始して同様の処理を行う。具体的には、図7
中(E)に示すように、頂点1をスタート頂点として選
択した場合には、単方向グラフをたどって頂点2に至
り、双方向グラフをたどって頂点9に至り、単方向グラ
フをたどって頂点10,8に至り、双方向グラフをたど
って頂点5に至り、単方向グラフをたどって頂点6,7
に至り、双方向グラフをたどって頂点0に至り、単方向
グラフをたどって頂点1に至る。
【0038】この結果、図6中(E)に示すように、1
−2−9−10−8−5−6−7−0で与えられる無穴
ポリゴンが分割ポリゴンとして得られる。以上から明ら
かなように、もともと与えられている輪郭のエッジを単
方向グラフに設定し、外輪郭と内輪郭、内輪郭どうしを
連結する連結線を双方向グラフに設定しておき、その後
は、単方向グラフ、双方向グラフをだとるだけで、簡単
に、かつ確実に分割ポリゴンとしての無穴ポリゴンを得
ることができる。また、以上の一連の処理を行うに当っ
て、新たな頂点は全く発生させる必要がないので、新た
な頂点の発生に伴なう画質の劣化などを未然に防止する
ことができる。
【0039】
【発明の効果】請求項1の発明は、頂点間の単方向の連
結情報と頂点間の双方向の連結情報とを簡単に作成する
ことができ、しかも、頂点間の単方向の連結情報および
頂点間の双方向の連結情報を作成した後は、これらの連
結情報に沿って閉ループを探索することにより簡単に、
かつ新たな頂点を発生させることなく、切り取られる無
穴ポリゴンを得ることができるという特有の交換を奏す
る。
【0040】請求項2の発明は、請求項1の方法によっ
ては分割することができなかった有穴ポリゴンをも無穴
ポリゴンに分割することができるという特有の効果を奏
する。請求項3の発明は、頂点間の単方向の連結情報お
よび頂点間の双方向の連結情報を効率よく保持すること
ができ、ひいては有穴ポリゴンの分割を効率よく達成す
ることができるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の有穴ポリゴンの幾何学的分割方法の
一実施態様を説明する図である。
【図2】図1の有穴ポリゴンに基づいて設定された単方
向グラフおよび双方向グラフに基づいて作成された隣接
行列を示す図である。
【図3】図1の処理では分割することができない有穴ポ
リゴンの一例を示す図である。
【図4】有穴ポリゴンの他の例を示す図である。
【図5】図4の有穴ポリゴンに基づいて隣接行列を作成
する処理を説明する図である。
【図6】有穴ポリゴンの分割のさらに他の具体例を示す
図である。
【図7】図6の有穴ポリゴンの分割に対応する隣接行列
の変化を示す図である。
【図8】従来の台形分割法の不都合を説明する図であ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分割対象の有穴ポリゴンの頂点とエッジ
    との関係に基づいて頂点間の単方向の連結情報を作成
    し、有穴ポリゴンのアウトラインの1頂点と穴ポリゴン
    のアウトラインの1頂点とを連結し、この連結線を頂点
    間の双方向の連結情報として設定し、2以上の穴ポリゴ
    ンが存在することを条件として、穴ポリゴンのアウトラ
    インの1頂点と他の穴ポリゴンのアウトラインの1頂点
    とを連結し、この連結線を頂点間の双方向の連結情報と
    して設定し、次いで、これらの連結情報に沿って閉ルー
    プを探索して切り取られるポリゴンを決定することを特
    徴とする有穴ポリゴンの幾何学的分割方法。
  2. 【請求項2】 切り取られるポリゴンを規定する閉ルー
    プが探索できなかったことに応答して、有穴ポリゴンの
    アウトラインの他の1頂点と穴ポリゴンのアウトライン
    の他の1頂点とを連結して、この連結線を頂点間の双方
    向の連結情報として設定し、2以上の穴ポリゴンが存在
    することを条件として、穴ポリゴンのアウトラインの他
    の1頂点と他の穴ポリゴンのアウトラインの他の1頂点
    とを連結して、この連結線を頂点間の双方向の連結情報
    として設定する請求項1に記載の有穴ポリゴンの幾何学
    的分割方法。
  3. 【請求項3】 前記全ての連結情報に基づいて連結情報
    を表す行列を作成し、この行列をたどることにより切り
    取られるポリゴンを決定する請求項1または請求項2に
    記載の有穴ポリゴンの幾何学的分割方法。
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