JP2004189797A - 反応性ポリエステル - Google Patents

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JP2004189797A JP2002356853A JP2002356853A JP2004189797A JP 2004189797 A JP2004189797 A JP 2004189797A JP 2002356853 A JP2002356853 A JP 2002356853A JP 2002356853 A JP2002356853 A JP 2002356853A JP 2004189797 A JP2004189797 A JP 2004189797A
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Toru Kurihashi
透 栗橋
Hozumi Tanaka
穂積 田中
Shiro Kobayashi
四郎 小林
Hiroshi Uyama
浩 宇山
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

【課題】ポリエステル類は、カルボン酸と水酸基が縮合して得られる一般的な重合体である。この反応は縮合反応であるために、一般的には例えばトルエンといった非水和性有機溶剤中において加熱中生成する水分を溜去しつつ反応を進行させ重合体を得る方法が一般的である。さらに、エステル化反応は平衡反応であるために水中でのエステル化は容易には起こりえなかった。
本発明は、製造過程も含め一切の有機溶剤を用いることなく温和な条件において、かつ簡単で環境に優しい反応性ポリエステル、及びその製造方法を与えることを課題としている。
【解決手段】アルコール化合物、カルボン酸化合物、また不飽和結合と水酸基、またはカルボキシル基を併せ持つ化合物を、特定の条件下、即ち特定の酵素触媒、もしくは特定の酸を用いることで、これらを共重合反応させることで、完全な水系中において反応性ポリエステルが得られる。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルコール化合物、及びカルボキシル基を有する化合物、もしくはラクトン類といった環状エステル化合物、及び重合可能な不飽和結合と水酸基またはカルボキシル基を併せ持つ化合物から、水系中において直接得られる反応性ポリエステルの製造方法に関する。
【0002】
さらに、本発明で得られる反応性ポリエステルは、インキ、塗料等に用い、かつ紫外線、電子線等の活性エネルギー線硬化型材料、もしくはマクロモノマー粒子としてに好適に用いられる。
【0003】
【従来の技術】
ポリエステル類は、カルボン酸と水酸基が縮合して得られる一般的な重合体である。この反応は縮合反応であるために、一般的には例えばトルエンといった非水和性有機溶剤中において加熱中生成する水分を溜去しつつ反応を進行させ重合体を得る方法が一般的である。さらに、エステル化反応は平衡反応であるために水中でのエステル化は容易には起こりえなかった。
【0004】
さらに、これらの反応は、生成する水を溜去する必要上、100℃以上、一般的には200℃もの高温で反応させる必要があった。
【0005】
現在、水性ポリエステルエマルジョンと称して工業的に市販されているものもある。しかしながらこれらは、いったん有機溶剤中で重合体を合成せしめた後有機溶剤を除去し、さらに水中に分散させるといった二重の生産工程経て得られるものである。この方法では、水系ポリエステルエマルジョンと称しておきながら、実質的には多量の有機溶媒を使いながら生産されたものであり、本質的な水性樹脂とは言い難かった。
【0006】
近年、水系中におけるエステル化反応に関する報告が行われ、水系中におけるポリエステル合成に関する可能性が開かれてきた。
【0007】
例えば、リパーゼ類を用いてポリエステルを重合させる試みが報告されている(非特許文献1及び2参照)。しかしながら、ここにおいては反応性官能基の導入に関しての試みはなされていない。
【0008】
また、ドデシルベンゼンスルホン酸を用いたアルコールとカルボン酸からのエステルモノマー類の合成に関しての報告されている(非特許文献3)。しかしながら、ここにはポリエステルに関しての記載は無く、もちろん反応性官能基の導入に関しての試みはなされていない。
【0009】
【非特許文献1】Uyama, H. et al, Chem. Lett. 1997年, 105ページ
【非特許文献2】Suda, S. et al, Proc. Jpn. Acad. Ser. B, 1999年, 第75巻,201ページ
【非特許文献3】Manabe, K. et al, J. Am. Chem. Soc., 2002年, 第124巻, 11971ページ
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
有機溶剤の使用は環境衛生上問題であるために、製造過程で有機溶剤を使用しないポリエステルの開発が切望されている。本発明は、温和な条件で合成ができ、かつ簡単で環境に優しい反応性ポリエステル、及びその製造方法を与えることを目的とする。
【0011】
さらに反応性官能基として二重結合を導入することで、紫外線、電子線といった活性エネルギー線反応型材料、もしくはマクロモノマー粒子として利用することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、アルコール化合物、カルボン酸化合物、また不飽和結合と水酸基、またはカルボキシル基とを併せ持つ化合物を、特定の条件下で共重合反応させることで、完全な水系中において反応性ポリエステルが得られることを見いだし、本発明に至った。
【0013】
即ち本発明は、水酸基を2個以上含有するポリオール化合物(a)、カルボキシル基を2個以上含有するポリカルボン酸化合物(b)、および、重合可能な不飽和結合と水酸基もしくはカルボキシル基とを併せ持つ化合物(c)を、加水分解酵素(d)もしくは1酸性官能基あたりの分子量が150〜3000である酸(e)を用い水中でエステル化反応させることを特徴とするポリエステルの製造方法に関する。
また、本発明は、開環重合可能な環状エステル基を有する化合物(f)、重合可能な不飽和結合と水酸基もしくはカルボキシル基とを併せ持つ化合物(c)を、加水分解酵素(d)もしくは1酸性官能基あたりの分子量が150〜3000である酸(e)を用い水中でエステル化反応させることを特徴とするポリエステルの製造方法に関する。
また、本発明は、加水分解酵素(d)もしくは1酸性官能基あたりの分子量が150〜3000である酸(e)以外の界面活性剤(h)の存在下でエステル化反応を行うことを上記ポリエステルの製造方法に関する。
また、本発明は、さらに、成形し、エネルギーを与えて、化合物(c)由来の重合可能な不飽和結合を反応させることを特徴とする上記ポリエステルの製造方法に関する。。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明における水酸基を2個以上含有するアルコール化合物(a)とは、一分子中に2つ以上の水酸基を有する化合物であり、反応性ポリエステルを構成する化合物である。
【0015】
例えば、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、オクタデカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール等の直鎖または環状の脂肪族ジオール類、ヘキセンジオール等の不飽和脂肪族ジオール類、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールといったポリアルキレングリコール類、ハイドロキノンといった芳香族ジオール類、グリセリン、スピログリコール、ペンタエリスリトール等のポリオール類が挙げられる。
【0016】
さらには、(コ)ポリビニルアルコール、(コ)ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(コ)ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、プルラン等の糖類、ポリカプロラクトンといった環状エステル開環重合物類等も挙げられる。
【0017】
これらポリオール類のなかで、特に炭素数6〜18の飽和及び不飽和脂肪族ポリオール類が好適に用いられる。これらポリオール類が良好な反応性ポリエステルを得ることが出来るためである。
【0018】
本発明におけるカルボキシル基を2個以上含有する多価カルボン酸化合物(b)とは、一分子中に2つ以上のカルボキシル基を有する化合物である。例えば、マロン酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、フタル酸水添物等の直鎖または環状のジカルボン酸類、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸類、ヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類、トリメリット酸水添物、ピロメリット酸水添物等の脂肪族ポリカルボン酸類、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸類が挙げられる。
【0019】
これらポリカルボン酸のなかで、カルボキシル基の炭素も含めた場合の炭素数6〜18の、飽和及び不飽和脂肪族カルボン酸類が好適に用いられる。これらのポリカルボン酸が良好な反応性ポリエステルを得ることが出来るためである。
【0020】
本発明における重合可能な不飽和結合と水酸基もしくはカルボキシル基とを併せ持つ化合物(c)としては、重合可能な不飽和結合と水酸基とを併せ持つもの(c−1)とカルボキシル基とを併せ持つ化合物(c−2)がある。これらは、一分子内に重合可能な不飽和結合と水酸基またはカルボキシル基を併せ持つ化合物である。これは、共重合によって本発明おけるポリエステルに反応性基を導入する役割を担うものである。
【0021】
重合可能な不飽和結合を有する官能基としては、例えばビニル基、(メタ)アクリロイル基等があげられる。
【0022】
具体的に不飽和結合と水酸基とを併せ持つ化合物(c−1)を例示すれば、ビニルアルコール、リノレインアルコール、リノールアルコール、オレイルアルコール、アリルアルコール、p−ヒドロキシスチレン、2−シクロヘキセン−1− オール等の不飽和アルコール類、
【0023】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシステアリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のアクリルエステル類、
【0024】
2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル、ヒドロキシヘプチルビニルエーテル、ヒドロキシラウリルビニルエーテル、ヒドロキシステアリルビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリ(ビニルエーテル等のビニルエーテル類、
【0025】
また、アクリル酸カプロラクトン開環共重合体等の重合系化合物等があげられる。
【0026】
具体的に不飽和結合とカルボキシル基とを併せ持つ化合物(c−2)を例示すれば、ビニル安息香酸、リノレイン酸、リノール酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸等、(メタ)アクリル酸等があげられる。
【0027】
また、不飽和結合と水酸基とを併せ持つ化合物(c−1)に、環状酸無水物をハーフエステル化したカルボン酸化合物も用いられる。
【0028】
ここで用いられる環状酸無水物としては、無水フタル酸、メチル無水フタル酸、、無水トリメリット酸、テトラブロモ無水フタル酸等の芳香族含有酸無水物。シクロヘキサンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、無水メチルハイミック酸、メチルシクロへキセンジカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、無水ヘット酸等の脂環含有酸無水物。無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、ブチルコハク酸無水物、ヘキシルコハク酸無水物、オクチルコハク酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、ブチルマレイン酸無水物、ペンチルマレイン酸無水物、ヘキシルマレイン酸無水物、オクチルマレイン酸無水物、デシルマレイン酸無水物、ドデシルマレイン酸無水物、ブチルグルタミン酸無水物、ヘキシルグルタミン酸無水物、ヘプチルグルタミン酸無水物、オクチルグルタミン酸無水物、デシルグルタミン酸無水物、ドデシルグルタミン酸無水物等の脂肪族酸無水物等があげられる。
【0029】
ここで用いられる化合物(c)としては、分子内の総炭素数が10〜30間までの範囲が好適に用いられる。この範囲において、二重結合の導入率がもっとも高くなる。
【0030】
ここで用いられる各成分の比率は、( (a)の総モル量+(c−1)の総モル量÷2)/((b)の総モル量+(c−2)の総モル量÷2)で表される値で、0.1〜10の範囲で用いられ、さらに好ましくは0.5〜2の範囲である。この範囲において、もっとも好適な反応性ポリエステルが得られる。
【0031】
さらに、化合物(c)の比率としては、(a)の総モル量 / (c−1)の総モル量÷2)、または(b)の総モル量 / (c−2)の総モル量÷2で示される値が0.1〜20、さらに好ましくは0.4〜5の範囲である。この範囲においてもっとも好適な反応性ポリエステルが得られる。
【0032】
化合物(c)は、用途によっては反応系中に添加した全てがポリエステル反応する必要はない。残存する(c)は、場合により反応性希釈剤、反応性可塑剤、反応性オリゴマーとして機能させることも可能である。
【0033】
本発明では触媒を必要とするが、水系中でエステル化を起こさせるために、当該触媒は、界面活性能を有する必要がある。具体的には、加水分解酵素(d)または1酸性官能基あたりの分子量が150〜3000である酸(e)が挙げられる。
【0034】
本発明において用いられる加水分解酵素(d)としては、
【0035】
Candida rugosa由来リパーゼ、Chromobacterium viscosum由来リパーゼ、Human Pancreas由来リパーゼ、Mucor javanicus由来リパーゼ、Mucor meihei由来リパーゼ、Porcine Pancreas由来リパーゼ、Pseudomonas cepacia由来リパーゼ、Pseudomonas specis由来リパーゼ、Rhizopus arrhizus由来リパーゼ、Rhizopus niveus由来リパーゼ、Wheat Germ由来リパーゼ等のリパーゼ類、
【0036】
Porcine Liver由来エステラーゼ、Rabbit Liver由来エステラーゼ、Human Plasma由来エステラーゼ等のエステラーゼ類、
【0037】
Porcine Liver由来ラクトナーゼ、Pseudomonas fluorescens由来ラクトナーゼ等のラクトナーゼ類、
【0038】
Aspergillus oryzae由来ヒドラーゼ、Porcine Liver由来ヒドラーゼ、Pseudomonas cepacia由来ヒドラーゼ等のヒドラーゼ類
【0039】
Bovine pancreas由来プロテアーゼ、Bacillus licheniformis由来プロテアーゼ、Bacillus thermoproteolyticus rokko由来プロテアーゼ、Rhizopus species由来プロテアーゼ等のプロテアーゼ類、Papaya latex由来のパパイン等が挙げられる。
【0040】
もちろんこれらの酵素を樹脂等の担体に担持させた固定化酵素も本発明において有用に使用できる。例えば、Novozym、Lipozym(ノボザイムジャパン社製)、ニューラーゼ、ウマミザイム、プロレザー(天野エンザイム社製)等が挙げられる。
【0041】
酵素(d)の適当な使用量としては、(a)+(b)+(c)、もしくは(f)+(c)の固形分における総重量に対し1〜50重量%、さらに好ましくは5〜25重量%である。配合量が上記範囲よりも少ない場合には、その効果が薄く、また多すぎる場合には経済的でない。
【0042】
本発明において用いられる、1酸性官能基あたりの分子量が150〜3000である酸(e)とは、界面活性剤的作用を有しつつ、エステル化反応の酸触媒作用を示すものである。
【0043】
ここで示される酸性官能基とは、スルホン酸基、リン酸、ホウ酸基等が挙げられる。
【0044】
具体的には、モノスルホン酸化合物として、スチレンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ステアリルベンゼンスルホン酸、リノレインベンゼンスルホン酸等の飽和及び不飽和アルキルベンゼンスルホン酸化合物、また、オクチルナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタレンベンゼンスルホン酸等の飽和及び不飽和アルキルナフタレンスルホン酸化合物、ラウリルスルホン酸、ステアリルスルホン酸等の飽和及び不飽和アルキルスルホン酸類、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホン酸等のポリアルキレンアルキルエーテルスルホン酸類、(メタ)アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
【0045】
また、ポリスルホン酸化合物として、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸等のジスルホン酸類、ポリスチレンスルホン酸化合物、及びその共重合体化合物、ポリベータスチレンスルホン酸化合物、及びその共重合体、ベータスチレンスルホン酸ホルマリン縮合物等の芳香族スルホン酸アルデヒド縮合物類が挙げられる。
【0046】
さらに、リン酸化合物としては、ジプロピレングリコール4−ノニルフェニルホスフェート等が挙げられる。
【0047】
本発明において表記される1酸性官能基あたりの分子量とは、酸性官能基も含んだ分子量を指し示す。またその分子量が150〜3000、更に好ましくは200〜2000が好ましい。分子量が小さすぎ、また大きすぎる場合には、界面活性能が充分に作用せず、重合体を得ることができない。なお、分子量が分布をもつ場合は、重量平均分子量で計算する。
【0048】
また、本発明において用いられる酸性官能基としては、スルホン酸基が最も好ましく、反応性ポリエステルが得られやすい。
【0049】
酸(e)の適当な使用量としては、(a)+(b)+(c)、もしくは(f)+(c)の固形分における総重量に対し1〜50重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。配合量が上記範囲よりも少ない場合には、その効果が薄く、また多すぎる場合には経済的でない。
【0050】
本発明において用いられる開環重合可能な環状エステル基を有する化合物(f)とは、開環重合によってポリエステルを構成する要素となる。環状エステル基とは分子内エステル環化した官能基を示す。環の大きさに限定は無いが、環内の炭素数が6〜18の範囲が好ましい。これらを具体的に例示すれば、イプシロンカプロラクトン等があげられる。
【0051】
化合物(f)と化合物(c)との比率としては、(f)の総モル量 / (c−1)+ (c−2)の総モル量で示される値が0.1〜50、さらに好ましくは0.5〜10の範囲である。この範囲においてもっとも好適な反応性ポリエステルが得られる。
【0052】
本発明においては、重合時に補助的に(d)もしくは(e)以外の界面活性剤(h)を添加することもできる。これによって、本発明におけるポリエステルが乳化した場合の粒径、保存安定性を制御できるだけではなく、重合度及び重合可能な不飽和結合を有する化合物(c)の導入率を制御することもできる。
【0053】
ここで用いることができる(d)もしくは(e)以外の界面活性剤(h)としては、特に限定は無いが下記に例示する。
【0054】
具体的には、モノスルホン酸塩型アニオン系界面活性剤として、スチレンスルホン酸塩、オクチルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ステアリルベンゼンスルホン酸塩、リノレインベンゼンスルホン酸塩等の飽和及び不飽和アルキルベンゼンスルホン酸塩化合物、また、オクチルナフタレンスルホン酸塩、ドデシルナフタレンベンゼンスルホン酸塩等の飽和及び不飽和アルキルナフタレンスルホン酸塩化合物、ラウリルスルホン酸塩、ステアリルスルホン酸塩等の飽和及び不飽和アルキルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホン酸塩等のポリアルキレンアルキルエーテルスルホン酸塩類、(メタ)アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸塩等が挙げられる。
【0055】
また、ポリスルホン酸塩型アニオン系界面活性剤として、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等のジスルホン酸塩類、ポリスチレンスルホン酸塩化合物、及びその共重合体化合物、ポリベータスチレンスルホン酸塩化合物、及びその共重合体、ベータスチレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物等の芳香族スルホン酸塩アルデヒド縮合物類が挙げられる。
【0056】
また、モノカルボン酸塩型アニオン系界面活性剤としてはラウリン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩等の飽和及び不飽和脂肪酸塩類、ドデシル安息香酸塩等のアルキル安息香酸類塩等が挙げられる。
さらに、ジカルボン酸塩型アニオン系界面活性剤としては、ステアリルコハク酸塩等が挙げられる。また、(メタ)アクリル酸塩、マレイン酸塩、ビニル安息香酸塩等の共重合体、または、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートコハク酸ハーフエステル塩等、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート環状酸無水物ハーフエステル塩類の共重合体等が挙げられる。
【0057】
さらに、リン酸型アニオン系界面活性剤としては、ジプロピレングリコール4−ノニルフェニルホスフェート塩等が挙げられる。
【0058】
また、本発明において用いることができるノニオン系界面活性剤を列挙すれば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル類、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のソルビタンアルキレート類、グリセロールモノステアレート等のグリセライド類、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシアルキレンアルキルエステル類等があげれれる。
【0059】
また、本発明において用いることができるカチオン系界面活性剤を列挙すれば、ココナッツアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等の脂肪酸アミンアセテート類、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の脂肪酸アンモニウム塩類等が挙げられる。
【0060】
さらに、本発明において用いることができる両性系界面活性剤を列挙すれば、ラウリルベタイン等のベタイン類、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイド類が挙げられる。
【0061】
これら界面活性剤のなかで、ノニオン系界面活性剤が重合反応を阻害することもなく安定して作用するためにもっとも好ましい。さらには、HLB値(親水−疎水バランス値)が13以下のものが好ましい。
【0062】
用いられる(d)もしくは(e)以外の界面活性剤(h)の適当な使用量としては、(a)+(b)+(c)、もしくは(f)+(c)の固形分における総重量に対し0.1〜50重量%、さらに好ましくは1〜30重量%である。配合量が上記範囲よりも少ない場合には、その効果が薄く、また多すぎる場合には経済的でない。
【0063】
本発明における反応性ポリエステルの合成条件については特に限定はなく、用途、要求される特性、材料等の組み合わせによって好適な範囲は変わってくることは言うまでもないが、概ねの好適な条件についてここに列記する。
【0064】
反応温度に関しては20〜80℃、さらに好ましくは40〜60℃の範囲が好ましい。この範囲において、好適な反応性ポリエステルが得られる。上記範囲よりも温度が低い場合には反応の進行が遅く、また高すぎる場合には加水分解反応が優先し、充分な分子量を持った反応性ポリエステルは得られない。
【0065】
上記温度範囲内においては、通常のポリエステル重合条件と比較し温和な条件であるためエネルギーの節約になるばかりか、不飽和結合の安定性への懸念がないために重合禁止剤等の使用量を最低限に控えることができる。このため、最終的に重合可能な不飽和結合を反応させる時点(例えば、電子線/紫外線による硬化反応)での重合阻害にも好ましい影響を与える。
【0066】
反応の濃度に関しては、(a)+(b)+(c)、もしくは(f)+(c)の固形分総重量における濃度が5〜80重量%、さらに好ましくは10〜50重量%の範囲で好適に用いられる。濃度が上記範囲を下回る場合には重合における転換率が悪化し、また濃度が上記範囲を超えると良好な流動性を維持することが出来ない。
【0067】
本発明により得られた反応性ポリエステルは、溶剤である水を除いて、膜状もしくは塊状に成形することができる。水を除く方法は、濾過、揮散など公知の方法でできる。
【0068】
本発明により得られた反応性ポリエステルは、以下の用途において特に有効に用いられる。例えば、インキ、塗料、粘着剤、接着剤、粒子担持体等が挙げられる。もちろん本ポリエステルに、目的に応じた材料、例えばその他樹脂材料、添加剤、顔料、改質剤を加えることもできる。
【0069】
本発明により得られた反応性ポリエステルは、例えば、熱、活性エネルギー線などのエネルギーを与えること等により、化合物(c)由来の重合可能な不飽和結合を反応させることができるが、本発明におけるポリエステルの特性等から考えて、電磁波、紫外線、可視光線、赤外線等の活性エネルギー線により行うことが好ましい。この際、反応方法に応じた開始剤等を適宜加えることもできる。
【実施例】
以下に、本発明を具体的に示す。
【0070】
実施例1 反応性ポリエステルの重合
ポリオール化合物(a)、ポリカルボン酸化合物(b)、重合可能な不飽和結合と水酸基またはカルボキシル基を併せ持つ化合物(c)による加水分解酵素(d)を用いた反応性ポリエステルの重合
【0071】
撹拌装置、不活性ガス導入装置を具備した500ミリリットル反応装置に、下記原料を仕込んだ。
○純水300g
○表1中記載のポリオール(a)を表1中記載量
○表1中記載のポリカルボン酸(b)を表1中記載量、
○表1中の不飽和結合を有する化合物(c)を表1中記載量
○加水分解酵素(d)として固定化リパーゼ(Novozym435−ノボザイムジャパン社製)を5g(ただし比較例1.1のみ添加せず。)
○ノニオン系界面活性剤(日本触媒製ソフタノール50)を5g
仕込み終了後撹拌を開始し、その後50℃に反応溶液を加熱した。反応時間は24時間とした。その後、加熱をやめ撹拌を継続しつつ徐冷した。
【0072】
表1にその結果を記載する。
Figure 2004189797
PG:プロピレングリコール、BDO:ブタンジオール、ODO:オクタンジオール、DDO:デカンジオール、18DO:オクタデカンジオール、HQ:ハイドロキノン、SeA:セバシン酸、ADA:アジピン酸、TDA:テトラデカンジカルボン酸、EDA:エイコサンジカルボン酸、ESA:ヒドロキシエチルアクリレート−無水コハク酸ハーフエステル、HEA:ヒドロキシエチルアクリレート、HBA:ヒドロキシブチルアクリレート、HLA:ヒドロキシラウリルアクリレート、LiA:リノレイン酸、BCA:ヒドロキシブチルアクリレート−無水フタル酸水添物ハーフエステル
【0073】
実施例2 反応性ポリエステルの分析、及び硬化物特性
表2にて示す転化率、不飽和結合の導入率、分子量、硬化物物性は、下記方法にて見積もった。
【0074】
転化率の評価は、下記方法によった。
○反応終了後に得られた重合物(実質的にエマルジョンとして得られる)中に反応液の10倍量のメタノールで未反応モノマーを溶解させた。
○重合物を析出させた後、沈殿、遠心分離、乾燥の工程を経て得られた重合体の重量から転化率を求めた。
【0075】
不飽和結合の導入率は、上記工程において得られた重合体を核磁気共鳴装置を用いて見積もった。ここで指し示す導入率とは、エステル基に隣接するメチレンに帰属されるプロトンと不飽和結合に帰属されるプロトンの比率である。したがって、反応開始時に仕込んだ不飽和結合を有する化合物(c)の転化率とは異なる値である。
【0076】
分子量の測定は、上記方により得られた重合体を、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)にて行った。溶離液:クロロホルム、使用カラム:東ソー社製 TSKGel HHR−N 2本組、流量:1ミリリットル/分。検出器:示差屈折装置。分子量:重量平均分子量を記載した。
分子量標準には、ポリスチレンを用いた。
【0077】
硬化物の特性は、下記方法によった。
○TFS (Tin Free Steel)基板上に、重合反応終了後のエマルジョン水溶液をバーコータ#16を用い塗工した。塗工終了後、ハンドドライヤーを用いて水分を乾燥させた。
○塗工物を電子線照射装置を用いて、加速電圧150KV、照射量175kGyの電子線照射を行い、硬化塗膜の鉛筆硬度試験を実施した。鉛筆硬度試験はJIS K5400 8.4.2項に準拠した。
【0078】
Figure 2004189797
【0079】
実施例3 反応性ポリエステルの重合
ポリオール化合物(a)、ポリカルボン酸化合物(b)、重合可能な不飽和結合とカルボキシル基を併せ持つ化合物(c)による加水分解酵素(d)を用いた反応性ポリエステルの重合
撹拌装置、不活性ガス導入装置を具備した500ミリリットル反応装置に、下記原料を仕込んだ。
○純水300g
○ポリオール(a)としてデカンジオールを18g
○ポリカルボン酸(b)としてセバシン酸を13g
○不飽和結合を有する化合物(c)としてヒドロキシエチルアクリレート−無水コハク酸ハーフエステルを18g
○表3中の加水分解酵素(d)を表3中記載量
○ノニオン系界面活性剤(日本触媒製ソフタノール50)を5g
仕込み終了後撹拌を開始し、その後50℃に反応溶液を加熱した。反応時間は24時間とした。その後、加熱をやめ撹拌を継続しつつ徐冷した。
【0080】
実施例3において表記される転化率、導入率、分子量は実施例2に準拠した。
【0081】
表3にその結果を記載する。
【0082】
Figure 2004189797
Novo435:固定化リパーゼ、ノボザイム435(ノボザイムジャパン社製)、LipRM:固定化リパーゼ、リポザイムRM(ノボザイムジャパン社製)、LAY30:リパーゼAY アマノ30G(アマノエンザイム社製)、LFAP15:リパーゼF−AP15(アマノエンザイム社製)、PAP−W:プロテアーゼ パパインW−40(アマノエンザイム社製)
【0083】
実施例4 反応性ポリエステルの重合
ポリオール化合物(a)、ポリカルボン酸化合物(b)、重合可能な不飽和結合とカルボキシル基を併せ持つ化合物(c)による加水分解酵素(d)もしくは酸(e)を用いた反応性ポリエステルの重合
撹拌装置、不活性ガス導入装置を具備した500ミリリットル反応装置に、下記原料を仕込んだ。
○純水300g
○ポリオール(a)としてデカンジオールを18g
○ポリカルボン酸(b)としてセバシン酸を13g
○不飽和結合を有する化合物(c)としてヒドロキシエチルアクリレート−無水コハク酸ハーフエステルを18g
○表4中の酸(e)を表4中記載量
○ノニオン系界面活性剤(日本触媒製ソフタノール50)を5g
仕込み終了後撹拌を開始し、その後50℃に反応溶液を加熱した。反応時間は24時間とした。その後、加熱をやめ撹拌を継続しつつ徐冷した。
【0084】
実施例4において表記される転化率、導入率、分子量は実施例2に準拠した。
【0085】
表4にその結果を記載する。
【0086】
Figure 2004189797
DBSAc:ドデシルベンゼンスルホン酸、DNSAc:ドデシルナフタレンスルホン酸、AcmPA:アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、PSS20:4−ラウリルスチレンーパラスチレンスルホン酸共重合体、共重合組成比4−ラウリルスチレン/パラスチレンスルホン酸=80/20(モノマー比)、PSS10:4−ラウリルスチレンーパラスチレンスルホン酸共重合体、共重合組成比4−ラウリルスチレン/パラスチレンスルホン酸=90/10(モノマー比)、DPGNPP:ジプロピレングリコール−4−ノニルフェニルホスフェート、TsOH:トルエンスルホン酸、PSS5:4−ラウリルスチレンーパラスチレンスルホン酸共重合体、共重合組成比4−ラウリルスチレン/パラスチレンスルホン酸=95/5(モノマー比)
【0087】
実施例5 反応性ポリエステルの重合
開環重合可能な環状エステル基を有する化合物(f)、重合可能な不飽和結合とカルボキシル基を併せ持つ化合物(c)による加水分解酵素(d)もしくは酸(e)を用いた反応性ポリエステルの重合
撹拌装置、不活性ガス導入装置を具備した500ミリリットル反応装置に、下記原料を仕込んだ。
○純水300g
○環状エステル基を有する化合物(f)として表5に示す量
○不飽和結合を有する化合物(c)としてヒドロキシエチルアクリレート−無水コハク酸ハーフエステルを下記計算式により求めた重量。
(c)の添加量 = 50− (f)の添加量(単位g)
○加水分解酵素(d)として固定化リパーゼ(Novozym435−ノボザイムジャパン社製)を5g(ただし比較例5.1のみ添加せず。)
○ノニオン系界面活性剤(花王製エマルゲン404)を5g
仕込み終了後撹拌を開始し、その後50℃に反応溶液を加熱した。反応時間は24時間とした。その後、加熱をやめ撹拌を継続しつつ徐冷した。
【0088】
実施例5において表記される転化率、導入率、分子量は実施例2に準拠した。
【0089】
表5にその結果を記載する。なお、ラクトン類の記載には、例えばLac6という記載をした。これは環中の炭素数が6で構成されるイプシロンカプロラクトンであることを示している。
【0090】
Figure 2004189797
【0091】
実施例6 反応性ポリエステルの重合
開環重合可能な環状エステル基を有する化合物(f)、重合可能な不飽和結合とカルボキシル基を併せ持つ化合物(c)による加水分解酵素(d)もしくは酸(e)を用いた反応性ポリエステルの重合
撹拌装置、不活性ガス導入装置を具備した500ミリリットル反応装置に、下記原料を仕込んだ。
○純水300g
○環状エステル基を有する化合物(f)として下記表に示す環状エステルを32g
○不飽和結合を有する化合物(c)としてヒドロキシエチルアクリレート−無水コハク酸ハーフエステルを18g
○酸(e)としてドデシルベンゼンスルホン酸を5g(ただし比較例6.1のみ添加せず。)
○ノニオン系界面活性剤(花王製エマルゲン404)を5g
仕込み終了後撹拌を開始し、その後50℃に反応溶液を加熱した。反応時間は24時間とした。その後、加熱をやめ撹拌を継続しつつ徐冷した。
【0092】
実施例5において表記される転化率、導入率、分子量は実施例2に準拠した。
【0093】
表6にその結果を記載する。なお、ラクトン類の記載には、例えばLac6という記載をした。これは環中の炭素数が6で構成されるイプシロンカプロラクトンであることを示している。
【0094】
Figure 2004189797
【0095】
実施例7 反応性ポリエステルの重合
ポリオール化合物(a)、ポリカルボン酸化合物(b)、重合可能な不飽和結合とカルボキシル基を併せ持つ化合物(c)による加水分解酵素(d)を用いた反応性ポリエステルの重合
撹拌装置、不活性ガス導入装置を具備した500ミリリットル反応装置に、下記原料を仕込んだ。
○純水300g
○ポリオール(a)としてデカンジオールを18g
○ポリカルボン酸(b)としてセバシン酸を13g
○不飽和結合を有する化合物(c)としてヒドロキシエチルアクリレート−無水コハク酸ハーフエステルを18g
○加水分解酵素(d)としてノボザイム435(実施例7.1〜7.7)、または酸(e)としてドデシルベンゼンスルホン酸(実施例7.8〜7.9)
○表7中の界面活性剤を表7中記載量
仕込み終了後撹拌を開始し、その後50℃に反応溶液を加熱した。反応時間は24時間とした。その後、加熱をやめ撹拌を継続しつつ徐冷した。
【0096】
実施例7において表記される転化率、導入率、分子量は実施例2に準拠した。
【0097】
表7にその結果を記載する。
【0098】
Figure 2004189797
EM404:花王製ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB値8.8)、EM409P:花王製ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB値12.0)、EM430:花王製ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB値16.2)、DBSNa:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
【0099】
実施例8 反応性ポリエステルの重合
ポリオール化合物(a)、ポリカルボン酸化合物(b)、重合可能な不飽和結合とカルボキシル基を併せ持つ化合物(c)による加水分解酵素(d)を用いた反応性ポリエステルの重合(温度による影響)
撹拌装置、不活性ガス導入装置を具備した500ミリリットル反応装置に、下記原料を仕込んだ。
○純水300g
○ポリオール(a)としてデカンジオールを18g
○ポリカルボン酸(b)としてセバシン酸を13g
○不飽和結合を有する化合物(c)としてヒドロキシエチルアクリレート−無水コハク酸ハーフエステルを18g
○加水分解酵素(d)としてノボザイム435を5g
○ノニオン系界面活性剤(日本触媒製ソフタノール50)を5g
仕込み終了後撹拌を開始し、その後表中記載の温度までに反応溶液を加熱した。反応時間は24時間とした。その後、加熱をやめ撹拌を継続しつつ徐冷した。
【0100】
実施例8において表記される転化率、導入率、分子量は実施例2に準拠した。
【0101】
表8にその結果を記載する。
【0102】
Figure 2004189797
【0103】
実施例9 反応性ポリエステルの重合
ポリオール化合物(a)、ポリカルボン酸化合物(b)、重合可能な不飽和結合とカルボキシル基を併せ持つ化合物(c)による加水分解酵素(d)を用いた反応性ポリエステルの重合(濃度による影響)
撹拌装置、不活性ガス導入装置を具備した200〜2000ミリリットル反応装置(容量に応じて適宜選択)に、下記原料を仕込んだ。
○表9中記載量の純水(括弧内は重量%)
○ポリオール(a)としてデカンジオールを18g
○ポリカルボン酸(b)としてセバシン酸を13g
○不飽和結合を有する化合物(c)としてヒドロキシエチルアクリレート−無水コハク酸ハーフエステルを18g
○加水分解酵素(d)としてノボザイム435を5g
○ノニオン系界面活性剤(日本触媒製ソフタノール50)を5g
仕込み終了後撹拌を開始し、その後50℃までに反応溶液を加熱した。反応時間は24時間とした。その後、加熱をやめ撹拌を継続しつつ徐冷した。
【0104】
実施例9において表記される転化率、導入率、分子量は実施例2に準拠した。
【0105】
表9にその結果を記載する。
【0106】
Figure 2004189797
【0107】
【発明の効果】
本発明によって、一切の有機溶剤を用いることなく温和な条件において、かつ簡単で環境に優しい反応性ポリエステル、及びその製造方法を与えることが可能になった。
【0108】
さらに反応性官能基として二重結合を導入することで、紫外線、電子線といった活性エネルギー線反応型材料、もしくはマクロモノマー粒子として利用することを目的としている。

Claims (4)

  1. 水酸基を2個以上含有するポリオール化合物(a)、カルボキシル基を2個以上含有するポリカルボン酸化合物(b)、および、重合可能な不飽和結合と水酸基もしくはカルボキシル基とを併せ持つ化合物(c)を、加水分解酵素(d)もしくは1酸性官能基あたりの分子量が150〜3000である酸(e)を用い水中でエステル化反応させることを特徴とするポリエステルの製造方法。
  2. 開環重合可能な環状エステル基を有する化合物(f)、重合可能な不飽和結合と水酸基もしくはカルボキシル基とを併せ持つ化合物(c)を、加水分解酵素(d)もしくは1酸性官能基あたりの分子量が150〜3000である酸(e)を用い水中でエステル化反応させることを特徴とするポリエステルの製造方法。
  3. 加水分解酵素(d)もしくは1酸性官能基あたりの分子量が150〜3000である酸(e)以外の界面活性剤(h)の存在下でエステル化反応を行うことを請求項1または2記載のポリエステルの製造方法。
  4. さらに、成形し、エネルギーを与えて、化合物(c)由来の重合可能な不飽和結合を反応させることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリエステルの製造方法。
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