JPH0987742A - イヤリングの小さいプレス成形用オーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents
イヤリングの小さいプレス成形用オーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JPH0987742A JPH0987742A JP25143595A JP25143595A JPH0987742A JP H0987742 A JPH0987742 A JP H0987742A JP 25143595 A JP25143595 A JP 25143595A JP 25143595 A JP25143595 A JP 25143595A JP H0987742 A JPH0987742 A JP H0987742A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- annealing
- austenitic stainless
- stainless steel
- steel sheet
- hot
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 プレス成形時に生じるイヤリングが小さくか
つ表面欠陥の少ないプレス成形用オーステナイト系ステ
ンレス鋼を高い歩留りで製造する。 【解決手段】 熱延鋼帯板を焼鈍した後、1回の冷間圧
延で製品板厚にまで圧延し、その後固溶化熱処理を施し
て、オーステナイト系ステンレス鋼帯板を製造するに当
たり、前記熱延鋼帯板を連続焼鈍をする代わりに、焼鈍
温度1000〜1250℃、焼鈍時間30分〜5時間、冷却速度10
〜100 ℃/hr の条件でバッチ焼鈍を行う、オーステナイ
ト系ステンレス鋼の製造方法。
つ表面欠陥の少ないプレス成形用オーステナイト系ステ
ンレス鋼を高い歩留りで製造する。 【解決手段】 熱延鋼帯板を焼鈍した後、1回の冷間圧
延で製品板厚にまで圧延し、その後固溶化熱処理を施し
て、オーステナイト系ステンレス鋼帯板を製造するに当
たり、前記熱延鋼帯板を連続焼鈍をする代わりに、焼鈍
温度1000〜1250℃、焼鈍時間30分〜5時間、冷却速度10
〜100 ℃/hr の条件でバッチ焼鈍を行う、オーステナイ
ト系ステンレス鋼の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、深絞り成形加工す
る際に発生するイヤリングが小さく、かつ表面性状が良
好な上に、材料歩留りの向上に効果的に寄与するプレス
成形用オーステナイト系ステンレス鋼板、とくに高Al含
有オーステナイト系ステンレス冷延鋼板の製造方法に関
する。
る際に発生するイヤリングが小さく、かつ表面性状が良
好な上に、材料歩留りの向上に効果的に寄与するプレス
成形用オーステナイト系ステンレス鋼板、とくに高Al含
有オーステナイト系ステンレス冷延鋼板の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】オーステナイト系ステンレス鋼帯または
鋼板(本発明においては、これらの両者を含めて鋼板と
言う)は、一般に、連続鋳造スラブまたは鋼塊を熱間圧
延して熱延板とし、この熱延板を連続的に溶体化処理
(熱延板連続焼鈍)−酸洗を行い、その後、目的の、板
厚になるように冷間圧延し、そして最終焼鈍−酸洗とい
う工程を経て製造されている。こうした方法の下で製造
された上記鋼板の場合、プレス成形時に発生するイヤリ
ングの小さい材料をつくることが大切である。従来、こ
の種の鋼板におけるイヤリング低減の手段としては、熱
延鋼帯を連続焼鈍した後、2回の冷間圧延によって製品
化する方法が一般的である。しかし、この方法は、生産
性の面で劣るという欠点があった。上記の欠点に鑑み、
従来、特公昭58−11489号では、熱延板の連続焼
鈍温度を高温化(1150 〜1250℃) することにより、その
後、1回の冷間圧延だけでイヤリングの小さいオーステ
ナイト系ステンレス鋼板を製造する方法を提案してい
る。
鋼板(本発明においては、これらの両者を含めて鋼板と
言う)は、一般に、連続鋳造スラブまたは鋼塊を熱間圧
延して熱延板とし、この熱延板を連続的に溶体化処理
(熱延板連続焼鈍)−酸洗を行い、その後、目的の、板
厚になるように冷間圧延し、そして最終焼鈍−酸洗とい
う工程を経て製造されている。こうした方法の下で製造
された上記鋼板の場合、プレス成形時に発生するイヤリ
ングの小さい材料をつくることが大切である。従来、こ
の種の鋼板におけるイヤリング低減の手段としては、熱
延鋼帯を連続焼鈍した後、2回の冷間圧延によって製品
化する方法が一般的である。しかし、この方法は、生産
性の面で劣るという欠点があった。上記の欠点に鑑み、
従来、特公昭58−11489号では、熱延板の連続焼
鈍温度を高温化(1150 〜1250℃) することにより、その
後、1回の冷間圧延だけでイヤリングの小さいオーステ
ナイト系ステンレス鋼板を製造する方法を提案してい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】成形時のイヤリングを
低減させるには、冷間圧延前の熱延板の結晶粒径を大き
くしておくことが有効である。しかしながら、前記特公
昭58−11489号で提案している熱延板連続焼鈍の
高温化(1150〜1250℃) は、連続焼鈍であるため結晶粒
の成長が十分でなく、イヤリングの低減効果に限界があ
った。しかも、通常の熱延鋼板の連続焼鈍雰囲気下で
は、1150℃以上の温度での処理では表面の酸化が激し
く、製品の表面品質が損なわれるという問題があった。
低減させるには、冷間圧延前の熱延板の結晶粒径を大き
くしておくことが有効である。しかしながら、前記特公
昭58−11489号で提案している熱延板連続焼鈍の
高温化(1150〜1250℃) は、連続焼鈍であるため結晶粒
の成長が十分でなく、イヤリングの低減効果に限界があ
った。しかも、通常の熱延鋼板の連続焼鈍雰囲気下で
は、1150℃以上の温度での処理では表面の酸化が激し
く、製品の表面品質が損なわれるという問題があった。
【0004】本発明の主目的は、プレス成形時に生じる
イヤリングが小さく、かつ表面欠陥の少ない、プレス成
形用オーステナイト系ステンレス鋼を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、成形歩留りの良好な高Al含有
オーステナイト系ステンレス鋼を提供すことにある。本
発明のさらに他の目的は、1回冷延法の下でも、プレス
加工時に生じるイヤリングの小さい高Al含有オーステナ
イト系ステンレス鋼の製造技術を提案することにある。
イヤリングが小さく、かつ表面欠陥の少ない、プレス成
形用オーステナイト系ステンレス鋼を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、成形歩留りの良好な高Al含有
オーステナイト系ステンレス鋼を提供すことにある。本
発明のさらに他の目的は、1回冷延法の下でも、プレス
加工時に生じるイヤリングの小さい高Al含有オーステナ
イト系ステンレス鋼の製造技術を提案することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、発明者らは、従
来技術における上記課題を解決し、とくにイヤリングの
著しく小さいオーステナイト系ステンレス鋼板を製造す
ることを目的として鋭意研究を重ねた結果、熱延板連続
焼鈍の代わりに、熱延板バッチ焼鈍を施し、かつその冷
却速度を規制することにより冷延鋼板のイヤリングを大
幅に低減できることを見出し、さらに、Alを含有するプ
レス成形用オーステナイト系ステンレス鋼に対してもこ
の手法が有効に作用して、イヤリング低減効果に大きく
寄与することを知見し、本発明に想到した。すなわち、
本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
来技術における上記課題を解決し、とくにイヤリングの
著しく小さいオーステナイト系ステンレス鋼板を製造す
ることを目的として鋭意研究を重ねた結果、熱延板連続
焼鈍の代わりに、熱延板バッチ焼鈍を施し、かつその冷
却速度を規制することにより冷延鋼板のイヤリングを大
幅に低減できることを見出し、さらに、Alを含有するプ
レス成形用オーステナイト系ステンレス鋼に対してもこ
の手法が有効に作用して、イヤリング低減効果に大きく
寄与することを知見し、本発明に想到した。すなわち、
本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
【0006】(1) オーステナイト系ステンレス鋼の熱延
鋼板を焼鈍した後、1回の冷間圧延で製品板厚にまで圧
延し、その後、固溶化熱処理を施して、オーステナイト
系ステンレス鋼板を製造する方法において、前記熱延鋼
板を、焼鈍温度:1000〜1250℃、焼鈍時間:30分〜10時
間、冷却速度:10〜100 ℃/hr の条件でバッチ焼鈍を行
うことを特徴とするイヤリングの小さいプレス成形用オ
ーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法。 (2) C:0.01〜0.1wt%、Si:1.0wt%以下、Mn:3.0wt%以
下、Ni:6.0 〜10.0wt%、Cr:15.0〜19.0wt% 、Cu:1.0
〜4.0wt%、Al:0.2 〜2.5wt%、N:0.05wt% 以下含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるオーステナ
イト系ステンレス鋼の熱延鋼板を焼鈍した後、1回の冷
間圧延で製品板厚にまで圧延し、その後、固溶化熱処理
を施して、オーステナイト系ステンレス鋼帯板を製造す
る方法において、前記熱延鋼板を焼鈍温度:1000〜1250
℃、焼鈍時間:30分〜10時間、冷却速度:10〜100 ℃/h
r の条件でバッチ焼鈍を行うことを特徴とするイヤリン
グの小さいプレス成形用オ−ステナイト系ステンレス鋼
板の製造方法。
鋼板を焼鈍した後、1回の冷間圧延で製品板厚にまで圧
延し、その後、固溶化熱処理を施して、オーステナイト
系ステンレス鋼板を製造する方法において、前記熱延鋼
板を、焼鈍温度:1000〜1250℃、焼鈍時間:30分〜10時
間、冷却速度:10〜100 ℃/hr の条件でバッチ焼鈍を行
うことを特徴とするイヤリングの小さいプレス成形用オ
ーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法。 (2) C:0.01〜0.1wt%、Si:1.0wt%以下、Mn:3.0wt%以
下、Ni:6.0 〜10.0wt%、Cr:15.0〜19.0wt% 、Cu:1.0
〜4.0wt%、Al:0.2 〜2.5wt%、N:0.05wt% 以下含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるオーステナ
イト系ステンレス鋼の熱延鋼板を焼鈍した後、1回の冷
間圧延で製品板厚にまで圧延し、その後、固溶化熱処理
を施して、オーステナイト系ステンレス鋼帯板を製造す
る方法において、前記熱延鋼板を焼鈍温度:1000〜1250
℃、焼鈍時間:30分〜10時間、冷却速度:10〜100 ℃/h
r の条件でバッチ焼鈍を行うことを特徴とするイヤリン
グの小さいプレス成形用オ−ステナイト系ステンレス鋼
板の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】上記要旨構成に示された第1発明
は、熱帯連続焼鈍の代わりに、焼鈍温度:1000〜1250
℃、焼鈍時間:30分〜10時間、冷却速度:10〜100 ℃/h
の条件でバッチ焼鈍を行うことを特徴とする方法であ
る。本発明においては、このようなバッチ焼鈍条件を採
用することにより、イヤリングの極めて小さいプレス成
形用オーステナイト系ステンレス鋼板を有利に製造する
ことができるのである。また、上記第2発明の特徴は、
Alを高い濃度で含有するオーステナイト系ステンレス鋼
に対し、上記の方法を適用することによって、やはりイ
ヤリングの小さプレス成形用オーステナイト系ステンレ
ス鋼板を得るところにある。なお、本発明において、熱
延板連続焼鈍に変えて、バッチ焼鈍法を採用した理由
は、焼鈍時間の制御が容易で、とくに長時間焼鈍に好適
であると共に、冷却速度の制御が容易にできる他、雰囲
気制御も容易であることによる。
は、熱帯連続焼鈍の代わりに、焼鈍温度:1000〜1250
℃、焼鈍時間:30分〜10時間、冷却速度:10〜100 ℃/h
の条件でバッチ焼鈍を行うことを特徴とする方法であ
る。本発明においては、このようなバッチ焼鈍条件を採
用することにより、イヤリングの極めて小さいプレス成
形用オーステナイト系ステンレス鋼板を有利に製造する
ことができるのである。また、上記第2発明の特徴は、
Alを高い濃度で含有するオーステナイト系ステンレス鋼
に対し、上記の方法を適用することによって、やはりイ
ヤリングの小さプレス成形用オーステナイト系ステンレ
ス鋼板を得るところにある。なお、本発明において、熱
延板連続焼鈍に変えて、バッチ焼鈍法を採用した理由
は、焼鈍時間の制御が容易で、とくに長時間焼鈍に好適
であると共に、冷却速度の制御が容易にできる他、雰囲
気制御も容易であることによる。
【0008】上記の方法において、バッチ焼鈍の温度を
1000〜1250℃に限定する理由は、1000℃より低い温度で
は熱延板の結晶粒径が充分に大きくならず、イヤリング
低減の効果が小さいためである。一方、上限を1250℃に
限定する理由は、残留酸素による表面付近の内部酸化が
激しくなり、冷却板の表面品質が損なわれるためであ
る。また、焼鈍時間を30分〜10時間に限定した理由は、
30分より短い時間ではイヤリング低減の効果が小さいた
めであり、一方10時間より長い時間ではその効果が飽和
し、経済的でないためである。
1000〜1250℃に限定する理由は、1000℃より低い温度で
は熱延板の結晶粒径が充分に大きくならず、イヤリング
低減の効果が小さいためである。一方、上限を1250℃に
限定する理由は、残留酸素による表面付近の内部酸化が
激しくなり、冷却板の表面品質が損なわれるためであ
る。また、焼鈍時間を30分〜10時間に限定した理由は、
30分より短い時間ではイヤリング低減の効果が小さいた
めであり、一方10時間より長い時間ではその効果が飽和
し、経済的でないためである。
【0009】次に、このバッチ焼鈍時の冷却速度を10〜
100 ℃/hr に規定する理由は、10℃/hより遅い速度で冷
却すると、工程時間が長くなり経済的でないためであ
る。一方、100 ℃/hr より速くすると、冷却中に炭化物
が粒界に十分析出せず、冷間圧延時に十分な加工誘起マ
ルテンサイト変態が起こらず、イヤリング低減効果が小
さくなる。さらに、冷却速度が100 ℃/hr を越えると、
粒界にCr欠乏層が生じ、後の酸洗行程で粒界腐食が起こ
り、製品の表面品質が損なわれる。このような理由によ
り、熱延板のバッチ焼鈍時の冷却速度は10〜100 ℃/hr
の範囲に限定する。なお、バッチ焼鈍の雰囲気は、アル
ゴン、水素、窒素等の非酸化性ガスを用いる。
100 ℃/hr に規定する理由は、10℃/hより遅い速度で冷
却すると、工程時間が長くなり経済的でないためであ
る。一方、100 ℃/hr より速くすると、冷却中に炭化物
が粒界に十分析出せず、冷間圧延時に十分な加工誘起マ
ルテンサイト変態が起こらず、イヤリング低減効果が小
さくなる。さらに、冷却速度が100 ℃/hr を越えると、
粒界にCr欠乏層が生じ、後の酸洗行程で粒界腐食が起こ
り、製品の表面品質が損なわれる。このような理由によ
り、熱延板のバッチ焼鈍時の冷却速度は10〜100 ℃/hr
の範囲に限定する。なお、バッチ焼鈍の雰囲気は、アル
ゴン、水素、窒素等の非酸化性ガスを用いる。
【0010】次に、第2発明において、種々の成分の組
成を限定したが、その理由は以下のとおりである。 Cを0.01〜0.1wt%に限定した理由は、Cは強力なオ
ーステナイト生成元素であり、少なくとも0.01wt% 、好
ましくは0.03wt% 以上の含有が必要である。しかし、0.
10wt% を越えると、時期割れ感受性および粒界腐食感受
性が共に高まるので、上限は0.1wt%、好ましくは0.08wt
% とする。 Siを1.0wt%以下に限定した理由はは、Siは有効な脱
酸剤で製鋼工程には不可欠な成分であるが、1.0wt%を越
えると時期割れが発生し易くなるため、1.0wt%以下とす
る。なお、下限は、製鋼作業時における脱酸の観点か
ら、0.05wt% とすることが望ましい。 Mnを3.0wt%以下に限定した理由は、Mnは脱酸剤およ
び脱硫剤として作用するだけでなく、オーステナイト相
の安定化に寄与する成分であり、好ましくは0.1wt%以上
の含有を必要とするが、3.0wt%を越えると、オーステナ
イト相が安定になり過ぎ成形性の劣化を招くので3.0wt%
以下とする。
成を限定したが、その理由は以下のとおりである。 Cを0.01〜0.1wt%に限定した理由は、Cは強力なオ
ーステナイト生成元素であり、少なくとも0.01wt% 、好
ましくは0.03wt% 以上の含有が必要である。しかし、0.
10wt% を越えると、時期割れ感受性および粒界腐食感受
性が共に高まるので、上限は0.1wt%、好ましくは0.08wt
% とする。 Siを1.0wt%以下に限定した理由はは、Siは有効な脱
酸剤で製鋼工程には不可欠な成分であるが、1.0wt%を越
えると時期割れが発生し易くなるため、1.0wt%以下とす
る。なお、下限は、製鋼作業時における脱酸の観点か
ら、0.05wt% とすることが望ましい。 Mnを3.0wt%以下に限定した理由は、Mnは脱酸剤およ
び脱硫剤として作用するだけでなく、オーステナイト相
の安定化に寄与する成分であり、好ましくは0.1wt%以上
の含有を必要とするが、3.0wt%を越えると、オーステナ
イト相が安定になり過ぎ成形性の劣化を招くので3.0wt%
以下とする。
【0011】 Niを6.0 〜10.0wt% に限定した理由
は、6.0wt%より少ないとδフェライトが生成して熱間加
工性の低下を招き、一方10.0wt% を越えると、成形性の
劣化を招くため、6.0 〜10.0wt% の範囲に限定する。 Crを15.0〜19.0wt% に限定した理由は、15.0wt% よ
り少ないと耐蝕性が不十分となり、一方、19.0wt% を越
えるとδフェライトが生成し熱間加工性が低下するた
め、15.0〜19.0wt% の範囲に規定する。 Cuを1.0 〜4.0wt%と規定した理由は、Cuは成形性を
向上させる有用成分であるが、その含有量が1.0wt%未満
ではその効果に乏しく、一方、4.0wt%を越えると熱間加
工性が阻害されるため、1.0 〜4.0wt%の範囲に限定す
る。 Alを0.2 〜2.5wt%と規定した理由は、AlはNと結合
しAlN を形成し、熱延板バッチ焼鈍時に結晶粒の異常粒
成長を起こさせるために必須の元素であり、かつ、深絞
り性を向上させるために有効な元素である。このAlが0.
2wt%より少ないと添加効果に乏しいだけでなく、時期割
れ感受性が高まる。一方、2.5wt%を越えるとδフェライ
トが生成して熱間加工性および成形性の劣化を招くので
0.2 〜2.5wt%の範囲に限定する。なお、成形性が最も向
上するのは、Al:0.5〜1.0wt%の範囲である。 Nを0.05wt% 以下と規定する理由は、Nはオーステ
ナイト生成元素であり、Alと結合しAlN を形成し、熱延
板バッチ焼鈍時の粒成長を促進するが、0.05wt%を越え
ると成形性および時期割れ性が劣化するため、0.05wt%
以下とする。
は、6.0wt%より少ないとδフェライトが生成して熱間加
工性の低下を招き、一方10.0wt% を越えると、成形性の
劣化を招くため、6.0 〜10.0wt% の範囲に限定する。 Crを15.0〜19.0wt% に限定した理由は、15.0wt% よ
り少ないと耐蝕性が不十分となり、一方、19.0wt% を越
えるとδフェライトが生成し熱間加工性が低下するた
め、15.0〜19.0wt% の範囲に規定する。 Cuを1.0 〜4.0wt%と規定した理由は、Cuは成形性を
向上させる有用成分であるが、その含有量が1.0wt%未満
ではその効果に乏しく、一方、4.0wt%を越えると熱間加
工性が阻害されるため、1.0 〜4.0wt%の範囲に限定す
る。 Alを0.2 〜2.5wt%と規定した理由は、AlはNと結合
しAlN を形成し、熱延板バッチ焼鈍時に結晶粒の異常粒
成長を起こさせるために必須の元素であり、かつ、深絞
り性を向上させるために有効な元素である。このAlが0.
2wt%より少ないと添加効果に乏しいだけでなく、時期割
れ感受性が高まる。一方、2.5wt%を越えるとδフェライ
トが生成して熱間加工性および成形性の劣化を招くので
0.2 〜2.5wt%の範囲に限定する。なお、成形性が最も向
上するのは、Al:0.5〜1.0wt%の範囲である。 Nを0.05wt% 以下と規定する理由は、Nはオーステ
ナイト生成元素であり、Alと結合しAlN を形成し、熱延
板バッチ焼鈍時の粒成長を促進するが、0.05wt%を越え
ると成形性および時期割れ性が劣化するため、0.05wt%
以下とする。
【0012】
【実施例】発明者らは、オーステナイト系ステンレス鋼
として表1に示す化学成分を有するA鋼(SUS30
4:従来相当材)、B鋼(プレス成形用オーステナイト
系ステンレス鋼:本発明相当材)、およびC鋼(プレス
成形用オーステナイト系ステンレス鋼:本発明相当材)
を用い、イヤリングに及ぼす熱延板拡散焼鈍の効果につ
いて調査した。この調査に用いた各鋼種の組成を表1に
示す。次に、上記の各鋼の熱延板(4.0mmt)を表2に示す
条件で熱処理を施し、次いで 1.0mmt に冷間圧延した
後、1050℃×30秒空冷の製品焼鈍を施した。また、この
表2には製品品質としてイヤリング率(%) と表面欠陥の
有無について試験した結果をあわせて示した。なお、イ
ヤリングの大きさは円筒深絞り試験によってカップを作
製し(絞り比=2.0 )、得られたカップのイヤリング率
で評価した。そのイヤリング率(%) については下記式に
より計算した。 イヤリング率(%)=(耳高さ/成形高さ)×100(%) 耳高さ=(山部の高さの平均)−(谷部の高さの平均) 成形高さ=(山部の高さの平均)−(谷部の高さの平
均)/2 また、1.0mmt製品の表面を観察し、肌荒れ、きず等の表
面欠陥の有無を調査した。
として表1に示す化学成分を有するA鋼(SUS30
4:従来相当材)、B鋼(プレス成形用オーステナイト
系ステンレス鋼:本発明相当材)、およびC鋼(プレス
成形用オーステナイト系ステンレス鋼:本発明相当材)
を用い、イヤリングに及ぼす熱延板拡散焼鈍の効果につ
いて調査した。この調査に用いた各鋼種の組成を表1に
示す。次に、上記の各鋼の熱延板(4.0mmt)を表2に示す
条件で熱処理を施し、次いで 1.0mmt に冷間圧延した
後、1050℃×30秒空冷の製品焼鈍を施した。また、この
表2には製品品質としてイヤリング率(%) と表面欠陥の
有無について試験した結果をあわせて示した。なお、イ
ヤリングの大きさは円筒深絞り試験によってカップを作
製し(絞り比=2.0 )、得られたカップのイヤリング率
で評価した。そのイヤリング率(%) については下記式に
より計算した。 イヤリング率(%)=(耳高さ/成形高さ)×100(%) 耳高さ=(山部の高さの平均)−(谷部の高さの平均) 成形高さ=(山部の高さの平均)−(谷部の高さの平
均)/2 また、1.0mmt製品の表面を観察し、肌荒れ、きず等の表
面欠陥の有無を調査した。
【0013】
【表1】
【0014】表2に示すように、No.1〜9が本発明例
で、No.10 〜18が比較例である。本発明方法に従って製
造された成形用オーステナイト系ステンレス鋼のイヤリ
ング率はいずれも4.0wt%以下であり、しかも表面欠陥も
全く認められなかった。これに対し、比較例に示した熱
延板連続焼鈍を施した従来のもの(No.10, 14)は、イヤ
リング率がいずれも5.0%以上を示している。特に、B鋼
は、従来の熱帯連続焼鈍で製造するとイヤリング率が非
常に高い。しかも、連続焼鈍温度を1200℃に上げてもイ
ヤリング率は4.0%以上もあり、その上冷延板表面には肌
荒れが生じた。また、熱延板バッチ焼鈍を施しても、そ
の時の冷却速度が300 ℃/hr と速い場合(No.14, 17)
は、イヤリング率が本発明例ほど低くならない。また、
熱延板バッチ焼鈍の温度が1300℃と高い場合は、熱延板
の内部酸化が激しく、冷延板表面にきずが認められた。
で、No.10 〜18が比較例である。本発明方法に従って製
造された成形用オーステナイト系ステンレス鋼のイヤリ
ング率はいずれも4.0wt%以下であり、しかも表面欠陥も
全く認められなかった。これに対し、比較例に示した熱
延板連続焼鈍を施した従来のもの(No.10, 14)は、イヤ
リング率がいずれも5.0%以上を示している。特に、B鋼
は、従来の熱帯連続焼鈍で製造するとイヤリング率が非
常に高い。しかも、連続焼鈍温度を1200℃に上げてもイ
ヤリング率は4.0%以上もあり、その上冷延板表面には肌
荒れが生じた。また、熱延板バッチ焼鈍を施しても、そ
の時の冷却速度が300 ℃/hr と速い場合(No.14, 17)
は、イヤリング率が本発明例ほど低くならない。また、
熱延板バッチ焼鈍の温度が1300℃と高い場合は、熱延板
の内部酸化が激しく、冷延板表面にきずが認められた。
【0015】
【表2】
【0016】
【発明の効果】以上の説明に明らかなように、本発明に
よれば、イヤリングの小さいプレス成形用オーステナイ
ト系ステンレス鋼板を、熱延板から1回の冷間圧延で製
造することが可能であり、しかも表面欠陥が少ないプレ
ス成形用素材を高い歩留りにて安価に提供することがで
きる。
よれば、イヤリングの小さいプレス成形用オーステナイ
ト系ステンレス鋼板を、熱延板から1回の冷間圧延で製
造することが可能であり、しかも表面欠陥が少ないプレ
ス成形用素材を高い歩留りにて安価に提供することがで
きる。
Claims (2)
- 【請求項1】 オーステナイト系ステンレス鋼の熱延鋼
板を焼鈍した後、1回の冷間圧延で製品板厚にまで圧延
し、その後、固溶化熱処理を施して、オーステナイト系
ステンレス鋼板を製造する方法において、前記熱延鋼板
を、焼鈍温度:1000〜1250℃、焼鈍時間:30分〜10時
間、冷却速度:10〜100 ℃/hr の条件でバッチ焼鈍を行
うことを特徴とするイヤリングの小さいプレス成形用オ
ーステナイト系ステンレス鋼の製造方法。 - 【請求項2】 C:0.01〜0.1wt%、Si:1.0wt%以下、M
n:3.0wt%以下、Ni:6.0 〜10.0wt% 、Cr:15.0〜19.0w
t% 、Cu:1.0 〜4.0wt%、Al:0.2 〜2.5wt%、N:0.05w
t% 以下含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からな
るオ−ステナイト系ステンレス鋼の熱延鋼板を焼鈍後、
1回の冷間圧延で製品板厚にまで圧延し、その後、固溶
化熱処理を施して、オーステナイト系ステンレス鋼板を
製造する方法において、前記熱延鋼板を焼鈍温度:1000
〜1250℃、焼鈍時間:30分〜10時間、冷却速度:10〜10
0 ℃/hr の条件でバッチ焼鈍を行うことを特徴とするイ
ヤリングの小さいプレス成形用オーステナイト系ステン
レス鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25143595A JPH0987742A (ja) | 1995-09-28 | 1995-09-28 | イヤリングの小さいプレス成形用オーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25143595A JPH0987742A (ja) | 1995-09-28 | 1995-09-28 | イヤリングの小さいプレス成形用オーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0987742A true JPH0987742A (ja) | 1997-03-31 |
Family
ID=17222804
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25143595A Pending JPH0987742A (ja) | 1995-09-28 | 1995-09-28 | イヤリングの小さいプレス成形用オーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0987742A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0874061A1 (en) * | 1997-04-22 | 1998-10-28 | Allegheny Ludlum Corporation | Method for batch annealing of austenitic stainless steels |
KR100598575B1 (ko) * | 1999-06-08 | 2006-07-13 | 주식회사 포스코 | 화학설비용 316 스테인레스강의 제조방법 |
JP2009299171A (ja) * | 2008-06-17 | 2009-12-24 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corp | 微細粒組織を有するプレス成形用オーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法 |
CN102650022A (zh) * | 2011-02-24 | 2012-08-29 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种客车车辆用不锈钢及其制造方法 |
CN106498285A (zh) * | 2016-11-30 | 2017-03-15 | 中国科学院金属研究所 | 一种无需时效处理的奥氏体抗菌不锈钢 |
-
1995
- 1995-09-28 JP JP25143595A patent/JPH0987742A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0874061A1 (en) * | 1997-04-22 | 1998-10-28 | Allegheny Ludlum Corporation | Method for batch annealing of austenitic stainless steels |
KR100598575B1 (ko) * | 1999-06-08 | 2006-07-13 | 주식회사 포스코 | 화학설비용 316 스테인레스강의 제조방법 |
JP2009299171A (ja) * | 2008-06-17 | 2009-12-24 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corp | 微細粒組織を有するプレス成形用オーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法 |
CN102650022A (zh) * | 2011-02-24 | 2012-08-29 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种客车车辆用不锈钢及其制造方法 |
CN106498285A (zh) * | 2016-11-30 | 2017-03-15 | 中国科学院金属研究所 | 一种无需时效处理的奥氏体抗菌不锈钢 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI404808B (zh) | 淬火性優異之硼添加鋼板及製造方法 | |
US4824491A (en) | Process for the production of a strip of a chromium stainless steel of a duplex structure having high strength and elongation as well as reduced plane anisotropy | |
JP4659142B2 (ja) | 浸炭焼入れ性の優れた炭素鋼板およびその製造方法 | |
CN102216474A (zh) | 磷含量提高的锰钢带及其制备方法 | |
US5405463A (en) | Continuous annealing process of producing cold rolled mild steel sheet excellent in deep drawability and aging resistibility | |
JP2876968B2 (ja) | 高延性を有する高強度鋼板およびその製造方法 | |
JP3125978B2 (ja) | 加工性に優れた高炭素鋼帯の製造方法 | |
JPH0987742A (ja) | イヤリングの小さいプレス成形用オーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 | |
JP2002030346A (ja) | 成形性に優れたCr含有耐熱耐食鋼板の製造方法 | |
JP2826819B2 (ja) | 加工性に優れ溶接軟化のない高強度ステンレス鋼材の製造方法 | |
JP2001098328A (ja) | 延性、加工性および耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 | |
JP2003073741A (ja) | 加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 | |
JP3466298B2 (ja) | 加工性に優れた冷延鋼板の製造方法 | |
JP3911075B2 (ja) | 焼付硬化性に優れる超深絞り用鋼板の製造方法 | |
JP3371952B2 (ja) | 酸洗工程を省略できる軟質な加工用高炭素鋼板の製造法 | |
WO2019039339A1 (ja) | Ni含有鋼板の製造方法 | |
JP3620384B2 (ja) | 表面性状に優れた冷延鋼板およびその製造方法 | |
JP3194120B2 (ja) | 連続焼鈍によるコイル内材質均一性に優れた非時効深絞り用冷延鋼板の製造方法 | |
JPH1150143A (ja) | 加工性に優れる2相ステンレス鋼の製造方法 | |
JPH0774412B2 (ja) | 加工性および耐置き割れ性に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法 | |
JPH08246051A (ja) | 加工性に優れた中炭素鋼板の製造方法 | |
JPH0813030A (ja) | メタルソー基板用鋼板の製造方法 | |
JP2807994B2 (ja) | 深紋り用冷延鋼板の製造方法 | |
JP2001107149A (ja) | 延性、加工性および耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 | |
JPH05105989A (ja) | 成形加工性および疲労特性に優れ且つ時効処理によつて高強度を発現する高強度ステンレス冷延鋼帯およびその製造方法。 |