JPH0966074A - 移送機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 移送機の幅員を小さくする。 【解決手段】 機枠１上に上下二段の先行移送板２を往
復移動可能に設け、これに上下二段の後行移送板３を互
い違いに組み合わせる。先行移送板及び後行移送板が往
復移動する間それらの上段板２ａ，３ａの表面に接する
ように両上段板から機枠内に掛けて上側無端移送ベルト
を張設する。先行移送板及び後行移送板が往復移動する
間それらの下段板２ｂ，３ｂの表面に接するように下側
無端移送ベルトを両下段板の回りに張設しかつ機枠上の
送出端に連結する。これにより、移送板の幅員をそのス
トロークの略半分で済ませることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、人間、荷物等をあ
る場所から他の場所に移し換えるための移送機に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、病院等で患者を手術台、ストレッ
チャー、ベッド等の間で移し換えたりする場合、患者に
苦痛を与えることがないように、また看護人に大きな負
担を掛けることがないように、例えば特公平６−４７４
０９号に示されるような移送機が使用されている。

【０００３】この移送機は、左右に上下二本ずつ配置し
たローラに無端移送ベルトを８字形に巻回してなるもの
で、全ローラをそれらの支持フレームごと患者の方に移
動させて手術台等の上から患者を無端移送ベルト上に掬
い上げ、次に無端移送ベルトを駆動して患者を支持フレ
ーム上中央部に移動させると共に支持フレームも反対方
向に移動させ患者をベッド等の上に移動させ、しかる後
支持フレームを元の位置へと復帰させて患者をベッド等
の上に残すようにしてなるものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の移送機は、人間等を移し換える場所と場所との間隔
程度の幅員にしておく必要があるので、それだけ大型化
し、病院等の狭いスペース内での使用が困難になるとい
う問題を有する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、請求項１の発明は、機枠１上に往復移動可能に設け
られた上下二段の先行移送板２と、該先行移送板２より
も低速で往復移動する該先行移送板２に互い違いに組み
合わされた上下二段の後行移送板３と、上記先行移送板
２及び後行移送板３が往復移動する間それらの上段板２
ａ，３ａの表面に接するように両上段板２ａ，３ａから
上記機枠１内に掛けて張設された上側無端移送ベルト４
と、上記先行移送板２及び後行移送板３が往復移動する
間それらの下段板２ｂ，３ｂの表面に接するように両下
段板２ｂ，３ｂの回りに張設されかつ上記機枠１上の送
出端に連結された下側無端移送ベルト５と、上記上側無
端移送ベルト４の外周面に接するよう上記機枠１内の定
位置に取り付けられたガイド体６と、該ガイド体６の上
下において上記上側無端移送ベルト４の内周面に接する
ように上記機枠１内に配置され、上記先行移送板２又は
上記後行移送板３の移動に伴って移動して上記上側無端
移送ベルト４の繰出し又は繰込みを行う一対の遊びロー
ラ７，８と、上記先行移送板２及び後行移送板３の往行
程時に上記上側無端移送ベルト４の上走行部４ａの始端
を機枠１に対して固定する第１のブレーキ手段９と、上
記先行移送板２及び後行移送板３の復行程時に上記上側
無端移送ベルト４を上記ガイド体６に対して固定する第
２のブレーキ手段１０とを具備した移送機の構成を採用
し、請求項２の発明は、上記先行移送板２と上記後行移
送板３が夫々第１と第２の巻き掛け体１３，１４に連結
され、該第１の巻き掛け体１３が上記第２の巻き掛け体
１４に対し軸支された移動車２１に巻回され、上記一対
の遊びローラ７，８が上記第２の巻き掛け体１４に保持
体２３を介して連結された請求項１記載の移送機の構成
を採用している。

【０００６】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面
に基いて説明する。図１乃至図５に示されるように、こ
の移送機は、機枠１上に往復移動可能に設けられた上下
二段の先行移送板２と、該先行移送板２よりも低速で往
復移動する該先行移送板２に互い違いに組み合わされた
上下二段の後行移送板３と、上記先行移送板２及び後行
移送板３が往復移動する間それらの上段板２ａ，３ａの
表面に接するように両上段板２ａ，３ａから上記機枠１
内に掛けて張設された上側無端移送ベルト４と、上記先
行移送板２及び後行移送板３が往復移動する間それらの
下段板２ｂ，３ｂの表面に接するように両下段板２ｂ，
３ｂの回りに張設されかつ上記機枠１上の送出端に連結
された下側無端移送ベルト５と、上記上側無端移送ベル
ト４の外周面に接するよう上記機枠１内の定位置に取り
付けられたガイド体６と、該ガイド体６の上下において
上記上側無端移送ベルト４の内周面に接するように上記
機枠１内に配置され、上記先行移送板２又は上記後行移
送板３の移動に伴って移動して上記上側無端移送ベルト
４の繰出し又は繰込みを行う一対の遊びローラ７，８
と、上記先行移送板２及び後行移送板３の往行程時に上
記上側無端移送ベルト４の上走行部４ａの始端を機枠１
に対して固定する第１のブレーキ手段９と、上記先行移
送板２及び後行移送板３の復行程時に上記上側無端移送
ベルト４を上記ガイド体６に対して固定する第２のブレ
ーキ手段１０とを有している。

【０００７】上記機枠１は、四つのキャスター１１ａを
有した台車１１上に昇降装置（図示せず）を介して保持
されている。昇降装置は上記先行移送板２の上段板２ａ
の高さをベッド等の高さに合わせるためのもので、ベッ
ド等に昇降装置が設けられている場合は省略可能であ
る。昇降装置としては、例えばモーターでウォームギア
を駆動しリンク機構を介して機枠１を上下動させるよう
にした公知のものを使用することができる。

【０００８】上記先行移送板２の上段板２ａは例えば仰
臥状態の患者等の人体Ｍの輪郭を取り囲み得る程度の長
さ及び幅を有した長方形板であり、同じ大きさの下段板
２ｂに対しそれらの短辺側に配置された控え部材１２を
介して結合され一体化されている。

【０００９】上記後行移送板３は上記先行移送板２と同
様に構成されている。この後行移送板３の短辺側は、図
１乃至図３に示されるように、上記機枠１に固定された
水平方向に伸びる第１の溝付きレール１７にコロ１８を
介し移動可能に係合しており、その短辺方向に沿って機
枠１上において往復移動可能となっている。上記先行移
送板２はこの後行移送板３上に摺動可能に乗せられ、後
行移送板３と共に短辺方向に往復移動可能となってい
る。

【００１０】なお、上記先行移送板２及び後行移送板３
の上下段板２ａ，２ｂ，３ａ，３ｂは座屈しない程度の
強度を持った板材で作られ、人体Ｍを掬い易くするため
薄く形成されている。

【００１１】上記先行移送板２及び後行移送板３は夫々
第１と第２の巻き掛け体１３，１４により駆動されるよ
うになっている。すなわち、機枠１には移送板２，３の
短辺方向に沿うように第２の巻き掛け体１４が定置車１
５を介して無端状に張設され、その一方の水平走行部１
４ａに後行移送板３が連結部材１６を介し連結されてい
る。この第２の巻き掛け体１４は機枠１内に配置された
第１のモーター１９により駆動されるようになってい
る。また、第１の巻き掛け体１３は機枠１に移送板２，
３の短辺方向に沿うように定置車２０を介して掛け渡さ
れ、第２の巻き掛け体１４の他方の水平走行部１４ｂに
対して軸支された移動車２１と後行移送板３に対して軸
支された他の移動車２２とに巻回され、機枠１に両端が
固定されている。このため、第１のモーター１９が駆動
されると先行移送板２と後行移送板３は２：１の速比で
同じ向きに走行することとなる。上記第２の巻き掛け体
１４に対して軸支される移動車２１は、図１及び図２に
示されるように、保持体２３を介して第２の巻き掛け体
１４に軸支されており、該保持体２３は機枠１に水平に
固定された第２の溝付きレール２４の溝にコロ２５を介
して往復移動可能に嵌まり込んでいる。

【００１２】なお、第１と第２の巻き掛け体１３，１４
は具体的にはチェーンであるが、その他ワイヤ、ロー
プ、ベルト等を用いることもできる。上記上側無端移送
ベルト４は、図４に示されるように、重畳状態にある先
行移送板２の上段板２ａと後行移送板３の上段板３ａと
の双方をその内周面で包み込み、さらにガイド体６の箇
所で二手に別れて機枠１内に入り込んでおり、図５に示
されるように、先行移送板２と後行移送板３とが機枠１
外へと移動し更に先行移送板２が後行移送板３外へと移
動する時にはその機枠１内の部分が機枠１外に繰り出さ
れることにより移送板２，３と共に移動するようになっ
ている。

【００１３】上記下側無端移送ベルト５は、図４及び図
５に示されるように、上記機枠１上の送出端に連結され
機枠１から分離しないようになっている。下側無端移送
ベルト５は、先行移送板２と後行移送板３とが重畳状態
にある場合に、その内周面で先行移送板２の下段板２ｂ
を包み込みその外周面で後行移送板３の下段板３ｂを包
むように屈曲配置されている。また、後行移送板３の下
段板３ｂの後端には案内部材２６が設けられており、下
側無端移送ベルト５の内周面がこの案内部材２６に接し
ている。案内部材２６は具体的にはガイドローラである
が、ガイドバーであってもよい。図５に示されるよう
に、先行移送板２と後行移送板３とが機枠１外へと移動
し、更に先行移送板２が後行移送板３外へと移動する
と、下側無端移送ベルト５は上側無端移送ベルト４に接
触しつつ先行移送板２の下段板２ｂと共に移動すること
となる。

【００１４】上記ガイド体６は具体的にはガイドローラ
であるが、ガイドバーであってもよく、機枠１内の上記
送出端と反対側の定位置に水平に設けられている。上記
上側無端移送ベルト４はこのガイド体６にその外周面が
接触している。

【００１５】上記一対の遊びローラ７，８は、上記第２
の巻き掛け体に取り付けられた保持体２３に水平に軸支
されている。上記第１のブレーキ手段９は具体的にはカ
ム片であり、機枠１内の上記送出端と反対側の定位置に
おいて上側無端移送ベルト４の内周面に臨むように機枠
１に固定された案内板２７に対し、上側無端移送ベルト
４を押し付けたり解放したりするようになっている。図
１に示されるように、該カム片は機枠１に固定された第
２のモーター２８の出力軸にリンク機構２９を介して繋
がれており、第２のモーター２８の出力軸が所定角度だ
け回転するとカム片が上側無端移送ベルト４を案内板２
７に押し付けて固定しさらに回転すると解放するように
なっている。

【００１６】上記第２のブレーキ手段１０は具体的には
カム片であり、上記ガイド体６に対し上側無端移送ベル
ト４を押し付けたり解放したりするようになっている。
該カム片は機枠１に固定された上記第２のモーター２８
の出力軸に他のリンク機構（図示せず）を介して繋がれ
ており、第２のモーター２８の出力軸が所定角度だけ回
転すると該カム片が上側無端移送ベルト４をガイド体６
に押し付けて固定しさらに回転すると解放するようにな
っている。このカム片が上側無端移送ベルト４を固定す
る時は上記第１のブレーキ手段９のカム片は上側無端移
送ベルト４から離れ、第１のブレーキ手段９のカム片が
上側無端移送ベルト４に接触する時は第２のブレーキ手
段１０のカム片が離れるようになっている。

【００１７】次に、この移送機を使用して人体Ａを移送
する方法について説明する。図４中実線で示されるよう
なベッド３０上に仰臥した人体Ａを他のベッド等に移し
換える場合、昇降装置を操作して移送機の高さをベッド
３０の高さに合わせる。ベッド３０に昇降装置が設けら
れている場合はベッド３０側の昇降装置を操作して移送
機の高さに合わせるようにする。

【００１８】次に、第２のモーター２８を駆動し、第１
のブレーキ手段９のカム片で上側無端移送ベルト４を案
内板２７に押し付けて固定した上で第１のモーター１９
の駆動により第２の巻き掛け体１４を走行させる。これ
により、先行移送板２と後行移送板３とが２：１の速比
で機枠１上からベッド３０上へと図４中矢印Ａの方向に
往動し（往行程）、図５に示されるように移送板２，３
が略二倍の幅分になってベッド３０上に侵入する。この
移送板２，３の侵入時、上側無端移送ベルト４は第１の
ブレーキ手段９により機枠１側の案内板２７に固定され
ているので、上側無端移送ベルト４は移送板２，３の進
行に伴ない上段板２ａ，３ａ下から上段板２ａ，３ａ上
に繰り出され、また下側無端移送ベルト５は上側無端移
送ベルト４の移動する下走行部４ｂに接触することによ
って上側無端移送ベルト４と対称的な動きをする。これ
により、上側無端移送ベルト４の上段板２ａ，３ａ上の
部分は人体Ａに対して滑り速度を持たない状態で伸びて
行き、また下側無端移送ベルト５の下段板２ｂ，３ｂ下
の部分はベッド３０表面に対して滑り速度を持たない状
態で伸びて行くこととなり、移送板２，３は人体Ｍとベ
ッド３０との間に摩擦を生ずることなく円滑に入り込む
こととなる。

【００１９】図５に示されるように、移送板２，３が人
体Ｍとベッド３０との間に完全に入り込むと、第２のモ
ーター２８の駆動により第１のブレーキ手段９のカム片
が上側無端移送ベルト４から離れ、第２のブレーキ手段
１０のカム片が上側無端移送ベルト４をガイド体６に押
し付ける。次に、第１のモーター１９の逆転駆動によ
り、先行移送板２と後行移送板３とが２：１の速比でベ
ッド３０上から機枠１上へと図５中矢印Ｂの方向に復動
し、機枠１上で重なり合う（復行程）。この復動時、一
対の遊びローラ７，８がその保持体２３と共に図５中矢
印Ｃの方向に移動するので、上側無端移送ベルト４は上
段板２ａ，３ａの上下において均等に引っ張られ先行移
送板２の速度と同速で機枠１上に戻ることになる。これ
により、人体Ｍは移送板２，３上に乗ったまま機枠１上
に移されることとなる。

【００２０】次に、移送機上から他のベッド等に人体Ｍ
を移すには、第２のブレーキ手段１０により上側無端移
送ベルト４をガイド体６に固定した上で移送板２，３を
往動させる。これにより、移送板２，３は上記したと同
様にして機枠１外へと進出し、上側無端移送ベルト４は
上段板２ａ，３ａの上下において速度差を生ずることな
く上段板２ａ，３ａと共に進出し、結局人体Ｍは上段板
２ａ，３ａ上に乗ったままで他のベッド上へと移送され
ることとなる。この後、第２のブレーキ手段１０が上側
無端移送ベルト４を解放し、第１のブレーキ手段９が上
側無端移送ベルト４を機枠１側に固定し、移送板２，３
が機枠１上へ復動する。この移送板２，３の復動時、上
側無端移送ベルト４は第１のブレーキ手段９により機枠
１側の案内板２７に固定されているので、上側無端移送
ベルト４は移送板２，３の後退に伴ない上段板２ａ，３
ａ上から上段板２ａ，３ａ下へと繰り込まれ、また下側
無端移送ベルト５は上側無端移送ベルト４に接触するこ
とによって上側無端移送ベルト４と対称的な動きをす
る。これにより、上側無端移送ベルト４の上段板２ａ，
３ａ上の部分は人体Ｍに対して滑り速度を持たない状態
で後退して行き、また下側無端移送ベルト５の下段板２
ｂ，３ｂ下の部分はベッド表面に対して滑り速度を持た
ない状態で後退して行くこととなり、移送板２，３は人
体Ｍをベッド上に残して移送機上に戻ることとなる。

【００２１】なお、この実施の形態では人体Ｍをベッド
と他のベッドとの間で移送する例について述べたが、ベ
ッドとストレッチャーとの間、手術台とストレッチャー
との間等任意の場所間での移送に使用することができ
る。また、移送の対象も人体に限らず、荷物等にも適用
可能である。

【００２２】

【発明の効果】本発明によれば、移送板を伸縮動作させ
て人体等を移送するのでそのストロークに比し移送板の
幅員を大幅に小さくすることができる。従って、移送機
を小型化することができ、病室等の狭い場所での使用が
可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る移送機の主要部の部分切欠立面図
である。

【図２】図１に示される部分の右側面図である。

【図３】移送板の駆動装置の概念図である。

【図４】上記移送機の非作動状態における概念図であ
る。

【図５】上記移送機の移送板が機枠外に移動した状態を
示す概念図である。

【符号の説明】

１…機枠 ２…先行移送板 ３…後行移送板 ２ａ，３ａ…上段板 ２ｂ，３ｂ…下段板 ４…上側無端移送ベルト ４ａ…上走行部 ５…下側無端移送ベルト ６…ガイド体 ７，８…一対の遊びローラ ９…第１のブレーキ手段 １０…第２のブレーキ手段 １３…第１の巻き掛け体 １４…第２の巻き掛け体 ２１…移動車 ２３…保持体

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 機枠上に往復移動可能に設けられた上下
   二段の先行移送板と、該先行移送板よりも低速で往復移
   動する該先行移送板に互い違いに組み合わされた上下二
   段の後行移送板と、上記先行移送板及び後行移送板が往
   復移動する間それらの上段板の表面に接するように両上
   段板から上記機枠内に掛けて張設された上側無端移送ベ
   ルトと、上記先行移送板及び後行移送板が往復移動する
   間それらの下段板の表面に接するように両下段板の回り
   に張設されかつ上記機枠上の送出端に連結された下側無
   端移送ベルトと、上記上側無端移送ベルトの外周面に接
   するよう上記機枠内の定位置に取り付けられたガイド体
   と、該ガイド体の上下において上記上側無端移送ベルト
   の内周面に接するように上記機枠内に配置され、上記先
   行移送板又は上記後行移送板の移動に伴って移動して上
   記上側無端移送ベルトの繰出し又は繰込みを行う一対の
   遊びローラと、上記先行移送板及び後行移送板の往行程
   時に上記上側無端移送ベルトの上走行部の始端を機枠に
   対して固定する第１のブレーキ手段と、上記先行移送板
   及び後行移送板の復行程時に上記上側無端移送ベルトを
   上記ガイド体に対して固定する第２のブレーキ手段とを
   具備したことを特徴とする移送機。
2. 【請求項２】 上記先行移送板と上記後行移送板が夫々
   第１と第２の巻き掛け体に連結され、該第１の巻き掛け
   体が上記第２の巻き掛け体に対し軸支された移動車に巻
   回され、上記一対の遊びローラが上記第２の巻き掛け体
   に保持体を介して連結されたことを特徴とする請求項１
   記載の移送機。