JPH10114072A - インクジェット記録ヘッド用基体、該基体の製造方法、前記基体を有するインクジェット記録ヘッド及び該ヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド用基体、該基体の製造方法、前記基体を有するインクジェット記録ヘッド及び該ヘッドの製造方法

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JPH10114072A
JPH10114072A JP22631797A JP22631797A JPH10114072A JP H10114072 A JPH10114072 A JP H10114072A JP 22631797 A JP22631797 A JP 22631797A JP 22631797 A JP22631797 A JP 22631797A JP H10114072 A JPH10114072 A JP H10114072A
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ink
recording head
jet recording
metal
substrate
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JP22631797A
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English (en)
Inventor
Ichiro Saito
一郎 斉藤
Toshimori Miyakoshi
俊守 宮越
Yoshiyuki Imanaka
良行 今仲
Muga Mochizuki
無我 望月
Teruo Ozaki
照夫 尾崎
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Original Assignee
Canon Inc
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録装置の近年の記録画像の
高精細化及び高速化、小型化要望に適応し得る、インク
吐出安定性、熱応力安定性に優れたインクジェット記録
ヘッド用基体を提供する。 【解決手段】 保護層と層間膜に挟まれた発熱抵抗層を
絶縁体と金属からなる混合物で形成し、絶縁体に対する
金属の割合を界面近傍で減少させるように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙、プラスチック
シート、布、物品等を包含する記録保持体に対して、例
えばインク等の機能性液体を吐出することにより、文
字、記号、画像等の記録、印刷等を行うインクジェット
記録ヘッド(以下、単に「インクジェットヘッド」とも
称する)を構成するための基体、該基体の製造方法、こ
の基体を用いて構成されるインクジェットヘッド及びそ
のヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は高速高密度で
高精度高画質の記録が可能であり、かつ、カラー化小型
化に適していることから近年注目されている。(例え
ば、米国特許第4723129号及び米国特許第4740796号参
照)
【0003】図1は上記インクジェット記録に使用され
るインクジェット記録ヘッドの一実施例の基板要部の概
略平面図を示すものである。
【0004】図1に示されるように、インクジェット記
録ヘッドには、複数の吐出口1001が設けられ、また、こ
の吐出口1001からそれぞれインクを吐出するために利用
される熱エネルギーを発生する電気熱変換素子1002が各
インク流路1003毎に基板1004上に設けられている。電気
熱変換素子1002は、主に発熱抵抗体1005及びこれに電力
を供給するための電極配線1006、ならびにこれらを保護
する絶縁膜により構成される。
【0005】また、各インク流路1003は複数の流路壁10
08が一体的に形成された天板を、基板1004上の電気熱変
換素子1002等との相対位置を画像処理等の手段により、
位置合わせしながら接合することで形成される。各イン
ク流路1003は、その吐出口1001と反対側の端部が共通液
室1009と連通しており、この共通液室1009には、不図示
のインクタンクから供給されるインクが貯溜される。共
通液室1009に供給されたインクは、ここから各インク流
路1003に導かれ、吐出口1001近傍でメニスカスを形成し
て保持される。この時、電気熱変換素子1002を選択的に
駆動させることにより、その発生する熱エネルギーを利
用して熱作用面上のインクを急激に加熱沸騰させ、この
時の衝撃力によってインク滴を吐出させる。
【0006】図2は、図1のインク路に相当するX-X'線
切断のインクジェット記録ヘッド用基体2000の模式的断
面図である。
【0007】図2において、2001はシリコン基板、2002
は、熱酸化膜からなる蓄熱層を示す。2003は、蓄熱機能
を兼ねるSiO膜、SiN膜等からなる層間膜、2004は発熱抵
抗層、2005は、Al、Al-Si、Al-Cu等の金属配線、2006
は、SiO膜、SiN膜等からなる保護膜を示す。2007は、発
熱抵抗層2004の発熱に伴う化学的、物理的衝撃から保護
膜2006を保護するための耐キャビテーション膜である。
また、2008は、発熱抵抗層2004の熱作用部である。
【0008】ところで、この熱作用部は、熱エネルギー
を発生する発熱抵抗層2004、この発熱抵抗層2004をイン
クから保護する保護層2006、および発熱抵抗層2004で発
生した熱エネルギーを効率的にインクを与えるための層
間膜2003から構成されている。
【0009】インクジェットヘッドの熱作用部は、イン
クの発泡と消泡との繰り返しによるキャビテーションが
もたらす機械的衝撃、さらには腐食にさらされるという
点、また、0.1〜10μ秒という極めて短時間に高い温度
の上昇・下降にさらされるといった点等のように、厳し
い環境におかれるため、使用する環境における発熱抵抗
層2004自身の特性安定性、および発熱抵抗層2004を挟む
保護層2006や層間膜2003がインクジェットヘッドの性
能、例えば吐出安定性や寿命を決定する重要な要因とな
っている。
【0010】上記インクジェットヘッドに使用される発
熱抵抗層2004としては、現在TaN膜やHfB2膜等が一般的
である。ここで、TaN膜においては、発熱抵抗層の特性
安定性、特に長期繰り返し記録時の抵抗変化率は、TaN
膜の組成に強く依存し、中でもTaN0.8hexを含む窒化タ
ンタルで構成された発熱抵抗体が、上記長期繰り返し記
録時の抵抗変化率が少なく吐出安定性に優れていること
が知られている(特開平7-125218号公開公報参照)。
【0011】また、上記インクジェットヘッドに使用さ
れる保護層や層間膜は耐熱性、酸化安定性、絶縁性、耐
破傷性、および発熱抵抗層との密着性に優れていること
が要求され、現在ではSiO2あるいはSiN等の無機化合物
が一般的に用いられている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】近年、市場ではインク
ジェットプリンタが急速な発展を遂げており、それに伴
い記録画像に対しては、より一層の高精細化が要求され
ている。この画像の高精細化の方法としてはインク滴の
サイズをより小さくすることが挙げられる。そこで、よ
り小さなインク滴を効率よく記録するためには、発熱抵
抗体の高抵抗化が必要となる。しかしながら、上述の従
来使用されている発熱抵抗体材料では、比抵抗値は200
〜300μΩ・cm程度が限界となり、十分な抵抗値を得ら
れない。そして、高精細化に対応するような多数の発熱
抵抗体を有する場合には、十分な抵抗値を得られないこ
とにより電流値が高くなり、発熱抵抗体に高負荷がかか
り、発熱抵抗体の寿命を著しく低下させる。
【0013】また、一方、画像の高精細化は吐出滴数の
増加につながることもあり記録のさらなる高速化が要求
されている。そのため発熱抵抗層をより短時間に高温
で、かつ高速に駆動する必要があり、発熱抵抗層として
はより一層の吐出安定性、熱安定性が必要とされてい
る。
【0014】インクジェット記録ヘッドにおいて、イン
クを発泡、吐出するためには、短いパルスで高温に加熱
することが必要であるため、発熱抵抗体2004で発生した
熱により保護層2006及び層間膜2003はかなりの高温に達
する。さらには、繰り返しによる加熱→冷却の熱サイク
ルにより発熱抵抗層2004で発生した熱により保護層2006
及び層間膜2003の界面、あるいは膜質の弱い箇所が集中
的な損傷を受けることがある。そして、上述のようにイ
ンクジェット記録ヘッドの高速化を図るために、投入電
力がより短いパルスで入力される場合には、従来の構成
では、かかる箇所からインクが侵入して電蝕をおこし、
発熱抵抗層2004が断線することがあるという問題点があ
った。
【0015】一方、特開平5-338175号公開公報では、発
熱抵抗層2004の材質として、少なくとも保護層2006及び
層間膜2003に接する界面部分に、保護層2006及び層間膜
2003の材質を含有させ発熱抵抗層の膜厚方向の材質を不
均一とすることにより、各層の界面における熱膨張率の
差から発生する熱応力を低減し、熱応力耐久性を向上さ
せる提案がなされている。
【0016】しかしながら、上記提案の構成は、結晶構
造を有する上記発熱抵抗体材料で構成されるため、発熱
抵抗層の膜厚方向中央部は発熱抵抗体材料のみで形成し
なければならず、また、比抵抗値が低いため膜厚も薄く
なり成膜の厳しい制御が要求される共に、発熱抵抗体の
膜厚方向での温度勾配は大きくなる。したがって、上述
のように小さいヒーターサイズの発熱抵抗体を高速で駆
動させるような場合にまで十分に対応できるものではな
かった。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するために鋭意検討を行った結果、新規な発熱
抵抗層の構成により、長時間連続してインクを吐出して
も層間剥離やクラックは発生せず、吐出安定性に優れた
インクジェットヘッドが得られることを見出した。
【0018】このため本発明においては、以下の構成の
提供によって前記目的を達成しようとするものである。
【0019】すなわち、インクを吐出するために利用さ
れる熱エネルギーを発生する複数の発熱抵抗体と、該発
熱抵抗体の下層に設けられる層間膜と、前記発熱抵抗体
を保護する保護層と、を備えるインクジェット記録ヘッ
ド用基体において、前記発熱抵抗体は金属と絶縁体とか
ら構成されているとともに前記発熱抵抗体の界面近傍に
おける金属の割合が前記発熱抵抗体の膜厚方向中央より
も少なくなっていることを特徴とする。
【0020】また、インクを吐出するために利用される
熱エネルギーを発生する複数の発熱抵抗体と、該発熱抵
抗体の下層に設けられる層間膜と、前記発熱抵抗体を保
護する保護層と、を備えるインクジェット記録ヘッド用
基体の製造方法において、前記発熱抵抗体は金属とSi
もしくはSi絶縁物とをそれぞれターゲットとした反応性
多元スパッタリングにより形成されるとともに前記発熱
抵抗体の界面近傍における絶縁体に対する金属の割合が
前記発熱抵抗体の膜厚方向中央よりも少なくなっている
ことを特徴とする。
【0021】また、インクを吐出するために利用される
熱エネルギーを発生する複数の発熱抵抗体と、該発熱抵
抗体の下層に設けられる層間膜と、前記発熱抵抗体を保
護する保護層と、を備えるインクジェット記録ヘッド用
基体と、インクを吐出する吐出口と、該吐出口に連通す
るとともに前記発熱抵抗体を内包するインク流路と、を
備えるインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
前記発熱抵抗体は金属とSiもしくはSi絶縁物とをそれ
ぞれターゲットとした反応性多元スパッタリングにより
形成されるとともに前記発熱抵抗体の界面近傍における
絶縁体に対する金属の割合が前記発熱抵抗体の膜厚方向
中央よりも少なくなっていることを特徴とする。
【0022】本発明においては記録画像の高精細化に対
応可能な発熱抵抗層に高抵抗化を達成できる絶縁体と金
属からなる混合物を使用することにより、膜厚方向での
組成比の制御は容易かつ自由度があり、また膜厚方向で
の温度勾配を均一にすることができる。つまり、従来の
発熱抵抗体材料では、膜厚方向の中央部を発熱抵抗体材
料で構成しなければならないのに対し、本発明における
発熱抵抗体材料では、膜厚方向で組成を連続的に変化さ
せることができ、膜厚方向での温度勾配を均一にするこ
とができるのである。特に発熱抵抗層を構成する絶縁体
を、保護層と層間膜とを構成する材料と同一にすれば、
層間膜−発熱抵抗層−保護層間で温度勾配はさらに均一
になり、長時間連続して使用しても層間剥離やクラック
の発生を防止でき、より一層吐出安定性に優れたインク
ジェット記録ヘッドを達成できる。
【0023】
【発明の実施の形態】図3は本発明における熱作用部を
詳細に説明するための、図2の部分拡大図である。
【0024】図3において、発熱抵抗層2004の部分につ
いて説明すると、2009及び2010は、発熱抵抗層を構成す
る絶縁体に対する金属の割合が少ない部分である。絶縁
体は、層間膜2003や保護層2006と同一の材料で構成され
ることが好ましい。このような絶縁体としては、SiO2
SiN、SiC等のSi絶縁体が好ましいものとして挙げられ
る。
【0025】また、発熱抵抗層2004と電極配線2005と接
する部分は、導通が必要となるので金属を一部含有する
ものとする。本発明に用いられる金属としては、Ta、C
r、W等の高融点金属が好ましいものとして挙げられる。
【0026】そして、図3においては、説明のために記
号2009および2010を用いて構成を示したが、絶縁体に対
する金属の割合が少ない部分である以外は、発熱抵抗層
2004の一部を構成する連続膜となっている。
【0027】なお、発熱抵抗体としては界面のみ金属の
割合が少なくなるようにしてもよいし、膜厚方向中央か
ら界面に向けて徐々に金属の割合が少なくなるようにし
てもよい。
【0028】また、発熱抵抗層2004の膜厚方向で絶縁体
に対する金属の割合を変化させるためには、絶縁体と金
属を構成するターゲットを用いて、多元スパッタリング
法によりそれぞれのパワーを変化させてもよいし、複数
の金属ターゲットを用いて反応性ガスを導入しながら、
反応性多元スパッタリング法で同じくそれぞれのそれぞ
れのターゲットのパワーを変化させてもよい。例えば、
前者ではSiO2、SiN、SiC等の絶縁体ターゲットと、Ta、
Cr、W等の金属ターゲットとを用いて形成することがで
き、後者ではTa、Cr、Si、W等のターゲットをN2、O2
炭素化ガス等の雰囲気中で反応させて形成することがで
きる。この際、層間膜2003と保護層2006との界面近傍で
金属の割合を減少させればよい。
【0029】上記方法により発熱抵抗層を形成すれば、
従来よりも格段に熱ストレスに強く、比抵抗値の高い発
熱抵抗層を作製することが出きる。
【0030】
【実施例】次に本発明の実施例について、図面を参照し
て説明する。ただし、本発明は、以下の各実施例にのみ
限定されるものではなく、本発明の目的が達成され得る
ものであればよいことはもちろんである。
【0031】(実施例1〜4)前出の図1は、本発明の一
実施例に関わるインクジェット記録ヘッドの、インクを
発泡させる発熱部の基板要部の概略平面図であり、図2
は、図1で示されたX−X'点鎖線に沿って基板面に垂直に
切断したときの模式的な切断面部分図である。
【0032】本実施例による発熱部の基板2001の作製
は、Si基板あるいはすでに駆動用のICを作り込んだSi基
板を用いる。Si基板の場合は、熱酸化法、スパッタ法、
CVD法等によって、膜厚1.2μmのSiO2の蓄熱層2002を形
成し、ICを作り込んだSi基板2001も同様にその製造プロ
セス中で、SiO2の蓄熱層2002を形成しておく。
【0033】次にスパッタ法、CVD法などによって、SiN
あるいはSiO2からなる膜厚1.2μmの層間絶縁膜2003を表
1に示す材料で形成した。次いで、TaとSiターゲットを
用いた反応性2元スパッタリング法により、表2に示す条
件で発熱抵抗層2004を形成した。この時のガス流量及び
ターゲットに投入するパワーは、表2の条件とし、基板
温度200℃で行った。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】次に電極配線2005としてAl膜5500Åをスパ
ッタリング法により形成した。次にフォトリソ法を用い
てパターン形成し、Al膜を取り除いた15μm×40μmの熱
作用部2008を形成した。
【0037】次に保護膜2006として、プラズマCVD法に
よってSiNあるいはSiO2からなる膜厚1μmの絶縁体を表1
に示す材料にて形成し、次に耐キャビテーション層2007
としてスパッタリング法によりTa膜を膜厚2300Å形成
し、フォトリソ法により図1に示すような本発明のイン
クジェット記録ヘッド用基体(基板1004)を作製した。
【0038】各実施例及び各比較例の発熱抵抗層のシー
ト抵抗値は、測定の結果、表3のようになった。すなわ
ち、このようにして作成された基体を用いて以下の条件
で駆動させ、破断パルスによる熱ストレス耐久試験を行
った。
【0039】駆動周波数:10KHz、駆動パルス幅:2μs
ec、駆動電圧:発砲開始電圧Vth×1.3 その結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】(比較例1〜2)層間膜及び保護層を表1
に示す材料で形成し、発熱抵抗層を表2に示すような条
件で形成する以外は、実施例と同様にしてインクジェッ
ト記録ヘッド用基体を作製した。また、この基体を用い
て各実施例と同様にして破断パルスによる熱応力耐久試
験を行いその結果を表3に示した。
【0042】表3の結果から明らかなように、本発明実
施例による基体は、高抵抗値を有するとともに熱応力耐
久性に優れたものとなっていることが分かる。特に実施
例1と比較例2のように類似した発熱抵抗層材料を用いた
ときにも本発明の製造方法によれば、従来に比べ熱応力
耐久性が格段に向上することがわかる。
【0043】また、従来の発熱抵抗層は、本発明の発熱
抵抗層に比べて、シート抵抗値が小さいことから駆動時
の電流値が2〜3倍増加すると思われる。これは複数の
発熱抵抗体を駆動させるインクジェット記録装置では、
その影響は大きくなり、装置設計上問題となる。特に、
高画質、高速化に対応した発熱抵抗体のサイズが小さく
なる構成においては。従来の発熱抵抗体を使用すると大
幅な電力増加につながることを示唆しており、本発明実
施例の発熱抵抗体を使用することにより従来の発熱抵抗
層に対して省エネルギー化をなし得ることを示してい
る。
【0044】また、従来の発熱抵抗層を使用する限り
は、前述したように膜厚方向の中央部はその発熱抵抗体
材料だけで構成しなければならない領域が存在し、膜厚
方向での温度勾配が大きくなることは避けられない。そ
れに対し、本発明実施例の発熱抵抗層は、絶縁体と金属
との混合物から構成されているため、金属の含有割合を
かえるだけでその組成は膜厚方向で任意に変化させるこ
とが可能であるので、発熱抵抗層の温度勾配を均一にで
き、構成の自由度が増加する。
【0045】以下に本発明のインクジェット記録ヘッド
を搭載可能なインクジェット記録装置の一般的な構成を
示す。
【0046】図4は本発明が適用されるインクジェット
装置の一例の外観図で、駆動モータ2101の正逆回転に連
動して駆動力伝達ギア2102、2103を介して回転するリー
ドスクリュー2104の螺旋溝2121に対して係合するキャリ
ッジ2120上に搭載されており、前駆動モータ2101の動力
によってキャリッジ2120とともにガイド2119に沿って矢
印a、b方向に往復移動される。不図示の記録媒体給送装
置によってプラテン2106上に搬送される記録用紙P用の
紙押え板2105は、キャリッジ2120移動方向にわたって記
録用紙をプラテン2106に対して押圧する。
【0047】2107、2108はフォトカプラでキャリッジ21
20のレバー2109のこの域での存在を確認して駆動モータ
2101の回転方向切り替え等を行うためのホームポジショ
ン検知手段である。2110は記録ヘッド2200の全面をキャ
ップするキャップ部材2111を支持する部材で、2112は前
記キャップ部材2111内を吸引する吸引手段で、キャップ
内開口2113を介して記録ヘッド2200の吸引回復を行う。
【0048】2114はクリーニングブレードで、2115はこ
のブレードを前後方向に移動可能にする移動部材であ
り、本体支持板2116にこれらは支持されている。クリー
ニングブレード2114は、この形態でなく周知のクリーニ
ングブレードが 本体に適用できることは言うまでもな
い。
【0049】また、2117は、吸引回復の吸引を開始する
ためのレバーで、キャリッジ2120と係合するカム2118の
移動に伴って移動し、駆動モータ2101からの駆動力がク
ラッチ切り替え等の公知の伝達手段で移動制御される。
前記記録ヘッド2200に設けられた発熱部2110に信号を付
与したり、上述した各機構の駆動制御を司ったりする記
録制御部は、記録装置本体側に設けられている(不図
示)。
【0050】上述したような構成のインクジェット記録
装置2100は、前記記録媒体給送装置によってプラテン21
06上に搬送される記録用紙Pに対し、記録ヘッド2200が
前記記録用紙Pの全幅にわたって往復運動しながら記録
を行うものであり、記録ヘッド2200は上述したような方
法で製造したものを用いているため、高精度で高速な記
録が可能である。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば。
保護層と層間膜に挟まれた発熱抵抗層を絶縁体と金属か
らなる混合物で形成し、絶縁体に対する金属の割合は保
護層と層間膜の界面近傍で少なくするように形成したの
で、これにより、熱サイクルで温度変化が著しい発熱抵
抗層近傍における層間剥離やクラックの発生が防止また
は抑制される。
【0052】このような本発明によれば、故障率が少な
く寿命の長いインクジェット記録ヘッドを構成するため
の基体とこの基体を用いて構成されたインクジェット記
録ヘッドとを提供することができる。
【0053】また、良好なインク吐出を長期間に亘って
行うことのできるインクジェット記録ヘッドを構成する
ための基体とこの基体を用いて構成されたインクジェッ
ト記録ヘッドとを提供することができる。さらに、複数
の吐出口が高密度に配設され、高精細な画像を高速で記
録することのできるインクジェット記録ヘッドを構成す
るための基体とこの基体を用いて構成されたインクジェ
ット記録ヘッドとを提供することができる。
【0054】加えて、上述した優れたインクジェット記
録ヘッドに対して供給されるインクを貯溜するためのイ
ンク貯溜部を含むインクジェットペン、及びかかるイン
クジェット記録ヘッドが装着されるインクジェット記録
装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例のインクジェット記録ヘッドの基板の
概略平面図
【図2】図1のX-X'線で垂直に切断したときの基板の
断面図
【図3】図2の部分拡大図
【図4】本実施例のインクジェット記録ヘッドを用いた
記録装置の一例を示す外観斜視図
【符号の説明】
1001 吐出口 1002 電気熱変換素子 1003 インク流路 1004 基板 1005 発熱抵抗体 1006 電極配線 1007 絶縁膜 1008 流路壁 1009 共通液室 2000 基体 2001 シリコン基板 2002 蓄熱層 2003 層間膜 2004 発熱抵抗層 2005 金属配線 2006 保護層 2007 耐キャビテーション層 2008 熱作用部 2009、2010 絶縁体に対する金属割合の少ない
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 望月 無我 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 尾崎 照夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出するために利用される熱エ
    ネルギーを発生する複数の発熱抵抗体と、該発熱抵抗体
    の下層に設けられる層間膜と、前記発熱抵抗体を保護す
    る保護層と、を備えるインクジェット記録ヘッド用基体
    において、 前記発熱抵抗体は金属と絶縁体とから構成されていると
    ともに前記発熱抵抗体の界面近傍における金属の割合が
    前記発熱抵抗体の膜厚方向中央よりも少なくなっている
    ことを特徴とするインクジェット記録ヘッド用基体。
  2. 【請求項2】 前記金属が、Ta、Cr、Wから選ばれ
    た1種以上の金属であることを特徴とする請求項1に記載
    のインクジェット記録ヘッド用基体。
  3. 【請求項3】 前記絶縁体がSiO2、SiN、SiC である請
    求項1に記載のインクジェット記録ヘッド用基体。
  4. 【請求項4】 前記層間膜は、SiNもしくはSiO2である
    請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド用基体の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記保護層は、SiNもしくはSiO2である
    請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド用基体の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 インクを吐出するために利用される熱エ
    ネルギーを発生する複数の発熱抵抗体と、該発熱抵抗体
    の下層に設けられる層間膜と、前記発熱抵抗体を保護す
    る保護層と、を備えるインクジェット記録ヘッド用基体
    の製造方法において、 前記発熱抵抗体は金属とSiもしくはSi絶縁物とをそれ
    ぞれターゲットとした反応性多元スパッタリングにより
    形成されるとともに前記発熱抵抗体の界面近傍における
    絶縁体に対する金属の割合が前記発熱抵抗体の膜厚方向
    中央よりも少なくなっていることを特徴とするインクジ
    ェット記録ヘッド用基体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記金属が、Ta、Cr、Wから選ばれ
    た1種以上の金属であることを特徴とする請求項6に記
    載のインクジェット記録ヘッド用基体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記Si絶縁物がSiO2、SiN、SiC であ
    る請求項6に記載のインクジェット記録ヘッド用基体の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記スパッタリングは窒素、酸素、炭素
    の少なくともいずれか一つを含む反応性ガス雰囲気中で
    行われる請求項6に記載のインクジェット記録ヘッド用
    基体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記層間膜は、SiNもしくはSiO2であ
    る請求項6に記載のインクジェット記録ヘッド用基体の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 前記保護層は、SiNもしくはSiO2であ
    る請求項6に記載のインクジェット記録ヘッド用基体の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の
    基体と、 インクを吐出する吐出口と、 該吐出口に連通するとともに前記発熱抵抗体を内包する
    インク流路と、を備えることを特徴とするインクジェッ
    ト記録ヘッド。
  13. 【請求項13】 インクを吐出するために利用される熱
    エネルギーを発生する複数の発熱抵抗体と、該発熱抵抗
    体の下層に設けられる層間膜と、前記発熱抵抗体を保護
    する保護層と、を備えるインクジェット記録ヘッド用基
    体と、 インクを吐出する吐出口と、 該吐出口に連通するとともに前記発熱抵抗体を内包する
    インク流路と、を備えるインクジェット記録ヘッドの製
    造方法において、 前記発熱抵抗体は金属とSiもしくはSi絶縁物とをそれ
    ぞれターゲットとした反応性多元スパッタリングにより
    形成されるとともに前記発熱抵抗体の界面近傍における
    絶縁体に対する金属の割合が前記発熱抵抗体の膜厚方向
    中央よりも少なくなっていることを特徴とするインクジ
    ェット記録ヘッドの製造方法。
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