JPH0970325A - 引出しのストッパ機構を有する家具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ストッパが桟に内蔵され、安全かつ確実に引
出しの落下を防止できる、引出しのストッパ機構を有す
る家具を提供する。 【解決手段】 引出し３の左右側板の少なくとも一方の
上面の後端側部分に切欠部６が形成されており、この引
出し３の上側に位置する左右の桟２のうち、切欠部６と
対応する側の桟の前端側部分にはストッパ収容部４が形
成されており、該収容部４内のストッパ５が、その前端
側部分の回動中心を中心として回動自在であり、引出し
３を押し込む際、引出し３の側板３ａの上面とストッパ
５の下端が接した状態で引出し３が摺動し、引出し３を
ほぼ完全に引き出した際、ストッパ５の後端が切欠部の
後面６ａと当接し、引出し３の移動が阻止される。スト
ッパ収容部４内に、ストッパ５が桟２内に収容された状
態で固定可能なスライド部材７を設けることが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、引出しを前方へ引
き過ぎた際に、引出しが家具本体から外れて落下すると
いう事故を防止できる構造の家具、特に木製家具に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】引出しが出し入れ自在に配設されている
家具においては、引出しを引出し過ぎた際に引出しが家
具本体から外れて落下するという問題点がある。そこ
で、これまでに、引出しの引き過ぎによる落下事故を防
止するための種々のストッパ機構が提案されており、代
表的なものには、引出しの後端側の側面又は後面と、家
具本体の側板内面とに、それぞれストッパピンやストッ
パ片などのストッパ部材を設け、引出しを前方へほぼ完
全に引き出した際、これらの部材が互いに当接すること
で引出しの前方への移動が阻止される構造のものがある
が、このような構造の引出し装置の場合、それぞれのス
トッパ部材の取り付け位置が問題となるだけでなく、引
出しを挿脱する際にストッパ部材が邪魔になり、引出し
を容易に挿脱することができないという問題点がある。
又、引出し側板の外側面に、引出し方向に沿って全幅に
凹状の溝を設け、家具本体の内側側面に取り付けた桟
（スレ桟）に、この溝を嵌め込んで、引出しを固定、ス
ライドさせる引出し装置にあって、スレ桟の前端部側に
ストッパ部を設けた構造のものもあるが、このような装
置の場合も、前記の装置と同様の問題点がある。

【０００３】ところで、これまで、木製家具業界におい
ては、スレ桟は、引出しを滑らせることと、収納時に引
出しを固定させる棚桟として機能することを目的として
製造されているものがほとんどであり、スレ桟自体に、
引出しの前方への移動を阻止するためのストッパを内蔵
させた構造のものは提案されていない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の家具
における上述の欠点を解消することを目的として発明さ
れたものであり、ストッパを桟に内蔵させることによ
り、安全かつ確実に引出しの落下を防止できる、引出し
のストッパ機構を有する家具を提供することを課題とす
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の家具は、家具の引出し収容部に、前後方向に
出し入れ自在に引出しが設けられ、該引出しにストッパ
機構が設けられた家具であって、前記引出しの左右側板
の少なくとも一方の上面には、後端側部分に切欠部が形
成されており、前記切欠部が、前記引出しの側板の上面
に対して実質的に垂直な後面を含むこと、前記引出しの
上側に位置する左右の桟のうち、前記切欠部と対応する
側の桟の前端側部分には、ストッパ収容部が形成されて
おり、前記ストッパ収容部内に設けられたストッパが、
該ストッパの前端側部分に位置する回動中心を中心とし
て回動自在であること、及び、前記引出しを後方へ押し
込む際、前記引出しの側板の上面と前記ストッパの下端
が接した状態で引出しが摺動し、前記引出しを前方へほ
ぼ完全に引き出した際には、前記ストッパの後端が前記
切欠部の後面に当接することによって、引出しの前方へ
の移動が阻止されることを特徴とする。

【０００６】又、本発明は、上記の引出しのストッパ機
構を有する家具において、前記ストッパ収容部内に、引
出し挿脱用スライド部材が設けられており、前記引出し
挿脱用スライド部材によって、前記ストッパが、該スト
ッパの後端側部分が前記桟内に収容された状態で固定さ
れることを特徴とするものでもある。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明を詳
細に説明する。図１は、本発明の引出しのストッパ機構
を有する家具の好ましい一例における内部構造を示す図
であり、図１の上側に位置する引出し３については、引
出し３をほぼ完全に前方に引き出した際の家具の内部の
様子が示されており、図１の下側に位置する引出し３に
ついては、引出し３を後方へ押し込む際の家具の内部の
様子が示されている。図１に示されるように、本発明の
家具では、家具の引出し収容部の左右側板１の内側面に
それぞれ対をなした状態で桟（スレ桟）２が取り付けら
れており、引出し３は、引出しの側板３ａの下面が、下
側に位置する桟２の上面と接しながら摺動する。そし
て、引出し３の上側に位置する左右一対の桟２のうちの
少なくとも一方の前端側部分には、下方に向かって開口
したストッパ収容部４が形成されている。もちろん、本
発明では、左右の桟２に、それぞれストッパ収容部４が
形成されても良く、又、最上段に位置する引出しについ
ては、引出しの奥行の長さに相当する長さの桟２は不要
であり、図１に示される桟２の前端側構造のみからなる
ストッパ装置を、引出しの左右側板の上面の少なくとも
いずれか一方と対応する位置に設けるだけで良い。

【０００８】図２（ａ）〜（ｃ）には、図１に示される
桟２の詳細な構造が示されており、（ａ）は、（ｂ）の
状態を上方から見た時の図、（ｃ）は、（ｂ）の状態を
下方から見た時の図である。この桟２は、家具の引出し
収容部の左側板の内側面に取付けて使用されるものであ
り、右側板に取付けられる桟は、この対掌体構造を有す
る。尚、図２（ａ）〜（ｃ）の桟２には、後述するスト
ッパを回動自在に取付けるためのストッパ取付け用突起
部８、引出し脱着用スライド部材を取付けるためのスリ
ット９、及び、桟２を引出し収容部の左右側板に取付け
るための桟取付け用突起部１０が設けられている。尚、
図１及び図２に例示した桟２は、桟全体が実質的にコの
字状の断面形状を有する構造のものであるが、本発明に
おける桟２の内部構造は、これに限定されるものではな
く、少なくとも前端部側にストッパ収容部４が形成され
ていれば良く、桟２に形成されるストッパ収容部４の形
状等も限定されない。又、本発明における桟２の材質
は、一般的にはプラスチックや金属であり、図１及び図
２に示される構造の桟２が特にプラスチック成形体であ
る場合には、引出しをほぼ完全に引出した際に大きな力
がストッパを支持している部分、即ち、桟２の前端側部
分に作用するので、この部分の肉厚を２ｍｍ以上とする
ことが好ましい。

【０００９】そして、本発明では、このストッパ収容部
４内にストッパ５が設けられており、このストッパ５
は、その前端側部分に位置する回動中心を中心として回
動自在な状態で桟２に取り付けられており、ストッパ５
の後端側部分は上下動自在で、引出し３を出し入れする
間、図１に示されるようにして、自重により桟２の下面
の位置を越えて下方に位置でき、ストッパ５は後方へ斜
めに傾いた状態で、引出しの側板３ａの上面と接触す
る。図１におけるストッパ５は、回動中心の位置に孔が
設けられており、この孔に、桟２に形成された小円柱状
のストッパ取付け用突起部８が挿通され、しかもこの突
起部８を回動中心として回動可能な状態で取付けられて
いるが、本発明では、ストッパ５の取付け方法は、これ
に限定されるものではない。本発明におけるストッパ５
の大きさは、引出し３の大きさによって適宜選択される
が、一般的な家具の場合には、長さ２５〜４５ｍｍ程度
であり、図１に例示したものにあっては長さ３５ｍｍで
ある。

【００１０】一方、本発明の家具における引出し３は、
引出しの側面を構成する左右２つの側板のうち、少なく
とも前記ストッパ５と対応する側の側板３ａの上面後端
側の部分に、切欠部６が形成されており、例えば図３に
例示されるように、左右の側板３ａに切欠部６が形成さ
れても良い。この際、切欠部６は、引出しの側板３ａの
上面に対して実質的に垂直な後面６ａを含み、この後面
６ａの手前側の部分には、ほぼ完全に引き出した引出し
３を押し込む際、切欠部６内に嵌まり込んだストッパ５
の下端を側板３ａの上面の高さまで誘導するためのスト
ッパ誘導面６ｂが形成されている。本発明における切欠
部６を構成する後面６ａ及びストッパ誘導面６ｂは、図
１に例示されるような平面に限定されるものではなく、
それぞれ曲面であっても良く、後面６ａとストッパ誘導
面６ｂとが一体化して一つの湾曲面を構成していても良
い。本発明における切欠部６は、引出しの側板３ａに、
切り込み加工を行うことで簡単に形成することができ、
切欠部６の切り込み深さ等については、ストッパ５の大
きさによって適宜選択されるが、図１に例示したものに
あっては、切欠部６の最下部と側板３ａの上面との距離
（後面６ａの高さ）が約９ｍｍである。

【００１１】本発明では、引出し３を後方へ押し込む
際、引出しの側板３ａの上面とストッパ５の下端が接し
た状態で引出し３が摺動し（図１の下側に位置する引出
しの状態）、引出し３を前方へほぼ完全に引き出した際
には、ストッパ５が切欠部６に嵌まり込み、ストッパ５
の後端が切欠部の後面６ａに当接することにより、引出
し３の前方への移動が阻止され（図１の上側に位置する
引出しの状態）、この位置よりも手前に、引出し３を引
き出すことができないようになっている。このように、
本発明の家具にあっては、引出しの上側に位置する桟２
に設けられたストッパ５が、引出しに形成された切欠部
６内に嵌まり込むことで、引出し３の引出し過ぎによる
落下を完全に防止することができる。図４は、ストッパ
５の後端と切欠部６の後面６ａとが当接した際の状態
を、正面から見た時の図である。本発明では、引出し側
板３ａの上面と桟２の下面との間には、通常は、図１に
示されるようにして隙間が形成され、この隙間は２〜１
２ｍｍ程度であることが好ましく、このような範囲にお
いては特に安全かつ完全に引出しの引出し過ぎによる落
下防止が行える。又、本発明では、左右の桟２にストッ
パ５を設け、引出し３の左右の側板に切欠部６を設ける
ことが好ましく、この場合には、２つのストッパ５によ
って安定して引出し３が当接固定できる。

【００１２】尚、本発明では、引出し３が完全に引き抜
けるように、ストッパ収容部４内に、図１に示されるよ
うにして、引出し挿脱用スライド部材７を設け、この引
出し挿脱用スライド部材７によって、ストッパ５が、該
ストッパ５の後端側部分が引き上げられて桟２内に収容
され、この状態で固定可能な構造とすることが好まし
い。図５は、引出し挿脱用スライド部材７の好ましい形
状の一例を示す図であり、この部材には、指で前後に移
動させることができるように操作部１１が設けられてい
る。図６には、図５の引出し挿脱用スライド部材７を、
桟２の内部に取り付けた際の状態が示されており、小平
板状の操作部１１は、桟２のスリット９に挿通され、ス
リット９に沿って前後方向に移動できるようになってい
る。但し、本発明では、桟２へのスライド部材７の取り
付け方法が、これに限定されるものではない。

【００１３】このような引出し挿脱用スライド部材７が
設けられた構造を有する本発明の家具の場合、引出し脱
着用スライド部材７を、図１における点線で示される位
置にまで手で移動させると、ストッパ５が回動中心を中
心（ストッパ取付け用突起部８を回動軸）として回動
し、ストッパ５の後端側部分が桟２の下面を越えて上方
に移動し（図１には、この時のストッパ５の位置が点線
で示されている）、引出し３を簡単に抜き取ることがで
きる。図７（ａ）は、ストッパ５が作動しない時の桟２
の内部の状態を示す拡大図である。そして、再び、引出
し３を落下防止状態とする場合には、引出し脱着用スラ
イド部材７を、図１の実線で示される位置に戻した後、
引出し３を桟２に沿って挿入するだけで良く、図７
（ｂ）は、ストッパ５が作動している時の桟２の内部の
状態を示す拡大図である。図１に例示した本発明の引出
しのストッパ機構を有する家具は、挿脱時の操作が簡単
であり、確実に引出し３が家具から外れるのを防止で
き、引出しの落下事故を確実になくすことができるもの
である。以上、本発明の具体例を図面を用いて詳述した
が、本発明の家具の具体的構成は、図面に例示したもの
に限定されるものではない。

【００１４】

【発明の効果】本発明の引出しのストッパ機構を有する
家具の場合、引出しの上側に位置する桟に内蔵されたス
トッパの後端と、引出しの側板上面に設けられた切欠部
の後面との当接によって、引出しを使用する際の引き過
ぎによる引出し落下事故を確実に防止することができ
る。しかも、本発明の家具は、一般普及家具から高級家
具まで、又、大型家具から小型家具まで引出しを有する
木製家具全般において利用することができ、引出しを安
全に出し入れ可能とするものであり、構造が比較的簡単
であるために安価に製造できるという利点もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の家具の好ましい一例における内部構造
を示す図であり、上側に位置する引出し３については、
引出し３をほぼ完全に前方に引き出した際の家具の内部
の様子が示されており、図１の下側に位置する引出し３
については、引出し３を後方へ押し込む際の家具の内部
の様子が示されている。

【図２】（ａ）〜（ｃ）は、図１に示される桟２の構造
を示す図であり、（ａ）は、（ｂ）の状態を上方から見
た時の図、（ｃ）は、（ｂ）の状態を下方から見た時の
図である。

【図３】本発明の家具における引出し３の一例を示す斜
視図である。

【図４】ストッパ５の後端と切欠部６の後面６ａとが当
接した際の状態を、正面から見た時の図である。

【図５】引出し挿脱用スライド部材７の好ましい形状の
一例を示す図である。

【図６】図５の引出し挿脱用スライド部材７を、桟２の
内部に取り付けた際の状態を示す図である。

【図７】（ａ）は、ストッパ５が作動しない時の桟２の
内部の状態を示す拡大図であり、（ｂ）は、ストッパ５
が作動している時の桟２の内部の状態を示す拡大図であ
る。

【符号の説明】

１ 引出し収容部の側板 ２ 桟 ３ 引出し ３ａ 引出しの側板 ４ ストッパ収容部 ５ ストッパ ６ 切欠部 ６ａ 切欠部の後面 ６ｂ 切欠部のストッパ誘導面 ７ 引出し脱着用スライド部材 ８ ストッパ取付け用突起部 ９ スリット １０ 桟取付け用突起部 １１ 操作部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 家具の引出し収容部に、前後方向に出し
   入れ自在に引出しが設けられ、該引出しにストッパ機構
   が設けられた家具であって、前記引出しの左右側板の少
   なくとも一方の上面には、後端側部分に切欠部が形成さ
   れており、前記切欠部が、前記引出しの側板の上面に対
   して実質的に垂直な後面を含むこと、前記引出しの上側
   に位置する左右の桟のうち、前記切欠部と対応する側の
   桟の前端側部分には、ストッパ収容部が形成されてお
   り、前記ストッパ収容部内に設けられたストッパが、該
   ストッパの前端側部分に位置する回動中心を中心として
   回動自在であること、及び、前記引出しを後方へ押し込
   む際、前記引出しの側板の上面と前記ストッパの下端が
   接した状態で引出しが摺動し、前記引出しを前方へほぼ
   完全に引き出した際には、前記ストッパの後端が前記切
   欠部の後面に当接することによって、引出しの前方への
   移動が阻止されることを特徴とする、引出しのストッパ
   機構を有する家具。
2. 【請求項２】 前記ストッパ収容部内に、引出し挿脱用
   スライド部材が設けられており、前記引出し挿脱用スラ
   イド部材によって、前記ストッパが、該ストッパの後端
   側部分が前記桟内に収容された状態で固定されることを
   特徴とする請求項１記載の家具。