JPH05330047A - インクジェット記録ヘッド用基板、インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド用基板、インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置

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JPH05330047A
JPH05330047A JP14068392A JP14068392A JPH05330047A JP H05330047 A JPH05330047 A JP H05330047A JP 14068392 A JP14068392 A JP 14068392A JP 14068392 A JP14068392 A JP 14068392A JP H05330047 A JPH05330047 A JP H05330047A
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JP
Japan
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ink
recording head
substrate
heating resistor
jet recording
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JP14068392A
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Hirokazu Komuro
博和 小室
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 インクジェット記録ヘッド用基板において、
欠陥が少なく信頼性の高い保護膜構成を得る。 【構成】 発熱抵抗体層2や電極3a,3bの上部に形
成される保護膜41は、2つの層41aおよび41bよ
りなる。そしてこれら層41aと層41bとを合わせた
結果として生じる圧縮または引張りの残留応力を2.5
×109 dyn/cm2 以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録ヘ
ッド用基板、インクジェット記録ヘッドおよびインクジ
ェット記録装置に関し、特にインクを吐出し紙などの被
記録材に記録を行うインクジェット記録装置に用いられ
る記録ヘッドを構成するための基板に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、インクジェ
ット記録ヘッドに設けた吐出口からインク(記録液)を
吐出させ、これを紙などの被記録材に付着させて記録を
行う記録方式であり、騒音の発生が極めて少なく、かつ
高速記録が可能であり、しかも普通紙など、特別な記録
用紙を用いない場合でも記録が行えるという多くの利点
を有し、種々のタイプの記録ヘッドが開発されている。
【0003】なかでも、例えば、特開昭54−5183
7号公報およびドイツ公開(DOLS)第284306
4号公報に記載されているような熱エネルギーをインク
に作用させて吐出口から吐出させるタイプの記録ヘッド
は、記録信号に対する応答性が良く、オリフィスの高マ
ルチ化が容易であるなどの利点を有する。
【0004】このようなインク吐出エネルギーとして熱
エネルギーを利用するタイプの記録ヘッドの代表的構成
を図1(A)および(B)に示す。
【0005】この記録ヘッドにおいては、基板1の絶縁
性を示す表面上に、発熱抵抗体層2およびこれに電力を
供給して発熱させるための電極3が形成され、さらに、
これらの上部に保護層としての上部層4が形成される。
これにより、電気エネルギーをインク吐出のための熱エ
ネルギーに局所的に変換するための電気熱変換素子8が
形成される。そして、この基板1に、インク路6および
共通液室10等を形成するための凹部が形成された天板
5が接合される。
【0006】この記録ヘッドにおけるインクの吐出エネ
ルギーは、一対の電極3とこれら電極間に位置する発熱
抵抗体層2とを有する電気熱変換素子8によって付与さ
れる。すなわち、電極3に電流を流して、電気熱変換素
子8を発熱させると、この電気熱変換素子8の付近にあ
るインクが瞬間的に加熱されて気泡が発生し、その気泡
の発生による瞬間的な体積膨張と収縮による体積変化に
よって吐出口からインク滴が吐出される。
【0007】上述のような記録ヘッド構成における発熱
抵抗体層や電極上に設けられた保護層(上部層)は、イ
ンクとの接触やインクの浸透による発熱抵抗体および電
極における電蝕や電気的絶縁破壊を防止するという目的
で設けられるものである。このため、この保護層は、欠
陥が少なく、被覆性(ステップカバレージ)が良好でな
ければならない。
【0008】このような観点から、保護層を構成する材
料やその形成方法について種々の検討がなされている。
【0009】例えば、特開昭60−234850号公報
には、保護層にバイアススパッタ法で形成した層を用い
た構成が開示されている。このようにしてバイアススパ
ッタ法で保護層を形成すると、欠陥が少なく、被覆性
(ステップガバレージ)が良好になり耐久性が向上す
る。
【0010】ところが、バイアススパッタ法による膜は
残留応力が大きく、圧縮応力が従来のスパッタ方式に比
べて5〜10倍もある。このように圧縮応力が大きい膜
を用いると、保護層の段差部分にクラックが発生した
り、それが生じないにしても、駆動時に比較的低い電圧
で発熱抵抗体の破断が起き信頼性に劣ることがわかって
いる。
【0011】このような問題を解決するため、例えば特
開平2−515号公報に示されるように成膜条件を最適
化し、残留応力を小さくして耐久性を上げる方法が提案
されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例え
ば、フルラインタイプの記録ヘッドのように何千単位の
もの発熱抵抗体,電極を具えた記録ヘッドの場合、これ
ら発熱抵抗体等に対するインクの接触,インクの浸透を
防ぐため、これまでよりさらに低い欠陥密度、さらに良
好なステップカバレージが要求される。このため、この
要求に応じて成膜条件バイアス電圧を上げなければいけ
ない。
【0013】このような場合、上記特開平2−515号
公報に示される成膜条件では保護層のクラックを防止で
きても、結果として残留応力が大きくなり耐久性の劣化
が生じてしまう。
【0014】また、生産性を上げるために成膜速度を大
きくする場合、ターゲット投入電力を上げることになる
が、この場合には残留応力が大きくなる。
【0015】一方、バイアススパッタ法以外に、欠陥密
度が小さく、ステップカバレージ性が良好な成膜構成と
して、塗布型の無機保護層が提案されている(例えば、
特開平2−281951号公報)。
【0016】ところが、このような塗布型の無機保護層
は、その性質から層が形成されたときに引張り応力を生
じるのが一般的である。このような膜を保護層をして用
いると、塗布,ベーク後にクラックを生じることがあ
る。また、クラックが生じないとしても、耐久性の劣化
(特に熱ストレスに対する耐久性の劣化)が著しく、そ
れ単体では保護層として用いるのが不可能である。
【0017】以上のように、欠陥密度が比較的小さく、
ステップカバレージが良い方式として、バイアススパッ
タ法、塗布型無機保護層があるが、バイアススパッタ法
では残留圧縮応力が大きく、塗布型無機保護層では、引
張り応力が大きくなる傾向がある。このため、それぞれ
単体で用いると、後工程の熱処理によるクラックや剥離
を生じたり、耐久性が劣化することがある。
【0018】後工程の熱処理によって発生する剥離やク
ラックは、熱により残留応力の開放が起きることによっ
て生ずると考えられる。従って残留応力の開放の強さは
残留応力の大きさに依存しており、残留応力が大きけれ
ば大きいほど発生しやすい。
【0019】また、熱ストレス耐久試験(例えば、ステ
ップストレス試験等)においての耐久性の低下は、保護
層の残留応力に依存していると考えられる。
【0020】すなわちステップストレス試験は熱サイク
ルの加速試験であり、この試験では、保護層,発熱抵抗
体,基体等において熱膨張の繰返しが発生していると考
えられる。この場合に、残留応力が大きいとその熱膨張
の繰返しの時に保護層と発熱抵抗体界面に大きな力が加
わり、応力の開放がおこり、剥離やクラックが生じて耐
久性の低下をまねく。
【0021】さらに、欠陥密度が小さく、ステップカバ
レージが良いという点からバイアスステップ法,塗布型
の無機保護層を採用したが、バイアススパッタ法は、圧
縮応力が大きく、また、塗布型の無機保護層は引張り応
力が大きく、それぞれ単体では耐久性の低下により使用
できない。
【0022】本発明は、上記の観点に基づいてなされた
ものであり、欠陥が少なく信頼性の高い保護膜構成を有
したインクジェット記録ヘッド用基板、インクジェット
記録ヘッドおよびインクジェット記録装置を提供するこ
とを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】そのために本発明では、
基体上に、発熱抵抗体と該発熱抵抗体に電気的に接続さ
れた対の電極と、前記発熱抵抗体および前記対の電極の
上部に設けられた上部層とを有するインクジェット記録
ヘッド用基板において、前記上部層は少なくとも2層以
上からなり、当該残留応力の合計が、圧縮応力を負で示
す場合に、−2.5×109 dyn/cm2 以上2.5
×109 dyn/cm2 以下としたことを特徴とする。
【0024】また、インクを吐出するためのインクジェ
ット記録ヘッドにおいて、基体上に、発熱抵抗体と該発
熱抵抗体に電気的に接続された対の電極と、前記発熱抵
抗体および前記対の電極の上部に設けられた上部層とを
有するインクジェット記録ヘッド用基板であって、前記
上部層は少なくとも2層以上からなり、当該残留応力の
合計が、圧縮応力を負で示す場合に、−2.5×109
dyn/cm2 以上2.5×109 dyn/cm2 以下
とした基板を具えたことを特徴とする。
【0025】さらに、被記録媒体にインクを吐出して記
録を行うインクジェット記録装置において、インクを吐
出するための記録ヘッドであって、基体上に、発熱抵抗
体と該発熱抵抗体に電気的に接続された対の電極と、前
記発熱抵抗体および前記対の電極の上部に設けられた上
部層とを有するインクジェット記録ヘッド用基板を有
し、該基板の前記上部層は少なくとも2層以上からな
り、当該残留応力の合計が、圧縮応力を負で示す場合
に、−2.5×109 dyn/cm2 以上2.5×10
9 dyn/cm2 以下とした記録ヘッドを具えたことを
特徴とする。
【0026】
【作用】以上の構成によれば、2層以上からなる上部層
は、上記2層の各層の残留応力が 相殺し合うように構
成することができる。これにより、上記上部層全体とし
て残留応力を比較的小さな値とすることができ、この値
を所定値以下とすることにより、クラック等を生ぜず、
信頼性の高い保護膜を得ることができる。
【0027】
【実施例】以下に、図面を参照して本発明の実施例を詳
細に説明する。
【0028】図2は本発明のインクジェット記録ヘッド
用基板の一例の構成を示す図であり、このうち図2
(A)は、その主要部の平面図、図2(B)は、図2
(A)のX−Y線断面図がある。
【0029】この基板は、基体1上に一対の電極3a,
3bと発熱抵抗体層2とからなる電気熱変換体8が形成
される。さらにこれら電極3a,3bおよび発熱抵抗体
層2の上部に保護層として、層41,層42,および層
43が形成される。また、層41は2つの絶縁層41a
および41bからなる。ここに示される基体1,電極3
a,3b,発熱抵抗体層2aとしては、公知のインクジ
ェット記録ヘッド用基板において用いられているものと
同様である。
【0030】保護層を構成する層41は、層41aおよ
び41bそれぞれの厚さを制御することにより、合計の
残留応力の大きさが2.5×109 dyn/cm2 以内
となるようにする。この値は各層単膜の場合の残留応力
に基づいて算出したものであり、実際に成膜して確認さ
れる。
【0031】ここで残留応力σは、以下のようにして求
めることができる。例えば、長いたんざく状のガラスに
薄膜を形成し、そのガラスの反り量を測定してこれをδ
としたとき
【0032】
【数1】
【0033】で算出することができる。
【0034】E:ガラスのヤング率 ν:〃のポアソン比 b:〃の厚さ l:〃の長さ d:薄膜の厚さ δ;基板先端の変位(反り量) 保護層としての層41の一方の材料としては、バイアス
スパッタ法で作成できる材料であれば良く、例えばSi
2 ,WO3 ,Ta25 の他、金属酸化物,Si3
4 ,slNなどの高抵抗窒化物などの材料をあげること
ができる。
【0035】また、層41の他方の材料としては、塗布
型の無機保護膜として、SiO2 ,PSG,BSG,T
iO2 などを挙げることができる。
【0036】また、層42は、高融点金属W,Mo,T
aなどによって形成され、耐キャビティーション層とし
て機能する。さらに、層43はポリイミドなど有機物よ
りなり、耐インク層として機能する。
【0037】以下、具体的実施例を詳細に説明する。
【0038】図2(A)および(B)に示すような構成
のインクジェット記録ヘッド用基板を以下のように作成
した。
【0039】まず、熱酸化によって形成されたSiO2
膜(厚さ5μm)を有する基体としてのシリコンウェハ
ー1上に、発熱抵抗体層2としてHfB2 をスパッタ法
で膜厚0.2μmに積層した。
【0040】次に、電極層3a,3bとして、Alを膜
厚0.6μmに蒸着させ、さらにフォトリソ技術を用い
てこれらの層をパターニングし、一対の電極3a,3b
間に電気熱変換体8を形成した。
【0041】続いて、基体(シリコンウェハー)1上の
電気熱変換体8の上部にバイアススパッタ法によるSi
2 膜(層41aまたは41b)と、塗布によるSiO
2 膜(層41bまたは41a)との2層からなるSiO
2 膜(層41)を、総合の厚さが1.0μmで形成し
た。
【0042】ここで、バイアススパッタSiO2 膜の条
件は、 スパッタガス Ar スパッタガス圧 5×10-1Pa 基板ターゲット間距離 80mm スパッタパワー 7.6W/cm2 バイアス電圧 −200V とした。膜厚はスパッタ時間で調整した。
【0043】また、塗布SiO2 膜は、東京応化製OC
D Type7を、スピンコータで塗布し、ポストベー
クは、窒素中で600℃,30分間行った。ここで、膜
厚はスピンコータの回転数によって調整した。
【0044】次に、層41上にTaからなる層42(膜
厚0.1μm)をスパッタで積層し、さらにポリイミド
層(膜厚3.0μm)43を設けてインクジェット記録
ヘッド用基板を得た。
【0045】なお、層42は、残留応力が少ない条件で
成膜したものであり、また層42の膜厚は比較的薄いた
め、この層による残留応力は無視できるものである。
【0046】以上のようにして得られた基板番号1〜1
2で示される各SiO2 膜の厚さが異なる12個の基板
ついて、ステップストレス試験をして評価を行った。ま
た、この試験とは別に、上記12個の基板のそれぞれに
おける層41と同様の層、すなわち、各SiO2 膜だけ
を上述と同様にしてガラス基体上に形成し、その残留応
力を上記(1)式に関して説明した方法により測定し
た。
【0047】これら評価結果と残留応力の測定結果を以
下の表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】上記ステップストレス試験においては、一
対の電極3a,3b間に周波数3kHz、パルス幅10
μsecの矩形波を、その電圧を徐々に増しながら印加
し、破断電圧を測定した。そして、この測定された破断
電圧(Vb)から以下の式によってMを求めた。
【0050】
【数2】M=Vb/Vth (2) ここで、Vth:発泡電圧 この式によって求められる値Mは、基板の発熱抵抗体の
信頼性を示すものである。例えば、この値は、製品形態
時の信頼性評価のための熱ストレスの加速試験の評価に
用いられる値である。すなわち、この値が1.3以下で
あると、製品として実用できないことを意味する。
【0051】そこで、上記表1に示される基板の評価に
おいてMの値が1.3を越えた場合を「○」、Mが1.
3以下の場合を「△」、後工程の熱処理で割れ等が認め
られた場合を「×」とした。
【0052】上記表1から明らかなように、問題のない
基板は、基板番号で3〜5および8〜10で示されるも
のであり、これらの残留応力は、−2.5×109 dy
n/cm2 以上2.5×109 dyn/cm2 以下であ
ることが解る。
【0053】なお、上記実施例では、それぞれバイアス
スパッタ法および塗布によって保護層を形成する場合に
ついて述べたが、各保護層の結果としての残留応力が上
記条件を満たせば、他の成膜方法、例えばCVD,PE
CVD,ECR−CVDなどによって各保護層を形成し
てもよい。
【0054】また、上記実施例では、保護膜が2層から
なるものとしたが、合計の残留応力が所定値以下となる
のであれば、2層以上によって保護膜を形成してもよ
い。
【0055】図3は上記実施例の基板を用いて構成され
る記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置の要部を
示す概略斜視図である。
【0056】図3において、記録ヘッド11は、その記
録紙17と対向する面に、記録紙17の搬送方向に複数
のインク吐出口(不図示)を具える。また、記録ヘッド
11には、これらの吐出口それぞれに連通してインク路
(不図示)が設けられ、それぞれのインク路に対応し
て、記録ヘッド11を構成する上記基板にインク吐出の
ための熱エネルギーを発生する上述の電気熱変換体が形
成されている。電気熱変換体は、駆動データに応じてこ
れに印加される電気パルスによって熱を発生し、これに
より、インクに膜沸騰を生じこの膜沸騰による気泡の生
成に伴って上記吐出口からインクが吐出される。各イン
ク路には、これらに共通に連通する共通液室が設けられ
ており、これに貯留されるインクは、各インク路での吐
出動作に応じてそのインク路に供給される。
【0057】キャリッジ12は、記録ヘッド11を搭載
し、また、記録紙17の記録面と平行に延在する1対の
ガイドレール13と摺動可能に係合する。これにより、
記録ヘッド11は、ガイドレール13に沿って移動する
ことができ、この移動に伴って所定のタイミングで上記
記録面に向けてインクを吐出することにより記録を行
う。上記移動の後、記録紙17を、図中矢印方向に所定
量搬送し、再び上記移動を行い記録を行う。このような
動作を繰り返すことにより、記録紙17に、順次記録を
行っていく。
【0058】上述した記録紙17の搬送は、その記録面
の上下にそれぞれ配設された各々一対の搬送ローラ14
および15が回転することによって行われる。また、記
録紙17の記録面の裏側には、記録面の平面性を保つた
めのプラテン16が配設されている。
【0059】なお、上述したキャリッジ12の移動は、
これに取付けられる不図示の例えばベルトがモータによ
って駆動されることによって可能となり、また、搬送ロ
ーラ14および15の回転も同様にモータの回転がこれ
らに伝達されることによって可能となる。
【0060】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が
達成できるからである。
【0061】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐
出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第4463359号明細書,同第
4345262号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第4313124号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。
【0062】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書,米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭59−138461号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。
【0063】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0064】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0065】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或
はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げるこ
とができる。
【0066】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0067】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状
態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せし
めることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発
を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化す
るインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの
記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イ
ンクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与
によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も
本発明は適用可能である。このような場合のインクは、
特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−7
1260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部
または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態
で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても
よい。本発明においては、上述した各インクに対して最
も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもので
ある。
【0068】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0069】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、2層以上からなる上部層は、上記2層の各層
の残留応力が 相殺し合うように構成することができ
る。これにより、上記上部層全体として残留応力を比較
的小さな値とすることができ、この値を所定値以下とな
ることにより、クラック等を生ぜず、信頼性の高い保護
膜を得ることができる。
【0070】この結果、信頼性,耐久性の高いインクジ
ェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)および(B)は、インクジェット記録ヘ
ッドの構成の一例を示すそれぞれ断面図および分解斜視
図である。
【図2】(A)および(B)は本発明の一実施例にかか
る記録ヘッド用基板のそれぞれ平面図および断面図であ
る。
【図3】本発明による基板を用いて構成されるインクジ
ェット記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置の一
例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1 基体 2 発熱抵抗体 3 電極 4 保護層 5 天板 6 流路 7 オリフィス 8 発熱抵抗体 9 貫通孔 10 液室

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に、発熱抵抗体と該発熱抵抗体に
    電気的に接続された対の電極と、前記発熱抵抗体および
    前記対の電極の上部に設けられた上部層とを有するイン
    クジェット記録ヘッド用基板において、 前記上部層は少なくとも2層以上からなり、当該残留応
    力の合計が、圧縮応力を負で示す場合に、−2.5×1
    9 dyn/cm2 以上2.5×109 dyn/cm2
    以下としたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド
    用基板。
  2. 【請求項2】 インクを吐出するためのインクジェット
    記録ヘッドにおいて、 基体上に、発熱抵抗体と該発熱抵抗体に電気的に接続さ
    れた対の電極と、前記発熱抵抗体および前記対の電極の
    上部に設けられた上部層とを有するインクジェット記録
    ヘッド用基板であって、 前記上部層は少なくとも2層以上からなり、当該残留応
    力の合計が、圧縮応力を負で示す場合に、−2.5×1
    9 dyn/cm2 以上2.5×109 dyn/cm2
    以下とした基板を具えたことを特徴とするインクジェッ
    ト記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 被記録媒体にインクを吐出して記録を行
    うインクジェット記録装置において、 インクを吐出するための記録ヘッドであって、 基体上に、発熱抵抗体と該発熱抵抗体に電気的に接続さ
    れた対の電極と、前記発熱抵抗体および前記対の電極の
    上部に設けられた上部層とを有するインクジェット記録
    ヘッド用基板を有し、該基板の前記上部層は少なくとも
    2層以上からなり、当該残留応力の合計が、圧縮応力を
    負で示す場合に、−2.5×109 dyn/cm2 以上
    2.5×109 dyn/cm2 以下とした記録ヘッドを
    具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
JP14068392A 1992-06-01 1992-06-01 インクジェット記録ヘッド用基板、インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置 Pending JPH05330047A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017213860A (ja) * 2016-05-27 2017-12-07 キヤノン株式会社 液体吐出ヘッドおよびその製造方法、並びに記録方法

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