JPH0999872A - トラックのキャブ構造および構造体の補強材配設方法 - Google Patents

トラックのキャブ構造および構造体の補強材配設方法

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JPH0999872A
JPH0999872A JP7257743A JP25774395A JPH0999872A JP H0999872 A JPH0999872 A JP H0999872A JP 7257743 A JP7257743 A JP 7257743A JP 25774395 A JP25774395 A JP 25774395A JP H0999872 A JPH0999872 A JP H0999872A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、衝突時におけるキャブの主要エネル
ギ吸収部材としてのメインシルとフロアパンの変形モー
ドに着目し、キャブの同じクラッシュ量でエネルギ吸収
量を上げるために、メインシルの曲り部構造と、フロア
パン構造を工夫して、より安全性を向上させたトラック
のキャブ構造を提供する。 【解決手段】前端部から後端部に亘って段状に折曲形成
されるフロアパン1と、このフロアパン下面に密着さ
れ、フロアパンを補強する断面逆ハット状のメインシル
2とを具備し、上記メインシルは、その長手方向に沿っ
てフロアパンの段変化に応じた曲り部7,8を備え、こ
のメインシルの曲り部に補強用隔壁10を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に、フロアパン
と、このフロアパンを支持するメインシルの補強を備え
たトラックのキャブ構造および構造体の補強材配設方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】トラックが衝突をした場合の、乗員に対
する保護と安全性を確保するために、従来より種々の技
術が提供されており、商品性の面からも重要なテーマと
なっている。
【0003】1つの条件として、乗員に与える衝撃度を
緩和するために、乗員を含めてキャブなど乗員に近い車
体の減速度を低減すること、およびキャブ以外のフレー
ム、荷箱などの各部分で衝突エネルギの吸収を効率よく
分担することであり、他の条件として、キャブは無制限
に変形するのではなく、その変形量は制限を受けなけれ
ばならない。このような相反する条件を両立させるため
には、衝突時にキャブをいかに効率よく変形させるかが
大切な条件になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、キャブのフ
ロアは、運転席やベッドが載設されるフロアパンと、こ
のフロアパンの左右両側部で、かつ前後方向に亘る下面
部をフレームに対して支持する断面逆ハット状のメイン
シルとから構成される。
【0005】普通、衝突時において、キャブを構成する
メインシルとフロアパンとの変形が、キャブ全体の変形
に対して、50%以上の寄与度があると考えられてい
て、実際に、フロアパンとメインシルの変形は、メイン
シルの曲り部で折れ曲がり、フロアパンが局部座屈を起
こすモードとなっている。
【0006】したがって、キャブの同じクラッシュ量で
エネルギ吸収量を上げるためには、メインシルの曲り部
をできるだけ曲らないような構造とすることと、フロア
パンが局部座屈を起こさない構造とすることが必要とな
る。
【0007】従来、メインシルに対して、変形後も断面
が変形しないとする「微小変形を仮定した梁の曲げ理
論」が存在しており、この理論にもとづいて、たとえば
曲り部のみ補強板を重ね合わせて固着する等の、微小変
形時の曲げ剛性の確保のみに力が注がれてきた。
【0008】この方法は、変形が小さい範囲ではある程
度の効果を発揮するが、衝突のように変形が大きい場合
には十分であると言えない。すなわち、衝突時、メイン
シルに曲がり変形が始まると、断面変形によって塑性ヒ
ンジ化し、変形が加速してしまう傾向にある。
【0009】これらの課題を一挙に解決するには、フロ
アパンおよびメインシルの板厚を全体的に厚くすること
である。しかるにこの場合は、キャブ重量の増大化とな
し、走行性能に影響があるとともに、コストの増大につ
ながる不具合がある。
【0010】あるいは、段階的に板片を重ね合わせて板
厚を漸増させ、部分的な補強をなす構造のものが採用さ
れているが、補強箇所が適宜なために、十分な効果が期
待できない。
【0011】一方、構造物が複数の部材から構成されて
いる場合、たとえばバス構体はボディの骨格と外板(そ
れぞれが側構、屋根構、前構、後構に分類できる)およ
びフレームから構成され、ガラス、扉、床板、内板など
を含んで完成車となる。
【0012】また、トラックのドアパネルの張り剛性
は、トラックの場合、乗用車に比較してアウタパネルの
曲率がとれないため、アウタパネルとインナパネルの間
に接着剤を介して補強材を装着して張り剛性を確保して
いる。
【0013】いずれの場合でも、必要最小限の補強材
を、構造体の最適位置に配設して、軽量化保持と強度剛
性増大化を、ハイレベルで、かつバランスよく実現する
ためには、はじめにこれらの構成部材の剛性(荷重)寄
与度または剛性(荷重)分担を明らかにする必要があ
る。
【0014】従来、複数の部材1,2,3,…から構成
された構造物で、これら構成部材1,2,3,…の剛性
(荷重)分担を求めるためには、構造物の完成状態か
ら、構成部材1,2,3,…を一つずつ撤去し、その剛
性(荷重)変化から剛性(荷重)分担を求めていた。
【0015】この手法を、構造物としてトラックのキャ
ブ構造に適用して、特に衝突時のキャブのメインシルと
フロアパンにおける剛性(荷重)分担の、準静的問題
と、動的問題に適用することが考えられる。
【0016】なお、準静的問題とは、時間に対する速度
の割合が小さい状態、すなわち停止直前の状態を言い、
動的問題は時間に対する速度の割合が大きい状態、すな
わち走行中の状態を言う。
【0017】しかしながら、実際に剛性(荷重)分担を
求めるにあたって、いわゆるFEM(有限要素法)計算
(または実験でも同様)を用いて剛性(荷重)分担を求
める場合は、「求めたい部材の数+1」回の計算(また
は実験)が必要であり、工数が膨大なものとなって現実
的でない。
【0018】そして、従来の手法は、線形近似できる微
小変形問題に限定され、ドアパネルの張り剛性、キャブ
圧潰時のような衝突問題のメインシルとフロアパンとの
剛性(荷重)分担などの大変形をともなう問題には適用
できない。
【0019】また、構成部材を除去することにより、構
造そのものが変わるため、近似的な剛性(荷重)分担に
ならざるを得なかった。本発明は、上記事情に鑑みなさ
れたものであり、第1の目的とするところは、衝突時に
おけるキャブの主要エネルギ吸収部材としてのメインシ
ルとフロアパンの変形モードに着目し、キャブの同じク
ラッシュ量でエネルギ吸収量を上げるために、メインシ
ルの曲り部構造と、フロアパン構造を工夫して、より安
全性を向上させたトラックのキャブ構造を提供しようと
するものである。
【0020】第2の目的とするところは、メインシルと
フロアパンを備えたキャブのごとき、複数の構成部材か
らなる構造物であり、圧潰時における構成部材の大変形
をともなう問題に適用でき、一回の計算で構成部材の剛
性(荷重)分担および剛性(荷重)分担率を算出できる
ようにした最適な構造物の補強材配設方法を提供しよう
とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を満足す
るための第1の発明のトラックのキャブ構造は、請求項
1として、前端部から後端部に亘って段状に折曲形成さ
れるフロアパンと、このフロアパン下面に密着され、フ
ロアパンを補強する断面逆ハット状のメインシルとを具
備し、上記メインシルは、その長手方向に沿ってフロア
パンの段変化に応じた曲り部を備え、このメインシルの
曲り部に補強用隔壁を設けたことを特徴とする。
【0022】請求項2として、請求項1記載の上記補強
用隔壁を備えた曲り部は、フロアパン中間部に載設され
るシートの後端部に位置する前側曲り部と、フロアパン
後端部に載設されるベッドの前端部に位置する後側曲り
部であり、上記前側曲り部に設けられる補強用隔壁の強
度を、後側曲り部に設けられる補強隔壁の強度よりも大
としたことを特徴とする。
【0023】上記第1の目的を満足するための第2の発
明のトラックのキャブ構造は、請求項3として、前端部
から後端部に亘って段状に折曲形成されるフロアパン
と、このフロアパン下面に密着され、フロアパンを補強
する断面逆ハット状のメインシルとを具備し、上記フロ
アパンは、衝突時に局部座屈が発生する箇所に、フロア
パンに密着する補強板を設けたことを特徴とする。
【0024】上記第1の目的を満足するための第3の発
明のトラックのキャブ構造は、請求項4として、前端部
から後端部に亘って段状に折曲形成されるフロアパン
と、このフロアパン下面に密着され、フロアパンを補強
する断面逆ハット状のメインシルとを具備し、準静的問
題(時間に対する速度の割合が小さい状態、すなわち停
止直前の状態)および動的問題(時間に対する速度の割
合が大きい状態、すなわち走行中の状態)を対象とした
衝突時の、メインシルの荷重分担をPM 、フロアパンの
荷重分担をPF としたとき、次式からメインシルの荷重
分担率αを30〜60%に設定したことを特徴とする。
【0025】
【数4】
【0026】上記第2の目的を満足するための第4の発
明の構造体の補強材配設方法は、請求項5として、複数
の構成部材1,2,3,…からなる構造体であって、衝
突時の各構成部材における準静的問題と、動的問題を対
象とした各構成部材の荷重分担および荷重分担率を次式
から算出し、最適位置に補強材を配設することを特徴と
する。
【0027】
【数5】 として、各構成部材1,2,3,…の荷重分担P1 ,P
2 ,P3 ,…を求める。
【0028】ただし、U:構造体が受ける歪みエネルギ
(外から力を受けて変形するときの力×変位として内部
に蓄えられるエネルギ)、U1 ,U2 ,U3 ,…:各構
成部材の歪みエネルギ、dt :微小時間、P:荷重、
u:荷重点変位、U1 ´,U2´,U3 ´,…:U1
2 ,U3 ,…の時間に対する変化率。
【0029】
【数6】 として、構成部材iの荷重分担率αi を求める。
【0030】ただし、Pi :構成部材iの荷重分担。以
上のような課題を解決するための手段を備えることによ
り、請求項1ないし請求項3の発明によれば、少ない重
量増加で効果的にメインシルの断面変形が抑制され、キ
ャブの高座屈荷重と、高エネルギ吸収を確保できる。
【0031】請求項4の発明によれば、少ない重量増加
で効果的にフロアパンの断面変形が抑制され、キャブの
高座屈荷重と、高エネルギ吸収を確保できる。請求項5
の発明によれば、所定の構成部材の荷重分担および荷重
分担率を容易に得られ、軽量化に悪影響を与えることな
く、強度剛性が増大する。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を参照して説明する。図1は、トラックのキャブを構
成するフロアパン1とメインシル2とを分割して示す。
【0033】上記フロアパン1は、その前端部におい
て、中央部が一段高く水平に膨出形成される膨出部1a
と、この膨出部1aの両側部において、水平に、一段低
く落ち込んで形成され両側部1b,1bが一体に連設さ
れている。
【0034】上記膨出部1aおよび左右の両側部1b,
1bとも、前端部から後端部側に亘って漸次段階的に高
さが高くなるよう、段状に折曲形成される。そして、そ
れぞれの後端部において、膨出部1aおよび両側部1
b,1bは互いに段差がなく、全面に亘って水平な後端
水平部1cに連設されている。
【0035】上記フロアパン1は、膨出部1aと両側部
1b,1bおよび後端水平部1cとも、全面的に細かな
凹凸部分が形成されているが、全て綿密な剛性計算にも
とづいて求められたものであり、強度の確保を図ってい
る。
【0036】フロアパン1の左右両側部1b,1bのほ
ぼ中央部には、それぞれシート3,3が配置されてい
る。一方のシート3は運転席を構成し、他方のシート3
は助手席を構成する。
【0037】上記各シート3はそれぞれ、フロアパン1
に直接配置されるシートクッション3aと、このシート
クッション3aの後端部に一体的に設けられるシートバ
ック3bとからなる。
【0038】フロアパン1の後端部に形成される後端水
平部1cには、簡易型のベッド4が配置されている。上
記メインシル2は、フロアパン1の左右両側部1b,1
b前端から後端水平部1c後端に亘る下面にスポット溶
接などの手段で固着される一対の並行部2a,2aを有
している。
【0039】これら並行部2a,2aは、フロアパン1
の左右幅方向に亘って一体に連設される後端部2bを有
しており、この部分も当然、フロアパン後端水平部1c
の下面に固着される。
【0040】メインシル2の並行部2a,2aおよび後
端部2bとも、その断面形状は略U字状であるとともに
上端部が水平に折曲された鍔部を有しており、いわゆる
ハット状をなす。
【0041】またメインシル2には、上記シート3の取
付け用裏板2cをはじめ、並行部2a,2a前端相互を
連結する連結部2dや、並行部2a,2a後端と後端部
2b中央部を連結する骨格部2eなどが一体的に設けら
れる。
【0042】このようなメインシル2は、ここでは図示
しない車体フレームに取付け固定され、したがってメイ
ンシル2は上記フロアパン1を支持し、かつ補強するこ
ととなる。
【0043】キャビンを構成する図示しない外板は、フ
ロアパン1の左右両側部1b,1b外面側に側構、後端
水平部1cとメインシル後端部2b外面側に後構、フロ
アパン1およびメインシル2の前端側に前構が位置し、
これらの上方部位に屋根構が設けられ、これらでキャビ
ンが形成される。
【0044】図3に示すように、このようなキャビンK
を移動剛壁5を備えた移動体に載置し、所定速度の条件
下で固定バリア6に対して衝突させ、キャビン強度を実
測した。
【0045】図4は、このときの移動剛壁5の速度特性
を表す。そしてこの特性は、実測にもとづく特性値が与
えられている。その結果、キャビンKはクラッシュ変形
をなす。あらかじめ計算値で予測した状態と実測とでは
差がでるが、キャブ自体の変形モードは上記メインシル
2とフロアパン1とに最も大きく現れる。
【0046】具体的には、図2に示すように、メインシ
ル2の変形モードは、左右の並行部2a,2aにおける
中間部分から後端部分にかけて傾斜する前側曲り部7
と、その後端側の後側曲り部8とが大きく折れ曲がっ
た。なお、上記前側曲り部7はフロアパン1に配設され
るシート3の後端部に位置し、かつ後側曲り部8は上記
ベッド4の前端部に位置する。
【0047】その反面、これら曲り部7,8を繋ぐ傾斜
部およびそれぞれから前後端部に亘る直線部において
は、ほとんど曲りが見られなかった。そこで、各曲り部
7,8に同図に示す、補強用隔壁10をたとえばスポッ
ト溶接等の手段でメインシル2に固着する。上記補強用
隔壁10は、メインシル2を形成する両側壁と底面壁に
それぞれ内面に固着される片部10a,10bを有する
とともに、これら両側壁と底面壁とで囲撓される空間部
を遮断する隔壁部10cを有する。この板厚は、メイン
シル2の板厚の1〜2倍程度とする。
【0048】前後側曲り部7,8として、メインシル後
端部2bから後側曲り部8中心までの距離をl1 ,後側
曲り部8中心から前側曲り部7中心までの距離をl2
したとき、それぞれの曲り部7,8中心から後側に 1/3
1 〜 1/2l1 の範囲、かつ前側に 1/3l2 〜 1/2l2
の範囲に亘って、上記補強用隔壁10を3枚程度設け
る。なお、強度的に支障がなく、スペース上の問題があ
る場合には1,2枚でもよい。
【0049】ただし、後側曲り部8に対する補強用隔壁
10の使用枚数よりも、前側曲り部7に対する補強用隔
壁10の使用枚数の方を多くする。すなわち、シート3
の後端部に位置する前側曲り部7の補強強度を、ベッド
4の前端部に位置する後側曲り部8に対する補強強度よ
りも大にする。
【0050】このようなメインシル2の前後側曲り部
7,8に対する補強用隔壁10の補強により、少ない重
量増加で効果的にメインシル2の断面変形が抑制され、
キャブの高座屈荷重や、高エネルギ吸収を確保できる。
【0051】一方、上記フロアパン1においては、シー
ト3の後端部に近い位置で、かつ膨出部1aと両側部1
bとの境を形成する稜線に沿う部分を中心として、その
周辺部に局部座屈の発生が見られた。すなわち、衝突実
験による荷重発生方向とは直交する方向に陥没変形が生
じた。
【0052】そこで、この局部座屈発生部位のフロアパ
ン1下面に、同図に示すような補強板20をスポット溶
接などの手段で固着する。上記補強板20は、フロアパ
ン1の形状に合わせて上面部20aと左右の側部片20
b,20bとの三面部に折曲形成される。
【0053】あるいは、稜線から同一長さの上面部片3
0aと側部片30bとの二面部からなる補強板30であ
ってもよい。いずれにしても、膨出部1a前端から後端
水平部1c前端に至る稜線をプレスラインとして、この
全長をL、局部座屈発生箇所におけるプレスラインから
左右の段部に至る(坂部)の高さをlとしたとき、各補
強板20,30の上面部20a,30aの前後方向長さ
が 1/3L、各側部片20b,30bの傾斜長さが 1/2〜
1/3lは必要である。また、二面部からなる補強板の場
合は、上面部片の長さが 1/2〜 1/3lは必要である。こ
れらの板厚は、フロアパンの板厚の1〜5倍の範囲とす
る。
【0054】このような補強板20もしくは30をフロ
アパン1に固着することにより、キャブの同じクラッシ
ュ量ではエネルギ吸収量が大幅に増大して、局部座屈の
発生を抑制する。
【0055】また、キャブにおける軽量化保持と強度剛
性増大化のハイレベルでのバランスを実現して、衝突時
のエネルギ吸収を効率よくなすために、キャブ構成部材
が複数の部材1,2,3,…から構成されたものであ
り、衝突時の各部材における準静的問題(時間に対する
速度の割合が小さい状態、すなわち停止直前の状態)
と、動的問題(時間に対する速度の割合が大きい状態、
すなわち走行中の状態)を対象としての計算式は、以下
の通りになる。
【0056】すなわち、はじめにキャブが受ける歪みエ
ネルギU(外から力を受けて変形するときの力×変位と
して内部に蓄えられるエネルギ)を求め、ここから荷重
Pを成立させて、構成部材1,2,3,…の剛性分担
(荷重分担)を求める。
【0057】
【数7】
【0058】(3)式から、構成部材1,2,3,…の
剛性分担(荷重分担)P1 ,P2 ,P3 ,…が求められ
る。なお、U1 ,U2 ,U3 ,…は各構成部材の歪みエ
ネルギ、dt は微小時間、Pは荷重、uは荷重点変位、
1 ´,U2 ´,U3 ´,…はU1 ,U2 ,U3 ,…の
時間に対する変化率である。そして、構成部材1,2,
3,…が存在するとき、それぞれの荷重分担P1 ,P
2 ,P3 ,…が求められたら、構成部材iの荷重分担率
αを次式から得る。
【0059】
【数8】
【0060】つぎに、上記式から、構造物がトラックの
キャブであり、構成部材として、メインシル2とフロア
パン1の場合の、メインシル2の荷重分担率を求めるこ
ととする。すなわち、メインシル2の荷重分担をPM
フロアパン1の荷重分担をPF として、このときのメイ
ンシル2の荷重分担率αを
【0061】
【数9】 とおくと、α=0.3〜0.6(30〜60%)が得ら
れる。
【0062】すなわち、メインシル2の荷重分担率が3
0〜60%の範囲に収まるように補強材(補強用隔壁1
0など)を配設することにより、軽量化保持と強度剛性
増大を得ることができる。
【0063】以上の結論は、図5の実測グラフからも求
められる。横軸に、キャブの圧潰変形(衝撃的な変形で
ない)時における、キャブの最大許容変形量としての基
準変位u0 に対する実際の変位uの割合(u/u0 )を
とる。縦軸に、同状態時での、キャブが受ける最大荷重
をP0 に対する実際の荷重Pの割合(P/P0 )をと
る。
【0064】キャブを2種類備える。その一方は、先に
説明したメインシル2とフロアパン1からなるキャブで
あり、他方はメインシル2のみのキャブである。このよ
うなフロア付きメインシルの荷重変位特性がA変化とし
て得られ、メインシル単体での荷重変位特性がB変化と
して得られる。
【0065】ここで、フロア付きメインシルのA変化
で、最初に荷重比のピークがでるのは、u/u0 =0.
05付近であり、つぎのピークはu/u0 =0.6付近
およびu/u0 =0.7付近に出る。
【0066】このときの荷重をそれぞれ、Pa ,Pb1
b2とおけば、Pa =Pb1=Pb2となるようにメインシ
ルを配設するのが望ましい。そして、上記メインシルの
荷重分担率αは、フロア付きメインシルの荷重(PM
F )に対するメインシル単体での荷重(PM )の割合
であるから、上記ピーク時Pa /P0 のメインシルの荷
重分担率αは同特性変化から0.6が得られる。
【0067】同様に、Pb1/P0 のメインシルの荷重分
担率αは同特性変化から0.4が得られる。Pb2/P0
のメインシルの荷重分担率αは同特性変化から0.36
が得られる。基準変位点(最大許容圧潰量)におけるメ
インシルの荷重分担率αは同特性変化から0.3が得ら
れる。
【0068】したがって、メインシルの理想荷重分担率
αが、0.3≦α≦0.6の範囲(30〜60%)に収
まるようにメインシルを配設すれば、基準変位u0 に対
する衝突時の吸収エネルギを最大にできる。
【0069】図6に示すように、メインシルの荷重分担
率αを、0.6よりも大きく設定した場合は、同図に破
線変化C,Dで示すような荷重変位特性となり、吸収エ
ネルギがほとんど変化しない反面、乗員に与える衝撃力
の増大が顕著となる。
【0070】図7に示すように、メインシルの荷重分担
率αを、0.3よりも小さく設定した場合は、同図に破
線変化E,Fで示すような荷重変位特性となり、乗員に
与える衝撃力の減少が見られるが、同時に吸収エネルギ
も減少してしまう。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明な
いし請求項3の発明を採用することにより、少ない重量
増加で効果的にメインシルの断面変形が抑制され、キャ
ブの高座屈荷重と、高エネルギ吸収を確保できる効果を
奏する。
【0072】請求項4の発明を採用することにより、少
ない重量増加で効果的にフロアパンの断面変形が抑制さ
れ、キャブの高座屈荷重と、高エネルギ吸収を確保でき
る効果を奏する。
【0073】請求項5の発明を採用することにより、所
定の構成部材の荷重分担および荷重分担率を1回の計算
で容易に得られ、構成部材を最適に配設できるので、軽
量化保持および強度剛性が増大化する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す、トラックキャブの
フロアパンとメインシルなどを分解した斜視図。
【図2】同実施の形態の、フロアパンおよびメインシル
に対する補強構造を説明する斜視図。
【図3】同実施の形態の、キャブの圧潰試験を説明する
図。
【図4】同実施の形態の、移動剛壁速度特性を示す図。
【図5】同実施の形態の、構造体の補強材配設方法を実
測値から導くための荷重変位特性図。
【図6】最適な剛性分担率の範囲を超えた荷重変位特性
図。
【図7】最適な剛性分担率の範囲以下の荷重変位特性
図。
【符号の説明】
1…フロアパン、2…メインシル、7,8…曲り部、1
0…補強用隔壁、3…シート、4…ベット。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】前端部から後端部に亘って段状に折曲形成
    されるフロアパンと、 このフロアパン下面に密着され、フロアパンを補強する
    断面逆ハット状のメインシルとを具備したトラックのキ
    ャブ構造において、 上記メインシルは、その長手方向に沿ってフロアパンの
    段変化に応じた曲り部を備え、 このメインシルの曲り部に補強用隔壁を設けたことを特
    徴とするトラックのキャブ構造。
  2. 【請求項2】上記補強用隔壁を備えた曲り部は、フロア
    パン中間部に載設されるシートの後端部に位置する前側
    曲り部と、フロアパン後端部に載設されるベッドの前端
    部に位置する後側曲り部であり、 上記前側曲り部に設けられる補強用隔壁の強度を、後側
    曲り部に設けられる補強隔壁の強度よりも大としたこと
    を特徴とする請求項1記載のトラックのキャブ装置。
  3. 【請求項3】前端部から後端部に亘って段状に折曲形成
    されるフロアパンと、 このフロアパン下面に密着され、フロアパンを補強する
    断面逆ハット状のメインシルとを具備したトラックのキ
    ャブ構造において、 上記フロアパンは、衝突時に局部座屈が発生する箇所
    に、フロアパンに密着する補強板を設けたことを特徴と
    するトラックのキャブ構造。
  4. 【請求項4】前端部から後端部に亘って段状に折曲形成
    されるフロアパンと、 このフロアパン下面に密着され、フロアパンを補強する
    断面逆ハット状のメインシルとを具備したトラックのキ
    ャブ構造において、 準静的問題(時間に対する速度の割合が小さい状態、す
    なわち停止直前の状態)および動的問題(時間に対する
    速度の割合が大きい状態、すなわち走行中の状態)を対
    象とした衝突時の、メインシルの荷重分担をPM 、フロ
    アパンの荷重分担をPF としたとき、次式からメインシ
    ルの荷重分担率αを30〜60%に設定したことを特徴
    とするトラックのキャブ構造。 【数1】
  5. 【請求項5】複数の構成部材1,2,3,…からなる構
    造体であって、衝突時の各構成部材における準静的問題
    と、動的問題を対象とした各構成部材の荷重分担および
    荷重分担率を次式から算出し、最適位置に補強材を配設
    することを特徴とする構造体の補強材配設方法。 【数2】 として、各構成部材1,2,3,…の荷重分担P1 ,P
    2 ,P3 ,…を求める。ただし、U:構造体が受ける歪
    みエネルギ(外から力を受けて変形するときの力×変位
    として内部に蓄えられるエネルギ)、U1 ,U2 ,U
    3 ,…:各構成部材の歪みエネルギ、dt :微小時間、
    P:荷重、u:荷重点変位、U1 ´,U2',U3 ´,…:
    1 ,U2 ,U3 ,…の時間に対する変化率。 【数3】 として、構成部材iの荷重分担率αi を求める。ただ
    し、Pi :構成部材iの荷重分担。
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