JPH10102568A - 便器洗浄タンク装置 - Google Patents

便器洗浄タンク装置

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Publication number
JPH10102568A
JPH10102568A JP14104797A JP14104797A JPH10102568A JP H10102568 A JPH10102568 A JP H10102568A JP 14104797 A JP14104797 A JP 14104797A JP 14104797 A JP14104797 A JP 14104797A JP H10102568 A JPH10102568 A JP H10102568A
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JP
Japan
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water
tank
toilet
water supply
valve
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Application number
JP14104797A
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English (en)
Inventor
Shinji Shibata
信次 柴田
Takenori Fukushima
武徳 福島
Takeshi Takagi
健 高木
Kiyoshi Fujino
清 藤野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Publication date
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Publication of JPH10102568A publication Critical patent/JPH10102568A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 便器洗浄の洗浄能力を維持したまま節水化を
図る。 【解決手段】 操作ハンドル4が操作されて排水弁5が
開弁すると、洗浄水タンク1内に貯留されていた洗浄水
は、排水弁座本体31の開口から便器に流出する。この
洗浄水流出により、ボールタップ3からの給水が開始さ
れ、給水源からの水道水(洗浄水)は、供給管11に導
かれて吐出ノズル11aに達する。そして、この吐出ノ
ズル11aからは、排水弁5により既に開弁済みの排水
弁座本体31の開口の略中心を指向して洗浄水が吐出さ
れる。よって、排水弁座本体31からの排水は、洗浄水
タンク1から単に流れ落ちる排水に、水道水水圧をもっ
て高速で流れ出る吐出ノズル11aからの噴流が加わっ
た状態となる。このため、吐出ノズル11aからの噴流
により排水弁座本体31の開口箇所でエジェクタ作用が
起き、排水弁座本体31の開口からは、ジェットポンプ
による吐水に近似した状態で便器に洗浄水が排出され、
その際の瞬間流量は増大する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、貯留した洗浄水を
便器に流出して便器を洗浄する便器洗浄タンク装置に関
し、詳しくは、少量の水で効果的に水洗できる便器洗浄
タンク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】通常の水洗式大便器では、便器洗浄のた
めに洗浄水タンク内に洗浄水を貯留しておき、その洗浄
水を便器の中に放出することがなされている。そして、
この洗浄水放出により、便器内の汚物等をその圧力によ
り直接排水部へ押し流したり、便器に上方に湾曲して形
成したいわゆるサイホン流路にてサイホン作用を発生さ
せ、このサイホン作用を併用して汚物等を排出部へ引き
込むことが行われている。このようにして便器洗浄を行
うためには、一般に、10リットル若しくはそれ以上の
量の水を約30cm程度の高さに蓄えて、この蓄えた水
に位置エネルギを付与することが必要である。ところ
で、近年、大都市への人口集中や、世界的な天候不順の
ため、生活用水の安定供給が難しくなっている。そこ
で、各自治体、政府は様々な分野にて節水の規制や呼び
かけを行っている。水洗式大便器も例外ではなく、例え
ば、94年には米国政府が便器洗浄の水量規制を3.5
ガロン(約13リットル)から1.6ガロン(約6リッ
トル)に低減変更したことをはじめ、台湾やシンガポー
ルにおいても節水化が切望されている。又、国内におい
ても、各市町村単位で、節水化への対応が模索されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】節水化を図るためによ
く用いられる手法としては、例えば、洗浄水タンク内へ
レンガ等を入れて見かけの貯水量を減らすことが挙げら
れる。しかし、この手法では、便器洗浄に必要な量の洗
浄水が得られず、洗浄不良を起こすという点で十分とは
言い難い。
【0004】上述の節水化の要求に対し、いくつかの提
案がなされているが、その一つとして、特開昭54−1
8137号や特公平6−99952号公報に示されるも
のがある。これら公報で提案された技術は、洗浄水を蓄
えるタンク内を水道圧により加圧しておき、便器洗浄時
にはタンク内に蓄えられた水道水圧と同等のエネルギを
持つ加圧水を便器に放出するものである。しかし、これ
ら技術では洗浄水量を少なくできる反面、タンク内へ洗
浄水が溜まるまでにかなりの時間がかかる。よって、大
便器が連続して使用されて連続洗浄を必要とする場合に
は、次の使用者は便器洗浄に際して、タンクに洗浄水が
溜まるまで待つ必要がある。また、タンクに耐圧性が要
求されるため、陶器等では製造できず、コストがかかる
という問題点もある。しかも、このようなタイプの便器
洗浄とするには、既存の便器洗浄タンク装置を利用する
ことはできず、装置そのものの交換が必要である。
【0005】更に、特開平5−311719号公報には
別の技術が提案されている。この公報の技術は、横引き
タイプの排水トラップを有するものであるが、その横引
き路を排水口の手前で上方に屈曲させた上で排水口に連
絡させて、排水口の手前に溜水部を設けており、その溜
水部にてシール部を構成するようになっている。そし
て、便器の封水部と前記溜水部との間の空間にある空気
を、密封タンク内の水を便器へ排出することにより密封
タンク内に発生する負圧で吸い込むことでトラップ内の
空気を排出し、サイホン作用を早期に発生させて汚物等
の排出効率が高まるようにしたものである。なお、この
技術において、溜水部に通気空間を設けている理由とし
ては、排水管側に負圧が発生した場合、通気空間が無け
れば、その負圧発生により、溜水部の水のみならず、便
器の封水自体も排水管側へ引っ張られて排水されてしま
い、排水管からの悪臭が便器ボウル面へ逆流してしまう
ためである。
【0006】しかしながら、この技術では、タンク内の
負圧を利用するために、やはりタンクには密封構造が必
要となる。また、封水部下流とタンク内とを接続するた
め、上記のように通気空間を設けたとしても、悪臭がタ
ンク内へ流入する可能性があるので、別途それを防止す
る構造も必要となる。
【0007】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされ、洗浄能力を維持したまま節水化を図ることを第
1の目的とする。
【0008】また、本発明は、上記の問題点を解決する
ためになされ、既設の便器洗浄タンク装置の洗浄能力の
向上と節水化とを最小限の部品交換等の簡便な改造で達
成することを第2の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】か
かる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の第
1の便器洗浄水タンク装置は、貯留した洗浄水を便器に
流出し、該便器を洗浄する便器洗浄タンク装置であっ
て、前記洗浄水を貯留する洗浄水タンクと、該洗浄水タ
ンクに開けられた排水口を開閉する排水弁と、前記洗浄
水タンク内の洗浄水水量が低減したときには、前記洗浄
水タンクに給水源から前記洗浄水を供給する給水手段
と、前記排水弁を開弁することによって前記排水口から
の排水を開始させる排水操作手段と、該排水操作手段が
操作されたときに、前記供給源からの洗浄水を前記排水
口の開口部を指向して吐出する吐出ノズルとを有するこ
とを特徴とする。
【0010】上記構成を有する本発明の第1の便器洗浄
水タンク装置では、排水操作手段により排水弁が開弁す
ると、例えば、この排水弁開弁のために設けられたハン
ドルが使用者により操作されたり、或いは排水弁を開閉
するアクチュエータを赤外光を利用して駆動させる遠隔
操作ボタン等が押圧操作等されて排水弁が開弁すると、
排水口から洗浄水が流れ出し洗浄水タンク内の洗浄水水
量が低減する。すると、給水手段により給水源から洗浄
水が洗浄水タンクに供給される。その一方、上記の排水
操作手段が操作されると、給水源からの洗浄水は、吐出
ノズルにより、排水口の開口部を指向して吐出される。
この際、給水源が一般家庭の1次側配管(水道管)であ
れば、吐出ノズルからの吐水は、この給水源とほぼ同等
の水圧(1〜2kgf/cm2 程度)のエネルギを持つ
ため、排水口を高速で流れる噴流となる。そして、その
吐出方向は、吐出ノズルの指向方向により、洗浄水タン
ク内から排水口を介して流出する洗浄水の流出方向と略
同一方向となる。
【0011】このため、排水口からの排水は、洗浄水タ
ンクから単に流れ落ちる排水に、水圧が1〜2kgf/
cm2 と高く高速で流れ出る噴流が加わった状態とな
る。つまり、この吐出ノズルからの噴流によりいわゆる
エジェクタ作用が起き、排水口からは、ジェットポンプ
による吐水に近似した形態で便器に排水され、その際の
瞬間流量を増大させることができる。従って、本発明の
第1の便器洗浄タンク装置によれば、洗浄水タンクに貯
留済みの洗浄水がこの噴流によって巻き込まれてこの噴
流と共に排水口から便器に流れ出るので、排水口から流
出する洗浄水全体のエネルギが増加し、便器の洗浄能力
を向上させることができる。しかも、エネルギ増加に伴
い瞬間流量が増大した洗浄水で便器洗浄を行うので、全
体としての洗浄水使用量も少なくて済み節水を図ること
ができる。
【0012】この本発明の第1の便器洗浄タンク装置の
場合、給水手段は、洗浄水タンク内の水位に応じて上下
するフロートを利用して、実際に洗浄水タンク内の洗浄
水水量が低減したときに洗浄水を供給するものに限られ
ない。便器洗浄のための何らかの操作、例えば、遠隔操
作ボタン等が押圧操作されれば、これに応じて排水弁は
開弁され当然に洗浄水タンク内の水量は低減する。よっ
て、給水手段が便器洗浄のため何らかの操作がされたと
きに洗浄水を供給するものであってもよい。つまり、排
水弁の開弁と略同時に洗浄水の供給を開始するものであ
ってもよい。
【0013】この本発明の第1の便器洗浄タンク装置
は、以下の態様を採ることもできる。即ち、上記の本発
明の第1の便器洗浄タンク装置において、前記吐水ノズ
ルは、前記給水手段の下流に接続され前記洗浄水を前記
洗浄水タンク内に導く給水管に設けられているものとす
ることができる。
【0014】この第1の態様に便器洗浄タンク装置で
は、上記のように排水弁が開弁すると給水手段により給
水源から洗浄水が洗浄水タンクに供給される。この給水
手段の下流には吐出ノズルを有する給水管が接続されて
いるので、洗浄水は給水管により洗浄水タンク内に導か
れ、吐出ノズルからは、排水口の開口部を指向して給水
源から洗浄水が吐出される。この際、給水源が一般家庭
の1次側配管(水道管)であれば、吐出ノズルからの吐
水は、この給水源とほぼ同等の水圧(1〜2kgf/c
2 程度)のエネルギを持つため、排水口を高速で流れ
る噴流となる。そして、その吐出方向は、吐出ノズルの
指向方向により、洗浄水タンク内から排水口を介して流
出する洗浄水の流出方向と略同一方向となる。
【0015】このため、排水口からの排水は、洗浄水タ
ンクから単に流れ落ちる排水に、水圧が1〜2kgf/
cm2 と高く高速で流れ出る噴流が加わった状態とな
る。つまり、この吐出ノズルからの噴流によりいわゆる
エジェクタ作用が起き、排水口からは、ジェットポンプ
による吐水に近似した形態で便器に排水され、その際の
瞬間流量を増大させることができる。従って、第1の態
様の便器洗浄タンク装置によっても、洗浄水タンクに貯
留済みの洗浄水がこの噴流によって巻き込まれてこの噴
流と共に排水口から便器に流れ出るので、排水口から流
出する洗浄水全体のエネルギが増加し、便器の洗浄能力
を向上させることができる。しかも、エネルギ増加に伴
い瞬間流量が増大した洗浄水で便器洗浄を行うので、全
体としての洗浄水使用量も少なくて済み節水を図ること
ができる。
【0016】また、既設の便器洗浄タンク装置で洗浄水
を洗浄水タンク内に導くために用いられていた既存の給
水管を、この第1の態様における吐出ノズルを有する給
水管に交換するだけでよい。よって、第1の態様の便器
洗浄タンク装置によれば、最小限の部分を交換すること
で、洗浄能力の向上と節水化を図ることができる。加え
て、給水源はごく普通に用いられている水道管でよいの
で、洗浄水タンクを密閉構造や耐圧構造を有するものと
する必要はなく、一般的な陶器製の洗浄水タンクとする
ことができる。
【0017】また、上記の第1の態様の便器洗浄タンク
装置において、前記給水手段は、前記給水管に連通した
第1ポートと前記洗浄水を前記給水管とは別個に前記洗
浄水タンクに導くための第2ポートとを択一的に前記給
水源に連通する分配弁と、前記排水弁の開弁動作に遅延
して前記分配弁を切り換え、前記第1ポートを前記給水
源に連通する第1ポート切換手段とを有するものとする
ことができる。
【0018】この第2の態様の便器洗浄タンク装置で
は、排水弁開弁のための操作が使用者によりなされたり
等して排水弁が開弁すると、この開弁動作に遅延して分
配弁が切り換わり、給水源には第1ポートが連通する。
この第1ポートは吐出ノズルを有する給水管と連通して
いるので、排水弁の開弁動作に遅延して給水管、即ち吐
出ノズルからは上記したように噴流が高速・高圧で吐出
される。従って、この第1の態様の便器洗浄タンク装置
によれば、排水弁の開弁動作を噴流未発生時に行うこと
ができ、開弁に負荷を掛けることがない。しかも、排水
口から洗浄水が流れ出ているときに、この洗浄水の流れ
に噴流を加えることができる。そして、吐出ノズルから
の噴流の吐出後には、洗浄水タンクに貯留済みの洗浄水
をこの噴流で巻き込んで便器に流し出して瞬間流量が大
きな流れを得ることができるので、高い能力で便器洗浄
を行うことができ、その際には、節水を図ることができ
る。
【0019】また、この第2の態様の便器洗浄タンク装
置において、更に、前記給水手段は、前記排水弁の閉弁
動作と略同時に前記分配弁を切り換え、前記第2ポート
を前記給水源に連通する第2ポート切換手段を有するも
のとすることができる。
【0020】この第3の態様の便器洗浄タンク装置で
は、排水弁が閉弁すると、この閉弁動作と略同時に分配
弁が切り換わり、給水源には第2ポートが連通する。こ
の第2ポートは給水管とは別個に洗浄水を洗浄水タンク
に導くためのものであることから、排水弁の閉弁と略同
時に洗浄水タンクへの洗浄水貯留が行われる。このた
め、洗浄水を無駄に便器に流すことはなく無駄水をなく
すことができる。
【0021】本発明の第2の便器洗浄タンク装置は、貯
留した洗浄水を便器に流出し、該便器を洗浄する便器洗
浄タンク装置であって、前記洗浄水を貯留する洗浄水タ
ンクと、該洗浄水タンクに開けられた排水口を開閉する
排水弁と、前記洗浄水タンク内の洗浄水水量が低減した
ときには、前記洗浄水タンクに給水源から前記洗浄水を
供給する給水手段と、前記洗浄水タンク内の洗浄水水量
が所定水量を越えると、該所定水量を越える洗浄水を前
記排水弁が閉弁状態であっても前記排水口を経て前記便
器に流出させるよう前記洗浄水タンクに配設された余剰
水排出管と、前記給水手段の下流に接続され、前記洗浄
水を前記洗浄水タンク内に導く第1の給水管と、前記給
水手段の下流に接続され、前記洗浄水を前記余剰水排出
管に合流して導く第2の給水管とを備え、前記第2の給
水管は、前記導かれた洗浄水を前記排水口の開口部を指
向して吐出する吐出ノズルを有することを特徴とする。
【0022】この本発明の第2の便器洗浄タンク装置で
は、上記した第1の発明と同様、排水弁の開弁に伴って
排水口から洗浄水が流れ出し、洗浄水タンク内の洗浄水
水量が低減すると、給水手段により給水源から洗浄水が
洗浄水タンクに供給される。その一方、このような洗浄
水供給が過剰となり洗浄水タンク内の洗浄水水量が所定
水量を越えると、この越えた分の洗浄水は、余剰水排出
管により排水口を経て常に便器に流出する。このため、
洗浄水タンク内は、常に所定水量の洗浄水が貯留され
る。なお、この余剰水排出管は、既存の便器洗浄タンク
装置においていわゆるオーバーフロー管として多々用い
られている。
【0023】そして、給水手段の下流には第1の給水管
と第2の給水管が接続されており、第1の給水管からは
洗浄水が洗浄水タンク内に導かれ、第2の給水管からは
洗浄水が余剰水排出管に合流して導かれる。この場合、
第2の給水管は吐出ノズルを有するので、第2の給水管
に導かれた洗浄水は、吐出ノズルから排水口の開口部を
指向して、給水源とほぼ同等の水圧(一般家庭の1次側
配管(水道管)であれば、1〜2kgf/cm2 程度)
のエネルギを持って吐出し、排水口を高速で流れる噴流
となる。しかも、その吐出方向は、吐出ノズルの指向方
向により、洗浄水タンク内から排水口を介して流出する
洗浄水の流出方向と略同一方向となる。このため、本発
明の第2の便器洗浄タンク装置によっても、第1の発明
と同様に、排水口からの排水を洗浄水タンクから単に流
れ落ちる排水に高い水圧で高速に流れ出る噴流が加わっ
た状態とすることができる。従って、洗浄水タンクに貯
留済みの洗浄水と第1の給水管により洗浄水タンク内に
導かれた洗浄水は、この噴流によって巻き込まれてこの
噴流と共に排水口から便器に流れ出るので、排水口から
流出する洗浄水全体のエネルギが増加し、便器の洗浄能
力を向上させることができる。しかも、エネルギ増加に
伴い瞬間流量が増大した洗浄水で便器洗浄を行うので、
全体としての洗浄水使用量も少なくて済み節水を図るこ
とができる。
【0024】また、既設の便器洗浄タンク装置で洗浄水
を洗浄水タンク内に導くために用いられていた既存の給
水管を、この第2の発明における第1,第2の給水管に
交換し、既存のオーバーフロー管に第2の給水管を合流
するよう改造するだけでよい。よって、本発明の第2の
便器洗浄タンク装置によっても、比較的軽微な改造で、
洗浄能力の向上と節水化を図ることができる。加えて、
給水源はごく普通に用いられている水道管でよいので、
洗浄水タンクを密閉構造や耐圧構造を有するものとする
必要はなく、一般的な陶器製の洗浄水タンクとすること
ができる。
【0025】この本発明の第2の便器洗浄タンク装置に
あっても、以下の態様を採ることもできる。即ち、上記
の本発明の第2の便器洗浄タンク装置において、前記給
水手段は、前記第2の給水管に連通した第1ポートと前
記第1の給水管に連通した第2ポートとを択一的に前記
給水源に連通する分配弁と、前記排水弁の開弁動作に遅
延して前記分配弁を切り換え、前記第1ポートを前記給
水源に連通する第1ポート切換手段とを有するものとす
ることができる。
【0026】この第1の態様の便器洗浄タンク装置で
は、第1の便器洗浄タンク装置における第1の態様と同
様、排水弁の開弁動作に遅延して分配弁が切り換わり、
給水源からの洗浄水は、第1ポートを経て第2の給水管
に導かれる。そして、この第2の給水管が有する吐出ノ
ズルから、排水弁の開弁動作に遅延して噴流が高速・高
圧で吐出される。従って、この第1の態様の便器洗浄タ
ンク装置によっても、排水口から洗浄水が流れ出ている
ときに、この洗浄水の流れに噴流を加えることができ
る。そして、吐出ノズルからの噴流の吐出後には、洗浄
水タンクに貯留済みの洗浄水をこの噴流で巻き込んで便
器に流し出して瞬間流量が大きな流れを得ることができ
るので、高い能力で便器洗浄を行うことができ、その際
には、節水を図ることができる。
【0027】また、上記の第1の態様の便器洗浄タンク
装置において、更に、前記給水手段は、前記排水弁の閉
弁動作と略同時に前記分配弁を切り換え、前記第2ポー
トを前記給水源に連通する第2ポート切換手段を有する
ものとすることができる。
【0028】この第2の態様の便器洗浄タンク装置であ
っても、排水弁が閉弁すると、この閉弁動作と略同時に
分配弁が切り換わり、排水弁の閉弁と略同時に第1の給
水管により洗浄水タンクへの洗浄水貯留が行われる。こ
のため、洗浄水を無駄に便器に流すことはなく無駄水を
なくすことができる。
【0029】また、上記した本発明の第1,第2の便器
洗浄タンク装置とそれぞれの各態様の便器洗浄タンク装
置において、前記吐出ノズルは、前記排水口の開口部の
略中心を指向して配設されているものとすることができ
る。
【0030】この態様の便器洗浄タンク装置によれば、
吐出ノズルからの噴流を排水口の略中心に流すことがで
きるので、より確実にエジェクタ作用を生じさせ、洗浄
能力の向上と節水化の推進を図ることができる。
【0031】更に、この上記の態様の便器洗浄タンク装
置において、前記洗浄水タンクは、前記排水口の内部に
筒状体を有し、該筒状体は、前記吐出ノズルから吐出さ
れた水が流入して通過するように前記吐出ノズルと対向
して配設されているものとすることができる。
【0032】この態様の便器洗浄タンク装置によれば、
筒状体に吐出ノズルからの噴流が流れる際にもエジェク
タ作用を生じさせことができると共に、筒状体からの洗
浄水の流れが排水口に対して噴流となるので、筒状体に
よってもエジェクタ作用を生じさせることができる。こ
のため、排水口から流出する洗浄水全体のエネルギをよ
り増大させて、便器の洗浄能力の向上と節水化の推進と
を図ることができる。
【0033】
【発明の他の態様】本発明は以下のような他の態様を採
ることも可能であり、上記した第1,第2の便器洗浄タ
ンク装置とそれぞれの各態様の便器洗浄タンク装置にお
いて、前記排水口の開口径或いは前記筒状体の開口径に
対する前記吐出ノズルのノズル径の比の値は、約0.1
2〜0.18とされている。
【0034】この他の態様の便器洗浄タンク装置によれ
ば、吐出ノズルからの噴流による生じるジェットポンプ
のポンプ効率を高めることができ、より確実に洗浄能力
を高め節水化を推進することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施
例に基づき説明する。まず、第1実施例について説明す
る。第1実施例の便器洗浄タンク装置は、その一部切欠
正面図である図1と、その要部の断面図である図2に示
すように、以下の構成を有する。
【0036】この第1実施例の便器洗浄タンク装置70
は、便器洗浄のための洗浄水を貯留する洗浄水タンク1
を有し、その内側側壁には、給水管2に連結したボール
タップ(給水弁)3を備える。給水管2は、洗浄水タン
ク1の側壁を貫通して当該側壁に固定されており、図示
しない水道管と接続されて洗浄水をボールタップ3に導
く。また、洗浄水タンク1の底部には、操作ハンドル4
により便器側への流路を開閉する排水弁5を有し、この
排水弁5には、オーバーフロー管6が組み込まれてい
る。このため、洗浄水タンク1内の水位がオーバーフロ
ー管6の立ち上げ高さ以上となると、この水位を越えた
洗浄水は、排水弁5の閉弁時であってもオーバーフロー
管6を経て便器に排出する。更に、蓋7には、手洗い管
8を立設して備える。
【0037】給水管2から供給される洗浄水の水圧は、
夫々の家庭に供給される給水圧力(水道水圧力、1次側
圧力)とほぼ等しく、約1〜2kgf/cm2 である。
また、排水弁5は、洗浄水タンク1の内側底面に取付金
具32を介して固定された排水弁座本体31を有する。
そして、便器(図示省略)の洗浄を行うために操作ハン
ドル4が操作されると、当該ハンドル操作に伴って排水
弁5は開弁し、洗浄水タンク1内の洗浄水は便器に流出
するように構成されている。
【0038】ボールタップ3は、ダイヤフラムの変更を
利用して主弁(給水弁)を開閉する型式のものであり、
ロッド9に連結したフロート10の水位変化に基づく動
作によってタンク側および手洗い管8への水の供給と停
止を行うよう、以下のように構成されている。
【0039】図2に詳細に示すように、ボールタップ3
は、給水管2に連通する一次側流路F−1と、洗浄水タ
ンク1の内部に供給管11によって連通する二次側流路
F−2とを形成し、両室F−1、F−2間には孔12を
開設した主弁座14を設けている。
【0040】主弁座14に接離する主弁体15(給水
弁)は、小孔17を開設したダイヤフラム16に移動自
在に支持されている。そして、このダイヤフラム16は
主弁体15の背部側に圧力室18を形成し、さらにこの
圧力室18には大気に開放するパイロット弁19を設け
ている。
【0041】このパイロット弁19は、フロート10を
連結したロッド9の基端に設けたパッキン20によって
弁孔21を開閉する構成である。そして、このパイロッ
ト弁19では、フロート10が降下するとパッキン20
が弁孔21から後退して弁孔21が開く。このため、圧
力室18内の水がこの弁孔21から排出するので、圧力
室18内の圧力が一次側流路F−1内圧より小さくな
り、この差圧に基づいて主弁体15が主弁座14から離
れて開弁し、水を二次側流路F−2方向へ供給すること
ができる。
【0042】さらに、ボールタップ3は、二次側流路F
−2に連結した分配弁25を備え、その下端には、洗浄
水タンク内に洗浄水を導く供給管11がコネクタ26を
介して接続されている。このコネクタ26の内部には軸
線方向に摺動自在な弁体27が組み込まれており、二次
側流路F−2の圧力に応じて弁体27が軸線に沿って下
方に摺動すると、分配弁25をへて供給管11の側に洗
浄水が流れ込む。
【0043】この分配弁25は、弁体27の上流側に位
置する部分に手洗い管側供給孔28を開設して備え、当
該供給孔は、手洗い管8と蛇腹管8aを介して連通され
ている。また、弁体27の上端部を受ける弁座29は、
弁体27の上昇を規制すべく段状に形成されている。こ
のため、弁体27は、コイルスプリング30によりこの
弁座29の側に常時付勢され、通常時は図示のように閉
弁状態を保つ。なお、弁体27が軸線に沿って下方に摺
動した場合に、パイロット弁19が開弁して背洗浄水が
二次側流路F−2方向へ供給されているので、手洗い管
8からも洗浄水タンク1の内部に洗浄水が流れ込む。
【0044】洗浄水の供給に関与する上記のボールタッ
プ3並びに分配弁25の構造および作用はよく知られた
通常のものであることから、この第1実施例の便器洗浄
タンク装置70では、この通常のボールタップ3や分配
弁25をそのまま利用できる。
【0045】この第1実施例の便器洗浄タンク装置70
における特徴的部位は、ボールタップ3に接続された供
給管11にあり、供給管11はその先端部に先細り形状
とされた吐出ノズル11aを有する点と、この吐出ノズ
ル11aは排水弁5が着座する排水弁座本体31の略中
心を指向するように配置されている点である。この場
合、吐出ノズル11aの先端の開口径即ちノズル径d
は、約7mmとされており、排水弁座本体31の開口径
は、約50〜75mmの直径とされている。
【0046】次に、便器洗浄を行う際の便器洗浄タンク
装置70の作動状況について説明する。便器洗浄の際に
は、操作ハンドル4が使用者により操作される。排水弁
5は、この操作に伴って持ち上げられ、排水弁座本体3
1から離れ開弁する。すると、洗浄水タンク1内に貯留
されていた洗浄水は、排水弁座本体31の開口から流れ
出し便器に流出する。この洗浄水流出により、洗浄水タ
ンク1内の水位は降下し、それに伴ってフロート10も
降下するため、パイロット弁19における主弁体15が
開弁し、ボールタップ3からの給水が始まる。
【0047】このため、給水源から水道水(洗浄水)が
分配弁25における二次側流路F−2内に流入して、そ
の一部は手洗い管側供給孔28から手洗い管8方向へ流
れ出る。残りの洗浄水は、弁体27を押し下げてこれを
開弁し、供給管11に導かれて吐出ノズル11aに達す
る。そして、この吐出ノズル11aからは、図2中に白
抜きの矢印で示したように、排水弁5により既に開弁済
みの排水弁座本体31の開口の略中心を指向して洗浄水
が吐出される。この際、吐出ノズル11aからの吐水
は、水道水水圧とほぼ同等の1〜2kgf/cm2 程度
のエネルギを持っているため、排水弁座本体31の開
口、即ち洗浄水タンク1における排水口を高速で流れる
噴流となる。そして、その吐出方向は、吐出ノズル11
aの指向の様子から、洗浄水タンク1内から排水弁座本
体31を介して流出する洗浄水の流出方向とほぼ略同一
方向となる。
【0048】よって、排水弁座本体31からの排水は、
洗浄水タンク1から単に流れ落ちる排水に、水圧が1〜
2kgf/cm2 と高く高速で流れ出る吐出ノズル11
aからの噴流が加わった状態となる。つまり、この吐出
ノズル11aからの噴流により排水弁座本体31の開口
箇所でエジェクタ作用が起き、排水弁座本体31の開口
からは、ジェットポンプによる吐水に近似した形態で便
器に洗浄水が排出され、その際の瞬間流量を増大させる
ことができる。従って、この便器洗浄タンク装置70に
よれば、洗浄水タンク1に貯留済みの洗浄水が、図2中
に実線の矢印で示すように、白抜き矢印の噴流によって
巻き込まれてこの噴流と共に排水弁座本体31から便器
に流れ出るので、排水弁座本体31から流出する洗浄水
全体のエネルギが増加し、便器の洗浄能力を向上させる
ことができる。しかも、エネルギ増加に伴い瞬間流量が
増大した洗浄水で便器洗浄を行うので、全体としての洗
浄水使用量も少なくて済み節水を図ることができる。
【0049】なお、洗浄水タンク1内の水がほぼ排出さ
れると、排水弁5は排水弁座本体31に着座して閉弁す
るため、洗浄水タンク1での洗浄水貯留が始まる。つま
り、排水弁5の閉弁当初には、フロート10は降下した
ままであるので引き続きボールタップ3からの給水は行
われ、供給管11に導かれて吐出ノズル11aから吐出
する洗浄水は、排水弁5にぶつかりながら、洗浄水タン
ク1の水位を増加させる。また、手洗い管8からも洗浄
水が導かれ洗浄水タンク1の水位を増加させる。そし
て、この水位の増加に伴ってフロート10が元の位置に
戻ると、パッキン20によって弁孔21が閉じられてボ
ールタップ3は初期状態に戻り、給水が停止する。
【0050】以上説明した第1実施例の便器洗浄タンク
装置70は、既設の便器洗浄タンク装置と、供給管11
が異なっているにすぎず、この供給管11より上流の機
器、具体的にはボールタップ3を始め、洗浄水タンク1
や排水弁5等の構成は既存のままでよい。このため、既
にある従来の供給管、例えば単に管状であるだけの供給
管を、コネクタ26をはずして本装置の供給管11と交
換するという単純な改造で、簡単に洗浄能力の向上と節
水化を図ることができる。この場合、この改造を行うこ
とで上記したように節水を図ることができ、改造前後で
洗浄水使用量が変化することから、ボールタップ3から
の給水の開始並びに停止のタイミングを定めるフロート
10を調整することが好ましい。具体的には、支持杆1
0aとロッド9のアーム9aとを調整して給水停止タイ
ミングを早め、タンク内の貯留水位を下げる。このよう
にすれば、タンク内の貯留水量が少なくなり、便器洗浄
に余計に水を使うことがなくなる。なお、支持杆10a
が短かく給水停止タイミングを早めるよう調整できなけ
れば、より長い支持杆10aを有するフロート10と交
換することが望ましい。
【0051】上記した第1実施例においては、排水弁5
として、開閉を上下方向の移動で行うものについて説明
をおこなったが、これに限るわけではなく、左右方向の
移動で行うものであってもよい。そして、開閉を排水弁
5の左右方向の移動で行うものでは、吐出ノズル11a
をより排水弁座本体31に近づけてその指向方向を正確
に略中心とすることができるので好ましい。また、操作
ハンドル4により排水弁5が開弁するものについて説明
したが、赤外線等を利用して遠隔操作が可能なアクチュ
エータで排水弁5を開弁するようにした構成を採ること
もできることは勿論である。
【0052】ここで、上記の第1実施例の変形例につい
て説明する。この変形例では、図3に示すように、吐出
ノズル11aの前方に、筒状のスロート60を有する。
このスロート60は、吐出ノズル11aと排水弁座本体
31の開口との間に位置しており、その内部を吐出ノズ
ル11aから吐出された水が流入して通過するように、
吐出ノズル11aと対向して配設されている。なお、排
水弁5による排水弁座本体31の開閉に支障がないよう
にされていることは勿論である。
【0053】この変形例の便器洗浄タンク装置では、ス
ロート60を吐出ノズル11aから吐出された白抜き矢
印の噴流が流れる際にもエジェクタ作用を生じさせこと
ができる。よって、洗浄水タンク1に貯留済みの洗浄水
は、図中の点線の矢印で示すように、白抜き矢印の噴流
によって巻き込まれてこの噴流と共にスロート60を通
過し排水弁座本体31の略中心に指向して流れる。そし
て、このスロート60を流れ出た洗浄水の流れが排水弁
座本体31の開口に対して噴流となるので、スロート6
0によってもエジェクタ作用を生じさせることができ、
洗浄水タンク1に貯留済みの洗浄水は、図中に実線の矢
印で示すように、スロート60からの噴流によって巻き
込まれてこの噴流と共に排水弁座本体31から便器に流
れ出る。このため、排水弁座本体31から流出する洗浄
水全体のエネルギをより増大させて、便器の洗浄能力の
向上と節水化の推進とを図ることができる。
【0054】次に、第2実施例について説明する。この
第2実施例の便器洗浄タンク装置は、その一部切欠正面
図である図4と、その要部の断面図である図5並びに要
部の上面図である図6に示すように、以下の構成を有す
る。なお、第1実施例と共通する部位は同じ符号を付す
にとどめ、説明は省略する。この第2実施例の便器洗浄
タンク装置70Aと、通常用いられている既存の便器洗
浄タンク装置との相違は、手洗い管8および蛇腹管8a
に替えて、蛇腹管34および吐出ノズル35(図5参
照)を設けた点である。
【0055】即ち、ボールタップ3の下流には、単なる
管状をなした既存の供給管33と、コネクタ26の上流
でこの供給管33と分岐した上記の蛇腹管34が接続さ
れている。この蛇腹管34は、従来使用していた手洗い
管8を蓋7から外し、更に蛇腹管8aもボールタップ3
から外して、この蛇腹管8aに替えてボールタップ3に
接続されている。この蛇腹管34は、オーバーフロー管
6に挿入されており、その先端部34aでオーバーフロ
ー管6に合流している。そして、この先端部34aに
は、図5に示すように、樹脂などで成型した吐出ノズル
35が排水弁座本体31の側から取付けられている。こ
の吐出ノズル35は、図5並びに図6に示すように、排
水弁座本体31内の排水口36の略中心に位置するよう
調整されており、接着剤等で固定されている。従って、
ボールタップ3から給水がなされると、洗浄水は、蛇腹
管34により導かれてオーバーフロー管6に合流し、排
水弁5が閉弁状態であっても、吐出ノズル35から排水
口36の略中心を指向して吐出される。この場合、吐出
ノズル35のノズル径は上記の第1実施例における吐出
ノズル11aと同程度とされている。
【0056】次に、便器洗浄を行う際の便器洗浄タンク
装置70Aの作動状況について説明する。便器洗浄の際
には、操作ハンドル4が使用者により操作される。排水
弁5は、この操作に伴って持ち上げられ、排水弁座本体
31から離れ開弁する。すると、洗浄水タンク1内に貯
留されていた洗浄水は、排水弁座本体31の排水口36
から流れ出し便器に流出するので、第1実施例と同様
に、ボールタップ3からの給水が始まる。
【0057】このため、給水された洗浄水は、その一部
が蛇腹管34により吐出ノズル35の側に導かれ、残り
は弁体27を水圧によって開弁して供給管33に導か
れ、接洗浄水タンク1の内部に直接流出する。蛇腹管3
4に導かれた洗浄水は、吐出ノズル35から排水口36
に吐出される。この際、吐出ノズル35からの吐水は、
水道水水圧とほぼ同等の1〜2kgf/cm2 程度のエ
ネルギを持っているため、排水口36を高速で流れる噴
流となる。そして、その吐出方向は、吐出ノズル35の
指向の様子から、洗浄水タンク1内から排水弁座本体3
1の排水口36を介して流出する洗浄水の流出方向とほ
ぼ同一方向となる。
【0058】よって、排水弁座本体31における排水口
36からの排水は、洗浄水タンク1から単に流れ落ちる
排水に、水圧が1〜2kgf/cm2 と高く高速で流れ
出る吐出ノズル35からの噴流が加わった状態となる。
つまり、この吐出ノズル35からの噴流により排水口3
6でエジェクタ作用が起き、この排水口36からは、ジ
ェットポンプによる吐水に近似した形態で便器に洗浄水
が排出され、その際の瞬間流量を増大させることができ
る。従って、第2実施例の便器洗浄タンク装置70Aに
よっても、洗浄水タンク1に貯留済みの洗浄水が、吐出
ノズル35からの噴流によって巻き込まれてこの噴流と
共に排水口36から便器に流れ出るので、排水口36か
ら流出する洗浄水全体のエネルギが増加し、便器の洗浄
能力を向上させることができる。しかも、エネルギ増加
に伴い瞬間流量が増大した洗浄水で便器洗浄を行うの
で、全体としての洗浄水使用量も少なくて済み節水を図
ることができる。
【0059】なお、洗浄水タンク1内の水がほぼ放出さ
れると、排水弁5は排水弁座本体31に着座して閉弁す
るため、第1実施例と同様に洗浄水タンク1での洗浄水
貯留が始まる。つまり、供給管33からは洗浄水が直接
タンク内に導かれて洗浄水タンク1の水位を増加させ、
その水位の増加に伴ってフロート10が元の位置に戻る
とボールタップ3も初期状態に戻って給水が停止する。
なお、排水弁5が閉弁し上記のように洗浄水タンク1の
水位が増加している間は、吐出ノズル35から洗浄水は
便器に放出され続けるが、この水は便器の溜水として使
われるので無駄となることは無い。
【0060】この第2実施例の便器洗浄タンク装置70
Aでも、既設の便器洗浄タンク装置と、手洗い管8およ
び蛇腹管8aが異なっているに過ぎず、ボールタップ3
や洗浄水タンク1、排水弁5並びに供給管33等の構成
は既存のままでよい。このため、既にある従来の手洗い
管8と蛇腹管8aをはずして本装置の蛇腹管34と吐出
ノズル35と交換するという単純な改造で、簡単に洗浄
能力の向上と節水化を図ることができる。この場合、こ
の改造を行うことで上記したように節水を図ることがで
き、改造前後で洗浄水使用量が変化することから、やは
り既述したようにフロート10を調整することが好まし
い。なお、吐出ノズル35、延いては蛇腹管34からの
逆流を防止する観点から、図示するように蛇腹管34を
上方に湾曲させると共に、タンクの所定貯留水位より高
い管路途中に大気開放弁を設けることが好ましい。
【0061】次に、上記した第2実施例の変形例につい
て説明する。この変形例の便器洗浄タンク装置70B
は、図7の概略構成を示す断面図に示すように、第2実
施例の蛇腹管34に替わる連絡管37を有し、この連絡
管37をオーバーフロー管6とは独立した経路としてオ
ーバーフロー管6の末端でのみ合流させた点と、排水弁
5と異なる構成の排水弁51を有する点と、ボールタッ
プ3の下流には分配弁41を有する点で第2実施例と異
なっている。以下、この相違する構成について順次説明
する。まず、排水弁51について、図8を用い詳細に説
明する。
【0062】排水弁座本体31は、排水口36を取り囲
み洗浄水タンク1内に突出した筒状部35aを有し、そ
の上端面は斜めとされている。そして、排水弁座本体3
1は、この筒状部35aの開口縁に排水弁51の弁座5
2を有する。また、筒状部35aには、その側方に起立
してオーバーフロー管6が設けられており、排水口36
にオーバーフロー管6の下端開口が連結している。この
オーバーフロー管6は、排水弁51の弁蓋54の支持部
を兼ねている。更に、筒状部35aには、オーバーフロ
ー管6と同様に、その側方に起立して連絡管37が設け
られている。この連絡管37は、給水源から給水された
洗浄水を排水口36に直接導くものであり、供給管33
とは独立に分配弁41に接続されている。そして、連絡
管37は、オーバーフロー管6の末端、即ち排水口36
にてこのオーバーフロー管6と合流し、下端には吐出ノ
ズル35が固定されている。このため、連絡管37に導
かれた洗浄水は、図中白抜き矢印で示すように、吐出ノ
ズル35から排水口36に下向きに吐出される。なお、
分配弁41による洗浄水の分配の様子については後述す
る。
【0063】排水弁51の弁蓋54は、円板状に形成さ
れており、その上面には平行に延びる一対の支持アーム
55を有し、その下面には、平板リング状の弁体53を
有する。そして、この支持アーム55がオーバーフロー
管6を挟持して軸56によりこのオーバーフロー管6に
枢着されており、弁体53が弁座52に当接するように
されている。従って、弁蓋54は支持アーム55の枢支
部を中心に上下に回動自在であり、上向きの回動により
弁蓋54の弁体53が弁座52から離れると排水弁51
が開弁して排水口36を開き、この開弁状態から下向き
の回動により弁体53が弁座52に着座すると排水弁5
1は閉弁して排水口36を閉止することができる。
【0064】弁蓋54の上面中央部には、洗浄水タンク
1の側壁に設けられた操作ハンドル4(図示省略)の操
作力を弁蓋54に伝達する鎖等の操作力伝達部材59が
連結されている。このため、操作ハンドル4が便器洗浄
のために操作されると、弁蓋54は操作力伝達部材59
を介して引き上げられて上向きに回動し、排水弁51は
開弁するようになっている。
【0065】一方、上記一対の支持アーム55は、オー
バーフロー管6への枢支部に対して弁蓋54とは反対側
に更に延びてその先端部に制動板取付部57をそれぞれ
有する。そして、この制動板取付部57には、その下面
相互に亘って制動板58が取り付けられている。この場
合、制動板取付部57は、排水弁51の開度が45〜7
0°のとき制動板58が洗浄水タンク1の底部付近に位
置するべく屈曲形成されている。
【0066】制動板58は、プラスチックまたは金属等
の平らな板からなり、図示の場合長方形に形成されて、
接着、ビス止めなど適当な固定手段により支持アーム5
5の制動板取付部57に取付固定されている。
【0067】従って、便器洗浄のために操作ハンドル4
が操作されると、弁蓋54が引き上げられて弁体53が
弁座52から離れ、排水弁51は開弁する。この際、弁
蓋54の上向きの回動に連動して制動板58が下向きに
回動して、洗浄水タンク1の底面に向けて移動する。こ
の排水弁51の開弁により生ずる排水口36から便器へ
の洗浄水の排出は、当然洗浄水タンク1内の貯溜水に上
から下への下降流を引き起こすため、制動板58はこの
下降流の圧力を上面に受けることになる。
【0068】その結果、弁蓋54が重力により下降して
閉弁しようとする動作に対して、制動板58上面にかか
る上記下降流の圧力が抵抗として作用し、弁蓋54の下
降を抑制するため、弁蓋54の下降動作は遅延する。よ
って、排水弁51の閉弁動作も遅延して起きる。
【0069】そして、便器への排水に伴ってタンク内水
位が更に降下すると、制動板58を下方に押し付けよう
とする下降流の圧力は小さくなるため、弁蓋54は下向
きに回動を始め排水弁51の開度は小さくなる。そし
て、排水弁51の開度が約25〜50°になると制動板
58が水面と平行になり、制動板58と水面との間に表
面張力により引き出される吸着力が働き、弁蓋54は継
続して開弁状態を保ち、排水弁51の開度は維持され
る。
【0070】更に水位が下がり、制動板58が水面上に
露出するようになると、制動板58を吸着する表面張力
もなくなり、制動板58上面にかかる圧力も消失する。
よって、弁蓋54を持ち上げておくことができなくな
り、弁蓋54は下向きに回動して、弁体53は弁座52
に着座し排水弁51は閉弁する。
【0071】以上説明したように、この実施例において
は、排水弁51は、制動板58にかかる下降流の圧力に
よる開弁維持と、排水弁51の開度が25〜50°にな
ったときの制動板58と水面との間に生じる吸着力によ
る開弁維持の2段階の開弁維持動作を行うことができ
る。
【0072】制動板58の面積は大きいほど遅延動作が
安定するが、洗浄水タンク1の容積、弁蓋54の重量比
などによりその数値は決定されるべきである。因みに、
制動板58は弁蓋54の支点、即ち支持アーム55の枢
支部からみて、弁蓋54対制動板58の重量比を2:1
としたとき、85×125mmの大きさがあれば安定した
遅延動作をすることが実験により確認されている。
【0073】上記制動板58により排水弁51閉弁の遅
延効果は、制動板58の面積によりある程度制御するこ
とができ、制動板58の面積を大きくすれば、閉弁タイ
ミングを遅らせることができ、逆に小さくすれば早める
ことができる。これにより、タンクの使用水量調整が可
能となる。
【0074】次に、分配弁41の構造について、図9を
用い詳細に説明する。分配弁41は、前述のボールタッ
プ3の下流に配置されており、このボールタップ3が供
給した洗浄水を、供給管33と連絡管37のいずれかに
択一的に分配する。この分配弁41は、弁筐体42を中
心に構成され、その内部には、上記した洗浄水の分配を
行うための分配弁本体43を分配弁ガイド孔42a内に
摺動自在に備える。また、弁筐体42の外周には、分配
弁ガイド孔42aに到るまで流入口48と吐出ノズル側
排出口49とタンク側排出口50とが開けられている。
この場合、流入口48とタンク側排出口50とは一直線
上に位置するよう、吐出ノズル側排出口49は流入口4
8と直交するように、更に、分配弁ガイド孔42aは流
入口48と吐出ノズル側排出口49およびタンク側排出
口50の夫々に対して直交するよう、それぞれ形成され
ている。そして、流入口48にはボールタップ3の二次
側流路が、吐出ノズル側排出口49には連絡管37が、
タンク側排出口50には供給管33がそれぞれ接続され
ている。なお、流入口48は、吐出ノズル側排出口49
並びにタンク側排出口50よりも若干大きく形成されて
いる。
【0075】分配弁本体43は、一端(図9における左
端)が閉塞し多端が開口した中空円筒状の円筒内周部4
3bを中心に構成され、外周壁を分配弁ガイド孔42a
に案内されるガイド部43cとしている。この分配弁ガ
イド孔42aの内周とガイド部43cの間には、シリコ
ンによりドーナツ状に形成されたリング43eが配設さ
れており、摺動性と水密性が確保されている。そして、
図におけるガイド部43cの左側には、分配弁本体43
を右方向に付勢する復帰スプリング40が収納されてい
る。
【0076】また、円筒内周部43bの開口端側には、
受圧部43dが組み込み固定されており、この受圧部4
3dを取り囲むよう、キャップ42cが弁筐体42に固
定されている。そして、キャップ42cと弁筐体42と
で、受圧部43dを周回するベロフラム44が挟持され
ており、キャップ42cの内部領域は、ベロフラム44
を介して圧力室45とされている。この圧力室45は、
受圧部43dに設けられた小穴43aを通して分配弁本
体43の円筒内周部43bと連通している。
【0077】更に、円筒内周部43bの周面には、吐出
ノズル側排出口49およびタンク側排出口50の夫々に
対応する吐出ノズル側連絡口46およびタンク側連絡口
47が、図において左右に開けられている。この場合、
図示するように、分配弁本体43が第1位置にあるとき
には、吐出ノズル側連絡口46は吐出ノズル側排出口4
9と重なり、タンク側連絡口47は分配弁ガイド孔42
aの内周壁で閉塞されている。その一方、分配弁本体4
3がこの第1位置から図における左方の第2位置に摺動
すると、タンク側連絡口47はタンク側排出口50と重
なり、吐出ノズル側連絡口46は分配弁ガイド孔42a
の内周壁で閉塞される。また、円筒内周部43bの周面
には、長穴状の流入連絡口43fが開けられており、こ
の流入連絡口43fは、分配弁本体43が上記の第1,
第2位置のいずれの位置にあっても、流入口48と重な
るようになっている。従って、分配弁本体43が第1位
置と第2位置に摺動することにより、流入口48は、吐
出ノズル側排出口49かタンク側排出口50のいずれか
と択一的に連通することになる。
【0078】次に、この分配弁41による分配の様子
を、排水弁51やボールタップ3の動作と関連付けて説
明する。便器洗浄のために上記したように弁蓋54が引
き上げられて排水弁51が開弁すると、洗浄水タンク1
内の水位が下がり、ボールタップ3は開弁する。この場
合、分配弁本体43は図示する第1位置にあるので、ボ
ールタップ3を通過した洗浄水は、分配弁41の流入口
48に到り、その後は、吐出ノズル側連絡口46から吐
出ノズル側排出口49に流出する。そして、この吐出ノ
ズル側排出口49は連絡管37と接続されていることか
ら、洗浄水は、連絡管37に導かれて吐出ノズル35に
送られ、この吐出ノズル35から吐出される。
【0079】このように洗浄水が連絡管37に導かれて
いる間にあって、一部の洗浄水は小穴43aを通じて圧
力室45に入り込む。従って、分配弁本体43は、圧力
室45内の水の圧力、即ち水道水圧力とほぼ等しい圧力
を受圧部43dの受圧面積に亘って受ける。そして、こ
の圧力に基づく力が復帰スプリング40の付勢力に勝る
と、分配弁本体43は復帰スプリング40に抗して、徐
々に左方向へ移動する。この移動速度は、圧力室45へ
の水の入り込みに依存して定まる。圧力室45が満水状
態になって分配弁本体43が第2位置に到ると、分配弁
41のタンク側連絡口47とタンク側排出口50とが整
合し、洗浄水は、このタンク側排出口50に接続された
供給管33を経て洗浄水タンク1内に導かれ始める。そ
の後、洗浄水タンク1が所定水位になるとボールタップ
3は閉弁するため、洗浄水は分配弁41に供給されな
り、圧力室45内の水の圧力は消失する。従って、分配
弁本体43は復帰スプリング40の力により右方向に移
動し、その移動に伴って圧力室45内の水は小穴43a
を通って逆流するので、分配弁本体43は徐々に元の第
1位置に戻る。
【0080】この場合、圧力室45の容量を可変するか
若しくは小穴43aの径を調整することで、第1位置か
ら第2位置への分配弁本体43の移動速度を変化させる
ことができる。このため、供給管33による洗浄水タン
ク1への供給開始タイミングを変えることができる。よ
って、前述の排水弁51の閉弁タイミングと同時に分配
弁本体43が第2位置に移動するよう、圧力室45の容
量を可変するか若しくは小穴43aの径を調整すること
が可能である。そして、このように調整すれば、排水弁
51の閉弁と同時に供給管33による洗浄水タンク1へ
の洗浄水供給を行うことができる。このため、一旦供給
した洗浄水がタンクから無駄に排出されなくなり、無駄
水を解消することができる。
【0081】排水弁51の開弁、閉弁タイミングと分配
弁41の切り換えタイミングを模式的に示したものを図
10に示す。この図10において、(a)は所定水位ま
で洗浄水を貯留した待機状態を、(b)はこの貯留した
洗浄水を排出して便器を洗浄する洗浄時、(c)は便器
洗浄が完了し洗浄水タンクに洗浄水を貯留する給水時を
示す。(a)では、ボールタップ3および排水弁51は
閉止状態であるので、洗浄水の流れは生じない。(b)
では、排水弁51が開弁するので、ボールタップ3は開
弁し、分配弁41では、圧力室45が満水ではないので
分配弁本体43は第1位置にあり、分配弁41により洗
浄水の分配先が連絡管37即ち吐出ノズル35とされて
いる。このため、洗浄水は、排水弁51を通って便器に
排出される。この場合、ボールタップ3は排水弁51の
開弁に伴いタンク内水位が低下したときに始めて開弁す
るので、吐出ノズル35からの吐水は排水口36から洗
浄水が流れ出ているときに起きる。このため、既に起き
ている洗浄水の流れに吐出ノズル35からの吐水を噴流
として加えることができる。しかも、吐出ノズル35か
らの吐水は、上記した実施例と同様に、1〜2kgf/
cm2 と高い水圧で高速で流れ出る。(c)では、排水
弁51は閉弁状態にあるが、洗浄水タンク1の水位は所
定水位より低いためにボールタップ3は依然開弁状態を
保持している。そして、上記したように排水弁51の閉
弁と同時に分配弁41はその分配弁本体43を第2位置
において洗浄水の分配先を供給管33即ち洗浄水タンク
1の側に切り換えている。このため、洗浄水は洗浄水タ
ンク1内に直接供給され、洗浄水タンク1内の水位が所
定水位となった時点で、ボールタップ3は閉弁して初期
状態の(a)に移行する。
【0082】以上説明した第2実施例の変形例の便器洗
浄タンク装置70Bによっても、排水口36から流れ出
ている洗浄水に吐出ノズル35からの高速且つ高圧の噴
流を加える。よって、洗浄水タンク1に貯留済みの洗浄
水をこの噴流で巻き込んで便器に流し出して瞬間流量が
大きな流れを得ることができるので、高い能力で便器洗
浄を行うことができ、その際には、節水を図ることがで
きる。
【0083】また、この便器洗浄タンク装置70Bで
は、ボールタップ3から供給される洗浄水の分配先を、
排水弁51の閉弁と同時に分配弁41により洗浄水タン
ク1の側に切り換えている。このため、便器洗浄のため
の洗浄水の排出が完了すれば、吐出ノズル35からは洗
浄水は吐出されないので、無駄水をなくすことができ
る。
【0084】ここで、この便器洗浄タンク装置70Bに
ついての評価試験について説明する。対比した便器洗浄
タンク装置(比較例タンク装置)は、図8に示した便器
洗浄タンク装置70Bから連絡管37および吐出ノズル
35を除外した従来のタンク装置である。そして、これ
らタンク装置の排水口36からの洗浄水の排出の様子を
次のようにして調べた。図11に示すように、便器洗浄
タンク装置70B(実施例タンク装置)と比較例タンク
装置のそれぞれを図示しない試験台に設置し、排水口3
6からの洗浄水の排出の様子を調べた。つまり、操作ハ
ンドル4を操作して排水弁51(図8参照)を開弁して
排水口36を開き、この排水口36から流れ出る洗浄水
をバケツに受けてこのバケツの重量変化を側定器で測定
した。この側定器は、ロードセル等の加重センサを組み
込んだ測定機器であり、当該加重センサからの出力に基
づいて、重量変化を測定するものである。この際の重量
変化は、測定に供したタンク装置から排出された洗浄水
の水量変化として把握できる。このため、得られた重量
変化の単位時間当たりの変化量(即ち、微分値)から、
それぞれのタンク装置が排水口36から単位時間当たり
に流すことのできるの瞬間流量を取得できる。そして、
この取得した瞬間流量の最大値を、タンク装置の評価値
として収集した。その結果を図12に示す。なお、この
図12に示すように、最大瞬間流量は、異なる口径(4
5mm,50mm)の排水口36を有する実施例タンク
装置と比較例タンク装置について、それぞれ洗浄水タン
ク1の水位を変えながら収集した。また、実施例タンク
装置における吐出ノズル35のノズル径は、既述したと
おり約7mmである。
【0085】この図12に示すように、排水口36の口
径の広狭に拘わらず、実施例タンク装置によれば、比較
例タンク装置よりも各水位について約1.2〜1.4倍
程度の瞬間流量を得ることができた。また、ある最大瞬
間流量(例えば、45mmの排水口36を有するタンク
装置では150リットル/min、50mmでは180
リットル/min)を確保するに当たり、実施例タンク
装置によれば比較例タンク装置よりも低い水位でこの最
大瞬間流量を得ることができた。つまり、便器ボール内
の汚物の排出に必要とされる瞬間流量を、実施例タンク
装置にあっては低い水位で確保することができる。従っ
て、実施例タンク装置によれば、排水口36に備えた吐
出ノズル35によりジェットポンプによる吐水に近似し
た形態で便器に洗浄水を排出することで、大きな瞬間流
量で洗浄水を排出して便器の洗浄能力を維持したまま確
実に節水を図ることができる。
【0086】また、実施例タンク装置によれば、既述し
たように洗浄水タンクを低水位とできることから、タン
クの小型化を図ることができる。そして、この小型化を
通して、便器と洗浄水タンクとの一体化を図る際のデザ
インの自由度を向上させることができる。
【0087】上記した第2実施例の変形例を次のように
変形することもできる。つまり、図13に示すように、
第1実施例の変形例のように、排水口36において、吐
出ノズル35の前方に、筒状のスロート60を設ける。
このスロート60にあっても、その内部を吐出ノズル3
5から吐出された水が流入して通過するように、吐出ノ
ズル35と対向して配設されている。従って、この変形
例であっても、スロート60を吐出ノズル35から吐出
された白抜き矢印の噴流が流れる際にもエジェクタ作用
を生じさせことができ、排水口36から流出する洗浄水
全体のエネルギをより増大させて、便器の洗浄能力の向
上と節水化の推進とを図ることができる。
【0088】次に、第3実施例について説明する。この
第3実施例の便器洗浄タンク装置270は、図14の一
部切欠正面図に示すように、洗浄水タンク1への洗浄水
流入をボールタップ3とは別個に行う管路を有する。即
ち、洗浄水タンク1の外部において給水管2から分岐し
た外部給水管111を有し、この外部給水管111を洗
浄水タンク1内まで延ばしている。そして、外部給水管
111の根本側には、管路を開閉する開閉弁113を有
し、外部給水管111の先端には、吐出ノズル135を
有する。この吐出ノズル135は、第1実施例と同様
に、排水弁5が着座する排水弁座本体31の略中心を指
向するように配置されている。また、開閉弁113は、
図示しない制御装置により駆動されるよう構成されてお
り、操作ハンドル4が便器洗浄のために操作されるとこ
の制御装置により所定時間に亘って開弁駆動され、その
後、閉弁駆動させる。従って、便器洗浄時には、吐出ノ
ズル135から排水弁座本体31の略中心を指向して吐
水されるので、便器には洗浄水タンク1内の洗浄水をこ
の吐出ノズル35からの吐水により巻き込んで流し出す
ことができる。このため、この第3実施例の便器洗浄タ
ンク装置270によっても、高い洗浄能力と高い節水化
を発揮することができる。
【0089】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種
々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例の便器洗浄タンク装置
70の一部切欠正面図。
【図2】便器洗浄タンク装置70の要部断面図。
【図3】第1実施例の便器洗浄タンク装置70の変形例
の要部断面図。
【図4】本発明に係る第2実施例の便器洗浄タンク装置
70Aの一部切欠断面図。
【図5】便器洗浄タンク装置70Aの要部断面図。
【図6】この便器洗浄タンク装置70Aの要部上面図。
【図7】第2実施例の変形例の便器洗浄タンク装置70
Bの概略断面図。
【図8】この便器洗浄タンク装置70Bの要部拡大断面
図。
【図9】この便器洗浄タンク装置70Bに用いた分配弁
41の断面図。
【図10】分配弁41の作動の様子を説明する説明図。
【図11】第2実施例の便器洗浄タンク装置70Bの評
価試験を説明するための説明図。
【図12】第2実施例の便器洗浄タンク装置70B(実
施例タンク装置)と比較例タンク装置の評価結果を示す
グラフ。
【図13】第2実施例の別の変形例における便器洗浄タ
ンク装置の要部拡大断面図。
【図14】第3実施例の便器洗浄タンク装置270の一
部切欠正面図。
【符号の説明】
1…洗浄水タンク 2…給水管 3…ボールタップ 4…操作ハンドル 5…排水弁 6…オーバーフロー管 8…手洗い管 8a…蛇腹管 9…ロッド 10…フロート 11…供給管 11a…吐出ノズル 16…ダイヤフラム 25…分配弁 26…コネクタ 27…弁体 33…供給管 35…吐出ノズル 35a…筒状部 36…排水口 37…連絡管 41…分配弁 43…分配弁本体 46…吐出ノズル側連絡口 47…タンク側連絡口 48…流入口 49…吐出ノズル側排出口 50…タンク側排出口 51…排水弁 52…弁座 53…弁体 54…弁蓋 70…便器洗浄タンク装置 70A…便器洗浄タンク装置 70B…便器洗浄タンク装置 111…外部給水管 113…開閉弁 135…吐出ノズル 270…便器洗浄タンク装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 健 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 藤野 清 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貯留した洗浄水を便器に流出し、該便器
    を洗浄する便器洗浄タンク装置であって、 前記洗浄水を貯留する洗浄水タンクと、 該洗浄水タンクに開けられた排水口を開閉する排水弁
    と、 前記洗浄水タンク内の洗浄水水量が低減したときには、
    前記洗浄水タンクに給水源から前記洗浄水を供給する給
    水手段と、 前記排水弁を開弁することによって前記排水口からの排
    水を開始させる排水操作手段と、 該排水操作手段が操作されたときに、前記供給源からの
    洗浄水を前記排水口の開口部を指向して吐出する吐出ノ
    ズルとを有することを特徴とする便器洗浄タンク装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の便器洗浄タンク装置であ
    って、 前記吐水ノズルは、前記給水手段の下流に接続され前記
    洗浄水を前記洗浄水タンク内に導く給水管に設けられて
    いる、便器洗浄タンク装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の便器洗浄タンク装置であ
    って、 前記給水手段は、 前記給水管に連通した第1ポートと前記洗浄水を前記給
    水管とは別個に前記洗浄水タンクに導くための第2ポー
    トとを択一的に前記給水源に連通する分配弁と、 前記排水弁の開弁動作に遅延して前記分配弁を切り換
    え、前記第1ポートを前記給水源に連通する第1ポート
    切換手段とを有する、便器洗浄タンク装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の便器洗浄タンク装置であ
    って、 更に、前記給水手段は、 前記排水弁の閉弁動作と略同時に前記分配弁を切り換
    え、前記第2ポートを前記給水源に連通する第2ポート
    切換手段を有する、便器洗浄タンク装置。
  5. 【請求項5】 貯留した洗浄水を便器に流出し、該便器
    を洗浄する便器洗浄タンク装置であって、 前記洗浄水を貯留する洗浄水タンクと、 該洗浄水タンクに開けられた排水口を開閉する排水弁
    と、 前記洗浄水タンク内の洗浄水水量が低減したときには、
    前記洗浄水タンクに給水源から前記洗浄水を供給する給
    水手段と、 前記洗浄水タンク内の洗浄水水量が所定水量を越える
    と、該所定水量を越える洗浄水を前記排水弁が閉弁状態
    であっても前記排水口を経て前記便器に流出させるよう
    前記洗浄水タンクに配設された余剰水排出管と、 前記給水手段の下流に接続され、前記洗浄水を前記洗浄
    水タンク内に導く第1の給水管と、 前記給水手段の下流に接続され、前記洗浄水を前記余剰
    水排出管に合流して導く第2の給水管とを備え、 前記第2の給水管は、前記導かれた洗浄水を前記排水口
    の開口部を指向して吐出する吐出ノズルを有することを
    特徴とする便器洗浄タンク装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の便器洗浄タンク装置であ
    って、 前記給水手段は、 前記第2の給水管に連通した第1ポートと前記第1の給
    水管に連通した第2ポートとを択一的に前記給水源に連
    通する分配弁と、 前記排水弁の開弁動作に遅延して前記分配弁を切り換
    え、前記第1ポートを前記給水源に連通する第1ポート
    切換手段とを有する、便器洗浄タンク装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の便器洗浄タンク装置であ
    って、 更に、前記給水手段は、 前記排水弁の閉弁動作と略同時に前記分配弁を切り換
    え、前記第2ポートを前記給水源に連通する第2ポート
    切換手段を有する、便器洗浄タンク装置。
  8. 【請求項8】 請求項2ないし請求項7いずれか記載の
    便器洗浄タンク装置であって、 前記吐出ノズルは、前記排水口の開口部の略中心を指向
    して配設されている、便器洗浄タンク装置。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の便器洗浄タンク装置であ
    って、 前記洗浄水タンクは、前記排水口の内部に筒状体を有
    し、 該筒状体は、前記吐出ノズルから吐出された水が流入し
    て通過するように前記吐出ノズルと対向して配設されて
    いる、便器洗浄タンク装置。
JP14104797A 1996-05-14 1997-05-14 便器洗浄タンク装置 Pending JPH10102568A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6502251B1 (en) 1999-09-27 2003-01-07 Toto Ltd. Water closet and flushing water feed device
JP2021050585A (ja) * 2019-09-26 2021-04-01 Toto株式会社 洗浄水タンク装置および水洗大便器
WO2021171937A1 (ja) * 2020-02-28 2021-09-02 Toto株式会社 洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置
JP2021134622A (ja) * 2020-02-28 2021-09-13 Toto株式会社 洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置
JP2021134619A (ja) * 2020-02-28 2021-09-13 Toto株式会社 洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置

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WO2021171937A1 (ja) * 2020-02-28 2021-09-02 Toto株式会社 洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置
JP2021134622A (ja) * 2020-02-28 2021-09-13 Toto株式会社 洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置
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