JPH0980218A - カラーフィルター用基板およびその評価方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像表示領域を着色する前に撥インク部の撥
インク性を評価することが可能なカラーフィルター用基
板ならびにそのような基板の撥インク性評価を容易に行
うことができるカラーフィルター用基板の評価方法を提
供する。 【解決手段】 基板に設けられた撥インク性を持った複
数個の相似形撥インク領域を有する撥インク性評価パタ
ーンにインクを付与し、その相似形撥インク領域のうち
付与されたインクをはじかない最大面積のものがいずれ
であるかに基づいて撥インク部の撥インク性を評価す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は表示用のカラーフィ
ルター用基板およびその評価方法、特にインクドット法
により着色層を形成するカラーフィルター用基板および
その評価方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に液晶表示装置は、パーソナルコン
ピュータ、ワードプロセッサ、自動車ナビゲーションシ
ステム、小型テレビ等に搭載され、近年需要が増大して
いる、しかしながら、液晶表示装置は価格が高く、液晶
表示装置のコストダウンに対する要求は年々強まってい
る 液晶表示装置を構成するカラーフィルターは、透明基板
上に赤（Ｒ）、緑（Ｇ）、青（Ｂ）などの各画素を配列
して構成され、さらにこれらの各画素の周囲には表示コ
ントラストを高めるために、光遮蔽するための遮蔽部と
してのブラックマトリクスが設けられている。

【０００３】カラーフィルターの着色画素部分は、染色
法、顔料分散法、電着法等の方法によって形成されるの
が普通であった。それに対して、カラーフィルターのコ
ストダウンに対する要求から、印刷法またはインクジェ
ット法で形成する方法が提案されている。

【０００４】しかしながら、印刷法においでは、印刷版
から転写と乾燥の工程をＲ、Ｇ、Ｂの各画素ごとに３回
繰り返して着色画素部を形成するため、歩留まりが低下
するという問題があった。

【０００５】一方、インクジェット法に関しては、例え
ば特開昭５９−７５２０５号公報には、Ｒ、Ｇ、Ｂの３
色の色素を含有する着色液を、インクジェット法によっ
て基板上に噴射し、各着色液を乾燥させて着色画像部を
形成することが提案されている。こうしたインクジェッ
ト法では、Ｒ、Ｇ、Ｂの各画素の形成を一時に行うこと
が可能であり、製造工程の大幅な簡略化と大幅なコスト
ダウンが可能である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そのよ
うなインクジェット法で画素形成を行う製造方法では、
予めガラス基板上に形成された吸インク性の樹脂組成物
層をパターン露光して、撥インク性の部分を形成し、そ
の後インクジェット法により吸インク性の残された部分
にインクを付与してＲ、ＧおよびＢの各画素を形成す
る。その際、その撥インク性を支配する条件は数多くあ
り、たとえば前記の樹脂組成物の特性、その樹脂組成物
層の形成条件、その樹脂組成物層のパターン露光条件、
その樹脂組成物層の熱処理条件、付与するインクの特
性、インク付着条件などが挙げられる。

【０００７】カラーフィルター用基板は、上記のような
条件をあるばらつきの範囲内でに保ちながら、製造装置
を用いた一連の工程の中で製造される。従って、それら
の条件のばらつきの組み合わせに応じて、製造される基
板ごとに撥インク部の撥インク性は変動する。

【０００８】具体的には、実際のカラーフィルター用基
板の製造ラインでは、樹脂組成物やインクの口ットによ
るばらつきや、露光装置の水銀灯の光量の時経変化等に
よる露光量の変化、水銀灯の交換などが発生する。従っ
て、カラーフィルタ用基板の撥インク部の撥インク性評
価を行わずにそのまま画素形成を行うと、高信頼性で良
好なカラーフィルターを製造することが困難である。

【０００９】そこで、基板ごとに撥インク性を評価する
必要があり、そのような評価の実施は、カラーフィルタ
ー製造工程において非常に重要な要素である。

【００１０】従って本発明の目的は、上記のような従来
技術の実状に鑑みてなされたものであり、撥インク部の
撥インク性を評価することが可能なカラーフィルター用
基板ならびにそのような基板の撥インク性評価を容易に
行うことができるカラーフィルター用基板の評価方法を
提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、画像表示に関
与する領域に、所定の色のインク付与が行われるべき吸
インク部と撥インク性を持つ撥インク部が形成されてい
るカラーフィルター用基板において、前記撥インク部の
撥インク性評価手段として複数個の大きさの異なる撥イ
ンク領域を有する撥インク性評価パターンが設けられて
いることを特徴とするカラーフィルター用基板を提供す
る。

【００１２】そのカラーフィルター用基板においては、
前記撥インク領域の形状が相似形で、角形状および丸形
状のいずれかであることが好ましく；前記撥インク性評
価パターンが画像表示に関与する領域外に設けられてい
ることが好ましく；その評価パターンが各色ごとに設け
られていることが好ましい。

【００１３】さらに本発明は、基板に設けられた撥イン
ク性を持った複数個の大きさの異なる撥インク領域を有
する撥インク性評価パターンにインクを付与し、前記撥
インク領域のうち付与されたインクをはじかない最大面
積のものがいずれであるかに基づいて前記撥インク部の
撥インク性を評価するカラーフィルター用基板の評価方
法を提供する。

【００１４】なお、その評価方法においては、前記撥イ
ンク領域の形状を相似形とすることが好ましく、相似形
の形状としては、角形状および丸形状のいずれかとする
ことが好ましく；前記基板を、画像表示に関与する領域
に所定の色のインク付与が行われるべき吸インク部と撥
インク性を持つ撥インク部が形成されているカラーフィ
ルター用基板とし、前記撥インク性評価パターンを、画
像表示に関与する領域外に設けることが好ましく；前記
撥インク性評価パターンを、各色ごとに設けることが好
ましい。

【００１５】

【発明の実施の形態】本発明のカラーフィルター用基板
に対するインク付与は、インクジェット法によりインク
滴をオリフィスから吐出させて、着色画素部となるべき
領域にインクドットを形成することで行うことが好まし
い。その場合のインクジェット法としては、熱エネルギ
ーによる方法あるいは機械エネルギーによる方法などが
挙げられるが、いずれの方法も好適に用いることができ
る。使用するインクとしては、インクジェット法による
付与に用いることができるものであれば特に限られるも
のではなく、インクの着色剤としては、各種染料あるい
は顔料の中から、赤（Ｒ）、緑（Ｇ）および青（Ｂ）の
各画素に要求される透過スペクトルに適合するものを適
宜選択する。

【００１６】また、遮光部および光透過部を有する基板
にインクドットを直接形成してもよいが、基板上に光透
過性のインク受容層を設け、そのインク受容層にインク
ドットを形成するようにすることが好ましい。

【００１７】そのようなインク受容層の材料としては、
アクリル系樹脂；エポキシ系樹脂；イミド系樹脂；ヒド
ロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等
のセルロース誘導体などが好ましい。その層の形成方法
としては、スピンコート、口一ルコート、バーコート、
スプレーコート、ディップコート等を用いることができ
る。

【００１８】形成されるインク受容層の厚みは、パター
ン形成に用いるインクの種類、組成、その吐出量、使用
方法等によって変り得るが、０．１〜５０μｍ程度が適
当である。

【００１９】図１は、本発明のカラーフィルター用基板
における撥インク部の撥インク性を評価するための撥イ
ンク性評価パターンの１例を示した模式的平面図であ
り、（ａ）は撥インク領域が矩形（正方形）の相似形状
のもの、（ｂ）は撥インク領域が曲線形（円形）の相似
形状のものである。

【００２０】この撥インク性評価パターンでは、角形の
相似形状が複数個、一定のピッチで並べてあり、その相
似形の内部は、その基板における露光等の撥インク部形
成処理の際に、撥インク性とされている。

【００２１】その相似形状は、図１に示したような正方
形や円形に限らず、相似形状となっていればどのような
ものでも選択可能である。また、その相似形状の寸法
は、以下に説明する撥インク性評価が可能となるような
範囲で適宜選択する。すなわち、その相似形状の寸法お
よび形状は、樹脂組成物の特性、樹脂組成物層形成条
件、樹脂組成物層のパターン露光条件、インク特性その
他の条件を考慮して適宜選択する。なお、評価パターン
の形状としては相似形状に限らず、大きさが異なれば図
７のように１辺の長さが徐々に変化する（図では横方向
の辺の長さが一定で縦方向の辺の長さが変化している）
形状であっても良い。

【００２２】なお、撥インク性評価パターンは、画像表
示に関与しない領域に設けることが好ましく、例えば図
２に示したような位置に設ける。

【００２３】次に、本発明のカラーフィルター用基板の
評価方法について、図３および図４を参照しながら説明
する。

【００２４】図３は、図１（ａ）に示したパターンにイ
ンクジェット法にてインクを付与した直後の状態を示す
平面図である。すなわち、各撥インク領域の中心部分に
インクを付与した場合、インク付着直後では、この図に
示すようにインクは撥インク領域上に留まっている。そ
の後、時間経過とともに撥インク領域上のインクははじ
かれて、最終的には図４に示すようになる。すなわち、
図４に示したように、面積の大きい撥インク領域ではイ
ンクがはじかれ、面積が小さくなると、撥インク領域で
ありながらインクをはじかないものが生じるようにな
る。そのインクをはじかない撥インク領域で面積が最大
のものはどれであるかに基づいて、撥インク性の評価を
行う。すなわち、そのインクをはじかない領域で最大の
ものの面積が大きいほど撥インク性が低いことを示し、
そのような領域が小さいほど撥インク性が高いことを示
している。

【００２５】なお、撥インク性の評価は、上記のように
カラーフィルター用基板に評価パターンを設けて行う方
法に限らず、画像表示領域を持たず撥インク性評価パタ
ーンのみを有するダミーのカラーフィルター用基板を用
いて同様の評価を行うことも可能である。

【００２６】このように基板上の撥インク部の撥インク
性評価を行うことによって、合格した基板のみを用いて
画素形成を行うことで、信頼性の高いカラーフィルター
を得ることができる。

【００２７】図６に、本発明のカラーフィルター用基板
から得られたカラーフィルターを組み込んだカラー液晶
表示装置の基本構成の断面図を示す。この図において、
１は偏光板、２はガラスなどの透明基板、３は遮光部で
あるブラックマトリクス、４は下地層、５は保護膜、６
は共通電極、７は配向膜、８は液晶化合物、９は配向
膜、１０は画素電極、１１は透明基板、１２は偏光板、
１３はバックライト光、１４はカラーフィルター部、１
５は対向基板である。

【００２８】カラー液晶表示装置は、カラーフィルター
１４と対向基板１５をあわせ込み、液晶化合物８が封入
されていて、図６のように、カラーフィルターに対向す
る基板１１の内側に透明な画素電極１０がマトリクス上
に形成されている。カラーフィルターは、画素電極１０
に対向する位置にＲＧＢの色材が配列するように設置さ
れている。

【００２９】さらに、両基板上の内側には配向膜７が形
成されており、これをラビング処理することによって液
晶分子を一定方向に配列させることができる。また、そ
れぞれの基板の外側には偏光板が接着されており、液晶
化合物は、これらの基板の隙間に充填される。また、バ
ックライトとしては蛍光灯と散乱板の組み合わせ（両者
とも不図示）が一般に用いられており、液晶化合物をバ
ックライト光１３の透過率を変化させる光シャッターと
して機能させることにより表示を行う。

【００３０】

【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。

【００３１】（実施例１）幅３０μｍのブラックマトリ
クスの形成されたＢＭ付ガラス基板上に樹脂組成物層を
スピンコート法によって、厚さ１μｍで形成した。

【００３２】この基板について、ブラックマトリクス上
の幅２０μｍの領域および撥インク性評価パターンとな
るべき部分の所定の領域にディープＵＶ光を４０ｍＪ／
ｃｍ ²の条件で照射して、その露光部分を撥インク性と
した。得られた基板上のパターンは図２に示したもので
あり、その撥インク性評価パターンの詳細な形状および
寸法は図５に示した通りである。

【００３３】この撥インク性評価パターンの撥インク領
域全てに対して、インクジェット装置によって、エチレ
ングリコール２０％、染料５％、ＩＰＡ５％、水７０％
の組成のインクを１００ｎｇずつ付与した後、７分間放
置して撥インク領域上の撥インク状態を観察した。その
結果、一辺１５μｍの領域を含めてそれより面積の小さ
い撥インク領域はインクがはじかれずに留まっていた。

【００３４】この場合、画像表示に関与する領域でブラ
ックマトリクス上に形成された撥インク部の幅が２０μ
ｍであることから、次のインクによる着色の工程での使
用には合格であると判定された。

【００３５】このようにして、画素形成前のカラーフィ
ルター用基板の評価を容易に行うことができた。

【００３６】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明により、画像
表示領域を着色する前に撥インク部の撥インク性を評価
することが可能なカラーフィルター用基板ならびにその
ような基板の撥インク性評価を容易に行うことができる
カラーフィルター用基板の評価方法が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のカラーフィルター用基板における撥
インク性評価パターンの１例を示す模式図であり、
（ａ）は撥インク領域が矩形のもの、（ｂ）は撥インク
領域が円形のものの図である。

【図２】 図１のパターンが画像表示領域以外に配置さ
れた本発明のカラーフィルター用基板の模式的平面図で
ある。

【図３】 実施例１で図１（ａ）のパターンにインクを
付着させた直後の状態を示す模式図である。

【図４】 図３の状態から時間経過によりインク拡散状
態となったときのパターンを示す模式図である。

【図５】 実施例１での撥インク性評価パターンの詳細
な形状および寸法を示す図である。

【図６】 本発明のカラーフィルター用基板を用いて作
製されたカラーフィルターを組み込んだカラー液晶表示
装置の基本構成を示す模式的断面図である。

【図７】 本発明のカラーフィルター用基板における撥
インク評価パターンの別の例を示す模式図である。

【符号の説明】

１ 偏光板 ２ 透明基板 ３ 遮光部（ブラックマトリクス） ４ 下地層 ５ 保護膜 ６ 共通電極 ７ 配向膜 ８ 液晶化合物 ９ 配向膜 １０ 画素電極 １１ 透明基板 １２ 偏光板 １３ バックライト光 １４ カラーフィルター部 １５ 対向基板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮▲崎▼ 健 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 柏崎 昭夫 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 芝 昭二 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 画像表示に関与する領域に、所定の色の
   インク付与が行われるべき吸インク部と撥インク性を持
   つ撥インク部が形成されているカラーフィルター用基板
   において、前記撥インク部の撥インク性評価手段として
   複数個の大きさの異なる撥インク領域を有する撥インク
   性評価パターンが設けられていることを特徴とするカラ
   ーフィルター用基板。
2. 【請求項２】 前記撥インク領域の形状が互いに相似形
   である請求項１記載のカラーフィルター用基板。
3. 【請求項３】 前記相似形撥インク領域の形状が、角形
   状および丸形状のいずれかである請求項２記載のカラー
   フィルター用基板。
4. 【請求項４】 前記撥インク性評価パターンが、画像表
   示に関与する領域外に設けられている請求項１ないし３
   のいずれかに記載のカラーフィルター用基板。
5. 【請求項５】 前記撥インク性評価パターンが、各色ご
   とに設けられている請求項４記載のカラーフィルター用
   基板。
6. 【請求項６】 基板に設けられた撥インク性を持った複
   数個の大きさの異なる撥インク領域を有する撥インク性
   評価パターンにインクを付与し、前記撥インク領域のう
   ち付与されたインクをはじかない最大面積のものがいず
   れであるかに基づいて前記撥インク部の撥インク性を評
   価するカラーフィルター用基板の評価方法。
7. 【請求項７】 前記撥インク領域の形状が互いに相似形
   である請求項６記載の評価方法。
8. 【請求項８】 前記相似形撥インク領域の形状を、角形
   状および丸形状のいずれかとする請求項７記載の評価方
   法。
9. 【請求項９】 前記基板を、画像表示に関与する領域に
   所定の色のインク付与が行われるべき吸インク部と撥イ
   ンク性を持つ撥インク部が形成されているカラーフィル
   ター用基板とし、前記撥インク性評価パターンを、画像
   表示に関与する領域外に設ける請求項６ないし８のいず
   れかに記載の評価方法。
10. 【請求項１０】 前記撥インク性評価パターンを、各色
    ごとに設ける６ないし９のいずれかに記載の評価方法。