JPH0966341A - ロストワックス用模型の造型方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数のワックス製の分割模型を組立ててなる
ロストワックス用模型の造型において、寸法精度に優れ
且つ分割模型同士の接合部にはみ出しのないワックス模
型を成形すること。 【構成】 ロストワックス用模型の造型方法であって、
鋳造製品の形状の一部分をそれぞれ構成する複数のワッ
クス製の分割模型と、前記鋳造製品の形状のうち、前記
分割模型が構成する部分を除く部分に対応する内面形状
を有する金型を、前記分割模型の一部の表面と、前記金
型の内面形状とでキャビティを構成するごとく組合わ
せ、そのキャビティにワックスを注入して、前記ワック
ス製の分割模型相互を連結することを特徴とするロスト
ワックス用模型の造型方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は鋳造方法の一種であ
るロストワックス法において用いられるワックス製の模
型の造型方法に属する。

【０００２】

【従来の技術】ロストワックス法は精密鋳造法の一種で
あり、この方法は優れた寸法精度、良好な鋳肌を提供
し、且つ複雑な形状や薄肉の製品の成形も可能である等
優れた特徴を有するものであり、その一般的な製造手順
は以下の通りである。先ず、鋳造する製品と同形状の模
型を、金型内にワックスを圧入凝固させることにより成
形し、その模型をやはりワックスで成形した湯道材に１
個または複数個接合する。そしてその模型の集合体に耐
火物から成る液状スラリーを用いてディッピングを施
し、ディップしたスラリーが乾燥する前に粒状耐火物を
用いてサンディングを施す。このディッピングとサンデ
ィングを交互に複数回行い、複数層の耐火物層を形成す
る。そしてこの耐火物層を充分に乾燥させた後、オート
クレーブ等を用いてワックス部分を溶融除去すると、残
った耐火物層は鋳型を形成することになる。この鋳型を
焼成して硬化させた後、ワックスを除去した空洞（キャ
ビティ）部分に溶融金属を注入する。溶湯が凝固したら
振動を与える等の方法で鋳型を除去し、湯道部分から製
品部分を切り出して鋳造製品とする。該製品は必要に応
じて熱処理、表面処理等を施す。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ロストワックス法にお
いては、先に述べたように製品と同形状のワックス模型
を成形するのであるが、製品の形状によっては金型の型
抜きの関係上ワックス模型を成形できない場合がある。
そのような場合は金型内に中子を設置することになり、
その中子には水溶性の材料やセラミックが用いられる。
しかし、水溶性中子はワックス模型成形後に水等に浸漬
し溶融除去するのであるが、中子材が再利用できないと
いう欠点が有るし、セラミック中子は極めて高価であ
る。そこで、ワックス模型を複数に分割して個々に成形
し、成形後に各々の模型の分割面に接着剤を塗布する等
により接合し、製品全体の形状を組立成形する方法が行
われている。

【０００４】しかしこの方法においても、接合部に介在
する接着剤等の厚み誤差のために組立品の寸法精度が低
下したり、接合部からはみ出した接着剤等が最終製品に
余計な突出部等となって現れる等、寸法精度に優れ且つ
良好な成形面が得られるといったロストワックス法の特
徴を損なう欠点が有る。そこで特開昭６２−６４４５０
号は、接合すべき分割模型の接合面の少なくとも一方に
凹所を形成し、且つ一方の分割模型に上記凹所に通じる
通路を形成しておくと共に、これらの分割模型の接合面
を対接させて加圧保持し、この状態で上記通路から凹所
に接着剤を加圧注入して両分割模型を接合するロストワ
ックス用模型の接合方法を提案している。しかしながら
この方法は２分割された模型を接合するには有効である
が、模型を３分割又はそれ以上に分割して接合部が直列
状に連結されるような形状の場合、接合面毎の僅かな寸
法誤差が累積して、製品全体としては大きな寸法誤差が
生じる可能性が有る。また、タービン部品等には、ブレ
ードまたはベーンのように同一形状の多数部分から成る
製品が有る。これらの製品では、この同一形状の部分に
対応する一組の金型を製作して、これで同一形状のワッ
クス模型を多数製造し、これらを一体に組立てることで
金型費を節約できる。しかし、この場合も接合部が直列
状となることが多く、接合面毎の僅かな寸法誤差が累積
されるという組立誤差が生じる。

【０００５】本発明は上記のような型抜きの関係上一組
の金型では造型できない形状の模型等、接合部が直列状
となり各組立誤差が累積されるような問題を克服し、優
れた寸法精度及び良好な成形面を有するロストワックス
用模型の造型方法を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のワックス模型の
造型方法は、ベース部分と該ベース部分から突出した多
数の同一形状の歯状部分からなる模型に好適である。す
なわち、予め歯状部分のワックス模型（本発明でいう分
割模型）を多数製造しておき、これをベース部分に相当
する形状の内面を有する金型に設けた窓状開口部にはめ
込んで、ワックス模型の一部の表面と金型の内面とでキ
ャビティを形成させ、該キャビティにワックスを注入す
ることによりワックス模型を相互に連結させるのであ
る。これにより接合を繰返すことによる組立誤差の累積
は生ずることがなく、また分割模型は金型にはめ込まれ
るから相互位置精度を高精度とすることができる。ま
た、窓状開口部と分割模型の隙間や接触幅を適当に選択
することにより、ワックスの漏れ出しを防止し、且つ分
割模型の角度精度を向上することができる。すなわち具
体的には本発明は、ロストワックス用模型の造型方法で
あって、鋳造製品の形状の一部分をそれぞれ構成する複
数のワックス製の分割模型と、前記鋳造製品の形状のう
ち、前記分割模型が構成する部分を除く他の部分に対応
する内面形状を有する金型を、前記分割模型の一部の表
面と前記金型の内面形状とでキャビティを構成するごと
く組合わせ、そのキャビティにワックスを注入して、前
記ワックス製の分割模型相互を連結することを特徴とす
るロストワックス用模型の造型方法である。本発明にお
いて、分割模型は金型に設けた凹部に挿入される一部分
を有するものとすることや、分割模型は同一形状のもの
を含むものとすることが望ましい。

【０００７】本発明の造型方法においては、前述のよう
に例えばベース部を該ベース部分から突出した多数の同
一形状の歯状部分からなる模型を造型する場合、予め歯
状部分の分割模型を多数製造しておき、これをベース部
分に相当する形状の内面を有する金型に設けた窓状開口
部にはめ込んで、前記分割模型の一部の表面と金型の内
面とでキャビティを形成させ、該キャビティにワックス
を注入することにより相互のワックス模型を一度に接合
させるのであるから、時系列的に順次接合させる場合の
ような累積誤差は発生しない。なお、本発明において、
金型とは必ずしも金属製のものを意味せず、ワックス模
型を形成するための型を意味する。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明方法の実施例につい
て説明する。図２はこの実施例で製作されたワックス模
型１の平面図であり、図３はそのＡ−Ａで切断したとき
の切り口を示す図である。このワックス模型１による製
品は発電機等に使用されるガスタービン部品のタービン
ノズルとして使用されるものである。このワックス模型
１は外周の第２次成形部２、内周の第２次成形部３およ
びそれらにより連結保持された数十個の同一形状のブレ
ード部の各分割模型４で構成されている。また、図１は
該ワックス模型１を最終的に製造するための金型の半断
面図であり、該金型は上型５、下型６および置中子型
７、８で構成されており、上型５を上下動させることに
よって金型を開閉する。ワックス模型１の製作手順は以
下の通りである。

【０００９】先ず、鋳造品のブレード部の形状を構成す
るワックス製分割模型４を、図示しない金型に溶融ワッ
クスを射出することによって製品が必要とする数だけ造
型準備する。そして造型したブレード部分割模型４を、
図１に示す金型の上型５を除去した状態で、置中子８上
に必要個数設置する。その時、ブレード部分割模型４に
形成した凸部４ａおよび４ｂを置中子８に形成した凹部
にはめ込むことによってブレード部分割模型４を所定位
置に位置決めすることができる。ブレード部分割模型４
を全数置中子８上に設置した後、置中子８、上型５間に
設けられた図示しない位置決めピンに沿って上型５を降
下させ型締めを行なう。この時、ブレード部分割模型４
に設けた凸部４ｃおよび４ｄは上型５に設けた凹部には
まり込み、ブレード部分割模型４は金型に完全に固定さ
れることにより正規位置に、かつ、その後のワックス射
出工程における射出圧力等でずれるようなこともなくな
る。この時、多数の分割模型４はその両端部を置中子８
と上型５とが形成する全円周にわたる内周、外周の窓状
開口部にはめ入れた如き状態となっている。なお、置中
子８、上型５およびブレード部分割模型は金型と模型の
当接面に少なくとも溶融ワックスが進入する隙間ができ
ないように製作しておく。

【００１０】然して金型内には、外周の第２次成形部２
を構成するキャビティ２’および内周の第２次成形部３
を構成するキャビティ３’が形成されることになる。こ
のキャビティは鋳造製品の形状の一部分をそれぞれ構成
する複数のワックス製の分割模型４の表面と、鋳造製品
の形状のうち分割模型４が構成する部分を除く部分に対
応する内面形状を有する金型である上型５、置中子７、
８、下型６とで構成されている。型締めが完了したら、
注入口９から溶融ワックスを圧入し、圧入されたワック
スは通路１０、外周部キャビティ２’および１１を通っ
て内周部キャビティ３’に進入するが、上記の通り金型
とブレード部分割模型４の接合面には溶融ワックスの進
入する隙間は無いため、キャビティ部４’にワックスが
進入することはなく、ブレード部の形状は維持されたま
ま外周の第２次成形部２および内周の第２次成形部３の
部分が形成される。またこの時、ブレード部模型４に設
けた凸部４ｅおよび４ｆを溶融ワックスが被覆すること
によって、各ブレード部分割模型４は内外周の第２次成
形部２、３から外れることはなくなり、且つ、隣接する
各分割模型４同士は一度に接合され、然してワックス模
型１が完成する。ワックスが凝固したら、静かに上型５
を上昇させた後、ワックス模型１、通路部１０、１１内
で凝固したワックスおよび置中子７、８を同時に下型６
から外してから、通路部ワックスと置中子７、８をワッ
クス模型１から取り去る。なお、図３において左上りハ
ッチングを施した部分は、このとき凝固した部分を示
す。なお、鋳造後の完成製品において、凸部４ａ、４
ｂ、４ｃおよび４ｄが製品機能に支障をもたらす場合
は、ワックス模型１を成形した後、又は鋳造して鋳型を
除去した後に各凸部を切削除去すれば良い。

【００１１】以上の手順でワックス模型１を製作するの
であるが、この方法を適用すると、高価で鋳造後の鋳型
の崩壊性の悪いセラミック中子や、溶融除去が必要で再
生のできない水溶性中子を使用する必要もなく、金型内
でブレード部分割模型４がしっかり位置決めされている
ところで外周の第２次成形部２および内周の第２次成形
部３を射出成形するのであるから、隣接する各分割模型
同士を一度に接合でき、円周方向および径方向に寸法誤
差が生じることはなく、しかも接着剤やワックスのはみ
出しによる余計な突出部が生じる心配もない。よって、
このワックス模型１を用いてロストワックス法による鋳
造を行なうことによって、良好な成形面を有し、且つ寸
法精度に優れた製品が得られることになる。

【００１２】

【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、複数
のワックス製分割模型は、予め規定位置に配列された
後、その各接合部分が圧入されたワックスにより同時に
接合されるから、時系列的に順次接合される等接合部が
直列状になる場合のような接合誤差の累積がない。これ
により、寸法精度に優れ且つ良好な形状のワックス模型
が得られ、高品質の鋳造製品が得られることになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】金型の半断面図である。

【図２】ワックス模型１の平面図である。

【図３】図２におけるＡ−Ａ切口図である。

【符号の説明】 １ ワックス模型（全体） ２ 外周の第２次成形部 ２’ 外周部キャビティ ３ 内周の第２次成形部 ３’ 内周部キャビティ ４ ブレード部分割模型 ４’ ブレード部模型設置用キャビティ ４ａ、４ｂ、４ｃ、４ｄ ブレード部模型位置決め用凸
部 ４ｅ、４ｆ ブレード部分割模型と第２次成形部を固定
する凸部 ５ 上型 ６ 下型 ７、８ 置中子型 ９ ワックス注入口 １０、１１ ワックス通路

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ロストワックス用模型の造型方法であっ
   て、鋳造製品の形状の一部分をそれぞれ構成する複数の
   ワックス製の分割模型と、前記鋳造製品の形状のうち、
   前記分割模型が構成する部分を除く他の部分に対応する
   内面形状を有する金型を、前記分割模型の一部の表面と
   前記金型の内面形状とでキャビティを構成するごとく組
   み合わせ、そのキャビティにワックスを注入して、前記
   ワックス製の分割模型相互を連結することを特徴とする
   ロストワックス用模型の造型方法。
2. 【請求項２】 分割模型は金型に設けた凹部に挿入され
   る部分を有するものである請求項１のロストワックス用
   模型の造型方法。
3. 【請求項３】 分割模型は同一形状のものを含む請求項
   １または２のロストワックス用模型の造型方法。