JPH0980486A - 非線形抵抗素子 - Google Patents

非線形抵抗素子

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JPH0980486A
JPH0980486A JP23524095A JP23524095A JPH0980486A JP H0980486 A JPH0980486 A JP H0980486A JP 23524095 A JP23524095 A JP 23524095A JP 23524095 A JP23524095 A JP 23524095A JP H0980486 A JPH0980486 A JP H0980486A
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JP
Japan
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layer
film
mim
insulator layer
upper electrode
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JP23524095A
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Kenya Sano
賢也 佐野
Takashi Kawakubo
隆 川久保
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 MIM素子の電流−電圧特性における対称性
および急峻性を向上させ、さらにヒステリシス量を低減
することが求められている。 【解決手段】 下部電極層12と、この下部電極層12
の一部を陽極酸化して形成した絶縁体層13と、この絶
縁体層13上に設けられた上部電極層15とを具備する
MIM構造の非線形抵抗素子である。絶縁体層13は、
その構成金属元素より原子価が小さい金属元素を含む層
から、絶縁体層13に上記金属元素を拡散させた拡散層
14を、上部電極層15との界面側に有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、MIM(金属/絶
縁体/金属)構造を有する非線形抵抗素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶表示機器を用いた表示装置
は、時計、電卓、計測機器等の簡単な構造のものから、
パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、さらには
ΟA用の端末機器、ΤV画像表示等の大容量情報表示ま
で、種々の用途に使用されている。こうした液晶表示装
置においては、マトリックス表示のマルチプレックス駆
動方式がー般に採用されてきた。しかし、この方式は液
晶自身の本質的な特性によって、表示部分(オン画素)
と非表示部分(オフ画素)のコントラスト比の点では 2
00本程度の走査線を有する場合でも不十分であり、さら
に走査線が 500本以上程度の大規模なマトリックス駆動
を行う場合にはコントラスト比の劣化が致命的であっ
た。
【0003】そこで、マルチプレックス駆動方式の液晶
表示装置が有する欠点を解決するための開発が盛んに行
われている。その 1つとして個々の画素を直接駆動する
方式が挙げられ、この際のスイッチング素子としては薄
膜トランジスタが現在主流とされている。薄膜トランジ
スタを構成する半導体としては、これまで多結晶シリコ
ン、セレン化カドミウム、セレン化テルル等の種々の材
料が提案されてきたが、現在は非晶質シリコンが最も多
く研究されている。しかしながら、この種の液晶表示装
置を製造する際には、微細加工工程が数回必要であり、
工程が複雑で歩留りが悪くなると共に、その結果として
製品コストが高くなる等の欠点があった。 一方、スイ
ッチング素子列(アレイ)を用いた別の手段として、非
線形抵抗素子を用いたものがある。非線形抵抗素子は、
薄膜トランジスタの 3端子構造と比較して、 2端子構造
と基本的に構造が簡単であり、製造が容易という特徴を
有している。このため、製品歩留りの向上が期待でき、
製造工程数も削減できるため、製品コストの低下を図る
ことができる。
【0004】非線形抵抗素子としては、薄膜トランジス
タと同様の材料を利用して接合形成したダイオード型、
酸化亜鉛を用いたバリスタ型、電極間に絶縁体を挟んだ
金属/絶縁体/金属構造を有するMIM型、金属電極間
に半導体の層を挟んだMSI型等が開発されている。こ
のうち、MIM型は構造が簡単で、現在のところ最も実
用化が近いということができる。
【0005】図6および図7に、一般的なMIΜ型の非
線形抵抗素子の構造を示す。このようなMIM素子にお
いては、まずガラス基板1上にスパッタリング法により
Ta膜を 200nm程度形成し、第1のフォトレジストを用い
てドライエッチング法によりTa膜のエッチングを行い、
信号電極(下部電極)2を形成する。次いで、倍号電極
2の表面に、陽極酸化法により陽極酸化層(絶縁体層)
3を所定の膜厚で形成する。その上にCr膜等を形成し、
このCr膜をパターニングしてMIM素子の上部電極4と
する。このようにして、Cr/TaOx /Ta 構造(MIM構
造)を形成した後、駆動用電極として ITO膜5を上部電
極4と一部が重なるように成膜およびパターニングし
て、MIM素子が完成する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ΜIM素子
に要求される一般的な特性としては、次の 3つが挙げら
れる。 1つは電流−電圧特性におけるオン電流とオフ電
流の比が十分に大きいことである。MIM素子に流れる
電流(I)と電圧(V)との関係は、一般に次に示すプ
ール・フレンケル型に近いことが知られている。
【0007】I=kV exp(βV1/2 ) ここで、kは比例定数であり、ΜIM素子部の接合面積
に比例する。βは非線形性を表す係数である。β=0では
IはVに比例し、VのIに対する比である抵抗値R(=
V/I)は一定であり、オーミックな特性を示す。β>
0 ではIはVの増加と共に急激に増加する。すなわち、
抵抗RはVの増加と共に急激に低下する。このRの変化
はβが大きいほど急激である。従って、オン電流とオフ
電流の比を十分大きくとるには、βが大きいことが必要
となる。
【0008】もう 1つは、電流−電圧特性の正電極側と
負電極側が対称であることである。MIM素子では素子
の双方向ダイオード特性を利用し、交流駆動によって液
晶を動作させているので、その素子特性での正電圧およ
び逆電圧の対称性が重要となることが知られている。
【0009】さらに、電流−電圧特性において、正電圧
側および負電圧側双方の昇圧および降圧時における電流
値の相違(以下、ヒステリシスと呼称す)が実際の表示
における残像や焼き付きと相関があることが知られてい
る。従って、この静特性におけるヒステリシス量を低減
させる必要がある。
【0010】しかしながら、上述したような従来構造の
MIM素子では、βが 3程度の電流−電圧特性のものが
多く、従ってクロストークによる画像ムラが生じやすい
という問題があった。さらに、中間調表示も困難であっ
た。また、 +Vおよび -Vの電圧を印加したときの素子
電流をI(+) 、I(-) とすると、従来構造の素子ではI
(+) /I(-) の値が 1±0.8 と非常に悪いという欠点が
あった。そこで、特性を対称にするために、金属材料や
素子構造を変える試みがなされているが、素子対称性は
格段にはよくなっていない。このため、大面積表示にお
いては、残像や焼き付きが発生し、画質の低下を招いて
いた。さらに、昇圧および降圧時における電圧 Vu
d における電流値をIu 、Id とすると、(Iu −I
d )/Iu (ヒステリシス量と定義する)が3%程度と大
きく、これに起因して焼き付きが発生するという問題が
あった。
【0011】このように、従来構造のMIM素子では、
β値が小さい、電流−電圧特性における対称性や急峻性
が不十分である、ヒステリシス量が大きい等の問題点を
改善することが課題とされていた。
【0012】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、電流−電圧特性における対称性およ
び急峻性を向上させ、さらにヒステリシス量を低減した
MIM構造の非線形抵抗素子を提供することを目的とし
ている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の非線形抵抗素子
は、下部電極層と、前記下部電極層の一部を陽極酸化し
て形成された絶縁体層と、前記絶縁体層上に設けられた
上部電極層とを具備する非線形抵抗素子において、前記
絶縁体層は、その構成金属元素より原子価が小さい金属
元素を含む層から前記絶縁体層に前記金属元素を拡散さ
せた拡散層を、前記上部電極層との間に有することを特
徴としている。
【0014】以下、関連した実験結果に基いて本発明の
作用を説明する。図2は、ガラス基板上に膜厚 200nmの
Ta膜を下部電極としてスパッタ法により形成し、陽極酸
化により絶縁体層(酸化膜)を約70nm形成した後、メタ
ルマスクを用いてTi膜およびAu膜を上部電極として直径
100μm の大きさでそれぞれ形成した各試料に、大気中
で573K× 1時間の熱処理を施した後に測定した電流−電
圧特性である。また、図3はこれらの試料のうち、上部
電極としてTi膜を用いた試料のTi電極部分におけるオー
ジェ電子分光法による深さ方向の組成分析結果である。
【0015】図3に見られる通り、Ti膜からなる上部電
極と陽極酸化膜との間にTiの拡散層の形成が確認され
た。同様に上部電極としてAu膜を用いた試料について、
Au電極部分で組成分析を行ったが、上記したような拡散
層の形成は認められなかった。図2に見られる通り、上
部電極としてTi膜を用いた試料では加熱前後で大きな変
化が見られ、ヒステリシス量が7%から3%へ、β値は 2か
ら 3.5へと変化し、特性の向上を示した。しかし、上部
電極としてAu膜を用いた試料では、電流の絶対値が上昇
したのみで、ヒステリシス量や急峻性に大きな変化は見
られなかった。
【0016】これは次のように考えられる。まず、上部
電極がAuの場合の電流−電圧特性より、陽極酸化膜は n
型の伝導形式であることが分かる。従って、マジョリテ
ィのキャリアは電子であり、電子に対してショットキー
的な障壁が特に上部電極界面付近に形成されている。す
なわち、界面付近には多量の酸素空孔または格子間原子
による準位が生じているものと考えられる。この準位が
上部電極からのTi4+の拡散により補償(カウンタードー
プ)され、結果的にヒステリシスの低減および急峻性の
向上等の特性向上がもたらされたものと考えられる。こ
のように、陽極酸化膜からなる絶縁体層の構成金属元素
より原子価が小さい金属元素を含む層から、この金属元
素を絶縁体層に拡散させた拡散層を、絶縁体層内の上部
電極との界面側に形成することによって、電流−電圧特
性における対称性や急峻性を向上させることができ、さ
らにヒステリシス量を低減することが可能となる。
【0017】なお、上記実験結果ではTi電極を形成した
後に加熱を行ったが、この方法の場合にはTi電極の酸化
も同時に起こってしまうため、ドーピング量に対応する
量の金属層を形成して加熱処理を行い、予め絶縁体層内
部に拡散層を形成した後に、上部電極を形成することが
好ましい。このようにすることによって、ドーパント金
属の比抵抗を考慮する必要がなくなる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0019】図1は、本発明の一実施形態によるMIM
構造を有する非線形抵抗素子(以下、MIM素子と記
す)を示す断面図である。同図において、11はガラス
基板等の絶縁性基板であり、このガラス基板11上には
下部電極層12が形成およびパターニングされている。
【0020】この下部電極層12は、MIM素子を液晶
表示装置の駆動部等として用いる場合には信号電極とな
るものである。下地電極層12には、陽極酸化膜が電流
−電圧特性において非線形性を示すバルブメタルと呼ば
れる金属元素、すなわちTa、Ti、Zr、Nb、Hf等を用いる
ことが望ましく、中でも非線形性の大きなTaが最も望ま
しい。
【0021】下部電極層12上には、陽極酸化膜からな
る絶縁体層13が設けられている。この絶縁体層13
は、下部電極層12の一部を陽極酸化することにより形
成されたものであり、上述したようなバルブメタルと呼
ばれる金属元素等の酸化物からなるものである。この絶
縁体層13は、厚さ50〜 100nm程度に形成することが好
ましい。絶縁体層13の厚さが50nm未満であると、駆動
電圧に対して実効的な電解強度の増加により耐圧が十分
でなくなり、絶縁破壊を生じるおそれがあり、一方 100
nmを超えると非線形抵抗性が再現性よく得られないおそ
れがある。
【0022】上述した絶縁体層13上には、その構成金
属元素より原子価が小さい金属元素を含む層から、この
金属元素を絶縁体層13に拡散させた拡散層14が設け
られている。この拡散層14は絶縁体層13の一部を構
成するものであり、基本的には絶縁性を示すものであ
る。
【0023】拡散層14を構成する金属元素は、絶縁体
層13の構成金属元素より原子価が小さい金属元素であ
れば、前述したように上部電極層15との界面付近に形
成される酸素空孔や格子間原子による準位を補償(カウ
ンタードープ)することができるが、さらにイオン半径
が絶縁体層13の構成金属元素と同等で、かつd電子を
持ち、その酸化物の比誘電率が絶縁体層13を構成する
酸化物より小さいものが好ましい。
【0024】すなわち、絶縁体層13の構成金属元素と
同等のイオン半径を有する拡散元素を用いることで拡散
層14の形成が容易となり、またd電子を持つ金属元素
は酸化・還元を受けやすいために、酸素空孔や格子間原
子による準位の補償を容易にかつ確実に行うことができ
る。さらに、拡散金属元素の酸化物の比誘電率が絶縁体
層13を構成する酸化物より小さいということは、実効
的な絶縁体層13の静電容量を下げることになる。外部
から印加された電圧は、MIM素子と液晶画素の容量比
で分割されるため、これによって十分高い電圧をMIM
素子に印加することが可能となる。
【0025】拡散金属元素としては、下部電極層12を
構成する金属元素にもよるが、Fe、Co、Ni、Mn、Cr、
V、Zr、Ti、Nb、Mo、Hf、 W等が挙げられる。具体的に
は、例えば下部電極層12がTaやNbからなり、絶縁体層
13がその陽極酸化膜である場合には、Fe、Co、Ni、T
i、Zr、 V、Cr、Moを拡散金属元素として用いることが
好ましく、同様に下部電極層12がTi、Zr、Hfからな
り、絶縁体層13がその陽極酸化膜である場合には、F
e、Co、Ni、 V、Crを拡散金属元素として用いることが
好ましい。
【0026】上述した拡散層14における拡散金属元素
の量は、絶縁体層13に対して 5〜30at% の範囲とする
ことが好ましい。拡散金属元素量が 5at% 未満である
と、酸素空孔や格子間原子による準位を十分に補償でき
ないおそれがあり、一方30at%を超えると、界面部分で
は絶縁体層13よりも拡散金属の酸化物による電気伝導
性が主体となり、その結果として対称性、ヒステリシス
等の劣化を招く。また、拡散層14の厚さは、絶縁体層
13の膜厚の 50%以下とすることが望ましい。これは、
拡散層14の厚さが厚すぎると対称性の悪化およびヒス
テリシス量の増加が生じ、画素の焼き付き原因となるた
めである。
【0027】ここで、拡散層14を形成する際に用いる
拡散金属を含む層は、後に詳述する上部電極層15であ
ってもよいが、上部電極層15とは別に拡散元素種およ
び拡散元素量に応じて形成した層(例えば拡散元素量に
応じた厚さを有する層)であることが好ましい。このよ
うに、拡散金属供給層を絶縁体層13上に形成すると共
に熱処理を施し、予め絶縁体層13内に拡散層14を形
成しておくことによって、拡散元素量や厚さを容易に制
御することが可能となり、電流−電圧特性における対称
性や急峻性、またヒステリシス量等の特性をより一層向
上させることができ、さらに上部電極層15の酸化によ
る特性劣化等を防止することもできる。拡散層14を形
成するための熱処理は、上述した拡散金属供給層をスパ
ッタ法や蒸着法等で形成する際に同時に行ってもよい
し、また膜形成後に行ってもよい。成膜法に関しては、
拡散金属元素の拡散を低温で促進させるため、プラズマ
の効果が期待できるスパッタ法を用いることが望まし
い。また、拡散金属元素のイオンを含む溶液、あるいは
473〜573K程度の温度で分解可能な拡散金属元素の化合
物を、予め絶縁体層13上に塗布しておき、これに熱処
理を加えることで拡散層14を形成することもできる。
【0028】上述したような拡散層14上には、上部電
極層15が形成されており、これらによってMIM素子
16が構成されている。上部電極層15の構成材料は、
特に限定されるものではないが、仕事関数が陽極酸化さ
れる下部電極層12のそれと±1eV 以内であるものが好
ましい。具体的には比抵抗が低いAl等が用いられ、この
他にTi、Cr、Ta、 ITO等を用いてもよい。
【0029】この実施形態のMIM素子16は、駆動用
電極としての ITO膜17等を、上部電極層15と一部が
重なるように成膜およびパターニングする(例えば図6
に示した構造)ことによって、例えば液晶表示装置の駆
動用スイッチングアレイ等として用いられる。
【0030】上述したようなMIM素子16において
は、絶縁体層13の上部電極層15側界面における酸素
空孔や格子間原子による準位が、拡散層14によって補
償(カウンタードープ)されているため、β値や電流−
電圧特性における対称性、急峻性等を向上させることが
できると共に、ヒステリシス量の低減を図ることが可能
となる。このような特性を有するMIM素子を駆動用ス
イッチングアレイとして用いた液晶表示装置では、クロ
ストークによる画像ムラ、残像、焼き付き等の発生が抑
制されるために、画質の向上を図ることが可能となる。
なお、MIM素子の上述したような特性の向上は液晶表
示装置に限らず、非線形抵抗素子を用いる各種装置に対
して有効である。
【0031】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0032】実施例 図1に示した構造を有するMIM素子を以下のようにし
て作製した。まず、例えばホウ珪酸ガラスからなるガラ
ス基板11上に、膜厚 200nmのTa膜をスパッタ法により
形成した。次いで、フォトレジストを塗布法により全面
に形成し、第1のフォトマスクを用いて露光、現像処理
(フォトレジストのパタ−ニング)を行った後、CF4
O2 混合ガスを用いたケミカルドライエッチングにより
Ta膜のエッチングを行って、Ta膜からなる下部電極層1
2を形成した。
【0033】次に、上記フォトレジストを剥離した後、
下部電極層12の表面を 0.1重量%のホウ酸アンモニウ
ム溶液を用いて、化成電圧 50Vにて陽極酸化処理した。
この陽極酸化処理によって、厚さ約70nmの陽極酸化膜(T
aOx 膜)、すなわち絶縁体層13を形成した。
【0034】次いで、上記 TaOx 膜からなる絶縁体層1
3上に、拡散金属供給層として厚さ1nmのTi膜をスパッ
タリング法により形成した。このとき、基板温度を423K
に保ち、 TaOx 膜からなる絶縁体層13へのTi拡散を促
進させて、Tiの拡散量が約15at% の拡散層14を形成し
た。さらにこの上に、上部電極層15としてAl膜を200n
mの膜厚でスパッタリング法により形成し、これを上部
電極形状にエッチングして、MIM素子部を作製した。
具体的には、フォトレジストを全面に塗布した後、第2
のフォトマスクを用いて露光、現像処理し、Tiのエッチ
ング液であるアンモニア、過酸化水素水およびエチレン
ジアミン4酢酸の混合溶液を用いて、Ti膜およびAl膜を
エッチングした。その後、残ったフォトレジストの剥離
を行って、所望のMIM素子部を得た。
【0035】以上のようにして形成したMIM素子の電
流−電圧特性を図4に示す。また、本発明との比較例と
して、同様にTa膜を形成し、これを陽極酸化した後、Cr
電極を形成した同サイズのMIM素子の特性も併記し
た。図4に見られる通り、この実施例のMIM素子は、
比較例と比べて電流密度が約 1.5倍になり、また急峻性
を示すβが 6と高く、これによりオン電流とオフ電流の
比が大きくとることが可能となる。
【0036】さらに、上記実施例および比較例による各
MIM素子の各電圧での対称性[(I(-) −I(+) )/
I(+) ]およびヒステリシス量を図5に示す。図5から
明らかなように、比較例のMIM素子は、対称性が4%程
度、ヒステリシス量が3%程度であるのと比較し、実施例
によるMIM素子は、対称性が1%程度、ヒステリシス量
が1%以下と良好な値を示した。
【0037】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の非線形抵抗素子によれば、陽極酸化による絶縁体層と
上部電極層との間に拡散層(複合酸化層)を形成するこ
とによって、電流−電圧特性における対称性および急峻
性を向上させ、さらにヒステリシス量を低減することが
可能となる。従って、このような非線形抵抗素子を例え
ば液晶表示装置の駆動部として用いることによって、焼
き付きやクロストーク等を大幅に低減することができ、
表示品質の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態によるMIM素子の構造
を示す断面図である。
【図2】 上部電極としてTiおよびAuを形成した後に熱
処理した各MIM素子の電流−電圧特性の測定結果を示
す図である。
【図3】 陽極酸化膜上にTi電極を形成した後に熱処理
を施したMIM素子のTi電極部分の深さ方向におけるオ
ージェ分析結果を示す図である。
【図4】 本発明の一実施例によるMIM素子の電流−
電圧特性の測定結果を従来例と比較して示す図である。
【図5】 本発明の一実施例によるMIM素子の電流−
電圧特性における対称性とヒステリシス量を従来例と比
較して示す図である。
【図6】 従来の液晶表示装置におけるMIM素子を示
す平面図である。
【図7】 図6に示すMIM素子のA−A線に沿った断
面図である。
【符号の説明】
11……ガラス基板 12……下部電極層 13……絶縁体層 14……拡散層 15……上部電極層 16……MIM素子

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部電極層と、前記下部電極層の一部を
    陽極酸化して形成された絶縁体層と、前記絶縁体層上に
    設けられた上部電極層とを具備する非線形抵抗素子にお
    いて、 前記絶縁体層は、その構成金属元素より原子価が小さい
    金属元素を含む層から前記絶縁体層に前記金属元素を拡
    散させた拡散層を、前記上部電極層との間に有すること
    を特徴とする非線形抵抗素子。
JP23524095A 1995-09-13 1995-09-13 非線形抵抗素子 Withdrawn JPH0980486A (ja)

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