JPH0989886A

JPH0989886A - 小核試験装置

Info

Publication number: JPH0989886A
Application number: JP24924095A
Authority: JP
Inventors: Yoshiyuki Katsuma; 祥行勝間; Sumihiko Kawashima; 純彦川島; Koushirou Morizaki; 晃士郎森崎
Original assignee: Toyobo Co Ltd
Current assignee: Toyobo Co Ltd
Priority date: 1995-09-27
Filing date: 1995-09-27
Publication date: 1997-04-04

Abstract

(57)【要約】【課題】網赤血球と小核を持つ網赤血球とを、抹消血
中から自動的に抽出し識別して計数する装置を提供す
る。【手段】アクリジンオレンジで超生体染色した抹消血
を顕微鏡で撮像する装置、ＲＧＢ別に像を記憶する装
置、該像から網赤血球と小核とを抽出識別する装置、お
よび網赤血球と小核とを計数する装置とを備え、かつ雑
音除去条件設定機能と雑音除去機能とを有する小核試験
装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、マウス、ラットな
どの実験動物から採取した抹消血中の、網赤血球および
小核をもつ網赤血球の数を測定する装置に関するもので
あり、特に、化学物質の変異遺伝性を評価するため、ア
クリジンオレンジを用いて超生体染色した抹消血より、
網赤血球、および小核を識別、計数する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】化学物質の遺伝子への影響を調べるため
の手段として、正常な生体では、ごくわずかしか存在し
ない赤血球の小核を数える方法がある。遺伝子への影響
は、化学物質を投与した後一定時間経過後、抹消血を採
取し、末梢血中の網赤血球を一定数を数え、このときの
小核を有する網赤血球数を測定する。網赤血球、小核を
有する網赤血球の数の計数を行なうための手段として、
従来、目視によるものが主で、網赤血球１０００個また
は、２０００個中、小核を有する網赤血球数を計数して
いる。また、自動計数装置においては、網赤血球およ
び、小核を分離、識別し計数するものが提案されてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の検
査方法のうち、目視による計数では、測定者によるバラ
ツキが常に存在し、測定者が同じでも時間の経過による
ムラが生じ、また、網赤血球の数を１０００〜２０００
個計数するため、効率が悪い。一方、自動計数装置で
は、標本に含まれる雑菌等の異物による雑音と小核を分
離できず、計数ミスなどを引き起こすために、標本の作
成方法を工夫して、異物を分離する方法などが提案され
ているが、作成に手間取るなどの問題がある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、スライドガラス上の指定された範囲のア
クリジンオレンジで超生体染色した抹消血を拡大する顕
微鏡と、顕微鏡で得られた画像を撮像する撮像装置、撮
像された画像をＲ（赤）Ｇ（緑）Ｂ（青）それぞれの成
分で記憶する記憶装置、網赤血球、および小核を有する
網赤血球を、色抽出する装置、識別する装置、計数する
装置を備えた小核試験装置であって、小核の候補として
抽出した範囲のうち小核でないと識別した範囲を網赤血
球の抽出範囲あるいは識別範囲の少なくとも一方から取
り除き、雑音を除去する機能を備えたことを特徴とする
小核試験装置を提供するものである。

【０００５】本発明の装置は、撮像された画像を抽出装
置に入力し、あらかじめ設定された小核色抽出条件に従
い、小核候補を抽出する。こうして得られた小核候補
を、識別装置に入力する。識別装置では、例えば実施例
に示すような方法で、あらかじめ指定された条件により
小核と雑音に識別する。雑音と識別した小核候補に対し
て、例えば穴埋め等の加工をして雑音除去領域を決定
し、網赤血球の抽出領域または識別領域の少なくとも一
方から除く。このようにして網赤血球の抽出あるいは識
別前に雑音を取り除き、識別精度を向上させる。

【０００６】

【実施例】図１に本発明実施するための実施例１の基本
構成のブロック図を示す。スライドガラス上の超生体染
色した抹消血標本（１）を拡大する蛍光顕微鏡（２）
と、顕微鏡で得られた画像を撮像するＣＣＤカメラ等の
撮像装置（３）、撮像された画像をＲ（赤）Ｇ（緑）Ｂ
（青）それぞれの成分で記憶する記憶装置（４）、網赤
血球、および小核を有する網赤血球を、色抽出する装置
（５）、色抽出されたものから網赤血球等を識別する装
置（６）、計数する装置（７）、雑音除去装置（８）、
結果を表示するモニタ（９）から構成される。

【０００７】蛍光顕微鏡（２）で得られた画像は、撮像
装置（３）で電気信号に変換され、記憶装置（４）内で
Ｒ（赤）Ｇ（緑）Ｂ（青）の各色成分の濃度の形で記憶
される。一般的に、Ｒ、Ｇ、Ｂの値はそれぞれ、０から
２５５までの値をとり、数値が増す毎に、明るくなる。
色抽出する装置（５）は、一般的には、網赤血球候補や
小核候補の抽出条件例えばＲが１００ないし２００、Ｇ
が１００ないし１５０、Ｂが２０ないし１００などのよ
うな数値条件を満たす領域を、網赤血球候補や小核候補
として抽出する。このような条件は計測前に予め設定す
るのが一般的である。識別する装置（６）は、抽出装置
で抽出された、網赤血球候補や小核候補について、例え
ば大きさが、１０ないし３０の網赤血球候補を網赤血球
領域、大きさが５ないし２０の小核候補を小核領域とし
て識別するといった識別条件により、網赤血球や小核と
して識別された領域の数を数えて、モニタ（９）に出力
する。

【０００８】図２は、撮像装置（３）で得られた画像を
模式化した図である。（１１）は網赤血球であり、一般
に標本ごと、あるいは同じ標本であっても観察する場所
によって異なるが、アクリジンオレンジで染色した網赤
血球を蛍光顕微鏡で観察すると、多くは円または円形に
近い形で赤系統の発色が見られる。（１２）は網赤血球
内の小核であり、一般に標本ごと、あるいは同じ標本で
あっても観察する場所によって異なるが、アクリジンオ
レンジで染色した小核を蛍光顕微鏡で観察すると、多く
は円または円形に近い形で黄緑色系統の発色が見られ
る。観察中には、（１３）と（１４）に示すような雑音
が見られることが多い。この雑音は抹消血中に含まれる
雑菌等がアクリジンオレンジで染色されたものである。
図２では、雑音のうち（１３）は、赤系統に発色し、
（１４）は黄緑色系統に発色する。従来このような画像
をする、色抽出する装置（５）に入力し、網赤血球の色
抽出条件により網赤血球候補を抽出すると、図３（模式
図、以下同）に示すような出力結果を得る。図３の（１
１）は色抽出された網赤血球候補のうち、網赤血球を正
しく抽出している領域である。図３の（１３）は、雑音
であるが、網赤血球の色抽出条件に相当するため網赤血
球候補として抽出されてしまう。さらに、例えば、色抽
出された領域の大きさが網赤血球の大きさとほぼ同じで
あることに代表される、網赤血球の識別条件に相当する
ので、識別装置（６）で網赤血球と認識され、雑音が網
赤血球として計数される。

【０００９】本実施例は、上記のような雑音を除去する
ために、以下のような手段を用いる。先ず、色抽出する
装置（５）で、小核の色抽出条件で小核候補を抽出する
と、図４に示すような出力結果を得る。図４の（１２）
は、色抽出された小核候補のうち、小核を正しく抽出し
ている領域である。図４の（１４）は雑音であるが小核
の色抽出条件に相当するため、小核候補として抽出され
てしまう。しかし、例えば色抽出された領域の大きさが
小核の大きさとは異なることに代表される、小核の識別
条件にあてはまらないので、識別装置（６）で雑音とし
て除去され、図５に示すような、小核だけを正しく識別
した画像が得られる。

【００１０】次に、例えは、図５に示す小核として識別
された識別装置（６）の出力画像と、図４に示す小核候
補として色抽出された抽出装置（５）の出力画像との画
像間演算を行うなどの方法を用いて、図６に示すような
識別装置（６）で雑音として除去された画像を取り出
す。取り出した画像を、雑音除去装置（８）で、例えば
穴埋めなどに代表される画像処理をおこなって、雑音除
去する領域を決定する。この出力結果をもとに色抽出す
る装置（５）で、網赤血球の色抽出条件と、雑音とみな
して網赤血球として抽出しない条件の論理積をとって、
正しい領域としての網赤血球を抽出する。図７は雑音除
去装置（８）を付加し、雑音除去を行った場合の網赤血
球の色抽出画像であり、図２で見られた雑音（１３）
が、除去されて、網赤血球のみを抽出している。このよ
うに、標本雑音を除去することが出来、計数精度が向上
する。

【００１１】

【表１】表１は雑音除去機能を動作させて５００個の網赤血球を
測定したのち、同じ標本を雑音除去機能を動作させずに
測定した両方の結果をしめす。本発明による雑音除去機
能により約１０％の精度改善がみられた。また、２００
０個の網赤血球と小核を含む網赤血球を、計測する場
合、目視と本発明による装置による検査速度は、ほぼ同
等であったが、共に２０分程度要する。目視では、一
日、一人当たり標本数２０が限界であるが、本装置では
２４時間続けて使用でき、標本数７０程度までの計測が
可能であり、時間による測定のムラもない。

【００１２】

【発明の効果】本発明によれば、網赤血球および小核を
有する網赤血球を測定する際に、雑音除去を行なうこと
で、網赤血球を正確に、ムラなく計数することが可能に
なった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の装置の基本構成のブロック図

【図２】雑音を含む末梢血標本の模式図

【図３】雑音を含む網赤血球の抽出画像

【図４】小核の色抽出画像

【図５】小核の識別画像

【図６】雑音の識別画像

【図７】雑音が除去された網赤血球の抽出画像

【符号の説明】

１：標本２：顕微鏡３：撮像装置４：記憶装置５：抽出装置６：識別装置７：計数装置８：雑音除去装置９：モニタ１１：網赤血球１２：小核１３：赤血球として識別される雑音１４：小核として抽出される雑音

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】スライドガラス上のアクリジンオレンジ
で超生体染色した抹消血標本を拡大する顕微鏡と、顕微
鏡で得られた画像を撮像する撮像装置と、撮像された画
像をＲ（赤）Ｇ（緑）Ｂ（青）それぞれの成分で記憶す
る記憶装置と、網赤血球と小核を色抽出する装置と、網
赤血球と小核とを識別する装置と、小核を計数する装置
とを少なくとも備えた小核試験装置であって、色抽出さ
れ小核の候補として抽出したもののうち小核でないと識
別した範囲を雑音とみなして、網赤血球の抽出あるいは
識別範囲の一方または双方から除き、網赤血球の抽出ま
たは識別時の雑音を除去する機能を備えたことを特徴と
する小核試験装置。