JPH0995673A - 地山固結用薬液 - Google Patents

地山固結用薬液

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JPH0995673A
JPH0995673A JP27374495A JP27374495A JPH0995673A JP H0995673 A JPH0995673 A JP H0995673A JP 27374495 A JP27374495 A JP 27374495A JP 27374495 A JP27374495 A JP 27374495A JP H0995673 A JPH0995673 A JP H0995673A
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Shinya Uda
信也 宇田
Ko Ishihara
興 石原
Isao Natsubori
功 夏堀
Osamu Wakizaka
治 脇坂
Yasuyuki Mitsutome
康幸 満留
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SHINKU KAGAKU KOGYO KK
Sumitomo Riko Co Ltd
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SHINKU KAGAKU KOGYO KK
Sumitomo Riko Co Ltd
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
    • C04B28/24Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing alkyl, ammonium or metal silicates; containing silica sols
    • C04B28/26Silicates of the alkali metals
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬化時間の調整が可能で、高い固結強度と
土中への優れた浸透性を有し、高い発泡倍率を有して経
済性にも優れた地山固結用薬液の提供。 【構成】 ケイ酸ソーダ水溶液を主成分とするA液
と、(B-1) 一般式(I)(式中、nは0または1以上の整
数である。)で表わされるポリメチレンポリフェニレン
ジイソシアネート(MDI)とポリアルキレングリコー
ルとの反応生成物である乳化分散型MDIおよび(B-2)
前記一般式 (I)で表わされるMDIの混合物であって、
当該混合物の45〜65重量%がn=0の二核体であ
り、特に5〜35重量%が一般式(II)で示される2,
4′−ジイソシアナトジフェニルメタンであり、かつn
≧3のMDIが10〜45重量%であるMDI混合物を
主成分とするB液とを組み合わせてなることを特徴とす
る地山固結用薬液。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、破砕帯を有する岩
盤や砂礫層等の堆積層に代表される軟弱地盤の固結安定
化およびコンクリート中のクラックや空隙の補修等に用
いる注入薬液組成物(以下、「地山固結用薬液」とい
う。)に関する。
【0002】
【従来の技術】破砕帯を有する岩盤や砂礫層等の軟弱地
盤を固結安定化するためには、グラウトの注入を行なう
のが通常である。こうしたグラウトとしては、無機系グ
ラウト、有機系グラウト、および無機成分および有機成
分からなる無機−有機複合組成物が知られている。
【0003】このうち、無機系グラウトとしては、セメ
ントの懸濁液や水ガラスを成分とするものが代表的であ
るが、前者は地盤への浸透性が悪く、硬化速度が遅い。
また、後者は硬化速度や地盤への浸透性では前者に勝る
ものの固結強度が低く充分でない。さらに、水との接触
によってアルカリ成分やシリカ成分が溶解して強度低下
を引き起こすという問題がある。
【0004】有機系グラウトとしては、尿素系、アクリ
ル系またはウレタン系の薬液を注入して地盤中で硬化さ
せるものが代表的であるが、尿素系薬液は、固結強度が
十分ではなく、ホルマリン等の硬化成分の溶出が問題と
なる。アクリル系またはウレタン系薬液は、固結強度は
高いものの、成分化合物が高価である上、硬化生成物が
可燃性であるという問題がある。
【0005】無機−有機複合組成物は、無機成分として
水ガラスを用い、有機成分として有機系グラウトに使用
されるような各種硬化剤を用いる系が基本的である。例
えば特開昭 55-160079号公報には、水ガラスを主成分と
する成分Aとイソシアネートからなる成分Bを含有する
硬化組成物の使用例が記載されている。こうした系で使
用可能なイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジ
イソシアネート等が知られている(例えば、特開昭55-3
8862号、同4-283290号、同4-318096号公報等)。「C−
MDI」(クルード−ポリメチレンポリフェニレンジイ
ソシアネート)と称されるこのポリイソシアネートは、
ベンゼン核を2個以上含む種々のポリイソシアネートの
混合物である。C−MDIは、一般的に無機−有機複合
体を形成する上で有用であると考えられているが、これ
をイソシアネート成分として用いる場合、発泡倍率が1
〜3倍程度と低いため、高い固結強度を得るためには多
くの薬液が必要となり経済性が悪いという問題があっ
た。
【0006】また、最近では、処理しようとする地山に
長尺のパイプを埋め込み、その内部に薬液を注入し硬化
させて補強材とするパイプルーフ工法が行なわれている
が、この工法では硬化速度の調整が重要な要素となる。
すなわち、セメント懸濁液等の無機系薬液では、前述の
ように硬化速度が遅いため、埋設したパイプの先端から
少しずつ固結処理を繰り返す必要があり作業手順が複雑
になる。ウレタン系薬液の利用も検討されているが、硬
化速度が速すぎるため長尺パイプ内で薬液送出用の吐出
管が抜けなくなるなどの問題を生じる。無機−有機複合
系により適当な硬化速度とすることも試みられている。
この場合、通常の無機−有機複合系組成では硬化速度が
速すぎるためウレタン系薬液と同様の問題がある。硬化
促進剤の添加量を減らせば混合から硬化に至るまでの時
間(以下「硬化時間」という。)を長くすることができ
るとも思われるが、無機成分液と有機成分液の相溶性の
悪さ等の原因により、この場合には硬化せずに両成分が
分離してしまうという問題があり硬化速度の調整には限
界があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、発泡倍率お
よび固結強度が高く、硬化速度の調整が容易であり、か
つ、硬化時間の長短に関わらず安定して注入可能な地山
固結用薬液組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、無機−有
機複合系薬液において、C−MDIの多核体の成分比お
よび二核体と五核体以上の含有比を調整することによ
り、ゲル化の進行と発泡とのバランスの改良された地山
固結用薬液が得られることを見出し新規な二液型薬液組
成物の提案を行なった(特開平6-287557号公報および特
願平6ー264583号)。本発明者らは、この二液型薬液にお
いて、C−MDIを構成する多核体の成分比および二核
体の異性体比を特定範囲にし、C−MDI成分とともに
乳化分散型MDIを用いることにより、高い発泡倍率と
固結強度および地盤への浸透性に優れ、なおかつ無機成
分との混合後も高い安定性が実現されることを見出し本
発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、以下の地山固結用薬
液を提供する。 (1)ケイ酸ソーダ水溶液を主成分とするA液と、(B-
1) 一般式(I):
【化3】 (式中、nは0または1以上の整数である。)で表わさ
れるポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(M
DI)とポリアルキレングリコールとの反応生成物であ
る乳化分散型MDIおよび(B-2) 前記一般式 (I)で表わ
されるMDIの混合物であって、当該混合物の45〜6
5重量%がn=0の二核体であり、特に5〜35重量%
が一般式(II):
【化4】 で示される2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン
であり、かつn≧3のMDIが10〜45重量%である
MDI混合物を主成分とするB液とを組み合わせてなる
ことを特徴とする地山固結用薬液。
【0010】(2) A液がさらに分子量が5000以下で
あるポリオールを含有する前記1に記載の地山固結用薬
液。 (3) B液中の乳化分散型MDIとMDI混合物の重
量比が3:7〜8:2である前記1に記載の地山固結用
薬液。 (4) 前記乳化分散型MDIの生成に用いられるポリ
アルキレングリコールが分子量500〜3000のポリエチ
レングリコールである前記1に記載の地山固結用薬液。 (5) 前記乳化分散型MDIのNCO%が23〜31
%である前記3に記載の地山固結用薬液。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の地山固結用薬液は主とし
て無機成分からなるA液と有機成分からなるB液の2液
から構成され、A液は(A-1) ケイ酸ソーダ水溶液、およ
び好ましくは(A-2) 低分子量ポリオールを含有し、B液
は(B-1) 乳化分散型MDIと(B-2) C−MDI混合物と
を主成分とする。以下、各成分について詳説する。
【0012】A液中の成分(A-1) として用いられるケイ
酸ソーダ水溶液は、一般式Na2 O・mSiO2 ・xH
2 Oで表わされるケイ酸ソーダの水溶液(いわゆる水ガ
ラスまたは水ガラスと水の混合物)である。上記ケイ酸
ソーダは市販の製品を用いることができ、上記式におい
てm= 0.5〜4の範囲のものが含まれる。水溶液の固形
成分濃度としては、通常10〜60重量%、好ましくは
20〜55重量とする。固形分濃度が10%未満だと薬
液中のケイ酸ソーダの割合が低く充分な難燃性が得られ
ない。固形分濃度が60%を超えるとケイ酸ソーダが溶
解しきれず液の分離を引き起こす。
【0013】A液は好ましくはポリオールを含有する
(成分(A-2) )。ポリオールを含有することで発泡倍率
が高くなり、また、硬化物の強度が向上する。なお、本
明細書においてポリオールとは、炭化水素またはエーテ
ルもしくはエステル分子中の炭素原子に結合する2以上
の水素が水酸基で置換されたものをいう。典型的には2
官能性または3官能性のポリオールが用いられる。
【0014】かかるポリオールの例としては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジ
オール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オールなどのジオール、グリセリン、トリメチロールプ
ロパンなどのトリオール、ペンタエリスリトールなどの
多官能グリコールならびにポリエチレングリコールおよ
びポリプロピレングリコールまたはそれらの複合ポリオ
ールなどのポリエーテルポリオールが挙げられる。分子
量5000以下のポリオールが好適に用いられる。分子量が
5000を超えると強度が発現しにくくなる。分子量が20
0〜600のOH価100〜3000のポリエーテルポリオ
ールが特に好ましい。A液中におけるポリオールの含有
量は、30重量%以下好ましくは10〜20重量%であ
る。30重量%を超えると浸透性が悪くなり、かつ反応
性や発泡性も悪くなる傾向がある。
【0015】B液は、一般式(I):
【化5】 (式中、nは0または1以上の整数である。)で表わさ
れるポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(M
DI)の混合物(C−MDI)およびMDIから誘導さ
れる乳化分散性を有する化合物(本明細書において「乳
化分散型MDI」という。)から主として構成される。
B液中の成分(B-1) として用いられる乳化分散型MDI
はMDIとポリアルキレングリコールを付加反応させて
得られる。原料MDIは一般式 (I)においてnが6以下
のものが好ましい。原料MDIは単一化合物、例えば後
述の4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタンでもよ
いし、n値の等しい異性体の混合物あるいはn値の異な
る化合物の混合物でもよい。
【0016】ポリアルキレングリコールは分子量500
〜3000のものが好適に用いられる。500未満では生成
する乳化分散型MDIの乳化性が不十分である。3000を
超えると油分が浮くようになる。本発明においては、成
分(B-1) の乳化分散型MDIは次式:
【0017】
【数1】NCO%={(NCO基の式量)×(NCO基
の個数)/イソシアナート化合物の分子量}×100 で定義されるNCO%が23〜31となることが好まし
い。NCO%が23%未満であるとA液とB液とを混合
した後、硬化反応に至るまでの時間が短くなりすぎる傾
向がある。NCO%が31%を超えると乳化性が低下す
る。
【0018】B液中の成分 (B-2)として用いられるC−
MDI混合物は、一般式 (I)においてnが0以上の多核
体の混合物であり、具体的には以下の(a) 〜(c) の3条
件を満たすものである。 (a) n=0の二核体がC−MDI混合物全量の45〜6
5重量%を占める。 (b) 二核体の中でも特に一般式II:
【0019】
【化6】 で示される2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン
(本明細書において「2,4−体」という。)がC−M
DI混合物全量の5〜35重量%、好ましくは10〜2
0重量%を占める。 (c) n≧3の五核体またはそれ以上の多核体がC−MD
I混合物全量の10〜45重量%を占める。 二核体が45重量%未満であると発泡倍率が低い。一
方、その含有量が65重量%を超えるとゲル化が著しく
遅れ、発泡とのバランスが崩れるため、良好な発泡体が
得られない。また、2,4−体が5重量%未満であると
発泡倍率が低く、35重量%を超えると固結強度が低下
する。
【0020】二核体:
【化7】 にはメチレンに対しオルトまたはパラ位にNCO−基が
位置する4種類のジイソシアネート: (i) 2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン:
【化8】 (ii)2,2′−ジイソシアナトジフェニルメタン(以
下、「2,2−体」という。):
【化9】 (iii) 4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタンビス
(以下、「4,4−体」という。):
【化10】
【0021】が存在する(メタ置換体を含めればより多
数の異性体が存在するが、配向性の点からこれらは生成
しにくい。)。そして、特に2,4−体の含有比が一定
の範囲内にあると発泡倍率が著しく高くなることが判明
した。n=0の二核体が上記の条件を満たしても、n≧
3の多核体が10重量%未満であるか45重量%以上で
あると、やはり実用に供し得るような良好な発泡体が得
られない。一般的に2,4−体の含有量が増やした場合
には固結強度が低下する傾向があるためn≧3の多核体
含有量を増やすことが好ましい。
【0022】B液中の (B-1):(B-2) の成分比は、3
0:70〜80:20の範囲が好ましい。 (B-1)成分
(乳化分散型MDI)が少ないと、硬化促進剤を少なく
して硬化時間を長くするように試みた場合、A液とB液
との反応が進まないうちに両液が分離してしまう。 (B-
1):(B-2) =40:60〜65:35の範囲が特に好ま
しい。
【0023】B液は、上記の成分に加え、希釈剤を含ん
でもよい。希釈剤の例としては、ジオクチルフタレ−
ト、ジブチルフタレート、ジオクチルアジペート、塩素
化パラフィン、プロセスオイル等が挙げられる。これら
は単独でも組み合わせて用いてもよい。また、発泡性を
調整するため、発泡性希釈剤を使用してもよい。ここ
で、発泡性希釈剤とは、A液とB液との反応の際発生す
る熱によって揮発し、両液の反応の結果生じる無機−有
機複合体を発泡させる有機溶媒である。発泡性希釈剤
は、希釈作用によってB液成分の岩盤への浸透性を高め
るとともに、発泡作用によって上記複合体を岩盤内によ
り深く浸透させ岩盤の強化に寄与する。発泡性希釈剤の
例としては、アセトン、メチルエチルケトン、エタン、
ブタン、ペンタン、ヘキサン、プロピレンカーボネー
ト、エチレングリコールアセテート、塩化メチレンなど
が挙げられる。使用が許容されるならば揮発性のハロゲ
ン化アルキルを用いてもよい。発泡性希釈剤の使用量
は、A・B両液の反応の際の発泡倍率が3倍以上となる
ように決定される。その上限は、作業環境によって、ま
た、対象とする地盤等の強弱に関する考慮から決定され
る。通常は、A液とB液との合計量の20重量%以下で
ある。また、必要に応じて、オルガノポリシロキサンの
ような整泡剤、老化防止剤、耐熱性付与剤、抗酸化剤の
ような安定化剤を用いてもよい。
【0024】本発明の地山固結用薬液は、以上に挙げた
成分を上記の範囲内で用いることにより、硬化速度、し
たがって硬化時間を調整することが可能である。すなわ
ち、A液とB液とを混合した後、硬化に至るまで両液の
分離を招くことがなく、かつ、実用的見地から要求され
る発泡倍率や固結強度を実現することができる。硬化時
間の調整は、硬化促進剤の添加量を増減することにより
行なう。
【0025】硬化促進剤としては従来既知のいずれのも
のも用いることができ、例えば、ジメチルオクチルアミ
ン、ジメチルラウリルアミン、トリエチルアミン、エチ
レンジアミン、トリエチレンジアミン(TEDA)、テ
トラメチルヘキサメチレンジアミン(TMHD)、ジメ
チルヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン
(DMCHA)、エタノールアミン、ジエチルエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、モルホリンやピペラジンあるいはトリメチルアミノ
エチルピペラジン(TMAEP)のようなその誘導体、
イミダゾリンのような脂肪族アミン、2−メチルイミダ
ゾールやイソブチルー2ーメチルイミダゾール等のイミ
ダゾール類、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチ
ル)フェノ−ル−N,N,N′,N′−テトラメチルメ
タンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルアミン等
の芳香族アミン、あるいはジブチル錫ジラウレ−ト、オ
クチル酸錫、塩化第二錫、オクテン酸鉛、ナフテン酸鉛
等の有機金属系触媒等が挙げられる。
【0026】好ましい硬化促進剤の例としては、2−メ
チルイソブチルイミダゾールやジメチルヘキシルアミン
等が挙げられる。硬化促進剤の使用量は、目的とする硬
化時間によって変わるが、通常、B液に対して 0.1〜2
0重量%、好ましくは 0.5〜15重量%である。
【0027】硬化促進剤を注入液中に分散させるために
界面活性剤を用いてもよい。かかる界面活性剤の例とし
ては、アルキルサルフェート、アルキルベンゼンスルホ
ネート、エトキシアルキルサルフェート、エトキシアル
キルベンゼンサルフェート等のナトリウム塩、アミン塩
またはアンモニウム塩、アルキルリン酸塩のような陰イ
オン性界面活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエ
ーテルのような非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
この他、使用する硬化促進剤に応じて、陽イオン性、あ
るいは両イオン性界面活性剤を使用することもできる。
これらの界面活性剤の量は、硬化促進剤の100重量%
以下、好ましくは10〜20重量%である。
【0028】本発明の地山固結用薬液は、上記A液とB
液とを組み合わせたもので、両液は使用時に混合され
る。混合比は、A液中の全水酸基含有量とB液中のNC
O基含有量によっても異なるが、通常は、10:1〜
1:10の範囲内、好ましくは1:1〜1:3の範囲内
とする。上記の範囲外では、いずれか一方の反応液が過
剰となるため良好な地山固結効果が達成されない。
【0029】本発明の地山固結用薬液は、破砕帯を有す
る岩盤や砂礫層等の堆積層に代表される軟弱地盤、ある
いは、コンクリート中のクラックや空隙に注入され、こ
れらを固結安定化するのに用いることができる。注入方
法については、注入の直前に二液の混合が確実に行なわ
れる方法であれば特に限定はなく、任意の方法が使用で
きる。典型的な方法は、以下のとおりである。まず、注
入を行なうべき岩盤等にあらかじめ所定間隔で孔を穿
ち、端部および/または壁面に吐出孔を有する注入管を
挿入固定する。一方、A液とB液をそれぞれタンクに装
入し、ホースおよび継手を通して各液を上記注入管内に
3〜10kg/cm2 の圧力で注入する。両液は、注入
管に送入する際または管内において均一混合され、地盤
等の対象物中に注入される。
【0030】本発明の薬液は、硬化時間の調整が可能
で、A液とB液を混合した後硬化に至るまで分離せずに
安定した状態に保たれるので、種々の岩盤固結方法に適
用できる。例えば、トンネルまたは坑道の天蓋部の補強
を目的とする場合には、天蓋部に例えば約2m間隔で、
深さ約2〜約3m、穿孔角度10〜20°、径4〜6c
mの逆止弁および静止ミキサーを備えた有孔の注入ボル
トまたは注入ロッドのような注入ボルト挿入孔を設け、
各孔に全長3m程度の注入ボルト/ロッドを挿入し、上
述のように薬液を注入する。硬化時間を長くした場合、
薬液は地盤内の広い範囲に自然に浸透する。具体的に
は、注入ボルト/ロッドの先端を中心に薬液が楕円球状
の広がりを見せて地山内に拡散し硬化する。各ボルト/
ロッドの吐出口先端に生じた硬化部は相互に連結状態と
なっているため、砂層等の脆弱な地層に対しても強固な
補強が可能となる。
【0031】また、注入管として長さ数十mに及ぶ長尺
管を用いるパイプルーフ工法への適用も可能である。こ
の工法では、トンネルまたは坑道を掘削しようとする地
盤中に、先端部にドリル刃等の掘削手段を取り付けた長
尺管をアーチ状に列をなすように挿入埋設していく。埋
設後は、図1に示すごとくトンネルまたは坑道の天蓋部
となるべき面1に沿い、トンネルまたは坑道の延長方向
と並行に長尺管群2が位置することになる。これらの長
尺管はその壁面に吐出孔が穿たれており、管内に薬液を
注入して管内を薬液を充填すると管の周囲にも薬液が流
出する。この結果、薬液が硬化すると、それ自体補強材
となる長尺管をつないで半円柱面状の硬化部が形成され
る。
【0032】本発明の薬液は、硬化時間を長くしてもA
・B両液が分離しないので、地層内に必要な量の薬液が
浸透し得るように、かつ、作業上最適なタイミングで硬
化が進行するように硬化時間を選択することが可能であ
る。したがって、パイプルーフ工法の特長を活かした地
山の安定化が実現できる。これらの工法の詳細について
は、例えば本出願人の出願にかかる特開昭 62-288213号
公報や特開平2-221590号公報に記載されている。
【0033】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて、本発明
を具体的に説明する。なお、混合液の反応性および浸透
性ならびに硬化体の強度および発泡性は以下の試験によ
り評価した。 [試験方法] (1) 反応性 A液、B液それぞれ50gずつ取り、撹拌機で所定の時
間、撹拌し発泡が終了するまで静置する。この間の混合
液の色の状況を観察し反応性を評価した。分離せずに発
泡したものを○、はっきりとは分離しないが色むらが生
じたものを△、分離したものを×とした。 (2) 浸透性 直径25cm、長さ100cmのガラス管に4号硅砂を
入れ、砂の上面が下がらなくなるまでバイブレーターを
用いて振動を与え、可能な限り堅く締めた砂柱を形成す
る。このガラス管内に本発明の薬液50gを注ぎ、ガラ
ス管上端を密閉する。液の流れを目視観測し、液の流れ
が停止した時点での浸透深さを測定してこれをもって浸
透性を評価した。
【0034】(3) 発泡倍率(発泡性) A液とB液を1:1の割合で混合して、硬化後の体積を
測定し、反応前の両液の体積の合計値でこれを割って発
泡倍率とした。発泡倍率が10倍以上を◎、6〜10倍
を○、3〜6倍を△、それ以下を×とした。 (4) 圧縮強度 上記(2) の試験で得られた砂柱のうち、その上端面から
5〜15cmの間の部分を試料として採取し、φ40×
80mmに調整し、ストログラフにて圧縮速度5mm/
分で圧縮して破壊時の強度を測定した。最大降伏点が5
0kgf/cm2 以上を○とし、30〜50kgf/cm2 を△、そ
れ以下を×とした。 [乳化分散型MDIの調製]ジフェニルメタンジイソシ
アネートと分子量600〜1000のポリアルキレングリコ
ールを付加反応させて調製した(NCO%:23〜31
%)。
【0035】実施例1〜5 特2号水ガラス〔ケイ酸ソーダ(Na2 O:SiO2
1:1〜4)、含水率40〜70%〕、水、ポリオール
および硬化促進触媒(2−メチルイソブチルイミダゾー
ル)を表1に示す割合で用いA液を調製した。B液成分
としては、前述の乳化分散型MDIと表2に示す組成か
らなるMDI混合物を用いた。上記A液とB液とを1:
1の割合で均一に混合し、上記の試験法により、A液と
B液との混合液の浸透性、硬化体の強度および発泡性を
評価した。結果を表1下欄に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】比較例1〜5 表3に示す通り、(B-1) 成分または(B-2) 成分の一方の
みを用いてB液を構成したほかは上記実施例1〜5と同
様にして比較用薬液を調製した。なお、比較例1〜4で
は、A液中の硬化促進剤(触媒)量も変えた。上記A液
とB液とを1:1の割合で均一に混合し、実施例と同様
に液の浸透性、硬化体の強度および発泡性を評価した。
結果を表3下欄に示す。
【0039】
【表3】
【0040】比較例1〜4の結果に示されるように、C
−MDIのみを使用した場合は、硬化促進剤の量が多い
場合には直ちに硬化してしまい、硬化促進剤の量が数重
量%の場合には硬化が遅れてA液とB液の分離が観察さ
れる。硬化促進剤の量が1重量%以下では両液の分離の
程度が大きい。一方、乳化MDIのみを用いた場合には
両液の分離は起きないが発泡性が悪い(比較例5)。こ
れに対し、B液成分としてC−MDIと乳化MDIを組
み合わせて用いた場合(実施例1〜5)には、A液との
混合後の安定性に固結用薬液組成物が得られる。また、
反応性と発泡性のバランスもとれている。C−MDIと
乳化MDIの混合比が30〜80重量%、特に40〜6
5重量%(実施例3〜4)で優れた結果が得られてい
る。
【0041】実施例6〜12 表4に示すようにA液中のポリオール含有量を変化させ
て薬液組成物の性質への影響を調べた。なお、B液組成
は実施例3と同一とした。得られた薬液の特性を表4下
欄に示す。
【0042】
【表4】
【0043】上記結果に示されるように、ポリオールの
添加により浸透性が低下し、強度が向上する。発泡性
は、ポリオール含有量とともに向上する傾向があるが、
30重量%を超えると(実施例12)急速に低下する。
30重量%以上では反応性も悪くなる。A液中のポリオ
ール含有量が10〜20重量%で最も良好な結果が得ら
れる。
【0044】実施例13〜19 表5に示すようにA液中の硬化促進剤含有量を変化させ
て薬液組成物の性質への影響を調べた。なお、B液組成
は実施例3と同一とした。得られた薬液の特性を表5下
欄に示す。
【0045】
【表5】
【0046】上記結果に示されるように、本発明の薬液
組成物は、硬化促進剤を0.2 %含有するものであっても
10%含有するものであっても発泡性および強度が優れ
ている。したがって、硬化促進剤の添加量を変えること
により硬化時間を幅広く調整することが可能で、ポット
ライフを長くすることが望ましい用途にも有効に用いる
ことができる。
【0047】実施例20〜21、比較例6〜7 表6に示すようにB液中のC−MDI組成を変化させて
薬液組成物の性質への影響を調べた。なお、A液組成は
実施例3と同一とした。得られた薬液の特性を表6下欄
に示す。
【0048】
【表6】
【0049】上記結果に示されるように、C−MDI中
の2,4−体含有量が本発明の範囲よりも過少(比較例
6)であっても過剰(比較例7)であっても発泡性や強
度が低下する。
【0050】
【発明の効果】本発明の薬液は、無機−有機複合系地山
固結用薬液において、有機成分としてC−MDIと乳化
分散型MDIとを組み合わせて用いることにより、A液
との混合後の安定性が改善される。この結果、硬化促進
剤の添加量を変えるなどにより硬化時間を調整すること
が可能で、ポットライフを長くすることが望ましい用途
にも有効に用いることができ、種々の地山固結処理手法
への適用が可能となる。また、C−MDIの多核体の成
分比及び2核体の異性体比を調整することによって、浸
透性や強度は従来の薬液と同等またはそれ以上で発泡倍
率が改善されている。このため、発泡の際に従来の薬液
では浸透しにくい空隙にもよく浸透して岩盤等の固結処
理をすることができ、しかも、経済的である。さらに、
無機−有機複合体を形成するため、難燃性にも優れてい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パイプルーフ工法において長尺管を埋設した
状態を透過的に示した斜視図。
【符号の説明】
1 隧道/坑道の天蓋部予定面 2 長尺管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 夏堀 功 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 脇坂 治 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 満留 康幸 愛知県名古屋市西区鳥見町2丁目21番地 シンク化学工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケイ酸ソーダ水溶液を主成分とするA液
    と、 (B-1) 一般式(I): 【化1】 (式中、nは0または1以上の整数である。)で表わさ
    れるポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(M
    DI)とポリアルキレングリコールとの反応生成物であ
    る乳化分散型MDIおよび(B-2) 前記一般式 (I)で表わ
    されるMDIの混合物であって、当該混合物の45〜6
    5重量%がn=0の二核体であり、特に5〜35重量%
    が一般式(II): 【化2】 で示される2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン
    であり、かつn≧3のMDIが10〜45重量%である
    MDI混合物を主成分とするB液とを組み合わせてなる
    ことを特徴とする地山固結用薬液。
  2. 【請求項2】 A液がさらに分子量が5000以下であるポ
    リオールを含有する請求項1に記載の地山固結用薬液。
  3. 【請求項3】 B液中の乳化分散型MDIとMDI混合
    物の重量比が3:7〜8:2である請求項1に記載の地
    山固結用薬液。
  4. 【請求項4】 前記乳化分散型MDIの生成に用いられ
    るポリアルキレングリコールが分子量500〜3000のポ
    リエチレングリコールである請求項1に記載の地山固結
    用薬液。
  5. 【請求項5】 前記乳化分散型MDIのNCO%が23
    〜31%である請求項3に記載の地山固結用薬液。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008162816A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Toa Doro Kogyo Co Ltd 地下構造物の免震用注入薬液組成物及びそれを用いた免震工法

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JP2008162816A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Toa Doro Kogyo Co Ltd 地下構造物の免震用注入薬液組成物及びそれを用いた免震工法

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