JPH0977626A - 歯科用充填組成物 - Google Patents

歯科用充填組成物

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JPH0977626A
JPH0977626A JP7259474A JP25947495A JPH0977626A JP H0977626 A JPH0977626 A JP H0977626A JP 7259474 A JP7259474 A JP 7259474A JP 25947495 A JP25947495 A JP 25947495A JP H0977626 A JPH0977626 A JP H0977626A
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Shigemichi Honda
成道 本田
Akimasa Asai
昌征 浅井
Masushi Tsuchikawa
益司 土川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬質レジン表面の光沢性、耐摩耗性、機械的
強度が良好で、ペ−ストの操作性に優れた歯科用充填組
成物を提供すること。 【解決手段】 重合性単量体、重合開始剤及びビニルポ
リマ−のマトリックス中に第1の無機酸化物が均一に分
散されている複合体の粉末を含有する歯科用充填組成
物。この組成物は、さらに無機酸化物の一次粒子や無機
酸化物の凝集粒子を含有することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歯科用充填組成物に関
する。さらに詳しくは透明性が優れ、しかもペ−ストの
操作性、硬化したレジン表面の光沢性、機械的強度及び
耐摩耗性にも優れた歯科用充填組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、歯科治療における歯牙欠損部の修
復充填材としてメタアクリル系レジンの充填組成物が審
美性が良く操作性が簡便である等の理由から金属材料や
無機セメントに代わる材料として多用されている。レジ
ン系歯科用充填組成物は一般に重合性単量体、重合開始
剤、重合禁止剤と無機フィラ−あるいは重合性単量体と
無機フィラ−を予め混合し、重合・粉砕した複合フィラ
−等の充填材等を配合したペ−ストからなる。各成分に
特徴を持たせた多くの組成が提案されているが、なかで
も、フィラ−の種類、形状、粒子径、充填量はペ−スト
の操作性ばかりでなく硬化レジンの透明性、表面の光沢
性、機械的強度等を左右するため重要な要因となる。特
に硬化レジンの透明性は審美上重要な要因となり、硬化
レジンの透明性が高ければ、顔料等の配合量をコントロ
−ルすることで、透明感が有り且つ色調に優れる歯科用
修復物を作製することが可能となる。
【0003】また、硬質レジンの分野では、光沢感があ
り色調の良い人工歯を作製するために、エナメル色の上
に透明感のあるトランスペアレント(透明)色を盛り付
けている。しかし、一般に歯科用充填組成物に使用され
る重合性単量体を重合したポリマ−の屈折率は約1.5
1〜1.56であるため、平均粒子径が0.1μm以上の
シリカフィラ−(屈折率:1.45〜1.46)を充填材
として使用するとポリマ−とシリカフィラ−の屈折率の
差が大きく、フィラ−による光散乱が生じ透明感の無
い、白色の硬化レジンしか得られない。平均粒子径が
0.1μm以上の無機酸化物をフィラ−とし且つ透明感
の有る硬化レジンを得るためには、充填組成物に配合さ
れる重合性単量体から誘導されたポリマ−とほぼ同等の
屈折率を持つフィラ−を採用する必要がある。しかしな
がら、平均粒径が0.1μm以上の無機酸化物を充填す
ると表面研磨しても硬化レジン表面の光沢感がなく、耐
磨耗性にも劣る等の欠点がある。一方、平均粒子径が
0.1μm以下のシリカフィラ−を使用すると、ポリマ
−とシリカの屈折率の差が大きくても、可視光線の光波
長よりもフィラ−の粒子径の方が小さいため、フィラ−
による光散乱が小さくなり硬化レジンの透明感が向上す
る。しかし、フィラ−の表面積が大きいためにペ−スト
の粘度上昇が著しく、それを抑えるために充填材の添加
量を低くするとペ−ストのベタツキ、垂れ等が著しくな
り操作性が悪化する欠点がある。
【0004】そこでこれらの欠点を解決する方法とし
て、平均粒子径が0.1μm以下のシリカを含有する複
合フィラ−を充填した歯科用充填組成物が多くの製品で
採用されている。複合フィラ−を使用するとペ−ストの
操作性が良く、しかも表面光沢性、耐磨耗性も良好な歯
科用修復材を作製することができる。しかし、平均粒径
が0.1μm以下のシリカを重合性単量体、重合開始剤
と共に乳鉢やロ−ル、ニ−ダ−等で機械的に混練し、重
合、粉砕する通常の方法では、混練時に重合性単量体に
シリカ粒子が完全には均一分散せず、粒径が0.1μm
以上の凝集体としても存在しているため光散乱し淡白色
の混練物しか得られない。そのため、平均粒径が0.1
μm以下のシリカを使用しても重合性単量体のみを硬化
させたものに比べて、透明感のない複合体しか得られな
い。従って、結果的には充填組成物に配合されている重
合性単量体から誘導されたポリマ−と複合体の屈折率を
ほぼ一致させたとしても、複合体自体の透明感が低いた
め透明性に秀でた硬化レジンとはならない。
【0005】一方、複合体中のシリカ含有率が増すにつ
れて硬化レジンの機械的特性、耐水性、耐磨耗性等は向
上するが、シリカと重合性単量体との混練物の粘度も上
昇しシリカがますます分散し難くなるため複合体の透明
感は著しく減少する。従って、硬化レジンの透明感を維
持したまま機械的特性等を向上させることは非常に困難
である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】それ故、本発明の目的
は、透明性に優れる新規な歯科用充填組成物を提供する
ことにある。本発明の他の目的は、硬化レジン表面の光
沢性、耐摩耗性、機械的強度も良好でしかもペ−ストの
操作性も良い歯科用充填組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的及び利点は以下の説明から明ら
かとなろう。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明
の上記目的及び利点は、第1に(1)重合性単量体 1
00重量部、(2)重合開始剤 0.01〜10重量部
及び(3)ビニルポリマ−のマトリックス中に第1の無
機酸化物が均一に分散されている複合体の粉末 40〜
400重量部、を含有してなり、そして上記重合性単量
体の重合体の屈折率と上記複合体粉末の屈折率との差が
0.1以下であることを特徴とする歯科用充填組成物に
よって達成される。以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】重合性単量体(1) 先ず重合性単量体としては、その種類に限定はなく公知
の重合性単量体が使用できる。以下に示す(メタ)アク
リレ−ト系化合物が好ましく利用できる。また、重合性
単量体としては、単官能性、二官能性、三官能性、四官
能性及び五官能性あるいはそれ以上の官能性の単量体が
使用できる。具体的に例示すれば、
【0009】(イ)単官能性重合性単量体としては、例
えばメチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アク
リレ−ト、プロピル(メタ)アクリレ−ト、イソプロピ
ル(メタ)アクリレ−ト、ブチル(メタ)アクリレ−
ト、ペンチル(メタ)アクリレ−ト、イソペンチル(メ
タ)アクリレ−ト、グリシジル(メタ)アクリレ−ト、
テトラフルフリル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレ−ト、3−クロロ−2−ハイドロキ
シプロピル(メタ)アクリレ−ト、エチレングリコ−ル
モノ(メタ)アクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルモノ
(メタ)アクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルモノ
(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコ−ルモノ
(メタ)アクリレ−ト、メトキシジエチレングリコ−ル
モノ(メタ)アクリレ−ト、メトキシテトラエチレング
リコ−ル(メタ)アクリレ−ト、メトキシポリエチレン
グリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、β−(メタ)アクリ
ロキシエチルハイドロゲンフタレ−ト、β−(メタ)ア
クリロキシエチルハイドロゲンサクシネ−ト、ノニルフ
ェノキシエチル(メタ)アクリレ−ト、3−クロロ−2
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、フェノキ
シエチル(メタ)アクリレ−ト、フェノキシジエチレン
(メタ)アクリレ−ト、N−(2−ヒドロキシ−3−
(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−N−フェニル
グリシン、N−(メタ)アクリロイルグリシン等の一分
子中に1個の重合性基を有する(メタ)アクリル酸エス
テル類;
【0010】酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニ
ルエステル類;メチルビニルエ−テル、エチルビニルエ
−テル、イソブチルビニルエ−テル、(メタ)アクリル
アルデヒドジエチルアセタ−ル等のビニルエ−テル類;
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロ
ロスチレン等のアルケニルベンゼン類;アクリロニトリ
ル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル類;(メ
タ)アクリルアルデヒド、3−シアノ(メタ)アクリル
アルデヒド等の(メタ)アクリルアルデヒド類;(メ
タ)アクリルアミド、N−スクシン(メタ)アクリルア
ミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の
(メタ)アクリル酸アミド類;(メタ)アクリル酸、ビ
ニル酢酸、クロトン酸、4−(メタ)アクリロイルオキ
シエチルトリメリット酸等の(メタ)アクリル酸類もし
くはそれらの金属塩類;アシッドホスホエチル(メタ)
アクリレ−ト、アシッドホスホプロピル(メタ)アクリ
レ−ト、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニ
ルリン酸等のリン酸エステル基を含有する重合性単量体
類、もしくはそれらの金属塩類;アリルスルホン酸、メ
タリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、tert−ブ
チルアクリルアミドスルホン酸等のスルホン酸基を含有
する重合性単量体類もしくはそれらの金属塩類であり、
好適にはメチルメタクリレ−ト、エチルメタクリレ−ト
である。
【0011】(ロ)二官能性重合単量体としては、例え
ばエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ジエチ
レングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリエチレン
グリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ブチレングリコ−
ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ
(メタ)アクリレ−ト、プロピレングリコ−ルジ(メ
タ)アクリレ−ト、1,3−ブタンジオ−ルジ(メタ)
アクリレ−ト、1,4−ブタンジオ−ルジ(メタ)アク
リレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリ
レ−ト;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ク
ロロ−2−ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト
のような水酸基を有するビニルモノマ−とヘキサメチレ
ンジイソシアネ−ト、トリメチルヘキサメチレンジイソ
シアネ−ト、ジイソシアネ−トメチルシクロヘキサン、
イソフオロンジイソシアネ−ト、メチルビス(4−シク
ロヘキシルイソシアネ−ト)のようなジイソシアネ−ト
化合物との付加物から誘導されるウレタン系重合性単量
体類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−クロ
ロ−2−ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレ−トの
ような水酸基を有するビニルモノマ−とジイソシアネ−
トメチルベンゼン、4,4'−ジフェニルメタンジイソシ
アネ−トのような芳香族含有ジイソシアネ−ト化合物と
の付加物から誘導される芳香族ウレタン系重合性単量体
類;
【0012】2,2−ビス((メタ)アクリロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−(メタ)ア
クリロキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プ
ロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエト
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)
アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキ
シペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジプ
ロポキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アク
リロキシエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリ
ロキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロ
キシジエトキシフェニル)−2(4−(メタ)クリロキ
シトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)
アクリロキシジエトキシフェニル)−2(4−(メタ)
アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2(4
−(メタ)アクリロキシジプロポキシフェニル)−2
(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシイソ
プロポキシフェニル)プロパン等の芳香族エ−テル系重
合性単量体類等。好適なものは、トリエチレングリコ−
ルジメタクリレ−ト、ジ(メタクリロキシエチル)トリ
メチルヘキサメチレンジウレタン、エトキシ基が2〜3
個連鎖した2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエト
キシフェニル)プロパンである。
【0013】(ハ)三官能性重合性単量体として、例え
ばトリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、
トリメチロ−ルエタントリ(メタ)アクリレ−ト、ペン
タエリスリト−ル(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−
ルメタントリ(メタ)アクリレ−ト等。好適にはトリメ
チロ−ルプロパントリメタクリレ−トである。
【0014】(ニ)四官能性重合性単量体としては、例
えばペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−
ト、;ジイソシアネ−トメチルベンゼン、4,4'−ジフ
ェニルメタンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソ
シアネ−ト、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−
ト、ジイソシアネ−トメチルシクロヘキサン、イソフオ
ロンジイソシアネ−ト、メチルビス(4−シクロヘキシ
ルイソシアネ−ト)のようなジイソシアネ−ト化合物と
グリシド−ルジ(メタ)アクリレ−トのような水酸基を
有するビニルモノマ−から誘導されるウレタン系重合性
単量体類等。好適にはペンタエリスリト−ルテトラメタ
アクリレ−トである。 (ホ)重合性基を5個以上有する重合性単量体類。 等を挙げることができる。
【0015】ここで(ロ)から(ホ)の重合性基を2個
以上有する重合性単量体において、例えばトリエチレン
グリコ−ルアクリレ−トメタクリレ−ト、トリメチロ−
ルプロパンモノアクリレ−トジメタクリレ−ト、ペンタ
エリスリト−ルジアクリレ−トジメタクリレ−トのよう
にメタクリレ−ト基とアクリレ−ト基を一分子中に合わ
せ持つ化合物も含まれる。重合性単量体は単一化合物を
使用しても2種類以上を混合して使用してもよいが
(イ)の単官能性重合性単量体を単独で使用すると重合
性が劣ったり、重合体の強度が低下する場合もあるの
で、(イ)を使用する場合は重合性基を2個以上有する
重合性単量体と混合して使用することが好ましい。好適
な組み合わせとしては、ジ(メタクリロキシエチル)ト
リメチルヘキサメチレンジウレタンとトリエチレングリ
コ−ル、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキ
シフェニル)プロパンとトリエチレングリコ−ルジメタ
クリレ−ト、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘ
キサメチレンジウレタンとトリエチレングリコ−ル及び
2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニ
ル)プロパンである。
【0016】重合性開始剤(2) 本発明における重合性開始剤としては、公知の化合物が
制限なく利用できる。例えば光重合開始剤、有機過酸化
物、ジアゾ系化合物、レドックス系化合物等が利用でき
る。
【0017】具体的に例示すれば、 (ヘ)光重合型開始剤を使用する場合は、光増感剤単独
または光増感剤と光重合促進剤の組み合わせが利用でき
る。光増感剤としては、例えばベンジル、カンファ−キ
ノン、α−ナフチル、p,p'−ジメトキシベンジル、ペ
ンタジオン、1,4−フェナントレンキノン、ナフトキ
ノン等の可視光あるいは紫外光の照射で励起されて重合
を開始する公知のα−ジケトン化合物類が挙げられる。
これらは1種類または2種類以上を混合して使用でき
る。なかでも、カンファ−キノンが好ましく使用され
る。光重合促進剤としては、例えばN,N−ジメチルア
ニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジベンジル
アニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−
ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジヒドロキシエチ
ル−p−トルイジン、N,N−ジメチル安息香酸、N,N
−ジエチル安息香酸、N,N−ジメチル安息香酸エチ
ル、N,N−ジエチル安息香酸エチル、N,N−ジメチル
安息香酸メチル、N,N−ジエチル安息香酸メチル、N,
N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、N,N−ジヒド
ロキシエチルアニリン、p−ジメチルアミノフェネチル
アルコ−ル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ
−ト、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト、
トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルア
ミン、N−エチルエタノ−ルアミン等の第3級アミン
類;前記第3級アミンとクエン酸、リンゴ酸、2−ヒド
ロキシプロパン酸との組み合わせ;5−ブチルアミノバ
ビルツ−ル酸、1−ベンジル−5−フェニルバビルツ−
ル酸等のバビルツ−ル酸類;ベンゾイルパ−オキサイ
ド、ジ−ter−ブチルパ−オキサイド等の有機過酸化
物等を挙げることができる。これらは1種類もしくは2
種類以上を混合して用いてもよい。なかでも芳香族に直
接窒素原子が結合した第3級芳香族アミンもしくは重合
性基を有する脂肪族第3級アミンが好適に使用できる。
【0018】(ト)有機過酸化物、ジアゾ系化合物を使
用する場合においてもその種類に制限はないが、重合を
短時間で終了させたい場合には80℃での分解半減期が
10時間以下である化合物が好ましい。具体的に例示す
ると、有機過酸化物としては、例えばアセチルパ−オキ
サイド、イソブチルパ−オキサイド、デカノイルパ−オ
キサイド、ベンゾイルパ−オキサイド、スクシン酸パ−
オキサイド等のジアシルパ−オキサイド類;ジイソプロ
ピルパ−オキシジカ−ボネ−ト、ジ−2−エチルヘキシ
ルパ−オキシジカ−ボネ−ト、ジアリルパ−オキシジカ
−ボネ−ト等のパ−オキシジカ−ボネ−ト類;t−ブチ
ルパ−オキシイソブチレ−ト、t−ブチルネオデカネ−
ト、クメンパ−オキシネオデカネ−ト等のパ−オキシエ
ステル類;アセチルシクロヘキシルスルホニルパ−オキ
シド等の過酸化スルホネ−ト類。ジアゾ系化合物として
は、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、4,4'−
アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2'−アゾビス(4
−メトキシ−2,4−ジメトキシバレロニトリル)、2,
2'−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリ
ル)等を挙げることができる。なかでもベンゾイルパ−
オキサイド、2,2'−アゾビスブチロニトリルが好適に
使用できる。
【0019】(チ)レドックス開始剤系を使用する場合
においても制限はないが、前記の有機過酸化物と第3級
アミンの組み合わせ;有機過酸化物/スルフィン酸もし
くはそのアルカリ金属塩類/第3級アミンの組み合わ
せ;過硫酸カリウム等の無機過酸化物と亜硫酸ナトリウ
ム、無機過酸化物と亜硫酸水素ナトリウムのような無機
過酸化物と無機還元剤の組み合わせ等を挙げることがで
きる。なかでも、ベンゾイルパ−オキサイドとN,N−
ジメチル−p−トルイジン、ベンゾイルパ−オキサイド
とN,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジンが好適
に使用される。
【0020】ビニルポリマ−のマトリックス中に第1の
無機酸化物が均一に分散されている複合体の粉末(3) 次に複合体について説明する。まず、ビニルポリマ−の
種類としては、その種類に制限はなく公知のものが制限
なく使用できるが、上記で説明した重合性単量体もしく
はそのオリゴマ−から誘導されたビニルポリマ−が好適
に利用できる。むろん、ビニルポリマ−は単独重合体で
あっても、2種類以上の重合性単量体から誘導された共
重合体であってもよい。また、複合体の機械的強度等か
ら重合性基を2個以上有する重合性単量体から誘導され
たビニルポリマ−が好ましい。また、重合性基を3個以
上有する重合性単量体及び/または重合性基を2個有す
る重合性単量体とを組み合わせると、複合体表面に反応
性を持つ残存二重結合が重合性基を2個有する重合性単
量体から誘導された複合体のそれよりも多く存在するよ
うになるため、歯科用充填組成物の硬化時にペ−スト中
の重合性単量体(1)と共重合し易くなり、複合体とポ
リマ−間の接合がより強固なものとなる。そのため、硬
化レジンの耐磨耗性、機械的強度等が向上する傾向にあ
る。ここで重合性基を3個以上有する単量体から誘導さ
れたポリマーが複合体の全ビニルポリマーの50重量%
以上であるのが好ましい。
【0021】重合性基を3個以上有する重合性単量体の
好ましい化合物はトリメチロ−ルプロパントリ(メタ)
アクリレ−トであり、重合性基を2個有する重合性単量
体の好ましい化合物は、ジ((メタ)アクリロキシエチ
ル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン等のウレタン
系重合性単量体もしくは2,2−ビス(4−(メタ)ア
クリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等の芳香族
エ−テル系重合性単量体及びそれらの混合物である。ま
た、100〜200℃の加熱下で複合体を製造する場
合、芳香族エ−テル系重合性単量体、芳香族ウレタン系
重合性単量体等の芳香族環を持つ重合性単量体を全重合
性単量体に対して50重量%以下、さらに好ましくは2
0重量%以下で使用すると複合体が重合もしくは後述す
る熱処理時に黄変し難く、着色のない複合体を製造する
ことができる。
【0022】複合体に使用される第1の無機酸化物とし
ては、例えばシリカ、バリュウムガラス、ストロンチュ
ウガラス、ジルコニア、チタニア等を挙げることができ
る。これらは1種類又は2種類以上併用することができ
る。これらのうちシリカが特に好ましい。
【0023】複合体に使用される第1の無機酸化物の種
類及び平均粒径は後述する複合体の特性を損なわないも
のであれば制限はない。また、第1の無機酸化物表面を
ジメチルジクロルシラン、γーメタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン等の無機酸化物の表面処理剤として
通常使用されている化合物で処理した疎水化した第1の
無機酸化物も利用可能である。第1の無機酸化物の平均
粒径としては、複合体を構成するビニルポリマーとの光
散乱を少なくするために、平均粒径が0、1μm以下が
好ましく、0.01〜0.05μmであることが特に好ま
しい。第1の無機酸化物としては低コストであるシリカ
が好ましい。
【0024】複合体の特性は、電子顕微鏡(TEM等)
による観察から明らかなようにビニルポリマ−のマトリ
ックス中に第1の無機酸化物が均一に分散されているこ
とにある。複合体中の第1の無機酸化物の含有量につい
ては特に制限はないが、硬化レジンの機械的特性等を勘
案すると第1の無機酸化物含有量が20重量%以上、好
ましくは30〜80重量%、さらに好ましくは40〜7
0重量%である。さらに、複合体の光学特性としては、
複合体を板厚1.5mmでの板として測定した時の光透
過率が光波長400〜800nmの範囲で70%以上、
好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上で
あるように、光透過率が高く、透明性に優れることにあ
る。このような複合体を含有する歯科用充填組成物は、
透明性に優れ、しかも機械的性質、耐磨耗性も良好な硬
化レジンを与えことができる。
【0025】複合体の製造法としては上記の特性を満た
したものであれば限定されるものではない。一般には、
特開平5−209027号公報の方法により、前記の重
合開始剤を含む重合性単量体もしくはそのオリゴマ−に
第1の無機酸化物が分散した前駆体を重合硬化させるこ
とにより複合体を得ることができる。重合法としては、
重合開始剤に見合った方法が採用できるが、短時間で効
率良く複合体を得るためにベンゾイルパーオキサイド、
2,2'−アゾビスイソブチロニトリル等の80℃での分
解半減期が10時間以下である有機過酸化物、ジアゾ系
化合物等を使用し、金属板等の型板に前駆体を入れ圧縮
成型機等で1〜300kgf/cm2程度の圧力を掛け
て80〜200℃、好ましくは100〜150℃で数分
間〜数時間、好ましくは5分間〜1時間重合させて複合
化することが好ましい。
【0026】むろん、重合性単量体もしくはそのオリゴ
マ−自体が熱重合するものであれば、重合開始剤を含ま
ない前駆体をそのまま加熱重合して複合体を製造しても
よい。
【0027】このようにして製造された複合体は塊状体
であれば粉砕して粉体とすることが好ましい。粉砕方法
としては、特に制限はないが、一般には、ボールミル等
を使用して機械的に粉砕し必要に応じてふるい等で分級
する方法が好適に使用される。粉体の平均粒径について
も制限はないが、一般には1〜100μm、好ましくは
3〜50μm、さらに好ましくは5〜30μmの範囲の
粉体を使用するとペーストの操作性や硬化レジンの耐磨
耗性が良好となる。
【0028】複合体の粉体はこのまま充填材として使用
してもよいが、ペーストの保存安定性を向上させるため
に、粉体中に残存する重合開始剤等の安定性低下因子を
失活させることが好ましい。失活方法としては、特に制
限がないが、操作が簡便である理由から、粉体を60〜
250℃、好ましくは80〜150℃で数十分間〜数十
時間、好ましくは5時間〜200時間熱処理する方法が
好適に採用できる。熱処理は常圧、減圧、加圧下のいず
れの方法で行ってもよい。また、粉体の黄変を防ぐため
に、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下もしくは気流下で
熱処理するとよい。
【0029】歯科用充填組成物の組成割合 歯科用充填組成物は、重合性単量体、重合開始剤及び複
合体粉末より構成される。各成分の組成比については、
ペ−ストの操作性、窩洞充填用もしくは金属面への築造
等の用途、硬化レジンの機械的特性等から適宜決定すれ
ばよいが、一般には重合性単量体100重量部に対して
重合開始剤を0.01〜10重量部、好ましくは0.05
〜3重量部、特に好ましくは0.07〜1重量部、複合
体粉末については40〜400重量部、好ましくは70
〜240重量部、特に好ましくは100〜240重量部
である。また、透明性のよい硬化レジンを得るために
は、ペ−ストに含有される重合性単量体を重合したポリ
マ−の屈折率と複合体粉末の屈折率とをできるだけ一致
させた方がよく、一般にはその差が0.1以下、好まし
くは0.05以下、さらに好ましくは0.03以下であ
る。
【0030】その他の添加剤 歯科用充填組成物の保存安定性を付与するために、ハイ
ドロキノン、ジブチルハイドロキノン等のハイドロキノ
ン化合物類;ハイドロキノンモノメチルエ−テル、2,
6−t−ブチルフェノ−ル等のフェノ−ル類等通常重合
禁止剤として使用される化合物を1種類以上添加しても
よい。添加量としては特に制限はなく、ペ−ストの保存
安定性や硬化レジンの機械的強度等から適宜最適量を決
定すればよい。一般には、重合性単量体100重量部に
対して0.001〜2重量部が好ましく、0.02〜1重
量部が特に好ましい。
【0031】また、色合わせのためにチタンホワイト、
チタンイエロ−等の顔料及び紫外線吸収剤等を上記歯科
用充填組成物に必要に応じて添加することもできる。
【0032】複合体粉末と第2の無機酸化物の一次粒子
を含む歯科用充填組成物 本発明の組成物は、上記複合体の粉末とともに第2の無
機酸化物の一次粒子をさらに含有することができる。第
2の無機酸化物の一次粒子は平均粒径5μm以下であ
る。ここで、無機酸化物の一次粒子とは重合性単量体に
配合した場合、大部分の粒子が一次粒子に分散されるも
のをいう。第2の無機酸化物の一次粒子は、複合体粉末
を単独で含むペ−ストの伸び等をさらによくし操作性を
向上させたり、硬化レジンの機械的強度を改善させるた
めに添加させる。
【0033】それ故、本発明によれば、第2に、(1)
重合性単量体 100重量部、(2)重合開始剤 0.0
1〜10重量部 及び(3)ビニルポリマ−のマトリッ
クス中に第1の無機酸化物が均一に分散されている複合
体の粉末1〜99重量%と平均粒径5μm以下の第2の
無機酸化物の一次粒子99〜1重量%との組合せ 40
〜400重量部、を含有してなり、そして上記重合性単
量体の重合体の屈折率と、上記複合体粉末及び上記第2
の無機酸化物との屈折率の差が0.1以下であることを
特徴とする歯科用充填組成物が提供される。重合性単量
体(1)、重合開始剤(2)及び複合体の粉末としては
前記したものと同じものが使用できる。
【0034】第2の無機酸化物の種類としては制限はな
く、例えばシリカ、バリュウムガラス、ストロンチュウ
ムガラス、シリカジルコニア、シリカチタニア、ジルコ
ニア、酸化チタン、アルミナ、ソ−ダ石灰珪酸ガラス、
ホウ珪酸ガラス、バリウムボロアルミノシリケ−トガラ
ス、アルミナ珪酸ガラス、ストロンチウムアルミノシリ
ケ−トガラス、硫酸カルシウム、炭酸ビスマス等を挙げ
ることができる。これらは一種類以上同時に使用でき、
また球状体であっても不定形体であってもよい。また、
製造法についても制限はない。また、平均粒子径の異な
るものを少なくとも一種類以上添加してもよい。0.1
μmを越える無機酸化物を使用する場合、ペ−スト中の
重合性単量体から誘導されたポリマ−と無機酸化物の屈
折率の差が0.1以下、好ましくは0.05以下、さらに
好ましくは0.03以下であると硬化レジンの透明性が
向上し、透明感のある硬化レジンを得ることができる。
また、平均粒径が0.1μm以下であれば前記したよう
にそれらの屈折率の差が大きくても硬化レジンの透明性
にさほど影響はされないが、上記の屈折率を満足するも
のが好ましく利用できる。したがって、無機酸化物の種
類は硬化レジンの機械的強度、透明性等から最適値を決
定すればよいが、平均粒径が5μm以下、好ましくは1
μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下であると硬
化レジン表面の光沢性が良好となる。
【0035】無機酸化物としてはコスト面や入手の容易
さから、シリカの微粒子が好ましく、130、200、
300、380、OX50、RM−50、K320D、
R812、R976等のAEROSIL(日本アエロジ
ル(株))が好ましく使用される。また、平均粒径が
0.1μm以下であれば、平均粒径の異なる無機酸化物
を少なくとも一種類以上を同時に使用してもよい。平均
粒径が0.03〜0.1μmの無機酸化物と平均粒径が
0.03μm未満の無機酸化物を組み合わせるとペ−ス
トの垂れもさらになくなり操作性が良好となる。平均粒
径が異なる無機酸化物の重量比としては特に制限がな
く、ペ−スト性状等から適宜決定される。一般には平均
粒径が0.03〜0.1μmの無機酸化物:平均粒径が
0.03μm未満の無機酸化物が99〜1:1〜99重
量%、好ましくは95〜50:5〜50重量%、特に好
ましくは95〜70:5〜30重量%である。
【0036】また、無機酸化物はその表面を疎水化し、
重合性単量体及びその重合体との親和性を高めた方が硬
化レジンの機械的強度や耐磨耗性が良好となる。RM5
0やR972、R976の様に無機酸化物が予め疎水化
されていればそのまま使用できる。疎水化されていない
無機酸化物であれば、公知の表面処理剤及びその処理法
によって疎水化すればよい。表面処理剤としては、例え
ばジメチルジクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、3−アミノプロピルエトキシシラン、3−クロロプ
ロピルトリメトキシシランシリルイソシアネ−ト、ビニ
ルトリクロロシラン等のシランカップリング剤、または
相当するジルコニウムカップリング剤、チタニウムカッ
プリング剤等、通常無機酸化物の表面改質剤として使用
される化合物が好ましく、特に好ましくは重合性基を有
するシランカップリング剤であり、就中、γ−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシランが最も好ましい。
【0037】処理方法としては、例えばボ−ルミル等で
無機酸化物と表面処理剤とを混合し90〜150℃の範
囲で数十分間〜数時間、好ましくは30分間〜5時間熱
処理する方法;無機酸化物と表面処理剤とをアルコ−ル
等の溶剤中で数十分間〜数時間、好ましくは1時間〜5
時間の範囲で加熱環流したり、表面処理剤の加水分解を
促進する必要があれば、該溶剤中に水もしくは酢酸等の
酸性水を添加して上記範囲内で加熱環流した後、溶媒を
除去し常圧もしくは減圧下乾燥する方法が挙げられる。
表面処理剤の量としては制限はなく、ペ−スト性状や硬
化レジンの機械物性等から最適条件を決定すればよい。
一般的には、表面処理剤の量は無機酸化物100重量部
に対して0.5〜15重量部、好ましくは3〜10重量
部の範囲である。
【0038】無機酸化物を充填した場合の組成比は、同
様にペ−ストの操作性や用途、硬化レジンの機械的特性
等から適宜決定される。一般には重合性単量体100重
量部に対して重合開始剤を0.01〜10重量部、好ま
しくは0.05〜3重量部、特に好ましくは0.07〜1
重量部、複合体粉末と平均粒径5μm以下の第2の無機
酸化物の一次粒子とを合わせて40〜400重量部、好
ましくは70〜240重量部である。また、複合体:第
2の無機酸化物の重量比としては1〜99:99〜1重
量%、好ましくは5〜95:5〜95重量%、さらに好
ましくは70〜30:30〜70重量%である。また、
透明性のよい硬化レジンを得るためには、ペ−ストに含
有される重合性単量体を重合したポリマ−の屈折率と複
合体粉末及び第2の無機酸化物の屈折率とをできるだけ
一致させた方がよく、一般にはその差が0.1以下、好
ましくは0.05以下、さらに好ましくは0.03以下で
ある。
【0039】この場合の歯科用充填組成物にも、先の理
由から重合禁止剤や顔料、紫外線吸収剤等を添加しても
よい。
【0040】複合体粉末と第3の無機酸化物の凝集粒子
を含む歯科用充填組成物 本発明の組成物は、上記複合体の粉末とともに第3の無
機酸化物の凝集粒子をさらに含有することができる。第
3の無機酸化物の凝集粒子は、複合体粉末を単独で充填
したペ−ストの垂れ難さをさらに向上させる。この凝集
粒子は重合性単量体へ配合してもその大部分は一次粒子
にまで分散されることはない。
【0041】それ故、本発明によれば、第3に、(1)
重合性単量体 100重量部、(2)重合開始剤 0.0
1〜10重量部 及び(3)ビニルポリマ−のマトリッ
クス中に第1の無機酸化物が均一に分散されている複合
体の粉末1〜99重量%と平均粒径1〜100μmの第
3の無機酸化物の凝集粒子99〜1重量%との組合せ
40〜400重量部、ここで該凝集粒子はシリカ1〜9
9モル%と周期律表第II〜IV族の元素の酸化物99〜1
モル%から構成される平均粒径0.01〜1μmの一次
粒子からなる、を含有してなり、そして上記重合性単量
体の重合体の屈折率と、上記複合体粉末及び上記凝集粒
子の屈折率との差が0.1以下であることを特徴とする
歯科用充填組成物が提供される。重合性単量体(1)、
重合開始剤(2)及び複合体の粉末としては前記したも
のと同じものが使用できる。
【0042】平均粒径が1〜100μmの範囲にある第
3の無機酸化物の凝集粒子はシリカ1〜99モル%と周
期律表II族、III族、IV族元素(但し珪素を除く)の酸
化物99〜1モル%から構成される平均粒径0.01〜
1μmの一次粒子からなる。通常平均粒径が1μm以上
の無機酸化物粒子を充填材として使用するとペ−ストに
垂れが現れたり、ペ−スト性状が悪くなったり、硬化レ
ジンの表面を研磨して艶出しを行っても光沢感のあるレ
ジン表面が得られない場合がある。しかし、本凝集粒子
を充填するとペ−ストの垂れがなく、表面光沢性の良い
硬化レジン表面を得ることが可能である。これは、無機
酸化物の凝集粒子が平均粒径0.01〜1μmの一次粒
子から構成された特徴ある粒子形態に起因すると考えら
れる。
【0043】この第3の無機酸化物の凝集粒子の製造法
及び粒子の性状について説明する。先ず、無機酸化物の
凝集体の製造法としては、前記した凝集粒子の形態を与
える製造法であれば限定されるものではない。代表的な
製造法は、有機珪素化合物と加水分解可能な周期律表II
族、III族、IV族元素の有機金属化合物の少なくとも1
種類とを均一に混合し酸性、中性またはアルカリ性溶液
中で同時に加水分解して、反応生成物を析出させ、析出
物を焼成する方法である。有機珪素化合物としては、S
i(OR)4で表わされるアルコキシシラン化合物を好
ましく挙げることができる。ここでRはアルキル基を示
し、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソ
プロピル基等の低級アルキル基が好ましく、エチル基で
あることが特に好ましい。
【0044】周期律表II族、III族、IV族元素の有機金
属化合物としては、MII(OR12、MIII(O
13、MIV(OR14(但し、MIIはII族の金属元
素、MIIIはIII族の金属元素、MIVはIV族元素の金属元
素をそれぞれ示す。)で表わされる化合物が好適に使用
できる。ここでR1はアルキル基を示し、メチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基等の低
級アルキル基が好ましい。また、それ以外の周期律表II
族、III族、IV族元素の有機金属化合物として、金属ア
セチルアセトネ−ト、金属カルボキシレ−ト等上記(O
1)の1つ以上をβ−ジカルボニル基あるいはカルボ
キシル基で置換した化合物も利用できる。また、Mg
[Al(iso−OC374]、Mg[Al(sec
−OC374]、Ni[Al(iso−OC374
2、(C37O)2Zr[Al(OC3742、Ba
[Zr2(OC2592等のように金属アルコキシド
を2種類あるいは多種同時に分子中に含有する二金属ア
ルコキシド、三金属アルコキシド等の多金属アルコキシ
ドも利用可能である。
【0045】第3の無機酸化物の凝集体の屈折率は原料
であるアルコキシシランと周期律表II族、III族、IV族
元素の有機金属化合物との混合比と、後述するアルコキ
シシランの溶液に添加される酸性水の酸濃度や水量によ
って、1.4〜2.5程度まで自由に変化させることがで
きる。従って、複合体や重合性単量体の重合体と屈折率
をほぼ一致させた第3の無機酸化物の凝集体を容易に製
造することができる。アルコキシシランと少なくとも1
種類の周期律表II族、III族、IV族元素の有機金属化合
物の組成比は、1〜99:99〜1モル%から選択さ
れ、好ましくは60〜95:40〜5モル%、特に好ま
しくは80〜90:20〜5モル%である。
【0046】アルコキシシランと有機金属化合物(以
下、原料と云う)とを同時に別々の容器から反応溶液中
に添加すると反応の不均一化を招いたり、反応が煩雑に
なったりする恐れがあるため、後述する方法により調製
したアルコキシシランの加水分解物と有機金属化合物を
予め均一に混合(以下、原料混合物と云う)し添加する
方がよい。混合に際して、原料混合物が溶液として存在
する場合は溶媒に溶解することなく使用することもでき
るが、一般には原料混合物を溶解し、且つ水に任意の割
合で溶解する溶媒(D)で希釈して添加する方が好まし
い。好ましい溶媒(D)としては、メタノ−ル、エタノ
−ル、イソプロパノ−ル、イソブタノ−ル、イソアミル
アルコ−ル、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−
ル等のアルコ−ル、テトラヒドロフラン、ジメチルホル
ムアミド、ジオキサン、ジメチルスルホキシド等を挙げ
ることができ、なかでもアルコ−ル類が好ましく使用さ
れる。ジエチルエ−テル、酢酸エチル、ベンゼン、トル
エン等水に不溶な溶媒を使用する場合は上記アルコ−ル
等水に可溶な溶媒に一部混合して使用してもよい。ま
た、原料に溶媒を添加すると沈殿物が生成する場合があ
るので、(D)に原料を徐々に添加する方が好ましい。
原料の混合方法としては特に限定されず、前記原料を別
々に(D)に溶解した後、両者を混合してもよいし、一
方の原料を溶解した(D)に他方の原料を直接添加して
混合する方法も利用できる。
【0047】次に、原料混合物溶液の調製法について述
べる。一般に、アルコキシシランと有機金属化合物を同
時に加水分解する場合、アルコキシシランは一般に他の
金属例えばAl、Ti、Zr等のアルコキシドに比べて
加水分解速度が遅いため、有機金属化合物が選択的に早
く加水分解され、分子レベルで組成が不均一化する可能
性がある。そこでアルコキシシランの加水分解速度を有
機金属化合物とできるだけ合わせるために、アルコキシ
ランを予め加水分解した化合物と有機金属化合物とを均
一混合することが好ましい。アルコキシシランの加水分
解物を得る方法としては限定されることはないが、例え
ばその市販品を使用する方法;(D)にアルコキシシラ
ンを溶解した後、酸性化合物を水に溶解した酸性水を、
所定量添加し室温から環流温度の範囲内で数分間から数
時間加水分解反応させる方法を挙げることができる。焼
成粒子の色目がよく(白色体)、アルコキシシランと有
機金属化合物の混合比から推察される屈折率を持つ無機
酸化物の凝集粒子を得るための酸性水の好ましい水量
(酸性水から酸性化合物を除いた量を示す。)はアルコ
キシシラン1モルに対して0.01〜0.98モル、好ま
しくは0.02〜0.90モル、特に好ましくは0.05
〜0.49モルである。酸性化合物の種類としては塩
酸、硝酸、硫酸、リン酸等の鉱酸、p−トルエンスルホ
ン酸、酢酸等の水溶性有機酸でありなかでも鉱酸が好ま
しく、塩酸が特に好ましい。また、酸性水の酸性化合物
の濃度は0.3重量%を越え3重量%未満が好ましく、
0.5〜2重量%が特に好ましい。このようにして得ら
れたアルコキシシランの加水分解物を含む溶液は有機金
属化合物を直接、もしくは(D)に有機金属化合物を溶
解した溶液と均一混合することによって前記の原料混合
物溶液として調製することができる。原料混合物の濃度
としては、アルコキシシランを加水分解した溶液には未
反応の水が存在し有機金属化合物とも反応することが推
測できるため、Si及び周期律表II〜IV族の金属の合計
のモル数で表わすと0.7〜2.0モル/リットルが好ま
しく、1.0〜1.5モル/リットルの範囲が特に好まし
い。
【0048】以上のように調製した原料混合物溶液は、
酸性、中性、アルカリ性溶液(E)中に添加して加水分
解し、ゾル−ゲル反応により無機酸化物を析出させるこ
とが必要である。短時間で無機酸化物を析出させるため
にはアルカリ性溶液を使用することが特に好ましい。ア
ルカリ性溶液の種類には制限がないが、前記に示した原
料混合物を溶解し且つ水に任意の割合で溶解する溶媒
(F:ここでFはDと同等の意味を示す)に公知のアル
カリ性水溶液(G)を混合・均一化した溶液であること
が好ましい。なかでもメタノ−ル、エタノ−ル、イソプ
ロパノ−ル、イソブタノ−ル、イソアミルアルコ−ル等
のアルコ−ル類(F)とアンモニア水(G)との組み合
わせが特に好ましく使用され、原料混合物溶液を混合し
た後でも塩基性を示すことが必要である。(G)として
アンモニア水を使用すると、乾燥や焼成工程で容易にア
ンモニアが除去できるため好ましく利用できる。アルカ
リ性溶液(E)を構成する(F)及び(G)の混合量及
びその比率は添加される原料混合物溶液の濃度及び後述
する無機酸化物の凝集粒子の性状を損なわない範囲で適
切な条件を選択すればよいが、ハンドリングの容易さ等
の理由から一般には、前記の原料混合物の濃度であれ
ば、(F)と原料混合物溶液を合計した時の原料混合物
の濃度(原料混合物/(D+F))が0.3〜0.6モル
/リットル、好ましくは0.4〜0.5モル/リットルの
範囲になるように(F)量を決定すればよい。
【0049】アルカリ性水溶液(G)については15〜
30重量%濃度のアンモニア水を使用し、原料混合物/
水のモル比が0.03〜0.07、好ましくは0.04〜
0.05の範囲になるように(G)を添加することが好
ましい。
【0050】溶液(E)の攪拌速度としては特に限定さ
れないが、反応析出物を凝集させ且つ濾過採取を可能に
するためには、攪拌機の先端速度が30〜500cm/
s、好ましくは60〜350cm/sになるように攪拌
した方が好ましい。また反応温度としては、加水分解反
応が起こる範囲であれば限定されることはないが、好ま
しくは10〜40℃であり、15〜30℃が特に好まし
い。本反応は、減圧下、加圧下、常圧下で行うことがで
きるが、常圧下、室温付近で十分に反応が進行する。
【0051】なお、前記のアルカリ性溶液(E)中に原
料混合物溶液を添加する前に、反応析出物の核種となる
シリカ重合体を添加もしくは生成させた後、反応混合物
を添加してもよい。本核種は、シリカ重合体であれば種
類や添加もしくは生成方法は限定されることはない。例
えば、コロイダルシリカ等のシリカ重合体微粒子を添加
する方法;前記に示したアルコキシシランもしくはその
部分加水分解物を直接もしくは前記した溶媒(D)に溶
解して一括添加するか、もしくは数分間〜数時間、好ま
しくは1分間〜30分間以内に添加しin−situで
核種を生成させる方法等を挙げることができる。シリカ
重合体微粒子使用する場合の好まし添加量としては、原
料混合物100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲
である。アルコキシシランもしくはその加水分解物を直
接添加する場合の好ましい添加量としては原料混合物に
対して0.5〜5モル%の範囲であり、(D)に溶解す
る場合の好ましい添加量としては、原料混合物に対して
0.5〜5モル%のアルコキシシランもしくはその加水
分解物を含む溶液を原料混合物溶液100重量に対して
0.5〜5重量部、好ましくは0.8〜3重量部の範囲で
ある。また、この核種を(E)に添加した後の原料混合
物溶液の添加開始時間は特に限定されるものではなく、
核種添加後直ちに原料混合物溶液の添加を開始してもよ
いし、数十秒間〜数時間後に添加を開始してもよい。
【0052】アルカリ性溶液(E)中への原料混合物溶
液の添加方法としては、限定されるものではなく、一括
添加する方法や数十分間〜数時間、好ましくは1時間〜
7時間、特に好ましくは3時間〜6時間の範囲で滴下す
る方法等を挙げることができる。また、析出反応を完了
させるために原料混合物溶液を添加した後上記温度で、
さらに5時間〜20時間、好ましくは10時間〜18時
間攪拌を継続した方がよい。
【0053】このようにして得られた反応析出物の採取
方法としては、凍結乾燥法;エバポレ−タ−等で溶液を
減圧除去する方法;遠心分離法;遠心濾過法;常圧濾過
法、減圧濾過法、加圧濾過法等公知の方法が限定されず
採用できる。また、反応終了後、攪拌を停止し反応析出
物を沈殿させた上で上澄み液をデカンテ−ション等で除
去した後、前記方法で反応析出物を採取してもよい。本
発明の反応析出物は1μm〜10μmの空隙を持ってい
る一般的に使用される濾紙または濾布等によってもその
80重量%以上、一般には90重量%以上が採取できる
ため、コスト及び操作性の簡便さから考えて濾過法を採
用すれば十分である。濾過に際しては前記濾過法が限定
されず利用できるが短時間に操作を終了するためには、
遠心濾過、加圧濾過、減圧濾過が好ましい。
【0054】また、無機酸化物の特性を損なわない範囲
であれば、反応時もしくは反応終了後に高分子電解質、
無機化合物、有機化合物等の一般に凝集剤として使用れ
る化合物を添加して強制的に反応析出物を凝集させて採
取してもなんら差し支えない。
【0055】このようにして採取された反応析出物は次
に常圧もしくは減圧下で乾燥することによって溶媒、ア
ンモニア、水等を除去できる。乾燥に際しては窒素、ア
ルゴン等不活性ガスの雰囲気下で乾燥してもよい。乾燥
温度としては特に限定されないが、40〜150℃、好
ましくは70〜120℃の範囲である。また、乾燥時間
は反応析出物の重量によって適宜最適時間を決定すれば
よい。
【0056】乾燥した反応析出物は次いで焼成すること
が必要である。乾燥体の焼成は乾燥した塊状体を解砕し
粉体とした後焼成する方法、乾燥した塊状体をそのまま
焼成した後解砕し粉体とする方法を挙げることができ
る。解砕方法としては公知の方法が限定されず使用され
るがボ−ルミル等で数十分間〜数十時間解砕すればよ
い。乾燥体もしくは焼成体ボ−ルミルで解砕しても無機
酸化物を構成する一次粒子すなわち平均粒径が0.01
〜1μmにまで粉砕されることはない。
【0057】焼成温度及び時間としては、200〜12
00℃、好ましくは300〜1200℃、特に好ましく
は300〜1100℃の範囲で数十分間〜数十時間、好
ましくは2時間〜20時間の範囲である。むろん前記範
囲であれば、ある温度を一定時間保留した後、温度を上
昇させ再び一定時間保留するといった焼成方法を採用し
てもよい。また、残存する有機物を除去するために空気
もしくは酸素存在下で焼成することが好ましい。焼成し
た無機酸化物の凝集粒子を充填すると未焼成体を配合し
た場合に比べてベタツキがなく操作性の良いペ−ストを
作製することができる。
【0058】次に無機酸化物の凝集強度について述べ
る。通常、市販の無機酸化物粉体は凝集体として存在し
ているが、水もしくは5重量%以下のヘキサメタ燐酸ナ
トリウム等の界面活性剤を添加した水(分散媒)300
mLに無機酸化物粉体10mgを添加し、30分間、出
力40W、周波数39KHzの超音波強度で分散処理す
るとメ−カ−表示の粒子径まで分散される程度の弱い凝
集力しか有しない。しかしながら、本発明の凝集粒子の
凝集力は全粒子数の10%未満、好ましくは5%以下の
粒子が0.01〜1μmの粒子径に分散されない粒子同
士が強固に凝集した無機酸化物である。超音波処理によ
る分散状態及び平均粒子径を測定するに際し、レ−ザ−
回折/散乱式粒度分布装置(LA−910:堀場製作所
製)が好ましく使用される。
【0059】また、無機酸化物の凝集粒子形態、凝集粒
子を構成する一次粒子径の測定方法としては、凝集粒子
の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)、または透過型電
子顕微鏡(TEM)で観察する方法が好ましく利用でき
る。なお、凝集粒子をSEMもしくはTEMで観察する
場合は粒子同士が重なり合わないように0.05〜1重
量%濃度の水懸濁液とし、30分間超音波によって十分
分散させた後観察する方がよい。また、無機酸化物の凝
集粒子の粒径及び粒度分布は重合性単量体等と共に乳鉢
等で機械的に混練・配合しペ−スト化してもペ−ストの
調製前後で殆ど変化は認められずその形態は保たれたも
のである。
【0060】第3の無機酸化物の凝集粒子は、溶液反応
終了後の溶液段階で既に平均粒径が0.01μm〜1μ
mの粒子径を有す一次粒子同士が凝集し1〜100μm
の平均粒径を有する粒子を構成している場合が多く、こ
のことは前述した濾過による採取が可能であることから
も裏付けられる。また、一旦溶液を除去すると完全に前
記した粒子形態を有する凝集粒子が形成され、乾燥、解
砕、焼成工程及び重合性単量体と配合しペ−ストを調製
した後でも本粒子形態を維持している。また、本粒子形
態を有することが、ペ−ストのタレ、ベタツキ等をさら
に良好なものとするための重要な要因となると考えられ
る。このことは、前述した濾過により採集が可能である
ことの後に、反応後の溶液を直接レーザー回析/散乱式
粒度分布装置で測定しても、上記の凝集強度を満たして
いることからも裏付けられる。
【0061】第3の無機酸化物の凝集体の特徴として
は、上記のとおり平均粒径が1〜100μmであること
は既に述べたが、さらに凝集粒子の大部分が1μm〜2
00μm程度までブロ−ドにした多分散系であることも
挙げられる。凝集粒子の粒子形態に加えて多分散系であ
ることもペ−ストの操作性を決定する要因のひとつであ
る。また、凝集粒子の平均粒径は3〜100μmが好ま
しく、さらに好ましくは5〜50μm、特に好ましくは
5〜20μmの範囲である。凝集粒子の形態を電子顕微
鏡で観察すると、形状は不定形であり、さらに凝集粒子
の表面観察から、平均粒径が0.01〜1μm、粒子径
の多くは0.02μm〜0.09μm程度の一次粒子の凝
集体で構成された凹凸を持つ表面であることが認められ
る。
【0062】第3の無機酸化物の凝集体の製造方法とし
ては、上記方法以外、その他に、例えば平均粒子径が
0.01〜1μmの無機酸化物粒子を静電的に帯電し平
均粒径1〜100μmの粒径に凝集せる方法;平均粒子
径が1〜100μmの無機酸化物粒子と平均粒子径が
0.01〜1μmの無機酸化物粒子とを存在させ静電的
に帯電して平均粒径1〜100μmの無機酸化物粒子の
表面に平均粒径0.01〜1μmの無機酸化物粒子を付
着もしくは凝集させる方法;ハイブリタイザ−等で平均
粒子径が0.01〜1μmの無機酸化物粒子を平均粒径
1〜100μmの粒径に凝集せる方法;平均粒子径が1
〜100μmの無機酸化物の粒子と平均粒子径が0.0
1〜1μmの無機酸化物の粒子とをハイブリタイザ−等
で処理し平均粒径1〜100μmの無機酸化物粒子の表
面に平均粒径0.01〜1μmの無機酸化物粒子を付着
もしくは凝集させる方法;平均粒径0.01〜1μmの
無機酸化物粒子を加圧下、無機酸化物の溶融温度程度に
加熱して平均粒径1〜100μmの粒径に凝集せる方
法;平均粒径1〜100μmの無機酸化物粒子と平均粒
径0.01〜1μmの無機酸化物粒子とを存在させ加圧
下、無機酸化物の溶融温度前後に加熱して平均粒径1〜
100μmの無機酸化物粒子の表面に平均粒径0.01
〜1μmの無機酸化物粒子を付着もしくは凝集させる方
法等を挙げることができる。
【0063】無機酸化物の凝集体についても重合性単量
体との親和性を高めたり、硬化レジンの機械的強度、耐
磨耗性を向上させるために、前記したと同じ方法で表面
処理を施すことが好ましい。表面処理剤の量としては制
限はなく、凝集粒子の平均粒径もしくは粒度分布及びペ
−スト性状、硬化レジンに機械物性等から最適条件を決
定すればよいが一般的には、凝集粒子100重量部に対
して0.5〜10重量部、好ましくは3〜8重量部の範
囲である。なお、表面処理された凝集粒子の粒径もしく
は粒度分布は未処理の凝集粒子のそれらと殆ど変わるも
のではない。
【0064】次に第3の無機酸化物の凝集粒子を含有す
る歯科用充填組成物の組成比は、ペ−ストの操作性や用
途、硬化レジンの機械的特性等から適宜決定される。一
般には重合性単量体100重量部に対して重合開始剤を
0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜3重量部、
さらに好ましくは0.07〜1重量部、複合体粉末と第
3の無機酸化物の凝集粒子を合わせた充填材が40〜4
00重量部、好ましくは70〜240重量部である。ま
た、複合体と第3の無機酸化物の凝集粒子の重量比は特
に制限はなくペ−スト性状等から最適値が決定される。
一般には99〜1:1〜99重量%、好ましくは95〜
1:5〜99重量%、特に好ましくは80〜10:20
〜90重量%である。また、透明性のよい硬化レジンを
得るためには、ペ−ストに含有される重合性単量体を重
合したポリマ−の屈折率と複合体粉末及び凝集粒子の屈
折率とをできるだけ一致させた方がよく、一般にはその
差が0.1以下、好ましくは0.05以下、さらに好まし
くは0.03以下である。
【0065】複合体粉末、第2の無機酸化物の一次粒子
及び第3の無機酸化物の凝集粒子を含有する歯科用充填
組成物 本発明の組成物は、上記複合体の粉末とともに第2の無
機酸化物の一次粒子及び第3の無機酸化物の凝集粒子を
さらに含有することができる。
【0066】それ故、本発明によれば、第4に、(1)
重合性単量体 100重量部、(2)重合開始剤 0.0
1〜10重量部 及び(3)ビニルポリマ−のマトリッ
クス中に第1の無機酸化物が均一に分散されている複合
体の粉末1〜99重量%と上記第2の無機酸化物の一次
粒子と上記第3の無機酸化物の凝集粒子99〜1重量%
との組合せ 40〜400重量部、ここで該第2の無機
酸化物の一次粒子対上記第3の無機酸化物の凝集粒子の
重量比は99:1〜1:99である、を含有してなり、
上記重合性単量体の重合体の屈折率と、上記複合体粉
末、上記第2の無機酸化物及び上記第3の無機酸化物の
凝集粒子の屈折率との差が0.1以下であることを特徴
とする歯科用充填組成物が提供される。重合性単量体
(1)、重合開始剤(2)、複合体粉末、第2の無機酸
化物の一次粒子及び第3の無機酸化物の凝集粒子として
は前記したものと同じものが使用することができる。
【0067】複合体粉末と第2の無機酸化物の一次粒子
及び第3の無機酸化物の凝集粒子は、一般には重合性単
量体100重量部に対して重合開始剤を0.01〜10
重量部、好ましくは0.05〜3重量部、さらに好まし
くは0.07〜1重量部、充填材40〜400重量部、
好ましくは70〜240重量部である。また、複合体粉
末:(第2の無機酸化物の一次粒子と第3の無無機酸化
物の凝集粒子の合計)の重量比としては99〜1:1〜
99重量%、好ましくは95〜1:5〜95重量%、さ
らに好ましくは80〜20:20〜80重量%である。
また、第2の無機酸化物の一次粒子:第3の無無機酸化
物の凝集粒子の重量%としては99〜1:1〜99重量
%、好ましくは95〜5:5〜95重量%、特に好まし
くは90〜5:10〜95重量%である。
【0068】第2の無機酸化物の一次粒子としては、前
記したものが制限なく利用できるが、この場合も平均粒
子径が0.1μm以下のものを使用すると硬化レジン表
面の光沢性を低下させることがなく好ましく使用され
る。また、透明性のよい硬化レジンを得るためには、ペ
−ストに含有される重合性単量体を重合したポリマ−の
屈折率と複合体粉末、第2の無機酸化物の一次粒子及び
第3の無無機酸化物の凝集粒子の屈折率とをできるだけ
一致させた方がよく、一般にはその差が0.1以下、好
ましくは0.05以下、さらに好ましくは0.03以下で
ある。
【0069】第3の無機酸化物の凝集粒子を含むペ−ス
トについても保存安定性を付与するために、前記した重
合禁止剤を添加してもよいし、顔料や紫外線吸収剤等を
添加しても差し支えない。
【0070】また、上記で説明したフィラ−の他に、重
合性単量体から誘導された重合体をフィラ−として配合
してもよい。重合体の種類については特に制限はなく硬
化レジンの機械的性質、耐磨耗性、透明性等から適当な
ものを選択すればよいが、が前記した重合性単量体及び
重合開始剤を使用し重合させたものであることが好まし
い。また、得られた重合体が塊状体であれば、適当な粒
度、粒径に解砕して使用してもよい。
【0071】尚、本発明の歯科用充填組成物もしくはそ
のフィラ−は上記で説明した以外にも、歯科用プライマ
−や接着剤の粘度調整、歯科用コ−ト材等歯科材料の一
般用途に適用しても差し支えない。
【0072】従来、重合性単量体と平均粒径が0.1μ
m以下のシリカ、重合開始剤を機械的に混練し、重合し
た複合体が歯科用充填組成物の充填材として多様されて
きたが、複合体の屈折率とペ−ストを構成する重合性単
量体から誘導された重合体の屈折率とを合わせたとして
も白濁感のある透明感の乏しい硬化レジンしか得られな
かった。これは、従来の技術の項でも述べたように機械
的に混練して複合体を製造しただけでは、シリカが完全
に分散せず、凝集体としても存在しているため複合体を
構成するマトリックスポリマ−とシリカの間で光散乱が
大きくなり、光透過率の乏しい複合体しか得られないた
めである。しかし、本発明の歯科用充填組成物は、マト
リックスポリマ−にシリカが凝集することなく分散し、
光透過率の極めて高い複合体を充填しているため透明性
の高い硬化レジンを作製することが可能である。
【0073】
【実施例】次に、実施例によって本発明の内容を具体的
に説明するが本発明は、これらの実施例に限定されたも
のではない。
【0074】実施例、比較例に示した無機酸化物の平均
粒径及び粒径、粒度分布、及び屈折率、透明性(光透過
率)は以下の測定方法で測定した。先ず、実施例、比較
例で使用した化合物名及びその略称を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】(1)無機酸化物の屈折率 無機酸化物の屈折率は表1の重合性単量体の種類及び組
成比を変化させた溶液に無機酸化物を添加し、肉眼で観
察して透明に見える溶液の屈折率を測定して決定した。
測定はアッベ屈折率計(NAR−1T;ATAGO Co., LT
D.)で20℃で行った。
【0077】(2)無機酸化物及び複合体の粉体の粒径
及び粒度分布 1重量%の無機酸化物もしくは複合体の粉体を懸濁した
水溶液を30分間超音波処理した後、凝集粒子の形態及
び一次粒径を走査型電子顕微鏡(JSM−5400;J
EOL社製)で観察した。レ−ザ−回折/散乱式粒度分
布測定装置(LA−910;堀場製作所製)を用いて5
重量%ヘキサメタリン酸水溶液/水=5mL/295m
L中で10mgの無機酸化物を30分間超音波処理し粒
径及び粒度分布を測定した。尚、実施例、比較例に示し
た平均粒径、粒度分布の値は特別な記載がない限りLA
−910で測定した値である。
【0078】(3)光透過率(透明性) 25mm×10mm×1.5mmの直方体の穴を開けた
テフロンモ−ルドにペ−ストを充填し、セロファンフィ
ルムで覆ってα−Lightで3分間光照射した後、U
V−160A(島津(株)製)で400〜800nmの
光透過率を測定し透明性を調べた。
【0079】参考例1(シリカ−ジルコニアの凝集粒子
の製造) 無機酸化物の凝集粒子として、以下の方法によりシリカ
−ジルコニアフィラ−を製造した。IPA1.50Lに
TES441g(2.12モル)、1.3重量%塩酸水溶
液15g(H2O/TESモル比=0.39、HCl/T
ESモル比=0.0025)を添加し均一化した後、室
温下で2時間静置した(A1溶液の調製)。IPA0.
38LにTBZR120g(0.31モル)を室温下添
加して均一化した溶液を先ほど調製したA1溶液に添加
して均一化した(B1溶液の調製)。セパラブルフラス
コにIPA3.75L、25%アンモニア水1.5Lを添
加して先端速度157cm/sで室温下攪拌し均一溶液
(C1溶液)とした後、シリカの核種を生成させるため
にIPA0.09LにTES7.5g(0.04モル)を
溶解した溶液(D1溶液)を滴下ロ−トに入れ5分間で
滴下した後、B1溶液を滴下ロ−トに入れて5時間掛け
て滴下した。滴下終了後さらに16時間攪拌を継続した
後、攪拌を停止した。反応溶液中の白色析出物の平均粒
径は12.0μmであった。この溶液を5A濾紙(ポア
サイズ7μm)で減圧濾過して、白色の反応析出物を採
取した。白色塊状体を窒素雰囲気下80℃で減圧乾燥し
て溶媒を除去し、乾燥体191gを得た。乾燥体の粒径
及び粒度分布をレ−ザ−回折/散乱式粒度分布測定装置
で測定したところ、平均粒径は11.7μmで99%の
粒子数が1〜100μmの範囲に幅広く分布し多分散系
であることが認められた。この乾燥体をφ40mmのア
ルミナボ−ルを10個入れた2Lのアルミナポットに入
れ30rpmで10時間解砕した。解砕後の白色粉体の
粒径及び粒度分布を前記と同様に測定したところ、平均
粒径は10.8μmで99%の粒子数が1〜100μm
の範囲に幅広く分布し多分散系であることが認められ
た。また、平均粒径が1μm未満にまで分散されること
はなかった。
【0080】次にこの白色粉体を350℃で3時間、6
50℃で3時間焼成し白色の無機酸化物の凝集粒子15
2gを得た。無機酸化物の凝集粒子の粒径及び粒度分布
を同様に測定したところ、平均粒径は11.3μmで9
9%の粒子数が1〜100μmの範囲に幅広く分布し多
分散系であることが認められた。さらに、凝集粒子を上
記した方法で走査型顕微鏡(SEM)で観察したところ
粒子の形態は不定形であり、その表面は粒径が0.01
〜0.09μmの範囲の無機酸化物の一次粒子が密に凝
集した凹凸を持つ表面性状を呈していることが分かっ
た。 さらに、乾燥体、解砕後の粒子形態を同様にSE
M観察したところ同様に無機酸化物の凝集体であること
が分かった。また凝集粒子の屈折率を測定したところ
1.51〜1.52であった。
【0081】重量分析法及びICP法によりシリカ/ジ
ルコニアの組成分析を行ったところシリカ/ジルコニア
=87.9/12.1(モル比)(理論モル比:87.3
/12.7)であり理論値とほぼ一致していた。無機酸
化物の凝集粒子は次いで以下の方法で表面処理してペ−
スト化に供した。無機酸化物の凝集体120gをエタノ
−ル0.30Lに懸濁し、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン6g、精製水1.2gを添加し2時
間環流させた。溶媒をエバポレ−タ−で除去した後、窒
素雰囲気下で減圧下80℃で2時間熱処理し、凝集粒子
を表面処理した。表面処理品の粒径及び粒度分布を同様
に測定したところ、平均粒径は12.9μmで粒子数が
1〜100μmの範囲に幅広く分布し多分散系であるこ
とが確認された。以下、このフィラ−をZMFと云う。
【0082】参考例2〜4(シリカ複合体の製造) セロハンフィルムを覆ったガラス板に25mm×10m
m×1.5mmの直方体の穴を開けたテフロンモ−ルド
を置きその穴にTMPT/2.6E/UDMA=80/
10/10(重量%)のモノマ−(BPOをモノマ−に
対して0.3重量%含有)にシリカをそれぞれ30重量
%(T−30)、40重量%(T−40)、60重量%
(T−60)均一分散させた溶液(三菱レイヨン(株)
製)を充填した後、減圧して気泡を除去した。試験片を
フラットにするため、テフロンの上面をセロハンフィル
ムで覆った後、さらにガラス板を置いた。加圧重合器
(松風(株)製)で、5kg/cm2の加圧下、80℃
で1時間重合させて板厚1.5mmの複合体の試験片を
作製した。試験片をUV−160A(島津(株)製)を
用い光波長が400〜800nmでの複合体の光透過率
を40nm間隔で測定し透明性を調べた。複合体の光透
過率はシリカの充填量に殆ど影響されず、800nmで
90%以上、400nmで80%以上と光透過率に優
れ、濁りは全く無く透明性の非常に高い複合体であるこ
とが分かった。結果を表2に示す。参考例3の複合体
(T−40:シリカ含有率40重量%)をトリミング
し、常温で薄膜を形成後、透過電子顕微鏡(TEM:J
EM−2000FX、日本電子(株)製)で倍率53万
倍で観察した。マトリックスポリマ−中にシリカが均一
に分散していることが観察された。シリカの粒子径は1
0〜30mμmであった。参考例3の複合体のTEM像
を図1に示す。
【0083】参考比較例1(シリカ複合体の製造) TMPT/2.6E/UDMA=80/10/10(重
量%)70重量部に参考例の複合体(T−30〜T−6
0)のシリカと同等の粒径、屈折率を有するR972
(粒径:16mμm、日本アエロジル(株)製)30重
量部を Test Mixing Roll Machine (Yasuda Seiki Sei
sakusho Ltd.)を使用して練り込みペ−スト化した。
このペ−ストにモノマ−に対して0.3重量%のBPO
を添加し、ミキシングロ−ルで均一分散させた。このペ
−ストを実施例1と同様に硬化させて複合体の試験片を
作製し、800〜400nmの光波長における光透過率
を40nm間隔で測定した。参考例2に比べて560n
m以下の光透過率が極端に低く、淡青色の複合体であっ
た。結果を表2に示す。
【0084】参考比較例2(シリカ複合体の製造) モノマ−を60重量部、R972を40重量部に代えて
た以外は比較例1と同様の操作で複合体の試験片を作製
し、光透過率を測定した。実施例3に比べて560nm
以下の光透過率が極端に低く、淡白色の複合体であっ
た。結果を表2に示す。また参考例3と同様の操作でT
EM観察を行った結果、マトリックスポリマ−のR97
2は凝集しており、図1とは明らかに異なる分散状態で
あった。参考比較例2のTEM写真を図2に示す。
【0085】参考比較例3(シリカ複合体の製造) モノマ−を50重量部、R972を50重量部に代えて
た以外は比較例1と同様の操作で複合体の試験片を作製
し、光透過率を測定した。実施例4のシリカを60重量
%含有した複合体よりも、シリカ含有量が10重量%低
いにもかかわざず800nm以下の光透過率が極端に低
く、淡白色の複合体であった。結果を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】参考例6〜9(シリカ複合体の粉末の製
造) TMPT/2.6E/UDMA=80/10/10(重
量%)のモノマ−(BPOをモノマ−に対して0.3重
量%含有)にシリカをそれぞれ30重量%(T−3
0)、40重量%(T−40)、50重量%(T−5
0)、60重量%(T−60)均一分散させた溶液(三
菱レイヨン(株)製)100gを170mm×170m
m×5mmの金型に入れ圧縮成型機(YSR−10:神
藤金属工業(株)製)で10kg/cm2の加圧下、1
20℃で10分間重合した。重合体をハンマ−で1cm
角程度に粉砕した後、1Lの磁性ポット(φ25mm磁
性ボ−ル20個、φ15mm磁性ボ−ル20個入り)に
入れ、40rpmで20時間粉砕した。100メッシュ
の篩いを通過した粉体を窒素気流下140℃で8時間減
圧熱処理した後、歯科用充填組成物のフィラ−とした。
フィラ−の平均粒径は以下の通りであった。T−30
(参考例6):20.0μm、T−40(参考例7):
24.9μm、T−50(参考例8):17.0μm、T
−60(参考例9):11.3μm。
【0088】実施例1(歯科用充填組成物の製造) UDMA/2.6E/3G=85/5/10(重量%)
のモノマ−にモノマ−に対してCQを0.1重量%、D
MABAEを0.3重量%、HQMMEを0.06重量
%、BHTを0.07重量%溶解し、光重合用のモノマ
−20gを調整した。モノマ−1gを乳鉢にいれ、参考
例6のT−30を0.51g、実施例1のZMF1.19
g、R972(日本アエロジル(株)製)を0.051
gを混練しながら配合しペ−スト化した。(T−30/
ZMF/R972=29.1/68.0/2.9wt比) ペ−ストを減圧化脱泡した後、光透過率の項で示した方
法により試験片を作製し、光透過率を測定した。800
nmでの光透過率は60.4%、560nmでの光透過
率は50.2%であった。結果を表3に示す。
【0089】実施例2(歯科用充填組成物の製造) UDMA/2.6E/3G=85/5/10(重量%)
のモノマ−にモノマ−に対してCQを0.1重量%、D
MABAEを0.3重量%、HQMMEを0.06重量
%、BHTを0.07重量%溶解し、光重合用のモノマ
−20gを調整した。モノマ−1gを乳鉢にいれ、参考
例7のT−40を0.68g、参考例1のZMF1.02
g、R972(日本アエロジル(株)製)を0.051
gを混練しながら配合しペ−スト化した。(T−40/
ZMF/R972=38.8/58.3/2.9wt比) ペ−ストを減圧化脱泡した後、光透過率の項で示した方
法により試験片を作製し、光透過率を測定した。800
nmでの光透過率は37.4%、560nmでの光透過
率は28.3%であった。結果を表3に示す。
【0090】実施例3(歯科用充填組成物の製造) UDMAにモノマ−に対してCQを0.1重量%、DM
ABAEを0.3重量%、HQMMEを0.06重量%、
BHTを0.07重量%溶解し、光重合用のモノマ−2
0gを調整した。乳鉢に1.5gのモノマ−を入れ、参
考例8のT−50を2.1g、RM−50(日本アエロ
ジル(株)製)を1.05g、R972を0.35gを混
練しながら配合した。(T−50/RM50/R972
=60/30/10wt比) ペ−ストを減圧化脱泡した後、光透過率の項で示した方
法により試験片を作製し、光透過率を測定した。800
nmでの光透過率は44.5%、560nmでの光透過
率は22.9%であった。結果を表3に示す。
【0091】実施例4(歯科用充填組成物の製造) UDMA/3G=80/20(重量%)のモノマ−にモ
ノマ−に対してCQを0.1重量%、DMABAEを0.
3重量%、HQMMEを0.06重量%、BHTを0.0
7重量%溶解し、光重合用のモノマ−20gを調整し
た。モノマ−2.5gを乳鉢にいれ、参考例9のT−6
0を1.40g、RM−50を1.925g、R972を
0.175gを混練しながら配合しペ−スト化した。
(T−60/RM−50/R972=40/55/5w
t比) ペ−ストを減圧化脱泡した後、光透過率の項で示した方
法により試験片を作製し、光透過率を測定した。800
nmでの光透過率は59.0%、560nmでの光透過
率は27.9%であった。結果を表3に示す。
【0092】実施例5(歯科用充填組成物の製造) UDMA/3G=75/25(重量%)のモノマ−にモ
ノマ−に対してCQを0.1重量%、DMABAEを0.
3重量%、HQMMEを0.06重量%、BHTを0.0
7重量%溶解し、光重合用のモノマ−20gを調整し
た。モノマ−1gを乳鉢に入れ、参考例7のT−40を
0.615gを混練しながら配合しペ−スト化した。ペ
−ストを減圧化脱泡した後、光透過率の項で示した方法
により試験片を作製し、光透過率を測定した。800n
mでの光透過率は25.2%、560nmでの光透過率
は21.1%であった。結果を表3に示す。
【0093】実施例6(歯科用充填組成物の製造) UDMA/2.6E/3G=85/5/10(重量%)
のモノマ−にモノマ−に対してCQを0.1重量%、D
MABAEを0.3重量%、HQMMEを0.06重量
%、BHTを0.07重量%溶解し、光重合用のモノマ
−20gを調整した。モノマ−1gを乳鉢にいれ、参考
例7のT−40を0.68g、参考例1のZMF1.02
gを混練しながら配合しペ−スト化した。(T−40/
ZMF/=40.5/59.5wt比) ペ−ストを減圧化脱泡した後、光透過率の項で示した方
法により試験片を作製し、光透過率を測定した。800
nmでの光透過率は36.5%、560nmでの光透過
率は27.2%であった。結果を表3に示す。
【0094】実施例7(歯科用充填組成物の製造) 実施例2の光重合用モノマー5gを乳鉢に入れ、参考例
7のT−40を3.4g、参考例1のZMFを5.0g及
びR972を0.255gを混練しながら配合しペース
ト化した。(T−40/ZMF/R972=38.8/
58.3/2.9wt比) ペ−ストを減圧化脱泡した後、30mm×9mm×3m
mの直方体の穴を明けたテフロンモールドにペーストを
充填し、表面をセロファテープで覆ってα−Lightで3
分間光照射した。37℃の水中に24時間浸漬した後、
AUTOGRAPH (SBL−500K−350;島津(株)
製)でスパン間20mm;クロスヘッドスピード2mm
/minで曲げ強度を測定した。
【0095】また、φ3mm×3mmの円柱の穴を開け
たテフロンモールドにペーストを充填し、表面をセロフ
ァテープで覆ってα−Lightで3分間光照射した。37
℃の水中に24時間浸漬した後、AGS−1000D
(島津(株)製)でクロスヘッドスピード2mm/mi
nで圧縮強度を測定した。曲げ強度及び圧縮強度測定は
試験片5個で、その平均値は曲げ強度900kgf/c
2、圧縮強度4,350kgf/cm2であり、機械的
強度は後述する比較例5と比較してほぼ同等であること
が分かった。
【0096】参考比較例4(シリカ複合体の粉末の製
造) 参考比較例2で調整したR972含有モノマ−(モノマ
−に対して0.3重量%BPO入り)を参考例6と同様
の操作で硬化後、粉体とした。参考比較例4のフィラ−
(以下A−40と云う)の平均粒径は17.3μmであ
った。
【0097】参考比較例5(シリカ複合体の粉末の製
造) 参考比較例3で調整したR972含有モノマ−(モノマ
−に対して0.3重量%BPO入り)を参考例6と同様
の操作で硬化後、粉体とした。比較例5のフィラ−(以
下A−50と云う)の平均粒径は13.9μmであっ
た。
【0098】比較例1(歯科用充填組成物の製造) T−40を参考比較例4のA−40に代えた以外は、実
施例2と同様に光透過率を測定した。800nmでの光
透過率は13.3%、560nmでの光透過率は9.1%
で、実施例2と比較して光透過率が約20%低いことが
分かった。結果を表3に示す。
【0099】比較例2(歯科用充填組成物の製造) T−50を参考例5のA−50に代えた以外は、実施例
3と同様に光透過率を測定した。800nmでの光透過
率は18.1%、560nmでの光透過率は6.0%で、
実施例3と比較して光透過率が20%以上低いことが分
かった。結果を表3に示す。
【0100】比較例3(歯科用充填組成物の製造) T−40を参考比較例4のA−40に代えた以外は、実
施例5と同様に光透過率を測定した。800nmでの光
透過率は16.6%、560nmでの光透過率は11.0
%で、実施例5と比較して光透過率が約10%低いこと
が分かった。結果を表3に示す。
【0101】比較例4(歯科用充填組成物の製造) T−40を参考比較例4のA−40に代えた以外は、実
施例6と同様に光透過率を測定した。800nmでの光
透過率は11.2%、560nmでの光透過率は8.0%
で実施例6と比較して20%以上低いことが分かった。
結果を表3に示す。
【0102】
【表3】
【0103】比較例5(歯科用充填組成物の製造) 実施例7のT−40を参考比較例4のA−40に代えた
以外は、実施例7と同様の操作で曲げ強度及び圧縮強度
を測定した。曲げ強度は890kgf/cm2、圧縮強
度は4,400kgf/cm2であった。
【0104】
【発明の効果】従来のように重合性単量体、シリカ及び
重合開始剤を機械的に混練し、硬化させて製造した複合
体はシリカがビニルポリマ−中に十分に均一分散してい
ないため光透過率が低く、その複合体を含む歯科用充填
組成物の硬化体も透明感のないものとなる。一方、本発
明の歯科用充填組成物はシリカがビニルポリマ−中に均
一分散し、光透過率の非常に高い複合体を含むため、透
明感の良好な硬化レジンを得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例3の複合体中のシリカの分散状態を示
すTEM写真である(×53万倍)
【図2】 比較参考例2の複合体中のシリカの分散状態
を示すTEM写真である(×53万倍)
フロントページの続き (72)発明者 土川 益司 滋賀県守山市古高町571−2 サンメディ カル株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)重合性単量体 100重量部、
    (2)重合開始剤 0.01〜10重量部 及び(3)ビ
    ニルポリマ−のマトリックス中に第1の無機酸化物が均
    一に分散されている複合体の粉末 40〜400重量
    部、を含有してなり、そして上記重合性単量体の重合体
    の屈折率と上記複合体粉末の屈折率の差が0.1以下で
    あることを特徴とする歯科用充填組成物。
  2. 【請求項2】 複合体が第1の無機酸化物の含有量が2
    0重量%以上であり且つ板厚1.5mmの板として測定
    した時の光透過率が光波長400〜800nmの範囲で
    70%以上である請求項1に記載の歯科用充填組成物。
  3. 【請求項3】 複合体のマトリックスを形成するビニル
    ポリマ−が重合性基を3個以上有する(メタ)アクリレ
    −ト系重合性単量体及び重合性基を2個有する(メタ)
    アクリレ−ト系重合性単量体よりなる群から選ばれた少
    なくとも1種の単量体のポリマーである請求項1または
    2に記載の歯科用充填組成物。
  4. 【請求項4】 重合性基を2個有する(メタ)アクリレ
    −ト系重合性単量体のポリマーがウレタン結合及び/ま
    たは芳香族エ−テル結合を有する請求項3に記載の歯科
    用充填組成物。
  5. 【請求項5】 複合体粉末の平均粒径が1〜100μm
    の範囲にある請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用充
    填組成物。
  6. 【請求項6】 (1)重合性単量体 100重量部、
    (2)重合開始剤 0.01〜10重量部 及び(3)ビ
    ニルポリマ−のマトリックス中に第1の無機酸化物が均
    一に分散されている複合体の粉末1〜99重量%と平均
    粒径5μm以下の第2の無機酸化物の一次粒子99〜1
    重量%との組合せ 40〜400重量部、を含有してな
    り、そして上記重合性単量体の重合体の屈折率と、上記
    複合体粉末及び上記第2の無機酸化物との屈折率の差が
    0.1以下であることを特徴とする歯科用充填組成物。
  7. 【請求項7】 (1)重合性単量体 100重量部、
    (2)重合開始剤 0.01〜10重量部 及び(3)
    ビニルポリマ−のマトリックス中に第1の無機酸化物が
    均一に分散されている複合体の粉末1〜99重量%と平
    均粒径1〜100μmの第3の無機酸化物の凝集粒子9
    9〜1重量%との組合せ 40〜400重量部、ここで
    該凝集粒子はシリカ1〜99モル%と周期律表第II〜IV
    族の元素の酸化物99〜1モル%から構成される平均粒
    径0.01〜1μmの一次粒子からなる、を含有してな
    り、そして上記重合性単量体の重合体の屈折率と、上記
    複合体粉末及び上記凝集粒子の屈折率との差が0.1以
    下であることを特徴とする歯科用充填組成物。
  8. 【請求項8】 (1)重合性単量体 100重量部、
    (2)重合開始剤 0.01〜10重量部 及び(3)ビ
    ニルポリマ−のマトリックス中に第1の無機酸化物が均
    一に分散されている複合体の粉末1〜99重量%と上記
    第2の無機酸化物の一次粒子と上記第3の無機酸化物の
    凝集粒子99〜1重量%との組合せ 40〜400重量
    部、ここで該第2の無機酸化物の一次粒子対上記第3の
    無機酸化物の凝集粒子の重量比は99:1〜1:99で
    ある、を含有してなり、上記重合性単量体の重合体の屈
    折率と、上記複合体粉末、上記第2の無機酸化物及び上
    記第3の無機酸化物の凝集粒子の屈折率との差が0.1
    以下であることを特徴とする歯科用充填組成物。
  9. 【請求項9】 第2の無機酸化物の一次粒子の平均粒径
    が0.1μm以下である請求項6〜8のいずれかに記載
    の歯科用充填組成物。
  10. 【請求項10】 第2の無機酸化物がシリカである請求
    項9に記載の歯科用充填組成物。
  11. 【請求項11】 第3の無機酸化物の凝集粒子が水系分
    散媒中、出力40W、周波数39kHzの超音波強度で
    30分間分散処理後、0.01〜1μmの粒子径に分散さ
    れない粒子数が10%以下である請求項7または8に記
    載の歯科用充填組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000336011A (ja) * 1999-03-19 2000-12-05 Sun Medical Co Ltd 歯科用組成物
JP2001511189A (ja) * 1997-10-03 2001-08-07 デンツプライ インターナショナル インコーポレーテッド ナノスケールの充填剤を含む歯科材料

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