JPH10104552A - 光学的ローパスフィルター及びそれを有する光学機器 - Google Patents

光学的ローパスフィルター及びそれを有する光学機器

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JPH10104552A
JPH10104552A JP8256263A JP25626396A JPH10104552A JP H10104552 A JPH10104552 A JP H10104552A JP 8256263 A JP8256263 A JP 8256263A JP 25626396 A JP25626396 A JP 25626396A JP H10104552 A JPH10104552 A JP H10104552A
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pass filter
optical
low
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action
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Atsushi Okuyama
奥山  敦
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 撮像素子を備えた光学機器に用いた際に、安
定したローパス効果を発揮し、良好な画像が得られる光
学的ローパスフィルターを提供すること。 【解決手段】 入射する光束の中心の波面の位相を基準
とした時、入射する光束の波面の位相を進める進相作用
を有する階段状の領域と、位相を遅らせる遅相作用を有
する階段状の領域とが、交互になるよう光学的ローパス
フィルターを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撮像素子を有する
ビデオカメラやデジタルカメラ等の光学機器に好適に用
いられる光学的ローパスフィルターに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】CCD等の撮像素子を有する、例えば、
ビデオカメラやデジタルカメラのような光学機器におい
て、撮像素子の画素周期よりも高周波の周期構造を有す
る物体を撮影しようとすると、撮像素子は偽信号や偽色
を発生するため、撮像画像が劣化するという現象があ
る。
【0003】この現象を防止するため、水晶板の複屈折
性を利用することにより物体の像を2つ以上に分離し
て、高周波の像をカットする光学的ローパスフィルター
が知られている。
【0004】上記のような水晶板を利用した光学的ロー
パスフィルターで十分なローパス効果を得ようとする
と、少なくとも2枚の水晶板が必要である。しかしなが
ら、水晶板は高価であるため、このような構成ではコス
トが高くなってしまうという問題がある。また、偏光物
体では水晶の作用が適切に効かずローパス効果が低下し
てしまうという問題もある。
【0005】このような問題に対して、特公昭44−1
155に、複数のプリズムにより波面を分割し、像を2
つ以上に分離する光学的ローパスフィルターが開示され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公昭
44−1155に開示された光学的ローパスフィルター
では、図32に示すように、ある像面IS1では像を分
割することができるが、像が1つに融合する他の像面I
S2が存在する。像面の状態により合焦を判断するAF
機構を搭載した光学機器では、像面IS2を合焦位置と
判断してしまい、結果としてローパス効果が低下すると
いう問題があった。
【0007】本発明は、上記のような課題に鑑みてなさ
れたものであり、光学機器に用いた際に、安定したロー
パス効果を発揮することができ、良好な画像が得られる
光学的ローパスフィルターを提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の光学的ローパスフィルターは、入射する光
束の中心の波面の位相を基準とした時、入射する光束の
波面の位相を進める進相作用を有する階段状の領域と、
位相を遅らせる遅相作用を有する階段状の領域とが交互
に形成されていることを特徴としている。
【0009】本発明の光学的ローパスフィルターにおい
て、進相作用を有する階段状の領域と遅相作用を有する
階段状の領域とは、入射する光束の中心を原点とした回
転方向において交互に形成されていることが好ましい。
【0010】また、入射する光束の中心を原点、ρを有
効部の半径で規格化された径方向の座標系(0≦ρ≦
1)、φを回転方向の座標系(0≦φ≦2π)とした円
筒座標系(ρ,φ)により、本発明の光学的ローパスフ
ィルターの形状S(ρ,φ)は、 S(ρ,φ)=Step(R(ρ)×T(φ)) R(ρ):径方向の基本形状関数 T(φ):回転方向の基本形状関数 Step(f):連続的な関数fを所定の階段状の関数
に変換する関数 で表される。
【0011】この時、回転方向の基本形状関数T(φ)
が、 T(φ)=cos(mφ) m:2以上の整数 で表せ、周期的に変化する関数であることが好ましい。
【0012】更に、径方向の基本形状関数R(ρ)が、
非線系関数であることが好ましい。
【0013】また、本発明の光学的ローパスフィルター
には、合成樹脂材料により形成される形態、ガラス材料
により形成される形態、ガラス基板上に合成樹脂材料で
形成される形態、レンズ面上に形成される形態、透過率
を能動的に変化させることが可能な可変透過率素子上に
形成される形態、赤外線をカットする特性を有する材料
により形成される形態、赤外線をカットする特性を有す
る材料の基板上に形成される形態、所定の径方向にのみ
進相及び遅相作用を有する階段状の形状と、それと直交
する方向にのみ進相及び遅相作用を有する連続的な形状
が、平行平板の2つの面にそれぞれ形成される形態等が
存在する。
【0014】結像光学系と、撮像素子と、本発明の光学
的ローパスフィルターを有することを特徴とする光学機
器において、光学的ローパスフィルターは、結像光学系
の絞り近傍に設けられることが好ましい。
【0015】また、本発明の光学的ローパスフィルター
は、径方向において進相または遅相作用の大きい方向を
撮像素子の画素の配列の方向に対して30°〜60°の
範囲で傾けて配置することが好ましい。ここで、略45
°傾けて配置することが特に好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明において像面の座
標系を説明するための図である。
【0017】本発明においては、像面上で4つの点像に
分離した振幅分布を図1のように円筒座標系で考え、 U(r,θ)=U(r)×cos(2θ+δ) (1) δ:定数 と表す。
【0018】このような振幅分布を与える波面(収差)
の形状から円筒座標系で表した光学的ローパスフィルタ
ーの形状を導く。
【0019】導出の手順を説明する。いま、円筒座標系
で表された光学的ローパスフィルターの基本形状を S(ρ,φ)=A×R(ρ)×cos(mφ) (2) と表す。ここで、Aは定数、ρは光学的ローパスフィル
ターの半径で規格化した径方向の座標系で0≦ρ≦1、
R(ρ)は径方向の基本形状関数、φは回転方向の座標
系で0≦φ≦2π、回転方向の周期性よりm=2,3,
4…(整数)である。
【0020】このような形状から透過波面に付加される
波面収差は、光学的ローパスフィルターの屈折率をnと
すると、 W(ρ,φ)=A×S0(ρ,φ)×(1−n) =A′R(ρ)×cos(mφ) (3) と表せる。ここで、A′=(1−n)Aである。
【0021】このような波面収差を有する波面による像
面上の振幅分布は、結像系の瞳関数の回折積分により得
られることが知られている。M.Born,E.Wol
f著「光学の原理(Principles of Op
tics)」により、回折積分は、
【0022】
【外1】 となる。ここで、Cは定数、kは波数k=2π/λ、λ
は波長である。また(u,v,θ)は像面上の規格化さ
れた円筒座標系で、uは光軸方向、vは径方向、θは回
転方向を表す。
【0023】物体が無限遠のときvと実際の座標系の間
には、 v=πr/λF (5) が成り立つ。rは実際の距離、Fは光学系のFナンバー
である。
【0024】基準像面での振幅分布を考えるときはu=
0であり、式(4)は
【0025】
【外2】 となる。「光学原理」9.4に従い、Jacobiの恒
等式を用いて
【0026】
【外3】 ここで、Js(x)はs次の第1種のベッセル関数であ
る。
【0027】さらに、φに関する項別積分により、
【0028】
【外4】 となる。式(8)の第1項目は原点に対して回転方向に
一様に分布する振幅を表し、第2項目以降の積分からは
回転方向にcos(mθ)の周期で振幅分布ができるこ
とが判る。
【0029】すなわち、入射する光束の波面に対して、
開口部の中心の位相を基準として、入射する光束の波面
の位相を進める進相作用を及ぼす形状と、位相を遅らせ
る遅相作用を及ぼす形状が、開口部の回転方向に形成さ
れている光学的ローパスフィルターを光学系内に設ける
ことにより、光学系を透過する光束の波面に進相遅相の
位相変動を与えることができ、その回折像として光束の
結像面において結像スポットを複数のスポットに分離す
ることができることが分かる。
【0030】本発明の光学的ローパスフィルターは、従
来の光学的ローパスフィルターと同様に、所定の空間周
波数のMTFを0にし、それよりも高周波数のMTFを
低下させる効果を有しながら、高価な材料を用いる必要
がないので安価に製造することができる。また、本発明
による光学的ローパスフィルターを撮像光学系の絞り近
傍に配することにより、各像高の光束に対して等しい進
相遅相作用を与えることができる。
【0031】式(8)において、第2項目により先に式
(1)で示した振幅分布を表すとすると、cos(m
θ)内のmは2となる。これにより、光学的ローパスフ
ィルターの基本形状は、 S(ρ,φ)=A×R(ρ)×cos(2φ) (9) となる。
【0032】式(8)による振幅分布は、
【0033】
【外5】 となる。
【0034】付加される収差量が小さいときは、式(1
0)のはじめの数項に積分値のほとんどが含まれ、第2
項目の積分により像面上の回転方向に周期的にできる強
度(U×U* )の分布を特徴づけることができる。これ
により光学的ローパスフィルターの径方向の基本形状関
数R(ρ)は、式(10)の第2項目の積分において、
撮像素子、例えばCCDの画素によって決まる所定の位
置vcの近傍でその絶対値が最大となる形状にすればよ
い。
【0035】
【外6】
【0036】CCDの画素のピッチがpのとき、CCD
に要求される輝度信号のカットオフ周波数は、fc=1
/(2p)であるので、光学的ローパスフィルターによ
り得られる分離した点像の間隔dcは、 dc=1/(2fc)=p (12) となる。
【0037】CCDの画素方向に対して点像を図2によ
うに配置した場合は、 rc=dc/√2 (13) となる。これにより式(11)におけるvcが求められ
る。
【0038】式(11)の積分が、v=vcで最大値を
有するには J1 {KA′R(ρ)}≒J2 (vcρ) (14) であればよい。
【0039】本発明の光学的ローパスフィルターは、連
続的な関数で表される基本形状を光の波長よりも小さい
段差を有する階段状の形状で近似したものである。本発
明の光学的ローパスフィルターの形状は、連続的な関数
を階段状に変換するStep関数を用いて、以下の式の
ように表せる。
【0040】 S(ρ,θ)=Step(A×R(ρ)×T(φ)) (15) Step関数は、例えば、連続的な関数を波長の1/4
ピッチの階段状に変換する関数である。
【0041】本発明による光学的ローパスフィルターに
おいて、進相または遅相作用の大きい方向をCCDなど
の受光素子の画素の配列の方向に対して30°〜60°
の範囲で設定すると、受光素子の画素の配列の方向に直
交する方向の線像強度分布が平均化され、ローパス効果
を高める上で有効であり、特に45°に設定するのが一
番良い。
【0042】本発明による光学的ローパスフィルター
は、所定の径方向にのみ進相または遅相作用を有する階
段状の形状と、それと直交する方向にのみ遅相または進
相作用を有するシリンドリカル面などの連続的な形状を
設けた構成でも良い。この場合は一方の面に階段状の形
状を有し、もう一方の面に連続的な(シリンドリカル)
面を有する構成でも、連続的な(シリンドリカル)面の
上に階段状の形状を形成した構成でもよい。
【0043】本発明の光学的ローパスフィルターは単一
で用いても十分なローパス効果を有するが、水晶の光学
的ローパスフィルターと併用することにより、撮像素子
の仕様の違いによりカットすべき空間周波数が異なる場
合でも、水晶の厚さを調整することにより様々な光学機
器に流用することができる。
【0044】(実施例1)図3は、本発明の光学的ロー
パスフィルターを用いた光学機器の撮影光学系の要部概
略図である。
【0045】L1からL9は撮影光学系を構成するレン
ズであり、L1からL3により正のパワーの第1群、L
4からL6により負のパワーの第2群、L7により正の
パワーの第3群、L8からL9により正のパワーの第4
群を構成している。本実施例の撮像光学系では、第2群
が光軸方向に移動することにより変倍し、第4群が光軸
方向に移動することにより像面補償およびフォーカスを
行う。
【0046】図中1は本発明による光学的ローパスフィ
ルター、2は絞り、3は赤外カットフィルター、4はC
CD等の撮像素子である。光学的ローパスフィルター
を、絞り2の近傍に設けることで入射する各画角の光束
の波面に対して等しく、位相の変化が与えられ、有効な
ローパス効果が得られる。
【0047】本実施例の光学的ローパスフィルターは、
光軸上の光の位相に対して進相作用を有する形状と遅相
作用を有する形状とを絞り2近傍の平板上に設けたもの
である。本実施例の光学的ローパスフィルターの形状を
表す等高線図を図4に示す。図中、1ラインで表される
領域間には1/4波長の段差があり、ラインとラインの
間は平坦で、+で示している部分が開口の中心に対して
凸になっている部分で、−で示している部分が凹になっ
ている部分である。
【0048】図4に示したように本発明の光学的ローパ
スフィルターは、開口の中心を原点とした円筒座標系で
表したときに、回転方向において、入射する波面の位相
に対して進相作用のある部分(−で示している部分)か
ら遅相作用のある部分(+で示している部分)へと階段
状に変化する形状となっている。
【0049】この時、進相作用のある部分と遅相作用の
ある部分は、それぞれ2箇所以上設ける必要がある。例
えば、図5のように進相作用のある部分と遅相作用のあ
る部分が1箇所ずつしかない場合は、透過波面は傾き成
分が多くなり像がある方向にずれるだけで、像を有効に
分離することはできない。また、図6のように進相作用
のある部分のみ、または進相作用のある部分のみで構成
されている場合は、ある像面では像を分割することがで
きるが、像が1つに融合してしまう像面が必ず存在する
ため、特公昭44−1155の光学的ローパスフィルタ
ーと同様に、ローパス効果が低下する。
【0050】本実施例の光学的ローパスフィルターの面
の基本形状の数値実施例を以下に示す。
【0051】 S1(ρ,φ)=A1×R1(ρ)×cos2(φ) (16) ここで、A1:定数、λ:波長であり、 R1(ρ)=(3.534ρ+2.867ρ2 −13.267ρ3 −7.079ρ4 +12.737ρ5 )λ (17) 0≦ρ≦1,0≦φ≦2π
【0052】本実施例の光学的ローパスフィルターは、
径方向にも波面の位相に対して進相作用のある部分と遅
相作用のある部分を設けたものである。φ=0のときの
径方向の基本形状を図7に実際の断面形状を図8に示
す。
【0053】図9に像面上の点像強度分布の等高線図を
示し、図10にF/1.65のときの像面上のCCDの
画素方向と垂直な方向に加算した線像強度分布を示す。
図11、図12に本実施例の光学的ローパスフィルター
のF/1.65,F/5.6のときのMTFを示す。
【0054】ここまではレンズに収差のない理想的な状
態での説明をしてきたが、レンズに収差が存在する場合
でも本発明によるローパスフィルターの効果は損なわれ
るものではない。光学系の特性からレンズの波面収差を
Φとすると、レンズ系およびローパスフィルターによる
瞳関数h0、h1は h0=exp(iΦ) (18) h1=exp(iW) (19) となり、全系での瞳関数hは h=h0×h1 (20) となる。振幅分布Uはhのフーリエ変換Fで求められる
ので U=F(h)=F(h0×h1)=F(h0)* F(h1) (21) となる。ここで演算子*はコンボリューションを表し、
F(h1)は先に説明した光学的ローパスフィルターに
よる振幅分布と一致するので、ローパス効果に変りがな
いことが分かる。
【0055】図13に示すような波面収差を有する光学
系に本発明による式(16)で表されるローパスフィル
ターを付加した場合について説明する。図14、図15
にこの場合の射出瞳上の波面収差と像面上の点像強度分
布の等高線図を示し、図16、図17にF/1.65、
F/5.6のときのMTFを示す。なお、この計算結果
では光学系の波面収差を考慮し、MTFの低周波成分が
最大になるように光軸方向にデフォーカスしている。
【0056】図18、図19は回転方向の形状が異なる
別の光学的ローパスフィルターの等高線図である。
【0057】それぞれの図において形状は、 S2(ρ,θ)=A2×R2(ρ)×cos(3φ) (22) S3(ρ,θ)=A3×R3(ρ)×cos(4φ) (23) となる。式(8)の第2項目の積分から、式(22)に
よる光学的ローパスフィルターでは像面上で6つに分離
した分布を有し、式(23)による光学的ローパスフィ
ルターでは像面上で8つに分離した分布を有する構成と
なる。
【0058】ここまで示した形状の例は、回転方向
(φ)には周期的で、進相作用のある部分と遅相作用の
ある部分の形状が対称な形のものばかりであるが、図2
0に示した等高線図のように非対称で非周期的な形状を
しているとき、あるいは進相遅相作用を及ぼす部分の高
さ(深さ)が均一でない形状をしているときは、基本形
状を表す関数がこれまでのように単一ではなく、 S(ρ,φ)=ΣAm×Rm(ρ)×cos(mφ) (24) m=1,2,3,…,nのように表されていると考えら
れ、その回折積分(8)の結果は、像面上にできる複数
のスポットの回転方向の周期性、形状の均一性が損なわ
れるものとなる。
【0059】このような場合でも、CCDの画素方向と
垂直な方向に加算した線像強度分布の形状が、CCDの
画素のピッチpを幅とした矩形状の分布にほぼなってい
れば、光学的ローパスフィルターとしての機能に影響は
ない。そのためには式(24)で表される形状によって
生ずる波面収差において、式(8)の第2項目の積分
が、画素ピッチpから決まるvc(式(12)または式
(13))の近傍において極値を有するようになってい
ればよい。
【0060】(実施例2)図21は実施例2の撮影光学
系の要部概略図である。
【0061】本実施例は、ローパス効果を有する面を撮
影光学系を構成するレンズの面に設けたものである。実
施例1と同符号のものは基本的に同機能なので説明を省
略する。
【0062】ローパス効果を有する面は絞り2の近傍の
レンズに設けるのが望ましい。本実施例ではレンズL
7′のr1面に設けている。
【0063】このようなレンズは、アクリルなどの合成
樹脂(プラスチック)やガラスを溶解して成形するモー
ルドレンズとして成形すると容易に製造でき、撮影レン
ズとして設計されたレンズ形状の成形の型に実施例1で
示したようなローパス効果を有する階段状の形状を付加
すればよい。また、ガラスのレンズを球面で研磨し、そ
の球面にアクリルなどの合成樹脂(プラスチック)で実
施例1で示したようなローパス効果を有する階段状の形
状を付加するようにして作っても良い。
【0064】また、図22に示すように、ローパス効果
を有する面形状をレンズL7″の絞り2から遠い側の一
方の面r2に設け、他方の面r1に球面、または軸対称
非球面を設けた構成にしても良い。
【0065】(実施例3)図23は、実施例3の撮影光
学系の要部概略図である。
【0066】本実施例においては、本発明によるローパ
ス効果を有する面を透過率を能動的に変化させて光量を
変化させる可変濃度素子5に設け、絞り2の近傍に配置
したものである。可変濃度素子5は、EC液晶などを平
板で封入した構造をしており、ローパス効果を有する面
は、EC液晶を封入する平板上に形成している。その
他、実施例1と同符号のものは基本的に同機能なので説
明を省略する。
【0067】(実施例4)図24は、実施例14の撮影
光学系の要部概略図である。
【0068】本実施例では、ローパス効果を有する面を
赤外カットフィルター3′に設け、この赤外カットフィ
ルター3′を絞り2の近傍に配置したものである。ロー
パス効果を有する面は、特開平6−118228に記載
されているような赤外カット機能を有する合成樹脂(プ
ラスチック)材料を実施例1で示したような形状に成形
してもいいし、平板の赤外カットフィルターに別の材料
で実施例1で示したような形状を付加する構成でも良
い。その他、実施例1と同符号のものは基本的に同機能
なので説明を省略する。
【0069】(実施例5)図25は、実施例5の撮影光
学系の要部概略図である。
【0070】本実施例では、波面の位相に進相遅相作用
を与える面が、絞り2の近傍に設けられたアクリルなど
の合成樹脂材料からなる平板の両面に成形されている。
絞り2から遠い方の面の形状は図26に示すような等高
線を持つ階段状の形状をしており、絞り2に近い方の面
は、図26に示した階段状の形状変化と直交する方向に
図27に等高線図として示す連続的なシリンドリカル形
状をしている。この素子を透過した平面波は、図28に
示したような位相を持つ波に変換され、実施例1で説明
した光学的ローパスフィルターと同様な効果を果たす。
その他、実施例1と同符号のものは基本的に同機能なの
で説明を省略する。
【0071】(実施例6)図29は、実施例6の撮影光
学系の要部概略図である。
【0072】本実施例では光学的ローパスフィルター1
の作用面を絞りの近傍に設け、更に複屈折軸を傾けて作
られた水晶板16を撮影光学系の中に設けたものであ
る。その他、実施例1と同符号のものは基本的に同機能
なので説明を省略する。
【0073】光学的ローパスフィルター1は、主に高周
波成分をカットし、水晶板6は、CCDによるカットオ
フ周波数を設定している。このような構成により、画素
数の異なるCCDを用いた撮影光学系に共通に使用する
ことができるようになる。
【0074】図30、図31は上記のような構成で、光
学的なカットオフ周波数をそれぞれ110本、80本に
設定したときのMTFを示している。点線が光学的ロー
パスフィルター1単独での特性で、実線がこれに水晶板
6を付加したときのMTFである。Aで示される範囲
が、高周波成分の抑制効果が現れる領域を表し、fcは
水晶板で決まる光学的なカットオフ周波数である。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ビデオカメラやデジタルカメラなどの光学機器に用いた
際に、安定したローパス効果を発揮でき、良好な画像が
得られる光学的ローパスフィルターを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】円筒座標系を表す図である。
【図2】像面の点像の間隔と中心から点像までの距離を
説明するための図である。
【図3】実施例1の光学機器の撮影光学系の概略構成図
である。
【図4】実施例1の光学的ローパスフィルターの等高線
図である。
【図5】進相作用を有する領域と遅相作用を有する領域
が1箇所ずつしかない形状を示す等高線図である。
【図6】遅相作用を有する領域しかない形状を示す等高
線図である。
【図7】実施例1の数値実施例における径方向の基本形
状を示す図である。
【図8】実施例1の数値実施例における径方向の断面形
状を示す図である。
【図9】実施例1の数値実施例における点像強度分布の
等高線図である。
【図10】実施例1の数値実施例においてF/1.65
のときのCCDの画素方向と垂直な方向に加算した線像
強度分布を示す図である。
【図11】実施例1の数値実施例においてF1.65の
ときのMTFを示す図である。
【図12】実施例1の数値実施例においてF5.6のと
きのMTFを示す図である。
【図13】実際の光学系の波面収差を表す図である。
【図14】図20に示した波面収差を有する光学系に、
実施例1の数値実施例における光学的ローパスフィルタ
ーを設けたことによって生ずる射出瞳上の波面収差を示
した等高線図である。
【図15】図20に示した波面収差を有する光学系に、
実施例1の数値実施例における光学的ローパスフィルタ
ーを設けたときの像面上の点像強度分布を示した等高線
図である。
【図16】図20に示した波面収差を有する光学系に、
実施例1の数値実施例における光学的ローパスフィルタ
ーを設けた光学系のF1.65のときのMTFを示す図
である。
【図17】図20に示した波面収差を有する光学系に、
実施例1の数値実施例における光学的ローパスフィルタ
ーを設けた光学系のF5.6のときのMTFを示す図で
ある。
【図18】光学的ローパスフィルターの他の形状を示す
等高線図である。
【図19】光学的ローパスフィルターの他の形状を示す
等高線図である。
【図20】光学的ローパスフィルターの他の形状を示す
等高線図である。
【図21】実施例2の光学機器の撮影光学系の概略構成
図である。
【図22】実施例2の光学機器の撮影光学系の別の形態
の概略構成図である。
【図23】実施例3の光学機器の撮影光学系の概略構成
図である。
【図24】実施例4の光学機器の撮影光学系の概略構成
図である。
【図25】実施例5の光学機器の撮影光学系の概略構成
図である。
【図26】実施例5における光学的ローパスフィルター
の絞りから遠い方の面の等高線図である。
【図27】実施例5における光学的ローパスフィルター
の絞りに近い方の面の等高線図である。
【図28】実施例5における光学的ローパスフィルター
によって生ずる波面収差を示した等高線図である。
【図29】実施例6の光学機器の撮影光学系の概略構成
図である。
【図30】実施例6において、光学的なカットオフ周波
数を110本に設定したときのMTFを示す図である。
【図31】実施例6において、光学的なカットオフ周波
数を80本に設定したときのMTFを示す図である。
【図32】従来のプリズムを利用した光学的ローパスフ
ィルターの問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
1 光学的ローパスフィルター 2 絞り 3 赤外カットフィルタ 4 CCD L1〜L9 撮影光学系を構成するレンズ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入射する光束の中心の波面の位相を基準
    とした時、入射する光束の波面の位相を進める進相作用
    を有する階段状の領域と、位相を遅らせる遅相作用を有
    する階段状の領域とが、交互に形成されていることを特
    徴とする光学的ローパスフィルター。
  2. 【請求項2】 前記進相作用を有する階段状の領域と前
    記遅相作用を有する階段状の領域とが、入射する光束の
    中心を原点とした回転方向において交互に形成されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の光学的ローパスフィ
    ルター。
  3. 【請求項3】 入射する光束の中心を原点、ρを有効部
    の半径で規格化された径方向の座標系(0≦ρ≦1)、
    φを回転方向の座標系(0≦φ≦2π)とした円筒座標
    系(ρ,φ)により、形状S(ρ,φ)が、 S(ρ,φ)=Step(R(ρ)×T(φ)) R(ρ):径方向の基本形状関数 T(φ):回転方向の基本形状関数 Step(f):連続的な関数fを所定の階段状の関数
    に変換する関数 で表されることを特徴とする請求項1、2記載の光学的
    ローパスフィルター。
  4. 【請求項4】 前記回転方向の基本形状関数T(φ)
    が、 T(φ)=cos(mφ) m:2以上の整数 で表される周期的に変化する関数であることを特徴とす
    る請求項3記載の光学的ローパスフィルター。
  5. 【請求項5】 前記径方向の基本形状関数R(ρ)が、
    非線形関数であることを特徴とする請求項3、4記載の
    光学的ローパスフィルター。
  6. 【請求項6】 所定の径方向にのみ進相及び遅相作用を
    有する階段状の形状と、それと直交する方向にのみ進相
    及び遅相作用を有する連続的な形状が、平行平板の2つ
    の面にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1、
    2記載の光学的ローパスフィルター。
  7. 【請求項7】 結像光学系と、撮像素子と、請求項1乃
    至6記載の光学的ローパスフィルターを有することを特
    徴とする光学機器。
  8. 【請求項8】 前記光学的ローパスフィルターが、前記
    結像光学系の絞り近傍に設けられることを特徴とする請
    求項7記載の光学機器。
  9. 【請求項9】 径方向において、進相または遅相作用の
    大きい方向を前記撮像素子の画素の配列の方向に対して
    30°〜60°の範囲で傾けて、前記光学的ローパスフ
    ィルターを配置することを特徴とする請求項7、8記載
    の光学機器。
  10. 【請求項10】 径方向において、進相または遅相作用
    の大きい方向を前記撮像素子の画素の配列の方向に対し
    て略45°傾けて、前記光学的ローパスフィルターを配
    置することを特徴とする請求項7、8記載の光学機器。
JP8256263A 1996-02-23 1996-09-27 光学的ローパスフィルター及びそれを有する光学機器 Withdrawn JPH10104552A (ja)

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EP97102878A EP0791846A3 (en) 1996-02-23 1997-02-21 Optical low-pass filter and optical apparatus having the same
KR1019970005441A KR100256043B1 (ko) 1996-02-23 1997-02-22 광학적 저주파통과필터 및 그것을 가진 광학기기
US09/639,744 US6351332B1 (en) 1996-02-23 2000-08-15 Optical low-pass filter and optical apparatus having the same

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6297912B1 (en) 1998-09-08 2001-10-02 Olympus Optical Co. Ltd. Zoom lens having low-pass phase filter, lens system having low-pass phase filter, and camera having the same zoom lens or lens system
JP2005502084A (ja) * 2001-08-31 2005-01-20 ザ・リージエンツ・オブ・ザ・ユニバーシテイ・オブ・コロラド 中心領域で位相が不変の位相マスクを使用するmtf改良型の光学システム

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