JPH10111219A - クライオスタットミクロトーム - Google Patents

クライオスタットミクロトーム

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JPH10111219A
JPH10111219A JP9265733A JP26573397A JPH10111219A JP H10111219 A JPH10111219 A JP H10111219A JP 9265733 A JP9265733 A JP 9265733A JP 26573397 A JP26573397 A JP 26573397A JP H10111219 A JPH10111219 A JP H10111219A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度変化に関して高いダイナミクスを実現
し、それに伴って標本の様々なコンテンシステンシーへ
の迅速な適応を得る。 【解決手段】 クライオスタットチャンバ(1)と、そ
の中に配置された標本ホルダ(4)と、カッタホルダ
(8)とを含むミクロトーム(2)とを有するクライオ
スタットミクロトームである。本発明によれば、冷却可
能な標本ホルダと、冷却可能なカッタホルダとを設ける
ことが提案され、標本ホルダの温度とカッタホルダの温
度は互いに無関係に調整自在である。カッタと標本を自
在に、互いに無関係に温度を調整することにより、きわ
めて高品質のスライスが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はクライオスタットミ
クロトーム、すなわち、クライオスタットチャンバと、
クライオスタットチャンバの中に配置され、標本ホルダ
と、それと協働するカッタホルダとを含むミクロトーム
とを有するミクロトームクライオスタットに関する。
【0002】
【従来の技術】上記の種類のクライオスタットミクロト
ームは既に以前から知られており、通常は、後に顕微鏡
で解析すべき薄いスライスを標本から切取るために使用
される。この目的のために、クライオスタットミクロト
ームは冷却されるクライオスタットチャンバを有し、そ
のチャンバの中に、切断すべき標本を保持する標本ホル
ダと、標本ホルダに対して移動自在であり、標本から前
述のスライスを切取るカッタが装着されているカッタホ
ルダとが設けられている。この場合、凍結させることに
より、準備された標本を切断するために、冷却が必要で
ある。切断すべき標本の最適温度を実験により検出する
が、この温度は標本のコンシステンシーに応じて標本ご
とに異なる。クライオスタットチャンバを有する従来の
クライオスタットミクロトームの冷却は、様々に異なる
態様と方式で行われていた。
【0003】米国特許第4,548,051号に示され
たクライオスタットミクロトームにおいては、先に説明
したのと同様の構成であり、切断すべき標本が適切な温
度となるまでクライオスタットチャンバ内部の空気を冷
却する中央冷却手段により冷却される。WO 87/0
2130号も先に説明したクライオスタットミクロトー
ムを示している。この場合には、冷却はクライオスタッ
トチャンバの空気温度を冷却する中央冷却手段と、ペル
チエ素子の形態をとり、切断すべき標本の温度の精密調
整を行うことができる標本ホルダの追加冷却とを介して
行われる。さらに、従来の技術においては、周囲空気中
で動作し、クライオスタットチャンバの中にはないミク
ロトームも知られている。この場合、カッタと標本を密
閉形クライオスタットチャンバ内のように中央冷却によ
って冷却することはできないので、標本ホルダとカッタ
ホルダの双方にそれぞれ冷却手段が設けられており、そ
れらの冷却手段を介して標本ホルダとカッタホルダを冷
却できる。このようなミクロトームの場合、カッタホル
ダとカッタは所定の一定の温度に冷却されるが、標本ホ
ルダにある標本の温度は調整自在である。周囲に温かい
空気がミクロトームを余りに高い温度まで温めてしまう
ので、このようなクライオスタットミクロトームは通常
は特に低い温度には達しない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、改善
された特性を備えたクライオスタットチャンバを有する
冒頭に提示したクライオスタットミクロトームを提供す
ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の基本思想は、標
本ホルダの温度と、カッタホルダの温度が互いに無関係
に調整自在であることに見られる。「調整自在である」
ということは、本発明によれば、ユーザによりある温度
範囲内で温度を選択でき、選択された温度に従って調整
機構により温度を制御することであると理解すべきであ
る。このような構成により一連の特別の利点が得られ
る。すなわち、スライスの品質は標本の温度に加えてカ
ッタの温度によっても著しく左右されることがわかって
いる。従って、カッタホルダと、それに固定されたカッ
タの温度を別個に調整自在とすることにより、標本ホル
ダとカッタホルダとについて、カッタと標本とに関して
それぞれ異なっていても良い最適の温度が設定されるた
め、標本のスライスを著しく改善することができる。さ
らに、クライオスタットチャンバを有するクライオスタ
ットミクロトームではこれまで知られていなかった特徴
として、冷却手段がカッタホルダに直接に設けられてい
るので、クライオスタットチャンバ内の室温をクライオ
スタットチャンバを有する従来のクライオスタットミク
ロトームで必要であったようにごく低い値に保持する必
要はもはやない。これにより、特に、チャンバを冷却す
るために必要とされるエネルギーが少なくてすむと共
に、冷却手段の寸法を非常に小さくでき、そのために、
ミクロトームクライオスタット全体の大きさを縮小でき
るという利点が得られる。また、カッタと標本を、ま
ず、室温を経て冷却する必要がなくなり、それら2つは
直接に冷却されているので、ミクロトームクライオスタ
ットを従来のクライオスタットチャンバを有するミクロ
トームクライオスタットと比べて著しく急速に稼動させ
ることができる。
【0006】標本ホルダ及びカッタホルダの温度調整の
ための手段として、様々な可能性が考えられる。たとえ
ば、良く知られている2点調整装置の形態で冷却制御を
行うことができる。その場合、設定温度を下回ったとき
は冷却をオフし、設定温度を越えたときには再び冷却を
オンすることになる。しかしながら、カッタホルダと標
本ホルダを互いに無関係に冷却,加熱可能にすることに
よっても、温度調整を実行できる。たとえば、1つの可
能性として、標本ホルダ又はカッタホルダにおける冷却
及び加熱のためにペルチエ素子を設け、ペルチエ素子に
印加される電圧の技術的電流方向に従ってペルチエ素子
を加熱又は冷却することも考えられる。さらに、ペルチ
エ素子の冷却のために、カッタホルダ及び標本ホルダ
に、冷却手段に接続する小型の蒸発器を設けるべきであ
ろう。
【0007】カッタの温度と、切断すべき標本の温度を
通常はそれほど低く設定しなくても良いので、カッタホ
ルダにペルチエ素子の代わりに、ペルチエ素子と比較し
て低コストであり、カッタホルダの温度の調整及び/又
は制御のために蒸発器の温度に対して規定される通りに
発熱する電気加熱素子を組込むことも可能である。標本
ホルダ及びカッタホルダの冷却は主にそれらのホルダに
装着された蒸発器によって行われるが、クライオスタッ
トチャンバの中に、クライオスタットチャンバ内部の空
気温度を下げる追加の蒸発器を設けるとさらに有利であ
る。ただし、この場合に設定すべきクライオスタットチ
ャンバの空気温度は、従来のクライオスタットチャンバ
を有するクライオスタットとは異なり、切断すべき標本
又はカッタの温度を大幅に上回っていて良い。
【0008】ミクロトームを冷却するためのエネルギー
需要をできる限り少なく保ち、それに伴って冷却手段を
できる限り小型にするために、冷却すべき部品の数を少
なくし、且つクライオスタットチャンバも小さいままに
保持できるように、クライオスタットチャンバの中に設
けられるミクロトームの部品の数をできる限り少なくす
べきであろう。さらに、クライオスタットチャンバを温
めてしまう可能性がある、たとえば、電動機などの電子
素子もクライオスタットチャンバの外に配置すべきであ
ろう。すなわち、ミクロトームの一部はクライオスタッ
トチャンバの内部に配置され、残る部分はクライオスタ
ットチャンバの外に配置されていることになる。クライ
オスタットチャンバの内部に位置する部分と、クライオ
スタットチャンバの外側に位置する部分との間から漏れ
出る冷気を少なくし、同時にミクロトームのできる限り
高い安定性を確保するために、ミクロトームのクライオ
スタットチャンバの内部に位置する部分と、ミクロトー
ムのクライオスタットチャンバの外側に位置する部分と
の間の移行領域では、専らVA鋼製の構成要素のみを使
用すべきであろう。
【0009】標本ホルダとカッタホルダを非常に短い時
間の中で設定された動作温度まで冷却させる場合には、
クライオスタットミクロトームを使用できると特に有利
である。これは、冷却手段に2つの冷却サイクルが設け
られていると特に十分な冷却を可能にする。その場合、
第2の冷却サイクルは、標本ホルダ及びカッタホルダの
蒸発器に接続しており、同軸熱交換器を解して第1の冷
却サイクルにより既に予備冷却されている。本発明のそ
の他の利点及び発展形態は図面から明らかになる。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は本発明によるクライオスタ
ットミクロトームのごく概略的な側面図であり、クライ
オスタットミクロトームの輪郭と共に、クライオスタッ
トミクロトームの区分のみを示す。図1において、図中
符号1はクライオスタットチャンバであり、57は電子
制御・調整素子を収容するためのチャンバであり、56
は冷却手段の重要な構成要素を収容するためのチャンバ
である。
【0011】図2は、図1に示す本発明によるクライオ
スタットミクロトームのミクロトーム2が内蔵されてい
るクライオスタットチャンバ1の部分図であるが、これ
は一定の縮尺に従って示されたものではない。また、一
般に、ミクロトーム2の真に機械的な構成要素に限って
図示してあり、たとえば、電気導線,冷却手段の接続部
などの詳細は省略されている。ミクロトーム2は、切断
すべき標本5を固定する冷却可能な標本ホルダ4を含
む。この標本ホルダ4を冷却するために、コネクタ5
0,51を介して後述する冷却手段に接続される小型蒸
発器7が標本ホルダ4に設けられている。小型蒸発器7
が発生する温度は蒸発器によっては調整不可能であるの
で、印加される電流の流れる方向に従って冷却又は加熱
することができるペルチエ素子6が蒸発器7にさらに装
着されている。これにより、切断すべき標本5の条件に
応じて、標本ホルダの温度を非常に精密に調整できる。
【0012】ミクロトーム2は冷却可能なカッタホルダ
8をさらに有する。カッタホルダ8はカッタ9又は使い
捨てブレードを保持するもので、標本5を固定した標本
ホルダ4をカッタ又は使い捨てブレードの切断エッジに
沿って移動させることにより、標本5から円板状の薄片
を切取る。この切取り過程を実施するための精密な機構
については、以下にさらに詳細に説明する。
【0013】カッタホルダ8を冷却するために、カッタ
ホルダ8の下部領域にも、コネクタ12,13を介して
冷却手段に接続する蒸発器10が設けられており、この
蒸発器10も同様にカッタホルダ8をカッタ9を含めて
十分に長い時間にわたりできる限り一定の値の温度に冷
却する。これにより得られる温度はカッタ9又はブレー
ド全体の設定自在の温度には十分であるので、この温度
を調整するために、カッタホルダ8の蒸発器の下方にの
み電気加熱素子11が設けられている。カッタホルダ8
の温度を調整するときには、カッタホルダ8が所望の温
度に達するまでの時間,加熱素子11の加熱パワーを単
純に増加させる。
【0014】従って、標本ホルダ4の温度と、カッタホ
ルダ8の温度とは互いに無関係に調整自在である。温度
を調整するために、カッタホルダ8と標本ホルダ4は互
いに無関係に蒸発器7,10又はペルチエ素子6を介し
て冷却可能であると共に、ペルチエ素子6及び加熱素子
11を介して加熱可能である。カッタホルダ8と、標本
ホルダ4には共に温度センサ36,37が設けられてお
り、それらの温度センサは標本の領域の標本ホルダ4の
実際の温度と、カッタの領域のカッタホルダ8の実際の
温度を測定する。温度センサ36,37により得られる
温度測定値が一般に標本ホルダ4と、カッタホルダ8と
について異なる目標温度に相応するように、図示しない
制御手段によって、標本ホルダ4とカッタホルダ8の温
度をそれぞれ事前に設定された目標温度に制御する。ク
ライオスタットチャンバ自体の温度は、これとは逆に別
個には制御されない。
【0015】次に、図2を参照して、標本ホルダ4をそ
れに固定された標本5と共にカッタホルダ8のカッタ9
に沿って移動させるためのミクロトームの精密な機構を
説明する。このとき、標本5を切取るために、標本ホル
ダ4を両方向矢印14に従って往復運動させる。この運
動を得るために、標本ホルダ4はシャシを形成する2つ
の側方部材15(一方のみを図示する)の間で矢印14
の方向に移動自在に案内される。この目的のために、側
方部材15の内壁にはそれぞれV字形の溝17があり、
詳細には図示されていないが、標本ホルダ4に固定され
たローラがそれらの溝17に係合している。この場合、
ローラは、それぞれ1つのローラがV溝の一方の辺に沿
って走り、その下方に位置するローラはV溝の他方の辺
に沿って走るという動作を交互に行うように標本ホルダ
4に配設されている。このような案内構造は当業者には
十字ローラ案内構造の概念の下で知られているので、こ
こでは詳細には説明しない。標本ホルダ4の背面には、
標本ホルダ4を上下に往復運動させる働きをする水平の
溝19がある。この溝19に沿って溝石が水平方向に摺
動自在に案内されている。回転自在の軸21のレバー2
2にある突起20は溝石を貫通する穴に係合する。軸2
1が回転すると、レバー22の水平方向運動成分によっ
て溝石は溝19の中で水平に動き、また、レバーの垂直
方向運動成分によって標本ホルダ4は上下に動く。
【0016】図2から明らかであるように、軸21はク
ライオスタットチャンバ1の外にある駆動装置25を介
して回転される。このために、軸21はクライオスタッ
トチャンバ1の断熱壁24を貫通するスリーブ23の中
を回転自在に案内される。上記の駆動装置25は、図1
に示すとおり、電動機の形態で構成されていても良い
が、クライオスタットミクロトームの側方に装着された
ハンドル車によって駆動されるハンドル車伝動装置の形
態をとっていても良い。カッタ9を矢印16の方向に送
り出すときには、次のような操作が行われる。すなわ
ち、カッタホルダ8は2つの相前後して位置する管26
(図2にはその一方のみを示す)に装着されており、適
切な案内部材を介してカッタホルダ8をスリーブ27の
中へ矢印16の方向に移動自在に通してある。図2から
も明らかであるように、カッタホルダはクライオスタッ
トチャンバ1の内部にあるが、管26の他方の端部はク
ライオスタットチャンバ1の外にある。カッタホルダ8
を矢印16の方向に移動させるために、ブリッジ28が
管26を連結しており、ブリッジの中心には、ここでは
詳細には説明しないナットが設けられている。このナッ
トは、ステップモータ47により駆動されるねじスピン
ドル52と連結している。この場合、カッタホルダ8を
矢印16の方向に摺動させるべきときには、単純にステ
ップモータ47により上記のねじスピンドル52を回転
させ、その結果、ねじスピンドルに螺合されたブリッジ
28のナットは矢印16の方向に往復運動する。言うま
でもなく、ステップモータ47とナットの位置を置き換
えることも可能である。その場合、ステップモータ47
はブリッジ28にあり、ナットは図2でステップモータ
47が配置されている場所にある。
【0017】ミクロトーム自体は、カッタホルダの送出
し運動の運動方向が斜め上又は斜め下となるように、ク
ライオスタットチャンバの傾斜した後壁に配置されてい
る。同時に、組込み高さも、ミクロトームの最も下方の
位置にある構成要素とクライオスタットチャンバの底面
との間に5cmから10cmの自由空間が残り、そのため、
クライオスタットチャンバ内部に落下したスライスくず
を容易に清掃できるように選択されている。
【0018】さらに、クライオスタットチャンバ1の中
にはフィン付蒸発器29があることを指摘しておく。こ
のフィン付蒸発器29はカッタホルダ8に配置された蒸
発器及び標本ホルダ4に配置された蒸発器に加えてクラ
イオスタットチャンバ1の空気温度を冷却する。カッタ
ホルダ8と標本ホルダ4は別個に冷却されるので、クラ
イオスタットチャンバ1の空気温度を標本ホルダ4又は
カッタホルダ8の温度にそれ以上相応させる必要がない
ため、フィン付蒸着器29を相対的に小型にすることが
できる。従来のクライオスタットミクロトームではクラ
イオスタットチャンバの空気温度を−55°、さらには
−60°まで冷却しなければならなかったが、本発明に
よるクライオスタットミクロトームの場合には、空気温
度を−20°に冷却すれば十分である。空気温度が−2
0°であるとき、カッタホルダは−35°の温度にな
り、標本ホルダ4はペルチエ素子6によりさらに−55
°まで冷却可能である。先に述べた通り、これによりエ
ネルギーを節約でき、このことは冷却手段を著しく小型
にでき、それに伴って言うまでもなくクライオスタット
ミクロトーム自体も著しく小型にできることによっても
わかる。標本ホルダ4及びカッタホルダ8の直接冷却の
もう1つの利点として、クライオスタットチャンバ1の
空気温度のほうが高いことが生じさせるスライス品質の
劣化が少なくなるという点が挙げられる。従って、ミク
ロトームからクライオスタットチャンバの上端部までの
距離もきわめて短く構成することもでき、それも人間工
学の観点から有効である。
【0019】必要な冷却パワーをさらに減少させるため
に、クライオスタットチャンバ1はクライオスタット壁
24を介して十分に断熱されている。この場合、クライ
オスタット壁24は、十分な断熱特性をもつフォーム材
料層32により包囲されたVA鋼板容器30から構成さ
れている。さらに、クライオスタットチャンバ1は図に
は詳細に示されていないプラスチック板又はガラス板に
よって覆われている。加えて、ミクロトーム2の大きな
部品はクライオスタットチャンバ1の外側に配置されて
いるため、クライオスタットチャンバ1はできる限り小
型になると共に、共に冷却すべきミクロトームの部品は
少なくてすむ。また、たとえば、ステップモータ47又
は駆動装置25などの、特に電子部品から発する排熱に
起因する加熱を回避するために、それらの電子部品はク
ライオスタットチャンバ1の外に配置されている。ミク
ロトーム2の一部はクライオスタットチャンバ1の内部
にあり、残る部分はクライオスタットチャンバ1の外に
配置されているので、クライオスタットチャンバ1の内
部に配置されている構成要素と、クライオスタットチャ
ンバ1の外側に配置されている構成要素との間の移行領
域には専らVA鋼が使用されている。従って、管26,
スリーブ27,軸21及びスリーブ23はVA鋼から製
造されている。この材料を選択すると、熱伝導率の非常
に低い材料が使用される一方で、剛性は非常に高くなる
という点で特に有利である。ミクロトーム2全体の剛性
をさらに向上させるために、スリーブ27とスリーブ2
3はブリッジ(33,34,35)を介して一層補強さ
れている。
【0020】次に、図3を参照してクライオスタットミ
クロトームの冷却手段を説明する。冷却手段の一部はク
ライオスタットチャンバ1の内部にあり、他の部分はク
ライオスタットミクロトームのチャンバ56の中にある
(図1を参照)。正確にいえば、図示した冷却手段の場
合、2つの冷却サイクル43,44が互いに直列に接続
されており、そのうち第1の冷却サイクル43は予備冷
却に使用され、第2の冷却サイクル44は標本ホルダ4
及びカッタホルダ8にある蒸発器7,10と、フィン付
蒸発器29とを介して流れる。第1の冷却サイクル43
は液化器39を有し、スロットル42又は毛管を経て同
軸熱交換器38に至り、圧縮機37を経て再び液化器3
9に戻る。この場合、同軸熱交換器38では、第1の冷
却サイクル43により後述する第2の冷却サイクル44
のための冷却剤を予備冷却する。そこで、同軸熱交換器
38は第1の冷却サイクルに対しては、気化する冷却剤
によって第2の冷却サイクル44を冷却する蒸発器のよ
うに作用する。第2の冷却サイクル44は第1の冷却サ
イクルと同じように構成されている。この場合にも、冷
却装置で通常見られるようなスロットル40,41又は
毛管が設けられており、スロットルの出口端はフィン付
蒸発器29及びカッタホルダ8の蒸発器10又は標本ホ
ルダ4の蒸発器7と接続している。蒸発器7,10の出
口端は、圧縮された蒸気状の冷却剤を再び液化器39へ
供給する圧縮機36と同様に接続している。以上説明し
た二分割構造の冷却サイクルは、第2の冷却サイクル4
4が既に予備冷却されているという利点を有する。これ
により、クライオスタットチャンバ1又はクライオスタ
ットミクロトーム2を相対的に短い時間の中で動作温度
まで冷却することができる。さらに、クライオスタット
ミクロトーム2を冷却サイクル43のみを同軸熱交換器
38の予備冷却のために動作させる待機モードに相対的
に容易に切り換えることができる。待機モードでは、冷
却サイクル44をオフできる。
【0021】従って、蒸発器(7,10,29)は、同
軸熱交換器38を有する冷却サイクルの構成要素であ
る。さらに、冷却サイクルは、液化器39と、圧縮機
(36,37)の少なくとも一方はクライオスタットチ
ャンバ1の背後の、クライオスタットチャンバ1と同じ
高さに位置するように構成されている。これは、持ち運
びしやすく且つ問題なくテーブルに載せることができる
相対的に小型のクライオスタットミクロトームを提供で
きるという点で特に有利である。
【0022】さらに、標本ホルダの蒸発器7及びカッタ
ホルダの蒸発器10並びにフィン付蒸発器29は、それ
ぞれ独自のスロットル40,41を有する第2の冷却サ
イクル44の2つの並列に接続する部分サイクルにそれ
ぞれ配置されていることを指摘しておく。この構造によ
り、全ての蒸発器が直列に接続している1サイクルの冷
却サイクルと比べて、圧力の問題は起こりにくくなる。
また、標本ホルダの蒸発器7に対して別個の部分サイク
ルを設けることにより、最低温度はより低くなる。カッ
タとクライオスタットチャンバの温度は原則として標本
温度より高いと考えられるので、付属するする蒸発器
(10,29)は直列に接続されている。ただし、コス
トがやや高くなるという欠点はあるが、3つの蒸発器の
全てに対して部分サイクルを分離し、それらのサイクル
にそれぞれ独自のスロットルを設けることも可能であ
る。
【0023】クライオスタットミクロトームは、外部付
属装置への接続を可能にするコネクタをさらに有してい
ると有利である。たとえば、カッタホルダは一部のみ図
示されている吸込み手段55を有し、切取るべき標本5
の切断時に落下したスライスくずをこの吸込み手段を介
して吸取る。この手段を利用したいときには、クライオ
スタットミクロトームの背面に、吸込み手段55と接続
する、詳細には図示されていないコネクタなどを設ける
ことができ、低圧を発生させる装置をそのコネクタに接
続し、その低圧によってスライスくずをカッタホルダ8
の吸込み手段55を介して吸取る。同様に、クライオス
タットミクロトームの背面に、クライオスタットミクロ
トームのクライオスタットチャンバを殺菌する殺菌装置
に対応するコネクタを設けることも考えられる。
【0024】続いて、本発明がここで示した実施形態に
全く限定されないことを述べておくべきである。この実
施形態を展開させた全ての実施形態は本発明に含まれる
と認識すべきである。たとえば、冷却サイクルを一つの
冷却サイクルとして構成し、同軸熱交換器38のスロッ
トル42と圧縮機37を省略することもできる。同様
に、たとえば、切断動作を実行させるために、ミクロト
ーム2の機構を全く別の構成にすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 クライオスタットミクロトームのごく概略的
な側面図。
【図2】 図1に示すクライオスタットミクロトームの
部分断面図。
【図3】 図1に示すクライオスタットミクロトームの
冷却手段のブロック接続図。
【符号の説明】
1…クライオスタットチャンバ、2…クライオスタット
ミクロトーム、4…標本ホルダ、7…蒸発器、8…カッ
タホルダ、10…蒸発器、11…加熱素子、29…フィ
ン付蒸発器、38…同軸熱交換器、40,41…スロッ
トル、43…第1の冷却サイクル、43…第2の冷却サ
イクル。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クライオスタットチャンバ(1)と、ク
    ライオスタットチャンバ(1)の中に配置されたミクロ
    トーム(2)とを有し、ミクロトーム(2)は冷却可能
    な標本ホルダ(4)と、冷却可能なカッタホルダ(8)
    とを含み、標本ホルダ(4)の温度とカッタホルダ
    (8)の温度は互いに無関係に調整自在であることを特
    徴とするクライオスタットミクロトーム。
  2. 【請求項2】 温度を調整するために、カッタホルダ
    (8)と標本ホルダ(4)は互いに無関係に冷却/加熱
    可能である請求項1記載のクライオスタットミクロトー
    ム。
  3. 【請求項3】 カッタホルダ及び標本ホルダは冷却手段
    に接続する小型の蒸発器(7,10)を有する請求項2
    記載のクライオスタットミクロトーム。
  4. 【請求項4】 カッタホルダに加熱素子(11)が設け
    られている請求項3記載のクライオスタットミクロトー
    ム。
  5. 【請求項5】 クライオスタットチャンバの中にさらに
    蒸発器(29)が設けられている請求項3記載のクライ
    オスタットミクロトーム。
  6. 【請求項6】 ミクロトーム(2)の一部はクライオス
    タットチャンバ(1)の内部に、残る部分はクライオス
    タットチャンバ(1)の外側に配置されており、ミクロ
    トームのクライオスタットチャンバの内側に配置された
    構成要素と、外側に配置された構成要素との間の移行領
    域に専らVA鋼が使用されている請求項1記載のクライ
    オスタットミクロトーム。
  7. 【請求項7】 蒸発器(7,10,29)は、同軸熱交
    換器(38)を有する冷却サイクル(43,44)の構
    成要素である請求項3から5のいずれか1項に記載のク
    ライオスタットミクロトーム。
  8. 【請求項8】 標本ホルダ(4)の蒸発器(7)と、カ
    ッタホルダ(8)の蒸発器(10)は、それぞれ独自の
    スロットル(40,41)を有する別個の部分冷却サイ
    クルに配置されている請求項3から5のいずれか1項又
    は請求項7記載のクライオスタットミクロトーム。
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