JPH10114797A - ヒト血清アルブミン結合型ホモシステインの検出法 - Google Patents

ヒト血清アルブミン結合型ホモシステインの検出法

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JPH10114797A
JPH10114797A JP26892496A JP26892496A JPH10114797A JP H10114797 A JPH10114797 A JP H10114797A JP 26892496 A JP26892496 A JP 26892496A JP 26892496 A JP26892496 A JP 26892496A JP H10114797 A JPH10114797 A JP H10114797A
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JP
Japan
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serum albumin
human serum
peptide
homocysteine
amino acid
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JP26892496A
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Hiroshi Okamoto
浩 岡本
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Chugai Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動脈硬化症の診断に有用なホモシステインの
簡便な検出法、並びに該検出法に用いる抗体を生産する
ためのペプチド及び免疫原を提供する。 【解決手段】 ヒト血清アルブミンの34番目のシステイ
ン残基を含む3以上の連続的なアミノ酸残基からなるア
ミノ酸配列を含むペプチドの該システイン残基と、ホモ
システインとがジスルフィド結合してなるペプチド、該
ペプチドからなる免疫原、及び該ペプチドを特異的に認
識する物質を用いるヒト血清アルブミン結合型ホモシス
テインの検出法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト血清アルブミ
ン結合型ホモシステインのバインディングアッセイによ
る検出法、並びに該検出法に用いる抗体を生産するため
のペプチド及び免疫原に関する。
【0002】
【従来の技術】分子量135 の天然アミノ酸であるホモシ
ステインは、既に知られている種々の危険因子(喫煙、
血圧、血糖、コレステロール等)とは相関しない独立し
た動脈硬化症の危険因子と考えられ、その血漿濃度測定
の臨床的意義が数多く示されてきた[JAMA,274, 1049 (1
995)]。ホモシステインの測定法としては現在高速液体
クロマトグラフィー(以下「HPLC法」という。)が主流
であるが、煩雑で処理能力も低い。また最近では免疫学
的方法も登場している[Clin. Chem., 41, 991 (1995)]
が、これはホモシステインを直接認識する抗体を用いる
のではなく、ホモシステインを還元後、酵素反応により
一度S−アデノシルホモシステインに変換し、該変換物
に対する抗体を用いて元のホモシステインを間接的に定
量することを特徴としている。
【0003】従って、反応ステップは複雑にならざるを
得ない。ホモシステインを直接認識する抗体を用いれ
ば、より簡便な測定系が組めると考えられるが、ホモシ
ステインは分子量が小さく、生体内でありふれた分子で
あり、またヒト血漿中には、システインやメチオニン等
のホモシステインと類似した分子が多量(それぞれホモ
システイン濃度の約25倍、約3倍)に存在しているの
で、従来通りのモノクローナル抗体作製法では、特異性
に優れた抗体を取得することは困難と考えられ、成功し
た例は未だ知られていない。
【0004】また現在のホモシステイン測定法の多くは
ホモシステインを血漿総ホモシステインとしてとらえて
いるが、その血漿総ホモシステインの大部分(70%程
度)は蛋白質結合型として存在し、加えてその蛋白質は
主に血清アルブミンであることが明らかになっている[C
lin. Chem., 31, 624 (1985)] 。更に、ヒト血清アルブ
ミンには1分子当たり35個のシステイン残基が存在し、
1個(34番目)を除き17対のジスルフィド結合で架橋し
ていることも知られている[J. Biol. Chem.,261,6747
(1986)]。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、動脈硬化症
の診断に有用なホモシステインの簡便な検出法、並びに
該検出法に用いる抗体を生産するためのペプチド及び免
疫原を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の発明を
包含する。 (1)ヒト血清アルブミンの34番目のシステイン残基を
含む3以上の連続的なアミノ酸残基からなるアミノ酸配
列を含むペプチドの該システイン残基と、ホモシステイ
ンとがジスルフィド結合してなるペプチド。 (2)ヒト血清アルブミンの34番目のシステイン残基を
含む3以上の連続的なアミノ酸残基からなるアミノ酸配
列を含むペプチドがヒト血清アルブミンである前記
(1)に記載のペプチド。
【0007】(3)ヒト血清アルブミンの34番目のシス
テイン残基を含む3以上の連続的なアミノ酸残基からな
るアミノ酸配列を含むペプチドが、ヒト血清アルブミン
の部分ペプチドである前記(1)に記載のペプチド。 (4)ヒト血清アルブミンの34番目のシステイン残基を
含む3以上の連続的なアミノ酸残基からなるアミノ酸配
列を含むペプチドが、ヒト血清アルブミンの部分アミノ
酸配列とヒト血清アルブミンに存在しないアミノ酸配列
とを含むペプチドである前記(1)に記載のペプチド。
【0008】(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記
載のペプチドからなる免疫原。 (6)ヒト血清アルブミンの34番目のシステイン残基を
含む3以上の連続的なアミノ酸残基からなるアミノ酸配
列を含むペプチドの該システイン残基と、ホモシステイ
ンとがジスルフィド結合してなるペプチドを特異的に認
識する物質を用いることを特徴とするヒト血清アルブミ
ン結合型ホモシステインの検出法。 (7)ヒト血清アルブミンの34番目のシステイン残基を
含む3以上の連続的なアミノ酸残基からなるアミノ酸配
列を含むペプチドの該システイン残基と、ホモシステイ
ンとがジスルフィド結合してなるペプチドを特異的に認
識する物質が抗体又はオリゴヌクレオチドリガンドであ
る前記(6)に記載の検出法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のペプチドは、ヒト血清ア
ルブミンの34番目のシステイン残基を含む3以上の連続
的なアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含むペプチド
の該システイン残基と、ホモシステインとがジスルフィ
ド結合してなるものであり、ヒト血清アルブミン結合型
ホモシステインとしての抗原性を有し、ヒト血清アルブ
ミン結合型ホモシステインに対する抗体と特異的に結合
することができ、よって、ヒト血清アルブミン結合型ホ
モシステインを特異的に認識する抗体の決定に役立ち、
ヒト血清アルブミン結合型ホモシステインを特異的に認
識する抗体を産生するための免疫原として、またヒト血
清アルブミン結合型ホモシステインを免疫学的検出法に
より測定する時の標準物質として、そしてヒト血清アル
ブミン結合型ホモシステインを特異的に認識する抗体を
アフィニティークロマトグラフィーにより精製する場合
のリガンドとして用いる等有用なものである。
【0010】ヒト血清アルブミンのアミノ酸配列を含む
アミノ酸配列を配列表に配列番号1として示す。配列番
号1において、アミノ酸番号25以降がヒト血清アルブミ
ンの成熟蛋白質のアミノ酸配列に相当し、アミノ酸番号
58のCがヒト血清アルブミンの34番目のシステイン残基
に相当する。抗体は、3個のアミノ酸からなるアミノ酸
配列を認識できるといわれており[F. Hudecz et al.,
J. Immunol. Methods, 147, 201-210(1992)]、本発明の
ペプチドにおいて、ホモシステインとジスルフィド結合
するペプチドも、ヒト血清アルブミンの34番目のシステ
イン残基を含む3以上の連続的なアミノ酸残基からなる
アミノ酸配列を含むものであれば、構成アミノ酸の数は
特に限定されず、オリゴペプチド、ポリペプチド、蛋白
質のいずれでもよいが、構成アミノ酸の数が5〜25であ
るものが好ましい。
【0011】本発明において、ヒト血清アルブミンの34
番目のシステイン残基を含む3以上の連続的なアミノ酸
残基からなるアミノ酸配列を含むペプチドとは、ヒト血
清アルブミンの34番目のシステイン残基を含む3以上の
連続的なアミノ酸残基からなるヒト血清アルブミンに存
在するアミノ酸配列からなるペプチドに加えて、そのペ
プチドのN末端側もしくはC末端側、又はN末端側とC
末端側の両方に更にアミノ酸又はペプチドが結合したも
のも含むということを意味する。ここで、結合するアミ
ノ酸又はペプチドは、本発明のペプチドの免疫原性に悪
影響を与えないものであれば特に制限はない。
【0012】また、本発明のペプチドにおいて、ホモシ
ステインとジスルフィド結合するペプチドは、該ペプチ
ドをマルチプル・アンチゲン・ペプチド(Multiple Anti
genPeptide)化したもの、即ちリジンのα及びεアミノ
基を利用してペプチドを枝分かれさせ、高分子化したも
の[Proc. Natl. Acad. Sci. USA,85, 5409(1988)]を用
いることもできる。
【0013】前記ホモシステインとジスルフィド結合す
るペプチドは、液相法及び固相法等のペプチド合成の方
法により合成することができ、またペプチド自動合成装
置を用いてもよく、日本生化学会編「生化学実験講座1
タンパク質の化学IV」,東京化学同人,1975
年、泉屋ら「ペプチド合成の基礎と実験」,丸善,19
85年、日本生化学会編「続生化学実験講座2 タンパ
ク質の化学 下」,東京化学同人,1987年等に記載
された方法に従い合成することができる。
【0014】そして、これらのペプチドは対応する配列
を持つDNAより組換えDNA技術を用いて調製しても
よく、日本生化学会編「続生化学実験講座1 遺伝子研
究法I」,東京化学同人,1986年、日本生化学会編
「続生化学実験講座1 遺伝子研究法II」,東京化学同
人,1986年、日本生化学会編「続生化学実験講座1
遺伝子研究法III 」,東京化学同人,1987年等を
参照して調製を行えばよい。また、本発明のペプチドに
おいて、ホモシステインとジスルフィド結合するペプチ
ドのうちには、例えばシグマ(SIGMA) 社から市販されて
いるものもあり、これらを用いることもできる。
【0015】本発明のペプチドは、例えば、前記ペプチ
ド、及びホモシスチン、好ましくはL−ホモシスチンを
還元剤、例えば水素化ホウ素ナトリウムの存在下で一度
還元(ジスルフィド結合を切断)した後、酸化剤、例え
ば塩化鉄(III) の添加や、あるいはpHの調整等により、
システイン/ホモシステイン間のジスルフィド結合の形
成を促進させることにより得ることができる。本発明の
ペプチドを免疫原として用いる場合、該ペプチドそのも
のを抗体産生用免疫原として動物に免疫してもよいし、
該ペプチドと担体(キャリア)を結合させたものを抗体
産生用免疫原として動物に免疫してもよい。
【0016】なお、免疫原が低分子物質の場合には、担
体と結合したものを免疫するのが一般的であるものの、
アミノ酸数5のペプチドを免疫原としてこれに対する特
異抗体を産生させたとの報告(木山ら「日本薬学会第1
12年会講演要旨集3」,1992年、122頁)もあ
るので、担体を使用することは必須ではない。担体を使
用する場合には、スカシガイのヘモシアニン(KL
H)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブ
ミン、ニワトリ血清アルブミン、ポリリジン、ポリアラ
ニルリジン、ジパルミチルリジン、破傷風トキソイド又
は多糖類等の担体として公知なものを用いることができ
る。
【0017】そして、前記ペプチドと担体の結合法は、
グルタルアルデヒド法、1−エチル−3−(3−ジメチ
ルアミノプロピル)カルボジイミド法、マレイミドベン
ゾイル−N−ヒドロキシサクシニミドエステル法、N−
サクシミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン
酸法、ビスジアゾ化ベンジジン法又はジパルミチルリジ
ン法等の公知の結合法を用いることができる。また、ニ
トロセルロース粒子、ポリビニルピロリドン又はリポソ
ーム等の担体に前記のペプチドを吸着させたものを抗体
産生用免疫原とすることもできる。
【0018】ポリクローナル抗体は、前記免疫原を動物
に免疫することにより得ることができる。このポリクロ
ーナル抗体は、ポリクローナル抗体そのもの、又はポリ
クローナル抗体よりなる抗血清のいずれのタイプのもの
でもよく、またこれらの抗体のフラグメント(Fab、F
(ab')2、Fab' 等)も含むものである。ポリクローナル
抗体及び抗血清は以下の操作により調製することができ
る。
【0019】まず、前記抗体産生用免疫原(担体は使用
してもよいし、使用しなくてもよい)を哺乳動物(マウ
ス、ウサギ、ラット、ヒツジ、ヤギ、ウマ等)又は鳥類
(ニワトリ等)に免疫する。抗体産生用免疫原の免疫量
は免疫動物の種類、免疫注射部位等により適宜決められ
るものであるが、例えば、マウスの場合には約5〜10
週齢のマウス1匹当たり1回につき0.1μg〜5m
g、好ましくは50μg〜1mgの前記抗体産生用免疫
原を免疫注射する。また、ウサギの場合はウサギ1匹当
たり1回につき10μg〜数十mgの前記抗体産生用免
疫原を免疫注射するのが好ましい。
【0020】なお、抗体産生用免疫原はアジュバントを
添加混合して免疫注射をすることが好ましい。アジュバ
ントとしては、フロイント完全アジュバント、フロイン
ト不完全アジュバント、水酸化アルミニウムアジュバン
ト又は百日咳菌アジュバント等の公知なものを用いるこ
とができる。免疫注射は、皮下、静脈内、腹腔内又は背
部等の部位に行えばよい。初回免疫後、2〜3週間間隔
で皮下、静脈内、腹腔内又は背部等の部位に抗体産生用
免疫原を追加免疫注射する。この場合も抗体産生用免疫
原はアジュバントを添加混合して追加免疫注射をするこ
とが好ましい。
【0021】初回免疫の後、免疫動物の血清中の抗体価
の測定をELISA法等により繰り返し行い、抗体価が
プラトーに達したら全採血を行い、血清を分離して抗血
清を得る。この抗血清を、硫酸アンモニウム、硫酸ナト
リウム等による塩析法、イオン交換クロマトグラフィ
ー、ゲル濾過法、又はアフィニティークロマトグラフィ
ー等の方法、あるいはこれらの方法を組み合わせて抗体
の精製を行い、ポリクローナル抗体を得ることができ
る。
【0022】次に、モノクローナル抗体の調製法につい
て以下説明を行う。モノクローナル抗体は、ケラーらの
細胞融合法[G. Koehler et al., Nature,256, 495-497
(1975)]によるハイブリドーマ、又はエプスタン−バー
ウイルス等のウイルスによる腫瘍化細胞等の抗体産生細
胞により得ることができる。細胞融合法によるモノクロ
ーナル抗体の調製は、以下の操作により行うことができ
る。
【0023】まず、前記抗体産生用免疫原を哺乳動物
(マウス、ヌードマウス、ラット等、例えば近交系マウ
スのBALB/c)又は鳥類(ニワトリ等)に免疫す
る。抗体産生用免疫原の免疫量は、免疫動物の種類、免
疫注射部位等により適宜決められるものであるが、例え
ば、マウスの場合には1匹当たり1回につき0.1μg
〜5mgの前記抗体産生用免疫原を免疫注射するのが好
ましい。なお、抗体産生用免疫原はアジュバントを添加
混合して免疫注射をすることが好ましい。アジュバント
としては、完全フロイントアジュバント、不完全フロイ
ントアジュバント、水酸化アルミニウムアジュバント又
は百日咳菌アジュバント等の公知なものを用いることが
できる。
【0024】免疫注射は、皮下、静脈内、腹腔内又は背
部等の部位に行えばよい。初回免疫後、1〜3週間間隔
で皮下、静脈内、腹腔内又は背部等の部位に抗体産生用
免疫原を追加免疫注射する。この追加免疫注射の回数と
しては2〜6回が一般的である。この場合も抗体産生用
免疫原はアジュバントを添加混合して追加免疫注射をす
ることが好ましい。
【0025】初回免疫の後、免疫動物の血清中の抗体価
の測定をELISA法等により繰り返し行い、抗体産生
用免疫原を生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶
液)に溶解したものを静脈内又は腹腔内に注射し、最終
免疫とする。この最終免疫の3〜5日後に、免疫動物の
脾細胞、リンパ節細胞又は末梢リンパ球等の抗体産生能
を有する細胞を取得する。
【0026】この免疫動物より得られた抗体産生能を有
する細胞と哺乳動物(マウス、ヌードマウス、ラット
等)のミエローマ細胞とを細胞融合させるが、ミエロー
マ細胞としてはヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボ
シル・トランスフェラーゼ(HGPRT)又はチミジン
キナーゼ(TK)等の酵素を欠損した細胞株のものが好
ましく、例えば、BALB/cマウス由来のHGPRT
欠損細胞株である、P3−X63−Ag8株(ATCC
TIB9)、P3−X63−Ag8−U1株(癌研究
リサーチソースバンク(JCRB)9085)、P3・
NS−1/1・Ag4.1株(JCRB 0009)、
P3−X63−Ag8・653株(JCRB 002
8)又はSP2/O−Ag−14株(JCRB 002
9)などを用いることができる。
【0027】細胞融合は、各種分子量のポリエチレング
リコール(PEG)、リポソーム又はセンダイウイルス
(HVJ)等の融合促進剤を用いて行うか、又は電気融
合法により行うことができる。ミエローマ細胞がHGP
RT欠損株又はTK欠損株のものである場合には、ヒポ
キサンチン・アミノプテリン・チミジンを含む選別用培
地(HAT培地)を用いることにより、抗体産生能を有
する細胞とミエローマ細胞のハイブリドーマのみを選択
的に培養し、増殖させることができる。
【0028】このようにして得られたハイブリドーマの
培養上清をELISA法やウエスタンブロット法等の免
疫学的測定法により測定することにより、ヒト血清アル
ブミン結合型ホモシステインを特異的に認識する抗体を
産生するハイブリドーマを選択することができ、この方
法と限界希釈法等の公知のクローニングの方法を組み合
わせて行うことにより、モノクローナル抗体を生産する
細胞株を単離して得ることができる。
【0029】この細胞株を適当な培地で培養して、その
培養上清からモノクローナル抗体を得ることができる
が、培地としては無血清培地又は低濃度血清培地等を用
いてもよく、この場合は抗体の精製が容易となる点で好
ましく、DMEM培地、RPMI1640培地又はAS
F培地103等の培地を用いてもよい。
【0030】また、モノクローナル抗体産生細胞株を、
これに適合性がありプリスタン等であらかじめ刺激した
哺乳動物の腹腔内に注入し、一定期間の後、腹腔にたま
った腹水よりモノクローナル抗体を得ることもできる。
また、ハイブリドーマ法以外のモノクローナル抗体作製
法であるファージディスプレイ(Phage Display) 法[Nat
ure,348, 552(1990)]によって得られたモノクローナル
抗体を用いることもできる。この方法の概略は以下のと
おりである。
【0031】マウスのBリンパ球由来mRNAより、抗
体の可変領域をコードする遺伝子(VH 、VL )のライ
ブラリーを調製する。次に、VH とVL を適当なリンカ
ーで連結し、一本鎖Fv断片(Single-chain Fv; ScF
v) 遺伝子を構築する。次に、適当なファージベクター
へ組み込み、大腸菌へ導入し、リコンビナントファージ
を作製する。このファージベクターにはScFv蛋白質
がファージ表面に提示されるように工夫がされている。
次に、リコンビナントファージを目的の抗原、即ち本発
明のペプチド(例えばヒト血清アルブミン結合型ホモシ
ステイン)に対してアフィニティー選抜することによ
り、当該抗原と結合するファージ提示型ScFvとSc
Fv遺伝子が得られる。確立された抗ヒト血清アルブミ
ン結合型ホモシステインScFvを提示するリコンビナ
ントファージよりVH 、VL 遺伝子を取り出し、塩基配
列を決定後、別のIgG発現用ベクターに組み込み、適
当な細胞(CHO細胞等)で発現、生産させる。
【0032】このファージディスプレイ法の特長は、短
期間のうちに多数のクローンを取り扱える点にある。ま
た、リコンビナントファージ抗体システムというキット
がファルマシアバイオテク社より市販されており、これ
を用いることができる。以上のようにして得られたモノ
クローナル抗体は、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム
等による塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル
濾過法、又はアフィニティークロマトグラフィー等の方
法、あるいはこれらの方法を組み合わせることにより精
製することができる。
【0033】本発明の検出法においては、ヒト血清アル
ブミンの34番目のシステイン残基を含む3以上の連続的
なアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含むペプチドの
該システイン残基と、ホモシステインとがジスルフィド
結合してなるペプチドを特異的に認識する物質を用いる
ことにより、ヒト血清アルブミン結合型ホモシステイン
を特異的に検出又は測定することができる。
【0034】ここで用いるヒト血清アルブミンの34番目
のシステイン残基を含む3以上の連続的なアミノ酸残基
からなるアミノ酸配列を含むペプチドの該システイン残
基と、ホモシステインとがジスルフィド結合してなるペ
プチドを特異的に認識する物質としては、前述した抗体
(ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体)が挙げ
られる。
【0035】また、特定のペプチドを特異的に認識する
物質として、数10塩基程度のRNA又はDNAからな
る分子であるオリゴヌクレオチドリガンドも抗体と同様
に蛋白質やペプチド等と特異的に結合することが知られ
ており[Annu. Rev. Biochem., 64, 763(1995)]、本発明
の検出法においてはこのオリゴヌクレオチドリガンドを
抗体の代わりに用いることもできる。オリゴヌクレオチ
ドリガンドは、まず莫大な数のオリゴヌクレオチドのラ
ンダムプールを用意し、このプールより特定の物質、即
ち本発明のペプチド(例えばヒト血清アルブミン結合型
ホモシステイン)に結合するオリゴヌクレオチドをアフ
ィニティー選択し、これをPCR法で増幅するというサ
イクルを繰り返すことにより得ることができる。
【0036】本発明の検出法は、抗体、オリゴヌクレオ
チドリガンドを用いる測定法、即ちバインディングアッ
セイであれば、いずれの方法においてもその測定法で使
用される抗体、オリゴヌクレオチドリガンドとして、前
記の抗体、オリゴヌクレオチドリガンドを用いることに
より、所期の効果を奏するものであって、例えば、酵素
バインディングアッセイ(ELISA、EIA等)、蛍
光バインディングアッセイ、放射バインディングアッセ
イ、発光バインディングアッセイ、酵素抗体法、蛍光抗
体法、免疫比濁法、ラテックス凝集反応、ラテックス比
濁法、赤血球凝集反応、粒子凝集反応又はウエスタンブ
ロット法等により本検出法は実施される。
【0037】本検出法における試料としては、血液、血
清、血漿、リンパ球培養上清、尿、髄液、唾液、汗、腹
水、羊水、又は細胞あるいは臓器の抽出液等、ヒト血清
アルブミン結合型ホモシステインが含まれる可能性のあ
る生体試料であれば対象となる。本検出法を酵素バイン
ディングアッセイ、蛍光バインディングアッセイ、放射
バインディングアッセイ又は発光バインディングアッセ
イ等の標識抗体(又は標識オリゴヌクレオチドリガン
ド)を用いたバインディングアッセイにより実施する場
合には、サンドイッチ法又は競合法により行うこともで
き、サンドイッチ法の場合には固相化抗体(又は固相化
オリゴヌクレオチドリガンド)及び標識抗体(又は標識
オリゴヌクレオチドリガンド)のうち少なくとも1種が
前記ホモシステイン結合ペプチドを特異的に認識する物
質であればよい。
【0038】固相担体としては、ポリスチレン、ポリカ
ーボネート、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポ
リエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリ
レート、ラテックス、ゼラチン、アガロース、セルロー
ス、セファロース、ガラス、金属、セラミックス、又は
磁性体等の材質よりなるビーズ、マイクロプレート、試
験管、スティック、又は試験片等の形状の固相担体を用
いることができる。固相化抗体(又は固相化オリゴヌク
レオチドリガンド)は、固相担体と抗体(又はオリゴヌ
クレオチドリガンド)を物理的吸着法、化学的結合法又
はこれらの併用等の公知の方法に従って結合させること
により調製することができる。
【0039】標識物質としては、酵素バインディングア
ッセイの場合には、パーオキシダーゼ(POD)、アル
カリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ウレアー
ゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸脱水素
酵素又はアミラーゼ等を、蛍光バインディングアッセイ
の場合には、フルオレセインイソチオシアネート、テト
ラメチルローダミンイソチオシアネート、置換ローダミ
ンイソチオシアネート又はジクロロトリアジンイソチオ
シアネート等を、そして放射バインディングアッセイの
場合には、トリチウム、ヨウ素125又はヨウ素131
等を用いることができる。また、発光バインディングア
ッセイは、NADH−FMNH2 −ルシフェラーゼ系、
ルミノール−過酸化水素−POD系、アクリジニウムエ
ステル系又はジオキセタン化合物系等を用いることがで
きる。
【0040】標識物質と抗体(又はオリゴヌクレオチド
リガンド)との結合法は、グルタルアルデヒド法、マレ
イミド法、ピリジルジスルフィド法、過ヨウ素酸法等の
公知の方法を用いることができる。測定の操作法は公知
の方法(日本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特集第
53号 臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応用
−」,臨床病理刊行会,1983年,石川榮治ら編「酵
素免疫測定法」,第3版,医学書院,1987年,北川
常廣ら編「蛋白質核酸酵素別冊No.31 酵素免疫測
定法」,共立出版,1987年)により行うことができ
る。
【0041】例えば、固相化抗体(又は固相化オリゴヌ
クレオチドリガンド)と試料を反応させ、同時に標識抗
体(又は標識オリゴヌクレオチドリガンド)を反応させ
るか、又は洗浄の後に標識抗体(又は標識オリゴヌクレ
オチドリガンド)を反応させて、固相化抗体(又は固相
化オリゴヌクレオチドリガンド)−ヒト血清アルブミン
結合型ホモシステイン−標識抗体(又は標識オリゴヌク
レオチドリガンド)の複合体を形成させる。そして未結
合の標識抗体(又は標識オリゴヌクレオチドリガンド)
を洗浄分離して、結合標識抗体(又は標識オリゴヌクレ
オチドリガンド)量又は未結合標識抗体(又は標識オリ
ゴヌクレオチドリガンド)量より試料中のヒト血清アル
ブミン結合型ホモシステイン量を測定することができ
る。
【0042】具体的には、酵素バインディングアッセイ
の場合は標識酵素にその至適条件下で基質を反応させ、
その反応生成物の量を光学的方法等により測定する。蛍
光バインディングアッセイの場合には蛍光物質標識によ
る蛍光強度を、放射バインディングアッセイの場合には
放射性物質標識による放射線量を測定する。発光バイン
ディングアッセイの場合は発光反応系による発光量を測
定する。
【0043】本検出法を免疫比濁法、ラテックス凝集反
応、ラテックス比濁法、赤血球凝集反応又は粒子凝集反
応等の免疫複合体凝集物の生成を、その透過光や散乱光
を光学的方法により測るか、目視的に測る測定法により
実施する場合には、溶媒としてリン酸緩衝液、グリシン
緩衝液、トリス緩衝液又はグッド緩衝液等を用いること
ができ、更にポリエチレングリコール等の反応促進剤や
非特異的反応抑制剤を含ませてもよい。
【0044】抗体(又はオリゴヌクレオチドリガンド)
を固相担体に感作させて用いる場合には、固相担体とし
ては、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、
(メタ)アクリル酸エステル類ポリマー、ラテックス、
ゼラチン、リポソーム、マイクロカプセル、赤血球、シ
リカ、アルミナ、カーボンブラック、金属化合物、金
属、セラミックス又は磁性体等の材質よりなる粒子を使
用することができる。
【0045】この感作の方法としては、物理的吸着法、
化学的結合法又はこれらの方法の併用等の公知の方法を
使うことができる。測定の操作法は公知の方法により行
うことができるが、例えば、光学的方法により測定する
場合には、試料と抗体(又はオリゴヌクレオチドリガン
ド)、又は試料と固相担体に感作させた抗体(又はオリ
ゴヌクレオチドリガンド)を反応させ、エンドポイント
法又はレート法により、透過光や散乱光を測定する。
【0046】また、目視的に測定する場合には、プレー
トやマイクロタイタープレート等の容器中で、試料と固
相担体に感作させた抗体(又はオリゴヌクレオチドリガ
ンド)を反応させ、凝集の状態を目視的に判定する。な
お、目視的に測定する代わりにマイクロプレートリーダ
ー等の機器を用いて測定を行ってもよい。
【0047】
【実施例】以下、実施例及び参考例により、本発明を更
に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらによって
何ら限定されるものではない。 (実施例1)ヒト血清アルブミン結合型ホモシステイン
の調製 200mg のヒト血清アルブミン(シグマ(SIGMA) 社製)、
40mgのL−ホモシスチン(シグマ(SIGMA) 社製)及び10
0mg の水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬社製) を20ml
の0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH6.5) に溶解し、撹拌しな
がら室温で一晩反応させた。翌日反応液のpHを6に調整
し、引き続き撹拌しながら室温で一晩反応させた。反応
後、PBSに対して透析を行い、上清をヒト血清アルブ
ミン結合型ホモシステインとした。
【0048】前記上清中のヒト血清アルブミン濃度及び
ホモシステイン濃度を測定したところ、それぞれ30μM
及び27μMであり、ヒト血清アルブミン1分子に対して
ホモシステインがほぼ1分子結合していることが示され
た。この結果と、ヒト血清アルブミンにはフリーのシス
テイン残基が1つのみ(34番目)存在するという事実を
考え合わせると、調製されたヒト血清アルブミン結合型
ホモシステインにおいては、34番目のシステイン残基に
のみホモシステインが結合していることが示唆された。
【0049】(実施例2)ヒト血清アルブミンペプチド
25 結合型ホモシステインの調製 5mg のヒト血清アルブミンペプチド 25 [ヒト血清アル
ブミンの22番目から46番目までのペプチド:LVLIAFAQYL
QQCPFEDHVKLVNEV ((株)サワディー・テクノロジー
製)]、12.5mgのL−ホモシスチン及び10mgの水素化ホ
ウ素ナトリウムを3ml の6M尿素水溶液に溶解し、撹拌
しながら室温で一晩反応させた。翌日反応液のpHを6に
調整し、引き続き撹拌しながら室温で数日間反応させ
た。反応後、BioGel P2 カラム(BioRad社製)でゲルろ
過し、最も高分子量側のA280nmのピークを集めてヒト血
清アルブミンペプチド 25 結合型ホモシステインとし
た。
【0050】(実施例3)ヒト血清アルブミンペプチド
29 結合型ホモシステインの調製 5mg のヒト血清アルブミンペプチド29[ヒト血清アルブ
ミンの29番目から39番目までのペプチドの両端に9残基
ずつの親水性配列を並べたもの: EKEKEKEKEQYLQQCPFED
HKEKEKEKEK((株)サワディー・テクノロジー製)]を
用い、後は実施例2と同様に行って、ヒト血清アルブミ
ンペプチド 29 結合型ホモシステインを調製した。
【0051】(実施例4)ポリリジン−ヒト血清アルブ
ミンペプチド7結合型ホモシステインの調製 10mgのヒト血清アルブミンペプチド7[ヒト血清アルブ
ミンの31番目から37番目までのペプチド: LQQCPFE
((株)サワディー・テクノロジー製)]、6mg のポリ
−DL−リジン・臭化水素酸塩(分子量19,400、シグマ
(SIGMA) 社製)及び40mgの1−エチル−3−(3−ジメ
チルアミノプロピル)カルボジイミド(和光純薬社製)
を1mlの生理食塩水に溶解し、撹拌しながら室温で一晩
反応させた。翌日反応液をセファデックスG25カラムに
かけ、A280nmのピークを集めて減圧乾固し、ポリリジン
−ヒト血清アルブミンペプチド7とした。
【0052】次に、このポリリジン−ヒト血清アルブミ
ンペプチド7を1mlの6M尿素水溶液で溶解し、更に10
mgのL−ホモシスチン及び20mgの水素化ホウ素ナトリウ
ムを加え、撹拌しながら室温で一晩反応させた。翌日反
応液をセファデックスG25カラムにかけ、A280nmのピー
クを集めてポリリジン−ヒト血清アルブミンペプチド7
結合型ホモシステインとした。
【0053】(実施例5)ヒト血清アルブミンペプチド
7MAP結合型ホモシステインの調製 5mg のヒト血清アルブミンペプチド7MAP[ヒト血清
アルブミンペプチド7をマルチプル・アンチゲン・ペプ
チド(Multiple Antigen Peptide)化したもの((株)サ
ワディー・テクノロジー製)]を用い、後は実施例2と
同様に行って、ヒト血清アルブミンペプチド7MAP結
合型ホモシステインを調製した。
【0054】(実施例6)ハイブリドーマの作製 (1)実施例1〜5で得た免疫原を用いてハイブリドー
マを作製した。免疫動物はBALB/cマウス(日本チ
ャールス・リバー)を用いた。各免疫原は完全フロイン
トアジュバント(ヤトロン)と混合後、マウス1匹当た
り1回につき 100μgずつ皮下注射し、これを1〜3週
間間隔で3〜5回繰り返した。但し、最終免疫のみ免疫
原をそのまま腹腔内に注射した。最終免疫の3〜5日後
に脾細胞を取得した。この脾細胞とマウスミエローマ細
胞P3−X63−Ag8・653株(JCRB 002
8)を10:1の割合で混合し、50%ポリエチレングリコ
ール 4000 (メルク社製)水溶液を加えて細胞融合させ
た。その後、細胞はHAT培地[HAT Supplement (GIBC
O)を添加したGIT培地(日本製薬)]で培養した。
【0055】(2)50μl の5μg/mlヒト血清アルブミ
ン結合型ホモシステイン又はヒト血清アルブミンでコー
トした96穴プレート(それぞれプレート1及びプレート
2)を用意した。そこに50μl の前記ハイブリドーマ培
養上清を加え、室温で1時間反応させた。洗浄後、50μ
l の第2抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼでラベルし
た抗マウスIg'sヤギ抗体:カッペル社製)を加え、室温
で30分間反応させた。洗浄後、50μl の発色剤(2mg/m
l o−フェニレンジアミン水溶液) を加え、室温で15分
間反応させた。50μl の3N硫酸で反応停止後、A490nmを
測定し、プレート1とプレート2の発色強度の差が大き
いものを選択した。
【0056】免疫原としてヒト血清アルブミン結合型ホ
モシステイン(実施例1)を用いて得られたハイブリド
ーマについての1次スクリーニングの結果を表1に示
す。コート抗原がヒト血清アルブミン(HSA)とヒト
血清アルブミン結合型ホモシステイン(HSA−Hc
y)で反応性に差があり、抗ヒト血清アルブミン結合型
ホモシステイン抗体が産生されたことが示唆された。
【0057】
【表1】
【0058】以上のようにして、種々のハイブリドーマ
を得た。 (実施例7)モノクローナル抗体の産生 実施例6で得たハイブリドーマは、常法に従いマウス腹
水の産生又は細胞培養に用い、その後、モノクローナル
抗体は常法に従い精製した。 (実施例8)ポリクローナル抗体の調製 ウサギポリクローナル抗体を実施例1〜5で得た免疫原
を用いて常法に従い調製した。その後、ポリクローナル
抗体はヒト血清アルブミン結合型ホモシステインを結合
させたカラムを用いてアフィニティー精製した。
【0059】(実施例9)ヒト血清アルブミン結合型ホ
モシステインのイムノアッセイ(サンドイッチELIS
A) 96穴プレートを予め100 μl の5μg/ml抗ヒト血清アル
ブミン抗体でコートした。そこに100 μl のサンプル
(スタンダード、血清等) を加え、室温で1時間反応さ
せた。洗浄後、100 μl の西洋ワサビペルオキシダーゼ
でラベルした抗ヒト血清アルブミン結合型ホモシステイ
ン抗体を加え、室温で30分間反応させた。洗浄後、100
μl の発色剤(2mg/ml o−フェニレンジアミン水溶
液) を加え、室温で15分間反応させた。100 μl の3N
硫酸で反応停止後、A490nmを測定した。なお、スタンダ
ードとしては、ヒト血清アルブミン結合型ホモシステイ
ンとホモシステイン−freeヒト血清アルブミン(ホモシ
ステインを数%程度結合している市販のヒト血清アルブ
ミン(シグマ社製)を水素化ホウ素ナトリウムで還元
後、遊離したホモシステインを透析により除去したも
の)を適当な割合で混合したもの(HPLC法でホモシステ
イン定量) を用いた。
【0060】(参考例)血清検体におけるヒト血清アル
ブミン結合型ホモシステインの測定 実験目的 ヒト血清アルブミン結合型ホモシステイン測定の臨床的
意義をみる。材料 動脈硬化症患者由来血清17検体及びコントロール(健常
人)血清13検体を用いた。
【0061】方法 1.HPLC法を用いたホモシステイン定量 基本的にはAraki & Sakoの方法[J. Chromatogr.,422, 4
3 (1987)]に従った。但し、溶離液は10%メタノールを
含む0.1Mリン酸緩衝液のみとし、勾配はかけなかった。 2. FPLC (ファルマシア)を用いた血清からのヒト血
清アルブミン精製 カラムはSuperose 6HR 10/30(ファルマシア社製)を用
いた。サンプルは血清150 μl 、緩衝液は0.15M NaClを
含む50mMリン酸緩衝液、流速は0.5ml/min とし、300 μ
l ずつ分取した。各フラクションのA280nmを測定し、ヒ
ト血清アルブミンのピークの中で最もA280nm値が高いフ
ラクションから連続する3 本(900μl)を集めてヒト血清
アルブミンプールとした。 3.ヒト血清アルブミンの定量 ミクロアルブ(バイエル三共社製)を用いた。
【0062】結果 各血清検体における総ホモシステインとヒト血清アルブ
ミン結合型ホモシステインの測定値を表2に示した。こ
こでヒト血清アルブミン結合型ホモシステイン値(%)
は、[ヒト血清アルブミンプールのホモシステインモル
濃度] /[ヒト血清アルブミンプールのヒト血清アルブ
ミンモル濃度]で表した。総ホモシステインとヒト血清
アルブミン結合型ホモシステインの両測定値共に動脈硬
化症患者において有意(p<0.01)な上昇が認められ
た。
【0063】また、総ホモシステイン値とヒト血清アル
ブミン結合型ホモシステイン値の相関を図1に示した。
相関係数(r)は約95%と良好であった。結論 ヒト血清アルブミン結合型ホモシステイン測定の臨床的
意義が示された。
【0064】
【表2】
【0065】(実施例10)ファージディスプレイ法に
よるモノクローナル抗体の作製 (1)抗ヒト血清アルブミン結合型ホモシステイン一本
鎖Fv断片(ScFv)の作製 リコンビナントファージ抗体システム(ファルマシアバ
イオテク社製)を用い、そのプロトコールに従った。出
発材料としては実施例6(1)と同様にして各免疫原で
免疫したマウスの脾細胞を用いた。アフィニティー選抜
はヒト血清アルブミン結合型ホモシステインに対して計
3回行った。最終的にヒト血清アルブミン結合型ホモシ
ステインとの反応性をELISAで確認し、抗ヒト血清
アルブミン結合型ホモシステイン一本鎖Fv断片(Sc
Fv)とした。
【0066】(2)抗ヒト血清アルブミン結合型ホモシ
ステインIgGキメラ抗体の作製 確立された抗ヒト血清アルブミン結合型ホモシステイン
ScFvを提示するリコンビナントファージよりVH
L 遺伝子を取り出し、塩基配列を決定後、別のIgG
発現用ベクターに組み込み、適当な細胞(CHO細胞
等)で発現、生産させた。
【0067】(3)抗ヒト血清アルブミン結合型ホモシ
ステインIgGキメラ抗体を用いたヒト血清アルブミン
結合型ホモシステインのイムノアッセイ(サンドイッチ
ELISA) 抗体として前記(2)で得た抗ヒト血清アルブミン結合
型ホモシステインIgGキメラ抗体を用いる以外は実施
例9と同様にしてヒト血清アルブミン結合型ホモシステ
インのイムノアッセイを行った。
【0068】(実施例11)ヒト血清アルブミン結合型
ホモシステインに対するオリゴヌクレオチドリガンドの
作製 SELEX法[Biochemistry,33, 10450(1994)]を用い
た。30塩基のランダム配列を有するDNAを合成し、こ
れをT7RNAポリメラーゼによりRNAに転写した。
次いで、そのRNAプールよりヒト血清アルブミン結合
型ホモシステインと親和性を有するものをアフィニティ
ー選択した。次に、回収されたRNAを逆転写酵素でc
DNAにした後、PCR法で増幅した。次に、増幅され
たDNAをT7RNAポリメラーゼにより再びRNAに
転写した。このサイクルを10回繰り返すことにより、ヒ
ト血清アルブミン結合型ホモシステインに対するオリゴ
ヌクレオチドリガンドを得た。
【0069】(実施例12)オリゴヌクレオチドリガン
ドを用いたヒト血清アルブミン結合型ホモシステインの
サンドイッチバインディングアッセイ Nat. Biotechnol., 14, 1021(1996)記載の方法を参考に
した。96穴プレートを予め100 μl の5μg/ml抗ヒト血
清アルブミン抗体でコートした。そこに100 μl のサン
プル(スタンダード、血清等) を加え、室温で2時間反
応させた。洗浄後、100 μl のフルオレセインでラベル
したオリゴヌクレオチドリガンドを加え、室温で1時間
反応させた。洗浄後、100 μl の西洋ワサビペルオキシ
ダーゼでラベルした抗フルオレセイン抗体を加え、室温
で30分間反応させた。洗浄後、100 μl の発色剤(2mg
/ml o−フェニレンジアミン水溶液) を加え、室温で15
分間反応させた。最後に100 μl の3N硫酸で反応停止
後、A490nmを測定した。
【0070】
【発明の効果】本発明の検出法によれば、試料中のヒト
血清アルブミン結合型ホモシステインを免疫学的に検出
することにより、動脈硬化症等のホモシステイン値の上
昇を伴う疾患の診断を簡便に行うことができる。また、
本発明のペプチド及び免疫原は、前記本発明の検出法に
用いる抗体を生産するのに有用である。
【0071】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:609 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 生物名:ホモ サピエンス(Homo sapiens) 組織の種類:血清 配列
【図面の簡単な説明】
【図1】総ホモシステイン値とヒト血清アルブミン結合
型ホモシステイン値の相関を示す図である。
【符号の説明】
● 動脈硬化症患者 ○ コントロール

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト血清アルブミンの34番目のシステイ
    ン残基を含む3以上の連続的なアミノ酸残基からなるア
    ミノ酸配列を含むペプチドの該システイン残基と、ホモ
    システインとがジスルフィド結合してなるペプチド。
  2. 【請求項2】 ヒト血清アルブミンの34番目のシステイ
    ン残基を含む3以上の連続的なアミノ酸残基からなるア
    ミノ酸配列を含むペプチドがヒト血清アルブミンである
    請求項1記載のペプチド。
  3. 【請求項3】 ヒト血清アルブミンの34番目のシステイ
    ン残基を含む3以上の連続的なアミノ酸残基からなるア
    ミノ酸配列を含むペプチドが、ヒト血清アルブミンの部
    分ペプチドである請求項1記載のペプチド。
  4. 【請求項4】 ヒト血清アルブミンの34番目のシステイ
    ン残基を含む3以上の連続的なアミノ酸残基からなるア
    ミノ酸配列を含むペプチドが、ヒト血清アルブミンの部
    分アミノ酸配列とヒト血清アルブミンに存在しないアミ
    ノ酸配列とを含むペプチドである請求項1記載のペプチ
    ド。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のペ
    プチドからなる免疫原。
  6. 【請求項6】 ヒト血清アルブミンの34番目のシステイ
    ン残基を含む3以上の連続的なアミノ酸残基からなるア
    ミノ酸配列を含むペプチドの該システイン残基と、ホモ
    システインとがジスルフィド結合してなるペプチドを特
    異的に認識する物質を用いることを特徴とするヒト血清
    アルブミン結合型ホモシステインの検出法。
  7. 【請求項7】 ヒト血清アルブミンの34番目のシステイ
    ン残基を含む3以上の連続的なアミノ酸残基からなるア
    ミノ酸配列を含むペプチドの該システイン残基と、ホモ
    システインとがジスルフィド結合してなるペプチドを特
    異的に認識する物質が抗体又はオリゴヌクレオチドリガ
    ンドである請求項6記載の検出法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6686172B2 (en) 2000-06-30 2004-02-03 Azwell, Inc. Method of measuring total homocysteine
CN114181909A (zh) * 2021-11-25 2022-03-15 深圳市圳康科技有限公司 一种杂交瘤细胞株及其单克隆抗体与试剂盒

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