JPH0969423A - 酸化鉄磁性粉末およびそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

酸化鉄磁性粉末およびそれを用いた磁気記録媒体

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JPH0969423A
JPH0969423A JP7246603A JP24660395A JPH0969423A JP H0969423 A JPH0969423 A JP H0969423A JP 7246603 A JP7246603 A JP 7246603A JP 24660395 A JP24660395 A JP 24660395A JP H0969423 A JPH0969423 A JP H0969423A
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iron oxide
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oxide magnetic
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Hitoshi Hirayama
均 平山
Hitoshi Maro
整 麿
Yoshio Kawakami
義雄 川上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の固溶型磁性酸化鉄において問題であっ
た加熱減磁を改善できる酸化鉄磁性粉末を提供するとと
もに、その結果として、Co被着型の粉末磁性粉と同等
の特性を有し、コストの安価な磁性粉末を提供する。さ
らには、温度特性、保存消去、出力等の磁気的信頼性が
向上し、Co被着型の粉末磁性粉を用いた場合と同等以
上の特性が得られる磁気記録媒体を提供する。さらに
は、磁性層を形成したときの塗膜物性にも優れる磁気記
録媒体を提供する。 【解決手段】 Fe2+/Fe3+が0.3以下のCo固溶
型の酸化鉄磁性粉末であって、該酸化鉄磁性粉末は、M
nおよびZnを固溶させた状態で含有しており、Feに
対するMnおよびZnの重量含有割合が、下記式(1)
〜(3)の関係を満たすように構成する。 4.0wt%≦Mn+Zn≦6.0wt% …式(1) 2.0wt%≦Mn …式(2) 0.5wt%≦Zn …式(3)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気的安定性に優
れたCo固溶型の酸化鉄磁性粉末、およびこれを用いた
塗布型の磁気記録媒体であって、映像、音声、データ等
の記録再生に利用される磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、記録密度を向上させるため
に、Coの結晶磁気異方性を利用して保磁力(Hc)を
向上させたCo被着型酸化鉄が、ビデオ、オーディオ用
の磁性粉末として広く一般に使用されている。
【0003】Coの結晶磁気異方性を利用して保磁力を
向上させる技術は古く、検討初期においてはCoを酸化
鉄内部に固溶させたCo固溶型酸化鉄が、主として検討
されていた。Co固溶型磁性酸化鉄は、ゲーサイト段階
ですでにCoを被着させて製造するために、Co被着工
程を最終工程として持つCo被着型酸化鉄磁性粉末と比
較して、工程が大幅に削減でき、また、少量のCo含有
量で所定の保磁力(Hc)が得られる等の利点を有する
からである。
【0004】しかしながら、Co固溶型酸化鉄を磁性粉
末として用いた磁気記録媒体は、加熱減磁が大きく、さ
らには高温高湿の過酷条件下で記録を保存しておいた後
の消去が悪い等の欠点が指摘されていた。
【0005】ところで、一般的に酸化鉄系磁性粉末に金
属元素を添加し、磁性粉末の諸特性を改良することも多
く行われており、例えば、特公昭52−25959号
公報には、針状磁性酸化鉄の粒子表面にバナジウム、モ
リブデン、銅、マンガン、亜鉛、鉄の少なくとも一種を
3重量%以下と、コバルトを析出させてなる磁性粉末材
料が提案されている。しかしながら、この公報に開示さ
れているものは、いわゆるコバルト被着型の粉末磁性粉
を対象としているものであり、かつ各元素の添加の目的
が電気抵抗の低い媒体を得るためのものであり、上記従
来のCo固溶型酸化鉄に関する問題を解決するものでは
ない。特開昭55−141712号公報には、ガンマ
型酸化鉄(III)の核に、亜鉛(II)イオン及び/或はマン
ガン(II)イオンで変性されたマグネタイトで核を包囲す
る外層とで構成された酸化鉄磁性粉末が開示されてい
る。しかしながら、このものの目的は、Coの存在なし
で酸化鉄の保磁力を高める目的に他ならず、上記Co固
溶型酸化鉄を磁性粉として用いた場合の問題を解決する
ものではない。特公昭58−20125号公報には、
CoおよびMnを含んだ強磁性酸化鉄のベルトライド化
合物が開示されており、これによればCoおよびMnの
相乗効果によりHcの向上が図れるとともに加熱減磁を
小さくできる旨等の効果が示されている。しかしなが
ら、当該公報開示の効果についても、技術の進歩ととも
に決して満足のいくレベルとは言えなくなっており、さ
らなる技術的な改良が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような実状のもと
に本発明は創案されたものであって、その目的は、従来
のCo固溶型磁性酸化鉄において問題であった加熱減磁
を改善できる酸化鉄磁性粉末を提供するとともに、その
結果として、Co被着型の磁性粉末と同等の特性を有
し、コストの安価な磁性粉末を提供しようとするもので
もある。さらには、温度特性、保存消去、出力等の磁気
的信頼性が向上し、Co被着型の磁性粉末を用いた場合
と同等以上の特性が得られる磁気記録媒体を提供するこ
とにある。さらには、磁性層を形成したときの塗膜物性
であるスチル特性等にも優れる磁気記録媒体を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために本出願に係る発明者らが、Co固溶型の酸化鉄
磁性粉末に含有すべく添加物について鋭意研究した結
果、所定元素の組み合わせを、所定範囲の含有割合とす
ることで従来の問題点を解決することを見出し本発明に
至ったのである。すなわち、本発明は、Fe2+/Fe3+
が0.3以下のCo固溶型の酸化鉄磁性粉末であって、
該酸化鉄磁性粉末は、MnおよびZnを固溶させた状態
で含有しており、Feに対するMnおよびZnの重量含
有割合が、下記式(1)〜(3)の関係を満たすように
構成される。
【0008】 4.0wt%≦Mn+Zn≦6.0wt% …式(1) 2.0wt%≦Mn …式(2) 0.5wt%≦Zn …式(3) 本発明の酸化鉄磁性粉末は、より好ましい態様としてF
eに対するCoの重量含有割合が、0.5〜4.0wt
%であるように構成される。
【0009】また、本発明は、非磁性支持体の上に、酸
化鉄磁性粉末と結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒
体において、前記磁性層に含有される酸化鉄磁性粉末
は、Fe2+/Fe3+が0.3以下のCo固溶型の酸化鉄
磁性粉末であって、該酸化鉄磁性粉末は、MnおよびZ
nを固溶させた状態で含有しており、Feに対するMn
およびZnの重量含有割合が、下記式(1)〜(3)の
関係を満たすように構成される。
【0010】 4.0wt%≦Mn+Zn≦6.0wt% …式(1) 2.0wt%≦Mn …式(2) 0.5wt%≦Zn …式(3) 本発明の磁気記録媒体は、より好ましい態様としてFe
に対するCoの重量含有割合が、0.5〜4.0wt%
であるように構成される。
【0011】
【発明の実施の形態】まず、最初に本発明の酸化鉄磁性
粉末(以下、単に『磁性粉末』と称す)について、詳細
に説明する。本発明の磁性粉末は、Co固溶型の磁性粉
末であって、さらに、MnおよびZnを所定量固溶させ
た状態で含有してなるものである。
【0012】本発明のCo含有量は、対象となる磁気記
録媒体によっても異なるのであるが、通常、Feに対し
て、0.5〜4.0wt%、好ましくは、1.0〜3.
5wt%とされる。Coの含有割合が4.0wt%を超
えると、後述するMn,Znを添加しても温度特性、加
熱減磁特性が大きくなり過ぎてしまうという不都合が生
じ、また、Coの含有割合が0.5wt%未満となる
と、保磁力(Hc)が上がらず、飽和磁化量(σs )も
低くなってしまう。
【0013】本発明の磁性粉末は、前述のごとくMnお
よびZnを所定量固溶させた状態で含有しており、これ
らの重量含有割合は、Feに対して下記式(1)〜
(3)のすべての関係を満たすように定められる。
【0014】 4.0wt%≦Mn+Zn≦6.0wt% …式(1) 2.0wt%≦Mn …式(2) 0.5wt%≦Zn …式(3) さらに、より好ましいMnおよびZnの重量含有割合
は、Feに対して下記式(4)〜(6)のすべての関係
を満たすように定められる。
【0015】 4.5wt%≦Mn+Zn≦5.5wt% …式(4) 2.5wt%≦Mn …式(5) 1.0wt%≦Zn …式(6) 上記式(1)〜(6)中のMnおよびZnは、それぞ
れ、Feに対するMnおよびZnの重量含有割合(wt
%)を示している。
【0016】MnおよびZnの重量含有割合が少なくな
りすぎて、上記式(1),(2),(3)のいずれかの
下限をはずれると、磁性粉末の加熱減磁が大きくなると
ともに、磁気記録媒体の保存消去等の磁気的信頼性が得
られなくなるという不都合が生じる。これとは反対に、
MnおよびZnの重量含有割合が大きくなりすぎて、上
記式(1),(2),(3)のいずれかの上限をはずれ
ると、保磁力(Hc)や飽和磁化(σS )が低下してし
まうという不都合が生じる。
【0017】なお、本発明の磁性粉末には、さらに、A
l、Si、P、Y、希土類元素を添加してもよい。これ
によって、粒度分布を向上させ、焼結を防止する等の効
果が生じる。
【0018】また、磁性粉末は、Al、Si、Pまたは
これらの酸化物膜で覆ったものや、Si、Al、Ti等
のカップリング剤や、各種の界面活性剤等で表面処理し
たものであってもよい。
【0019】本発明における磁性粉末の形状は、長軸/
短軸の軸比として通常、5〜10程度の針状、紡錘状
(ここでは、針状の中心部が太い形状をいう)が好まし
く、特に磁気テープでは磁場配向処理の効果がより高く
期待できること、磁性層自体の長手方向の強度を高める
ことが可能になる。なお、長軸長さは、通常、0.1〜
0.3μm程度とされる。
【0020】このような本発明の磁性粉末の製造方法の
好適な一例を以下に説明する。磁性粉末製造の一連の大
きな流れとしては、針状オキシ水酸化鉄の表面にCo,
Mn,Zn,およびSiを被着させ、濾過、水洗、乾燥
を行い得られたCo被着針状オキシ酸化鉄を加熱脱水
し、さらに還元性雰囲気により還元し、非酸化性雰囲気
で加熱処理することにより行われる。この方法をさらに
詳細に説明する。
【0021】この方法に用いる針状オキシ酸化鉄として
は、種々の方法によって製造された針状オキシ水酸化
鉄、α,β,γ−FeOOHのいずれでもよい。これら
の水性懸濁液にCo、Mn、Znの化合物を添加し、さ
らにアルカリを添加して粒子表面にこれらを水酸化物と
して沈殿させる。また同時に燒結防止剤として、リン化
合物、ケイ素化合物、アルミニウム化合物などを添加
し、粒子形状の崩れや粒子の燒結を防止することが好ま
しい。前記Co,Mn,Zn化合物として種々の化合物
を使用し得るが、例えば、Coの塩としては、硫酸コバ
ルト、塩化コバルト等が用いられ、また、Znの塩とし
ては、硫酸亜鉛、塩化亜鉛等が用いられ、また、Mnの
塩としては硫酸マンガン、塩化マンガン等が用いられ
る。
【0022】また前記リン酸化合物としてはリン酸ナト
リウム等、ケイ酸化合物としてはケイ酸ナトリウム等、
アルミニウム化合物としては、アルミン酸ナトリウム、
硫酸アルミ等が用いられる。その後、濾過、水洗、脱
水、乾燥を行いCo被着針状オキシ水酸化鉄を得る。
【0023】得られたCo被着針状オキシ水酸化鉄を4
00〜700℃の温度で、好ましくは、450〜650
℃の温度で通常1〜5時間加熱脱水処理を行う。この条
件は、使用する針状オキシ水酸化鉄の形状、比表面積等
で異なる。この工程では、還元反応が起こらないように
留意して脱水を行う。この脱水温度が上記範囲より低過
ぎると、脱水反応を終了するまでに長時間を要し、一方
高すぎると還元反応が生じて、所望の効果が得られなく
なる。次いで、前工程で得られた脱水化物を還元雰囲気
中でさらに、200〜500℃の温度で、好ましくは2
50〜400℃の温度で還元する。この温度が上記の範
囲よりも低過ぎると還元反応が遅くなり還元反応完了ま
でに長時間を要す。一方この温度が高すぎると、粒子の
崩れ、粒子間燒結を生じて好ましくない。還元時間は粒
子径、脱水条件等によって異なるが、通常1〜6時間、
好ましくは2〜3時間である。さらに非酸化性雰囲気中
400〜600℃の温度で加熱処理し、添加金属を充分
粒子内に均一に固溶させる。
【0024】さらには、安定化処理として表面酸化さ
せ、コバルト含有針状酸化鉄を得る。この酸化反応は通
常の方法でよく、例えば、酸化反応に用いられる酸素含
有ガスとして空気、酸素を含有した窒素ガスなどが挙げ
られる。酸化反応の温度は100℃〜300℃である。
【0025】また、本発明の酸化鉄磁性粉末は、Fe2+
とFe3+との比であるFe2+/Fe3+値が、0≦Fe2+
/Fe3+≦0.3、特に、0≦Fe2+/Fe3+≦0.2
5の範囲にあることが好ましい。この値が0.25を超
えると、Fe2+→Fe3+の酸化反応が起きやすくなるた
めに経時安定性が悪化する傾向があり、さらにこの値が
0.3を超えると発火の危険性を持つ。
【0026】次いで、上記のごとく説明してきた本発明
の磁性粉末を磁性層に含有させて製造した本発明の磁気
記録媒体の構成について説明する。
【0027】すなわち、本発明の磁気記録媒体1は、図
1に示されるように、非磁性支持体2の上に、磁性粉末
と結合剤を含む磁性層3を有している。
【0028】磁性層3に含有される磁性粉末は、前述し
たようにCo固溶型の酸化鉄磁性粉であって、該磁性粉
は、MnおよびZnを固溶しており、Feに対するMn
およびZnの重量含有割合が、前述の式(1)〜(3)
の関係を満たしているものである(より好ましくは、前
述の式(4)〜(6)の関係を満たす)。
【0029】このような磁性粉末は、通常、結合剤(バ
インダ)100wt%に対し100〜2000wt%程
度含有され、磁性層中の磁性粉末の含有量は、全体の5
0〜95wt%、好ましくは55〜90wt%とされ
る。磁性粉末の含有量が多すぎると磁性層中の樹脂を始
めとする添加物の量が相対的に減少するため、磁性層の
耐久性が低下する等の欠点が生じやすくなり、少なすぎ
ると高い再生出力を得られない。
【0030】これらの磁性粉末は、それぞれ単独で使用
してもよいし、本願発明に示される同種の2種以上を混
合して用いてもよい。
【0031】磁性層3に含有される結合剤(樹脂バイン
ダー)としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性ないし反応型
樹脂、電子線感応型変性樹脂等が用いられ、その組み合
わせは媒体の特性、工程条件に合わせて適宜選択使用さ
れる。
【0032】熱可塑性樹脂としては、軟化温度が150
℃以下、平均分子量5000〜200000、重合度5
0〜2000程度のものが用いられる。熱硬化性樹脂、
反応型樹脂または電子線官能型変性樹脂も熱可塑性樹脂
同様の平均分子量、重合度のものであって、塗布、乾
燥、カレンダー加工後に加熱、および/または電子線照
射することにより、縮合、付加等の反応により分子量は
無限大のものとなるものである。
【0033】これらのうちで、好ましく用いられるもの
としては、塩化ビニル系共重合体およびポリウレタン樹
脂の組み合わせである。
【0034】また、ポリウレタン樹脂は、用いる結合剤
中において、ガラス転移温度Tgが−20℃≦Tg≦8
0℃の範囲で異なるものを少なくとも2種類以上、さら
にその合計量が全結合剤の10〜90wt%であり、こ
れら複数のポリウレタン樹脂を含有することで、高温度
環境下での走行安定性とカレンダ加工性、電磁変換特性
のバランスが得られる点で好ましい。
【0035】さらに、これら塩化ビニル系共重合体と、
ポリウレタン樹脂とは、その重量混合比が10:90〜
90:10となるように混合して用いることが好まし
い。
【0036】なお、これらの樹脂に加えて、全体の20
wt%以下の範囲で、公知の各種樹脂が含有されていて
もよい。
【0037】これら樹脂中には、極性基として、−SO
3 M、−SO4 M、−PO32 、−PO22 、−P
OM2 、−P=O(OM1 )(OM2 )、−OP=O
(OM1 )(OM2 );−COOM、−NR4 X(ここ
で、M、M1 、M2 は、H、Li、Na、K、−NR
4 、−NHR3 を示し、Rはアルキル基もしくはHを示
し、Xはハロゲン原子を示す)−OH、−NR2 、−N
+3 (Rは炭化水素基)、エポキシ基、−SH、−C
N等から選ばれる少なくとも一つ以上を用いることが好
ましい。
【0038】これら以外の熱可塑性樹脂としては、例え
ば(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロ
ニトリル−ブタジエン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポ
リビニルブチラール、ニトロセルロース、スチレン−ブ
タジエン系共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、アセ
タール樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリ
エーテル樹脂、ポリカプロラクトン等の多官能性ポリエ
ーテル類、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フェノー
ル樹脂、ポリブタジエンエラストマー、塩化ゴム、アク
リルゴム、イソプレンゴム、エポキシ変性ゴム等をあげ
ることができる。
【0039】また熱硬化性樹脂としては、縮重合するフ
ェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹
脂、尿素樹脂、ブチラール樹脂、ホルマール樹脂、メラ
ミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル
系反応樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ−ポリアミド樹
脂、飽和ポリエステル樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂
等が挙げられる。
【0040】バインダー樹脂を硬化する架橋剤として
は、各種ポリイソシアナートを用いることができ、架橋
剤の含有量は樹脂100wt%に対し、1〜50wt%
とすることが好ましく、この架橋剤によりバインダー樹
脂に含有される水酸基等と三次元的に結合して塗膜層の
耐久性が向上できる。
【0041】さらに上記共重合体に公知の手法により、
(メタ)アクリル系二重結合を導入して電子線感応変性
を行ったものを使用することも可能である。
【0042】またその電子線官能基含有量は、製造時の
安定性、電子線硬化性等から水酸基成分中1〜40モル
%、好ましくは10〜30モル%であり、とくに塩化ビ
ニル系共重合体の場合1分子あたり1〜20個、好まし
くは2〜10個の官能基となるようにモノマーを反応さ
せると分散性、硬化性ともに優れた電子線硬化性樹脂を
得ることができる。
【0043】これら電子線感応変性樹脂を用いる場合、
架橋率を向上させるために従来公知の多官能アクリレー
トを1〜50wt%混合して使用してもよい。
【0044】さらに磁性層3形成のための磁性塗料に含
有される溶剤としては、とくに制限はないが、結合剤
(バインダ)の溶解性、相溶性および乾燥効率等を考慮
して適宜選択され、ケトン類、芳香族炭化水素類、エス
テル類等を単一溶剤またはこれらの任意比率の混合溶剤
として用いる。
【0045】磁性層3中には、通常、潤滑剤が含有され
る。用いる潤滑剤としては、公知の種々の潤滑剤の中
で、とくに脂肪酸および/または脂肪酸エステルを用い
るのが好ましく、炭素数12〜24(不飽和結合を含ん
でも、また分枝していてもかまわない)の一塩基性脂肪
酸、炭素数10〜24(不飽和結合を含んでも、また分
枝していてもかまわない)の一塩基性脂肪酸と炭素数2
〜22(不飽和結合を含んでも、また分枝していてもか
まわない)の一価、二価、三価、四価、五価、六価アル
コール、ソルビタン、ソルビトール等の環状もしくは多
糖類還元アルコール等のいずれか一つとからなるモノ脂
肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステ
ル、これらの混合物、または2種類以上を併用してもよ
い。
【0046】磁性層3中には、潤滑効果、帯電防止効
果、分散効果、可塑効果等を発現させるための添加剤を
含有してもよい。例えば、シリコーンオイル類、フッ素
オイル、パラフィン類、脂肪族または環状アミン類、脂
肪酸アミド類、第四級アンモニウム塩類、ポリオレフィ
ン類、ノニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ア
ニオン界面活性剤、両性界面活性剤等も使用できる。
【0047】さらに、磁性層3中には無機化合物を含有
させてもよい。使用できる無機質粉末としては、具体的
に、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−
アルミナ、δーアルミナ、三酸化二クロム、α−酸化
鉄、SiO2 、ZnO、TiO2 、ZrO2 、SnO
2 、窒化珪素、窒化硼素、炭化珪素、炭化チタン、炭化
モリブデン、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭酸カル
シウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸マグ
ネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、二硫化モリブデ
ン、二硫化タングステン、人造ダイアモンド等が単独ま
たは組み合わせて使用される。
【0048】これらの無機化合物は、磁性粉末に対し
て、重量比率で0.1〜20wt%の範囲で用いられ
る。
【0049】さらに、磁性層3形成のための磁性塗料中
には、カーボンブラックを含有させてもよい。カーボン
ブラックとしてはファーネスカーボンブラック、サーマ
ルカーボンブラック、アセチレンブラック等を用いるこ
とができる。
【0050】このような磁性塗料が塗設される非磁性支
持体2としては、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエ
ステル類、ポリオレフイン類、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリスルホンセルローストリア
セテート、ポリカーボネート等の公知のフイルムを使用
することができる。
【0051】塗設方法としては、グラビアコート、リバ
ースロールコート、エクストルージョンノズルコート等
公知の種々の方法が用いられる。
【0052】また、このような磁性塗料が塗設される非
磁性支持体の反対面側には、バックコート層が形成され
てもよいし、磁性層3の下に公知の種々の下地層が形成
されてもよい。また、本発明における磁気記録媒体は、
非磁性支持体の上に磁性層を複数層積層させたものであ
ってもよい。また、非磁性支持体の両側に磁性層を設け
たものであってもよい。
【0053】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0054】(実施例1)針状α−FeOOH(ゲーサ
イト:平均長軸長0.3μm、軸比14)100gを水
1l中に分散させた後、攪拌下に1mol/lのCoS
4 水溶液21.4ml、1mol/lの珪酸ソーダ1
6.2ml、1mol/lのMnSO4 水溶液45.6
ml、および1mol/lのZnSO4 水溶液9.7m
lをそれぞれ加え、温度を50℃に昇温した。次いで、
水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加して、pHを8.
0に保ちながら、2時間攪拌し、濾過、水洗、乾燥を行
いCo被着針状ゲーサイトを得た。
【0055】次いで、600℃の温度で2時間加熱脱水
を行い、水素ガス中350℃で2時間還元処理を行っ
て、Coを含有する針状マグネタイトとした後、N2
流中500℃で2時間熱処理を行った後、安定化のため
酸素を含有する窒素雰囲気中150℃で30分間表面酸
化処理を行い、目的のCo固溶型の酸化鉄磁性粉末を得
た。
【0056】このようにして得られたCo固溶型酸化鉄
磁性粉末を用い、下記の要領で磁気テープサンプルを作
製した。
【0057】 磁性層形成のための磁性塗料組成物 Co固溶型酸化鉄磁性粉末(保磁力:Hc=658Oe) …100重量部 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 (日信化学工業製、MPR−ANO) … 12重量部 ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業製、N−2304) … 8重量部 α−Al23 (住友化学工業(株)製,HIT50, 平均粒径0.20μm)… 3重量部 カーボンブラック(三菱化学製、MA−8B) … 3重量部 ステアリン酸 … 2重量部 ステアリン酸ブチル … 1重量部 メチルエチルケトン …100重量部 トルエン … 60重量部 シクロヘキサノン … 40重量部 この組成物をサンドグラインダーミルで3時間分散した
後、ポリイソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン工業
(株)製,コロネートL)4重量部を添加して得られた
塗料をフィルターで循環濾過し、厚さ15μmのポリエ
ステルフィルム上に磁場配向を加えながら塗布した。そ
の後、表面加工処理(カレンダリング)を行い、24時
間の硬化をさせた後、1/2インチ幅に切断し、ビデオ
テープサンプル(実施例1サンプル)を作製した。
【0058】(実施例2)上記実施例1において、Co
固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したMn
SO4 水溶液の使用量を57.0mlに変更した。それ
以外は、上記実施例1と同様にしてCo固溶型酸化鉄磁
性粉末およびこれを用いたビデオテープサンプル(実施
例2サンプル)を作製した。
【0059】(実施例3)上記実施例1において、Co
固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したMn
SO4 水溶液の使用量を34.2mlに変更した。それ
以外は、上記実施例1と同様にしてCo固溶型酸化鉄磁
性粉末およびこれを用いたビデオテープサンプル(実施
例3サンプル)を作製した。
【0060】(実施例4)上記実施例1において、Co
固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したMn
SO4 水溶液の使用量を45.6mlに、ZnSO4
溶液の使用量を4.9mlに、それぞれ変更した。それ
以外は、上記実施例1と同様にしてCo固溶型酸化鉄磁
性粉末およびこれを用いたビデオテープサンプル(実施
例4サンプル)を作製した。
【0061】(実施例5)上記実施例1において、Co
固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したMn
SO4 水溶液の使用量を45.6mlに、ZnSO4
溶液の使用量を19.4mlに、それぞれ変更した。そ
れ以外は、上記実施例1と同様にしてCo固溶型酸化鉄
磁性粉末およびこれを用いたビデオテープサンプル(実
施例5サンプル)を作製した。
【0062】(実施例6)上記実施例1において、Co
固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したMn
SO4 水溶液の使用量を22.8mlに、ZnSO4
溶液の使用量を19.4mlに、それぞれ変更した。そ
れ以外は、上記実施例1と同様にしてCo固溶型酸化鉄
磁性粉末およびこれを用いたビデオテープサンプル(実
施例6サンプル)を作製した。
【0063】(実施例7)上記実施例1において、Co
固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したMn
SO4 水溶液の使用量を34.2mlに、ZnSO4
溶液の使用量を29.1mlに、それぞれ変更した。そ
れ以外は、上記実施例1と同様にしてCo固溶型酸化鉄
磁性粉末およびこれを用いたビデオテープサンプル(実
施例7サンプル)を作製した。
【0064】(実施例8)上記実施例1において、Co
固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したMn
SO4 水溶液の使用量を34.2mlに、ZnSO4
溶液の使用量を19.4mlに、それぞれ変更した。そ
れ以外は、上記実施例1と同様にしてCo固溶型酸化鉄
磁性粉末およびこれを用いたビデオテープサンプル(実
施例8サンプル)を作製した。
【0065】(実施例9)上記実施例1において、Co
固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したMn
SO4 水溶液の使用量を28.5mlに、ZnSO4
溶液の使用量を29.1mlに、それぞれ変更した。そ
れ以外は、上記実施例1と同様にしてCo固溶型酸化鉄
磁性粉末およびこれを用いたビデオテープサンプル(実
施例9サンプル)を作製した。
【0066】(実施例10)上記実施例1において、C
o固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したM
nSO4 水溶液の使用量を39.9mlに、ZnSO4
水溶液の使用量を14.6mlに、それぞれ変更した。
それ以外は、上記実施例1と同様にしてCo固溶型酸化
鉄磁性粉末およびこれを用いたビデオテープサンプル
(実施例10サンプル)を作製した。
【0067】(比較例1)上記実施例1におけるCo固
溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において、MnSO4
溶液およびZnSO4 水溶液のいずれも使用しなかっ
た。それ以外は、上記実施例1と同様にしてCo固溶型
酸化鉄磁性粉末およびこれを用いたビデオテープサンプ
ル(比較例1サンプル)を作製した。
【0068】(比較例2)上記実施例1において、Co
固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したMn
SO4 水溶液の使用量を22.8mlに変更した。それ
以外は、上記実施例1と同様にしてCo固溶型酸化鉄磁
性粉末およびこれを用いたビデオテープサンプル(比較
例2サンプル)を作製した。
【0069】(比較例3)上記実施例1において、Co
固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したMn
SO4 水溶液の使用量を11.4mlに、ZnSO4
溶液の使用量を29.1mlに、それぞれ変更した。そ
れ以外は、上記実施例1と同様にしてCo固溶型酸化鉄
磁性粉末およびこれを用いたビデオテープサンプル(比
較例3サンプル)を作製した。
【0070】(比較例4)上記実施例1において、Co
固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したMn
SO4 水溶液の使用量を11.4mlに、ZnSO4
溶液の使用量を48.5mlに、それぞれ変更した。そ
れ以外は、上記実施例1と同様にしてCo固溶型酸化鉄
磁性粉末およびこれを用いたビデオテープサンプル(比
較例4サンプル)を作製した。
【0071】(比較例5)上記実施例1において、Co
固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したMn
SO4 水溶液の使用量を79.8mlに変更し、ZnS
4 水溶液は使用しなかった。それ以外は、上記実施例
1と同様にしてCo固溶型酸化鉄磁性粉末およびこれを
用いたビデオテープサンプル(比較例5サンプル)を作
製した。
【0072】(比較例6)上記実施例1において、Co
固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したMn
SO4 水溶液の使用量を68.4mlに、ZnSO4
溶液の使用量を19.4mlに、それぞれ変更した。そ
れ以外は、上記実施例1と同様にしてCo固溶型酸化鉄
磁性粉末およびこれを用いたビデオテープサンプル(比
較例6サンプル)を作製した。
【0073】(比較例7)上記実施例1において、Co
固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したMn
SO4 水溶液の使用量を45.2mlに、ZnSO4
溶液の使用量を29.1mlに、それぞれ変更した。そ
れ以外は、上記実施例1と同様にしてCo固溶型酸化鉄
磁性粉末およびこれを用いたビデオテープサンプル(比
較例7サンプル)を作製した。
【0074】(比較例8)上記実施例1において、Co
固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したMn
SO4 水溶液の使用量を57.0mlに変更し、ZnS
4 水溶液は使用しなかった。それ以外は、上記実施例
1と同様にしてCo固溶型酸化鉄磁性粉末およびこれを
用いたビデオテープサンプル(比較例8サンプル)を作
製した。
【0075】このように作製した実施例1サンプル〜実
施例10サンプル、および比較例1サンプル〜比較例8
サンプルについて、下記の要領で磁性粉末および磁気テ
ープの特性を調べた。
【0076】(1)磁性粉末の特性Fe2+/Fe3+ 酸化鉄磁性粉末を、HClで完全に溶解し、発色剤とし
て、O−フェナントロリンを用いて、Fe2+・O−フェ
ナントロリン錯体の512nmの吸光度を分光光度計
(シマズ製作所社製,150−20型)で測定した。ま
ず、最初に、Fe2+を発色させ、Fe2+量を測定し、次
に、アルコルビン酸と混合することにより、Fe3+→F
2+として発色させ、Fe3+量を測定し、これらの値よ
り、Fe2+/Fe3+を算出した。
【0077】保磁力Hc(Oe)およびσs(emu) サンプルをアクリルの容器に詰め、磁性粉の重量を測定
した。測定は、東映工業(株)社製振動試料型磁力計
(VSM3−TEAS UNIT V型)を用いた。振
動棒のもつ磁性の補正をした後、X,Y方向の補正を行
った。GaussMeterのレンジを5kOe、拡大
レンジを1kOe、測定サンプルに適したEMUレンジ
を選択し、測定サンプルをホルダにセットして、振動棒
を加振後、通常スイープ速度10sec/Full s
call、拡大スイープ速度5min/Full sc
allの条件で測定した。
【0078】加熱減磁 測定サンプルをVSM(東英工業社製)にセットし、5
kOeの磁場を印加し、飽和させて、飽和磁束密度Bm
1 を測定した。このサンプルを100℃で30分間保持
した後、飽和磁束密度Bm2 を測定した。加熱減磁は下
記式で示されるようにその変化率として表示される。変
化率が少ないほど良い。
【0079】 加熱減磁(%)=(Bm2 −Bm1 )/Bm1 ×100 (2)磁気テープの特性温度特性 作製した磁気テープの長手方向における、室温(20
℃)での保磁力をHc20とし、80℃での保磁力をHc
80とした時、温度特性は、下記式のように保磁力の変化
率として表示される。変化率が少ないほど良い。
【0080】 温度特性(Oe/℃)=(Hc80−Hc20)/(60)保存消去(dB) バルクイレーザーにて標準テープおよび測定対象テープ
を消磁する。テープをVTRにセットし規定周波数(1
KHz)信号を標準入力レベルより1dB高いレベルで
テープに記録させる。このテープを50℃−80%の保
存環境下に3週間放置し、取り出してからさらに12h
r以上放置する。
【0081】まず、標準テープを再生し可変電源で消去
電流値を変化させ、音声出力をB&Kのバンドパスフィ
ルターを通して、B&Kレコーダーに書かせながら規定
消去レベル(60dB)の得られる標準消去電流を求め
る。標準消去電流より規定量(20%)高い消去電流に
て測定テープを測定し、消去レベルを求める。
【0082】RF出力(dB) ビデオ入力端子にTV信号発生器により同期信号を入力
する。4MHzの単一信号を発信機より供給し、標準記
録電流にてテープに記録する。テープを再生し、RF出
力を電圧計をスペクトラムアナライザーにて測定し、標
準テープの出力を比較しdB表示する。
【0083】スチル 市販のVTRデッキ(BR−2100、松下電器社製)
にテープをローディングし、一次停止した状態を続け、
RF出力が−16dBになるまでの時間(min)を測
定した。
【0084】これらの結果を下記表1に示した。なお、
上記の評価項目のうち、加熱減磁については0〜−10
%、温度特性については0〜−3(Oe/℃)、保存消
去については−60(dB)以下、RF出力については
0〜−0.7(dB)のものが良好なレベル範囲であ
る。また、スチルについては、100分以上、120分
以上がより好ましい。
【0085】
【表1】 次いで、上記の実施例で用いた酸化鉄磁性粉末のCoの
含有率を変え、オーディオ用の酸化鉄磁性粉末とした。
このものを用いた具体的実施例を、以下に示す。
【0086】(実施例11)上記実施例1において、C
o固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したC
oSO4 水溶液の量を6.4mlに変更し、また、安定
化のため酸素を含有する窒素雰囲気中150℃で1時間
表面処理を行った。それ以外は、上記実施例1と同様に
してCo固溶型酸化鉄磁性粉末を作製した。このように
して得られたCo固溶型酸化鉄磁性粉末を用い、下記の
要領でオーディオ用テープサンプル(実施例11サンプ
ル)を作製した。
【0087】 磁性層形成のための磁性塗料組成物 Co固溶型酸化鉄磁性粉末 …100重量部 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 (日信化学工業製、MPR−ANO) … 12重量部 ポリウレタン樹脂(東洋紡社製、UR−2300) … 8重量部 α−Al23 (住友化学工業(株)製,AKP−20, 平均粒径0.30μm)… 1重量部 ステアリン酸 … 2重量部 メチルエチルケトン …100重量部 トルエン …100重量部 この組成物をサンドグラインダーミルで3時間分散した
後、ポリイソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン工業
(株)製,コロネートL)4重量部を添加して得られた
塗料をフィルターで循環濾過し、厚さ12μmのポリエ
ステルフィルム上に磁場配向を加えながら塗布した。そ
の後、表面加工処理(カレンダリング)を行い、24時
間の硬化をさせた後、3.8mm幅に切断し、オーディ
オ用テープサンプル(実施例11サンプル)を作製し
た。
【0088】(比較例9)上記実施例1において、Co
固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したCo
SO4 水溶液の量を6.4mlに変更した。さらに、M
nSO4 水溶液およびZnSO4 水溶液のいずれも使用
しなかった。また、安定化のため酸素を含有する窒素雰
囲気中150℃で1時間表面処理を行った。それ以外
は、上記実施例1と同様にしてCo固溶型酸化鉄磁性粉
末を作製した。このようにして得られたCo固溶型酸化
鉄磁性粉末を用い、上記実施例11のテープサンプル作
製の要領でオーディオ用テープサンプル(比較例9サン
プル)を作製した。
【0089】(比較例10)上記実施例1において、C
o固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したC
oSO4 水溶液の量を6.4mlに変更した。さらに、
MnSO4 水溶液の量を22.8mlに、ZnSO4
溶液の量を9.7mlにそれぞれ変更した。また、安定
化のため酸素を含有する窒素雰囲気中150℃で1時間
表面処理を行った。それ以外は、上記実施例1と同様に
してCo固溶型酸化鉄磁性粉末を作製した。このように
して得られたCo固溶型酸化鉄磁性粉末を用い、上記実
施例11のテープサンプル作製の要領でオーディオ用テ
ープサンプル(比較例10サンプル)を作製した。
【0090】(比較例11)上記実施例1において、C
o固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したC
oSO4 水溶液の量を6.4mlに変更した。さらに、
MnSO4 水溶液の量を34.2mlとし、この一方で
ZnSO4 水溶液は添加しなかった。また、安定化のた
め酸素を含有する窒素雰囲気中150℃で1時間表面処
理を行った。それ以外は、上記実施例1と同様にしてC
o固溶型酸化鉄磁性粉末を作製した。このようにして得
られたCo固溶型酸化鉄磁性粉末を用い、上記実施例1
1のテープサンプル作製の要領でオーディオ用テープサ
ンプル(比較例11サンプル)を作製した。
【0091】このように作製したオーディオ用の実施例
11サンプル、ならびに比較例9サンプル〜比較例11
サンプルについて、磁性粉末および磁気テープの特性を
調べた。
【0092】結果を下記表2に示した。なお、表2中に
記載されている測定項目の内、上記表1中の評価項目と
同じ測定項目は、同じ測定方法による。表2中の『S−
3.15k』および『粉落ち』の評価項目は以下のよう
に評価した。
【0093】S−3.15k 記録再生デッキ:TC−K555ESG(3Head)SO
NY社製を用い、入力レベルを−20dBとし、記録周
波数3.15KHz(信号)を記録再生し、出力レベル
を求めた。比較例9の値を0dBとして標準値とした。
【0094】粉落ち 供試テープを64倍速の高速録音機を使用して録音する
際、1リール(約3000m)の走行毎に塗膜の脱落の
状況を5段階で目視にて評価した。そして、10リール
評価の平均値を試供テープの粉落ち評価とした。平均の
評価値4以上が合格レベルである。
【0095】
【表2】 次いで、上記の実施例で用いた酸化鉄磁性粉末のCoの
含有率を変え、S−VHS用の酸化鉄磁性粉末とした。
以下に、このものを用いた具体的実施例を示す。
【0096】(実施例12)上記実施例1において、C
o固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したC
oSO4 水溶液の量を35.0mlに変更し、また、安
定化のため酸素を含有する窒素雰囲気中150℃で40
分間表面酸化処理を行った。それ以外は、上記実施例1
と同様にしてCo固溶型酸化鉄磁性粉末を作製した。こ
のようにして得られたCo固溶型酸化鉄磁性粉末を用
い、下記の要領でS−VHS用テープサンプル(実施例
12サンプル)を作製した。
【0097】 磁性層形成のための磁性塗料組成物 Co固溶型酸化鉄磁性粉末 …100重量部 塩ビ系共重合体(日本ゼオン製、MR−110) … 10重量部 ポリウレタン樹脂(東洋紡製、UR−8200) … 10重量部 α−Al23 (住友化学工業(株)製,HIT50, 平均粒径0.20μm)… 8重量部 ステアリン酸 … 2重量部 ステアリン酸ブチル … 1重量部 メチルエチルケトン …120重量部 トルエン … 60重量部 シクロヘキサノン … 60重量部 この組成物をサンドグラインダーミルで3時間分散した
後、ポリイソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン工業
(株)製,コロネートL)4重量部を添加して得られた
塗料をフィルターで循環濾過し、厚さ15μmのポリエ
ステルフィルム上に磁場配向を加えながら塗布した。そ
の後、表面加工処理(カレンダリング)を行い、24時
間の硬化をさせた後、1/2インチ幅に切断し、S−V
HS用テープサンプル(実施例12サンプル)を作製し
た。
【0098】(比較例12)上記実施例1において、C
o固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したC
oSO4 水溶液の量を35.0mlに変更した。さら
に、MnSO4 水溶液およびZnSO4 水溶液のいずれ
も使用しなかった。また、安定化のため酸素を含有する
窒素雰囲気中150℃で40分間表面酸化処理を行っ
た。それ以外は、上記実施例1と同様にしてCo固溶型
酸化鉄磁性粉末を作製した。このようにして得られたC
o固溶型酸化鉄磁性粉末を用い、上記実施例12のテー
プサンプル作製の要領でS−VHS用テープサンプル
(比較例12サンプル)を作製した。
【0099】(比較例13)上記実施例1において、C
o固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したC
oSO4 水溶液の量を35.0mlに変更した。また、
MnSO4 水溶液の量を22.8mlに、ZnSO4
溶液の量を9.7mlにそれぞれ変更した。また、安定
化のため酸素を含有する窒素雰囲気中150℃で40分
間表面酸化処理を行った。それ以外は、上記実施例1と
同様にしてCo固溶型酸化鉄磁性粉末を作製した。この
ようにして得られたCo固溶型酸化鉄磁性粉末を用い、
上記実施例12のテープサンプル作製の要領でS−VH
S用テープサンプル(比較例13サンプル)を作製し
た。
【0100】(比較例14)上記実施例1において、C
o固溶型酸化鉄磁性粉末を作る過程において使用したC
oSO4 水溶液の量を35.0mlに変更した。さら
に、MnSO4 水溶液の量を34.2mlとし、この一
方でZnSO4 水溶液は添加しなかった。また、安定化
のため酸素を含有する窒素雰囲気中150℃で40分間
表面酸化処理を行った。それ以外は、上記実施例1と同
様にしてCo固溶型酸化鉄磁性粉末を作製した。このよ
うにして得られたCo固溶型酸化鉄磁性粉末を用い、上
記実施例12のテープサンプル作製の要領でオーディオ
用テープサンプル(比較例14サンプル)を作製した。
【0101】このように作製したS−VHS用の実施例
12サンプル、ならびに比較例12サンプル〜比較例1
4サンプルについて、磁性粉末および磁気テープの特性
を調べた。
【0102】結果を下記表3に示した。なお、表3中に
記載されている測定項目の内、上記表1中の評価項目と
同じ測定項目は、同じ測定方法による。
【0103】
【表3】
【0104】
【発明の効果】上記の結果より本発明の効果は明らかで
ある。すなわち、本発明は、固溶型磁性酸化鉄に含有す
べく添加物、特に、MnとZnの含有率を所定範囲に規
定しているので、従来のCo固溶型磁性酸化鉄で生じて
いた加熱減磁、温度特性および消去特性の問題が改善で
きる。その結果、この性能が上がった固溶型磁性酸化鉄
は、Co被着型の粉末磁性粉に代替え可能となるので、
磁性粉末の製造コストを低減することにもつながる。さ
らには、本願の固溶型磁性酸化鉄を用いた磁気記録媒体
は、温度特性、保存消去等の磁気的信頼性が向上し、C
o被着型の粉末磁性粉を用いた場合と同等以上の特性が
得られるという効果を奏する。さらには、磁性層にした
時の塗膜物性(例えば、スチル特性や粉落ち)に対して
も優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の断面の積層構造を示す
図である。
【符号の説明】
1…磁気記録媒体 2…非磁性支持体 3…磁性層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe2+/Fe3+が0.3以下のCo固溶
    型の酸化鉄磁性粉末であって、該酸化鉄磁性粉末は、M
    nおよびZnを固溶させた状態で含有しており、 Feに対するMnおよびZnの重量含有割合が、下記式
    (1)〜(3)の関係を満たすことを特徴とする酸化鉄
    磁性粉末。 4.0wt%≦Mn+Zn≦6.0wt% …式(1) 2.0wt%≦Mn …式(2) 0.5wt%≦Zn …式(3)
  2. 【請求項2】 Feに対するCoの重量含有割合が、
    0.5〜4.0wt%である請求項1記載の酸化鉄磁性
    粉末。
  3. 【請求項3】 非磁性支持体の上に、酸化鉄磁性粉末と
    結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体において、 前記磁性層に含有される酸化鉄磁性粉末は、 Fe2+
    Fe3+が0.3以下のCo固溶型の酸化鉄磁性粉末であ
    って、該酸化鉄磁性粉末は、MnおよびZnを固溶させ
    た状態で含有しており、 Feに対するMnおよびZnの重量含有割合が、下記式
    (1)〜(3)の関係を満たすことを特徴とする磁気記
    録媒体。 4.0wt%≦Mn+Zn≦6.0wt% …式(1) 2.0wt%≦Mn …式(2) 0.5wt%≦Zn …式(3)
  4. 【請求項4】 Feに対するCoの重量含有割合が、
    0.5〜4.0wt%である請求項3記載の磁気記録媒
    体。
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