JPH10110104A - 硬化性樹脂組成物、及びその硬化方法 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、及びその硬化方法

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JPH10110104A
JPH10110104A JP8265711A JP26571196A JPH10110104A JP H10110104 A JPH10110104 A JP H10110104A JP 8265711 A JP8265711 A JP 8265711A JP 26571196 A JP26571196 A JP 26571196A JP H10110104 A JPH10110104 A JP H10110104A
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resin composition
side chain
ester
molecular weight
hydroxyl group
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JP8265711A
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English (en)
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Shiro Kobayashi
四郎 小林
Hiroshi Uyama
浩 宇山
Hiromi Uchida
弘美 内田
Ryohei Ikeda
良平 池田
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Publication date
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗料、インキ等の塗膜形成材料、接着剤等に
有用な硬化性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 本発明は、水酸基とカルボキシル基又は
そのエステルを有し、さらに加水分解酵素を含むことを
特徴とする硬化性樹脂組成物、並びに無溶剤あるいは非
水系の有機溶剤中で上記樹脂組成物を硬化させる方法で
ある。加水分解酵素によるエステルの加水分解反応の逆
反応であるエステル合成反応やエステル交換反応を利用
する本発明の硬化方法を用いれば、ドライヤー等の添加
や加熱などを必要としない温和な条件で架橋反応を行う
ことが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水酸基とカルボキ
シル基又はそのエステルを有し、さらに加水分解酵素を
含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物、並びに無溶剤
あるいは非水系の有機溶媒中で、加水分解酵素によるエ
ステルの加水分解反応の逆反応であるエステル合成反応
及びエステル交換反応を利用して硬化性樹脂組成物を硬
化させる方法に関する。更に詳しくは、塗料、インキ等
の塗膜形成材料、接着剤等に有用な加水分解酵素を含む
硬化性樹脂組成物、及びその硬化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エステル合成反応やエステル交換反応
が、リパーゼやエステラーゼ、ある種のプロテアーゼに
より触媒されることが知られている。これらの酵素は、
水溶液中ではカルボン酸エステルやタンパク質等の加水
分解反応を触媒する酵素であるが、非水系の有機溶媒中
で反応を行うことにより、加水分解反応の逆反応である
エステル合成反応やエステル交換反応が効率よく進行す
る。
【0003】有機溶媒中でのエステル交換反応を用いて
油脂(トリグリセリド)の改質が行われている。エステ
ル合成反応については、例えば、特開昭60−5808
6号公報には、水分散型高分子重合体粒子に固定化した
リパーゼを用いて、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸
等の酸と、メタノール、エタノール、プロパノール等の
アルコールからエステルを製造する方法が示されてい
る。また、特開昭62−278990号公報には、リパ
ーゼ等の加水分解酵素を光硬化性樹脂によって包括固定
化した酵素を用いて、酸とアルコールからエステルを製
造する方法が示されている。さらに、特開平6−628
59号公報には、有機溶媒中で酵素が安定に、かつ効率
良く作用するために、二分子膜形成能のある中性の界面
活性剤で修飾された疎水性酵素を光架橋性樹脂に固定化
した酵素を用いて、有機溶媒中でエステル合成を行う方
法が示されている。
【0004】有機溶媒中でのエステル合成反応やエステ
ル交換反応を用いて、ポリエステルを得ることが試みら
れている。得られたポリエステルの数平均分子量は10
00〜1500程度であるが、ヒドロキシエステル、ヒ
ドロキシ酸、ジオール−ジエステル、ジオール−二塩基
酸、無水物−ジオール、ラクトン等から種々の組成を有
するポリエステルを得ることが可能なことが示されてい
る(G. Mezoul et al., Macromol. Rapid Commun., 16,
613 (1995).)。
【0005】一方、漆は酵素の作用により常温で重合・
硬化する耐久性に優れたフェノール系の塗料である。天
然の原料漆液の組成は、日本産漆を例にとると次に示す
通りである。 ウルシオール 60〜65重量% ゴム質 5重量% 含窒素化合物 2重量% ラッカーゼ 0.2重量% 水 20〜30重量% この原料漆液を普通常温で撹拌して均一化し、さらにラ
ッカーゼの失活を防ぐために45℃以下の温度で撹拌し
て、水分約3%の漆塗料を得る。これを塗工後、20〜
25℃、相対湿度70〜80%の室(むろ)の中で一晩
放置して漆を固化させる。漆の固化は、漆液の主成分で
あるフェノール性化合物、ウルシオール(カテコール環
3位の側鎖として炭素数15の直鎖アルキル基及びアル
ケニル基を有する化合物の混合物)が、酸化還元酵素ラ
ッカーゼの触媒作用によって酸化重合することにより生
じることが知られている。
【0006】近年、漆塗料の改質や漆塗料の代替品を得
る目的で、様々の試みがなされている。例えば、特開昭
57−141458号公報には、天然漆又は天然漆とア
マニ油カテコール等の塗膜形成増量剤との混合物にアル
テルナリア(Alternaria)属の微生物の培養液から得ら
れるポリフェノールオキシダーゼを添加混合すること
で、乾燥時間の短縮と低品質漆の改良をはかる方法が示
されている。特開昭63−221167号公報には、カ
テコール同族体、異性体、多価フェノール類、又はパラ
アミノフェノールと、カシューナットオイル又はその誘
導体をホルムアルデヒドで縮合させた共縮合物に天然漆
を混合することにより、価格の低減をはかる方法が示さ
れている。また、特開平1−163272号公報には、
生漆又は黒め漆にパーオキシダーゼ又はパーオキシダー
ゼと過酸化水素を添加することにより造膜乾燥時間を著
しく短縮させる方法が示されている。
【0007】特開平5−117591号公報には、化学
合成で得られたウルシオール類似物であるカテコール誘
導体(例えば、3−(9’z,12’z,15’z−オ
クタデカトリエニル)カテコール)に、可溶化デンプン
質、ペクチン質等の植物性粘液質、及びラッカーゼ、ア
スコルビン酸酸化酵素、又はチロシナーゼ等の酸化還元
酵素を添加し、天然漆に匹敵するコーティング組成物を
得る方法が示されている。また同様に、特開平6−28
7516号公報には、ベンゼン環に炭素数15〜22で
メチレン基を介してcis配置の二重結合を2個以上有
するアルケニル基と、2個以上の水酸基を置換基に持つ
カテコール誘導体からなるウルシオール類似物を含む合
成漆塗料を得る方法が示されている。
【0008】これらの漆塗料の改質や漆塗料の代替品に
用いられている酵素は全て、漆の固化反応を触媒するラ
ッカーゼや、同様な触媒作用を有するパーオキシダーゼ
等の酸化還元酵素である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、塗料、イン
キ等の塗膜形成材料、接着剤等に有用な加水分解酵素を
含む硬化性樹脂組成物、及びその硬化方法を提供するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、側鎖に水
酸基とカルボキシル基又はそのエステルを有する数平均
分子量1,000〜2,000,000の高分子化合
物、及び加水分解酵素からなる硬化性樹脂組成物を提供
する。
【0011】更に本発明は、側鎖に水酸基を有する数平
均分子量1,000〜2,000,000の高分子化合
物、側鎖にカルボキシル基又はそのエステルを有する数
平均分子量1,000〜2,000,000の高分子化
合物、及び加水分解酵素からなる硬化性樹脂組成物を提
供する。
【0012】更に本発明は、側鎖に水酸基を有する数平
均分子量1,000〜2,000,000の高分子化合
物、カルボキシル基又はそのエステルを有する数平均分
子量1,000未満の低分子化合物、及び加水分解酵素
からなる硬化性樹脂組成物を提供する。
【0013】更に本発明は、側鎖にカルボキシル基又は
そのエステルを有する数平均分子量1,000〜2,0
00,000の高分子化合物、水酸基を有する数平均分
子量1,000未満の低分子化合物、及び加水分解酵素
からなる硬化性樹脂組成物を提供する。
【0014】更に本発明は、加水分解酵素がリパーゼで
あることを特徴とする、上記の硬化性樹脂組成物を提供
する。
【0015】更に本発明は、上記の硬化性樹脂組成物
を、無溶剤あるいは非水系の有機溶媒中で架橋させるこ
とを特徴とする、硬化性樹脂組成物の硬化方法を提供す
る。
【0016】本発明の、水酸基とカルボキシル基又はそ
のエステルを有し、さらに加水分解酵素を含む硬化性樹
脂組成物、及びその硬化方法を用いれば、ドライヤー等
の添加や加熱などを必要としない温和な条件で架橋反応
を行うことが可能であり、塗料、インキ等の塗膜形成材
料、接着剤等に有用な硬化物を容易に得ることができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の硬化性樹脂組成物は、側
鎖に水酸基とカルボキシル基又はそのエステルを有する
高分子化合物、及び加水分解酵素からなる硬化性樹脂組
成物、あるいは水酸基を有する低分子化合物又は側鎖に
水酸基を有する高分子化合物と、カルボキシル基又はそ
のエステルを有する低分子化合物又は側鎖にカルボキシ
ル基又はそのエステルを有する高分子化合物、及び加水
分解酵素からなる硬化性樹脂組成物である。
【0018】本発明の硬化性樹脂組成物中の加水分解酵
素は、下記一般式[1]に示される反応を触媒するもの
である。 一般式[1]
【0019】
【化1】
【0020】[式中、Rは水素原子、あるいは置換もし
くは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロ
アルキル基、置換もしくは未置換のアリール基を表
す。]
【0021】上記一般式[1]中のRで表される置換も
しくは未置換のアルキル基としては、例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘ
プチル基、オクチル基、ステアリル基、トリクロロメチ
ル基等を挙げることができる。置換もしくは未置換のシ
クロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、
シクロヘキシル基等を挙げることができる。置換もしく
は未置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、
ビフェニル基、トリフェニル基、ナフチル基、アントラ
ニル基、フェナントリル基、ピレニル基、フルオレニル
基、アズレニル基、インデニル基等を挙げることができ
る。
【0022】本発明における側鎖に水酸基を有する高分
子化合物は、側鎖に水酸基を有するビニルモノマーの重
合体あるいは共重合体で、数平均分子量が1,000〜
2,000,000の高分子化合物である。側鎖に水酸
基を有するビニルモノマーとしては、アクリル系ビニル
モノマー、エチレン系ビニルモノマーがある。側鎖に水
酸基を有するアクリル系ビニルモノマーとしては、例え
ば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、4−ヒ
ドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ
(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、テトラプロピレングリコール(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリ
レート、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、
N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ダイア
セトン(メタ)アクリアミド等を挙げることができる。
また、側鎖に水酸基を有するエチレン系ビニルモノマー
としては、例えば、アリルアルコール、4−ヒドロキシ
−1−ブテン、4−ヒドロキシメチルスチレン、4−ヒ
ドロキシエチルスチレン、1,4−ジヒドロキシ−2−
ブテン、3−ヒドロキシ−1−ブテン等を挙げることが
できる。さらに、ビニルアセテート等の高分子化合物あ
るいはその加水分解物を用いることも可能である。
【0023】本発明における側鎖に水酸基を有する高分
子化合物として、側鎖に水酸基を有するビニルモノマー
の重合体あるいは共重合体以外でも、数平均分子量が
1,000〜2,000,000の水酸基を有する高分
子化合物であれば用いることができる。例えば、ポリカ
プロラクトンポリオール等のポリエステルポリオール、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等
のポリエーテルポリオール等を用いることが可能であ
る。
【0024】本発明における側鎖にカルボキシル基又は
そのエステルを有する高分子化合物は、側鎖にカルボキ
シル基又はそのエステルを有するビニルモノマーの重合
体あるいは共重合体で、数平均分子量が1,000〜
2,000,000の高分子化合物である。側鎖にカル
ボキシル基を有するビニルモノマーとしては、例えば、
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロル(メタ)
アクリル酸、α−ブロム(メタ)アクリル酸、α−フル
オロ(メタ)アクリル酸、ケイ皮酸、イタコン酸、マレ
イン酸、フマル酸、無水マレイン酸のハーフエステル等
を挙げることができる。側鎖にカルボキシル基のエステ
ルを有するビニルモノマーとしては、例えば、メチル
(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレ
ート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル
(メタ)アクリレート、2−エチル−1−ヘキシル(メ
タ)アクリレート、3−ペンチル(メタ)アクリレー
ト、n−オクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)ア
クリル酸エステルを挙げることができる。また、上記の
カルボキシル基を有するビニルモノマーの重合体あるい
は共重合体をエステル化して用いることも可能である。
【0025】本発明における側鎖に水酸基とカルボキシ
ル基又はそのエステルを有する数平均分子量が1,00
0〜2,000,000の高分子化合物は、前述の側鎖
に水酸基を有するビニルモノマーと、側鎖にカルボキシ
ル基又はそのエステルを有するビニルモノマーとの共重
合体である。なお、共重合体の合成において、側鎖に水
酸基、カルボキシル基又はそのエステルを有しないビニ
ルモノマーと共重合することも可能である。側鎖に水酸
基、カルボキシル基又はそのエステルを有しないビニル
モノマーの例として、スチレン、エチレン、プロピレ
ン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピロリドン、
ブタジエン、イソプレン、アクリルニトリル、アセチレ
ン、ビニルカルバゾール、ビニルピリジン、ビニルブチ
ルエーテル、メチルビニルエーテル、フッ化ビニリデ
ン、メチルビニルケトン、無水マレイン酸等を挙げるこ
とができる。また、側鎖に水酸基、カルボキシル基又は
そのエステルを有しないビニルモノマーは任意の割合で
用いることが可能である。
【0026】本発明における側鎖に水酸基を有する高分
子化合物として、天然高分子化合物あるいは変成した天
然高分子化合物を用いることが可能である。天然高分子
化合物としては、例えば、セルロース、プルラン、キチ
ン等を、変成した天然高分子化合物としては、例えば、
酢酸セルロース、キトサン、ヒドロキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、シクロデキストリン等の環状多糖類、ニト
ロセルロース等の変成セルロース等を挙げることができ
る。
【0027】本発明における側鎖にカルボキシル基又は
そのエステルを有する高分子化合物として、天然高分子
あるいは変成した天然高分子を用いることが可能であ
る。天然高分子化合物としては、例えば、アルギン酸等
を、変成した天然高分子化合物としては、例えば、カル
ボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース
等を挙げることができる。
【0028】本発明における水酸基を有する数平均分子
量が1,000未満の低分子化合物としては、例えば、
エチレングルコール、ペンタエリスリトール、ブタンジ
オール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、プ
ロピレングリコール、シクロヘキサンジオール、オクタ
ンジオール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロ
ールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テ
トラエチロールベンゾグアナミン等を挙げることができ
る。
【0029】本発明におけるカルボキシル基を有する数
平均分子量が1,000未満の低分子化合物としては、
例えば、コハク酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、
アジピン酸、セバシン酸、o−フタル酸、m−フタル
酸、p−フタル酸、ベンゼンテトラカルボン酸、トリメ
リット酸、グルタミン酸、ナフタレンジカルボン酸、ア
ントラセンジカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸
等を挙げることができる。また、分子内に水酸基とカル
ボキシル基を有するリンゴ酸、酒石酸、粘液酸等を用い
ることも可能である。
【0030】本発明におけるカルボキシル基のエステル
を有する数平均分子量が1,000未満の低分子化合物
としては、上記のカルボキシル基を有する低分子化合物
を、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、シクロヘキサノール、ヘキサノール、オクタノー
ル、ベンジルアルコール等のアルコールでエステル化し
た化合物を挙げることができる。
【0031】本発明における高分子化合物を得るための
重合法としては、一般的なラジカル重合法、アニオン重
合法、カチオン重合法等のビニル重合法を用いることが
できる。簡便に重合体を得るためには、溶媒を用いたラ
ジカル重合法が望ましいが、溶媒を用いない塊状重合法
や水系の懸濁重合法、エマルジョン重合法等を用いて合
成することも可能である。
【0032】本発明における高分子化合物を得るための
重合法に用いられる溶媒としては、例えば、酢酸エチ
ル、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジオキサン、テト
ラヒドロフラン、メチルセルソルブアセテート、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスル
ホオキシド、スルホラン、メチルセルソルブ、ブチルセ
ルソルブ、n−ブタノール、イソプロパノール、エタノ
ール、メタノール等を挙げることができる。
【0033】本発明の硬化性樹脂組成物において、これ
を構成する高分子化合物及び低分子化合物が有する水酸
基、あるいはカルボキシル基又はそのエステルの数は2
個以上であることが望ましい。
【0034】本発明の硬化方法は、有機溶媒中で加水分
解酵素が触媒するエステルの加水分解反応の逆反応であ
るエステル合成反応やエステル交換反応を利用して架橋
させることを特徴としている。したがって、本発明に使
用される加水分解酵素は、有機溶媒中でエステル合成反
応やエステル交換反応を触媒するものであれば特に制限
はない。加水分解酵素のうちエステルを加水分解する酵
素はエステラーゼと総称され、EC(酵素番号)3.1
群(丸尾・田宮監修「酵素ハンドブック」朝倉書店(198
2)等参照)に分類される。しかし、有機溶媒中では、酵
素反応の基質となる水酸基やカルボキシル基又はそのエ
ステルを有する高分子あるいは低分子化合物、さらには
タンパク質である酵素自体も構造が変化するため、水溶
液中での反応で認められるような厳密な基質特異性が薄
れ、エステラーゼで総称される酵素以外の加水分解酵素
も上記基質のエステル合成反応、エステル交換反応を触
媒するものと考えられる本発明における加水分解酵素と
しては、例えば、カルボキシエステラーゼ、リパーゼ、
ホスホリパーゼ、アセチルエステラーゼ、ペクチンエス
テラーゼ、コレステロールエステラーゼ、タンナーゼ、
モノアシルグリセロールリパーゼ、ラクトナーゼ、リポ
プロテインリパーゼ等の一群のエステラーゼ、グルコシ
ダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、キシロ
シダーゼ等のグリコシル化合物に作用するEC3.2群
に分類される加水分解酵素、エポキシドヒドロラーゼ等
のEC3.3群に分類される加水分解酵素、アミノペプ
チダーゼ、キモトリプシン、トリプシン、プラスミン、
ズブチリシン等のペプチド結合に作用するEC3.4群
に分類される加水分解酵素、フロレチンヒドロラーゼ等
のEC3.7群に分類される加水分解酵素等を挙げるこ
とができる。
【0035】上記一群のエステラーゼのうち、グリセロ
ールエステルを加水分解し脂肪酸を遊離する酵素を特に
リパーゼと呼ぶが、リパーゼは有機溶媒中での安定性が
高く収率良くエステル化反応、あるいはエステル交換反
応を触媒し、さらに安価に入手できることなどから、前
述のように有機溶媒中でのポリエステルの合成に広く用
いられている。したがって、本発明の硬化方法において
も、収率やコストの面からリパーゼを用いることが望ま
しい。リパーゼには種々の起源のものが使用できるが、
好ましいものとして、シュードモナス(Pseudomonas )
属、アルカリゲネス(Alcaligenes )属、アクロモバク
ター(Achromobacter )属、カンジダ(Candida )属、
アスペルギルス(Aspergillus )属、リゾプス(Rhizop
us)属、ムコール(Mucor )属等の微生物から得られる
リパーゼ類、植物種子から得られるリパーゼ類、動物組
織から得られるリパーゼ類、さらにパンクレアチン、ス
テアプシン等を挙げることができる。中でも好ましく
は、シュードモナス属、カンジダ属、アスペルギルス属
の微生物由来のリパーゼを用いることが望ましい。反応
には2種類以上の酵素を混合して用いても良く、また、
酵素の安定化や反応後の回収を容易にするために、公知
の方法で固定化した酵素を用いることも可能である。
【0036】前述のように、本発明の硬化方法は、有機
溶媒中で加水分解酵素が触媒するエステルの加水分解反
応の逆反応であるエステル合成反応やエステル交換反応
を利用して架橋させることを特徴としている。このた
め、反応に使用される溶媒は、逆反応の進行に有効に作
用し、しかも酵素を失活しないものが望ましい。具体的
には、エーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エステ
ル系溶媒、ニトリル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶
媒、アミド系溶媒等が好ましく、特に好ましくはエチル
エーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラ
ヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素系溶媒等を用いることが望ましい。
また、高分子化合物の重合に用いた溶媒をそのまま用い
ても良く、2種類以上の溶媒を混合して用いても差し支
えない。
【0037】本発明の硬化性樹脂組成物においては、水
酸基1.0モルに対して、カルボキシル基を0.2〜
5.0モル当量含まれていることが好ましく、特に好ま
しくは0.5〜2.0モル当量含まれていることが望ま
しい。反応温度は−10〜100℃が好ましく、特に好
ましくは20〜60℃が望ましい。反応系への加水分解
酵素の添加量は、用いる加水分解酵素のエステル合成能
により適宜加減すれば良いが、好ましくは反応に関与す
る高分子化合物と低分子化合物の総重量に対して0.1
〜100重量%程度、さらに好ましくは0.5〜20重
量%とすれば良い。このとき、酵素を大量に使用しても
副反応は生じず、精製操作においても支障をきたすこと
はない。
【0038】本発明の硬化性樹脂組成物において、加水
分解酵素による反応を阻害しないものであれば、用途に
より、ロジン変成フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂成分、着色剤
として黄色、紅色、藍色、墨色等の顔料、その他、レベ
リング改良剤、増粘剤、可塑剤、紫外線防止剤、酸化防
止剤、帯電防止剤等の補助剤を適宜添加しても差し支え
ない。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】(合成例1) 側鎖に水酸基を有する高分子化合物(A) 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサ
ーを備えた500ml容四つ口丸底フラスコに、 ジメチルホルムアミド(DMF) 100ml 4−ヒドロキシ−1−ブテン 40.0g 2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN) 0.5g を仕込み、撹拌しながら湯浴中でフラスコ内温度を74
℃に昇温した。そのまま反応を4時間続けた後、AIB
Nを0.05g添加し、さらに2時間加熱、撹拌を継続
し、側鎖に水酸基を有する高分子化合物(A)の溶液を
得た。GPCによる分子量測定で、この高分子化合物の
数平均分子量(スチレン換算)は25,000であっ
た。
【0041】(合成例2) 側鎖に水酸基を有する高分子化合物(B) 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサ
ーを備えた500ml容四つ口丸底フラスコに、 DMF 100ml 4−ヒドロキシ−1−ブテン 20.0g スチレン 20.0g AIBN 0.5g を仕込み、撹拌しながら湯浴中でフラスコ内温度を74
℃に昇温した。そのまま反応を4時間続けた後、AIB
Nを0.05g添加し、さらに2時間加熱、撹拌を継続
し、側鎖に水酸基を有する高分子化合物(B)の溶液を
得た。GPCによる分子量測定で、この高分子化合物の
数平均分子量(スチレン換算)は27,000であっ
た。
【0042】(合成例3) 側鎖にカルボキシル基を有する高分子化合物(C) 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサ
ーを備えた500ml容四つ口丸底フラスコに、 ジメチルアセトアミド(DMAc) 100ml メタクリル酸 20.0g スチレン 20.0g AIBN 0.5g を仕込み、撹拌しながら湯浴中でフラスコ内温度を74
℃に昇温した。そのまま反応を4時間続けた後、AIB
Nを0.05g添加し、さらに2時間加熱、撹拌を継続
し、側鎖にカルボキシル基を有する高分子化合物(C)
の溶液を得た。GPCによる分子量測定で、この高分子
化合物の数平均分子量(スチレン換算)は29,000
であった。
【0043】(合成例4) 側鎖にカルボキシル基を有する高分子化合物(D) 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサ
ーを備えた500ml容四つ口丸底フラスコに、 DMF 100ml メタクリル酸 20.0g N−ビニルピロリドン 20.0g AIBN 0.5g を仕込み、撹拌しながら湯浴中でフラスコ内温度を74
℃に昇温した。そのまま反応を4時間続けた後、AIB
Nを0.05g添加し、さらに2時間加熱、撹拌を継続
し、側鎖にカルボキシル基を有する高分子化合物(D)
の溶液を得た。GPCによる分子量測定で、この高分子
化合物の数平均分子量(スチレン換算)は29,000
であった。
【0044】(合成例5) 側鎖にカルボキシル基のエステルを有する高分子化合物
(E) 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサ
ーを備えた500ml容四つ口丸底フラスコに、 メチルエチルケトン(MEK) 100ml メチルメタアクリレート 20.0g スチレン 20.0g AIBN 0.5g を仕込み、撹拌しながら湯浴中でフラスコ内温度を74
℃に昇温した。そのまま反応を4時間続けた後、AIB
Nを0.05g添加し、さらに2時間加熱、撹拌を継続
し、側鎖にカルボキシル基のエステルを有する高分子化
合物(E)の溶液を得た。GPCによる分子量測定で、
この高分子化合物の数平均分子量(スチレン換算)は2
5,000であった。
【0045】(合成例6) 側鎖にカルボキシル基とそのエステルを有する高分子化
合物(F) 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサ
ーを備えた500ml容四つ口丸底フラスコに、 MEK 100ml メチルメタアクリレート 10.0g アクリル酸 10.0g スチレン 20.0g AIBN 0.5g を仕込み、撹拌しながら湯浴中でフラスコ内温度を74
℃に昇温した。そのまま反応を4時間続けた後、AIB
Nを0.05g添加し、さらに2時間加熱、撹拌を継続
し、側鎖にカルボキシル基とそのエステルを有する高分
子化合物(F)の溶液を得た。GPCによる分子量測定
で、この高分子化合物の数平均分子量(スチレン換算)
は27,000であった。
【0046】(合成例7) 側鎖に水酸基とカルボキシル基と有する高分子化合物
(G) 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサ
ーを備えた500ml容四つ口丸底フラスコに、 MEK 100ml 4−ヒドロキシ−1−ブテン 10.0g アクリル酸 10.0g スチレン 20.0g AIBN 0.5g を仕込み、撹拌しながら湯浴中でフラスコ内温度を74
℃に昇温した。そのまま反応を4時間続けた後、AIB
Nを0.05g添加し、さらに2時間加熱、撹拌を継続
し、側鎖に水酸基とカルボキシル基を有する高分子化合
物(G)の溶液を得た。GPCによる分子量測定で、こ
の高分子化合物の数平均分子量(スチレン換算)は2
2,000であった。
【0047】(合成例8) 側鎖に水酸基、カルボキシル基とそのエステル有する高
分子化合物(H) 撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサ
ーを備えた500ml容四つ口丸底フラスコに、 MEK 100ml 4−ヒドロキシ−1−ブテン 10.0g アクリル酸 10.0g メチルメタアクリレート 10.0g スチレン 10.0g AIBN 0.5g を仕込み、撹拌しながら湯浴中でフラスコ内温度を74
℃に昇温した。そのまま反応を4時間続けた後、AIB
Nを0.05g添加し、さらに2時間加熱、撹拌を継続
し、側鎖に水酸基、カルボキシル基とそのエステルを有
する高分子化合物(H)の溶液を得た。GPCによる分
子量測定で、この高分子化合物の数平均分子量(スチレ
ン換算)は31,000であった。
【0048】(実施例1)上記高分子化合物(A)の溶
液14.0gと、高分子化合物(C)の溶液14.0g
を混合し、これに0.4gのリパーゼ(シュードモナス
属の微生物由来)を添加して、樹脂組成物を調製した。
リパーゼは溶媒に溶解せずに懸濁した。この樹脂組成物
を1ミルのアプリケーターを用いてガラス板に塗布し、
さらに室温で風乾させて塗膜を得た。
【0049】(実施例2〜8)実施例1の高分子化合物
の組み合わせの代わりに、表1に示した組み合わせの高
分子化合物の溶液を混合した以外は、実施例1と同様な
操作を行って樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を
1ミルのアプリケーターを用いてガラス板に塗布し、さ
らに室温で風乾させて塗膜を得た。
【0050】(実施例9)上記高分子化合物(G)の溶
液14.0gに0.2gのリパーゼ(シュードモナス属
の微生物由来)を添加して、樹脂組成物を調製した。こ
の樹脂組成物を1ミルのアプリケーターを用いてガラス
板に塗布し、さらに室温で風乾させて塗膜を得た。
【0051】(実施例10)上記高分子化合物(H)の
溶液14.0gに0.2gのリパーゼ(シュードモナス
属の微生物由来)を添加して、樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を1ミルのアプリケーターを用いてガラ
ス板に塗布し、さらに室温で風乾させて塗膜を得た。
【0052】(実施例11)ポリビニルアルコール(P
VA)(Aldrich 製、平均分子量=13,000〜2
3,000)4.0gと、上記高分子化合物(C)の溶
液14.0gを混合し、これに0.4gのリパーゼ(シ
ュードモナス属の微生物由来)を添加して、樹脂組成物
を調製した。この樹脂組成物を1ミルのアプリケーター
を用いてガラス板に塗布し、さらに室温で風乾させて塗
膜を得た。
【0053】(実施例12)ポリビニルアルコール(P
VA)(Aldrich 製、平均分子量=13,000〜2
3,000)4.0gと、上記高分子化合物(D)の溶
液14.0gを混合し、これに0.4gのリパーゼ(シ
ュードモナス属の微生物由来)を添加して、樹脂組成物
を調製した。この樹脂組成物を1ミルのアプリケーター
を用いてガラス板に塗布し、さらに室温で風乾させて塗
膜を得た。
【0054】(実施例13)プルラン(PL)(和光純
薬工業製、平均分子量=50,000〜100,00
0)4.0gと、上記高分子化合物(C)の溶液14.
0gを混合し、これに0.4gのリパーゼ(シュードモ
ナス属の微生物由来)を添加して、樹脂組成物を調製し
た。この樹脂組成物を1ミルのアプリケーターを用いて
ガラス板に塗布し、さらに室温で風乾させて塗膜を得
た。
【0055】(実施例14)プルラン(PL)(和光純
薬工業製、平均分子量=50,000〜100,00
0)4.0gと、上記高分子化合物(D)の溶液14.
0gを混合し、これに0.4gのリパーゼ(シュードモ
ナス属の微生物由来)を添加して、樹脂組成物を調製し
た。この樹脂組成物を1ミルのアプリケーターを用いて
ガラス板に塗布し、さらに室温で風乾させて塗膜を得
た。
【0056】(実施例15)ペンタエリスリトール(P
T)4.0gと、上記高分子化合物(C)の溶液14.
0gを混合し、これに0.4gのリパーゼ(シュードモ
ナス属の微生物由来)を添加して、樹脂組成物を調製し
た。この樹脂組成物を1ミルのアプリケーターを用いて
ガラス板に塗布し、さらに室温で風乾させて塗膜を得
た。
【0057】(実施例16)ペンタエリスリトール(P
T)4.0gと、上記高分子化合物(D)の溶液14.
0gを混合し、これに0.4gのリパーゼ(シュードモ
ナス属の微生物由来)を添加して、樹脂組成物を調製し
た。この樹脂組成物を1ミルのアプリケーターを用いて
ガラス板に塗布し、さらに室温で風乾させて塗膜を得
た。
【0058】(実施例17)上記高分子化合物(A)の
溶液14.0gと、高分子化合物(C)の溶液14.0
gを混合し、これに0.4gのパンクレアチンを添加し
て、樹脂組成物を調製した。パンクレアチンは溶媒に溶
解せずに懸濁した。この樹脂組成物を1ミルのアプリケ
ーターを用いてガラス板に塗布し、さらに室温で風乾さ
せて塗膜を得た。
【0059】(実施例18)上記高分子化合物(G)の
溶液14.0gに0.2gのパンクレアチンを添加し
て、樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を1ミルの
アプリケーターを用いてガラス板に塗布し、さらに室温
で風乾させて塗膜を得た。
【0060】(実施例19)上記高分子化合物(A)の
溶液14.0gと、高分子化合物(C)の溶液14.0
gを混合し、これに0.4gのタンナーゼ(アスペルギ
ルス属の微生物由来)を添加して、樹脂組成物を調製し
た。タンナーゼは溶媒に溶解せずに懸濁した。この樹脂
組成物を1ミルのアプリケーターを用いてガラス板に塗
布し、さらに室温で風乾させて塗膜を得た。
【0061】(実施例20)上記高分子化合物(G)の
溶液14.0gに0.2gのタンナーゼ(アスペルギル
ス属の微生物由来)を添加して、樹脂組成物を調製し
た。この樹脂組成物を1ミルのアプリケーターを用いて
ガラス板に塗布し、さらに室温で風乾させて塗膜を得
た。
【0062】(比較例1)上記高分子化合物(A)の溶
液14.0gと、高分子化合物(C)の溶液14.0g
を混合し樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を1ミ
ルのアプリケーターを用いてガラス板に塗布し、さらに
室温で風乾させて塗膜を得た。
【0063】(比較例2)上記高分子化合物(G)の溶
液を1ミルのアプリケーターを用いてガラス板に塗布
し、さらに室温で風乾させて塗膜を得た。
【0064】実施例及び比較例で得られた塗膜を、所定
時間、温度30℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽に保持
し、塗膜の硬化試験を行った。塗膜がDMF及びMEK
に不溶となったことをもって、塗膜が硬化したものと判
断した。結果を表1に示した。
【0065】 表1 ────────────────────────────────── 実施例及び比較例 樹脂組成物 硬化時間(日) 硬化状況 ────────────────────────────────── 実施例1 A C 5 ○ 実施例2 A D 5 ○ 実施例3 A E 10 ○ 実施例4 A F 10 ○ 実施例5 B C 10 ○ 実施例6 B D 10 ○ 実施例7 B E 10 ○ 実施例8 B F 10 ○ 実施例9 G 10 ○ 実施例10 H 10 ○ 実施例11 PVA C 15 ○ 実施例12 PVA D 15 ○ 実施例13 PL C 15 ○ 実施例14 PL D 15 ○ 実施例15 PT C 10 ○ 実施例16 PT D 10 ○ 実施例17 A C 10 ○ 実施例18 G 15 ○ 実施例19 A C 10 ○ 実施例20 G 15 ○ 比較例1 A C 30 × 比較例2 G 30 × ────────────────────────────────── 硬化状況:○,DMF及びMEKに不溶 ×,DMF及びMEKに可溶
【0066】本発明の加水分解酵素を含む硬化性樹脂組
成物は、塗膜形成後5〜15日でDMF及びMEKに不
溶となり、硬化が認められた。これに対し、加水分解酵
素を含まないものでは、塗膜形成後30日でも硬化が認
められず、硬化反応が添加された加水分解酵素のエステ
ル合成反応及びエステル交換反応によるものであること
が示された。
【0067】
【発明の効果】本発明は、水酸基とカルボキシル基又は
そのエステルを有し、さらに加水分解酵素を含むことを
特徴とする硬化性樹脂組成物、並びに無溶剤あるいは非
水系の有機溶剤中で上記樹脂組成物を硬化させる方法で
あり、有機溶媒中で加水分解酵素を触媒として反応させ
ることで、塗料、インキ等の塗膜形成材料、接着剤等に
有用な硬化物を得ることができる。加水分解酵素による
エステルの加水分解反応の逆反応であるエステル合成反
応やエステル交換反応を利用する本発明の硬化方法を用
いれば、ドライヤー等の添加や加熱などを必要としない
温和な条件で架橋反応を行うことが可能である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 側鎖に水酸基とカルボキシル基又はその
    エステルを有する数平均分子量1,000〜2,00
    0,000の高分子化合物、及び加水分解酵素からなる
    硬化性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 側鎖に水酸基を有する数平均分子量1,
    000〜2,000,000の高分子化合物、側鎖にカ
    ルボキシル基又はそのエステルを有する数平均分子量
    1,000〜2,000,000の高分子化合物、及び
    加水分解酵素からなる硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 側鎖に水酸基を有する数平均分子量1,
    000〜2,000,000の高分子化合物、カルボキ
    シル基又はそのエステルを有する数平均分子量1,00
    0未満の低分子化合物、及び加水分解酵素からなる硬化
    性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 側鎖にカルボキシル基又はそのエステル
    を有する数平均分子量1,000〜2,000,000
    の高分子化合物、水酸基を有する数平均分子量1,00
    0未満の低分子化合物、及び加水分解酵素からなる硬化
    性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 加水分解酵素がリパーゼであることを特
    徴とする、請求項1〜4いずれか記載の硬化性樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれか記載の硬化性樹脂
    組成物を、無溶剤あるいは非水系の有機溶媒中で架橋さ
    せることを特徴とする、硬化性樹脂組成物の硬化方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6398515B1 (en) 1997-12-26 2002-06-04 Kabushiki Kaisha Toyoda Jidoshokki Seisakusho Seal mechanism protector for compressors
WO2004085606A1 (ja) * 2003-03-24 2004-10-07 National Institute For Environmental Studies 細胞培養基質および細胞接着蛋白質またはペプチドの固相化標品

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