JPH0977073A - 合成樹脂製肉薄密封容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成樹脂製肉薄密封容器において、容器の環
境温度の上昇等による内圧上昇により底壁や頂板に突出
した不正変形が発生するのを防止する。 【解決手段】 有底筒形状の胴筒３の上端に外鍔状のフ
ランジ４を下方に傾斜連設し、フランジ４の外周端かち
スタック筒部５を立設し、スタック筒部５の上端を頂板
７で閉鎖して構成し、内圧上昇時に、フランジ４の傾斜
姿勢を、底壁２や頂板７の変形に先立って反転変形させ
て内圧の上昇を抑制し、底壁２や頂板７の不正膨出変形
の発生を防止して、容器の一定した密封状態を維持す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、合成樹脂製肉薄密封容
器、特に、詰め替え用内容液を収納し、詰め替えした後
に使い捨てされる安価で簡易な合成樹脂製肉薄密封容器
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】液体石鹸、シャンプーさらにはボディソ
ープ等の内容液は、簡単で安定した注出操作と、一回の
注出操作で略一定した注出量を得ることができるよう
に、ポンプ装置に代表される注出機能を具備した容器に
収納されるのが殆どであるが、この注出機能を具備した
容器は、その価格が高いばかりでなく、内容液の全部を
注出した後も、その正常な注出能力を保持しているのが
一般であるので、内容液を使用し尽くした後に、この容
器を廃棄することはきわめて不経済であるばかりでな
く、内容液の購買価格が無駄に高くなると云う不都合が
ある。

【０００３】この不都合を解消するために、安価な使い
捨て容器に詰め替え用の内容液を収納し、この詰め替え
用の内容液を、容器代の殆どかからない価格で購入する
ことができるようにしている。

【０００４】この詰め替え用内容液を収納する容器は、
安価にかつ簡単に成形できること、内容液を強固に密封
収納すること、商品としての陳列が可能であること、詰
め替えのための内容液の注出操作が容易にかつ安定して
達成できること等の要望を満たす必要がある。

【０００５】この要望を満たす従来の詰め替え用内容液
を収納する合成樹脂製密封容器の代表例として図３に示
したものは、有底筒形状の胴部上端に外鍔状のフランジ
４を介してスタック筒部５を一体連設し、このスタック
筒部５の上端を頂板７で閉鎖した構成となっており、全
体を肉薄に成形している。

【０００６】この図３に示した従来例は、スタック筒部
５の上端から頂板７を剥がして開封するものであるの
で、内容液の密封収納機能が高く、また底壁２を座とし
ての座りが良いので、店頭での陳列を安定的に行うこと
ができ、また全体構造が単純でシート素材からの成形も
可能であるので、容器全体を安価に製造することができ
ると云う利点を発揮する。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術にあっては、環境温度の上昇に従って内部の気体
が膨張して容器の内圧が上昇すると、この上昇した内圧
が特に底壁２や頂板７に作用して、図４に示すように底
壁２や頂板７を変形させる。

【０００８】このように底壁２や頂板７が変形すると、
容器の商品としての外観体裁が劣化するばかりでなく、
密接配列された格納運搬状態では、容器が破壊する恐れ
があり、また積み重ねて陳列している状態では、積み重
ね不能となって荷崩れが発生すると云う問題があった。

【０００９】そこで本発明は、上記した従来技術におけ
る問題点を解消すべく創案されたもので、上端に溶着さ
れた頂板を剥がすことにより開封して内容液の注出を達
成する密封容器において、容器の内圧による頂板や底壁
の不正変形の発生を防止することを技術的課題とし、も
って商品としての容器の外観劣化の発生を防止すると共
に、内圧による容器の破壊および積み重ね状態時の荷崩
れ発生を防止することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記した技術的課題を解
決するため、本発明のうち請求項１記載の発明は、下端
に底壁を連設した有底筒形状の胴筒の上端に外鍔状のフ
ランジを下方に向けて連設し、このフランジの外周端に
スタック筒部を立設連設し、さらにこのスタック筒部の
上端を頂板で閉鎖して構成すること、フランジを、底壁
や頂板が変形するのに必要な内圧よりも弱い内圧で上方
に反転変形可能としたこと、にある。

【００１１】請求項２記載の発明は、請求項１記載の発
明の構成のうち、フランジの上方への反転変形による内
部容積増加量を、底壁や頂板の変形による内部容積増加
量に対して、等しいかそれよりも大きい値に設定したも
のである。

【００１２】請求項３記載の発明は、請求項１記載の発
明の構成の全体を、底壁と胴筒とフランジとスタック筒
部との一体物である、合成樹脂製シート体から押圧成形
された本体と、この本体の上端開口部を溶着シールする
肉薄平板状の頂板とから構成したものである。

【００１３】請求項４記載の発明は、請求項３記載の発
明の構成のうち、胴筒を下方に縮径するテーパー筒構造
とすると共に、フランジを含むスタック筒部をスタック
部として機能させて本体を構成したものである。

【００１４】

【作用】請求項１記載の発明は、環境温度が常温範囲
（２０度前後）内で、容器内の気体の膨張がない状態で
は、頂板や底壁等に何ら変化は生じない。

【００１５】この状態から、容器の環境温度の常温範囲
以上の上昇により、容器内の気体の膨張によって容器内
圧が上昇してくると、頂板や底壁が変形するのに先立っ
て、この変形に必要な内圧よりも弱い内圧でフランジが
上方に反転変形する。

【００１６】フランジが上方に反転変形すると、容器の
内容積が増加し、内圧の上昇を抑制することになるの
で、容器の内圧の上昇はフランジの上方への反転変形に
より、頂板や底壁を変形させることはなく、またフラン
ジの上方への反転変形は胴筒部分に影響を与えないの
で、この胴筒部分全体を、ラベル貼着とか印刷等による
表示部として有効に機能させることができる。

【００１７】請求項２記載の発明は、フランジの上方へ
の反転変形による内部容積増加量、すなわち内圧吸収能
力の下限を設定したもので、この内部容積増加量を、底
壁や頂板の変形による内部容積増加量と等しいか、それ
よりも大きくしたことによって、フランジの上方への反
転変形による内圧の上昇抑制を充分に達成できることに
なる。

【００１８】請求項３記載の発明は、底壁と胴筒とフラ
ンジとスタック筒部との一体物である本体と、肉薄平板
状の頂板とから容器を構成することにより、本体を、圧
空成形とか真空成形等の押圧成形手段を利用して、合成
樹脂製シート素材から成形することができるので、本体
を簡単かつ安価に製造できることになり、また開口面積
の大きい本体の上端開口部を内容液の注入充填口として
利用できるので、本体への内容液の自動充填処理は簡単
にかつ安定的に達成され、この本体の上端開口部の頂板
による密封も、一般的な溶着シール手法により簡単にか
つ確実に達成される。

【００１９】請求項４記載の発明は、請求項３記載の発
明の本体を、胴筒を下方に縮径するテーパー筒構造とす
ると共に、フランジを含めたスタック筒部をスタック部
として機能させる構成としたので、多数の本体を、相互
間の離反が容易で確実な状態で嵌合積み重ねて取り扱う
ことが可能となり、これにより本体に対する内容液の自
動充填装置における、本体の取り扱いが簡単で安定した
ものとなる。

【００２０】

【実施例】以下、本発明の一実施例を、図１ないし図２
を参照しながら説明する。図１は、内容液を密封収納し
た正常状態での全体を縦断した正面図を示すもので、容
器は本体１と頂板７との二つの部分から構成されてい
る。

【００２１】本体１は、下方に縮径したテーパー円筒形
状をした胴筒３の下端に底壁２を一体連設すると共に、
胴筒３の上端に外鍔状のフランジ４を、上方への反転変
形可能に、下方に向けて連設し、このフランジ４の外周
端に短円筒形状のスタック筒部５を立設連設し、さらに
スタック筒部５の上端縁に外鍔状に溶着鍔６を周設した
構成で、その全体は、合成樹脂製シート素材から押圧成
形手法により一体成形されるものとなっている。

【００２２】頂板７は、本体１を成形する合成樹脂製シ
ート素材、または他の適当な合成樹脂材料で成形された
単純な平円板状となっており、本体１の溶着鍔６の外径
と等しい径寸法となっている。

【００２３】この本体１と頂板７とから構成された容器
への内容液の密封収納は、正立姿勢の本体１内に定量の
内容液を注入充填した後、頂板７を本体１の溶着鍔６に
密に溶着固定して達成される。

【００２４】この内容液の密封収納を自動機器で行うに
際して、フランジ４を含むスタック筒部５がスタック部
として機能するので、嵌合積み重ねした状態での本体１
の良好な取り扱いを得ることができ、これにより内容液
の密封収納の自動処理が良好なものとなる。

【００２５】スタック部となるフランジ４を含むスタッ
ク筒部５は、胴筒３の上端に設けられているので、容器
の主体部分を構成するこの胴筒３の表面を、表示部分と
してそのまま機能させることができる。

【００２６】図１に示した、内容液を密封収納した容器
の通常の状態から、容器の環境温度が上昇（例えば、常
温である２０度から５０度に上昇）し、内部の気体の膨
張が主体となって内圧が上昇すると、頂板７や底壁２の
変形に先立って、この上昇した内圧によりフランジ４が
上方に反転変形（図２参照）して、内圧の上昇を抑制
し、もって頂板７や底壁２の変形を防止する。

【００２７】なお、容器の環境温度が下降して常温に戻
れば、内部の気体の膨張も解消されるので内圧が下が
り、フランジ４はこの低下した内圧により反転下降し
て、原形に復帰する。

【００２８】内容液の入れ替え作業を行う際には、頂板
７を本体１の溶着鍔６から引き剥がして開封すれば良
い。

【００２９】

【発明の効果】本発明は、上記した構成となっているの
で、以下に示す効果を奏する。請求項１記載の発明は、
胴筒の上端に、頂板や底壁が変形するのに必要な内圧よ
りも弱い内圧で上方に反転変形するフランジを一体連設
したので、環境温度変化に伴う容器内圧の上昇変化をフ
ランジの上方への反転変形により吸収抑制することがで
き、これにより頂板や底壁の変形の発生を防止するの
で、商品としての容器の外観体裁の劣化を防止すると共
に、収納運搬状態での外圧作用による破壊の発生を防止
し、積み重ね陳列の荷崩れを防止することができる。

【００３０】請求項２記載の発明は、フランジの上方へ
の反転変形量の下限を、底壁や頂板の変形量を基準とし
て設定することにより、フランジの上方への反転変形に
よる内圧吸収効果を安定的に得ることができるように
し、もってフランジによる無理のない底壁や頂板の変形
防止作用を発揮することができる。

【００３１】請求項３記載の発明は、押圧成形手段を利
用した容器の成形を有利に達成できるようにし、これに
より容器を簡単にかつ安価に製造することができる。

【００３２】請求項４記載の発明は、押圧成形手段を利
用して成形された容器の本体を、嵌合積み重ねした状態
（スタック状態）で良好に取り扱うことができるように
することにより、自動機器での本体の取り扱いを良好で
安定したものとすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す、正常状態での全体縦
断正面図。

【図２】図１に示した実施例における、内圧吸収動作状
態を示す全体縦断正面図。

【図３】従来例を示す、正常状態での全体縦断正面図。

【図４】図３に示した従来例における、上昇した内圧に
よる変形状態を示す全体縦断正面図。

【符号の説明】

１ ； 本体 ２ ； 底壁 ３ ； 胴筒 ４ ； フランジ ５ ； スタック筒部 ６ ； 溶着鍔 ７ ； 頂板

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下端に底壁(2) を連設した有底筒形状の
   胴筒(3) の上端に外鍔状のフランジ(4) を下方に向けて
   連設し、該フランジ(4) の外周端にスタック筒部(5) を
   立設連設し、さらに該スタック筒部(5) の上端を頂板
   (7) で閉鎖して構成し、前記フランジ(4) を、前記底壁
   (2) な頂板(7) が変形するのに必要な内圧よりも弱い内
   圧で上方に反転変形可能として成る合成樹脂製肉薄密封
   容器。
2. 【請求項２】 フランジ(4) の上方への反転変形による
   内部容積増加量を、底壁(2) や頂板(7) の変形による内
   部容積増加量に対して、等しいかそれよりも大きい値に
   設定した請求項１記載の合成樹脂製肉薄密封容器。
3. 【請求項３】 底壁(2) と胴筒(3) とフランジ(4) とス
   タック筒部(5) との一体物である、合成樹脂製シート体
   から押圧成形された本体(1) と、該本体(1)の上端開口
   部を溶着シールする肉薄平板状の頂板(7) とから構成し
   た請求項１または２記載の合成樹脂製肉薄密封容器。
4. 【請求項４】 胴筒(3) を下方に縮径するテーパー筒構
   造とすると共に、フランジ(4) を含むスタック筒部(5)
   をスタック部として機能させて本体(1) を構成した請求
   項３記載の合成樹脂製肉薄密封容器。