JPH10106484A - 四重極質量分析装置 - Google Patents

四重極質量分析装置

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JPH10106484A
JPH10106484A JP8280246A JP28024696A JPH10106484A JP H10106484 A JPH10106484 A JP H10106484A JP 8280246 A JP8280246 A JP 8280246A JP 28024696 A JP28024696 A JP 28024696A JP H10106484 A JPH10106484 A JP H10106484A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セラミック製のホルダの誘電損によりホルダ
が発熱すると、電極の相対位置が変化し四重極を通過す
るイオンの質量数がずれる。そこで、この質量数のずれ
を正確に補正する。 【解決手段】 ホルダ35に取り付けた歪センサ40に
よりホルダ35の変形を検出し、歪量演算部26にてロ
ッド電極31〜34の内接円半径の歪量を算出する。補
正量算出部24は、予め測定した歪量と印加電圧の補正
量との対応関係を基に質量数のずれを補正するための印
加電圧の補正量を算出し、電圧値制御部22は補正量の
分だけ補正した電圧値を電圧発生部20に指示する。電
圧発生部20は補正された電圧をロッド電極31〜34
に印加する。この結果、目的とする質量数を有するイオ
ンが四重極フィルタ30を通過し検出器14に到達す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスクロマトグラ
フ質量分析装置(GC/MS)や液体クロマトグラフ質
量分析装置(LC/MS)に利用される四重極質量分析
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】質量分析装置においてイオン分離のため
に用いられる四重極質量フィルタ(QMF)の構成を図
5に示す。この四重極質量フィルタ30は、4本の平行
なロッド電極31〜34が非導電性材料であるセラミッ
ク等のホルダ35により所定の相対位置を保って配置さ
れる構成を有する。イオン分離を行なう際には、対向す
る一対のロッド電極31、32に対し正の直流電圧に高
周波電圧を重畳したU+V・cosωtなる電圧が印加
され、他の一対のロッド電極33、34には負の直流電
圧に先の高周波電圧の位相を180°シフトした高周波
電圧を重畳した−(U+V・cosωt)なる電圧が印
加される。
【0003】上記4本のロッド電極31〜34で囲まれ
る空間にイオン源から発射された各種イオンが長軸方向
に導入されると、電圧U及びVにより定まる特定の質量
数(m/z)を有するイオンのみが4本のロッド電極3
1〜34の中心軸近傍を反対側に通り抜け、他の質量数
を有するイオンは途中で発散してしまう。したがって、
電圧U及びVを所定の関係を保ちつつ適宜変化させるこ
とにより、四重極質量フィルタ30を通過するイオンの
質量数を小さなものから大きなものまで順に走査(質量
走査)することができる。
【0004】各ロッド電極31〜34の中心軸側の曲面
は、理論的には双曲線面(双曲線が、それが属する平面
に垂直な方向に平行移動することにより形成される面)
であることが理想である。しかしながら、金属棒をその
ような特殊な形状に加工することは困難であり、また、
4本のロッド電極全部をその双曲線面の頂点が正確に四
重極の中心軸に向くように配置することも困難である。
このため、通常、単純な円筒形状の金属棒で代用し、図
6の断面図に示すように、4本の金属棒を同軸上に精度
良く配置しホルダ35で固定している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記構成の四重極質量
フィルタ30に高周波電圧を印加すると、主としてホル
ダ35の誘電体損失により発熱が生じ、これによりロッ
ド電極31〜34の内接円半径r0が変化する。このた
め、計算上設定した質量数と実際に四重極質量フィルタ
30を通過する質量数とではずれが生じてしまう。そこ
で、従来の質量分析装置では、ホルダ35に近接又は密
着して設けた温度センサによりホルダ35の温度を測定
し、この温度変化に応じて印加する電圧を調整すること
により質量数のずれを補正するようにしていた。
【0006】より詳しくは、予め既知の質量数を有する
試料を用いて四重極質量フィルタ30の(ホルダ35
の)温度と通過するイオンの質量数を測定し、温度に対
する質量数のずれの校正線を作成しておく。そして、質
量分析の際に温度センサにより測定した温度を校正線に
照らして質量数のずれを求め、これを補正するように印
加電圧を調整している。しかしながら、実際にはホルダ
35が均一に温度変化するとは限らないため、精度の高
い質量数の補正は困難であった。
【0007】本発明は上記課題を解決するために成され
たものであり、その目的とするところは、温度測定に依
らず精度の高い質量数の補正を行なうことができる四重
極質量分析装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に成された本発明は、四重極質量フィルタの電極に所定
電圧を印加することにより該フィルタの長軸方向の空間
に導入されたイオンのうちの特定質量数のイオンのみを
通過させ、該通過したイオンを検出器で検出してデータ
処理を行ない質量スペクトルを得る四重極質量分析装置
において、 a)前記電極を所定の間隔に保持する非導電体である保持
手段と、 b)該保持手段の歪量を検出する検出手段と、 c)該検出手段により得た歪量を基に目的イオンの質量数
と実際に四重極質量フィルタを通過する質量数とのずれ
を算出し、電極に印加する電圧又は検出器で得た検出信
号を処理するデータ処理のいずれかにおいて質量数のず
れを補正する補正手段と、を備えることを特徴としてい
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に係る四重極質量分析装置
において、検出手段は、例えば保持手段に取り付けられ
た歪センサ又は保持手段の近傍に設けられ非接触で保持
手段の歪量を検出できる位置センサを利用することがで
きる。この検出手段は、四重極質量フィルタの各電極に
高周波電圧が印加され保持手段が誘電損失により発熱し
て微小変形したとき、その歪量を直接検出する。補正手
段は、検出された歪量に応じた質量数のずれを算出し、
電極に印加している電圧値を調整することにより電極の
相対位置が変化したことにより生じる質量数のずれを補
正する。或いは、印加電圧を調整する代わりに、検出器
で得た検出信号をデータ処理し質量数スペクトルを作成
する際に質量数のずれを補正する。補正手段において歪
量から質量数のずれを算出するためには、予め既知の質
量数を有する試料を用いて歪量と質量数のずれとの対応
関係を求めこれをテーブル又は計算式として記憶してお
き、このテーブル又は計算式を参照して質量数のずれを
得るのが簡便である。なお、精度の高い補正を行なうた
めには複数の検出手段を設ける構成とすることが好まし
い。
【0010】
【発明の効果】本発明の四重極質量分析装置によれば、
四重極の電極を保持するホルダの歪量を測定し、この歪
量に応じて質量数のずれを補正するように印加電圧が調
整されるか或いは検出信号のデータ処理が行なわれる。
すなわち、温度変化による電極相互のディメンジョンの
変化が直接測定されるので、従来のホルダの温度を測定
していた方法と比較して質量数のずれを一層正確に算出
することができる。この結果、質量分析の精度を向上さ
せることができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明に係る四重極質量分析装置の第
1の実施例(以下「実施例1」という)を図1〜図3を
参照して説明する。図1は実施例1の四重極質量分析装
置の構成図である。測定対象の試料10は、イオン源1
2にてイオン化された後に四重極質量フィルタ30の長
軸方向の空間に導入される。四重極質量フィルタ30の
中心軸近傍を通り抜けた目的イオンは検出器14で検出
され、その検出信号はデータ処理部16に入力される。
データ処理部16では、質量走査して得られた検出信号
を基に横軸を質量数、縦軸を相対強度とした質量スペク
トルが作成され、プリンタ18等から出力される。
【0012】電圧値制御部22は目的イオンの質量数に
応じた直流電圧振幅U及び高周波電圧振幅Vの値となる
ように電圧発生部20を制御し、電圧発生部20は直流
電圧と高周波電圧とを重畳した電圧(U+V・cosω
t)及び−(U+V・cosωt)をそれぞれ四重極質
量フィルタ30の二組のロッド電極31〜34に印加す
る。電圧値制御部22は、例えば、質量数とそれに対応
する電圧値が予め格納されたROMと、目的とする質量
数が与えられたときそのROMの電圧値を読み出す読出
し部と、デジタル電圧値をアナログ値に変換するD/A
変換器とから構成することができる。
【0013】四重極質量フィルタ30のセラミック製の
ホルダ35には歪センサ40が取り付けられている。歪
センサ40の検出信号は歪量演算部26に入力され、こ
こで算出された歪量は補正量算出部24に送られる。補
正量算出部24では、後述のように歪量から質量数のず
れに対応する高周波電圧の補正量を算出し、これを電圧
値制御部22へ入力する。以下、本実施例の四重極質量
分析装置の動作を説明する。
【0014】上述のように、四重極質量フィルタ30の
ロッド電極31〜34に高周波電圧を印加すると、ホル
ダ35が誘電損により発熱し、ロッド電極間の距離(図
6のr0×2)が変化する。すると、四重極質量フィル
タ30の空間の電場が変化し、通過するイオンの質量数
が目的イオンの質量数からずれる。すなわち、データ処
理部16において作成される質量スペクトルでは、スペ
クトルカーブが横軸方向に移動することになる。本実施
例の四重極質量分析装置では、ホルダ35に取り付けた
歪センサ40によりホルダ35の歪量を検出し、これに
より質量数のずれを補正するようにしている。歪センサ
40は、ロッド電極31〜34の相対位置のずれを極力
正確に検出できるように、例えば、図2に示す如くホル
ダ35の外周の四辺にそれぞれ取り付けられる。また、
ロッド電極31〜34を保持する二個のホルダ35のそ
れぞれに歪センサ40は設けられる。(なお、図1では
説明を簡単にするために一個の歪センサ40のみを記載
している。)
【0015】実施例1の四重極質量分析装置では、未知
試料の分析を行なう前に、まず既知の質量を有する試料
を測定することにより、歪量の指標と質量数のずれを補
正するための電圧値の補正量との関係を求めておく。歪
量の指標としては、例えば、二個のホルダ35に設けら
れた計8個の歪センサ40の検出信号に対して所定の演
算を行なうことにより算出した、各ホルダ位置における
ロッド電極31、32間の内接円半径r1及びロッド電
極33、34間の内接円半径r2を用いる。すなわち、
四重極質量フィルタ30に既知試料を導入し、質量スペ
クトルのスペクトルカーブのピークが正しい位置(目的
イオンのピークが本来現われる位置)にくるように高周
波電圧を調整し、そのときの歪量の指標と電圧の補正量
との対応関係を得る。そして、四重極質量フィルタ30
の周囲温度を変化させることにより、歪量の指標と電圧
の補正量との対応関係をテーブルとして完成させ、これ
を補正量算出部24のメモリに記憶しておく。なお、歪
量の指標としては他の値を用いることもできる。
【0016】実際に未知試料の質量分析を行なう際に
は、歪量演算部26は上記のような計8個の歪センサ4
0の検出信号を受け、所定の演算を行なうことにより、
歪量の指標として各ホルダ位置における内接円半径r1
及び内接円半径r2を算出し、これを補正量算出部24
へ入力する。補正量算出部24は、これらの歪量の指標
を基にメモリより対応する補正量を読み出し、この補正
量を電圧値制御部22へ与える。
【0017】未知試料の分析において電圧値制御部22
は、走査すべき質量範囲が指定されるとその範囲内の最
小質量のイオンに対応するデータをROMから読み出し
てD/A変換器に与え、次には二番目に小さい質量のイ
オンに対応するデータをメモROMから読み出す、とい
うように質量範囲内の最大質量のイオンに対応するまで
順次D/A変換器へ与えるデータを更新する。その際、
ROMから読み出したデータに補正量算出部24から入
力された補正量を加算又は減算することによりデータを
修正し、この修正したデータをD/A変換器へ入力して
アナログ値に変換する。電圧発生部20は、このアナロ
グ値に対応した電圧を発生してロッド電極31〜34に
印加する。これにより、ロッド電極31〜34に印加さ
れる高周波電圧は、発熱によるホルダ35の微小変形に
起因する質量数のずれが補正されたものとなり、目的と
する質量を有するイオンが四重極質量フィルタ30を通
過して検出器14に到達する。
【0018】上記実施例の四重極質量分析装置ではホル
ダ35の歪量を検出するためにホルダ35に密着して取
り付けた歪センサ40を用いていたが、ホルダ35の変
形又は膨張・収縮を検出可能な検出手段であれば他のも
のを使用することができる。図3は、レーザーによる位
置センサを使用した四重極質量分析装置の例を示してい
る。位置センサ50は四重極質量フィルタ30を内装す
る外装部36に取り付けられており、ホルダ35に向け
てレーザーを照射しホルダ35に当たり戻ってくるまで
の時間を計測することにより位置センサ50とホルダ3
5との間隔を測定する。ホルダ35が温度により変形す
ると位置センサ50とホルダ35との間隔が変化するか
ら、位置センサ50によりこの間隔の変化を検出し、そ
の検出信号を基に歪量の指標を算出する。勿論、外装部
36自体が温度変化により変形すると正確な検出が行な
えなくなるので、外装部36は温度上昇に対する膨張率
が極力小さな材料から成すようにしておく。
【0019】次に、本発明に係る四重極質量分析装置の
第2の実施例(以下「実施例2」という)を図4を参照
して説明する。実施例2の四重極質量分析装置は、質量
数のずれを補正する方法が実施例1とは相違する。実施
例1の四重極質量分析装置では四重極質量フィルタ30
のロッド電極に印加する高周波電圧を調整することによ
り質量数のずれを補正するようにしていたが、実施例2
の四重極質量分析装置ではデータ処理部16において質
量数のずれを補正するようにしている。
【0020】すなわち、上述のように、ロッド電極31
〜34の相対位置が変わり通過するイオンの質量数が目
的イオンの質量数からずれると、データ処理部16にお
いて作成される質量スペクトルではスペクトルカーブが
横軸方向に移動することになる。したがって、質量数補
正量算出部28は歪量演算部26にて算出された歪量の
指標から質量数の補正量を算出し、この補正量をデータ
処理部16に入力する。データ処理部16では、未知試
料の測定により作成した質量スペクトルのスペクトルカ
ーブを補正量に対応して横軸方向に移動する。これによ
り、質量数のずれが補正された質量スペクトルのグラフ
が得られる。なお、質量数補正量算出部28において歪
量から質量数の補正量を算出するためには、実施例1と
同様に、予め既知試料を測定することにより歪量の指標
と補正量との対応関係を示すテーブルを作成しておく。
【0021】なお、上記実施例は一例であって、本発明
の趣旨の範囲で適宜変更や修正を行なえることは明らか
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の四重極質量分析装置の第1の実施例
の構成図。
【図2】 この四重極質量分析装置における四重極質量
フィルタの実施例の構成を示す断面図。
【図3】 この四重極質量分析装置における四重極質量
フィルタの他の例の構成を示す断面図。
【図4】 本発明の四重極質量分析装置の第2の実施例
の構成図。
【図5】 一般的な四重極質量フィルタの構成を示す斜
視図。
【図6】 一般的な四重極質量フィルタの構成を示す断
面図。
【符号の説明】
16…データ処理部 20…電圧発生部 22…電圧値制御部 24…補正量算出部 26…歪量演算部 28…質量補正量算出部 30…四重極質量フィルタ 31、32、33、34…ロッド電極 35…ホルダ 36…外装部 40…歪センサ 50…位置センサ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 四重極質量フィルタの電極に所定電圧を
    印加することにより該フィルタの長軸方向の空間に導入
    されたイオンのうちの特定質量数のイオンのみを通過さ
    せ、該通過したイオンを検出器で検出してデータ処理を
    行ない質量数スペクトルを得る四重極質量分析装置にお
    いて、 a)前記電極を所定の間隔に保持する非導電体である保持
    手段と、 b)該保持手段の歪量を検出する検出手段と、 c)該検出手段により得た歪量を基に目的イオンの質量数
    と実際に四重極質量フィルタを通過する質量数とのずれ
    を算出し、電極に印加する電圧又は検出器で得た検出信
    号を処理するデータ処理のいずれかにおいて質量数のず
    れを補正する補正手段と、 を備えることを特徴とする四重極質量分析装置。
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