JPH10110150A - 金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤および金属−塩化ビニル系樹脂積層体 - Google Patents

金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤および金属−塩化ビニル系樹脂積層体

Info

Publication number
JPH10110150A
JPH10110150A JP28308496A JP28308496A JPH10110150A JP H10110150 A JPH10110150 A JP H10110150A JP 28308496 A JP28308496 A JP 28308496A JP 28308496 A JP28308496 A JP 28308496A JP H10110150 A JPH10110150 A JP H10110150A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vinyl chloride
metal
chloride resin
adhesive
styrene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28308496A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsumi Aizawa
勝美 相沢
Yoshihiro Otsuka
喜弘 大塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP28308496A priority Critical patent/JPH10110150A/ja
Publication of JPH10110150A publication Critical patent/JPH10110150A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマー
からなる金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤、および金属
基材層と塩化ビニル系樹脂層とを前記接着剤からなる層
で接着した金属−塩化ビニル系樹脂積層体を提供する。 【解決手段】 スチレン系化合物を主体とする重合体ブ
ロックAと共役ジエン化合物またはその部分水添物を主
体とする重合体ブロックBとからなるブロック共重合体
Cの共役ジエン化合物に由来する二重結合をエポキシ化
したエポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーDから
なる金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤である。エポキシ
化スチレン系熱可塑性エラストマーDのエポキシ化率が
10〜40%であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エポキシ化スチレ
ン系熱可塑性エラストマーからなる金属−塩化ビニル系
樹脂用接着剤、および金属基材層と塩化ビニル系樹脂層
とを前記接着剤からなる層で接着した金属−塩化ビニル
系樹脂積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼板、鉄板等の金属基材は、折り曲げて
異形断面の成形体とし、または打ち抜きもしくは切断し
種々の用途に提供される。これらの金属基材は、耐食性
や美観を向上させるため、金属基材上に合成樹脂を被覆
して使用することが多い。このような場合、被覆樹脂に
は価格や美的観点から塩化ビニル系樹脂が好んで用いら
れる。
【0003】例えば、実開昭51−123228号公報
には、金属板よりなる芯材に塩化ビニルの合成樹脂をコ
ーティング加工した樋材が提案されている。また、近年
では、給湯用の配管の内面を塩化ビニル系樹脂でライニ
ング加工した鋼管が好んで用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記公報のご
とく金属基材に単に塩化ビニル系樹脂をコーティング加
工した場合には、金属基材と塩化ビニル系樹脂との線膨
張率が大きく異なるため、気温の変化による伸縮の繰り
返しに耐えられず、塩化ビニル系樹脂が金属基材から剥
離しやすい。また、塩化ビニル系樹脂被覆金属を加工す
るために、折り曲げ、打抜き、切断等の応力を加える場
合にも金属基材と被覆樹脂層が剥離しやすく、被覆樹脂
層との接着性の向上が求められる。このような問題は、
給湯用配管ではより大きな温度変化がある点でなおさら
である。従って塩化ビニル系樹脂の剥離によって給湯用
配管金属部の腐食を防止するためにも、より一層の被覆
樹脂層との接着性が求められる。
【0005】一方、塩化ビニル系樹脂層の接着には、一
般に、塩化ビニル系、アクリル系、エポキシ系、ウレタ
ン系樹脂等の接着剤が使用される。しかし、金属基材と
塩化ビニル系樹脂との双方に良好な接着性を有する接着
剤がなく、十分な接着性は得られていない。
【0006】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
であり、加工時の応力や気温変化等でも剥離することの
なく、十分な接着性を有する金属−塩化ビニル系樹脂用
接着剤及びこの接着剤を接着層として用いた金属−塩化
ビニル系樹脂積層体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、スチ
レン系化合物を主体とする重合体ブロックAと共役ジエ
ン化合物またはその部分水添物を主体とする重合体ブロ
ックBとからなるブロック共重合体Cの共役ジエン化合
物に由来する二重結合をエポキシ化したエポキシ化スチ
レン系熱可塑性エラストマーDからなる金属−塩化ビニ
ル系樹脂用接着剤を提供するものである。また、エポキ
シ化スチレン系熱可塑性エラストマーDのエポキシ化率
が10〜40%であることを特徴とする前記金属−塩化
ビニル系樹脂用接着剤を提供するものである。また、前
記エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーDを5〜
100重量%含有することを特徴とする金属−塩化ビニ
ル系樹脂用接着剤を提供するものである。さらに、金属
基材層、前記金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤からなる
接着層および塩化ビニル系樹脂層とからなる金属−塩化
ビニル系樹脂積層体を提供するものである。また、塩化
ビニル系樹脂が5〜40重量%の可塑剤を含有すること
を特徴とする前記金属−塩化ビニル系樹脂積層体を提供
するものである。また、可塑剤がジオクチルフタレート
またはジブチルフタレートであることを特徴とする前記
金属−塩化ビニル系樹脂積層体を提供するものである。
加えて、塩化ビニル系樹脂の塩素含量が57〜72重量
%であることを特徴とする前記金属−塩化ビニル系樹脂
積層体を提供するものである。以下、本発明を詳細に説
明する。
【0008】(エポキシ化スチレン系熱可塑性エラスト
マーD)本発明で使用するエポキシ化スチレン系熱可塑
性エラストマーDは、スチレン系化合物を主体とする重
合体ブロックAと共役ジエン化合物またはその部分水添
物を主体とする重合体ブロックBとからなるブロック共
重合体Cの共役ジエン化合物に由来する二重結合をエポ
キシ化したものである。
【0009】重合体ブロックAを構成する「スチレン系
化合物」としては、例えば、スチレン、α−メチルスチ
レン、ビニルトルエン、p−第3級ブチルスチレン、ジ
ビニルベンゼン、p−メチルスチレン、1,1−ジフェ
ニルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン
等のうちから1種または2種以上が選択でき、中でもス
チレンが好ましい。
【0010】重合体ブロックBを構成する「共役ジエン
化合物」としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、
1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブ
タジエン、ピペリレン、3−ブチル−1,3−オクタジ
エン、フェニル−1,3−ブタジエン等の内から1種ま
たは2種以上を選択することができ、中でもブタジエ
ン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。
【0011】本発明に用いる「ブロック共重合体C」
は、通常、スチレン系化合物の構成単位含量が5〜70
重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜6
0重量%である。また、ブロック共重合体Cの重量平均
分子量は、5,000〜600,000であることが好
ましく、より好ましくは10,000〜500,000
の範囲であり、分子量分布[重量平均分子量(Mw)と
数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)]は、10
以下であることが好ましい。
【0012】ブロック共重合体Cの分子構造は、直鎖状
であることが好ましい。例えば、A−B−A、B−A−
B−A、A−B−A−B−A等の構造を有するスチレン
系化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体である。
また、分子末端に多官能のカップリング剤残基を有して
いてもよい。
【0013】ブロック共重合体Cの製造方法は、上記し
た構造を有するものが得られればどのような製造方法で
もよい。例えば、特公昭40−23798号、特公昭4
3−17979号、特公昭46−32415号、特公昭
56−28925号公報に記載された方法により、リチ
ウム触媒等を用いて不活性溶媒中でスチレン系化合物−
共役ジエン化合物ブロック共重合体を製造することがで
きる。さらに特公昭42−8704号、特公昭43−6
636号、あるいは特開昭59−133203号公報に
記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の
存在下に水素添加して、本発明に供するエポキシ変性ブ
ロック共重合体の原料である部分的に水素添加したブロ
ック共重合体を製造することができる。なお、水添の程
度は、水添前及び水添後のブロック共重合体のNMRを
測定することによって知ることができる。水添率は、未
水添・未エポキシ化の原料ブロック共重合体の共役ジエ
ン化合物に由来する二重結合のうち、水添されたものの
百分率として定義する。本発明においては、水添率0〜
80%の範囲であることが好ましく、特には10〜70
%の範囲であることが好ましい。この範囲で耐熱性、凝
集性に優れたエポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマ
ーDが得られる。
【0014】上記したブロック共重合体Cをエポキシ化
することにより、本発明で使用されるエポキシ化スチレ
ン系熱可塑性エラストマーDを得ることができる。例え
ば、上記ブロック共重合体Cを不活性溶媒中でハイドロ
パーオキサイド類、過酸類等のエポキシ化剤と反応させ
ることにより得ることができる。
【0015】ここに「不活性溶媒」は、原料粘度の低
下、エポキシ化剤の希釈による安定化等の目的で使用
し、例えばヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベン
ゼン、酢酸エチル、四塩化炭素、クロロホルム等を用い
ることができる。
【0016】エポキシ化剤の内、「ハイドロパーオキサ
イド類」として、過酸化水素、ターシャリブチルハイド
ロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が
例示できる。また、「過酸類」として、過ギ酸、過酢
酸、過安息香酸、トリフルオロ過酢酸等が例示できる。
中でも、工業的に大量に製造され、安価に入手でき、安
定度も高い点で過酢酸が好ましい。エポキシ化剤の使用
量には厳密な制限がなく、使用する個々のエポキシ化
剤、所望されるエポキシ化度、使用する個々のブロック
共重合体等のような要因によって変更することができ
る。
【0017】エポキシ化の際には必要に応じて「触媒」
を用いることができる。例えば過酸類の場合、炭酸ソー
ダ等のアルカリや硫酸等の酸を触媒として用いることが
できる。一方、ハイドロパーオキサイド類の場合、タン
グステン酸と苛性ソーダの混合物を過酸化水素と、ある
いは有機酸を過酸化水素と、あるいはモリブデンヘキサ
カルボニルをターシャリブチルハイドロパーオキサイド
とそれぞれ併用して触媒効果を得ることができる。
【0018】エポキシ化反応の条件には厳密な制限はな
いが、例えば、過酢酸についていえば0〜70℃が好ま
しい。70℃を越えると過酢酸の分解が起こるからであ
る。反応混合物の特別な操作は必要なく、例えば原料の
混合物を2〜10時間撹拌すればよい。エポキシ化の反
応温度は、常法に従い、用いるエポキシ化剤の反応性に
よって変更することができる。
【0019】得られたエポキシ化スチレン系熱可塑性エ
ラストマーDの単離は、例えば貧溶媒で沈殿させる方
法、エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーDを熱
水中に撹拌の下で投入し溶媒を蒸留除去する方法、加熱
及び/または減圧操作によって溶媒を直接乾燥させる方
法等で行うことができる。また、最終的に溶液形態で利
用する場合には、単離せずに用いることもできる。
【0020】本発明におけるエポキシ化スチレン系熱可
塑性エラストマーDのエポキシ化率は、10〜40%で
あること、特には15〜35%であることが好ましい。
10%よりエポキシ基の量が少ないと本発明の十分な効
果が期待できず、その反面、40%を越えると、エポキ
シ基の反応活性が高くなりすぎてゲル化し易くなり、熱
安定性を悪くする。また、特に熱安定性を要求される場
合には、水素添加もエポキシ化もされずに不飽和のまま
残存する共役ジエン化合物に由来する二重結合が全体の
90%未満であることが好ましく、特には40%以下の
ものが好ましい。
【0021】本発明におけるエポキシ化スチレン系熱可
塑性エラストマーのエポキシ化率は、未水素添加・未エ
ポキシ化の原料ブロック共重合体Cの共役ジエン化合物
に由来する二重結合のうち、エポキシ化されたものの百
分率であり、エポキシ当量(N)から、式:エポキシ化
率={10000×D+2×H×(100−S)}/
{(N−16)×(100−S)}で示すことができる
(Dは共役ジエン化合物の分子量、Hは水添率(%)、
Sはスチレン系化合物の含有重量(%)を示す)。ここ
に、本発明におけるエポキシ化スチレン系熱可塑性エラ
ストマーDのエポキシ当量(N)は、0.1規定の臭化
水素酸で滴定し、式:エポキシ当量(N)=10000
×W/(f×V)(Wは、滴定に用いたエポキシ化スチ
レン系熱可塑性エラストマーの重量(g)、Vは、臭化
水素酸の滴定量(ml)、fは、臭化水素酸のファクタ
ーを示す)で示すことができる。
【0022】(金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤)本発
明のエポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーDから
なる金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤(以下、単に「金
属−塩化ビニル系樹脂用接着剤」と称す)は、上記エポ
キシ化スチレン系熱可塑性エラストマーDを5〜100
重量%の範囲、特に好ましくは20〜100重量%の範
囲で含有することが好ましい。この範囲で十分は接着性
を発揮するからである。
【0023】金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤に配合で
きる他の成分としては以下のものが例示できる。 金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤に配合できる熱可塑
性樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポ
リオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル
系樹脂、テルペンフェノール樹脂、脂環族飽和炭化水素
樹脂等が例示できる。これらの熱可塑性樹脂は、金属−
塩化ビニル系樹脂用接着剤に対して、0〜80重量%の
範囲で添加することができる。 金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤に配合できる熱硬化
性樹脂として、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、尿
素系樹脂、メラミン系樹脂等が例示できる。これらの熱
硬化性樹脂は、金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤に対し
て、0〜80重量%の範囲で添加することができる。 粘着付与樹脂として、ロジン類、テルペン系樹脂、脂
肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、フェノール系
樹脂またはクマロンインデン系樹脂等を添加することが
できる。これらの粘着付与樹脂は、金属−塩化ビニル系
樹脂用接着剤に対して、0〜80重量%の範囲で添加す
ることができる。 無機充填剤として、炭酸カルシウム、シリカ、タル
ク、クレー、酸化チタン、炭酸マグネシウム、カーボン
ブラック等を添加することができる。これらの添加量
は、金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤に対して、0〜6
0重量%の範囲で添加することができる。 流動調整剤として、ナフテン系、アロマ系、パラフィ
ン系オイル等の流動性調整剤を添加することができる。
これらの添加量は、金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤に
対して、0〜60重量%の範囲で添加することができ
る。 可塑剤として、ジオクチルフタレート、ジブチルフタ
レート等を添加することができる。これらの添加量は、
金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤に対して、0〜60重
量%の範囲で添加することができる。 その他、上記以外に必要に応じて酸化防止剤、紫外線
吸収剤等の安定剤、着色剤、顔料、酸化防止剤等を添加
してもよい。
【0024】金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤を製造す
るには、エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーD
と必要に応じて添加する各成分を溶融させて混合する方
法や、エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーDを
溶剤に溶かして他の成分と混合する方法によって製造で
きる。一般的には、これらの成分を槽式混合機、密閉式
ニーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキ
サー等で加熱下、必要な場合には不活性ガス雰囲気下で
混合する。
【0025】(金属−塩化ビニル系樹脂積層体)本発明
の金属−塩化ビニル系樹脂積層体は、金属基材層と塩化
ビニル系樹脂層とを、金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤
層によって接着したものである。金属基材層に、溶液状
にした金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤を塗布し溶剤を
乾燥させ接着剤層を形成し、この接着剤層に塩化ビニル
系樹脂層を積層し熱圧着し接着して積層体を得ることが
できる。また、フィルム状に成形した接着剤層を金属基
材層と塩化ビニル系樹脂層の間にはさんで熱圧着する方
法、さらに、溶融状態の接着剤を金属基材層と塩化ビニ
ル系樹脂層の間にフィルム状に押し出しながら圧着する
方法等によっても積層体を製造することができる。
【0026】本発明の金属−塩化ビニル系樹脂積層体
は、上記金属基材層(M層)、接着剤層(B層)と塩化
ビニル系樹脂層(C層)とからなるが、金属基材層の両
面に接着剤層を設け、更にその両面に塩化ビニル系樹脂
層を設けた5層(C層−B層−M層−B層−C層)から
なる積層体も含まれる。
【0027】(金属基材層)本発明の金属−塩化ビニル
系樹脂積層体の金属基材層を構成する金属基材として
は、鋼、鉄、銅、アルミ等の板材や管材を使用すること
ができる。金属基材には、凹凸を有していてもよく、孔
等が設けられていてもよい。また、金属表面には、耐食
性を向上させるための亜鉛やクロム等のメッキ、リン酸
やクロメート等の表面処理、あるいは接着性を向上させ
るための脱脂、酸洗浄、有機化合物によるプライマー処
理等が施されていてもよい。
【0028】(塩化ビニル系樹脂層)本発明の金属−塩
化ビニル系樹脂積層体の塩化ビニル系樹脂層を構成する
塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニ
ルモノマーと該塩化ビニルモノマーと共重合可能なモノ
マーとの共重合体、塩化ビニル樹脂を後塩素化した塩素
化塩化ビニル系樹脂等が挙げられ、これらの1種または
2種以上が使用できる。上記塩化ビニルモノマーと該塩
化ビニルモノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体
として、例えば、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化
ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−エチレン−酢
酸ビニル共重合体等が例示できる。上記塩素化塩化ビニ
ル系樹脂中の塩素含有量は、57〜72重量%が好まし
く、より好ましくは57〜68重量%である。57重量
%より少なくなると耐熱性が低下し、72重量%を越え
ると熱流動性が低下して加工性が悪くなる場合がある。
また、塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、特に限定され
るものではないが、400〜1300であることが好ま
しく、より好ましくは500〜1100である。400
より小さくなると成形体の耐衝撃性や破断伸びが著しく
低下し、1300を越えると熱流動性が低下して成形性
が悪くなる場合がある。
【0029】上記塩化ビニル系樹脂組成物には、必要に
応じて公知の安定剤、滑剤、加工助剤、改質剤、可塑
剤、顔料、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤
等を添加することができる。従来より、可塑剤の配合
は、塩化ビニル系樹脂と他の素材との接着性を阻害する
と考えられていたが、本発明の金属−塩化ビニル系樹脂
用接着剤は、可塑剤がエポキシ化スチレン系熱可塑性エ
ラストマーDのエポキシ基と特異的に作用するため、か
えって可塑剤の含有によって接着性が向上する。好まし
く配合できる可塑剤としては、ジオクチルフタレート、
ジブチルフタレート、リン酸トリ−2−エチルヘキシ
ル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシル等のリン
酸エステル、二価アルコールエステル、オキシ酸エステ
ル類、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−n−オクチル、
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル等のフタル酸エステ
ル、その他の脂肪族塩基酸エステル類が例示でき、特に
好ましくはジオクチルフタレート、ジブチルフタレート
である。可塑剤の好ましい添加量は、塩化ビニル系樹脂
に対して0〜40重量%、特に好ましくは5〜40重量
%である。40重量%を越えると塩化ビニル系樹脂が柔
らかくなりすぎて十分な機械強度を示さない場合があ
る。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお
「%」は、特に示す場合を除くほか「重量%」を示す。
【0031】(製造例1)撹拌機、還流冷却管、および
温度計を備えたジャケット付反応器に直鎖ポリスチレン
−ポリブタジエン−ポリスチレンのブロック共重合体
(日本合成ゴム(株)製、「TR2000」:スチレン
含量40%)300g、酢酸エチル1,500gを仕込
み溶解した。ついで、過酢酸の30%酢酸エチル溶液1
69gを連続滴下させ、撹拌下40℃で3時間エポキシ
化反応を行った。反応液を常温に戻して反応器より取り
出し、多量のメタノールを加えて重合体を析出させ、瀘
別後水洗し、乾燥させエポキシ化スチレン系熱可塑性エ
ラストマー(エラストマーAと称す。)を得た。エラス
トマーAのエポキシ当量は470であった(エポキシ化
率=19%)。
【0032】(製造例2)撹拌機、および温度計を備え
たジャケット付反応器に直鎖ポリスチレン−ポリブタジ
エン−ポリスチレンのブロック共重合体(日本合成ゴム
(株)製、「TR2000」:スチレン含有量40%)
300g、シクロヘキサン3,000gを仕込み溶解
し、温度60℃、水添触媒としてジ−p−トリルビス
(1−シクロペンタジエニル)チタニウム/シクロヘキ
サン溶液(濃度1mmol/リットル)40mlと、n
−ブチルリチウム溶液(濃度5mmol/リットル)8
mlとを0℃、2.0kg/cm2の水素圧下で混合し
たものを添加し、水素分圧2.5kg/cm2にて30
分間反応させた。得られた部分水添重合体溶液は、減圧
乾燥により溶剤を除去した(ブタジエン由来の二重結合
全体の水添率30%)。この部分水添重合体300g、
シクロヘキサン1500gを撹拌機、還流冷却管、およ
び温度計を備えたジャケット付反応器に仕込み溶解し
た。ついで過酢酸の30%酢酸エチル溶液300gを連
続滴下させ、撹拌下40℃で3時間エポキシ化反応をお
こなった。反応液を常温にもどして反応器より取り出
し、多量のメタノ−ルを加えて重合体を析出させ、濾別
後水洗し、乾燥させエポキシ当量275のエポキシ化ス
チレン系熱可塑性エラストマー( エラストマーB)を
得た(エポキシ化率=33.6%)。
【0033】(参考例1)製造例1で得たエラストマー
Aにトルエンを加え、固形分25重量%のトルエン溶液
とし、これをキャストして厚さ50μmの接着剤フィル
ムを得た。この接着剤フィルムの両面に、厚さ0.5m
mの塩化ビニルシート(塩素含有量62%)を積層し
た。これに20kgf/cm2の圧力を温度150℃に
て3分間かけた。得られた積層体の剥離強度、破壊形態
を表−1に示す。
【0034】(参考例2)参考例1と同様にして接着剤
フィルムを得た。この接着剤フィルムの両面に、ジオク
チルフタレートを可塑剤として8重量%配合した厚さ
0.5mmの塩化ビニルシートを積層した。以下、参考
例1と同様にして接着剤フィルムと塩化ビニルシートと
から積層体を得た。このものの剥離強度、破壊形態、用
いた塩化ビニル樹脂の可塑剤含有量、接着剤の組成を表
−1に示す。
【0035】(参考例3〜7及び比較例1)参考例2と
同様にして表−1、表−2に示す接着剤フィルムを得、
次いで接着剤フィルムと塩化ビニルシートとから積層体
を得た。このものの剥離強度、破壊形態等を表−1、表
−2に示す。
【0036】(実施例1)製造例1で得たエラストマー
Aにトルエンを加え、固形分25重量%のトルエン溶液
とし、これをキャストして厚さ50μmの接着剤フィル
ムを得た。この接着剤フィルムの片面に、ジオクチルフ
タレートを37重量%含有する厚さ0.5mmの塩化ビ
ニルシート(塩素含有量62%)を積層し、接着剤フィ
ルムの他の片面には表面状態の異なる鋼板を金属基材と
して積層した。次いで、これに20kgf/cm2の圧
力を温度150℃にて3分間かけた。接着後、塩化ビニ
ルシート部分のみを接着剤層と共に25mm巾に切れ目
を入れて、100mm/minの速度で180度剥離し
た。金属基材の表面処理状態、接着剤の組成、及び剥離
試験の結果を表−3に示す。
【0037】(実施例2〜実施例8、比較例2)実施例
1と同様にして、表−3、表−4の条件に従い積層体を
得た。金属基材の表面処理状態、接着剤の組成、及び積
層体の剥離試験の結果を表−3、表−4に示す。なお、
金属基材処理は、溶融亜鉛処理、電気亜鉛処理、リン酸
亜鉛処理とし、予め基材処理が施された金属基材を購入
して行った。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】(評価試験) (1)T剥離試験 参考例1および比較例1の剥離試験は、積層体を25m
m×200mmに切断し、剥離速度100mm/分の速
度でT剥離した。剥離強度の単位は、kgf/cm2
ある。 (2)180度剥離試験 実施例1〜7、比較例2の剥離試験は、積層体の塩化ビ
ニル樹脂層のみを25mm×200mmに切断し、10
0mm/分の速度で180度剥離した。剥離強度の単位
は、kgf/cm2である。 (3)破壊形態 接着剤層の破壊が生じ、金属基材から積層体の塩化ビニ
ル樹脂層が剥離した破壊形態を界面破壊とした。これに
対し、接着剤層の強度が強いため、積層体の塩化ビニル
樹脂層が破断した破壊形態を材料破壊とした。
【0043】(結果)本発明にかかるエポキシ化したス
チレン系熱可塑性エラストマーを接着剤層として使用し
た参考例1〜7から、塩化ビニル樹脂層が可塑剤を含有
すると、材料破壊に至るほどの剥離強度が得られること
が分かった。またエポキシ化されていないエラストマー
Cを用いた比較例1とから、エポキシ化されたエラスト
マーA、エラストマーBを使用した積層体の方が剥離強
度が大きいことが分かった。本発明にかかるエポキシ化
したスチレン系熱可塑性エラストマーを接着剤層として
使用した実施例1〜7とエポキシ化されていないエラス
トマーCを用いた比較例2とから、エポキシ化されたエ
ラストマーA、エラストマーBを使用した積層体の方が
剥離強度が大きいことが分かった。また、各種表面処理
を施した鋼板に対しても良好な接着性を示した。さら
に、粘着付与剤及び熱可塑性樹脂を添加して流動性を向
上させた実施例2〜6では、塩化ビニル樹脂層が材料破
壊に至るほどの剥離強度が得られた。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、金属と塩化ビニル系樹
脂双方の密着性に優れる金属−塩化ビニル系樹脂用接着
剤が提供される。金属基材層、上記接着剤からなる接着
層および塩化ビニル系樹脂層とからなる金属−塩化ビニ
ル系樹脂積層体は、金属基材層と塩化ビニル系樹脂層と
が極めて優れた接着性を有する金属−塩化ビニル系樹脂
積層体である。塩化ビニル系樹脂が可塑剤を含有すれ
ば、さらに優れた接着性を有する金属−塩化ビニル系樹
脂積層体が得られる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系化合物を主体とする重合体ブ
    ロックAと共役ジエン化合物またはその部分水添物を主
    体とする重合体ブロックBとからなるブロック共重合体
    Cの共役ジエン化合物に由来する二重結合をエポキシ化
    したエポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーDから
    なる金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤。
  2. 【請求項2】 エポキシ化スチレン系熱可塑性エラスト
    マーDのエポキシ化率が10〜40%であることを特徴
    とする請求項1記載の金属−塩化ビニル系樹脂用接着
    剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のエポキシ化スチ
    レン系熱可塑性エラストマーDを5〜100重量%含有
    することを特徴とする金属−塩化ビニル系樹脂用接着
    剤。
  4. 【請求項4】 金属基材層、請求項1〜3のいずれかに
    記載の金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤からなる接着層
    および塩化ビニル系樹脂層とからなる金属−塩化ビニル
    系樹脂積層体。
  5. 【請求項5】 塩化ビニル系樹脂が5〜40重量%の可
    塑剤を含有することを特徴とする請求項4記載の金属−
    塩化ビニル系樹脂積層体。
  6. 【請求項6】 可塑剤がジオクチルフタレートまたはジ
    ブチルフタレートであることを特徴とする請求項4記載
    の金属−塩化ビニル系樹脂積層体。
  7. 【請求項7】 塩化ビニル系樹脂の塩素含量が57〜7
    2重量%であることを特徴とする請求項4〜6のいずれ
    かに記載の金属−塩化ビニル系樹脂積層体。
JP28308496A 1996-10-04 1996-10-04 金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤および金属−塩化ビニル系樹脂積層体 Pending JPH10110150A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28308496A JPH10110150A (ja) 1996-10-04 1996-10-04 金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤および金属−塩化ビニル系樹脂積層体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28308496A JPH10110150A (ja) 1996-10-04 1996-10-04 金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤および金属−塩化ビニル系樹脂積層体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10110150A true JPH10110150A (ja) 1998-04-28

Family

ID=17661018

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28308496A Pending JPH10110150A (ja) 1996-10-04 1996-10-04 金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤および金属−塩化ビニル系樹脂積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10110150A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8263713B2 (en) 2009-10-13 2012-09-11 Kraton Polymers U.S. Llc Amine neutralized sulfonated block copolymers and method for making same
US8377515B2 (en) 2008-05-09 2013-02-19 Kraton Polymers U.S. Llc Process for preparing membranes and membrane structures from a sulfonated block copolymer fluid composition
US9365662B2 (en) 2010-10-18 2016-06-14 Kraton Polymers U.S. Llc Method for producing a sulfonated block copolymer composition
US9394414B2 (en) 2010-09-29 2016-07-19 Kraton Polymers U.S. Llc Elastic, moisture-vapor permeable films, their preparation and their use
US9429366B2 (en) 2010-09-29 2016-08-30 Kraton Polymers U.S. Llc Energy recovery ventilation sulfonated block copolymer laminate membrane
US9861941B2 (en) 2011-07-12 2018-01-09 Kraton Polymers U.S. Llc Modified sulfonated block copolymers and the preparation thereof

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8377515B2 (en) 2008-05-09 2013-02-19 Kraton Polymers U.S. Llc Process for preparing membranes and membrane structures from a sulfonated block copolymer fluid composition
US8377514B2 (en) 2008-05-09 2013-02-19 Kraton Polymers Us Llc Sulfonated block copolymer fluid composition for preparing membranes and membrane structures
US8263713B2 (en) 2009-10-13 2012-09-11 Kraton Polymers U.S. Llc Amine neutralized sulfonated block copolymers and method for making same
US9394414B2 (en) 2010-09-29 2016-07-19 Kraton Polymers U.S. Llc Elastic, moisture-vapor permeable films, their preparation and their use
US9429366B2 (en) 2010-09-29 2016-08-30 Kraton Polymers U.S. Llc Energy recovery ventilation sulfonated block copolymer laminate membrane
US9365662B2 (en) 2010-10-18 2016-06-14 Kraton Polymers U.S. Llc Method for producing a sulfonated block copolymer composition
US9861941B2 (en) 2011-07-12 2018-01-09 Kraton Polymers U.S. Llc Modified sulfonated block copolymers and the preparation thereof

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH10109378A (ja) 金属−合成樹脂積層体および合成樹脂被覆金属管
EP2592115B1 (en) Thermoplastic polymer composition and molded article
EP0658603A2 (en) A compatible blend containing an epoxy-modified block copolymer, a process, a thermoplastic resin composition, resin compositions and an asphalt composition containing an epoxy-modified block copolymer
KR20140138761A (ko) 난연성 구조용 에폭시 수지 접착제 및 금속 부재의 접합 방법
JPH10306196A (ja) 熱可塑性重合体組成物
WO2012043275A1 (ja) 金属板の補強方法および補強構造
KR20070114702A (ko) 전자 소자와 스트립 컨덕터를 함께 붙이기 위한 열에 의해활성화될 수 있고 니트릴 고무 및 폴리비닐 부티랄에기초되는 접착 스트립
JP3681854B2 (ja) シラン変性熱可塑性エラストマー及びホットメルト接着剤
EP2599833A1 (en) Thermoplastic polymer composition and molded article
JPH10506950A (ja) エポキシ樹脂用エポキシ化モノヒドロキシル化ゴム強化改質剤
JPH10110150A (ja) 金属−塩化ビニル系樹脂用接着剤および金属−塩化ビニル系樹脂積層体
EP0810237A1 (en) Process for producing epoxidized organic polymer, thermoplastic resin composition, primer composition, unvulcanized rubber composition, rubber moldings, and process for procucing the moldings
JPH09328533A (ja) エポキシ化ブロック共重合体及びその製造方法並びに該共重合体を含有する組成物
JP4140446B2 (ja) 金属被覆用ポリアミド樹脂組成物
CN1204983A (zh) 金属-合成树脂层压体及合成树脂被覆金属管
JPH0873829A (ja) 接着剤
JPH0633027A (ja) 合成樹脂ライニング用接着剤及び合成樹脂ライニング管
JP3521009B2 (ja) 粘接着剤用ブロック共重合体
JP3346906B2 (ja) 粘接着剤用ブロック共重合体組成物
JPH0726106A (ja) 熱硬化性樹脂組成物
JP3352224B2 (ja) エポキシ樹脂組成物
JPS6143376B2 (ja)
JP3730001B2 (ja) ポリアリーレンサルファイド樹脂複合成形品
JP2000256637A (ja) 架橋可能な接着剤組成物
JPH08245939A (ja) ホットメルト接着剤