JPH0978092A

JPH0978092A - 液体濃厚洗浄剤組成物

Info

Publication number: JPH0978092A
Application number: JP26221195A
Authority: JP
Inventors: Naoyuki Egawa; 直行江川; Hotaka Asano; ほたか浅野; Tomomichi Okano; 知道岡野; Masami Fujiwara; 正美藤原; Keiko Kuroiwa; 恵子黒岩; Tetsuo Tano; 哲雄田野
Original assignee: Lion Corp
Current assignee: Lion Corp
Priority date: 1995-09-14
Filing date: 1995-09-14
Publication date: 1997-03-25

Abstract

(57)【要約】【課題】流動性、水への溶解性、洗浄力に優れ、しか
も皮膚への刺激性が少ない濃厚洗浄剤組成物を提供す
る。【解決手段】下記一般式（１）で表される、ポリアル
キレングリコールモノメチルエーテル不飽和脂肪酸エス
テルのスルホン化物またはその塩からなるアニオン性界
面活性剤（Ａ）と、下記一般式（２）で表される高級ア
ルカノールアミド等のノニオン性界面活性剤（Ｂ）とを
含み、（Ａ）と（Ｂ）との重量比が、（Ａ）：（Ｂ）＝
８０：２０〜１５：８５であり、かつ界面活性剤成分の
合計濃度が５５〜１００重量％であることを特徴とする
液体濃厚洗浄剤組成物。【化１】Ｒ₁ＣＯＯ（ＡＯ)_mＣＨ₃（１）【化２】Ｒ₂ＣＯＮ（Ｃ₂Ｈ₄ＯＨ)_nＨ_2-n（２）

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、良好な洗浄力を有
し、人体への刺激が少なく、しかも水分含有量が少ない
液体濃厚洗浄剤組成物に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】アニオン性界面活性剤は起泡力と洗浄性
能から、ノニオン性界面活性剤は洗浄性能から洗浄剤と
して広く使われている。そして、食器用、住居用、身体
用及び毛髪用等の家庭用洗浄剤は、使用時に直接人体に
触れるため人体に対して低刺激性であることが必要な上
にその形状は使い易い液状とするのが好ましい。これら
諸条件を満足させるため、液性の良いポリオキシエチレ
ンアルキル硫酸エステル等のアニオン性界面活性剤、或
いはアルコールエトキシレート等のノニオン性界面活性
剤を主剤とする５〜２５重量％程度の水溶液が家庭用洗
浄剤として市販されている。

【０００３】前記のように、従来の液体洗浄剤は界面活
性剤濃度が５〜２５重量％程度の水溶液であるが、最近
は流通コストの削減さらに包装材料の削減による環境保
全が求められ、液体濃厚洗浄剤が強く求められている。
しかし、従来技術で界面活性剤濃度３０〜４０重量％以
上の液体濃厚洗浄剤組成物を得るのは極めて困難であ
る。これは、従来の洗浄剤用界面活性剤を３０〜４０重
量％以上の水溶液にすると流動性のないミドル相や流動
性の低いニート相液晶を形成するためである。そして、
これらの液晶は高粘度であるため水への分散性が悪く希
釈する際の水への溶解速度が遅く、家庭用洗浄剤として
使うのが困難である。液体濃厚洗浄剤の製造方法は種々
検討されているが、現在までに商品化可能な程度まで成
功した、界面活性剤濃度が５０％を越える例はほとんど
見当らない。これは、前記の液晶形成を防ぐのが困難な
上に、希薄液体洗浄剤水溶液を濃縮するだけでは高品質
液体濃厚洗浄剤組成物が得られないからである。例え
ば、エタノール等のハイドロトロープ剤を洗浄剤に添加
すると液晶が形成されにくく、低温での安定性も増す
が、大量添加すると皮膚に対する刺激が強くなる等の問
題が起る。

【０００４】また、特公平６−６２９９１号公報には、
４０〜９２重量％の界面活性剤混合物と８〜６０重量％
の水を含む液体洗浄剤組成物が示されている。この界面
活性剤混合物は、少なくとも５０重量％が特定構造のポ
リエーテル型ノニオン性界面活性剤で、残部が特定構造
のスルホコハク酸エステル塩よリ成る混合物であり、特
定界面活性剤を特定比率で混合しないと均一液が得られ
ない上に液粘度も高いという欠点を有する。更に、特開
昭５９−１５７１９９号公報では、α−スルホ脂肪酸エ
ステル塩等のアニオン性界面活性剤水溶液に粘度調節剤
を加え、低粘度で５０重量％の界面活性剤を含む水溶液
を得ている。そして、粘度調節剤には高級アルコールと
アルキレンオキシドよりなるポリエーテルアルコールが
使われているが、その添加量は界面活性剤量の１０重量
％であり、そのため起泡力低下等のマイナスが生じる。
また、この公報では具体的には５０重量％を越える高濃
度界面活性剤水溶液は得られていない。

【０００５】更にまた、特開昭６４−１６７５７には、
ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルモノ不
飽和脂肪酸エステルのスルホン化物またはその塩の製造
方法が、更に、特表平４−５０２６５１には、この化合
物が低発泡性繊維製品処理製剤として好ましいことが記
載されている。しかし、この化合物を用いた洗浄剤とし
ての記載や、その時の濃度に関しての具体的な記載はな
く、特に高濃度の液体洗浄剤組成物への使用については
何ら記載されていない。また、本発明者らが洗浄力に対
する確認実験を行ったところ、この化合物だけでは良好
な洗浄力が得られないことも判った。

【０００６】このように、洗浄力、流動性、溶解性、安
全性等の諸問題に優れた、界面活性剤の濃度が５０％を
越える高濃度の液体洗浄剤は未だ得られていない。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、液体濃厚洗
浄剤に見られる前記の諸問題を解決し、優れた洗浄力を
有し、皮膚への刺激性が少ない上に、５５重量％以上と
いう高濃度でも流動性が高く水で希釈した際の溶解性に
も優れている液体濃厚洗浄剤組成物を提供することをそ
の目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記一
般式（１）で表される、ポリアルキレングリコールモノ
メチルエーテル不飽和脂肪酸エステルのスルホン化物ま
たはその塩からなるアニオン性界面活性剤（Ａ）と、下
記一般式（２）で表される高級アルカノールアミド、下
記一般式（３）で表されるポリオキシアルキレングリコ
ールアルキルエーテル、下記一般式（４）で表されるポ
リアルキレングリコール脂肪酸エステル、（５）３価以
上のポリオールを親水基に有し、長鎖アルキル基を疎水
基に有するノニオン性界面活性剤から選ばれる１種以上
のノニオン性界面活性剤（Ｂ）とを必須成分として含
み、（Ａ）と（Ｂ）との重量比が、（Ａ）：（Ｂ）＝８
０：２０〜１５：８５であり、かつ界面活性剤成分の合
計濃度が５５〜１００重量％であることを特徴とする液
体濃厚洗浄剤組成物が提供される。

【化１】Ｒ₁ＣＯＯ（ＡＯ)_mＣＨ₃（１）（式中、Ｒ₁は炭素数１３〜１９の不飽和結合を含むア
ルキル基、ＡＯはオキシエチレン基またはオキシプロピ
レン基、mは３〜３０の整数を表す。）

【化２】Ｒ₂ＣＯＮ（Ｃ₂Ｈ₄ＯＨ)_nＨ_2-n（２）（式中、Ｒ₂は炭素数９〜１７のアルキル基又はアルケ
ニル基を表し、nは１または２である。）

【化３】Ｒ₃Ｏ（ＢＯ)_pＨ（３）（式中、Ｒ₃は炭素数８〜１８のアルキル基又はアルケ
ニル基、ＢＯはオキシアルキレン基、pは３〜３０の整
数を表す。）

【化４】Ｒ₄ＣＯＯ（ＤＯ)_qＲ₅（４）（式中、Ｒ₄は炭素数５〜１７のアルキル基又はアルケ
ニル基、Ｒ₅は水素原子または炭素数１〜４のアルキル
基、ＤＯはオキシアルキレン基、qは３〜３０の整数を
表す。）

【０００９】本発明の前記一般式（１）で表されるポリ
アルキレングリコールモノメチルエーテル不飽和脂肪酸
エステルのスルホン化物またはその塩は、従来の家庭用
液体洗浄剤に使われている界面活性剤のように水の存在
下で液晶を形成しないので、濃厚水溶液を保存しても固
化しない。また、原液や濃厚水溶液を洗浄に使っても水
溶性が悪い等の問題がなく、本発明は、このような特定
構造の前記一般式（１）で表されるポリアルキレングリ
コールモノメチルエーテル不飽和脂肪酸エステルのスル
ホン化物またはその塩が含まれている洗浄剤組成物は、
高濃度でも極めて流動性に富み、その上水に希釈する際
の溶解性が良く、人体に対する刺激性も少ないという、
新たに見出した知見に基づいたものであり、該ポリアル
キレングリコールモノメチルエーテル不飽和脂肪酸エス
テルのスルホン化物またはその塩に、前記特定のノニオ
ン性界面活性剤を特定割合で配合することにより、優れ
た洗浄力を有し、皮膚への刺激性が少ない上に、５５重
量％以上という高濃度でも流動性が高く水で希釈した際
の溶解性にも優れていることを見出し、本発明を完成す
るに至った。

【００１０】

【発明の実施の形態】前記本発明で用いる一般式（１）
で表されるポリアルキレングリコールモノメチルエーテ
ル不飽和脂肪酸エステルのスルホン化物またはその塩に
ついて具体的に説明する。式中、Ｒ₁は炭素数１３〜１
９の不飽和結合を含むアルキル基であり、好ましくは１
３〜１７の１個または２個の不飽和結合を含むアルキル
基である。具体的にはパルミトオレイン酸、オレイン
酸、リノール酸、イコサジエン酸等の残基である。また
ＡＯは、オキシエチレンまたはオキシプロピレン基であ
る。更にまた、mは３〜３０の整数であり、好ましくは
５〜２０の数である。塩にする場合は１価に相当する、
金属イオンまたは有機アンモニウム陽イオンが対イオン
として好ましい。具体的にはナトリウム、カリウム、リ
チウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム等のアル
カリ土類金属イオン、さらにはアンモニウムイオン、ト
リメチルアミンやトリエチルアミン等の低級アミン、リ
シン、モノ、ジ又はトリ低級アルカノールアミン等から
形成される置換アンモニウムイオン等である。

【００１１】該一般式（１）で表されるポリアルキレン
グリコールモノメチルエーテル不飽和脂肪酸エステルの
スルホン化物またはその塩の具体例としては、ヘキサエ
チレングリコールモノメチルエーテルオレイン酸エステ
ルの硫酸化物Ｎａ塩、ペンタデカエチレングリコールモ
ノメチルエーテルオレイン酸エスエルの硫酸化物Ｎａ
塩、デカエチレングリコールモノメチルエーテルリノー
ル酸エステルの硫酸化物Ｎａ塩、イコサエチレングリコ
ールメトキシプロピルエーテルオレイン酸エステルの硫
酸化物トリエタノールアミン塩などが挙げられる。

【００１２】本発明の一般式（１）で表されるポリアル
キレングリコールモノメチルエーテル不飽和脂肪酸エス
テルのスルホン化物またはその塩は、公知の方法で容易
に製造することができる。例えば、特開昭６４−１６７
５７号公報にもあるように、一般式（１）で表されるポ
リアルキレングリコールモノメチルエーテル不飽和脂肪
酸エステルを公知の方法、即ちガス状の三酸化硫黄、或
いは空気または窒素等で希釈し、好ましくは三酸化硫黄
約１〜１０容量％を含有するガス混合物を、５〜１００
℃の温度で接触させ硫酸化すれば、酸型の化合物が得ら
れる。また、該化合物をアルカリ金属又はアルカリ土類
金属の水酸化物や炭酸塩、或いはアンモニア水やアミン
類等で中和すれば、所望の陽イオンを対イオンに有する
塩型の化合物が得られる。本発明の該スルホン化物の構
造は、下記のスルホン化アルケン構造（５）、またはス
ルホン化ヒドロキシアルカン構造（６）、或いはこれら
の混合物であるものと推考される。

【化５】

【化６】

【００１３】本発明の液体濃厚洗浄剤組成物は、濃度５
５重量％以上、特に６０〜１００重量％の液体洗浄剤組
成物であり、濃度５５重量％未満では流通コストや包装
材料の削減効果が少ない。濃度５５重量％以上の液体洗
浄剤組成物は、液体洗浄剤組成物に関する従来の文献で
は全く対象としていない濃度領域である。

【００１４】本発明の液体濃厚洗浄剤組成物は、皮膚へ
の刺激性が少なく洗浄効果にも優れる一般式（１）で表
されるポリアルキレングリコールモノメチルエーテル不
飽和脂肪酸エステルのスルホン化物またはその塩である
アニオン性界面活性剤（Ａ）を主剤としているが、洗浄
力向上のため、これに特定のノニオン性界面活性剤
（Ｂ）を併用する。該ノニオン性界面活性剤を併用して
も界面活性剤濃度を５５〜１００重量％とすることがで
き、しかも洗浄力が著しく向上する。該アニオン性界面
活性剤（Ａ）とノニオン性界面活性剤（Ｂ）の配合比
（Ａ）：（Ｂ）は、重量比で８０：２０〜１５：８５の
範囲であり、（Ａ）が過少では液晶が形成されて組成物
の流動性や水への溶解性が低下する場合がある。逆に、
（Ｂ）が過少では洗浄力が低い場合がある。

【００１５】次に、一般式（１）で表されるの該アニオ
ン性界面活性剤と併用されるノニオン性界面活性剤及び
これを配合した組成物について記述する。高級アルカノールアミドを配合した組成物下記一般式（２）で示される高級アルカノールアミド
（Ｂ−１）が、一般式（１）で表されるポリアルキレン
グリコールモノメチルエーテル不飽和脂肪酸エステルの
スルホン化物またはその塩（Ａ）と併用するのに好適な
界面活性剤である。なお（Ｂ−１）は公知のノニオン性
界面活性剤である。

【化２】Ｒ₂ＣＯＮ（Ｃ₂Ｈ₄ＯＨ)_nＨ_2-n（２）一般式（２）において、Ｒ₂は炭素数９〜１７のアルキ
ル基又はアルケニル基であり、好ましくは炭素数９〜１
３の直鎖状又は分岐状アルキル基である。そして、nは
１または２である。すなわち、該（Ｂ−１）として好ま
しい高級アルカノールアミドは、炭素数１０〜１８の飽
和又は不飽和脂肪酸とモノエタノールアミンやジエタノ
ールアミン等のアルカノールアミンから得られるアルカ
ノールアミド等であリ、アルカノールアミドは単一品で
も混合物であっても良い。また、さらに具体的に併用す
るのに好適な高級アルカノールアミドを例示すると、ヤ
シ油脂肪酸ジエタノールアミドやラウリン酸モノエタノ
ールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド等が挙げら
れる。（Ａ）と（Ｂ−１）を併用する場合、（Ａ）：
（Ｂ−１）の混合比は重量比で８０：２０〜１５：８５
の範囲とするのが好ましく、更に好ましい混合比は７
０：３０〜３０：７０である。洗浄剤組成物内の界面活
性剤濃度は５５重量％以上、特に８０〜１００重量％と
するのが好ましい。

【００１６】ポリオキシアルキレングリコールアルキ
ルエーテルを配合した組成物下記一般式（３）で表されるポリオキシアルキレンアル
キルエーテル型ノニオン性界面活性剤（Ｂ−２）が、一
般式（１）で表されるポリアルキレングリコールモノメ
チルエーテル不飽和脂肪酸エステルのスルホン化物また
はその塩（Ａ）と併用するのに好適なノニオン性界面活
性剤である。なお、（Ｂ−２）も公知のノニオン性界面
活性剤である。

【化３】Ｒ₃Ｏ（ＢＯ)_pＨ（３）一般式（３）において、Ｒ₃は、炭素数８〜１８のアル
キル基又はアルケニル基であり、好ましくは炭素数８〜
１４のアルキル基である。また、ＢＯはオキシアルキレ
ン基、pは３〜３０、好ましくは５〜２０の整数であ
る。そして、（Ｂ−２）の具体例としては、ヘキサエチ
レングリコールラウリルエーテル、ノナエチレングリコ
ールラウリルエーテル、オクタエチレングリコールミリ
スチルエーテル、オキシエチレン基の平均重合度が１５
のポリエチレングリコールデシルエーテル等が挙げられ
る。（Ａ）と（Ｂ−２）を併用する場合、（Ａ）：（Ｂ
−２）の混合比は重量比で８０：２０〜１５：８５の範
囲とするのが好ましく、更に好ましい混合比は７０：３
０〜２５：７５である。洗浄剤組成物内の該混合物濃度
は５５重量％以上、特に６０〜１００重量％とするのが
好ましい。

【００１７】ポリアルキレングリコール脂肪酸エステ
ルを配合した組成物一般式（１）で表されるポリアルキレングリコールモノ
メチルエーテル不飽和脂肪酸エステルのスルホン化物ま
たはその塩（Ａ）と併用されるノニオン性界面活性剤と
しては、下記一般式（４）で示される公知のポリアルキ
レングリコール脂肪酸エステル（Ｂ−３）も好適であ
る。

【化４】Ｒ₄ＣＯＯ（ＤＯ)_qＲ₅（４）一般式（４）において、Ｒ₄は、炭素数５〜１７のアル
キル基またはアルケニル基であり、好ましくは炭素数９
〜１５のアルキル基またはアルケニル基である。また、
Ｒ₅は水素または炭素数１〜４のアルキル基である。ま
た、ＤＯはオキシアルキレン基、qは３〜３０、好まし
くは５〜２０の整数である。そして、Ｂ−３の具体例と
しては、オクタエチレングリコールモノメチルエーテル
ラウリン酸エステル、オキシエチレン基の平均重合度が
１５のポリエチレングリコールモノメチルエーテルオレ
イン酸エステル、デカエチレングリコールメトキシプロ
ピルエーテルオレイン酸エステル等が挙げられる。

【００１８】３価以上のポリオールを親水基に有し、
長鎖アルキル基を疎水基に有するノニオン性界面活性剤
を配合した組成物一般式（１）で表されるポリアルキレングリコールモノ
メチルエーテル不飽和脂肪酸エステルのスルホン化物ま
たはその塩（Ａ）と併用されるノニオン性界面活性剤と
しては、３価以上のポリオールを親水基に有し、長鎖ア
ルキル基を疎水基に有する公知のノニオン性界面活性剤
（Ｂ−４）も好適である。なかでも炭素数が８〜１４の
アルキル基を疎水基に有し、グリセリン、ポリグリセリ
ン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グルコー
ス、メチルグルコース、シュークロース、ポリグルコー
スなどの水酸基が複数の糖類などのポリオールを親水基
に有するノニオン性界面活性剤が好ましい。具体例とし
ては、アルキルグリセリルエーテル、アルキルグリセリ
ド、アルキルソルビトールエステル、アルキルグルコシ
ド、アルキルメチルグルコシド、アルキルエチルグルコ
シド、アルキルポリグルコシド、アルキルサッカライ
ド、アルキルマンノシド、アルキルフルクトシド、アル
キルメチルグルカミドなどが挙げられるが、これらに限
定されるものではない。

【００１９】以上に詳記した液体濃厚洗浄剤組成物は、
皮膚への刺激を少なくするためにｐＨを５．０〜９．０
の範囲とするのが好ましい。従って、前記一般式（１）
で表されるポリアルキレングリコールモノメチルエーテ
ル不飽和脂肪酸エステルのスルホン化物またはその塩中
の陽イオンをｐＨが前記範囲となるように適宜選定した
り、該組成物に適当なｐＨ調整剤を配合することによっ
て調製することができる。

【００２０】また、該組成物には必要に応じて各種配合
剤を配合することができる。すなわち、本発明の目的を
損なわない範囲で家庭用洗浄剤に配合される配合剤；例
えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、グリセリン、ソルビトール等の保湿剤；メチルセル
ロース、ポリオキシエチレングリコールジステアレー
ト、エタノール等の粘度調整剤；ｐ−オキシ安息香酸エ
ステル類等の防腐剤；殺菌剤；酸化防止剤；香料；色
素；紫外線吸収剤；等を配合することができる。さら
に、該組成物には前記以外の界面活性剤を配合すること
も可能であり、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫
酸塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン性界
面活性剤、アミンオキシドやアミドプロピルベタイン等
の両性界面活性剤等を配合することができる。

【００２１】本発明の液体濃厚洗浄剤組成物は人体に対
して低刺激性であり、優れた洗浄力を有している。ま
た、一般式（１）で表されるポリアルキレングリコール
モノメチルエーテル不飽和脂肪酸エステルのスルホン化
物またはその塩はクラフト点が低いので、液体洗浄剤組
成物にすると製品の保存安定性が良く、配合成分の分離
や結晶析出等を起し難い利点がある。従って、該組成物
は人体との接触が避けられない家庭用洗浄剤分野、例え
ば、ボディシャンプーやシャンプー等の皮膚及び毛髪用
液体洗浄剤、食器用液体洗浄剤、壁や床用等の住居用液
体洗浄剤、自動車や家具什器類、衣料用液体洗剤等の洗
浄剤に好適である。なお、前記の好適な使用分野を洗浄
される表面で分類すると；食器、プラスチック表面、金
属表面、ガラス表面、セラミックス表面等の硬質表面；
家具や柱等の木竹表面；皮膚や毛髪等の人体表面；に分
類されるが、本発明の組成物は、いずれも前記の各分野
に好ましく使用される。

【００２２】

【実施例】次に、本発明を実施例と比較例によって更に
具体的に説明するが、本発明はこの実施例で限定されな
い。

【００２３】洗浄剤組成物の評価は下記の方法で行っ
た。＜洗浄剤水溶液の状態＞目視及び偏光顕微鏡による視察
で状態を調べ、流動性透明液体の場合を○、非流動性液
晶の場合を×で表示した。＜希釈溶解性＞試料を１重量％水溶液とし、溶解性が良
好か否かを目視で観察した結果に基づいて前者を○で後
者を×で表示した。＜蛋白変性率＞５０ｍＭのリン酸緩衝液（ｐＨ７．０）
に１００ｐｐｍの牛血清アルブミンを加え、これに試料
を加えて水溶液中の界面活性剤濃度を全部で１０００ｐ
ｐｍとした。この水溶液を室温で３時間放置後、２２０
ｎｍの円偏光二色性スペクトルを日本分光社製のＪＡＳ
ＣＯＪ−７２０で測定した。そして、界面活性剤が含
まれていない場合のデータ（ブランクテスト）よリ減少
した量（％）を変性率とした。この値が小さいほど人体
刺激性の少ない界面活性剤である。＜洗浄性能＞オイルレッドを含んだ人工油脂汚垢を付着
させたポリプロピレンカップに、界面活性剤水溶液１８
０ｍｌ（活性剤濃度：０．０２６ｗｔ％）を入れ、回転
羽を用いて５分間攪拌洗浄後、溶液を廃棄したカップを
風乾した。洗浄後のカップの汚垢が一様に落ちているも
の：○、一部落ちているもの：△、全く落ちていないも
の：×、として洗浄性能を評価した。

【００２４】実施例１〜２２、比較例１〜１５各界面活性剤濃度の水溶液を作製し、その状態、希釈溶
解性、蛋白変性率及び洗浄性能を測定し、その結果を表
１〜４に示した。表１には、前記ポリアルキレングリコ
ールモノメチルエーテル不飽和脂肪酸エステルのスルホ
ン化物またはその塩（Ａ）と高級アルカノールアミド型
ノニオン性界面活性剤（Ｂ−１）を併用した実施例１〜
６と、その比較例１〜６を記載した。表２には、前記ポ
リアルキレングリコールモノメチルエーテル不飽和脂肪
酸エステルのスルホン化物またはその塩（Ａ）とポリオ
キシアルキレングリコールアルキルエーテル型ノニオン
性界面活性剤（Ｂ−２）を併用した実施例７〜１０と、
その比較例７〜９を記載した。表３には、前記ポリアル
キレングリコールモノメチルエーテル不飽和脂肪酸エス
テルのスルホン化物またはその塩（Ａ）とポリアルキレ
ングリコール脂肪酸エステル型ノニオン性界面活性剤
（Ｂ−３）を併用した実施例１１〜１４と、その比較例
１０〜１２を記載した。表４には、前記ポリアルキレン
グリコールモノメチルエーテル不飽和脂肪酸エステルの
スルホン化物またはその塩（Ａ）と３価以上のポリオー
ルを親水基に有し、長鎖アルキル基を疎水基に有するノ
ニオン性界面活性剤（Ｂ−４）を併用した実施例１５〜
２２と、その比較例１３〜１５を記載した。

【００２５】表１〜表４には、実施例及び比較例で使用
した界面活性剤を記号で記載したが、その記号は下記の
化合物を表す。（１）一般式（１）で表されるポリアルキレングリコー
ルモノメチルエーテル不飽和脂肪酸エステルのスルホン
化物またはその塩（Ａ）Ａ−１：デカエチレングリコールモノメチルエーテルオ
レイン酸エステルの硫酸化物Ｎａ塩Ａ−２：ペンタデカエチレングリコールモノメチルエー
テルオレイン酸エステルの硫酸化物Ｎａ塩Ａ−３：オクタエチレングリコールモノメチルエーテル
リノール酸エステルの硫酸化物Ｎａ塩Ａ−４：デカエチレングリコールモノメトキシプロピル
エーテルオレイン酸エステルの硫酸化物Ｎａ塩

【００２６】（２）一般式（２）で示される高級アルカ
ノールアミド（Ｂ−１）Ｂ−１１：ラウロイルジエタノールアミドＢ−１２：ミリストイルモノエタノールアミドＢ−１３：ヤシ油ジエタノールアミド（３）一般式（３）で示されるポリオキシアルキレング
リコールアルキルエーテル（Ｂ−２）Ｂ−２ｌ：ペンタデカエチレングリコールオレイルエー
テルＢ−２２：デカエチレングリコールラウリルエーテルＢ−２３：オクタエチレンモノプロピレングリコールオ
レイルエーテル（４）ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル（Ｂ−
３）Ｂ−３１：オクタエチレングリコールモノメチルエーテ
ルラウリン酸エステルＢ−３２：ペンタデカエチレングリコールモノメチルエ
ーテルオレイン酸エステルＢ−３３：デカエチレングリコールモノメトキシプロピ
ルエーテルオレイン酸エステル（５）３価以上のポリオールを親水基に有し、長鎖アル
キル基を疎水基に有するノニオン性界面活性剤（Ｂ−
４）Ｂ−４１：ラウリルポリグリセリルエーテル（ポリグリ
セリンの平均重合度は２）Ｂ−４２：デシルグリセリドＢ−４３：ペンタエリスリトールラウリン酸エステルＢ−４４：デシルグルコシドＢ−４５：アルキルメチルグルコシド（アルキル基の平
均鎖長は９）Ｂ−４６：ラウリルポリグルコシド（グルコシドの平均
重合度は３）Ｂ−４７：オクチルマンノシド

【００２７】（５）一般式（１）以外の構造のポリアル
キレングリコールモノメチルエーテル不飽和脂肪酸エス
テルのスルホン化物またはその塩（Ｃ）Ｃ−１：モノエチレングリコールモノメチルエーテルオ
レイン酸エステルの硫酸化物Ｎａ塩Ｃ−２：ポリエチレングリコールリノレイン酸エステル
の硫酸化物Ｎａ塩（酸化エチレンの平均付加量：５０モ
ル）（６）ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸酸塩
（Ｄ）Ｄ−１：ラウリルエトキシサルフェートナトリウム塩
（酸化エチレンの平均付加量：５モル）尚、上記（Ｄ）の化合物は、家庭用液体洗浄剤に配合さ
れることの多い優秀な界面活性剤である。

【００２８】

【表１】

【００２９】

【表２】

【００３０】

【表３】

【００３１】

【表４】

【００３２】表１〜４から、実施例の洗浄剤組成物は、
界面活性剤濃度が５５重量％以上でも流動性の良い液体
であり、希釈溶解性が良く蛋白変性率も極めて小さいこ
とが分る。一方、比較例の洗浄剤組成物は、界面活性剤
混合物の濃度が５５重量％以上と高い場合には非流動性
液晶となり、希釈溶解性が悪い上に、蛋白変性率も高い
組成物があった。また、一般式（１）で表されるポリア
ルキレングリコールモノメチルエーテル不飽和脂肪酸エ
ステルのスルホン化物またはその塩と、本発明の液体濃
厚洗浄剤組成物に配合されるノニオン性界面活性剤（Ｂ
−１、Ｂ−２、Ｂ−３及びＢ−４で示される化合物）が
配合されていても、混合比が本発明で規定している範囲
を外れると好ましくないことが分る（比較例２、７、１
０、１３）。なお、一般式（１）に表される化合物と類
似のポリアルキレングリコールモノメチルエーテル不飽
和脂肪酸エステルのスルホン化物またはその塩（Ｃ−
１、Ｃ−２の化合物）は、本発明を特徴づけている一般
式（１）で表されるポリアルキレングリコールモノメチ
ルエーテル不飽和脂肪酸エステルのスルホン化物または
その塩と近似した構造を有するにもかかわらず、流動性
や希釈溶解性が高い、蛋白変性率も悪い場合がある。

【００３３】

【発明の効果】本発明の液体濃厚洗浄剤組成物は、水等
の溶剤を含まない場合や高濃度溶液であっても流動性が
優れている上に、水で希釈する際に液晶を形成しないた
め水への希釈溶解性も極めて良好である。また、蛋白変
性率が極めて小さく皮膚に対する作用が温和である。そ
して、該組成物は硬質表面や木質表面のほか、皮膚や毛
髪の洗浄等の広い範囲の洗浄に使用できるから、各種家
庭用液体洗浄剤として好ましい組成物である。すなわ
ち、本発明の組成物は、食器用液体洗浄剤、住居用液体
洗浄剤、シャンプー、ボディシャンプー等として好適で
あり、該組成物を前記の洗浄剤とすることによって従来
品使用時より洗浄剤容積が大幅に小さくなるから、流通
コストの低減化に極めて有用であり、包装材料を減量す
ることができるため、環境安全性も高い。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｃ１１Ｄ 1:28 1:68 1:72 1:74） (72)発明者藤原正美東京都墨田区本所一丁目３番７号ライオン株式会社内 (72)発明者黒岩恵子東京都墨田区本所一丁目３番７号ライオン株式会社内 (72)発明者田野哲雄東京都墨田区本所一丁目３番７号ライオン株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】下記一般式（１）で表される、ポリアル
キレングリコールモノメチルエーテル不飽和脂肪酸エス
テルのスルホン化物またはその塩からなるアニオン性界
面活性剤（Ａ）と、下記一般式（２）で表される高級ア
ルカノールアミド、下記一般式（３）で表されるポリオ
キシアルキレングリコールアルキルエーテル、下記一般
式（４）で表されるポリアルキレングリコール脂肪酸エ
ステル、（５）３価以上のポリオールを親水基に有する
ノニオン性界面活性剤から選ばれる１種以上のノニオン
性界面活性剤（Ｂ）とを必須成分として含み、（Ａ）と
（Ｂ）との重量比が、（Ａ）：（Ｂ）＝８０：２０〜１
５：８５であり、かつ界面活性剤成分の合計濃度が５５
〜１００重量％であることを特徴とする液体濃厚洗浄剤
組成物。【化１】Ｒ₁ＣＯＯ（ＡＯ)_mＣＨ₃（１）（式中、Ｒ₁は炭素数１３〜１９の不飽和結合を含むア
ルキル基、ＡＯはオキシエチレン基またはオキシプロピ
レン基、mは３〜３０の整数を表す。）【化２】Ｒ₂ＣＯＮ（Ｃ₂Ｈ₄ＯＨ)_nＨ_2-n（２）（式中、Ｒ₂は炭素数９〜１７のアルキル基又はアルケ
ニル基を表し、nは１または２である。）【化３】Ｒ₃Ｏ（ＢＯ)_pＨ（３）（式中、Ｒ₃は炭素数８〜１８のアルキル基又はアルケ
ニル基、ＢＯはオキシアルキレン基、pは３〜３０の整
数を表す。）【化４】Ｒ₄ＣＯＯ（ＤＯ)_qＲ₅（４）（式中、Ｒ₄は炭素数５〜１７のアルキル基又はアルケ
ニル基、Ｒ₅は水素原子または炭素数１〜４のアルキル
基、ＤＯはオキシアルキレン基、qは３〜３０の整数を
表す。）