JPH10101566A - 網膜保護剤 - Google Patents

網膜保護剤

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JPH10101566A
JPH10101566A JP25690496A JP25690496A JPH10101566A JP H10101566 A JPH10101566 A JP H10101566A JP 25690496 A JP25690496 A JP 25690496A JP 25690496 A JP25690496 A JP 25690496A JP H10101566 A JPH10101566 A JP H10101566A
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JP
Japan
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retinal
medicine
acid
zinc complex
zinc
Prior art date
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Pending
Application number
JP25690496A
Other languages
English (en)
Inventor
Akinori Akaike
昭紀 赤池
Hideo Saji
英郎 佐治
Koushi Honda
孔士 本田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kagaku Gijutsu Shinko Jigyodan
Original Assignee
Kagaku Gijutsu Shinko Jigyodan
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 緑内障、糖尿病、網膜中心動脈閉塞症、網膜
中心静脈閉塞症、黄斑変性症、未熟児網膜症等によって
もたらされる網膜障害とそれに伴う視力の低下を予防も
しくは治療するための有効かつ安全な薬剤を提供する。 【解決手段】 次式で表されるジチオセミカルバゾン誘
導体の亜鉛錯体を有効成分として含有する網膜保護剤。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、網膜保護剤に関
するものである。さらに詳しくは、この発明は、網膜細
胞障害を呈する各種の眼疾患の予防または治療に有効な
網膜保護剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】緑内障、糖尿病、網膜中心動
脈閉塞症、網膜中心静脈閉塞症、黄斑変性症、未熟児網
膜症等を原因として生じる網膜細胞障害は、視力の低下
をもたらし、最悪の場合には失明に至る。このような網
膜細胞障害を抑制するため、従来は、障害の原因となる
網膜外の状況を改善する薬物を投与する方法が採られて
きた。すなわち、例えば緑内障に対しては眼圧を下げる
薬物(ジクロフェナミド、アセタゾラミド、ピロカルピ
ンなど)が主に対症療法として用いられており、また網
膜中心静脈閉塞症には血栓溶解剤(ウロキナーゼ、スト
レプトキナーゼなど)が用いられている。しかしなが
ら、現在のところ、網膜細胞自体に作用して網膜の障害
を抑制または改善する薬物は見出されていない。
【0003】また、種々の要因によりもたらされる網膜
虚血は、視覚情報の伝達に重要な役割を果たす網膜神経
細胞の遅延性細胞死を生じさせることが知られている。
このような細胞死のメカニズムとしては、グルタミン酸
誘発網膜細胞死の機序が研究されてきており、グルタミ
ン酸誘発網膜細胞死を抑制することにより虚血性網膜署
外が改善されうることが示唆されている。従って、この
グルタミン酸細胞毒性に対して抑制作用を有する化合物
を探索し、その作用機序を明らかにすることによって、
新規な網膜保護剤を見出すことができるものと期待され
る。しかしながら、このような作業仮説のもとでの研究
開発によっても、現在までのところ、グルタミン酸誘発
網膜細胞死を抑制し、これによって視力の低下を予防ま
たは改善することのできる新規な化合物は見出されてい
ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明の発明者は、
上記の作業仮説(すなわち、グルタミン酸細胞毒性に対
して抑制作用を有する化合物を探索し、その作用機序を
明らかにすることによって、新規な網膜保護剤を見出
す)に基づき、鋭意研究の結果、従来その網膜保護作用
が知られていなかったジチオセミカルバゾン誘導体の亜
鉛錯体がグルタミン酸誘発網膜細胞死を抑制し、網膜障
害に対して顕著な保護作用を有することを新たに見出し
た。
【0005】この発明は、従って、ジチオセミカルバゾ
ン誘導体の亜鉛錯体を主成分とする薬剤の作用、適切な
剤形、投与方法を検討し、視力の低下をもたらす各種の
眼疾患を予防し、または治療するための新規な網膜保護
剤を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、次式で表されるジチオセミカル
バゾン誘導体の亜鉛錯体を有効成分として含有する網膜
保護剤を提供する。
【0007】
【化2】
【0008】また、この発明の網膜保護剤においては、
上記の置換基を有してもよい炭化水素基が、アルキル基
または含酸素基を持つアルキル基であることを好ましい
態様としてもいる。この発明の網膜保護剤の有効成分で
あるジチオセミカルバゾン誘導体の亜鉛錯体は、従来の
網膜保護物質とは作用機序が異なり、有害な副作用が少
ないため、安全な薬剤を提供することができる。すなわ
ち、従来より、網膜保護作用を有することが実験的に示
唆されている化合物の多く(例えば、MK−801ま
ど)は、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)
受容体に直接作用してグルタミン酸の生理活性を抑制す
るのに対し、ジチオセミカルバゾン誘導体の亜鉛錯体
は、NMDA受容体上に存在する亜鉛調節部位に対する
亜鉛の作用を介してNMDA受容体を介するグルタミン
酸神経毒性を抑制するためである。
【0009】なお、この発明において、網膜保護とは、
緑内障、糖尿病、網膜中心動脈閉塞症、網膜中心静脈閉
塞症、黄斑変性症、未熟児網膜症等によってもたらされ
る網膜障害を抑制する作用を意味する。従って、この発
明の網膜保護剤は、具体的には上記の眼疾患に対する予
防または治療薬剤である。以下、発明の実施の形態を示
し、この発明の網膜保護剤についてさらに詳しく説明す
る。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の網膜保護剤の有効成分
であるジチオセミカルバゾン誘導体の亜鉛錯体は、公知
に方法により合成したジチオセミカルバゾン誘導体と亜
鉛 [Zn(AcO)2] とをpH4〜7で混合することにより、
短時間で合成することができる。このようなジチオセミ
カルバゾン誘導体の亜鉛錯体は、Zn−ATSM2、Z
n−ATSM、Zn−PTSM2、Zn−PTSM、Z
n−KTS等である。
【0011】また、このジチオセミカルバゾン誘導体の
亜鉛錯体は、分子内塩を形成してもよく、薬理学的に許
容される酸との塩として使用してもよい。薬理学的に許
容される塩を形成する酸としては、例えば、塩酸、臭化
水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの無機塩;ギ
酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、シュウ
酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ
酸、酒石酸、クエン酸、サルチル酸、没食子酸、アスパ
ラギン酸、メタンスルホン酸、トルフルオロメタンスル
ホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸
などの有機塩が挙げられる。このような塩は、一種また
は二種以上使用することができる。
【0012】この発明の網膜保護剤は、経口投与または
静脈注射等によって投与することもできるが、これらの
投与方法では有効成分の眼内到達量が低減されるため、
硝子体内注射などの眼内への直接投与のための注射薬剤
または点眼投与のための点眼薬剤などとして製剤化する
のが好ましい。注射薬剤または点眼薬剤としての製剤化
は公知の方法によって行うことができ、有効成分として
のジチオセミカルバゾン誘導体の亜鉛錯体の他、必要に
応じて、精製水や塩化ナトリウム、その他の薬理学的に
許容される溶媒、賦型剤等の慣用成分を添加することも
できる。
【0013】この発明の網膜保護剤の投与量は、対象疾
患の種類や症状、あるいは患者の年齢等によっても異な
るが、一般成人の場合、硝子体内注射として一回の投与
当たり、有効成分1mg〜1g、好ましくは1〜200
mgである。次に、実施例を示し、この発明の網膜保護
剤の作用効果について説明する。
【0014】
【実施例】培養網膜細胞を用いて、ジチオセミカルバゾ
ン誘導体の亜鉛錯体(Zn−ATSM2、Zn−ATS
M、Zn−PTSM2、Zn−PTSM、Zn−KT
S)のグルタミン酸神経毒性に対する保護作用を試験し
た。 (1)方法 ラット胎仔より摘出・単離した網膜細胞を培養し、培養
液中に発現した非神経細胞性の細胞(ミュラー細胞等)
をDNA合成阻害剤により排除した。この培養細胞をグ
ルタミン酸(1mM)で10分間処理したのち、グルタ
ミン酸を含まない培地で1時間インキュベートし、グル
タミン酸処理中およびその後のインキュベート中に上記
亜鉛錯体を各々10μMの濃度で培地中に添加した。
【0015】また、対照薬として、選択的NMDA受容
体拮抗薬であるMK−801および塩化亜鉛 (ZnCl
2)を用い、同様に試験した。なお、実験は2回に分けて
行い、実験1ではZn−ATSM、Zn−PTSM、Z
n−KTSを試験し、実験2でZn−ATSM2、Zn
−PTSM2および2種類の対照薬を試験した。 (2)結果 細胞の生死はトリパン・ブルー除去法により判定した。
1標本につき少なくとも200個以上の計数し、計数細
胞総数と生存細胞数の比を求めることにより、各培養細
胞の生存率を算出した。また、薬物のグルタミン酸神経
毒性抑制作用の効力は、次式を用いて算出した保護率
(%)により判定した。
【0016】 保護率(%)=〔(D−G)/(C−G)〕×100 (Dは薬物とグルタミン酸を処置した細胞の生存率、G
はグルタミン酸処置細胞の生存率、Cは無処置細胞の生
存率を示す。) この試験の結果は、表1に示したとおりである。先ず、
グルタミン酸処置細胞の細胞生存率は無処置細胞と比較
して顕著に低下し、グルタミン酸の顕著な細胞毒性が再
現されるとともに、この試験系がグルタミン酸細胞毒性
に対する被検物質の評価系として適切であることが確認
された。
【0017】次に、試験したジチオセミカルバゾン誘導
体の亜鉛錯体(Zn−ATSM2、Zn−ATSM、Z
n−PTSM2、Zn−PTSM、Zn−KTS)は、
いずれもグルタミン酸により誘発される細胞生存率の低
下を有意に抑制した。さらに、各薬物の効力を保護率で
比較すると、Zn−PTSM、Zn−KTSおよびZn
−PTSM2が高いグルタミン酸神経毒性抑制作用を示
し、対照薬(MK−801および塩化亜鉛)に匹敵する
効力を有することが確認された。
【0018】
【表1】
【0019】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この発明に
よって、緑内障、糖尿病、網膜中心動脈閉塞症、網膜中
心静脈閉塞症、黄斑変性症、未熟児網膜症等によっても
たらされる網膜障害とそれに伴う視力の低下を予防もし
くは治療するための有効かつ安全な薬剤が提供される。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式で表されるジチオセミカルバゾン誘
    導体の亜鉛錯体を有効成分として含有する網膜保護剤。 【化1】
  2. 【請求項2】 置換基を有してもよい炭化水素基が、ア
    ルキル基または含酸素基を持つアルキル基である請求項
    1の網膜保護材。
JP25690496A 1996-09-27 1996-09-27 網膜保護剤 Pending JPH10101566A (ja)

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