JPH0976062A - 初層溶接方法 - Google Patents

初層溶接方法

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JPH0976062A
JPH0976062A JP25922995A JP25922995A JPH0976062A JP H0976062 A JPH0976062 A JP H0976062A JP 25922995 A JP25922995 A JP 25922995A JP 25922995 A JP25922995 A JP 25922995A JP H0976062 A JPH0976062 A JP H0976062A
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JP
Japan
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pipe
inert gas
welding
insert ring
hole
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JP25922995A
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Sueji Ishii
末治 石井
Taketo Hori
建人 堀
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Hitachi Plant Technologies Ltd
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Hitachi Plant Technologies Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接近傍の酸素濃度を測り溶接時の欠陥を防
ぐ。 【解決手段】 配管同士の端面18a、20aにインサ
ートリング12を仮付け溶接し、配管の片端部より不活
性ガス22を送気し空気と置換する。またインサートリ
ング12側部の貫通孔14と配管の他方端部より不活性
ガス22bを排気させる。ここで貫通孔14に注射針を
挿入し、不活性ガス22b内に含まれる酸素濃度を計測
し、規定値以下になったところで本溶接を行う。本溶接
にて配管18、20とインサートリングとの間に生じた
隙間を埋める際にも貫通孔より不活性ガス22bが排気
しているので、前記隙間に不活性ガスが集中せず溶接欠
陥を生じることなく本溶接を行うことができる。更に配
管内部の置換効率を高めるために、貫通孔14を上方向
になるよう設置し、比重の小さい酸素を積極的に配管外
部に追い出すようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層溶接の際の初
層溶接方法に係り、特に配管同士をインサートリングを
介して突き合わせ、且つ不活性ガスにて周囲を覆いつつ
溶接を行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】配管の開先部同士を突き合わせ、多層溶
接を行う方法は、例えば原子力発電所や化学プラント等
で用いられる配管の接続に数多く用いられている。この
多層溶接とは、一般的には初層ティグ溶接を行い、2層
目以降はティグ溶接もしくは被覆アーク溶接等で多層盛
り溶接を行うものである。特に初層におけるティグ溶接
では、裏波ビードの外観不均一および溶け込み不良等の
溶接欠陥が生じ易くなっており、このことから初層溶接
の品質が溶接部全体の品質性能を大きく左右することは
よく知られている。
【0003】初層におけるティグ溶接の裏波ビード外観
不均一および溶け込み不良等といった問題点に対処する
ために、第1としては配管開先部に溶接用線材からなる
インサートリングを仮付け溶接し、配管同士をインサー
トリングを介して突き合わせる。第2としては溶接時に
おける溶融金属の酸化を防止するために配管突き合わせ
周囲をアルゴンガスやヘリウムガスといった不活性ガス
にて覆わせる。これらの状態にてティグ溶接トーチを用
いてインサートリングの両端部を溶接し、配管内側に均
一で良好なビードを形成する。
【0004】ここで配管の端面同士を突き合わせて溶接
を行う手順を示す。図5は配管同士の端面を板状のイン
サートリングを介して突き合わせた外観図であり、図6
は図5の溶接手順を示した説明図である。図6(1)に
示すように、配管2における端面2aにインサートリン
グ6の端面6aを密着させ、ティグ溶接トーチ8を用い
て配管2とインサートリング6との仮付け溶接を行う。
次いで(2)、(3)に示すように他方の配管4におけ
る端面4aを前記インサートリング6の端面6bに取付
冶具等(例えばスペーサブロックなど)を用い突き合わ
せ、同様に仮付け溶接を行う。このようにインサートリ
ングを介して配管同士の仮付け溶接を行うと、溶接時の
熱等による変形や配管開先部の加工精度や取付冶具によ
る突き合わせ位置の精度等などから、配管2、4とイン
サートリング6との接合面は密着せず若干の隙間が発生
する。しかし開先部の外観形状や外形寸法および欠損や
傷等を検査する開先部検査においては、前述の隙間寸法
は一般的に0〜0.5mm程度を許容しており、溶接に
よる気密性の保持は後述する本溶接で行うこととしてい
る。
【0005】ところで溶接時においての溶融金属は空気
中の酸素に触れると酸化物を発生し、溶接部の機械的性
質(引っ張り強さおよび伸び具合等)が劣化する。酸化
の度合いは、材質によっても異なり炭素鋼、低合金鋼、
高合金鋼(例えばステンレス鋼など)の順で酸化能が大
きくなっている。このため初層の本溶接を行う際には、
酸化防止策としてティグ溶接トーチ8側のみならず配管
内部側にも不活性ガスを送気させ、配管内部の空気と置
換させている。このとき配管内部の不活性ガスの置換が
十分でないと空気中の成分、特に酸素が残留すると前述
の通り溶融金属に酸化物が発生するため置換を行う際に
は、不活性ガス中の酸素濃度の管理は重要項目となって
いる。
【0006】また前述した配管内部に不活性ガスを注入
し、インサートリングを用いた初層ティグ溶接において
は、良好な裏波ビードの形成を得るために単位板厚当た
りの入熱量、溶接速度、ビード幅、熱伝導率、溶融温
度、熱拡散率等といった因子を関連させた検討が行わ
れ、また初層部の溶融状況が確認しにくい中でも、イン
サートリングの溶け残り防止等の検討も行われている。
【0007】これらの検討により空気と置換された不活
性ガス中に含まれる酸素濃度は、X線検査等で検出され
ないマクロ組織上の微細な溶接欠陥および変色等を含む
品質性能を左右する支配要因の一つであるという知見か
ら基準値以内に確実に収まることが必要とされ、このこ
とからも配管内部の溶接部近傍の酸素濃度値を正確に測
定することが重要視されている。
【0008】空気と不活性ガスの置換方法は、大別して
局部置換法と系統置換法があり、特に系統置換法では、
配管における不活性ガスの送気側の反対側となる排気側
にて酸素濃度を測定し、当該酸素濃度が規定値以下であ
ることを確認するようになっている。また局部置換法と
は、溶接箇所を含む配管内部の空間を堰を用いて仕切
り、当該空間内の空気と不活性ガスを置換させる方法で
ある。
【0009】前述の方法を用いて酸素濃度の測定が終了
すると、(4)に示すように配管外部より溶接部に不活
性ガスを吹き付けながらティグ溶接トーチ8を用いて、
配管全周にわたり初層ティグ本溶接を行う。この時、配
管2、4とインサートリング6との接合面に生じていた
隙間も埋まり、溶接部において配管内部と配管外部は遮
断され密閉される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし本溶接にて配管
全周を溶接する際、前述したように配管とインサートリ
ングの間には隙間が存在していることから、ほぼ全周に
わたり不活性ガスが隙間より配管外部に排気している。
そして本溶接の最終箇所では配管内部からの排気が一箇
所に集中することから、インサートリング等の溶融金属
を吹き飛ばす作用が働き、溶接最終部分では溶接欠陥が
発生し易いという問題点が発生する。この問題に対処す
るためには、最終溶接箇所に至る寸前にて、配管内部の
不活性ガスの圧力を大気中と同じ圧力に降圧しその後本
溶接を行う方法や、配管内部より排気する不活性ガスの
強さに応じて、溶接トーチ側からの不活性ガスの圧力、
量を調整する方法などが考えられるが、前者の場合に
は、降圧操作が必要になることや降圧までの時間を費や
すことや大気中の酸素を巻き込むといった問題点があ
る。また後者の場合には、隙間より排気する不活性ガス
の量と圧力は、隙間の形状など個々の条件で変わるた
め、作業員の調整によるだけでは非常に困難なものとな
っていた。
【0011】また前述した系統置換法を例にとると、送
気する不活性ガスが配管内部にて空気と混合する際、流
速や比重等の影響により混合度合いが不均一になる。こ
のことから溶接部近傍と位置が離れた排気側との酸素濃
度は異なり、排気側での酸素濃度の測定結果を基に溶接
部近傍の酸素濃度を判定するのは非常に困難となる。こ
の問題に対処するには、高価な不活性ガスを長時間配管
内部に送気し続けることを余儀なくされ且つ時間もかか
ることから、コスト高騰の原因となっていた。また測定
による酸素濃度値の信頼性が低いため品質管理上の不安
も発生していた。
【0012】また溶接金属の酸化原因となる酸素は不活
性ガスより比重が軽いため、配管内部の上方に残留しや
すく、このことから配管上方の溶接部分が酸化の影響を
受け配管周上で品質に偏りが発生しやすいという問題が
あった。
【0013】本発明は上記従来の問題点に着目し、第1
には溶接最終箇所においても配管内部より不活性ガス排
気の影響を受け、溶融金属の吹き飛びが発生することな
く溶接が可能であり、第2には配管内部における溶接箇
所近傍の酸素濃度を簡易且つ正確に測定することが可能
であり、第3には配管内部の酸素を外部に積極的に排気
し、配管内部の空気を不活性ガスに効率よく置換する初
層溶接方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に初層溶接においては、インサートリングの側部に貫通
孔を設け、貫通孔より配管内部に送気する不活性ガスを
配管外部に排気しつつ、インサートリングを介して配管
同士を溶接するようにした。具体的には、第1に配管端
部より不活性ガスを送気し、貫通孔と配管他方端部より
不活性ガスを排気しつつインサートリングを介して配管
同士を溶接することとした。第2としては、配管内部に
おける配管同士の突き合わせ部を含む範囲に堰を設け、
堰により仕切られた室内に不活性ガスを送気し、貫通孔
と堰に設けた排気口より不活性ガスを排気しつつ、イン
サートリングを介して配管同士を溶接することとした。
第3としては、配管内部における配管同士の突き合わせ
部を含む範囲に堰を設け、堰により仕切られた室内に不
活性ガスを送気し、貫通孔より不活性ガスを排気しつ
つ、インサートリングを介して配管同士を溶接すること
とした。
【0015】また本発明では、インサートリングの貫通
孔は溶接部近傍にあるので、溶接部付近における不活性
ガス中の酸素濃度は、貫通孔より排気する不活性ガス中
の酸素濃度を調べ、酸素濃度が規定値以下であることを
確認した後、前記インサートリングを介して前記配管同
士を溶接するようにした。
【0016】更にインサートリングに設けた貫通孔位置
を配管の上半面側となるよう設置し、配管同士の溶接を
行うこととした。上記構成によれば、配管によって挟ま
れたインサートリング側部の貫通孔より配管内部の不活
性ガスを配管外部へ吹き出させるので、本溶接の最終箇
所においても配管とインサートとの間に生じた隙間に不
活性ガスが集中することが無くなる。このため、溶接中
の溶融金属が不活性ガスの吹き出しにより飛ばされるこ
とが無くなり、溶接最終部分での溶接欠陥の発生を防ぐ
ことができる。
【0017】また本発明では、インサートリングの貫通
孔は溶接部近傍にあるので、溶接部付近における不活性
ガス中の酸素濃度の測定は、貫通孔より吹き出す不活性
ガス中の酸素濃度を調べればよい。またインサートリン
グの貫通孔位置を配管上半面側になるように取り付けれ
ば、配管内に残留した比重の軽い酸素を積極的に配管外
部へ排出することができる。更に配管上半面側で酸素濃
度の測定を行えば、最も酸素が多く含有する位置での測
定となるため、酸素濃度値を早く正確に把握することが
できる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る初層溶接方
法の好適な実施形態例を図面を参照して詳細に説明す
る。図1は、本実施例に係る初層配管溶接の説明図であ
り(1)は初層配管溶接に用いるインサートリングの構
造図である。インサートリング12とは、溶接用線材
(溶加棒)と同質の材料からなり、外形形状は後述する
配管の端面形状に適合する寸法に仕上げてある。更にイ
ンサートリング12の側部には、貫通孔14が設けられ
ておりインサートリング12の外側と内側との間で通風
が可能となっている。当該貫通孔14には、溶接用線材
からなるリベット状の密閉栓16が取り付け可能になっ
ている。またインサートリング12は帯状に製造された
素材をリング加工機を用いて容易に製作することが可能
となっており、側部の貫通孔14については、ドリル加
工もしくは放電加工等を用いることによって設けられ
る。インサートリングの形状は、配管端面の形状や使用
条件等によって自在に対応することが可能であり、例え
ば図2の(1)や(2)に示すように板状のものやセン
タ合わせを容易にするための段差を設けたものも容易に
対応することができる。
【0019】図1(2)に示すように配管18における
端面18aに前述のインサートリング12の端面12a
を密着させ、この密着面に図示しないがティグ溶接トー
チを用いてインサートリング12に設けた貫通孔14が
上側にくるように仮付け溶接を行う。次いで他方の配管
20における端面20aを前記インサートリング12の
端面12bに取付冶具であるスペーサーブロックを用い
て同様に仮付け溶接を行う。なお水平に置かれた配管1
8、20に仮付け溶接されたインサートリング12は溶
融電流、印可電圧、トーチ溶接速度等の諸条件により左
右されるものの、溶融時に若干の垂れ下がりが発生し裏
波外観が劣化する。このことよりインサートリング12
は仮付け溶接の際、配管18、20に対して若干上側に
偏心させて取り付ける必要がある。また仮付け溶接を行
った後の配管18、20とインサートリング12の密着
面には、部品形状誤差、冶具精度、仮付け溶接時の熱変
形等の要因より隙間が全周にわたり生じているが、仮付
け溶接後の品質検査では0〜0.5mmの寸法を許容し
ており、生じた隙間は初層本溶接にて埋めることとして
いる。
【0020】以上の如く配管18、20とインサートリ
ング12の仮付け溶接を行った後に、次工程として配管
内側に不活性ガス(アルゴンガス)22を配管の片側
(実施例では配管18側)より送気して配管内部の空気
と置換を行う。置換中における不活性ガス22は空気と
混合し、その大部分は、排気側となる他方配管側(配管
20側)に不活性ガス22aとして排気するが、一部は
仮付け溶接の際に生じた隙間とインサートリング12側
部の貫通孔14とから不活性ガス22bとして排気す
る。この不活性ガス22bは溶接部近傍を代表するもの
であることから、貫通孔14に注射器の針を差し込み、
酸素濃度計にて酸素濃度を計測すれば、大気の影響を受
けることなく酸素濃度の正確な測定および分析を行うこ
とができる。
【0021】また貫通孔14の位置は、配管上側となる
ように設置されているので、不活性ガス22よりも軽
く、配管内部の断面上部に残留した酸素を積極的に配管
外部へと排気するので、効率よく配管内部の空気と不活
性ガスを置換することができる。
【0022】上記の酸素濃度測定における説明は、系統
置換法を例に行ったが、局部置換法でもインサートリン
グ12側部に設けた貫通孔14より、不活性ガス22b
を採取することが可能であることから、系統置換法と同
様に酸素濃度測定を行うことができる。
【0023】酸素濃度測定を行い、その測定値が規定値
以下であることを確認したのちは、初層ティグ本溶接を
行う。図3は配管における本溶接を行う際のティグ溶接
トーチの軌跡を示したものである。この図に示すように
本溶接は、溶接収縮による配管軸方向の変形を防止する
目的より、溶接開始位置より対角方向から交互に行う。
また本溶接時においては、ティグ溶接トーチ側からも不
活性ガスを吹き付け、溶接部を不活性ガスで覆いつつ、
仮付け溶接の際に生じた配管端面18a、20aとイン
サートリング12の端面12a、12bとの隙間を埋め
ていく。そして本溶接の最終箇所にて前記隙間を埋める
際にも、インサートリング12の側部に設けた貫通孔1
4から、配管内部に送気した不活性ガス22bが排気し
ていることから、不活性ガスが一箇所に集中せず、不活
性ガスの吹き出しにより溶融金属が吹き飛び、溶接欠陥
が生じることはない。
【0024】仮溶接で生じた配管端面18a、20aと
インサートリング12の端面12a、12bとの隙間を
本溶接にて埋め込んだ後、今度はインサートリング12
に設けた貫通孔14を塞ぐようにする。形状および寸法
が明らかな貫通孔14に、溶接用線材と同質の密閉栓1
6を打ち込み、不活性ガス22bの排気を止める。その
後、ティグ溶接トーチを用いて貫通孔14の縁部と密閉
栓16の縁とを溶接する。この栓溶接を行うにあたって
は、配管内部に送気する不活性ガス22の圧力を下げる
必要がなく、その結果、降圧操作および降圧にかかる待
ち時間が削減されつつ、品質の安定した初層溶接を行う
ことができる。
【0025】なお、密閉栓16については、本溶接時に
溶融して配管同士の接合の目的をはたす溶加棒であって
もよい。この場合には、溶加棒の先端を押しつぶし、リ
ベット状の栓に構成することで、密閉栓16がインサー
トリング12への差し込み深さを調整することが可能に
なる。
【0026】以上のようにして、初層溶接を完了したの
ち、2層目以降は従来通りの溶接方法で多層盛り溶接を
行うことができる。また図4においては前述した実施例
における応用例である。(1)に示すのは、系統置換法
の応用例で、送気側は上述した実施例と同様に配管端部
となっているが、排気側はインサートリング12に設け
た貫通孔14のみとなっている。この方法では、例えば
片側が塞がっている配管を溶接を用いて接合する場合な
どに用いることが可能である。
【0027】(2)に示すのは、局所置換法に本発明を
適用した応用例である。配管内部に堰24を設け、配管
内部で堰24により仕切られた空間に送気管23を用い
て不活性ガスを送気し、インサートリング12の側部に
設けた貫通孔と堰24の設けた排気口25とで排気する
ことにより、堰24によって仕切られた空間内部の空気
を不活性ガスに置換させるものである。この方法では、
不活性ガスの使用量が少量でも行えることより、利用方
法としては、配管が長く配管同士を溶接し接合するにあ
たり、大量の不活性ガスを用いなければならないときな
どに利用することが可能である。
【0028】(3)に示すのは、(2)と同様に局所置
換法に本発明を適用した応用例である。チューブ26を
配管内部に設置し、当該チューブ26内に空気を送気す
ることで堰24を形成する。そして堰24によって仕切
られた配管内部に送気管23を用いて不活性ガスを送気
し、インサートリング12の側部に設けた貫通孔14を
排気口として堰24によって仕切られた配管内部の空気
を不活性ガスに置換させるものである。
【0029】容易に堰24を設けることができるこの方
法も従来では、堰24に排気口を取り付けるのが困難で
あったため実現困難であったが、インサートリング12
に排気口を設けることで実現の可能性が期待できる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、配
管によって挟まれたインサートリング側部の貫通孔より
配管内部の不活性ガスを配管外部へ吹き出させるので、
本溶接の最終箇所においても配管とインサートとの間に
生じた隙間に不活性ガスが集中することが無くなる。こ
のため、溶接中の溶融金属が不活性ガスの吹き出しによ
り飛ばされることが無くなり、溶接最終部分での溶接欠
陥の発生を防ぐことができる。
【0031】またインサートリングの貫通孔は溶接部近
傍にあるので、溶接部付近における不活性ガス中の酸素
濃度の測定は、貫通孔より吹き出す不活性ガス中の酸素
濃度を調べればよく、またインサートリングの貫通孔位
置を配管上半面側になるように取り付ければ、配管内に
残留した比重の軽い酸素を積極的に配管外部へ排出する
ことができる。更に配管上半面側で酸素濃度の測定を行
えば、最も酸素が多く含有する位置での測定となるた
め、酸素濃度値を早く正確に把握することが可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】配管溶接に係る初層溶接方法の説明図である。
【図2】実施例に係るインサートリングの適用例および
応用例である。
【図3】初層溶接における溶接手順の説明図である。
【図4】本発明における応用例の構造説明図である。
【図5】従来の配管溶接に係る初層溶接方法の説明図で
ある。
【図6】従来の配管溶接に係る初層溶接手順の説明図で
ある。
【符号の説明】
2 配管 2a 端面 4 配管 4a 端面 6 インサートリング 6a 端面 6b 端面 8 ティグ溶接トーチ 12 インサートリング 12a 端面 12b 端面 14 貫通孔 16 密閉栓 18 配管 18a 端面 20 配管 20a 端面 22 不活性ガス 22a 不活性ガス 22b 不活性ガス 23 送気管 24 堰 26 チューブ
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B23K 37/00 301 B23K 37/00 301B

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多層溶接の際、配管の開先部にインサー
    トリングを仮付け溶接し、配管同士を前記インサートリ
    ングを介して突き合わせ、配管内部を正圧側とするよう
    不活性ガスを送気し、配管同士の接合を行う初層溶接方
    法において、前記インサートリングの側部に貫通孔を設
    け、前記貫通孔より前記配管内部に送気する不活性ガス
    を配管外部に排気しつつ、前記インサートリングを介し
    て前記配管同士を溶接することを特徴とする初層溶接方
    法。
  2. 【請求項2】 前記配管端部より前記不活性ガスを送気
    し、前記貫通孔と前記配管他方端部より不活性ガスを排
    気しつつ前記インサートリングを介して前記配管同士を
    溶接することを特徴とする請求項1に記載の初層溶接方
    法。
  3. 【請求項3】 前記配管内部における前記配管同士の突
    き合わせ部を含む範囲に堰を設け、前記堰により仕切ら
    れた室内に前記不活性ガスを送気し、前記貫通孔と前記
    堰に設けた排気口より不活性ガスを排気しつつ、前記イ
    ンサートリングを介して前記配管同士を溶接することを
    特徴とする請求項1に記載の初層溶接方法。
  4. 【請求項4】 前記配管内部における前記配管同士の突
    き合わせ部を含む範囲に堰を設け、前記堰により仕切ら
    れた室内に前記不活性ガスを送気し、前記貫通孔より不
    活性ガスを排気しつつ、前記インサートリングを介して
    前記配管同士を溶接することを特徴とする請求項1に記
    載の初層溶接方法。
  5. 【請求項5】 前記貫通孔より排気する前記不活性ガス
    中の酸素濃度を測定し、酸素濃度が規定値以下であるこ
    とを確認した後、前記インサートリングを介して前記配
    管同士を溶接することを特徴とする請求項1に記載の初
    層溶接方法。
  6. 【請求項6】 前記インサートリングに設けた前記貫通
    孔位置を前記配管の上半面側となるよう設置し、前記配
    管同士の溶接を行うことを特徴とする請求項1に記載の
    初層溶接方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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