JPH10100317A - 成形吸音材 - Google Patents

成形吸音材

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JPH10100317A
JPH10100317A JP8259673A JP25967396A JPH10100317A JP H10100317 A JPH10100317 A JP H10100317A JP 8259673 A JP8259673 A JP 8259673A JP 25967396 A JP25967396 A JP 25967396A JP H10100317 A JPH10100317 A JP H10100317A
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thermoplastic resin
sound absorbing
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sheet
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Masami Fujimaki
雅美 藤巻
Katsuhiro Nagayama
勝博 長山
Shigeru Takano
高野  茂
Yukio Nagashima
之夫 永島
Satoru Funakoshi
覚 船越
Yuji Kobayashi
雄司 小林
Tadaaki Sunada
允彰 砂田
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KEEPURA SHEET KK
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度、軽量であって、しかも基材単体でも
吸音性能に優れている成形吸音材を提供すること。 【解決手段】 強化用繊維と熱可塑性樹脂からなる主原
料を抄造して得られるウエブを加熱、加圧してシート化
し、こうして得られたスタンパブルシートを再加熱によ
り膨張し、圧縮成形してなる成形吸音材において、平面
の面積比で少なくとも50%以上が 比重0.3未満の多孔質
部材からなることを特徴とする成形吸音材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、成形吸音材に関
し、とくに、エンジンルームやダッシュパネル、ルーフ
トリムなどの車両用吸音材として、また壁や天井等の内
装材、道路用吸音壁、トンネル出口用吸音材などの土木
建築用吸音材として有用な成形吸音材について提案す
る。
【0002】
【従来の技術】吸音材は、従来から多くの分野で使用さ
れており、例えば、無響室の壁や天井材に多用されてい
る。かかる吸音材としては、グラスウールやレジンフェ
ルト等からなる繊維状多孔質体を織布などで覆った板状
の構造のものが知られている。
【0003】しかしながら、このような構造の吸音材に
は、以下に示すような問題点があった。即ち、 .繊維状多孔質体で構成されているので、吸音特性に
は優れているものの強度が低い。そのため、取付作業時
に部分的に破壊され、粉塵が発生する。 .水分を吸収しやすく、乾燥しにくい。そのため、水
分を吸収すると、吸音性能が低下するばかりでなく、乾
燥速度が遅く、層間剥離を起こしたり、形状の保持が難
しくなる。
【0004】また、強度特性や耐熱性等に優れるセラミ
ック多孔質体や金属繊維不織布等からなる吸音材が、高
温での用途を中心に用いられている。しかしながら、か
かる吸音材は、単位体積当たりの重量が大きく軽量化の
点で不利である。しかも、この材料の吸音周波数帯域
は、グラスウール等の繊維状多孔質体と比較して狭く、
特に高周波数帯域での吸音特性に劣る。さらにその材料
は、全般に価格が高い等の問題点があった。
【0005】これに対して従来、上述した問題点を解消
できる吸音材料として、強化用繊維と熱可塑性樹脂を主
成分とするスタンパブルシートを膨張成形したものがあ
る。このスタンパブルシートを膨張成形してなる成形吸
音材は、強化用繊維とそれらを相互に接着する熱可塑性
樹脂とから構成されており、微細な空隙構造を持つ1種
の多孔質材料である。それ故に、この種の成形吸音材
は、ハンドリング中に粉塵が発生しない、形状保持力に
優れる、軽量である、吸音周波数帯域が広い、他材料に
比べて安価である、等の特徴がある。
【0006】このような成形吸音材において、上記スタ
ンパブルシートを構成する強化用繊維としては、連続し
た長繊維とチョップ状の繊維の2種類があり、膨張成形
性という点を考慮するとチョップ状の繊維が有利に用い
られる。このチョップ状の強化用繊維を熱可塑性樹脂と
混合してスタンパブルシートを製造する方法としては、
乾式法と湿式法 (抄造法) が知られており、スタンパブ
ルシートの膨張成形性に影響を及ぼす強化用繊維の開繊
性という点を考慮すると湿式法の方が優れている。従っ
て、後述するように、成形吸音材の吸音特性については
材料の均一分散性が大きく影響するので、成形吸音材用
スタンパブルシートは、チョップ状の強化用繊維と熱可
塑性樹脂とを混合し、湿式法 (抄造法) にて製造する方
法が適している。
【0007】以下に、抄造法によるスタンパブルシート
の製造方法と、このスタンパブルシートを膨張成形して
成形吸音材を製造する従来技術について説明する。 (1) まず、分散媒体中で強化用繊維と熱可塑性樹脂を主
成分とした原料を混合し、その混合液をメッシュ上に放
出し、分散媒体をろ過、分離し、メッシュ上に強化用繊
維と熱可塑性樹脂を主成分とする堆積物を得る。
【0008】(2) 上記(1) で得られた堆積物を乾燥して
ウエブとし、このウエブを加熱、加圧し、熱可塑性樹脂
を強化用繊維中に含浸させた後、加圧下で冷却すること
により、緻密なスタンパブルシートを得る。
【0009】(3) 上記(2) で得られたスタンパブルシー
トを再加熱すると、熱可塑性樹脂が軟化し、強化用繊維
がスプリングバックすることでスタンパブルシートは厚
み方向に膨張する。この膨張したシートを、熱可塑性樹
脂が軟化した状態で、クリアランスを理論厚さ (製品の
空隙率がゼロとした時の厚さ) より大きな間隙に調整し
た金型上に置き、圧縮成形または真空成形または圧空成
形等により、所定形状に成形、固化すると、スタンパブ
ルシートよりも比重が小さい多孔質構造の成形品が得ら
れる。こうして得られた成形品は、多孔質構造体である
ことから、良好な吸音特性を示す成形吸音材となる。
【0010】このような抄造法を利用して成形吸音材を
製造する方法には、分散媒体として、水を用いる方法と
界面活性剤を含有する水溶液を予め泡立てた泡液を用い
る方法がある。上記分散媒体として水を用いて製造した
成形吸音材の具体例として、特開平6−156161号公報に
は、水中で粉末状のポリプロピレンとグラスファイバー
を分散混合し、次いで、抄造法にてシート化して原反シ
ートとし、こうして得られた原反シートを再加熱し、比
重 0.3〜0.8 に膨張させて所定形状に成形した基板層
に、ポリオレフィン樹脂シートおよび/または無機質繊
維マットを装着することにより製造した車両用防音材が
提案されている。
【0011】しかしながら、この提案にかかる防音材に
用いるグラスファイバーは、比重が2.54であり、一方ポ
リプロピレンは、比重が0.91であり、グラスファイバー
とポリプロピレンとは、比重が大きく異なるために水中
で混合しても抄造工程で分離を起こしやすく、良好な分
散混合が困難である。
【0012】また、水中でグラスファイバーとポリプロ
ピレンとを混合するに際し、原料の全重量に対するグラ
スファイバーの配合比率が50重量%を超えると、グラス
ファイバーの開繊が悪くなり、原反シートの膨張が不均
一になる。
【0013】さらに、原反シートをグラスファイバーの
スプリングバック力で厚み方向に膨張させるに際し、グ
ラスファイバーの配合比率が高くなるとその膨張能力は
高くなるが、グラスファイバーの配合比率が50重量%以
下では、そのグラスファイバーのスプリングバック力が
弱くなるため、低比重(例えば、比重0.3 以下)で良好
に膨張成形させることが困難である。
【0014】また、上記提案にかかる基板層は、グラス
ファイバーの開繊状態が悪く、内部の空隙構造が細かく
ならないために、吸音特性が悪い。
【0015】このように、水中でグラスファイバーとポ
リプロピレンとを混合して製造した上記提案にかかる基
板層は、グラスファイバーの開繊が悪い等の理由から吸
音率が低く、充分な吸音特性を確保するためには、音源
側に吸音性に優れた樹脂シートや無機質繊維マットを積
層して防音材とする必要がある。そのため、上記提案に
かかる防音材は、製造工程数が多く、製造コストが高く
なるといった問題点があった。
【0016】これに対し、分散媒体として界面活性剤を
含有する水溶液を予め泡立てた泡液を用いて製造した成
形吸音材の具体例として、まず、その泡液中で強化用繊
維と熱可塑性樹脂を主成分とした原料を混合し、その泡
液を脱泡、乾燥してウエブ状とし、次いで、熱可塑性樹
脂の融点以上に加熱し、圧力を加えてシート状にしたス
タンパブルシートを得る。そして、このスタンパブルシ
ートを、再び熱可塑性樹脂の融点以上の温度下で、強化
用繊維のスプリングバック力によりシートの厚み方向に
膨張させ、クリアランスを理論厚さ (製品の空隙率がゼ
ロとした時の厚さ) より大きな間隔に調整した金型内に
置き、圧縮成形または真空成形または圧空成形等によ
り、所定形状の多孔質成形品とした成形吸音材がある。
【0017】このように、分散媒体として界面活性剤を
含有する水溶液を予め泡立てた泡液を用いると、比重、
形状の異なる2種類以上の原料物質を均一に混合分散さ
せることができる。それ故に、上記泡液を用いて製造し
た多孔質成形品は、強化用繊維と熱可塑性樹脂とが均質
に混合分散され、強化用繊維は単繊維の状態にまで開繊
されるので、分散媒体として水を用いた場合に比較し
て、強化用繊維のスプリングバック力がより強く、空隙
率が高く、空隙構造が細かい多孔質成形品とすることが
できる。
【0018】また、上記方法によれば、ウエブ中の強化
用繊維と熱可塑性樹脂の混合が幅方向と厚み方向でほぼ
均一に行われるので、ウエブを、熱可塑性樹脂の融点以
上で加圧して緻密なスタンパブルシートとする際には、
比較的低圧で十分に強化用繊維を熱可塑性樹脂が濡らし
た均質なスタンパブルシートを得ることができる。その
結果、このスタンパブルシートを膨張成形した多孔質成
形品は、熱可塑性樹脂が膨張時の表面張力により、強化
用繊維の接点付近に集中し、繊維同士のバインダーとな
るので、分散媒体として水を用いて製造した多孔質成形
品と比較して、はるかに強度特性が高い材料となる。な
お、この多孔質成形品がグラスウールやロックウールと
比較して強度特性が高いことは言うまでもない。
【0019】さて、上述したような多孔質材料の吸音
は、音が多孔質材料の空隙を抜けるときに空気と材料の
間に摩擦が生じ、音のエネルギーが熱エネルギーに変換
されることで起こると言われている(例えば、子安著
“吸音材料”技報堂参照)。このような多孔質材料の吸
音特性は、同じ空隙率の材料で比較すると、材料の空隙
構造が細かいほど高い。また、多孔質材料の空隙率が小
さくなりすぎると、音が材料内部にまで入射され難くな
るために、十分な吸音効果を発現し得ない。さらに、多
孔質材料の表面もしくは内部に比重の高い音の入射の妨
げになる層が存在すると、同様に十分な吸音効果を発現
し得ない。
【0020】したがって、スタンパブルシートを膨張成
形する際に、吸音特性が十分に高い材料とするために
は、空隙率を大きくし (より低比重で) 空隙構造の細か
い均質な構造を達成できるような製造方法を選択する必
要がある。一方で、吸音特性と強度特性を両立させるた
めには、空隙率が高くてもなお、強化繊維同士を接点に
おいて強固につなぎ止められた構造とする必要がある。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、上述した従来技術の知見を考慮した成形吸音材とし
て、高強度、軽量であってしかも基材単体でも吸音性能
に優れている成形吸音材を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】発明者らは、まず、分散
媒体として界面活性剤を含有する水溶液を予め泡立てた
泡液を用いて製造した多孔質材料によれば、空隙率が高
く、空隙構造の細かい構造に調節でき、さらに空隙率が
高くてもなお、強化用繊維同士を接点において強固につ
なぎ止められた微細構造をもった吸音材とすることがで
きるという点に着目した。そしてさらに、上記目的の実
現に向け、上記多孔質材料の比重と音の反射との関係に
着目し鋭意研究を行った。その結果、上記多孔質材料
は、厚み方向で均質な材料の場合、比重が 0.3未満であ
れば、表面での音の反射が問題にならないことを突き止
め、以下に示す内容を要旨構成とする吸音特性と強度特
性に優れた本発明の成形吸音材を想到するに至った。
【0023】すなわち、本発明の成形吸音材は、強化用
繊維と熱可塑性樹脂からなる主原料を抄造して得られる
ウエブを加熱、加圧してシート化し、こうして得られた
スタンパブルシートを再加熱により膨張し、圧縮成形し
てなる成形吸音材において、平面の面積比で少なくとも
50%以上が比重 0.3未満の多孔質部材からなることを特
徴とする成形吸音材である。なお、本発明における「平
面」とは曲面などを含む意味であり、例えば、曲面の場
合の「平面の面積比」は平面図の面積比から求めたもの
である。
【0024】ここで、上記本発明の成形吸音材におい
て、強化用繊維は、グラスファイバーであること、もし
くは平均繊維径7〜25μmのグラスファイバーであるこ
とが望ましく、熱可塑性樹脂はポリプロピレンであるこ
とが望ましい。また、成形吸音材における強化用繊維の
配合率は、総重量に対して50〜80重量%であることが望
ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明にかかる成形吸音材は、分
散媒体として界面活性剤を含有する水溶液を予め泡立て
た泡液を用いて製造した多孔質材料において、十分な吸
音特性を確実に得るために、膨張したスタンパブルシー
トを圧縮固化する際に、膨張したスタンパブルシートの
平面の面積比で少なくとも50%以上の部分が比重 0.3未
満となるように圧縮固化して成形した点に特徴がある。
この比重が 0.3を超えると、とたんに材料表面での音の
反射が大きくなり、吸音率が低下するため、比重が0.3
未満に成形される部分の面積は大きい方が好ましい。特
に、例えば吸音材の取付部のように、部分的に比重 0.3
以上に圧縮して成形し強度を高くする必要がある場合に
は、少なくとも圧縮した部分の平面での面積比が50%を
超えなければ、吸音率の低下は少なく問題にならない。
そのため、本発明では、膨張したスタンパブルシートの
平面の面積比で少なくとも50%以上の部分が比重 0.3未
満となるように圧縮固化して成形する必要がある。
【0026】以下に、本発明の成形吸音材を構成する主
成分原料について説明する。強化用繊維について 本発明の成形吸音材を構成する強化用繊維としては、グ
ラスファイバー、ロックファイバー、炭素繊維、金属繊
維の他に、各種有機繊維、無機繊維を用いることができ
る。特に、価格と膨張性や吸音特性、強度などの各種特
性を考慮すると、全強化用繊維の内の重量比で50%以上
をグラスファイバーとすることが好ましい。
【0027】この強化用繊維の繊維長は、吸音材の補強
効果と膨張効果に優れ、かつウエブ製造のしやすさを確
保するという点から、5〜30mm、好ましくは10〜26mmの
範囲内とすることが望ましい。この理由は、繊維長が5
mmより短いと、十分なウエブ強度が得られないので抄紙
工程で断紙しやすくなるからである。一方、繊維長が30
mmを超えると、抄紙工程で強化繊維が十分に開繊しない
ので成形体の膨張が不均一になるとともにスプリングバ
ッグ効果が小さくなる。その結果、成形体の膨張性が低
下すると同時に成形時の賦形性も悪化するからである。
なお、膨張性と強度のバランスから異なる繊維長の繊維
を混合することも可能である。
【0028】この強化用繊維の繊維径は、吸音特性と繊
維による補強効果および膨張効果を確保するという点か
ら、7〜25μm、好ましくは11〜23μmの範囲内とする
ことが望ましい。この理由は、繊維径が5μmより小さ
いと、十分な膨張倍率が得られず、一方、繊維径が30μ
mを超えると、十分な吸音特性と補強効果が得られない
からである。なお、異なる繊維径の繊維を混合すると、
吸音特性と繊維による補強効果および膨張効果を確保す
る上で好ましい。
【0029】この強化用繊維は、必要によりカップリン
グ剤あるいは収束剤による処理が施される。とくに、強
化用繊維がグラスファイバーの場合には、熱可塑性樹脂
との濡れ性や接着性を改良するために、シランカップリ
ング剤による処理が施される。このシランカップリング
剤としては、ビニルシラン系、アミノシラン系、エポキ
シシラン系、メタクリルシラン系、クロロシラン系、メ
ルカプトシラン系のカップリング剤を用いることが好ま
しい。このようなシランカップリング剤によるグラスフ
ァイバーの処理は、グラスファイバーを攪拌混合しなが
らシランカップリング剤溶液を噴霧する方法や、カップ
リング剤溶液中にグラスファイバーを浸漬する方法など
の既知の方法によって行うことができる。このシランカ
ップリング剤の処理量は、グラスファイバーに対して
0.001〜0.3 wt%、好ましくは 0.005〜0.2 wt%の範囲
内とすることが望ましい。この理由は、処理量が 0.001
wt%未満では強度の向上が小さく、一方、処理量が 0.3
wt%を超えると強度の向上が飽和するからである。
【0030】また、吸音材の強度と膨張性を向上させる
ために、強化用繊維は単繊維に開繊させることが望まし
い。そのため、上記強化用繊維は、水溶性の収束剤によ
る処理が施される。この収束剤としては、ポリエチレン
オキシド系やポリビニルアルコール系などがある。この
収束剤の処理量は、強化用繊維に対して、0.03〜0.3wt
%、好ましくは0.05〜0.2 wt%の範囲内とすることが望
ましい。この理由は、処理量が0.03wt%未満では強化用
繊維の束がばらけやすくなりハンドリングしづらく、一
方、処理量が 0.3wt%を超えると抄紙工程での繊維の開
繊が難しくなるからである。
【0031】熱可塑性樹脂について 本発明の成形吸音材を構成する熱可塑性樹脂としては、
例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレ
フィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン
テレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ
アセタールなどの樹脂、ならびにこれらの樹脂を主成分
とする共重合体(例えば、エチレン−塩化ビニル共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等)やグラフト化合
物、もしくはこれらの樹脂のブレンド品などが挙げられ
る。なかでも、強度と価格面から好ましいのは、ポリプ
ロピレンである。
【0032】この熱可塑性樹脂は、強化用繊維との接着
性を向上させるために、酸やエポキシなどの種々の化合
物で変性させたものを併用できる。特に、ポリプロピレ
ンの場合には、マレイン酸や無水マレイン酸、アクリル
酸などで変性させることができ、変性基が酸無水物基、
カルボキシル基となるものが好ましい。このような変性
樹脂を熱可塑性樹脂と併用する場合、それぞれの樹脂粒
子を用いてウエブを製造しても良いし、これらの樹脂を
予め押し出し機などで溶融混練し、粉砕した樹脂粒子を
使用してもよい。また、一方の樹脂を他の樹脂でコーテ
ィングしたものを用いることもできる。
【0033】上記熱可塑性樹脂は、耐候性や耐熱性を向
上させるための添加剤を予め添加すること、ができる。
この場合にも、変性樹脂の場合と同様に、それぞれの粒
子を用いてウエブを製造しても良いし、これらの粒子を
予め押し出し機などで溶融混練し、粉砕した物を使用し
ても良い。また、一方の粒子を他の材料でコーティング
したものを用いることもできる。
【0034】なお、ウエブに用いられる上記熱可塑性樹
脂の形状は、ウエブを作製する段階において、均一性や
ハンドリング性に問題がなければ特に限定されず、粒子
状の他、繊維状やフレーク状の熱可塑性樹脂が用いられ
る。特に粒子状の場合には、その粒径が50〜2000μmの
範囲内にあるものを用いることが望ましい。この理由
は、粒径が2000μmを超えると、強化用繊維に樹脂が均
一に分散したスタンパブルシートを得ることが難しく、
一方、粒径が50μm未満では、ウエブからの樹脂の脱落
が多くなるからである。
【0035】強化用繊維と熱可塑性樹脂の配合率につい
抄造後のウエブ(乾燥後)中に占める強化用繊維の配合
率(含有量)は、用いる強化用繊維と熱可塑性樹脂の比
重や他の原料の添加によっても異なるが、強化用繊維と
してグラスファイバーを用い熱可塑性樹脂としてポリプ
ロピレンを用いた場合、強化用繊維の配合率は、乾燥ウ
エブの総重量に対して50〜80wt%となるようにすること
が望ましい。この理由は、強化用繊維の配合率が50wt%
より少ないと、強化用繊維による十分な補強効果が期待
できず、吸音性も不十分であり、しかも膨張性が悪いた
めに比重の小さな多孔質成形品が得られない。一方、強
化用繊維の配合率が80wt%を超えると、抄造後のウエブ
が脆くなってハンドリング性が悪くなる他、膨張させた
場合には、バインダー成分としての熱可塑性樹脂が不足
して、樹脂を強化用繊維接合点にまで均一に含浸するこ
とが難しくなり、多孔質成形品の強度の低下を招くから
である。
【0036】次に、本発明にかかる成形吸音材を製造す
る一方法について説明する。 (1) ウエブの作製 界面活性剤を含有する水溶液を予め泡立てた泡液中に、
強化用繊維と熱可塑性樹脂を主成分とする原料を分散さ
せる。このときの泡液中での強化用繊維と熱可塑性樹脂
の分散状態を図1に示す。次いで、得られた分散液を多
孔性支持体上で吸引、脱泡することにより、分散液中の
固形分を堆積させ、その堆積物を乾燥させることでウエ
ブが得られる。このウエブは、強化用繊維と熱可塑性樹
脂から主として構成され、強化用繊維の中に熱可塑性樹
脂の粒子が均一に分散したものであり、それの厚さは、
通常1〜30mmである。
【0037】ここで、使用できる界面活性剤としては、
アニオン、ノニオン、カチオン系の何れでも良い。特
に、ドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、やし油脂
肪酸ジエタノールアミド等は、安価でありながら強化用
繊維と熱可塑性樹脂を主成分とする原料を分散させるこ
とに優れている点で有利に用いられる。
【0038】このような界面活性剤の濃度は、用いる界
面活性剤の種類により異なるが、一般には0.05〜2wt%
の範囲が好ましい。この理由は、界面活性剤の濃度が低
すぎると、原料の分散に適する細かい気泡を得ることが
難しく、一方、界面活性剤の濃度が高すぎると、界面活
性剤の効果が飽和し、濃度を高くする意味がないからで
ある。
【0039】予め泡立てた上記泡液中の空気含有率は、
原料を投入する段階では、40〜85vol%、より好ましく
は55〜75 vol%であることが望ましい。泡液中の空気含
有率がこの範囲にあれば、泡の安定性、原料の分散性が
最も良いからである。ここで、空気含有率とは、界面活
性剤液の比重をx、泡1000mlの重さがZgのときには、
以下の式で定義される。 空気含有率=100 × (1000−Z/x)/1000 ( vol%)
【0040】予め泡立てた上記泡液中の気泡の大きさ
は、10〜200 μmの範囲内とすることが望ましい。気泡
がこの範囲内よりも小さくなると、泡液の粘度が高くな
って脱泡に大きな吸引圧力が必要となる。一方、気泡が
この範囲内よりも大きくなると原料の分散が不十分にな
るからである。
【0041】(2) スタンパブルシートの作製 上記(1) で作製したウエブを、熱可塑性樹脂の融点以上
かつ分解温度未満の温度で加熱,加圧し、樹脂を溶融さ
せ、冷却盤間で圧力を加えてシート状に固化し、緻密な
抄造法スタンパブルシートを作製する。
【0042】ここで、上記熱可塑性樹脂がポリプロピレ
ンの場合には、加熱温度は 170〜230 ℃、好ましくは 1
90〜220 ℃とする。この理由は、 230℃を超えると、ポ
リプロピレンの分解による着色や強度低下を招くからで
ある。
【0043】また、ウエブを加圧する際の圧力は、強化
用繊維中に十分に熱可塑性樹脂を含浸させるためには、
0.5〜50kgf/cm2 の範囲内とするのが望ましい。この理
由は、 0.5kgf/cm2 より小さい圧力では含浸が不十分と
なり、50kgf/cm2 を超える圧力では強化用繊維の破損を
生じる可能性があるからである。
【0044】このように、上記(1) で作製したウエブを
用いてスタンパブルシートを作製すると、原料の混合が
幅方向、厚み方向ではほぼ均一に行われ、強化用繊維が
ほとんど単繊維の状態まで開繊される。そのため、作製
したスタンパブルシートを、後の工程で再び熱可塑性樹
脂の融点以上に加熱して樹脂を溶融させると、強化用繊
維のスプリングバック力が強く、ほぼウエブの厚さまで
厚みが回復する。
【0045】(3) 多孔質成形品 (成形吸音材) の製造 上記(2) で作製したスタンパブルシートを、再び熱可塑
性樹脂の融点以上かつ分解温度未満の温度下で、強化用
繊維のスプリングバック力によりシートの厚み方向に比
重 0.3未満まで膨張させ、クリアランスを理論厚さ (製
品の空隙率がゼロとした時の厚さ) より大きな間隔に調
整した金型内に供給して、空隙率がゼロの時の比重より
も小さくなるように圧縮、冷却固化することにより、本
発明にかかる成形吸音材を製造する。
【0046】特に本発明の成形吸音材は、吸音特性を十
分に確保するという点から、平面部の少なくとも50%以
上の部分が比重 0.3未満となるように成形する必要があ
る。つまり、吸音に供する主要部分で比重 0.3未満の部
分を設け、成形品端部の取付け部分のみの比重を大きく
して強度を増すことは、成形吸音材の吸音特性をほとん
ど損なわず強度を高くできる点で有用である。
【0047】ここで、上記熱可塑性樹脂がポリプロピレ
ンの場合には、加熱温度は 170〜230 ℃、好ましくは 1
90〜220 ℃とする。この理由は、 230℃を超えると、ポ
リプロピレンの分解による着色や強度低下を招くからで
ある。上記膨張シートを圧縮成形する際の金型温度、あ
るいは冷却固化する温度は、熱可塑性樹脂の凝固点以下
であればよく、ハンドリング性や生産性の点から、通
常、60℃以下とする。また、成形圧力は、製品形状によ
り異なるが、通常、50kgf/cm2 以下とする。この理由
は、過剰の圧力は強化用繊維を破断させるからである。
【0048】なお、本発明にかかる上記成形吸音材に
は、酸化防止剤、耐光安定剤、金属不活性化剤、難燃
剤、カーボンブラックなどの添加剤や着色剤等を含有さ
せることができる。これらの添加剤や着色剤は、例え
ば、粒状の熱可塑性樹脂に予め配合やコーティングした
り、ウエブにスプレーなどで添加することにより製品に
含有させることができる。
【0049】また、本発明にかかる上記成形吸音材の製
造方法では、ウエブに熱と圧力をかけて強化用繊維中に
熱可塑性樹脂を含浸させる工程(スタンパブルシートの
作製工程)で、フィルムやシート、不織布等を同時に貼
合したり、他材料との複合化を行い、意匠性やその他の
機能を付与することができる。
【0050】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に
説明する。 (実施例1)本実施例で用いた強化用繊維と熱可塑性樹
脂は次のとおりである。 ・熱可塑性樹脂:ポリプロピレン粒子(MFR;20、平
均粒径; 500μm) ・強化用繊維:グラスファイバー(長さ;25mm、直径;
13μm) (1) 界面活性剤を含有する水溶液を予め泡立てた泡液中
に、それぞれ乾燥重量%で、ポリプロピレン粒子40%お
よびグラスファイバー60%からなる成分組成の原料を混
合し、総目付2000 g/m2 となるように脱泡、乾燥してウ
エブを作製した。このとき、原料を泡液中に混合分散す
る直前に、泡液の重量と体積を測定し、泡液中の空気含
有量を求めると共に、顕微鏡写真の撮影により気泡の大
きさを求めたところ、泡液中の空気含有量は64%、気泡
の直径は40μmであった。 (2) 前記(1) で作製したウエブを、210 ℃に加熱し、5
kgf/cm2 の圧力で加圧し、加熱および加圧されたウエブ
を25℃の冷却盤間に配置し、5 kgf/cm2 の圧力でプレス
して固化し、緻密なスタンパブルシートを作製した。 (3) 前記(2) で作製したスタンパブルシートを、遠赤外
線ヒーターで210 ℃に加熱し、クリアランスを10.5mmに
設定した平板の金型により圧縮、冷却し、良好な板状の
成形吸音材を製造した。このときの成形吸音材の厚みは
10mmであった。
【0051】(実施例2)それぞれ乾燥重量%で、ポリ
プロピレン粒子30%およびグラスファイバー70%からな
る成分組成の原料を混合したこと以外は、実施例1と同
様にして、作製したスタンパブルシートを、遠赤外線ヒ
ーターで210 ℃に加熱し、クリアランスを10.5mmに設定
した平板の金型により圧縮成形し、厚み10mmの成形吸音
材を製造した。
【0052】(実施例3)原料であるグラスファイバー
の直径を23μmとしたこと以外は、実施例1と同様にし
て、作製したスタンパブルシートを、遠赤外線ヒーター
で210 ℃に加熱し、クリアランスを10.5mmに設定した平
板の金型により圧縮成形し、厚み10mmの成形吸音材を製
造した。
【0053】(実施例4)原料である強化用繊維とし
て、長さ25mm、直径30μmのグラスファイバーを用いた
こと以外は、実施例1と同様にして、作製したスタンパ
ブルシートを、遠赤外線ヒーターで210 ℃に加熱し、ク
リアランスを10.5mmに設定した平板の金型により圧縮成
形し、厚み10mmの板状の成形吸音材を製造した。
【0054】このようにして製造した実施例1〜4にか
かる成形吸音材について、その断面を顕微鏡で観察し
た。その結果、いずれの成形吸音材も、グラスファイバ
ーは単繊維の状態まで開繊しており、グラスファイバー
の接点をポリプロピレンがつないだ構造となっていた。
【0055】(比較例1) (1) 蒸留水中に、それぞれ乾燥重量%で、ポリプロピレ
ン粒子40%およびグラスファイバー60%からなる成分組
成の原料を混合し、総目付2000 g/m2 となるように脱
水、乾燥してウエブを作製した。 (2) 前記(1) で作製したウエブを、210 ℃に加熱し、5
kgf/cm2 の圧力で加圧し、加熱および加圧されたウエブ
を25℃の冷却盤間に配置し、5kgf/cm2 の圧力でプレ
ス、固化し、緻密なスタンパブルシートを作製した。 (3) 前記(2) で作製したスタンパブルシートを、遠赤外
線ヒーターで210 ℃に加熱し、クリアランスを10.5mmに
設定した平板の金型により圧縮、冷却したところ、目標
厚みの10mmまで膨張せず、厚み8.9mmの成形吸音材が得
られた。このようにして得られた成形吸音材について、
その断面を顕微鏡で観察した結果、グラスファイバーの
分散が不良であり、表面の凹凸が著しかった。
【0056】(比較例2) (1) 蒸留水中に、それぞれ乾燥重量%で、ポリプロピレ
ン粒子55%およびグラスファイバー45%からなる成分組
成の原料を混合し、総目付2000 g/m2 となるように脱
水、乾燥してウエブを作製した。 (2) 前記(1) で作製したウエブを、210 ℃に加熱し、5
kgf/cm2 の圧力で加圧し、加熱および加圧されたウエブ
を25℃の冷却盤間に配置し、5kgf/cm2 の圧力でプレ
ス、固化し、緻密なスタンパブルシートを作製した。 (3) 前記(2) で作製したスタンパブルシートを、遠赤外
線ヒーターで210 ℃に加熱し、クリアランスを10.5mmに
設定した平板の金型により圧縮、冷却したところ、目標
厚みの10mmまで膨張せず、厚み6.2mmの成形吸音材が得
られた。 このようにして得られた成形吸音材について、その断面
を顕微鏡で観察した結果、グラスファイバーが3〜5本
が一束になっており、分散が良好とは言えなかった。
【0057】(比較例3)泡液中に、それぞれ乾燥重量
%で、ポリプロピレン粒子60%およびグラスファイバー
40%からなる成分組成の原料を混合し、総目付2000 g/m
2 となるように脱泡、乾燥してウエブを作製したこと以
外は、実施例1と同様にして、作製したスタンパブルシ
ートを、遠赤外線ヒーターで210 ℃に加熱し、クリアラ
ンスを10.5mmに設定した平板の金型により圧縮、冷却し
たところ、目標厚みの10mmまで膨張せず、厚み6.1 mmの
板状の成形吸音材が得られた。このようにして得られた
成形吸音材について、その断面を顕微鏡で観察した結
果、グラスファイバーは単繊維の状態まで開繊してお
り、グラスファイバーの接点をポリプロピレンがつない
だ構造となっていた。
【0058】(比較例4)泡液中に、それぞれ乾燥重量
%で、ポリプロピレン粒子40%およびグラスファイバー
60%からなる成分組成の原料を混合し、総目付4000 g/m
2 となるように脱泡、乾燥してウエブを作製したこと以
外は、実施例1と同様にして、作製したスタンパブルシ
ートを、遠赤外線ヒーターで210 ℃に加熱し、クリアラ
ンスを10.5mmに設定した平板の金型により圧縮成形し、
厚み10mmの板状の成形吸音材を製造した。このようにし
て製造した成形吸音材について、その断面を顕微鏡で観
察した結果、グラスファイバーは単繊維の状態まで開繊
しており、グラスファイバーの接点をポリプロピレンが
つないだ構造となっていた。
【0059】(比較例5)作製したスタンパブルシート
を、遠赤外線ヒーターで210 ℃に加熱し、平板の金型に
より圧縮成形する際のクリアランスを5.4 mmに設定した
こと以外は、実施例1と同様にして、厚み5mmの板状の
成形吸音材を製造した。このようにして製造した成形吸
音材について、その断面を顕微鏡で観察した結果、グラ
スファイバーは単繊維の状態まで開繊しており、グラス
ファイバーの接点をポリプロピレンがつないだ構造とな
っていた。
【0060】このようにして製造した実施例1〜4と比
較例1〜5の成形吸音材から、50mm幅×120 mm長さの試
験片を切り出し、クロスヘッドスピード50mm/min ,ス
パン間距離 100mmで曲げ試験を行った。このときの弾性
勾配は、スパン間距離 100mmのときの荷重(kgf) とたわ
み量(mm)の傾きである。同様に、切り出したサンプルに
ついて、背後空気層40mmを設けて垂直入射吸音率をJIS
A1405に準じて測定した。ここで、吸音特性は、垂直入
射吸音率が1に近いほど優れている。これらの結果を表
1に示す。
【0061】(比較例6)比重0.096 、厚み10mmのグラ
スウールについて、上述した方法に従って、曲げ試験と
垂直入射吸音率の測定を行った。その結果を表1に併せ
て示す。
【0062】
【表1】
【0063】この表1に示す結果から明らかなように、
泡を分散媒体として用いると、蒸留水を分散媒体として
用いる場合に比べて、吸音特性および強度が共に優れた
ものになることがわかる。また、吸音材の比重が 0.3を
超えると、吸音特性が低下する。強化用繊維の含有率が
50%未満では、膨張性が低下し、吸音特性が低下するこ
とがわかる。さらに、実施例にかかる本発明の成形吸音
材は、グラスウールと同等の優れた吸音特性を示し、か
つグラスウールよりも非常に高い強度を示すことがわか
る。
【0064】(実施例5)実施例1と同様にして、それ
ぞれ乾燥重量%で、ポリプロピレン粒子40%およびグラ
スファイバー60%からなる成分組成の原料を混合し、総
目付2000 g/m2 となるようにして作製したスタンパブル
シートを、遠赤外線ヒーターで210 ℃に加熱し、図2に
示すような断面形状の金型により圧縮、冷却し、図3に
示すような断面形状の成形吸音材(長さ100mm,幅100mm
)を製造した。
【0065】このような成形吸音材について、その断面
を顕微鏡で観察した結果、グラスファイバーは単繊維の
状態まで開繊しており、グラスファイバーの接点をポリ
プロピレンがつないだ構造となっていた。また、この成
形吸音材から、厚み10mmの部分(比重0.2 )の平面部で
の面積占有率が80%、厚み5mmの部分(比重0.4 )の平
面部での面積占有率が20%となるよう、図4に示すよう
な垂直入射吸音率測定用の試験片 (直径50mm) を切り出
し、実施例1と同様に、背後空気層40mmを設けて垂直入
射吸音率をJIS A1405に準じて測定した。その結果を表
2に示す。なお、比重0.4 の部分でネジや釘による成形
吸音材の固定を行った場合には十分な締め付け強度を発
現した。
【0066】(比較例7)実施例5と同様にして製造し
た成形吸音材から、厚み10mmの部分(比重0.2 )の平面
部での面積占有率が30%となるよう、図5に示すような
垂直入射吸音率測定用の試験片 (直径50mm) を切り出
し、実施例1と同様に、背後空気層40mmを設けて垂直入
射吸音率をJIS A1405に準じて測定した。その結果を表
2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】この表2に示す結果から明らかなように、
比重0.3 未満の平面部での面積占有率が50%以上であれ
ば、吸音特性に優れることがわかる。
【0069】なお、本発明の成形吸音材は、分散媒体と
して界面活性剤を含有する水溶液を予め泡立てた泡液を
用いて作製したスタンパブルシートの膨張成形により製
造した材料なので、グラスウールと同程度の吸音特性で
比較すると、高強度で、形状保持性に優れ、しかも水分
の含有が少なく、含水した場合にも排水がスムースでし
かも排水後の吸音特性は含水前と比較して低下しない。
また、この成形吸音材を取り扱うに当たっては、強化用
繊維が熱可塑性樹脂により強固に固定されており、グラ
スウール吸音材のような粉塵の飛散は極めて少なく、吸
音材取付時の作業環境の改善を行うことができる。さら
に、本発明の成形吸音材は、小さい目付量でも強度特
性、吸音特性および膨張性に優れており、軽量で優れた
特性を有する成形吸音材である。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、高
強度、軽量であり、しかも基材単体でも吸音性能に優れ
ている成形吸音材を提供することができる。これによ
り、本発明の成形吸音材は、高強度で良好な耐水性と成
形性が必要とされる、エンジンルームやダッシュパネ
ル、ルーフトリムなどの車両用吸音材、また壁や天井等
の内装材、道路用吸音壁、トンネル出口用吸音材などの
土木建築用吸音材、として有効に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】泡液中の強化用繊維と熱可塑性樹脂の分散状態
を示す図である。
【図2】実施例5で使用した金型の断面を示す概略図で
ある。
【図3】実施例5で成形した多孔質成形品の断面を示す
概略図である。
【図4】実施例5で用いた垂直入射吸音率測定用試験片
を示す(a) 平面図と、(b) 断面図である。
【図5】比較例7で用いた垂直入射吸音率測定用試験片
を示す(a) 平面図と、(b) 断面図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性樹脂 2 強化用繊維 3 泡 4 成形用金型 4a 上型 4b 下型 5 多孔質成形品 5a 比重0.2 の部分 5b 比重0.4 の部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G10K 11/16 G10K 11/16 D // B29K 105:04 105:12 (72)発明者 藤巻 雅美 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 長山 勝博 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 高野 茂 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 永島 之夫 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 船越 覚 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 小林 雄司 東京都中央区新川2丁目27番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 砂田 允彰 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 ケープ ラシート株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強化用繊維と熱可塑性樹脂からなる主原
    料を抄造して得られるウエブを加熱、加圧してシート化
    し、こうして得られたスタンパブルシートを再加熱によ
    り膨張し、圧縮成形してなる成形吸音材において、 平面の面積比で少なくとも50%以上が比重 0.3未満の多
    孔質部材からなることを特徴とする成形吸音材。
  2. 【請求項2】 前記強化用繊維がグラスファイバーであ
    る請求項1に記載の成形吸音材。
  3. 【請求項3】 前記強化用繊維が平均繊維径7〜25μm
    のグラスファイバーである請求項1または2に記載の成
    形吸音材。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂がポリプロピレンであ
    る請求項1に記載の成形吸音材。
  5. 【請求項5】 成形吸音材における強化用繊維の配合率
    が、総重量に対して50〜80重量%である請求項1〜4の
    いずれか1に記載の成形吸音材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101399491B1 (ko) * 2012-10-09 2014-05-30 한국표준과학연구원 복수의 산란재를 이용하여 초음파를 흡수하는 흡음재 및 그 제조방법
JP2016041491A (ja) * 2014-08-18 2016-03-31 豊田鉄工株式会社 複合成形体及びその成形方法
JP2017094568A (ja) * 2015-11-20 2017-06-01 王子ホールディングス株式会社 繊維強化プラスチック成形体

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JP2016041491A (ja) * 2014-08-18 2016-03-31 豊田鉄工株式会社 複合成形体及びその成形方法
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