JPH0994085A - ビールの製造方法 - Google Patents

ビールの製造方法

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JPH0994085A
JPH0994085A JP7273732A JP27373295A JPH0994085A JP H0994085 A JPH0994085 A JP H0994085A JP 7273732 A JP7273732 A JP 7273732A JP 27373295 A JP27373295 A JP 27373295A JP H0994085 A JPH0994085 A JP H0994085A
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  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来法で製造されたビールと比較して香味の
低下など、ビール品質の低下を生じさせることなく、し
かも微生物管理等においての問題を発生させることな
く、発酵期間を短縮したビールの製造方法を提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】 ビールを製造するにあたり、発酵工程に
おいて、発酵初期にビール粕又はその乾燥物、若しくは
それらの抽出液を添加することを特徴とするビールの製
造方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はビールの製造方法に
関し、詳しくは発酵期間を短縮し、かつ従来法に劣らな
い香味を有するビールを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在の我が国で主に行われている下面発
酵酵母を用いたビールの製造方法は、主原料である大
麦から麦芽を作る工程(製麦工程)、この麦芽を粉砕
し、温水と混合したのち、ホップ等の原料を添加して麦
汁を作る工程(仕込み工程)、この麦汁を冷却後、酵
母を添加し、アルコール発酵せしめ、いわゆる若ビール
を作る工程(発酵工程)、この若ビールを数週間低温
で貯蔵し、ビールを作る工程(貯酒工程、後発酵工程と
もいう)、濾過工程を経て、容器に詰め、ビールとし
て出荷されている。
【0003】上記の発酵工程では、発酵タンクに冷麦
汁と酵母を添加することにより、発酵を行わせている。
酵母は増殖し、麦汁中のエキス分をアルコールと炭酸ガ
スに代謝する。一定期間発酵を継続し、然るべきエキス
含量に至った後に、発酵タンクの底より沈降酵母を回収
し、熟成タンクに移し、20日以上の熟成を行ってい
る。
【0004】ドイツ、日本を含んだ多くの国で造られて
いる下面発酵ビールの場合、発酵期間は5〜10℃の温
度にて、7〜10日間必要であるが、もしこの発酵期間
を短縮することができれば、設備を増設することなく、
生産量を拡大することができ、生産コストを低減するこ
とができるなど、大きなメリットがある。
【0005】従来、酵母を活性化し、発酵期間を短縮す
る具体的方策として、(1)通常の発酵温度よりも高い
温度を採用する、(2)酵母の添加量を増加させる、
(3)連続発酵を行う、〔(1)〜(3)の参照文献:
「麦酒醸造学」松山茂助 著、東洋経済新報社発行、
「私のビール醸造学」、サッポロビール株式会社総合研
究所編〕、(4)麦汁に亜鉛を添加する〔T. Jacobsen
ら、 Journal of The Institute of Brewing 1982 、Vo
l.88、 p. 387 〕、及び、上記(1)〜(4)の方法を
組み合わせた方法が提案されている。
【0006】しかしながら、上記(1),(2)の方法
でビール製造を行った場合、従来法で製造されたビール
と比較して、泡持ちの低下や香味の低下など、ビール品
質の低下を余儀なくされ、更に回収酵母の弱化により再
使用は不可能となるなどの問題がある。
【0007】また、上記(3)の方法においては、ニュ
ージーランドのCoutts方式などがあるが、発酵中
の微生物管理が必要であり、一旦運転を中止すると再開
に時間がかかり、さらに異なったタイプのビール製造時
の切り換え等において柔軟性を欠くという問題がある。
【0008】さらに、上記(4)の方法で添加する亜鉛
は、我が国の酒税法上の添加物の範囲外であり、使用す
ることはできない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点を解消し、従来法で製造されたビールと比較して
香味の低下など、ビール品質の低下を生じさせることな
く、しかも微生物管理等においての問題を発生させるこ
となく、発酵期間を短縮したビールの製造方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0010】すなわち、本発明は、発酵期間を短縮した
ビールの製造方法を提供するものである。発酵期間を短
縮することができれば、設備を増設することなく、生産
量を拡大することができ、生産コストを低減することが
できるなど、大きなメリットがある。
【0011】また、本発明は、発酵期間を短縮すると同
時に、従来法に劣らない香味を有するビールを製造しう
る方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の如き
課題を解決するため鋭意研究を行った結果、発酵工程に
おいて、麦汁を製造する際に出るビール粕を発酵初期に
添加することにより、酵母の活性を促進し、発酵期間を
短縮し、且つ従来法に劣らない香味を有するビールを得
ることができることを見出し、この知見に基づいて本発
明を完成するに到った。
【0013】すなわち、本発明は、ビールを製造するに
あたり、発酵工程において、発酵初期にビール粕又はそ
の乾燥物、若しくはそれらの抽出液を添加することを特
徴とするビールの製造方法を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、ビールを製造するにあ
たり、発酵工程に特色を有するものである。この発酵工
程では、発酵タンクに冷麦汁と酵母を添加することによ
り、発酵を行わせるが、本発明は、この発酵工程におい
て、発酵初期に、ビール粕又はその乾燥物、若しくはそ
れらの抽出液を添加することを特徴とするものである。
【0015】ここで発酵初期とは、発酵開始とほぼ同時
が好ましい。発酵開始から1日経過してから投入して
も、発酵期間の短縮にはならない可能性がある。
【0016】通常は、発酵開始と同時に添加する。つま
り、エキス分を調整した麦汁にビール酵母を添加し、こ
れにビール粕又はその乾燥物、若しくはそれらの抽出液
を添加して、発酵を行う。このようなものは、我が国の
酒税法上の添加物の範囲内のものと認められる。
【0017】ここでビール粕とは、通常のビール製造の
際、麦汁を作る仕込み工程において、マッシュを濾過に
よって不溶物を分離し、麦汁を得るが、このときの不溶
物を指す。
【0018】本発明においては、このようなビール粕を
そのまま用いても良いし、或いはこのビール粕を乾燥さ
せたビール粕の乾燥物を用いても良い。このビール粕の
乾燥物は、具体的には、麦汁を搾り終えたビール粕を水
洗し、粕中の細部を除去し穀皮部分を得た後、得られた
穀皮部分を脱水し、さらに乾燥及び殺菌を行ったもので
ある。乾燥は、100〜120℃で3〜4時間程度行え
ば良い。また、殺菌は、120〜150℃で10〜20
分間程度行えば良い。
【0019】本発明においては、上記のようなビール粕
又はその乾燥物の他、これらの抽出液を用いることもで
きる。ここで、ビール粕又はその乾燥物の抽出液とは、
ビール粕又はその乾燥物に乳酸、好ましくは0.5重量
%の乳酸を加え、濾過若しくは固形物を沈殿させて得ら
れた上澄み液を指す。このような抽出液を用いると、抽
出された成分(亜鉛などの無機成分と考えられる)が酵
母を活性化させ、発酵速度が向上し、発酵期間の短縮が
可能となる。
【0020】本発明において、ビール粕又はその乾燥物
は、麦汁量に対して、0.05〜0.2重量%の範囲で
添加することが望ましい。ここでビール粕又はその乾燥
物の添加量が、麦汁量に対して、0.05重量%未満で
あると、発酵期間を短縮させることができない。一方、
ビール粕又はその乾燥物を0.2重量%より多く加えて
も、発酵期間短縮の程度は変わらず、却って発酵工程終
了後、酵母回収時に回収系路のバルブに、ビール粕の成
分である穀皮等が詰まってしまい、酵母回収ができなく
なる危険性があるため、好ましくない。
【0021】なお、本発明は、ビール以外にも、発泡酒
等で発酵のためにビール酵母を用いる酒類の製造に対し
て適用することができる。
【0022】以上のようにして、目的とするビールを製
造することができる。すなわち、上記した如き本発明の
方法によれば、発酵期間を短縮しながらも、従来法に劣
らない香味を有するビールを製造することができる。
【0023】本発明の方法によれば、従来法では約7〜
8日必要とした発酵期間を、約5〜6日に短縮すること
ができる。このような短縮が可能である、その主たる作
用因子は、ビール粕、その乾燥物等による酵母の浮遊性
向上、及び、発酵による麦汁pHの低下に伴うビール粕
中の無機成分、特に亜鉛等の溶出によるものであると考
えられる。
【0024】すなわち、通常の麦汁のpHは5.6前後
であるが、発酵により最終的にpHは4.3前後とな
る。ビール粕中の無機成分は麦汁・水では殆ど溶出せ
ず、pHが4.8程度の酸性域から溶出が起こる。実際
の発酵では、2日目頃にはpHは4.8程度となり、ビ
ール粕中の無機成分の溶出が始まった。溶出された無機
成分は即座に酵母に取り込まれ、酵母を活性化させ、発
酵速度が向上し、発酵期間の短縮が可能となる。
【0025】換言すれば、本発明の方法では、ビールを
製造するにあたり、麦汁に酵母を添加して発酵を行う発
酵工程において、発酵初期にビール粕又はその乾燥物、
若しくはそれらの抽出液を添加することにより、酵母の
繰り返し使用による酵母の活性低下を抑え、さらには活
性化することにより、発酵期間を短縮することができ
る。このような発酵期間の短縮は、ビール粕由来の無機
成分によるものと考えられる。
【0026】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳しく説明す
る。しかしながら、本発明の範囲はこれら実施例により
限定されるものではない。
【0027】調製例1(ビール粕乾燥物の調製) 仕込み工程において麦汁を搾り終えたビール粕を5kg
採取し、1cm2 当たり16目のステンレス網上に広
げ、水道水にて30分間流水洗浄し、粕中の細粒部を除
去し、穀皮部分2.6kgを得た。得られた穀皮部分を
ナイロンネットに採り、(株)日立製作所製の一槽式洗
濯機(商品名:KW−70R1静御前)により脱水を2
分間行った後、ステンレスバットに移し、(株)ヤマト
科学製の乾熱器DN63により120℃で3時間乾燥
し、ビール粕の乾燥物0.6kgを得た。なお、このも
のは、使用するときに、(株)トミー精工製のオートク
レーブSS−245により120℃で15分殺菌を行っ
た。
【0028】実施例1 (1)発酵試験 エキス分を11重量%に調整した麦汁400リットル
(L)に、ビール酵母を1500万Cells/ml添
加し、さらに、これに上記調製例1で得られたビール粕
乾燥物を0.1重量%(対麦汁量)の割合で添加し、発
酵試験を行った。この試験の際の発酵温度の経過を図1
に示す。また、発酵経過を図2に示す。なお、比較のた
めにビール粕を全く添加しなかった場合(無添加の場
合)についても、同様に試験を行った。その結果を併せ
て図2に示した。
【0029】発酵温度の経過については、図1に示すよ
うに、まず麦汁の温度を8℃にし、これに酵母を添加
し、酵母の発酵熱により16時間で10.7℃とし、4
8時間保持した。次いで、酵母への温度ショックを与え
ないために、初めの24時間で10.5℃まで冷却し、
以降は1.0℃/24時間の割合で冷却した。
【0030】本実施例において、発酵に使用したタンク
は、サッポロビール醸造技術研究所保有の30L容(内
径250mm、高さ900mm、(株)曽我製作所製)
及び400L容(内径550mm、高さ2661mm、
(株)曽我製作所製)のタンクである。
【0031】なお、発酵中の麦汁中のエキスの量及び浮
遊酵母数については、次のような方法により測定したも
のである。 エキスの量の測定方法 エキスの量の測定は、京都電子(株)製の密度比重計
(DA−300)及び多検体チェンジャ(CHG−23
0)により、20℃における比重を測定し、エキス量に
換算した。なお、エキスが2.5重量%前後になった時
点を発酵終了とした。
【0032】 浮遊酵母数の測定方法 浮遊酵母数の測定は、萓垣医理科工業(株)製のトーマ
血球計を用い、オリンパス(株)製の顕微鏡BH−2に
より検鏡測定した。
【0033】(2)ビール揮発性成分及び香味試験結果 次に、上記のようにして発酵を行った後、得られた若ビ
ールを貯酒工程,濾過工程を経て、ビールを製造した。
このようにして製造されたビールの揮発性成分アセトア
ルデヒド及びアセトインの量、さらに酢酸エチルと酢酸
イソアミルの量を第1表に示す。なお、これらの量は以
下の通りにして分析した。揮発性成分アセトアルデヒド
及びアセトインのような成分が多すぎると、ビール香味
上好ましくないものとされる。また、本発明により製造
されたビールの香味について、以下のような方法で測定
し、結果を第1表に示した。なお、比較のためにビール
粕を全く添加しなかった場合(無添加の場合)について
も、同様に行った。その結果を併せて第1表に示した。
【0034】 アセトアルデヒドの分析 アセトアルデヒドの分析は、(株)島津製作所製のガス
クロマトグラフィー(GC−14A・検出器はFID)
を使用して行った。カラムはジーエルサイエンス(株)
製の3mステンレスカラムO.D4mm、I.D3mm
(PEG−1540、10% Uniport R 8
0/100メッシュ)を用い、測定条件はカラム温度9
0℃、注入口温度140℃、検出器温度140℃であ
り、キャリアガスとして窒素30ml/分で行った。サ
ンプル調製は300ml容の三角フラスコに食塩18g
及びビール50mlを加え、内部標準3−Hepata
non 0.5mlを添加し、ヘッドスペース5mlを
ガスクロマトグラフィーに注入するヘッドスペースガス
クロ法で測定した。
【0035】 アセトインの分析 アセトインの分析は、(株)島津製作所製のガスクロマ
トグラフィー(GC−14A・検出器はFID)を使用
して行った。カラムはJ&W SIETIFIC社製の
30m×0.320mmキャピラリーカラムDB−WA
X 0.25μm を使用した。測定条件は、カラム温
度−昇温法(65〜250℃まで、1℃/分で昇温)に
て、注入口温度250℃、検出器温度300℃であっ
た。サンプル調製はビール100mlに内部標準n−オ
クチルアルコール1mlを添加し、ジクロロメタン10
mlで抽出し、0.5mlに濃縮し、25μlをGCに
注入し測定した。
【0036】 香味試験法(官能検査) 官能検査とは、高度に熟練したパネラー10人前後によ
り、人間の感覚器官を使用し、ある判定基準に従い、ビ
ールの評価をするものであり、今回、高度の官能識別能
力を有する11人のパネラーによるトライアングル法を
用いた。
【0037】トライアングル法は、比較試験法の中でも
非常に重要なときに行い、内容の明かされていない3つ
のビール(内2つは同一のもの)の中から香味の異なっ
たものを見つけ出すものである。また、香味試験の評点
は、一連の試験での品質の良否を見い出す点数であっ
て、色・光沢・香り・味・後味濃醇さ・苦味の質・強さ
について評価し、各項目に係数を掛けた評点により評価
する方法である。今回は色・光沢を除き、各項目の最高
合計評点を80点とし、各パネラーの評価の内、最高と
最低を除いた平均点を使用した。
【0038】発酵経過については、図2に示されるよう
に、麦汁に酵母を添加した時点(A)からビール粕を添
加し、発酵を行わせた結果、ビール粕を添加したもの
(本発明品)は、ビール粕無添加のもの(比較対照品)
と比較して、浮遊酵母数が多かった。また、ビール粕を
添加したもの(本発明品)は、ビール粕無添加のもの
(比較対照品)と比較して、発酵3日目からエキス低下
が早くなり、発酵期間はビール粕無添加のもの(比較対
照品)が8日であったが、ビール粕を添加したもの(本
発明品)は6日と、発酵期間が2日早くなった。
【0039】
【表1】
【0040】ビール揮発性成分試験結果については、上
記第1表に示すように、アセトアルデヒドやアセトイン
が多すぎると、ビール香味上好ましくないとされるが、
ビール粕を添加したもの(本発明品)は、アセトアルデ
ヒドが1.6ppm、アセトンは1.2ppmであり、
ビール粕無添加のもの(比較対照品)と比較して低いこ
とが分かる。
【0041】次に、香味試験結果については、上記第1
表に示すように、高度の官能識別能力を有する11人の
パネラーにより行ったトライアングルテストでは、ビー
ル粕を添加したもの(本発明品)とビール粕無添加のも
の(比較対照品)とを識別できたパネラーは、3名と少
なかった。また、香味試験評点は80点満点で、得点の
高いものほど香味に優れているが、ビール粕を添加した
もの(本発明品)は、76.2と、ビール粕無添加のも
の(比較対照品)より高い評点となり、前記したような
発酵期間の短縮のみならず、香味上も望ましい結果が得
られた。
【0042】実施例2 エキス分を11重量%に調整した麦汁30Lに、ビール
酵母を1500万Cells/mlを添加し、上記調製
例1で得られたビール粕乾燥物を0.1重量%(対麦汁
量)の割合で添加し、実施例1と同様にエキス、浮遊酵
母数の測定を行い、さらに発酵中、経日的に浮遊酵母を
サンプリングし、浮遊酵母中の亜鉛含量を測定した。結
果を第2表に示す。なお、比較のためにビール粕を全く
添加しなかった場合(無添加の場合=比較対照品)につ
いても、同様に行った。その結果を併せて第2表に示し
た。
【0043】なお、第2表における酵母中の亜鉛含量の
測定は、 A. Lentini ら、 The Institute of Brewing
Australia & New Zealand Section Proceeding of the
Twenty-First Convention 4-9 March 1990の方法を参考
にして行った。
【0044】
【表2】
【0045】第2表によれば、通常発酵での酵母中の亜
鉛濃度はビール粕無添加のもの(比較対照品)のよう
に、発酵日数の経過と共に浮遊酵母数は増加するため、
同一重量中の亜鉛濃度は低下していくが、ビール粕を添
加したもの(本発明品)は、ビール粕中より溶出された
亜鉛を酵母が取り込むため、発酵4日目まで酵母中の亜
鉛含量は増加し、発酵終了時点の亜鉛含量も、ビール粕
無添加のもの(比較対照品)より高く、発酵期間は2日
間短縮されることが分かる。
【0046】実施例3(ビール粕乾燥物の抽出液を使用
した試験) 上記調製例1で得られたビール粕乾燥物400gに、
0.5%乳酸4Lを加え、その上澄液(抽出液)2.3
Lを、発酵開始時に麦汁400Lに添加し、発酵試験を
行った。この試験の際の発酵経過を図3に示す。なお、
比較のためにビール粕乾燥物の抽出液を全く添加しなか
った場合(無添加の場合)についても、同様に試験を行
った。その結果を併せて図3に示した。
【0047】図3から明らかなように、発酵開始後、2
日目から差が現れ、ビール粕乾燥物の抽出液を使用した
もの(本発明品)は、ビール粕乾燥物の抽出液無添加の
もの(比較対照品)と比べて、2日早く発酵が終了し
た。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、発酵工程において、発
酵初期からビール粕又はその乾燥物、若しくはそれらの
抽出液を添加することにより、従来の発酵に比べて、酵
母の浮遊性及び活性化によって、発酵期間を短縮するこ
とができる。実施例によれば、従来、8日間程度かかっ
たものが、6日間と、或いは従来、9日間程度かかった
ものが、7日間と、それぞれ2日間程度短縮された。勿
論、ビール粕又はその乾燥物、若しくはそれらの抽出液
は、我が国の酒税法上の添加物の範囲内のものと認めら
れる。
【0049】従って、本発明によれば、冷却エネルギー
の節約・製造サイクルの短縮という効果が期待できる。
発酵期間を短縮することができれば、設備を増設するこ
となく、生産量を拡大することができ、生産コストを低
減することができるなど、大きなメリットがある
【0050】また、本発明によれば、上記のように発酵
期間を短縮すると同時に、従来法に劣らない香味を有す
るビールを製造することができる。すなわち、製品ビー
ルの成分では、アセトアルデヒド、アセトインが少な
く、香味品質の向上を図ることができる。
【0051】要約すると、本発明によれば、従来法で製
造されたビールと比較して、香味の低下など、ビール品
質の低下を生じさせることなく、しかも微生物管理等に
おいての問題を発生させることなく、ビールの発酵期間
を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1における発酵試験の際の発酵
温度の経過を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例1における発酵試験の際の発酵
経過を示すグラフである。
【図3】図3は、実施例3における発酵試験の際の発酵
経過を示すグラフである。
【符号の説明】
A 麦汁に酵母を添加した時点

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビールを製造するにあたり、発酵工程に
    おいて、発酵初期にビール粕又はその乾燥物、若しくは
    それらの抽出液を添加することを特徴とするビールの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 ビール粕又はその乾燥物を、麦汁に対し
    て0.05〜0.2重量%添加する請求項1記載のビー
    ルの製造方法。
JP27373295A 1995-09-28 1995-09-28 ビール酵母の活性を促進する抽出液と該抽出液を用いたビールの製造方法 Expired - Fee Related JP3542423B2 (ja)

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