JP2003181965A - 抄造法スタンパブルシート、軽量スタンパブルシート成形品および軽量スタンパブルシート表皮貼合品 - Google Patents

抄造法スタンパブルシート、軽量スタンパブルシート成形品および軽量スタンパブルシート表皮貼合品

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JP2003181965A
JP2003181965A JP2002374299A JP2002374299A JP2003181965A JP 2003181965 A JP2003181965 A JP 2003181965A JP 2002374299 A JP2002374299 A JP 2002374299A JP 2002374299 A JP2002374299 A JP 2002374299A JP 2003181965 A JP2003181965 A JP 2003181965A
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stampable sheet
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thermoplastic resin
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JP2002374299A
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English (en)
Inventor
Shigeru Takano
高野  茂
Masami Fujimaki
雅美 藤巻
Yasuji Matsumoto
泰次 松本
Yukio Nagashima
之夫 永島
Shohei Masui
捷平 桝井
Satoru Funakoshi
覚 船越
Tadaaki Sunada
允彰 砂田
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KEEPURA SHEET KK
JFE Steel Corp
Original Assignee
KEEPURA SHEET KK
JFE Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い剛性を示しかつ必要に応じて接着性と非
通気性を改善した抄造法スタンパブルシートを開発し、
このスタンパブルシートを用いて、高い剛性と必要に応
じて密着性と非通気性を改善した多孔質製品を提供す
る。 【解決手段】 熱可塑性樹脂と強化繊維との混合物を抄
造成形して得たシート状ウエブの両面に、ウエブを構成
する上記熱可塑性樹脂よりも融点が高くかつ目付量が10
〜50g/m2の有機繊維不織布が積層され、加熱圧着さ
れて、緻密質積層成形体を構成しており、上記ウエブを
構成する熱可塑性樹脂が融点135℃以上のポリプロピレ
ンであり、上記有機繊維不織布を構成する繊維がウエブ
を構成する上記熱可塑性樹脂よりも10℃以上高い融点を
示す樹脂繊維とすることにより剛性を向上した抄造法ス
タンパブルシートを得、このスタンパブルシートから、
軽量スタンパブルシート成形品およびその表皮貼合品を
得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、抄造法スタンパ
ブルシート、およびこのシートから製造される軽量スタ
ンパブルシート成形品と軽量スタンパブルシート表皮貼
合品に関するものであり、特に、この発明の軽量スタン
パブルシート表皮貼合品は、高い剛性を示し、かつ必要
に応じて基材−表皮間の密着性と非通気性を改善したも
のであり、天井材やドアトリム材等の自動車内装品とし
て有用である。
【0002】
【従来の技術】強化繊維と熱可塑性樹脂を主原料とする
スタンパブルシートは、複雑な形状に成形でき、かつそ
の成形品が高い強度を有すると共に、軽量であるという
点から、近年、金属加工品の代替品として注目を浴びて
いる。このようなスタンパブルシートは、抄造技術を応
用して、例えば、以下に示すような方法によって製造さ
れている。すなわち、まず、粒状の熱可塑性樹脂と強化
樹脂を微小気泡を含む界面活性材水溶液中に分散させた
分散液を多孔性支持体上で抄くことにより、シート状の
ウエブ(堆積物)を調製し、このウエブを熱可塑性樹脂
の融点以上かつ分解点未満の温度に一端加熱した後に、
加圧、冷却することにより、緻密な固化シート、いわゆ
る抄造法スタンパブルシートを得る。
【0003】この抄造法スタンパブルシートは、ほぼ短
繊維の状態にまで開繊した強化繊維を含有するので、再
び樹脂の融点以上かつ分解点未満の温度に加熱すると、
樹脂に拘束されていた繊維がスプリングバックを起こし
て、元の厚さの数倍以上に膨張した膨張シートとなる。
そして、この膨張シートが、圧縮成形や真空成形、圧空
成形等に供され、所定形状の軽量スタンパブルシートの
成形を可能にする。すなわち、成形時の金型クリアラン
スを、理論厚さ(製品の空隙率がゼロとした時の厚さ)
より大きく調整することにより、上記抄造法スタンパブ
ルシートよりも密度が小さく、面剛性の高い多孔質の軽
量スタンパブルシート成形品を得ることができる。この
ような軽量スタンパブルシート成形品とその製造方法に
ついては、例えば、特許文献1および特許文献2で提案
されている。なお、上記軽量スタンパブルシート成形品
は、装飾性を必要とする部品に用いる場合には、上記膨
張シートと装飾用表皮を貼合してなる軽量スタンパブル
シート表皮貼合品とするのが一般的である。
【0004】このような軽量スタンパブルシート表皮貼
合品としては、従来、膨張シートと装飾用表皮を一体化
したものがあり、自動車内装材に適用されている。しか
しながら、膨張材は一般に剛性が低いので、目付の小さ
な高発泡材を膨張シートとして用いた表皮貼合品は、車
体への組み込み時に折れ曲がって壊れたり、また破壊に
至らない場合でも、折れ曲がった部分の表皮に折り目が
入ってしまうなどの問題があった。これに対し、十分な
剛性を表皮貼合品に付与するために膨張材の目付を大き
くすると、得られる表皮貼合品は、軽量化が不十分とな
ったりコスト高になるという別の問題があった。
【0005】ところで、材料の剛性を高める目的で軽量
材料の表面に剛性の高い材料を張り合わせてサンドイッ
チ構造体とした軽量複合材が広く知られている。この軽
量複合材によれば、表層に積層した材料による剛性の改
善と軽量芯材による軽量化が同時に達成できる。このよ
うなサンドイッチ構造の軽量複合材は、自動車内装材の
分野においても適用され、上記の問題を解消するための
技術として、熱可塑性樹脂発泡体を軽量芯材とし、その
芯材の表面に剛性の高い表層材である樹脂シートを積層
したサンドイッチ構造の積層体が提案されている。
【0006】例えば、 .特許文献3には、ポリスチレン系樹脂の発泡シート
を軽量芯材とし、そのシートの両面に、有機繊維不織布
に無機繊維とスチレン系樹脂のエマルジョンを含浸して
得た樹脂強化シートを積層してなる積層体、 .特許文献4には、ポリフェニレンエーテルとスチレ
ンからなる樹脂の発泡シートを軽量芯材とし、そのシー
トの両面に、ポリフェニレンエーテルとスチレンからな
る樹脂シートを積層してなる積層体、 .特許文献5には、架橋型熱可塑性樹脂の発泡シート
を軽量芯材とし、そのシートの表面に、熱可塑性樹脂フ
ィルムとガラスペーパーとの複合シートを積層してなる
積層体、がそれぞれ提案されている。
【0007】しかしながら、上述した各種提案にかかる
技術は、いずれも樹脂発泡体を芯材としているために、
成形時の寸法安定性に対する要求が厳しい用途に適用す
るのに十分な剛性を示す積層体を得ることができないと
いう問題があった。即ち、 .特許文献3に記載の積層体は、その材料の剛性がそ
れほど高くなく、しかも、ポリスチレン系樹脂の発泡シ
ートを芯材としているため、耐熱性および成形時の寸法
安定性に対する要求が厳しい用途には適用が難しい。 .特許文献4に記載の積層体は、耐熱性には優れる
が、成形時の寸法安定性がの場合と同様に不十分であ
るため、成形時の寸法安定性に対する要求が厳しい用途
には適用が難しい。 .特許文献5に記載の積層体は、上記,の例に比
較すると、剛性が高く、かつ耐熱性および成形時の寸法
安定性に優れているが、芯材に樹脂発泡材をそのまま使
用しているため、寸法安定性に対する要求が厳しい用途
に適用するには依然として適用が難しい。そのため、成
形時の寸法安定性に対する要求が厳しい用途に適用する
のに十分な剛性を示す軽量スタンパブルシート表皮貼合
品の開発が望まれている。
【0008】一方、軽量スタンパブルシート表皮貼合品
は、特に自動車内装材として用いる際には、芯材(基
材)と表皮との高い密着性、および表皮貼合品の高い非
通気性が要求される場合がある。しかし、一般に、膨張
シートと装飾用表皮とは、接着剤を介在させることなく
単に加熱加圧成形することにより貼合一体化されてい
る。そのため、シートと表皮間に接着層がない単純な表
皮貼合では、軽量スタンパブルシート(以下、単に「基
材」という。)と表皮間に十分な密着強度を期待するこ
とはできない。その理由は、空隙率が大きい膨張シート
と表皮との接触面積が小さく、しかも、貼合時の接着成
分が膨張シートの表面に存在している熱可塑性樹脂のみ
だからである。また、膨張シートの膨張状態を維持しな
がら軽量スタンパブルシート表皮貼合品を成形するため
に、貼合時の成形圧力は小さく、それ故に、膨張シート
内部から表面への樹脂分の浸透(補給)も少ないからで
ある。
【0009】これに対し従来、基材と表皮の間に接着層
を介在させて一体化してなる軽量スタンパブルシート表
皮貼合品が提案されている。例えば、 .基材と表皮の間にホットメルトタイプの接着フィル
ムを介在させた状態で加圧成形することにより、基材と
フィルムの密着性を改善する技術(特許文献6参
照。)、 .基材の表皮の間に無機フィラー入りの熱可塑性樹脂
を介在させた状態で加圧成形することにより、基材と表
皮の密着性を改善するとともに、表皮表面への樹脂の染
みだしを防ぐ技術(特許文献7参照。)、 .熱可塑性樹脂多孔質シートがラミネートされた表皮
と膨張シートを加圧成形することにより、基材と表皮の
密着性を改善すると共に、表皮側の外観を改善する技術
(特許文献8参照。)、が提案されている。
【0010】しかしながら、上述した各種提案にかかる
技術では以下に示すような問題があった。即ち、 .特許文献6に記載の技術では、加圧成形ときに、前
記接着フィルムの流動性が大きくなって、基材である多
孔質の軽量スタンパブルシートの空隙に浸透し、いわゆ
る有効な接着含浸層を形成して、基材と表皮の間に存在
しなくなる。そのため、基材と表皮の密着性は十分でな
くしかも、非通気性が不十分になってしまうという問題
があった。すなわち、このような通気性が悪い材料で
は、貼合成形(特に真空成形)に際し、必要量の圧損を
確保できないこと、表皮貼合品を装着させる部材との間
に結露を生じて各部材の腐食を招きやすいこと、表皮貼
合品がフィルターとして作用して表皮が汚れること等の
問題が生じるおそれがあった。従って、天井材やドアト
リム材等の自動車用内装品として有用な軽量スタンパブ
ルシート表皮貼合品は、上記非通気性を改善することが
重要となる場合がある。 .特許文献7に記載の技術では、上記無機フィラーの
充填量を調整して、外観不良(樹脂の染みだし)と密着
性をある程度改善することができるが、密着性と非通気
性を共に改善するのは難しいという問題があった。 .特許文献8に記載の技術では、熱可塑性樹脂多孔質
シートの流動性が悪く、前記多孔質シートと膨張シート
の接着面積も小さいために、前記多孔質シートによるア
ンカー効果が十分に発揮されず、基材と表皮の密着性が
悪いという問題があった。
【0011】
【特許文献1】 特開昭60−179234号公報
【特許文献2】 特開昭62−161529号公報
【特許文献3】 特公平03−052342号公報
【特許文献4】 特開平06−344483号公報
【特許文献5】 特開平07−001628号公報
【特許文献6】 特開平05−016274号公報
【特許文献7】 特開平04−331137号公報
【特許文献8】 特開平05−016277号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、上
記従来技術にかかる種々の問題を解消することにあり、
特に、高い剛性を示し、かつ必要に応じて接着性と非通
気性を改善した抄造法スタンパブルシートを開発するこ
とにある。これによって、高い剛性を示し、かつ必要に
応じて密着性と非通気性を改善した軽量スタンパブルシ
ート成形品、および軽量スタンパブルシート表皮貼合品
を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上掲の目的
実現に向け鋭意研究を行った結果、熱可塑性樹脂と強化
繊維をシート状に抄造成形する際に、その両面に有機繊
維不織布を積層することにより、抄造法スタンパブルシ
ートの剛性が向上することを見出した。また、接着性も
しくは非通気性の改善が要求される場合には、さらに、
少なくとも片面にある有機繊維不織布に接着性もしくは
非通気性を有するフィルムを積層することにより、抄造
法スタンパブルシートの接着性と非通気性を改善できる
ことを見出した。さらに、このような抄造法スタンパブ
ルシートを用いれば、表皮を貼合した後も、前記の有機
繊維不織布およびフィルムが基材と表皮の間に残存する
ことから、軽量スタンパブルシート表皮貼合品の剛性、
密着性および非通気性が改善されることを見出し、この
発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、 (1) この発明にかかる緻密な抄造法スタンパブルシート
は、第1に、熱可塑性樹脂と強化繊維との混合物を抄造
成形して得たシート状ウエブの両面に、ウエブを構成す
る上記熱可塑性樹脂よりも融点が高くかつ目付量10〜50
g/m2の有機繊維不織布が積層され、加熱圧着されて、緻
密質積層成形体を構成していることを特徴とする。この
ような構成とすることにより、有機繊維不織布に溶融し
た熱可塑性樹脂が浸透することによって抄造法スタンパ
ブルシートの剛性が向上する。なお、上記の抄造法スタ
ンパブルシートにおいて、ウエブを構成する上記熱可塑
性樹脂が、融点135℃以上のポリプロピレンであり、上
記有機繊維不織布を構成する繊維が、ウエブを構成する
上記熱可塑性樹脂よりも10℃以上高い融点を示す樹脂繊
維であることが好ましい。 (2) 上記(1)に記載の抄造法スタンパブルシートにおい
て、有機繊維不織布を構成する繊維が、ポリエステル樹
脂またはポリアミド樹脂からなる繊維であることが好ま
しい。 (3) そして、この発明の軽量スタンパブルシート成形品
は、上記(1)または(2)に記載の抄造法スタンパブルシー
トが、膨張シートに加熱膨張されかつ成形体密度が理論
密度(空隙率ゼロの時の密度)よりも小さくなるように
圧縮成形されて、多孔質体を構成していることを特徴と
する。このような構成とすることにより、高い剛性を示
し、かつ必要に応じて積層体の密着性と非通気性を改善
した多孔質のスタンパブルシート成形品を得ることがで
きる。 (4) さらに、この発明の軽量スタンパブルシート表皮貼
合品は、上記(1)または(2)に記載の抄造法スタンパブル
シートが、膨張シートに加熱膨張されかつこの膨張シー
トの表面に表皮が積層され、さらに成形体密度が理論密
度(空隙率ゼロの時の密度)よりも小さくなるように圧
縮成形されて、表皮貼合多孔質体を構成していることを
特徴とする。このような構成とすることにより、接着層
のみを介在させた従来の軽量スタンパブルシート表皮貼
合品に比べて、高い剛性を示し、かつ必要に応じて多層
フィルムを介在させることで基材−表皮間の密着性と非
通気性に優れる軽量スタンパブルシート表皮貼合品を得
ることができる。
【0015】ここで、この発明において、有機繊維不織
布は基材を構成する熱可塑性樹脂よりも十分に融点の高
い樹脂繊維で構成されているので、この有機繊維不織布
を積層して加熱加圧すると、基材を構成する熱可塑性樹
脂が該有機繊維不織布に浸透し、この浸透した樹脂は膨
張成形した後においても不織布に保持された状態で存在
する。それ故に、この有機繊維不織布は、基材表面に密
着性のよい高密度の樹脂層を形成し、剛性の向上に寄与
する。
【0016】以上説明したようにこの発明によれば、高
い剛性を有し、かつ必要に応じて接着性と非通気性を改
善した抄造法スタンパブルシートを得ることができる。
これにより、上記抄造法スタンパブルシートを膨張成形
すれば、高い剛性を示し、かつ必要に応じて積層体の密
着性と非通気性を改善した多孔質のスタンパブルシート
成形品を提供することができる。また、表皮と重ね合わ
せて膨張成形すれば、高い剛性を示し、かつ必要に応じ
て多層フィルムを同時貼合した場合には、表皮の接着性
有無に関わらず基材と表皮の密着性に優れ、しかも完全
な非通気性を確保した多孔質の軽量スタンパブルシート
表皮貼合品を安定して提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の構成について
説明する。 強化繊維について この発明において基材を構成する強化繊維としては、ガ
ラス繊維や炭素繊維、ボロン繊維、その他の金属繊維な
どの無機繊維、あるいはアラミド繊維やポリエステル繊
維、ポリアミド繊維、木質繊維などの有機繊維を用いる
ことができる。特に、コストと特性のバランスからガラ
ス繊維を用いることがより好ましい。
【0018】この強化繊維の繊維長は、補強効果に優
れ、かつ抄造成形時の成形性を確保するという点から、
5〜30mm、好ましくは10〜26mmの範囲内とすることが望
ましい。この理由は、繊維長が5mmより短いと、十分な
補強効果が得られないので抄紙工程で断紙しやすくなる
からである。一方、繊維長が30mmを超えると、抄紙工程
で強化繊維が十分に開繊しないので成形体の膨張が不均
一になるとともにスプリングバッグ効果が小さくなる。
その結果、成形体の膨張性が低下すると同時に成形時の
賦形性も悪化するからである。この強化繊維の繊維径
は、繊維による補強効果と膨張効果を確保するという点
から、5〜30μm、好ましくは10〜25μmの範囲内とする
ことが望ましい。この理由は、繊維径が5μmより小さ
いと、十分な膨張倍率が得られず、一方、繊維径が30μ
mを超えると、十分な補強効果が得られないからであ
る。
【0019】この強化繊維は、必要によりカップリング
剤あるいは収束剤による表面処理が施される。とくに、
強化繊維とマトリックス樹脂との濡れ性や接着性を改良
するために、シランカップリング剤による処理が施され
る。このシランカップリング剤としては、ビニルシラン
系、アミノシラン系、エポキシシラン系、メタクリルシ
ラン系、クロロシラン系、メルカプトシラン系のカップ
リング剤を用いることが好ましい。このようなシランカ
ップリング剤による強化繊維の表面処理は、強化繊維を
攪拌しながらシランカップリング剤溶液を噴霧する方法
や、カップリング剤溶液中に強化繊維を浸漬する方法な
どの既知の方法によって行うことができる。なお、上記
シランカップリング剤の処理量は、強化繊維に対して0.
001〜0.3wt%、好ましくは0.005〜0.2wt%の範囲内とす
ることが望ましい。この理由は、0.001wt%未満の処理
量では、強度の向上が小さいからである。また、軽量ス
タンパブルシート成形品の強度と抄造法スタンパブルシ
ートの膨張性を向上させるために、強化繊維は単繊維に
開繊することが望ましい。そのため、上記強化繊維は、
必要により水溶性の収束剤による処理が施される。この
収束剤としては、ポリエチレンオキシド系やポリビニル
アルコール系などがある。この収束剤の処理量は、強化
繊維に対して、0.03〜0.3wt%、好ましくは0.05〜0.2wt
%の範囲内とすることが望ましい。この理由は、0.3wt
%を超える処理量では、抄紙工程での繊維の開繊が難し
くなるからである。
【0020】熱可塑性樹脂について この発明において基材を構成する熱可塑性樹脂として
は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオ
レフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポ
リアセタールなどの樹脂、並びにこれらの樹脂を主成分
とする共重合体(例えばエチレン−塩化ビニル共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタシ
エン−アクリロニトリル共重合体等)やグラフト化合
物、もしくはこれらの樹脂のブレンド品などを用いるこ
とができる。なかでも好ましいのは、融点が135℃以上
のポリプロピレンである。なお、無水マレイン酸を共重
合した融点が135℃以下のポリプロピレンも知られてい
るが、耐熱性や機械的特性が充分なものが得られず、融
点が135℃未満のポリプロピレンは、この発明の目的実
現には不適なものである。この熱可塑性樹脂の重量平均
分子量(以下、単に「MW」という。)は、50,000〜70
0,000の範囲内であることが望ましい。この理由は、MW
が50,000未満では、溶融粘度が低く、強化繊維への濡れ
性や接着性は良くなるものの、樹脂が脆性化しやすく、
抄造成形した繊維強化熱可塑性樹脂基材の機械特性が低
下するからである。一方、MWが700,000を超えると、抄
造成形時の流動性が低下すると共に、強化繊維接合点へ
の含浸性や濡れ性が悪化し、やはり基材の機械特性が低
下するからである。この熱可塑性樹脂としては、その形
状が、粒状,フレーク状,繊維状等であるものを用いる
ことができる。特に粒状粒子の場合は、好ましくは樹脂
粒径が50〜2000μmの範囲内にあるものを用いることが
望ましい。この理由は、樹脂粒径が50μm未満では、ウ
エブ製造時に、装置への噛み込みなどのトラブルが生じ
やすく、一方、樹脂粒径が2000μmを超えると、強化繊
維に樹脂が均一に分散した繊維強化熱可塑性樹脂基材を
得ることが難しくなるからである。
【0021】この熱可塑性樹脂は、樹脂と強化繊維の接
着性を向上させるために、酸やエポキシなどの種々の化
合物で変性した樹脂を併用することができる。例えば、
ポリプロピレンの場合、マレイン酸や無水マレイン酸、
アクリル酸などで変性することができ、変性基が酸無水
物基、カルボキシル基となるものが好ましい。この変性
樹脂は、MWが20,000〜200,000の範囲内であることが望
ましい。この理由は、MWが20,000未満では、溶融粘度
が低く、強化繊維への濡れ性や接着性は良くなるもの
の、樹脂が脆性化しやすく、抄造成形した繊維強化熱可
塑性樹脂基材の機械特性は低下するからである。一方、
Wが200,000を超えると、抄造成形時の流動性が低下す
ると共に、強化繊維接合点への含浸性や濡れ性が悪化
し、やはり前記基材の機械特性が低下するからである。
この変性樹脂は、前記変性基の量が0.02〜3.0wt%(100
×変性基の重量/熱可塑性樹脂の重量)、好ましくは0.
05〜2.0wt%の範囲内であることが望ましい。この理由
は、変性基の量が0.02wt%未満では、シランカップリン
グ剤との反応が不十分となり、強度の向上が小さいから
である。一方、3.0wt%を超えると、熱可塑性樹脂の脆
化やシートの着色などの不都合を招くからである。な
お、熱可塑性樹脂として上記変性樹脂を併用する場合、
それぞれの樹脂からなるウエブを積層成形して繊維強化
熱可塑性樹脂基材を製造してもよいし、これらの樹脂を
予め押出機などで溶融混練して粉砕したもの、あるいは
一方の樹脂を他の樹脂でコーティングしたものを抄造成
形に供して繊維強化熱可塑性樹脂基材を製造することも
できる。
【0022】強化繊維と熱可塑性樹脂の配合比について この発明の軽量スタンパブルシート成形品を構成する繊
維強化熱可塑性樹脂基材において、強化繊維と熱可塑性
樹脂の配合比は、重量比(繊維/樹脂)で、20/80〜70
/30の範囲内とすることが望ましい。この理由は、強化
繊維の配合率(含有量)が20wt%より少ないと、強化繊
維による十分な補強効果が期待できず、一方、強化繊維
の配合率(含有量)が70wt%を超えると、膨張させた場
合に、バインダー成分としての熱可塑性樹脂が不足し、
樹脂を強化繊維接合点にまで均一に含浸することが難し
くなり、強度の低下を招くからである。
【0023】有機繊維不織布について この発明において使用することができる有機繊維不織布
としては、乾式および湿式法により作成したもの、ある
いは樹脂を溶融紡糸した後、直接不織布としたスパンボ
ンド等が挙げられる。不織布を構成する繊維としては、
ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポ
リスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール
などの樹脂、ならびにこれらの樹脂を主成分とする共重
合体(例えばエチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリ
ロニトリル共重合体等)やグラフト化合物、もしくはこ
れらの樹脂のブレンド品を溶融紡糸したもの、あるいは
フェノール等の熱硬化性樹脂繊維、パルプや綿等の天然
繊維、もしくはこれらの繊維のブレンド品を用いること
ができる。特に、基材を構成する熱可塑性樹脂としてポ
リプロピレンを用いる場合には、シートの成形温度範囲
140〜210℃で溶融しないか(融点がポリプロピレンより
も10℃以上高い樹脂)、もしくは高い溶融粘度を呈する
樹脂、例えばポリエステルやポリアミド系の樹脂を用い
ることが好ましい。このような有機繊維不織布は、それ
の目付量が、好ましくは10〜50g/m2、より好ましくは10
〜20g/m2の範囲内とすることが望ましい。その理由は、
目付量が10g/m2未満では、剛性を向上させる効果が少な
く、一方目付量が50g/m2を超えると、不織布内を十分に
濡らすための熱可塑性樹脂量が多くなりすぎて、スタン
パブルシート成形品あるいは表皮貼合品全体の重さが重
くなってしまうからである。
【0024】表皮について この発明の軽量スタンパブルシート表皮貼合成形品を構
成する装飾用表皮としては、天然および合成繊維を素材
とした織布、ニードルパンチ等を行った有機繊維不織
布、起毛織布、編布、植毛布等を用いることができる。
とくに、自動車内装用途には、PVC(ポリ塩化ビニ
ル)やTPO(熱可塑性オレフィン)、熱可塑性ポリエ
ステル、エラストマー等の熱可塑性樹脂シート、および
このシートに基布やポリプロピレン、ポリエチレン、ポ
リ塩化ビニル、ポリウレタン等の樹脂発泡体をラミネー
トしたもの、あるいは上述の各種装飾用表皮単独、およ
びこれにバッキング材を貼着したもの、もしくはポリプ
ロピレンやポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタ
ン等の樹脂発泡体をラミネートしたものが用いられる。
また、これらの表皮にさらに各種ホットメルトを付けて
使用される場合があるが、本発明においては、ホットメ
ルトがなくても十分な接着強度を有しているので、その
使用を強制するものではない。なお、ホットメルト付き
の表皮を使用する場合には、例えば、ポリアミド系や変
性ポリオレフィン系、ウレタン系、ポリオレフィン系と
いった各種ホットメルトのなかから、使用する2層フィ
ルム樹脂成分と親和性および接着性の良いものを選択す
ることが望ましい。
【0025】次に、この発明にかかる軽量スタンパブル
シート成形品および軽量スタンパブルシート表皮貼合品
を製造する一方法について説明する。 (1) まず、強化繊維と熱可塑性樹脂粒子とを、空気の微
小気泡が分散した界面活性剤水溶液に分散させる。次い
で、得られた分散液を多孔性支持体を介して脱水するこ
とにより、分散液中の固形分を堆積させ、その堆積物を
乾燥して、均一なウエブを得る。このウエブは、強化繊
維と熱可塑性樹脂等から構成され、強化繊維の中に熱可
塑性樹脂の粒子が均一に分散したものであり、それの厚
さは、1〜10mmである。
【0026】(2) 次に、上記ウエブの両側に有機繊維不
織布を積層する。さらに必要に応じて単層あるいは多層
のフィルム層を積層してもよい。この積層体を熱可塑性
樹脂の融点以上かつ分解点未満の温度で加熱し、樹脂を
溶融させ、冷却盤間で圧力を加えてシート状に固化し、
緻密な抄造法スタンパブルシートを得る。なお、ウエブ
の両側に多層フィルムを積層するのは、成形品用途によ
り基材両側の外観改良が要求される場合である。ここ
で、上記熱可塑性樹脂がポリプロピレンの場合には、加
熱温度は170〜230℃、好ましくは190〜210℃とする。こ
の理由は、230℃を超えると、ポリプロピレンの分解に
よる着色や強度低下を招くからである。また、冷却盤間
における上記圧力は、緻密な抄造法スタンパブルシート
を得るためには3〜50kgf/cm2の範囲内とするのが望ま
しい。この理由は、50kgf/cm2を超える圧力では、強化
繊維の破損を招きやすいからである。なお、この抄造法
スタンパブルシートには、酸化防止剤や耐光安定剤、金
属不活性化剤、難燃剤、カーボンブラックなどの添加剤
や着色剤等を含有させることができる。これらの添加剤
や着色剤は、例えば、粒状の熱可塑性樹脂に予め配合し
たりコーティングしたりする方法、あるいは抄造法スタ
ンパブルシート製造工程中に、スプレーなどで添加する
方法等によって、抄造法スタンパブルシート中に含有さ
せることができる。
【0027】(3) そして、上述のようにして得られた抄
造法スタンパブルシート(積層シート)を、構成樹脂の
融点以上の温度に再加熱し、表皮貼合品の場合には膨張
したシート上に表皮を積層したのち、成形金型内に置
き、金型スペーサーの高さやプレスの型締め高さ等を調
整し、加圧成形することによって一体化して、所定の厚
みと密度を有する軽量スタンパブルシート成形品または
軽量スタンパブルシート表皮貼合品を得る。ここで、こ
のような膨張成形時の加熱温度は、抄造法スタンパブル
シートを構成する熱可塑性樹脂の融点以上かつ分解点未
満の温度範囲で適宜選択することができる。例えば、上
記熱可塑性樹脂がポリプロピレンの場合には、加熱温度
は170〜230℃、好ましくは190〜210℃とする。この抄造
法スタンパブルシートの加熱方法としては、熱盤加熱や
遠赤外線加熱、通風式加熱などがあり、とくに限定され
るものでない。また、金型温度は、上記熱可塑性樹脂の
凝固点以下であればよく、ハンドリング性や生産性の点
から、通常、室温〜60℃の範囲とする。さらに、成形圧
力は、製品形状により異なるが、過剰の圧力は強化繊維
を破断させるため、通常1〜50kg/cm2の範囲とする。
【0028】このようにして得られる軽量スタンパブル
シート成形品の密度は、金型のクリアランスにより制御
され、理論密度(ρ)よりも小さければ良く、好ましく
は0.8g/cm3以下、より好ましくは0.7g/cm3以下とする。
ここで、理論密度(ρ)とは、空隙率がゼロのときの密
度であり、次式から求められる。 ρ=100/(Wm/ρm+Wr/ρr) Wm;熱可塑性樹脂の重量分率 Wr;強化繊維の重量分率 ρm;熱可塑性樹脂の密度 ρr;強化繊維の密度 また、軽量スタンパブルシート成形品の膨張倍率は、1.
1〜25倍、好ましくは1.5〜10倍、より好ましくは1.5〜
8倍とする。この理由は、膨張倍率が大きすぎると、目
付量が多い場合に、加熱時の表面と内部の温度差が大き
くなり、均一な加熱が難しく厚みの不均一が生じるから
である。一方、膨張倍率が小さすぎると、必要厚みにお
ける軽量化の効果が少ないからである。ここで、膨張倍
率とは、膨張材(軽量スタンパブルシート成形品)の厚
みを理論厚み(空隙率がゼロのときの厚み)で除したも
のである。
【0029】
【実施例】以下に、この発明を実施例に基づいて具体的
に説明する。なお、実施例において用いた、スタンパブ
ルシートを構成する熱可塑性樹脂と強化繊維、有機繊維
不織布、フィルム、表皮は以下のとおりである。 ・熱可塑性樹脂;ポリプロピレン粒子(重量平均分子量200,000、MFR65、平均粒 子径500μm) ・強化繊維;ガラス繊維A(長さ25mm、直径17μm) ガラス繊維B(長さ25mm、直径23μm) ・有機繊維不織布;有機繊維不織布A:ポリエステル繊維スパンボンド (目付13g/m2、厚み0.08mm) 有機繊維不織布B:ポリアミド繊維スパンボンド (目付18g/m2、厚み0.16mm) ・フィルム;フィルムX:厚さ40μmのポリプロピレン(MFR65、融点140℃)から 構成されている。 フィルムY1:ドライラミネート法による2層フィルムで、フィル ムA(第1層)が厚さ60μmのポリプロピレン(MFR9、融点155℃)から構成され、 フィルムB(第2層)が厚さ25μmの6−ナイロン(融点215℃)から構成されている 。 ・表皮;ポリエステル有機繊維不織布(厚さ2mm)に、バッキング材、ホットメル ト層がある。
【0030】(実施例1)乾燥重量%で、ポリプロピレ
ン粒子40%、ガラス繊維A35%およびガラス繊維B25%
からなる成分組成の原料を混合し、この原料を、全目付
量が600g/m2となるように抄紙し、ウエブ(基材)を得
た。次に、得られたウエブの両面に、有機繊維不織布A
を積層し、この積層体を210℃で予熱し、予熱された積
層体を25℃の冷却盤間に配置し、5kgf/cm2の圧力でプ
レスし、固化した緻密な抄造法スタンパブルシートを得
た。そして、上記抄造法スタンパブルシートを遠赤外線
ヒーターでヒーター設定温度250℃×2分間加熱し、次
いで、クリアランスを3mmに設定した金型により、膨張
したスタンパブルシートを圧縮/冷却し、軽量スタンパ
ブルシート成形品を得た(図1参照)。この時の成形品
の基材膨張倍率(空隙率ゼロの時の理論厚さに対する実
際の基材厚さの比)は4倍であった。
【0031】このようにして得られた軽量スタンパブル
シート成形品から、長さ150mm、幅50mmの試験片を作成
し、この試験片について、スパン100mm、クロスヘッド
スピード50mm/minの条件で荷重をかける3点曲げ試験
を実施し、弾性勾配を測定した。さらに、ASTM−D737に
準拠した通気性試験により通気度を測定した。これらの
結果を表1に示す。
【0032】(実施例2)実施例1において得られたウ
エブの両面に、有機繊維不織布BとフィルムXを有機繊
維不織布Bがウエブ側に位置するように積層したこと以
外は、実施例1と同様に処理して軽量スタンパブルシー
ト成形品を得た(図2参照)。この時の成形品の基材膨
張倍率は4倍であった。このようにして得られた軽量ス
タンパブルシート成形品について、実施例1と同様にし
て弾性勾配と通気度を測定した。これらの結果を表1に
示す。
【0033】(実施例3)まず、実施例1において得ら
れたウエブの両面に、有機繊維不織布Aを積層し、かつ
一方の面にはフィルムXのかわりにフィルムY1を積層
したこと以外は、実施例2と同様に処理して抄造法スタ
ンパブルシートを作製した。次に、上記抄造法スタンパ
ブルシートを実施例1と同様にして加熱膨張させたの
ち、表皮を該シート上に載せ、基材の厚みが3mmになる
ようにクリアランスを設定した金型により、表皮ととも
に基材を圧縮/冷却し、軽量スタンパブルシート表皮貼
合品を得た(図3参照)。この時の表皮貼合品の基材膨
張倍率は4倍であった。
【0034】このようにして得られた軽量スタンパブル
シート表皮貼合品に関し、実施例1と同様にして弾性勾
配、通気度を測定した。また、表皮貼合品から長さ150m
m、幅25mmの剥離試験片を切り出し、端から50mm口開き
を行った状態で、通常の引張試験(引張速度50mm/min)
により、最大荷重と最小荷重の平均値として剥離強度を
測定した。これらの結果を表1に示す。
【0035】(比較例1)実施例1において、有機繊維
不織布を積層することなくウエブを単独で加熱/加圧し
たこと以外は、実施例1と同様に処理して比較対照用の
軽量スタンパブルシート成形品を得た(図4参照)。こ
のようにして得られた軽量スタンパブルシート成形品に
ついて、実施例1と同様にして弾性勾配と通気度を測定
した。これらの結果を表1に示す。
【0036】(比較例2)実施例3において、ウエブの
両面に有機繊維不織布を積層しなかったこと以外は、実
施例3と同様に処理して比較対照用の軽量スタンパブル
シート表皮貼合品を得た(図5参照)。このようにして
得られた軽量スタンパブルシート表皮貼合品について、
実施例3と同様にして弾性勾配、通気度および剥離強度
を測定した。これらの結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】この表1に示す結果から明らかなように、
この発明にかかる軽量スタンパブルシート成形品または
軽量スタンパブルシート表皮貼合品は、基材表面に、融
点が基材を構成するポリプロピレンと比較して高い有機
繊維不織布が、単独または表層にポリプロピレン樹脂層
を積層した状態のサンドイッチ構造を形成して存在して
いるので、高い剛性が発現し得る。また、この発明にか
かる軽量スタンパブルシート成形品または軽量スタンパ
ブルシート表皮貼合品は、融点が基材を構成するポリプ
ロピレンと比較して高いナイロンフィルム(フィルム
B)が、有機繊維不織布を積層した基材表面またはその
基材と表皮の間に存在している場合には、優れた非通気
性を示すことを確認した。
【0039】このように、有機繊維不織布を基材の表面
に配置することにより、剛性を向上した軽量スタンパブ
ルシート成形品およびその表皮貼合品を得ることがで
き、また、基材と表皮の間に介在させるフィルム層を適
宜選択することにより、表皮のホットメルト層の有無に
関わらず、基材と表皮との密着性に優れ、かつ優れた非
通気性を確保した多孔質の軽量スタンパブルシート表皮
貼合品を得ることが可能となる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
高い剛性を示し、かつ必要に応じて接着性と非通気性を
改善した抄造法スタンパブルシートを提供でき、これに
より、高剛性で、優れた非通気性を示す軽量スタンパブ
ルシート成形品、および表皮の接着性の有無に関わらず
基材と表皮との密着性に優れ、かつ高剛性で完全な非通
気性を実現した多孔質の軽量スタンパブルシート表皮貼
合品を容易に得ることができる。特に、この発明にかか
る軽量スタンパブルシート表皮貼合品は、高剛性化や軽
量化が望まれる自動車内装材、例えば天井材やドアトリ
ム材などに有利に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明にかかる軽量スタンパブルシート成
形品の一断面構造を示す図である。
【図2】 この発明にかかる軽量スタンパブルシート成
形品の一断面構造を示す図である。
【図3】 この発明にかかる軽量スタンパブルシート成
形品の一断面構造を示す図である。
【図4】 従来技術にかかる軽量スタンパブルシート成
形品の一断面構造を示す図である。
【図5】 従来技術にかかる軽量スタンパブルシート成
形品の一断面構造を示す図である。
【符号の説明】
1.ウエブ(基材) 2.有機繊維不織布 3.表皮 X.フィルムX A.フィルムA B.フィルムB
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤巻 雅美 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 松本 泰次 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 永島 之夫 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 桝井 捷平 東京都中央区新川2丁目27番1号(東京住 友ツインビルディング東館) 住友化学工 業株式会社内 (72)発明者 船越 覚 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 砂田 允彰 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 ケープ ラシート株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AK01A AK01B AK01C AK01D AK41A AK41C AK46A AK46C AS00E BA03 BA04 BA05 BA06 BA10A BA10C DG01A DG01B DG01C DG15A DG15C DH00B EC03 EH41 EJ20 GB33 JA02D JA04A JA04C JB16B JD01 JK07 JL11

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂と強化繊維との混合物を抄造
    成形して得たシート状ウエブの両面に、ウエブを構成す
    る上記熱可塑性樹脂よりも融点が高くかつ目付量が10〜
    50g/m2の有機繊維不織布が積層され、加熱圧着され
    て、緻密質積層成形体を構成している抄造法スタンパブ
    ルシートであって、上記ウエブを構成する熱可塑性樹脂
    が、融点135℃以上のポリプロピレンであり、上記有機
    繊維不織布を構成する繊維が、ウエブを構成する上記熱
    可塑性樹脂よりも10℃以上高い融点を示す樹脂繊維であ
    ることを特徴とする抄造法スタンパブルシート。
  2. 【請求項2】上記有機繊維不織布を構成する繊維が、ポ
    リエステル樹脂またはポリアミド樹脂からなる繊維であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の抄造法スタンパブ
    ルシート。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の抄造法スタンパ
    ブルシートが、膨張シートに加熱膨張されかつ成形体密
    度が理論密度;空隙率ゼロの時の密度よりも小さくなる
    ように圧縮成形されて、多孔質体を構成していることを
    特徴とする軽量スタンパブルシート成形品。
  4. 【請求項4】請求項1または2に記載の抄造法スタンパ
    ブルシートが、膨張シートに加熱膨張されかつこの膨張
    シートの表面に表皮が積層され、さらに成形体密度が理
    論密度;空隙率ゼロの時の密度よりも小さくなるように
    圧縮成形されて、表皮貼合多孔質体を構成していること
    を特徴とする軽量スタンパブルシート表皮貼合品。
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