JPH0964476A - 3次元量子閉じ込めを利用した半導体装置の製造方法 - Google Patents

3次元量子閉じ込めを利用した半導体装置の製造方法

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JPH0964476A
JPH0964476A JP21746695A JP21746695A JPH0964476A JP H0964476 A JPH0964476 A JP H0964476A JP 21746695 A JP21746695 A JP 21746695A JP 21746695 A JP21746695 A JP 21746695A JP H0964476 A JPH0964476 A JP H0964476A
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JP
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semiconductor
quantum box
layer
forming
quantum
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JP21746695A
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Taketeru Mukai
剛輝 向井
Nobuyuki Otsuka
信幸 大塚
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 量子箱を有する半導体装置の製造方法を提供
する。 【解決手段】 基板上に、成長温度を第1の温度として
III−V族化合物半導体からなる半導体下層を形成す
る工程と、前記半導体下層の表面上に、3次元的に量子
閉じ込めを行うIII−V族化合物半導体からなる量子
箱を形成する工程と、前記量子箱の表面を覆うように前
記基板上の全面に、成長温度を前記第1の温度よりも低
い第2の温度として、III−V族化合物半導体からな
る半導体上層を形成する工程とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置に関
し、特に、3次元的に量子閉じ込めを行う量子箱構造に
より量子力学的効果を示す半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の半導体装置は、フォトリソグラフ
ィ技術による微細加工の限界や、多くの電子が移動する
ために生じる発熱により、集積度の限界が指摘されてい
る。また、半導体レーザの特性に対する要求も厳しくな
っており、近年では大きな温度変化に対して安定動作可
能な半導体レーザが要求されている。歪量子井戸レーザ
では、この厳しい要求に応えることは困難である。
【0003】これらの要求は、理論的に、3次元的に量
子閉じ込めを行う量子箱構造により解決されるものと考
えられている。1つの量子箱の中には電子が2個(場合
によっては数個)しか入ることができない。その状態密
度は、理想的にはデルタ関数的に、ある波数ベクトルに
局在する。例えば、光半導体装置においては、そのデル
タ関数的状態密度によって高効率の光変調器の作製が可
能になる。半導体レーザについても、キャリアの温度分
布が急激に変化するため微分利得が向上して温度特性が
改善できると考えられる。
【0004】量子箱構造を実現する方法として、従来の
微細加工技術をさらに発展させた各種の方法が提案され
ている。例えば、電子線を用いたリソグラフィによる方
法、マスクパターンの開口上に積み上げたピラミッド型
の結晶の頂上付近を量子箱構造とする方法、微傾斜基板
上における成長初期の横方向成長を利用する方法、ST
M(scanning tunnnel microscopy )技術を応用した原
子マニピュレーションによる方法等である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】量子箱構造特有の量子
力学的効果を生かすためには、量子箱のサイズを原子ス
ケールまで均一化することが重要となる。しかし、従来
の微細加工技術を発展させた量子箱の形成方法では、人
為的に結晶を加工するため、加工サイズのばらつきを原
子スケールまで抑えることが困難である。
【0006】また、装置が複雑となり、多段階の加工プ
ロセスが必要であるため、工業的生産に適さない。さら
に、多段階の加工プロセスにより、不純物の混入、転
位、原子空孔等の結晶欠陥の発生等による結晶品質の低
下が避けられない。
【0007】また、量子箱の組成の制御性が十分でな
く、所望のバンドギャップを有する量子箱を形成するこ
とが困難である。本発明の目的は、量子箱を有する半導
体装置の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の一観点による
と、基板上に、成長温度を第1の温度としてIII−V
族化合物半導体からなる半導体下層を形成する工程と、
前記半導体下層の表面上に、3次元的に量子閉じ込めを
行うIII−V族化合物半導体からなる量子箱を形成す
る工程と、前記量子箱の表面を覆うように前記基板上の
全面に、成長温度を前記第1の温度よりも低い第2の温
度として、III−V族化合物半導体からなる半導体上
層を形成する工程とを含む半導体装置の製造方法が提供
される。
【0009】量子箱の表面を覆う半導体上層の成長温度
を第1の温度よりも低くすると、半導体上層の成長中に
おける量子箱中の原子の拡散を抑制できる。本発明の他
の観点によると、前記量子箱を形成する工程が、前記半
導体下層が形成された前記基板を反応容器内に載置する
工程と、前記反応容器内に、前記半導体下層の格子定数
とは異なる格子定数のIII−V族化合物半導体が成長
する条件で、III族及びV族元素原料を交互供給し、
前記量子箱を含む量子箱層を形成する工程とを含む半導
体装置の製造方法が提供される。
【0010】半導体下層の格子定数と異なる格子定数を
有するIII−V族化合物半導体が成長する条件で成膜
を行うと、半導体下層の格子定数に近い格子定数を有す
る組成の領域中に、格子定数が大きく異なり大きな歪が
局在した領域が島状に形成される。この島状の領域が量
子箱として作用する。
【0011】本発明の他の観点によると、前記量子箱を
形成する工程が、前記半導体下層が形成された前記基板
を反応容器内に載置する工程と、分子線エピタキシ法に
よって、前記半導体下層の表面上に島状に点在し、前記
量子箱となるIII−V族化合物半導体の微結晶体を形
成する工程とを含む請求項1に記載の半導体装置の製造
方法が提供される。
【0012】島状に点在する微結晶体が量子効果を有す
る程度に小さければ、この微結晶体が量子箱として作用
する。本発明の他の観点によると、III−V族化合物
半導体表面上に、3次元的に量子閉じ込めを行うIII
−V族化合物半導体からなる量子箱を形成する工程と、
前記量子箱の表面を覆うように、成長温度を575℃以
下として、III−V族化合物半導体からなる半導体上
層を形成する工程とを含む半導体装置の製造方法が提供
される。
【0013】量子箱を形成した後、その上層に形成する
半導体層の成長温度を575℃以下とすることにより、
量子箱中の原子の拡散を抑制することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】まず、図1〜図3を参照して、本
願発明者らの先の提案による半導体装置の積層構造及び
その作製方法について説明する。
【0015】図1は、実施例による方法で作製した半導
体積層構造を示す。GaAs基板1上にGaAsバッフ
ァ層2、量子箱5を有するInGaAs層3、及びGa
Asキャップ層4がこの順番にエピタキシャル成長して
いる。このように、量子箱5を有する層(以下、「量子
箱層」と呼ぶ)3が、バッファ層2とキャップ層4で挟
まれた構造とされている。
【0016】図2は、図1に示す積層構造を形成するた
めの減圧MOCVD(有機金属化学気相成長)装置の概
略を示す。ただし、結晶成長は、原料交互供給で行う。
なお、ALE(原子層エピタキシャル成長)で行っても
よい。反応容器10の下方にガス流路15が開口し、ガ
ス流路15から反応容器10内に反応ガスが導入され
る。反応容器10内に導入された反応ガスは反応容器1
0の上方に設けられたガス排気管14から外部に排気さ
れる。
【0017】反応容器10内にはサセプタ11が配置さ
れ、ガス流路15の開口部に対向する面に基板1が保持
される。反応容器10の周囲にはサセプタ11を取り囲
むように高周波コイル12が配置されており、サセプタ
11及び基板1を高周波加熱することができる。
【0018】ガス流路20からガス供給系にキャリアガ
ス及びパージガスとしてH2 ガスが供給される。ガス流
路20から分岐したH2 ガス、及びガス流路20から分
岐しTMIDMEA(トリメチルインジウムジメチルエ
チルアミンアダクト)をバブリングしたH2 ガスがそれ
ぞれマスフローコントローラMFCを通してガス流路2
1に供給される。
【0019】同様に、ガス流路20から分岐したH2
ス、及びTMG(トリメチルガリウム)をバブリングし
たH2 ガスがそれぞれマスフローコントローラMFCを
通してガス流路22に供給される。
【0020】ガス流路21、22はガス切り換えバルブ
25の入力側に接続されている。ガス切り換えバルブ2
5の出力側は、反応容器10に反応ガスを供給するため
のガス流路15及び排気用ガス流路27に接続されてい
る。ガス切り換えバルブ25でガス流路を切り換えるこ
とにより、ガス流路15にTMIDMEAを含んだH 2
ガスあるいはTMGを含んだH2 ガス、またはその両方
を供給することができる。また、両方のガスを排気用ガ
ス流路27に排気することもできる。
【0021】ガス流路20から分岐したH2 ガスがマス
フローコントローラMFCを介してガス流路23に供給
される。また、ガス流路20から分岐したH2 ガス、及
びAsH3 (アルシン)がそれぞれマスフローコントロ
ーラMFCを通してガス流路24に供給される。
【0022】ガス流路23、24はガス切り換えバルブ
26の入力側に接続されている。ガス切り換えバルブ2
6の出力側は、ガス切り換えバルブ25と同様にガス流
路15及び排気用ガス流路28に接続されている。ガス
切り換えバルブ26でガス流路を切り換えることによ
り、ガス流路15にパージ用H2 ガスあるいはAsH3
とH2 の混合ガスを供給することができる。
【0023】次に、図2に示す減圧MOCVD装置を使
用して図1に示す積層構造を形成する方法について説明
する。まず、GaAs基板1をサセプタ11に保持す
る。パージガスとしてH2 ガスを流しながら高周波コイ
ル12でサセプタ11を加熱し、基板温度を例えば61
0℃とする。なお、反応容器10内の圧力が2000P
aとなるように排気量を制御する。
【0024】基板温度が610℃となったところでTM
Gを含むH2 ガスを流量25sccm、AsH3 とH2
の混合ガスを流量100sccmの条件で供給し、厚さ
100nmのGaAsバッファ層2をMOCVDで堆積
する。このとき、TMGの温度は3.0℃に維持してお
く。
【0025】次に、基板温度を例えば460℃とし、T
MIDMEA、TMG及びAsH3を時間的に切り換え
て供給し、厚さ7nmのInGaAs量子箱層3を堆積
する。このとき、TMIDMEAの温度は19.2℃、
TMGの温度は3.0℃に維持しておく。
【0026】図3は、TMIDMEA、TMG及びAs
3 の供給のタイムチャートを示す。まず、H2 ガスを
0.5秒間流し反応容器10内をパージする。続いて、
TMIDMEAをバブリングしたH2 ガスを流量200
sccmの条件で1.0秒間、続いてTMGをバブリン
グしたH2 ガスを流量35sccmの条件で0.1秒
間、AsH3 とH2 の混合ガスを流量400sccmの
条件で10秒間供給する。上記ガス供給シーケンスを1
サイクルとしてガス供給を12サイクル繰り返す。
【0027】続いて、GaAsバッファ層2の形成と同
一の条件で厚さ100nmのGaAsキャップ層4を堆
積する。格子欠陥の発生を抑制するために、一般的にバ
ッファ層2及びキャップ層4の成長温度をなるべく高く
する。例えば、上述のように、成長温度を610℃とし
てバッファ層とキャップ層とを形成する。
【0028】上記条件で堆積したInGaAs量子箱層
3の平面TEM(透過型電子顕微鏡)写真による観察を
行ったところ、図1に示すようにIn組成の少ないIn
GaAs領域にIn組成が多く直径約10nm程度の島
状の領域5が散点状に形成されていることがわかった。
In組成の少ないInGaAs領域とIn組成の多い島
状領域に転位等の欠陥は発生していなかった。
【0029】次に、InGaAs量子箱層3の断面のT
EM写真による観察を行ったところ、In組成の多い島
状領域は、図1に示すようにInGaAs量子箱層3の
厚さ方向に押しつぶされた偏平球状であることがわかっ
た。
【0030】図1に示すようにIn組成の多い島状領域
が散点状に形成される理由は、以下のように考察され
る。TMIDMEA、TMG、及びAsH3 を時間的に
分割して供給すると、通常、形成されるInGaAsは
各構成元素の原料ガスの供給時間等によって定まるIn
組成となる。
【0031】GaAsバッファ層の上にInGaAs層
を堆積する場合に、In組成が均一のInGaAs層が
全面に形成されるとすると、格子不整合のためInGa
As層に面内方向の歪が発生する。広い領域で下地のG
aAsバッファ層と格子定数がほぼ整合するIn組成の
少ない領域が形成され、局所的にIn組成の多い領域が
散点状に形成される場合の歪エネルギは、InGaAs
層全面に歪が発生する場合の歪エネルギよりも低くなる
と考えられる。また、このIn組成の多い領域が球状に
近いほど歪エネルギが低くなると考えられる。
【0032】上記のような理由から、図1に示すように
In組成の少ない領域の中にIn組成の多い島状領域が
散点状に形成されると考えられる。このIn組成の多い
島状領域は、周囲のIn組成の少ない領域及び上下のG
aAsバッファ層及びGaAsキャップ層に比べてエネ
ルギギャップが小さいため、キャリアに対して3次元的
なポテンシャル井戸として働く。このようにして量子箱
5を有する量子箱層3が形成される。
【0033】このように、量子箱のIn組成は量子箱層
内のその他の領域のIn組成よりも多くなる。例えば、
アニール前において、量子箱以外の領域のIn組成が約
0.1のとき、量子箱のIn組成は約0.5であった。
量子箱以外の領域がInをほとんど含まないGaAsで
ある場合、量子箱部分のIn組成は0.2〜0.3にな
るものと推測される。このように、量子箱のIn組成
は、その他の部分のIn組成より約0.2以上多い。た
だし、In組成の最大値は約0.7とするのが好まし
い。
【0034】量子箱層に形成されるIn組成の多い島状
部分が量子箱として機能するには、量子箱層の厚さが2
nm〜40nm、さらには5nm〜20nmであること
が好ましい。このときに形成される量子箱の大きさは、
高さが量子箱層の厚さとほぼ等しく、横方向の広がり
は、高さよりもさらに大きくなる。
【0035】半導体表面上に、格子不整合な半導体層を
エピタキシャル成長すると、半導体層が均一な組成の場
合には、臨界厚以上の厚さの半導体層を形成することは
できない。上記実施例のように、エピタキシャル成長し
た膜が均一な組成ではなく、膜中に量子箱が散点状に形
成されることにより、格子不整合の程度から予測される
臨界厚以上の厚さの膜をエピタキシャル成長させること
ができる。
【0036】上記方法で作製した半導体積層構造の量子
箱からのフォトルミネッセンス強度を測定したところ、
量子箱層3の上に形成するGaAs層4の成長時間を長
くするとフォトルミネッセンス強度が低下することを見
いだした。量子箱を有する半導体積層構造を光デバイス
に応用するためには、フォトルミネッセンス強度の低下
を抑制することが好ましい。
【0037】フォトルミネッセンス強度が低下する理由
は、以下のように考えられる。III−V族化合物半導
体中のIII族元素は、通常800〜900℃程度で拡
散し、600〜700℃程度の温度ではほとんど拡散し
ない。しかし、量子箱層においては、量子箱中に歪エネ
ルギが集中して量子箱層全体の歪エネルギを減少させて
いる。すなわち、熱力学的なエネルギバランスによって
量子箱が形成されていると考えられる。
【0038】600〜700℃程度の温度でこのエネル
ギバランスが崩れ、通常の状態に比べて拡散が起こりや
すくなっていると考えられる。すなわち、歪エネルギが
拡散の活性化エネルギを低下させていると考えられる。
このため、量子箱層よりも上層の半導体層形成中にIn
原子が拡散し、量子箱の大きさが拡大するか、もしくは
量子箱が消滅すると考えられる。
【0039】次に、図4〜図7を参照して、本発明の実
施の一形態について説明する。図4は、実施の一形態に
よる半導体積層構造の断面図を示す。GaAs基板30
上に、図2に示す減圧CVD装置を用いて厚さ100n
mのGaAsバッファ層31、InGaAs量子箱層3
2を形成し、その上にInGaP層33を形成する。I
nGaAs量子箱層32中に、量子箱34が形成され
る。GaAsバッファ層31は、原料としてTMGとA
sH3 を用い、成長温度を610℃として形成される。
InGaAs量子箱層32は、成長温度を460℃と
し、図3に示すタイムチャートに従って各原料の交互供
給を12サイクル繰り返して形成される。InGaP層
33は、原料としてトリメチルインジウム(TMI)、
トリエチルガリウム(TEG)、及びフォスフィン(P
3 )を用い、成長温度を560〜590℃とし、成長
速度が1μm/hとなる条件で形成される。
【0040】図5は、図4の半導体積層構造の量子箱3
4からのフォトルミネッセンス(PL)強度とInGa
P層33の成長時間との関係を示す。横軸はInGaP
層33の成長時間を単位「分」で表し、縦軸は、PL強
度をInGaP層33の成長時間が0分の時を1とした
相対値で表す。図中の記号○、□、●及び■は、それぞ
れInGaP層33の成長温度を560℃、570℃、
580℃及び590℃とした場合のPL強度を示す。
【0041】InGaP層33の成長温度を560℃と
した場合には、成長時間を長くしてもPL強度がほとん
ど低下しない。InGaP層33の成長温度を570℃
とした場合には、成長時間を長くするに従ってPL強度
が徐々に低下するが、低下量は少ない。成長時間を約5
0分とすると、InGaP層を形成しない場合に比べて
PL強度が約15%低下する。
【0042】InGaP層33の成長温度を580℃も
しくは590℃とすると、成長時間が長くなるに従って
PL強度が大きく低下する。例えば、成長温度を580
℃、590℃とした場合には、InGaP層33の成長
時間が約60分のときInGaP層を形成しない場合に
比べてPL強度がそれぞれ約80%、95%低下する。
PL強度の低下は、結晶性が劣化し非発光再結合中心が
増加したためと考えられる。
【0043】図6は、図4の半導体積層構造の量子箱3
4からのPL波長とInGaP層33の成長時間との関
係を示す。横軸はInGaP層33の成長時間を単位
「分」で表し、縦軸は、PL波長を単位μmで表す。図
中の記号○、□、●及び■は、それぞれInGaP層3
3の成長温度を560℃、570℃、580℃及び59
0℃とした場合のPL波長を示す。
【0044】InGaP層33の成長温度を560℃と
した場合には、成長時間を長くしてもPL波長が約1.
35μmのままほとんど変化しない。InGaP層33
の成長温度を570℃とした場合には、成長時間を長く
するに従ってPL波長が徐々に短くなるが、その変化量
は少ない。成長時間を0分から約60分まで変化させる
と、PL波長が1.35μmから1.33μmまで徐々
に短くなる。
【0045】InGaP層33の成長温度を580℃も
しくは590℃とすると、成長時間が長くなるに従って
PL波長が大きく変化する。例えば、成長温度を580
℃、590℃とした場合には、InGaP層33の成長
時間を0分から約60分まで変化させると、PL波長が
それぞれ1.35μmから1.17μm、及び1.35
μmから1.15μmまで変化する。
【0046】PL波長の変化は、量子箱中のInが拡散
して量子箱の大きさが大きくなったためと考えられる。
図5及び図6から、量子箱を発光素子として使用するた
めには、量子箱層を形成した後その上層に形成する半導
体層の成長温度を575℃以下とすることが好ましいと
考えられる。
【0047】次に、図7〜図9を参照して実施の他の形
態について説明する。図4では、量子箱が量子箱層と同
時に形成される場合を説明したが、半導体表面上に微結
晶体が島状に形成される場合もある。島状に成長した微
結晶体の大きさが、量子効果が現れる程度まで小さけれ
ば、微結晶体が量子箱として作用する。
【0048】図7は、微結晶体が半導体表面上に島状に
形成された半導体積層構造の断面図を示す。GaAs基
板40の表面上に厚さ100nmのGaAsバッファ層
41が形成されている。GaAsバッファ層41の表面
上に、成長温度を550℃とし、MBEによりIn0.5
Ga0.5 As層が成長する条件で原料を供給すると、島
状に微結晶体42が形成される。なお、成長温度を44
0〜580℃としてもよい。微結晶体42及び基板41
の露出した表面を覆うように、成長温度を580℃〜6
10℃とし、成長速度が1μm/hとなる条件でInG
aP層43を形成する。
【0049】図8は、図7の半導体積層構造の微結晶体
42からのPL強度とInGaP層43の成長時間との
関係を図5と同様に示す。図中の記号○、□、●及び■
は、それぞれInGaP層43の成長温度を580℃、
590℃、600℃及び610℃とした場合のPL強度
を示す。
【0050】InGaP層43の成長温度が580℃及
び590℃のときは、成長時間を長くしてもPL強度の
低下量が少ない。InGaP層43の成長温度を600
℃及び610℃とすると、成長時間が長くなるに従って
PL強度が大きく低下する。
【0051】図9は、図7の半導体積層構造の微結晶体
42からのPL波長とInGaP層43の成長時間との
関係を図6と同様に示す。図中の記号○、□、●及び■
は、それぞれInGaP層43の成長温度を580℃、
590℃、600℃及び610℃とした場合のPL波長
を示す。
【0052】InGaP層43の成長温度が580℃及
び590℃のときは、成長時間を長くしてもPL波長の
変化量が少ない。InGaP層33の成長温度を600
℃及び610℃とすると、成長時間を長くするに従って
PL波長が大きく短波長側に変化する。
【0053】図8及び図9から、成長温度を550℃と
してMBEにより量子箱を形成した場合には、量子箱の
上層に形成する半導体層の成長温度を595℃以下とす
ることが好ましいと考えられる。
【0054】上述のように、量子箱を形成した後、その
上層に形成する半導体層の成長温度をなるべく低くする
ことが好ましい。ただし、下地表面上に単結晶がエピタ
キシャル成長する温度以上とする。一方、量子箱よりも
下層の半導体層の成長温度は、格子欠陥の発生を抑制し
良好な結晶を得られる温度とすることが好ましい。すな
わち、量子箱よりも上層の半導体層の成長温度を量子箱
よりも下層の半導体層の成長温度よりも低くすることが
好ましいといえる。
【0055】例えば、量子箱よりも下層の半導体層とし
て、InGaPを用いる場合は、その成長温度を630
℃以上、より好ましくは670℃以上とし、AlGaI
nPを用いる場合には、その成長温度を700℃以上、
より好ましくは730℃以上とし、InGaAsPを用
いる場合には、その成長温度を615℃以上とする。
【0056】図7に示す半導体積層構造の場合に、量子
箱の上層に形成する半導体層の成長温度の好適範囲の上
限が、図4に示す半導体積層構造の場合よりも高い理由
は、以下のように考えられる。図4及び図7に示す半導
体積層構造の量子箱上層を形成しないときのPL波長
は、それぞれ図6及び図9に示すように、約1.35μ
m及び1.15μmである。これは、図7に示す半導体
積層構造の量子箱のIn組成が、図4に示す量子箱のI
n組成よりも少ないことを表している。
【0057】In組成が少ないほど格子定数がGaAs
の格子定数に近づくため、図7に示す量子箱の歪量が図
4に示す量子箱の歪量よりも小さいと考えられる。歪量
が小さいほど熱的に安定であり、In原子が拡散しにく
い。このため、図7に示す量子箱の方が図4に示す量子
箱よりも熱的に安定であるため、量子箱上層の成長温度
の好適な範囲の上限が高いと考えられる。
【0058】次に、図10を参照して、量子箱を利用し
た半導体レーザ装置について説明する。図10は、活性
層に量子箱が形成された半導体レーザ装置を示す。n型
GaAs基板50上に、厚さ200nmのn型InGa
Asバッファ層51、厚さ400nmのn型InGaP
バッファ層52、厚さ50nmのn型GaAsPクラッ
ド層53、厚さ10nmの真性GaAsPガイド層5
4、真性InGaAs活性層55、厚さ10nmの真性
GaAsPガイド層56、厚さ50nmのp型GaAs
Pクラッド層57、厚さ400nmのp型InGaPコ
ンタクト層58がこの順番に積層されている。
【0059】GaAsPガイド層54とInGaAs活
性層55との間、及びInGaAs活性層55とGaA
sPガイド層56との間が格子不整合とされている。そ
の他の層は格子整合している。
【0060】GaAsPガイド層54とInGaAs活
性層55との間の格子不整合により、活性層55の中に
In組成の高い量子箱55aが形成される。活性層55
に注入された電子及び正孔は、バンドギャップの小さい
量子箱の中に入り、量子箱のエネルギ状態を占める。量
子箱55a内で電子正孔対が再結合してエネルギ状態が
空きになると、他の電子及び正孔が量子箱55aの中に
入る。
【0061】このように、量子箱内で電子正孔対が再結
合して発光することにより、温度特性の優れた半導体レ
ーザ装置を実現することが可能になる。上記実施の形態
では、量子箱の下地表面としてGaAs、量子箱として
InGaAsを使用した場合について説明したが、下地
表面と量子箱との間で一定の格子不整合が生じるような
組み合わせであればその他の材料を用いてもよい。例え
ば、基板、バッファ層とキャップ層、及び量子箱層の材
料として表1に示すような組み合わせとしてもよい。バ
ッファ層と量子箱層との構成元素が等しい組み合わせの
場合には、各構成元素の組成比を変えることにより格子
定数に差を設けることができる。
【0062】
【表1】 また、基板としてInSbを用いることもできる。
【0063】以上実施例に沿って本発明を説明したが、
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に
自明であろう。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
比較的簡単な製造工程で、原子サイズの均一性を有し、
高い結晶品質を持った量子箱を形成することができる。
この量子箱を半導体装置に適用することにより、半導体
装置の集積度の向上及び機能の向上を図ることが可能に
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】先の提案による半導体積層構造の断面図であ
る。
【図2】実施の一形態による半導体積層構造の作製に使
用した減圧MOCVD装置の概略図である。
【図3】実施の一形態による半導体積層構造の量子箱層
形成工程における反応ガス供給のタイムチャートであ
る。
【図4】実施の一形態による半導体積層構造の断面図で
ある。
【図5】図4に示す半導体積層構造の量子箱からのPL
強度と量子箱の上層の成長時間との関係を示すグラフで
ある。
【図6】図4に示す半導体積層構造の量子箱からのPL
波長と量子箱の上層の成長時間との関係を示すグラフで
ある。
【図7】実施の他の形態による半導体積層構造の断面図
である。
【図8】図7に示す半導体積層構造の量子箱からのPL
強度と量子箱の上層の成長時間との関係を示すグラフで
ある。
【図9】図7に示す半導体積層構造の量子箱からのPL
波長と量子箱の上層の成長時間との関係を示すグラフで
ある。
【図10】実施の一形態による半導体積層構造を利用し
た半導体レーザ装置の断面図である。
【符号の説明】
1、30、40 GaAs基板 2、31 GaAsバッファ層 3、32 InGaAs量子箱層 4 GaAsキャップ層 5、34、42 量子箱 10 反応容器 11 サセプタ 12 高周波コイル 14 ガス排気管 15、20、21、22、23、24 ガス流路 25、28 ガス切り換えバルブ 33、43 InGaP層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、成長温度を第1の温度として
    III−V族化合物半導体からなる半導体下層を形成す
    る工程と、 前記半導体下層の表面上に、3次元的に量子閉じ込めを
    行うIII−V族化合物半導体からなる量子箱を形成す
    る工程と、 前記量子箱の表面を覆うように前記基板上の全面に、成
    長温度を前記第1の温度よりも低い第2の温度として、
    III−V族化合物半導体からなる半導体上層を形成す
    る工程とを含む半導体装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記量子箱を形成する工程が、 前記半導体下層が形成された前記基板を反応容器内に載
    置する工程と、 前記反応容器内に、前記半導体下層の格子定数とは異な
    る格子定数のIII−V族化合物半導体が成長する条件
    で、III族及びV族元素原料を交互供給し、前記量子
    箱を含む量子箱層を形成する工程とを含む請求項1に記
    載の半導体装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記量子箱を形成する工程における前記
    量子箱の成長温度が420〜480℃であり、 前記半導体上層を形成する工程における前記半導体上層
    の成長温度が575℃以下である請求項2に記載の半導
    体装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記量子箱を形成する工程が、 前記半導体下層が形成された前記基板を反応容器内に載
    置する工程と、 分子線エピタキシ法によって、前記半導体下層の表面上
    に島状に点在し、前記量子箱となるIII−V族化合物
    半導体の微結晶体を形成する工程とを含む請求項1に記
    載の半導体装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記微結晶体を形成する工程における前
    記微結晶体の成長温度が440〜580℃である請求項
    4に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記半導体上層を形成する工程における
    前記半導体上層の成長温度が595℃以下である請求項
    5に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 III−V族化合物半導体表面上に、3
    次元的に量子閉じ込めを行うIII−V族化合物半導体
    からなる量子箱を形成する工程と、 前記量子箱の表面を覆うように、成長温度を575℃以
    下として、III−V族化合物半導体からなる半導体上
    層を形成する工程とを含む半導体装置の製造方法。
JP21746695A 1995-08-25 1995-08-25 3次元量子閉じ込めを利用した半導体装置の製造方法 Pending JPH0964476A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009522759A (ja) * 2005-12-28 2009-06-11 コミツサリア タ レネルジー アトミーク 分子結合によって半導体材料でできたエレクトロルミネセントp−n接合を作製する方法
EP2568329A2 (en) 2002-09-19 2013-03-13 Fujitsu Limited Wavelength conversion device based on optical four wave mixing

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