JPH1010501A - 液晶素子 - Google Patents

液晶素子

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JPH1010501A
JPH1010501A JP8159803A JP15980396A JPH1010501A JP H1010501 A JPH1010501 A JP H1010501A JP 8159803 A JP8159803 A JP 8159803A JP 15980396 A JP15980396 A JP 15980396A JP H1010501 A JPH1010501 A JP H1010501A
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Naoki Masazumi
直樹 将積
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メモリ性を有するとともにコントラストの高
い液晶素子を提供する。 【解決手段】 少なくとも一方が透明である1対の基板
1a、1bと、該基板1a、1b間に保持され、樹脂マ
トリクス3bとコレステリック相を示す液晶3aを含む
複合膜を有する液晶素子であって、液晶3aの選択反射
波長が1.0μm〜1.5μmである液晶素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶と樹脂とを含
む複合膜を有する液晶素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、文字や画像の表示等に用いられる
液晶素子の一つとして、液晶と樹脂とを含む複合材料を
有する液晶素子が提案されている。例えば平成6年特許
出願公表第507505号公報は、樹脂マトリクス中に
コレステリック相を示すカイラルネマティック液晶を分
散させた複合膜を1対の基板間に保持させた液晶素子を
教えている。
【0003】樹脂マトリクス中にコレステリック相を示
す液晶を分散させた高分子分散型液晶素子は、該液晶に
よる入射光の選択反射を利用しているため偏光板が不要
であり、明るい反射型の表示を行うことができる。ま
た、この高分子分散型液晶素子は、メモリ性を有するた
め、TFT・MIM等のメモリ素子が不要で、且つ、高
精度の表示ができる。すなわち、この液晶素子の複合膜
は比較的高い電圧をパルス状に印加すると液晶分子のヘ
リカル軸が基板に対し垂直に並ぶプレーナ配列をとり、
比較的低い電圧をパルス状に印加すると液晶分子のヘリ
カル軸が不規則な方向を向くフォーカルコニック配列を
とり、これら2つの配列は電圧印加を停止しても安定に
保持される。この2つの状態の双安定性は樹脂により液
晶の動きが制限されることによるものと考えられる。
【0004】コレステリック相を示す液晶は、プレーナ
配列状態で該液晶のヘリカルピッチと平均屈折率の積に
対応する波長の光を選択的に反射するため、選択反射波
長を可視域に設定することにより、プレーナ配列状態時
に任意の色を表示できる。また、この場合フォーカルコ
ニック配列状態では透明に見えるため、選択反射波長に
応じた着色された色と透明との間の表示ができる。ま
た、例えば黒色の背景色を利用して選択反射波長に応じ
た着色された色と黒との間の表示を行うこともできる。
【0005】また、液晶分子の選択反射波長を可視域
外、例えば赤外域に設定した場合、液晶はプレーナ配列
状態では可視光を透過して透明に見える。一方、フォー
カルコニック配列状態では、入射光を散乱して白濁して
見える。従って、例えば黒色の背景色を利用して白−黒
モードの表示をすることもできる。また、例えば背景色
として任意の着色された色を用いることで任意の色と白
との間の表示を行うこともできる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記の樹脂マトリクス
中にコレステリック相を示す液晶を分散させた複合膜を
有する液晶素子は、該液晶の種類(複数の液晶材料を混
合してコレステリック相を示すものとする場合には、該
複数の液晶材料の種類及びそれらの混合割合等)及び樹
脂の種類等により、プレーナ配列及びフォーカルコニッ
ク配列の各配列状態での透過率や各配列状態での安定性
が異なるが、プレーナ配列状態とフォーカルコニック配
列状態との間で十分なコントラストを示す液晶素子は未
だ実現されていない。
【0007】そこで本発明は、メモリ性を有するととも
にコントラストの高い液晶素子を提供することを課題と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明は、少なくとも一方が透明である1対の基板
と、該基板間に保持され、樹脂マトリクスとコレステリ
ック相を示す液晶を含む複合膜を有する液晶素子であっ
て、前記液晶の選択反射波長が1.0μm〜1.5μm
であることを特徴とする液晶素子を提供する。
【0009】本発明の液晶素子によると、コレステリッ
ク相を示す液晶として選択反射波長が赤外域の中の1.
0μm〜1.5μmの範囲にあるものを用いるため、液
晶分子がプレーナ配列状態をとるとき透明に見え、液晶
分子がフォーカルコニック配列状態をとるとき白濁して
見え、透明状態と散乱白濁状態との間の良好なコントラ
ストが得られる。
【0010】前記のコレステリック相を示す液晶として
は、コレステリック液晶やネマティック液晶にカイラル
材料を加えたカイラルネマティック液晶等を用いること
ができる。中でも、トラン系ネマティック液晶とピリミ
ジン系ネマティック液晶とシアノビフェニル系ネマティ
ック液晶とカイラル材料とを含むカイラルネマティック
液晶を用いることが望ましく、この場合、一層良好なコ
ントラストが得られる。
【0011】前記複合膜を保持する「基板」は、可撓性
のある又は可撓性に乏しい板状部材、柔軟性のあるフィ
ルム等を含む概念のものであり、例えばガラス板やポリ
エチレンテレフタレート(PET)フィルム等が考えら
れる。また、例えば、1対の基板のうち一方が複合膜を
保持し得るだけの硬度を有する板状のものであり、他方
が該複合膜を保護するための、例えばフィルム状のもの
であることも考えられる。
【0012】また、通常、前記1対の基板は、複合膜の
厚さを一定に保つためにスペーサーを挟持して配置する
ことが望ましい。スペーサーとしては、例えばガラスか
らなるファイバー状のもの、ガラスビーズ、ポリマービ
ーズ等を使用することができる。なお、本発明の液晶素
子は電圧印加等により駆動することができる。前記複合
膜に電圧印加する方法としては、前記1対の基板上にそ
れぞれ導電膜を設け該導電膜間に電圧印加する方法や、
外部に設けられた1対の電極間に本発明の液晶素子を挿
入して、該外部電極間に電圧印加する方法、さらには一
方の基板上に設けられた導電膜と他方の基板の外部に設
けられた電極(例えばペン電極や消去電極)との間に電
圧を印加する方法等が考えられる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は、本発明に係る液晶素子の
1例を示している。この液晶素子は、対向配置された1
対の透明基板1a、1bの間に複合膜3が保持され、基
板1a、1bの内面には透明導電膜2a、2bが形成さ
れている。複合膜3は透明導電膜2a、2b間に存在
し、網目構造(マトリクス構造)の樹脂3bとコレステ
リック相を示す液晶3aとからなる。液晶3aは樹脂3
bの網目の間を満たしている。また、透明導電膜2a、
2b間にはパルス電源4が接続されている。この液晶素
子はTFT・MIM等のメモリ素子を設けずに単純マト
リクス駆動を行う。
【0014】液晶3aはコレステリック相を示す液晶で
あり、ここではネマティック液晶にカイラル材料を加え
たカイラルネマティック液晶等を用いている。また、液
晶3aは選択反射波長が1.0μm〜1.5μmになる
ように調製されたものである。樹脂3bは重合性モノマ
ー又は重合性オリゴマーからなる樹脂材料に重合開始剤
を加えて得られたものであり、重合は、樹脂材料の種類
に応じて光(紫外線、可視光線等)、電子線、熱等を与
えることにより行うことができる。
【0015】図2は、カイラルネマティック液晶におけ
る液晶分子の螺旋構造を示したものである。液晶分子が
360°回転したときの距離Pをヘリカルピッチとい
う。混合されたカイラル材料が少ない場合は図2(a)
に示すように、液晶分子があまり捻られないためヘリカ
ルピッチPが長くなり選択反射波長も長くなる。逆に、
混合されたカイラル材料が多い場合には図2(b)に示
すように、ヘリカルピッチが短くなり選択反射波長も短
くなる。
【0016】図1の液晶素子の製造にあたっては、ま
ず、図3(a)に示すように、導電膜2a、2bで被覆
された1対の基板1a、1bを、導電膜2a、2bが内
側になるようにして図示しないスペーサを挟持させて組
み立て、次いで、液晶、樹脂材料及び重合開始剤を所定
の配合比で混合したものをこの1対の基板間に満たす。
次いで図3(b)に示すように、前記1対の基板を互い
に押圧しながら、樹脂の種類に応じた重合エネルギ
(光、電子線、熱等)Eを前記1対の基板間に保持され
た混合物の全面に均一に与えて樹脂材料を硬化させる。
その結果、図3(c)に示すように、樹脂材料3bのみ
が硬化することにより相分離が生じ、コレステリック相
を示す液晶3aのヘリカル軸が不規則な方向を向く。液
晶3aは選択反射波長が赤外域にあるため、可視光を散
乱し濁って見える。普通には白濁して見える。
【0017】この液晶素子を駆動する際には、ここでは
高低2種類のパルス電圧を印加する。図4(a)に示す
ように、電源4から、例えば160V程度の電圧を10
msecパルス状に導電膜2a、2bを介して複合膜3
に印加すると、液晶3aは初期状態では不規則な方向を
向いていたヘリカル軸が基板1a、1bに垂直な方向に
揃うことでプレーナ配列となる。そして、液晶3aの選
択反射波長が赤外領域の中の1.0μm〜1.5μmの
範囲に設定されているため、可視域の光を透過して透明
に見える。
【0018】さらに、この状態で複合膜3に、図4
(b)に示すように、電源4から、例えば80V程度の
電圧を10msecパルス状に印加すると、ヘリカル軸
の軸方向の一様性が崩れ、その結果、ヘリカル軸が不規
則な方向を向いて液晶分子配列がフォーカルコニック配
列となるため、入射光が散乱して濁って見える。この二
つの状態は、パルス電圧印加を停止しても安定に保持さ
れ双安定性を示す。
【0019】なお、1対の基板1a、1bのうち光を入
射させる側とは反対側の基板の外側に、例えば黒色の吸
収層を設けることにより白・黒モードの表示ができる。
また、人が対面する側とは反対の裏側の基板(例えば基
板1b)を黒色にしておくことでも白・黒モードの表示
を行える。また、導電膜2a、2bを基板1a、1bと
略同サイズの1枚の膜とし、膜2a、2b間に電圧印加
することで複合膜3の状態を一様に変化させるのに代え
て、例えば導電膜2a、2bをマトリクス状の膜とし、
マトリクスの各交点に透明状態又は散乱白濁状態を得る
ための所定の電圧を印加することで複合膜3に文字や図
形等の画像情報を書き込むこともできる。
【0020】また、図5(a)は本発明に係る液晶素子
の他の例の側面からみた断面図であり、図5(b)はこ
の液晶素子の斜視図である。この液晶素子は、図1に示
す液晶素子において、透明導電膜2a、2bを有さず、
これに代えて外部電極アレイ5が設けられたものであ
る。電極アレイ5は、基板1a、1bの幅と同じ又はそ
れ以上の長さを有し、複数の電極が該基板の幅方向に配
列された1対の電極支持体5a、5bからなるもので、
電極支持体5a、5bは対応する電極が対向するように
して若干の間隔をおいて配置され、該両者間を複合膜3
を挟持した基板1a、1bが、搬送ローラ71、72の
回転により通過できるようになっている。電極支持体5
a、5b間には原稿画像等に応じてパルス電圧を各電極
に印加する書き込みユニット40が接続されている。そ
の他の構成は図1の液晶素子と同様であり、同じ部品に
は同じ符号を付してある。
【0021】この液晶素子を駆動する際には、ユニット
40から電極支持体5a、5bの各電極を介して複合膜
3に、画像情報に応じた高低2種類のパルス電圧(例え
ば160V・10msec及び80V・10msec)
を印加することで、図1の装置と同様に、膜各部を透明
状態又は散乱白濁状態にすることができる。その場合、
複合膜3を挟持した1対の基板1a、1bを、外部電極
アレイ5の電極支持体5a、5b間を通過させることに
より、基板1a、1bに挟持された複合膜3の一方の端
から他方の端まで一様な電圧を印加することで、複合膜
3全体を一様な一つの状態に変化させることができ、或
いは画像情報に応じた所定の電圧信号を印加することに
より複合膜に文字や図形等の画像情報を書き込むことも
できる。なお、ここでは、ローラ71、72の回転によ
り、複合膜3を挟持した1対の基板1a、1bを移動さ
せているが、該基板1a、1bを固定した状態で、外部
電極アレイ5を移動させるようにしても構わない。
【0022】この液晶素子は、書換え可能なOHPシー
トとしても用いることができる。また、一方の基板の外
側に、背景色として例えば黒色の吸収層を設けることに
より、白・黒モードの書換え可能なリライタブルペーパ
ーとして用いることもできる。さらに、これらは電圧印
加したペンを基板に接触させることで追記も可能なもの
である。
【0023】また、図6は本発明に係る液晶素子のさら
に他の例を示す図である。この液晶素子は電子白板とし
て用いるもので、図1の液晶素子において、使用者が対
面する側の基板(ここでは基板1a)には透明導電膜1
bが設けられておらず、これに代えて基板1aに対しペ
ン電極61及び消去電極62が用いられる。裏面側の基
板1bは黒色とされ、透明導電膜(電極層)2bを設け
てある。ペン電極は文字や図形等の画像情報を書き込む
ための電極で、その先端は文字等を描き易いように比較
的細くなっている。ペン電極61と透明導電膜2bとの
間にはパルス電源41が接続されており、パルス電源4
1は、例えば160V・10msecのパルス状電圧を
発生する。また、消去電極62はペン電極61により複
合膜3に書き込んだ画像情報を消去するイレーサとして
用いるもので、その先端は比較的広い面積を消去できる
ように太くなっている。消去電極62と透明導電膜2b
との間にはパルス電源42が接続されており、パルス電
源42は、例えば80V・10msecのパルス状電圧
を発生する。なお、消去電極62の先端は電極アレイで
構成してもよい。
【0024】この液晶素子(電子白板)を使用する際に
は、複合膜3中の液晶の選択反射波長を例えば赤外域に
設定しておくと、当初複合膜3中の液晶はフォーカルコ
ニック配列状態で白濁して見えるが、ペン電極61で基
板1aをなぞることによりその部分に対応する複合膜3
中の液晶はプレーナ配列状態を示し、黒色に表示され
る。またそれを消去するときには、消去電極62で基板
1aのその部分をなぞればその部分に対応する複合膜3
中の液晶はフォーカルコニック配列に戻り白色となる。
なお、使用者の安全を期すため、ペン電極61及び消去
電極62にそれぞれスイッチを設けスイッチがオン状態
のときのみ電極41、42に電圧印加されるようにして
もよい。
【0025】次に、本発明の実施例について説明する。
以下の各実施例では、図1に示すタイプの液晶素子を作
成した。透過率の測定は、白色光源を有する反射型分光
測色計CM−1000(ミノルタ社製)を用いて分光反
射率(Y値)を測定することで行った。Y値が小さいほ
ど透明である。また、コントラストは(散乱時のY値/
透過時のY値)で与えられる。 実施例1 トラン系液晶MN1000XX(チッソ社製)と、シア
ノビフェニル系ネマティック液晶E44(メルク社製)
を80:20の割合で混合したものに、カイラル材料S
−811(メルク社製)を17.8wt%混合して選択
反射波長が1.1μmを示す液晶混合物を調製した。液
晶MN1000XXはトラン系ネマティック液晶とピリ
ミジン系ネマティック液晶を含むものである。このよう
にして得られたコレステリック相を示す液晶とそれを保
持するための光硬化性樹脂材料を84:16の割合で混
合した。光硬化性樹脂材料には、o−フェニルフェニル
オキシエチルアクリレートモノマーと二官能アクリレー
トモノマーHDDA(日本化薬社製)を90:10の割
合で混合したものに対し、光重合開始剤DAROCUR
1173(チバガイギー社製)を10wt%加えたも
のを用いた。
【0026】それを、透明電極層を被覆した透明ガラス
基板上に塗布し、厚さ20μmの樹脂製のスペーサを介
して、もう1枚の透明電極層を有する透明ガラス基板で
挟んだ。次いで、これに13mw/cm2 の紫外線を5
分間照射することにより、相分離が生じ、白濁した液晶
素子が得られた。重合時は、液晶と樹脂材料の混合物の
温度が30°C以上にならないように空冷しつつこれを
行った。
【0027】また、光を入射させる側とは反対側の基板
に黒色の吸収層を設けた。この液晶素子に160Vのパ
ルス電圧を10msec印加すると、液晶素子はプレー
ナ配列による透明状態を示し、背景色に応じて黒色に見
えた。このときY値4.38を示し、この状態はその後
も持続した。さらに、この状態の液晶素子に80Vのパ
ルス電圧を10msec印加すると、液晶素子はフォー
カルコニック配列による散乱白濁状態を示し、Y値1
3.15を示した。この状態はその後も持続した。コン
トラストは3.00であった。 実施例2 トラン系液晶MN1000XX(チッソ社製)と、シア
ノビフェニル系ネマティック液晶E44(メルク社製)
を80:20の割合で混合したものに、カイラル材料S
−811(メルク社製)を21.0wt%混合して選択
反射波長が1.0μmを示す液晶混合物を調製した。次
いで、前記実施例1と同様にして、前記調製した液晶と
樹脂材料とを混合し、1対の基板間に挟持させて相分離
させ、白濁した液晶素子を得た。この液晶素子に160
Vのパルス電圧を10msec印加すると、液晶素子は
透明状態を示し、背景色に応じて黒色に見えた。このと
きY値5.60を示し、この状態はその後も持続した。
さらに、この状態の液晶素子に80Vのパルス電圧を1
0msec印加すると、散乱白濁状態を示し、Y値1
1.35を示した。この状態はその後も持続した。コン
トラストは2.02であった。 実施例3 トラン系液晶MN1000XX(チッソ社製)と、シア
ノビフェニル系ネマティック液晶E44(メルク社製)
を80:20の割合で混合したものに、カイラル材料S
−811(メルク社製)を15.6wt%混合して選択
反射波長が1.3μmを示す液晶混合物を調製した。次
いで、前記実施例1と同様にして、前記調製した液晶と
樹脂材料とを混合し、1対の基板間に挟持させて相分離
させ、白濁した液晶素子を得た。この液晶素子に160
Vのパルス電圧を10msec印加すると、液晶素子は
透明状態を示し、背景色に応じて黒色に見えた。このと
きY値5.80を示し、この状態はその後も持続した。
さらに、この状態の液晶素子に80Vのパルス電圧を1
0msec印加すると、液晶素子は散乱白濁状態を示
し、Y値15.1を示した。この状態はその後も持続し
た。コントラストは2.61であった。 実施例4 トラン系液晶MN1000XX(チッソ社製)と、シア
ノビフェニル系ネマティック液晶E44(メルク社製)
を80:20の割合で混合したものに、カイラル材料S
−811(メルク社製)を13.5wt%混合して選択
反射波長が1.5μmを示す液晶混合物を調製した。次
いで、前記実施例1と同様にして前記調製した液晶と樹
脂材料とを混合し、1対の基板間に挟持させて相分離さ
せ、白濁した液晶素子を得た。この液晶素子に160V
のパルス電圧を10msecを印加すると、液晶素子は
透明状態を示し、背景色に応じて黒色に見えた。このと
きY値5.34を示し、この状態はその後も持続した。
さらに、この状態の液晶素子に80Vのパルス電圧を1
0msec印加すると、液晶素子は散乱白濁状態を示
し、Y値12.74を示した。この状態はその後も持続
した。コントラストは2.39であった。 比較例1 トラン系液晶MN1000XX(チッソ社製)と、シア
ノビフェニル系ネマティック液晶E44(メルク社製)
を80:20の割合で混合したものに、カイラル材料S
−811(メルク社製)を10.1wt%混合して選択
反射波長が2.0μmを示す液晶混合物を調製した。次
いで、前記実施例1と同様にして前記調製した液晶と樹
脂材料とを混合し、1対の基板間に挟持させて相分離さ
せ、白濁した液晶素子を得た。この液晶素子に120V
のパルス電圧を10msec印加すると、液晶素子は透
明状態を示し、背景色に応じて黒色に見えた。このとき
Y値5.75を示し、この状態はその後も持続した。さ
らに、この状態の液晶素子に50Vのパルス電圧を10
msec印加すると、液晶素子は散乱白濁状態を示し、
Y値10.30を示した。この状態はその後も持続し
た。コントラストは1.79であった。 比較例2 トラン系液晶MN1000XX(チッソ社製)と、シア
ノビフェニル系ネマティック液晶E44(メルク社製)
を80:20の割合で混合したものに、カイラル材料S
−811(メルク社製)を24.9wt%混合して選択
反射波長が0.87μmを示す液晶混合物を調製した。
次いで、前記実施例1と同様にして前記調製した液晶と
樹脂材料とを混合し、1対の基板間に挟持させて相分離
させ、白濁した液晶素子を得た。この液晶素子に160
Vのパルス電圧を10msec印加すると、液晶素子は
透明状態を示し、背景色により黒色に見えた。このとき
Y値7.88を示し、この状態はその後も持続した。さ
らに、この状態の液晶素子に80Vのパルス電圧を10
msec印加すると、液晶素子は散乱白濁状態を示し、
Y値10.44を示した。この状態はその後も持続し
た。コントラストは1.33であった。
【0028】前記実施例1〜4及び前記比較例1、2で
得られた各液晶素子について、液晶材料へのカイラル材
料の混合割合、それにより調整された液晶の選択反射波
長、透明状態でのY値、散乱状態でのY値及びコントラ
ストをまとめたものを表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】また、前記実施例1〜4及び前記比較例
1、2について、液晶の選択反射波長に対してコントラ
ストをプロットしたグラフを図7に示す。表1及び図7
の結果、コレステリック相を示す液晶の選択反射波長が
1.0μm〜1.5μmの範囲にある本発明実施例1〜
4ではいずれもコントラストは2以上で、選択反射波長
が1.0μm未満或いは1.5μmより長い比較例1、
2に比べて良好なコントラストを示していることが分か
る。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明によると、メ
モリ性を有するとともにコントラストの高い液晶素子を
提供することができる。また、本発明によると、反射型
で、背景色を利用して高コントラストの白・黒表示を行
える液晶素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶素子の1例を示す図である。
【図2】カイラルネマティック液晶のヘリカルピッチを
説明する図である。
【図3】図(a)、(b)及び(c)は、本発明に係る
液晶素子の製造工程の1例を示す図である。
【図4】図(a)及び(b)はそれぞれ本発明に係る液
晶素子の複合膜の電圧印加による状態変化の1例を説明
する図である。
【図5】図(a)は本発明に係る液晶素子の他の例の側
面からみた断面図であり、図(b)は図(a)の液晶素
子の斜視図である。
【図6】本発明に係る液晶素子のさらに他の例を示す図
である。
【図7】カイラルネマティック液晶の選択反射波長とコ
ントラストとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1a、1b 透明基板 2a、2b 透明導電膜 3 複合膜 3a コレステリック相を示す液晶 3b 光硬化性樹脂 4、41、42 パルス電源 40 書き込みユニット 5 外部電極アレイ 5a、5b 電極支持体 61 ペン電極 62 消去電極 71、72 搬送ローラ P ヘリカルピッチ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方が透明である1対の基板
    と、該基板間に保持され、樹脂マトリクスとコレステリ
    ック相を示す液晶を含む複合膜を有する液晶素子であっ
    て、前記液晶の選択反射波長が1.0μm〜1.5μm
    であることを特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】 前記コレステリック相を示す液晶が、ト
    ラン系ネマティック液晶とピリミジン系ネマティック液
    晶とシアノビフェニル系ネマティック液晶とカイラル材
    料とを含むカイラルネマティック液晶である請求項1記
    載の液晶素子。
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