JP2007157842A - Iii−v化合物半導体を成長する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】界面付近における窒素組成の望まれない変化を縮小可能な、III−V化合物半導体を成長する方法を提供する。
【解決手段】III−V化合物半導体を成長する方法では、第1の原料ガス(Nソース)、第2の原料ガス(Asソース)および第3の原料ガス(Gaソース、Inソース)を用いて、ヒ素およびリン(V族構成元素)を含む第1のIII−V化合物半導体からなる半導体領域上に、窒素およびヒ素(V族構成元素)を含む第2のIII−V化合物半導体を成長する。Nソース原料ガスの流量は、第2のIII−V化合物半導体の成長における初期値へゼロから第1の時間T1で増加するように制御されると共に、第2のIII−V化合物半導体の成長における最終値からゼロへ第2の時間T2で減少する。第1の時間T1は第2の時間T2より長い。
【選択図】図1
【解決手段】III−V化合物半導体を成長する方法では、第1の原料ガス(Nソース)、第2の原料ガス(Asソース)および第3の原料ガス(Gaソース、Inソース)を用いて、ヒ素およびリン(V族構成元素)を含む第1のIII−V化合物半導体からなる半導体領域上に、窒素およびヒ素(V族構成元素)を含む第2のIII−V化合物半導体を成長する。Nソース原料ガスの流量は、第2のIII−V化合物半導体の成長における初期値へゼロから第1の時間T1で増加するように制御されると共に、第2のIII−V化合物半導体の成長における最終値からゼロへ第2の時間T2で減少する。第1の時間T1は第2の時間T2より長い。
【選択図】図1
Description
本発明は、III−V化合物半導体を成長する方法に関する。
特許文献1には、化合物半導体の結晶を成長する方法が記載されている。この方法では、窒素以外の少なくとも一種類のV族元素と窒素とをV族組成として含む第二のIII−V族化合物半導体層を成長するに先立って、第一のIII−V族化合物半導体層上に、第二のIII−V族化合物半導体層の窒素原料に対する反応性を制御する第三のIII−V族化合物半導体からなる中間層を形成する。この後に、第三のIII−V族化合物半導体層上に第二の化合物半導体を形成している。この方法によって、半導体基板にIII−(N、V)族化合物半導体結晶を成長する際、界面における窒素のパイルアップの抑制、界面非発光準位の低減、界面付近の窒素組成の均一化が提供される。
特開2001−185497号公報
有機金属気相成長 (MOVPE)法といった気相成長法を用いて化合物半導体の薄膜を成長するために、その化合物半導体の構成元素および組成比に応じた原料ガスを供給する。このガス供給の切替では、有機金属気相成長装置のバルブを一瞬のうちに開いて、ある構成元素のための原料ガスの供給量をゼロからその化合物半導体の組成に対して必要な供給量まで一瞬のうちに変化させている。発明者らの知見によれば、このガス切替えでは、量子井戸層などの化合物半導体の薄膜を成長する場合に、特定の構成元素の組成にパイルアップ(集中或いは偏析)を引き起こすことがあり、良好な特性の薄膜を得られないことがある。
例えば、成長される薄膜の化合物半導体が複数のV族元素を構成成分として含むとき、V族構成元素のための複数の原料ガスの供給が必要である。一のV族構成元素の原料ガスが他のV族構成元素の原料ガスに対して大きな比率で供給されるとき、特定の構成元素の組成にパイルアップを引き起こすことがあり、良好な特性の薄膜を得られないことがある。
このような成長の一例として、窒素(N)の組成が0.01、ヒ素(As)の組成が0.99となるGaInNAs量子井戸層の成長を説明する。このGaInNAs半導体では、V族原子である窒素とヒ素との組成比は、N:As=1:99である。これに対して、このGaInNAs半導体の成長では、窒素構成元素のための原料ガス(例えば、ジメチルヒドラジン:DMHy)とヒ素構成元素のための原料ガス(例えば、ターシャリーブチルアルシン:TBAs)との供給モル数比として、例えば、DMHy:TBAs=100:1を用いる。
複数のV族のための原料ガスをこのような大きな供給モル数比で成長炉に供給した場合、これらの原料ガスはうまく混合されず、該供給モル数比が成長炉内において一様でなくなる現象が発生することがある。この現象は、特に供給するガスを切り替えた直後に顕著である。その結果、GaInNAs量子井戸層の成長開始直後には、均一に混合されていない原料ガスが成長界面に供給される。この結果、この界面では、窒素濃度のパイルアップが生じる。この窒素濃度のパイルアップのため良好な特性のGaInNAs量子井戸が得られない。
特許文献1では、GaInNAs量子井戸層を成長する際に、GaInNAs井戸層とGaAs層の間にGaInAs中間層を設けている。このGaInAs中間層により、GaInNAs層と他の半導体層との界面における窒素原子のパイルアップが抑制されると特許文献1には記載されている。しかしながら、発明者らの試験的な実験の結果によれば、この手法だけでは、完全にはパイルアップを抑制できず、良好な特性GaInNAs量子井戸が得られない場合がある。
この手法では、GaInAs中間層を用いているけれども、この中間層の次にGaInNAs半導体を成長することには変わりはない。つまり、中間層の成長からGaInNAs半導体の成長に切り換わった直後では、DMHy:TBAs=100:1という供給モル数比のガスが反応炉に供給される。その結果、原料ガスの混合の不均一が生じていると考えられる。発明者らの実験によれば、このような成長方法によって形成された半導体素子は、所望の長期信頼性を示さないものが多い。
求められていることは、このような原料ガスの流量の変化に起因して2つの半導体層の界面に生じる現象を低減することである。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたのであり、界面付近における窒素組成の望まれない変化を小さくできる、III−V化合物半導体を成長する方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、気相成長法を用いてIII−V化合物半導体を成長する方法に係る。この方法は、(a)窒素のための第1の原料ガス、窒素以外の少なくとも一種類のV族構成元素のための第2の原料ガス、およびIII族構成元素のための第3の原料ガスを用いて、ヒ素およびリンの少なくともいずれかをV族構成元素として含む第1のIII−V化合物半導体からなる半導体領域上に、窒素をV族構成元素として含む第2のIII−V化合物半導体を成長する工程を備える。前記第1の原料ガスの流量は、第2のIII−V化合物半導体を成長する前記工程において、前記第2のIII−V化合物半導体の成長における初期値へ該初期値より小さい第1の値から第1の時間で変化するように制御されると共に、前記第2のIII−V化合物半導体の成長における最終値から該最終値より小さい第2の値へ第2の時間で減少しており、前記第1の時間は前記第2の時間より長い。
この方法によれば、第1の原料ガスの流量が、第2の時間より長い第1の時間で第1の値から初期値へ変化するように制御されるので、原料ガスの流量の変化に起因して2つの半導体層の界面に生じる現象が低減される。
本発明の別の側面は、気相成長法を用いてIII−V化合物半導体を成長する方法に係る。この方法は、(a)窒素のための第1の原料ガス、窒素以外の少なくとも一種類のV族構成元素のための第2の原料ガス、およびIII族構成元素のための第3の原料ガスを用いて、ヒ素およびリンの少なくともいずれかをV族構成元素として含む第1のIII−V化合物半導体からなる半導体領域上に、窒素をV族構成元素として含む第2のIII−V化合物半導体を成長する工程を備える。前記第1の原料ガスの流量は、第2のIII−V化合物半導体を成長する前記工程において、前記第2のIII−V化合物半導体の成長における初期値へ該初期値より小さい第1の値から第1の時間で増加するように制御されると共に、前記第2のIII−V化合物半導体の成長における最終値から該最終値より小さい第2の値へ第2の時間で変化しており、前記第3の原料ガスの流量は、第2のIII−V化合物半導体を成長する前記工程において、前記第2のIII−V化合物半導体の成長における所望の値へ該所望の値より小さい第3の値から第3の時間で変化しており、前記第1の時間は前記第3の時間より長い。
この方法によれば、第1の原料ガスの流量が、第3の時間より長い第1の時間で第1の値から初期値へ変化するように制御されるので、原料ガスの流量の変化に起因して2つの半導体層の界面に生じる現象が低減される。
上記の各側面に係る方法では、前記第1の時間は3秒以上であることが好ましい。この第1の時間は、第2および第3の時間に比べて長い。
上記の各側面に係る方法では、前記第2のIII−V化合物半導体は、III族構成元素としてガリウムを含むと共にV族構成元素としてヒ素および窒素を含むことを好ましい。この方法は、V族構成元素としてヒ素および窒素を含む半導体を成長するときに好適である。
上記の各側面に係る方法では、前記第2のIII−V化合物半導体は、III族構成元素としてガリウムおよびインジウムを含むと共にV族構成元素としてヒ素および窒素を含むことが好ましい。この方法は、V族構成元素としてヒ素および窒素を含む半導体を成長するときに好適である。
上記の各側面に係る方法では、全V族原料ガスに対する前記第1の原料ガスの供給モル比[第1の原料ガス]/[第2の原料ガス]は3以上であることが好ましい。この方法は、第1の原料ガスの供給モル比が上記の値より大きいときにより好適である。
上記の各側面に係る方法では、前記第1の時間は、前記第2のIII−V化合物半導体を成長する時間の1/3以下であることが好ましい。この方法は、第1の時間が上記の値より大きいときにより好適である。
上記の各側面に係る方法は、(b)第3のIII−V化合物半導体を成長する工程をさらに備え、前記第2および第3のIII−V化合物半導体の一方は井戸層を構成しており、前記第2および第3のIII−V化合物半導体の他方は障壁層またはガイド層を構成しており、前記井戸層は、Al、Ga、In、N、P、AsおよびSbの少なくともいずれかを含む化合物半導体で構成されており、前記井戸層の前記化合物半導体は、少なくともAsとNのいずれかを含むことができる。この方法によれば、井戸層が少なくともAsとNのいずれかを含む化合物半導体から構成される量子井戸構造を形成するときに好適である。
上記の各側面に係る方法は、(b)第3のIII−V化合物半導体を成長する工程をさらに備え、前記第2および第3のIII−V化合物半導体の一方は井戸層を構成しており、前記第2および第3のIII−V化合物半導体の他方は障壁層またはガイド層を構成しており、前記井戸層は、Al、Ga、In、N、P、AsおよびSbの少なくともいずれかを含む化合物半導体で構成されており、前記井戸層の前記化合物半導体は、少なくともAsおよびPのいずれかを含むことができる。この方法によれば、井戸層が少なくともAsおよびPのいずれかを含む化合物半導体から構成される量子井戸構造を形成するときに好適である。
上記の各側面に係る方法は、(b)第3のIII−V化合物半導体を成長する工程をさらに備え、前記第2および第3のIII−V化合物半導体の一方は井戸層を構成しており、前記第2および第3のIII−V化合物半導体の他方は障壁層またはガイド層を構成しており、前記第2および第3のIII−V化合物半導体の他方は、Al、Ga、In、N、P、AsおよびSbの少なくともいずれかを含む化合物半導体であり、前記第2および第3のIII−V化合物半導体の他方は、少なくともAsとNのいずれかを含むことができる。この方法によれば、井戸層が少なくともAsとNのいずれかを含む化合物半導体から構成される量子井戸構造を形成するときに好適である。
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
以上説明したように、本発明によれば、界面付近における窒素組成の望まれない変化を縮小可能な、III−V化合物半導体を成長する方法が提供される。
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。添付図面を参照しながら、本発明のIII−V化合物半導体を成長する方法に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るIII−V化合物半導体を成長する方法のための一例の成膜シーケンスのタイムチャートである。このタイムチャートでは、有機金属気相成長法を用いてIII−V化合物半導体を成長している。
図1は、第1の実施の形態に係るIII−V化合物半導体を成長する方法のための一例の成膜シーケンスのタイムチャートである。このタイムチャートでは、有機金属気相成長法を用いてIII−V化合物半導体を成長している。
時刻t1において、ガリウムソースガスおよび砒素ソースガスの供給を開始して、GaAs半導体の成長を行う。ガリウムソースガスおよび砒素ソースガスの流量は、それぞれの所望の初期値に急激に変化される。GaAs半導体の成長の終了に近づいたある時刻(t2−△T1B)において、窒素ソースガスの供給が開始される。また、GaAs半導体の成長の終了時刻t2において、第1のIII−V化合物半導体領域(本実施例では、GaAs領域)上に第2のIII−V化合物半導体(本実施例は、GaInNAs半導体)を成長するために、Inソースガスの供給を開始する。本実施例における第1のIII−V化合物半導体は実質的に窒素をV族元素として含まない。Inソースガスの流量は、時刻t2において所望の初期値に急激に変化される。本実施例では、時刻t2において、窒素ソースガスの流量は所望の初期値に到達していない。時刻t2から時間△T1Aだけ経過した時刻(t2+△T1A)とき、窒素ソースガスの流量は所望の初期値に到達する。つまり、窒素ソースガスの流量は、GaInNAs半導体の成長における初期値へ該初期値より小さい第1の値から第1の時間T1で変化するように制御されている。GaInNAs半導体は、時刻t2から時刻t3までの期間で成長される。Inソースガスの流量は、時刻t3において最終値から急激に減少される。同様に、Nソースガスの流量は、時刻t3において最終値から急激に第2の値へ減少される。Nソースガスのライン上のバルブを急激に閉めても、Nソースガスの流量は一瞬で第2の値に到達するわけではなく、第2の時間T2程度の後に第2の値に到達する。本実施の形態に係るIII−V化合物半導体を成長する方法では、第1の時間T1は第2の時間T2より長い。
以上説明したように、この方法によれば、第1の原料ガスの流量が、第2の時間T2より長い第1の時間T1で第1の値から初期値へ変化するように制御されるので、原料ガスの流量の変化に起因して2つの半導体層の界面に生じる現象が低減される。
また、GaAs半導体の成長の終了時刻t2において、Inソースガスの供給が開始されるけれども、Inソースガスの流量は、第2のIII−V化合物半導体の成長のための初期値に時刻t2において急激に増加される。ただし、Inソースガスの流量は一瞬で第3の値から上記の値に直ちに到達するわけではなく、第3の時間T3として、例えば1秒未満の程度経過後に初期値に到達する。本実施の形態の変形例に係るIII−V化合物半導体を成長する方法では、第1の時間T1は第3の時間T3より長い。この方法によれば、第1の原料ガスの流量が、第3の時間T3より長い第1の時間T1で第1の値から初期値へ変化するように制御されるので、原料ガスの流量の変化に起因して2つの半導体層の界面に生じる現象が低減される。
一例の成長方法では、窒素のための第1の原料としてジメチルヒドラジン(DMHy)を用い、窒素以外の少なくとも一種類のV族構成元素のための第2の原料として、ターシャリーブチルアルシン(TBAs)を用い、III族構成元素のための第3の原料として、トリメチルインジウム(TMI)を用いる。III族構成元素のための第4の原料として、トリメチルガリウム(TMGa)を用いる。例えば、窒素(N)の組成が0.01、ヒ素(As)の組成が0.99となるGaInNAs量子井戸層の成長を説明する。このGaInNAs半導体では、V族原子である窒素とヒ素との組成比は、N:As=1:99である。これに対して、このGaInNAs半導体の成長では、窒素構成元素のための原料ガスであるDMHyとヒ素構成元素のための原料ガスであるTBAsとの供給モル数比として、DMHy:TBAs=100:1を用いる。しかしながら、GaAs半導体とGaInNAs半導体との界面では、窒素濃度のパイルアップが抑制されている。窒素濃度のパイルアップが低減されるので、良好な特性のGaInNAs半導体が得られる。
タイムチャートに示されたIII−V化合物半導体の成長は、図2(A)および図2(B)に示された気相成長装置を用いて行われる。図2(A)は気相成長装置を示す平面図であり、図2(B)は気相成長装置を示す側面図である。気相成長装置11には、図3に示されるガス供給系13に接続されている。気相成長装置11は排気装置15に接続されており、また排気装置15は除害装置17に接続されている。ガス供給系13では、キャリアガスのライン21が、マスフローコントローラ(MFC)23a〜23hの入力に接続されている。
図3を参照すると、第1の原料ガスのためのユニットでは、MFC23aの出力は、第1の原料ガスのための有機金属原料(液体)、例えばDMHyを保存する容器27aにバルブ25aを介して接続されている。MFC23bの出力は、バルブ25cを介してバルブ25dおよび25eの一端に接続されている。また、バルブ25bの他端は、バルブ25cを介してバルブ25dおよび25eの一端に接続されている。バルブ25dは、DMHyを供給するためのライン31aに接続されており、また気相成長装置11への原料ガスG1の供給・停止を行う。バルブ25eは、気相成長装置11への原料ガスG1の供給を停止するときに原料ガスG1を排気するためのライン33に接続されている。
第2の原料ガスのためのユニットでは、MFC23cの出力は、第2の原料ガスのための有機金属原料(液体)、例えばTBAsを保存する容器27bにバルブ35aを介して接続されている。MFC23dの出力は、バルブ35cを介してバルブ35dおよび35eの一端に接続されている。また、バルブ35bの他端は、バルブ35cを介してバルブ35dおよび35eの一端に接続されている。バルブ35dは、TBAsを供給するためのライン31bに接続されており、また気相成長装置11への原料ガスG2の供給・停止を行う。バルブ35eは、気相成長装置11への原料ガスG2の供給を停止するときに原料ガスG2を排気するためのライン33に接続されている。
第3の原料ガスのためのユニットでは、MFC23eの出力は、第3の原料ガスのための有機金属原料(液体)、例えばTMGaを保存する容器27cにバルブ39aを介して接続されている。MFC23fの出力は、バルブ39cを介してライン31cを介してバルブ39dおよび39eの一端に接続されている。また、バルブ39bの他端は、バルブ39cを介してライン31cを介してバルブ39dおよび39eの一端に接続されている。バルブ39dは、TMGaを供給するためのライン31cに接続されており、また気相成長装置11への原料ガスG3の供給・停止を行う。バルブ39eは、気相成長装置11への原料ガスG3の供給を停止するときに原料ガスG3を排気するためのライン33に接続されている。
第4の原料ガスのためのユニットでは、MFC23gの出力は、第4の原料ガスのための有機金属原料(液体)、例えばTMInを保存する容器27dにバルブ43aを介して接続されている。MFC23hの出力は、バルブ43cを介してライン31dを介してバルブ43dおよび43eの一端に接続されている。また、バルブ43bの他端は、バルブ43dおよび43eの一端に接続されている。バルブ43dは、TMInの供給するためのライン31dに接続されており、また気相成長装置11への原料ガスG4の供給・停止を行う。バルブ43eは、気相成長装置11への原料ガスG4の供給を停止するときに原料ガスG4を排気するためのライン33に接続されている。
図2(A)および図2(B)に示されるように、ライン31a〜31dは、混合部47において合流して単一の供給路47aになり、この供給路47aが反応管49の一端49aに接続される。反応管49の他端49bは排気路49cを介して排気系に接続されており、この排気路49cにはライン33が接続されている。反応管49内には、基板Wを搭載するためのサセプタ51が設けられている。単一の供給路47aから供給されたガスは、反応管49内を流れて、設定された成長温度のサセプタ51上の基板W1〜W3上に到達する。このガスの一部は反応により基板W1〜W3上に堆積物とこの結果生じる反応生成物を生成する。ガスの残りは、反応生成物と共に、排気路49cから排気される。
再び図1を参照しながら、成膜シーケンスの残りを説明する。時刻t3においてInソースガスおよびNソースガスの流量が減少される。この実施例では次いでGaAs半導体が成長されるので、InソースガスおよびNソースガスの流量は実質的にゼロになる。時刻t3において、ガリウムソースガスおよび砒素ソースガスが供給されている。図1では時刻t3の前後においてガリウムソースガスおよび砒素ソースガスの流量が変化していないけれども、必要な場合には、これらの原料ガスの流量を変更することができる。時刻t3〜時刻t4の間において、第3のIII−V化合物半導体領域(本実施例では、GaAs領域)の成長を行う。GaAs半導体の成長の終了に近づいたある時刻(t4−△T4B)において、窒素ソースガスの供給が開始される。また、GaAs半導体の成長の終了時刻t4において、第3のIII−V化合物半導体領域上に第4のIII−V化合物半導体(本実施例は、GaInNAs半導体)を成長するために、Inソースガスの供給を開始する。Inソースガスの流量は、時刻t4において所望の初期値に急激に変化される。本実施例では、時刻t4において、窒素ソースガスの流量は所望の初期値に到達していない。時刻t4から時間△T4Aだけ経過した時刻(t4+△T4A)とき、窒素ソースガスの流量は所望の初期値に到達する。つまり、窒素ソースガスの流量は、GaInNAs半導体の成長における初期値へ該初期値より小さい第1の値から第1の時間T4で変化するように制御されている。
窒素ソースガスおよびInソースガスの流量の変化は、例えば、図3に示されたガス供給系13を用いて実現される。Inソースガスの流量は、バルブ43eを急激に閉鎖すると共に、バルブ43dを急激に開口することにより急激に変更される。窒素ソースガスの流量は、バルブ25eの開口量を徐々に小さくしていくと共に、バルブ25eの開口量の縮小に対応させてバルブ25dの開口量を徐々に大きくしていくことにより急激に変更される。時間T4(図1参照)中における窒素ソースガスの流量の変化は、このように制御されている。一方、Inソースガスのためのバルブ43d、43eは、期間T4中の適切な時刻に変更される(期間T1に関しても、Inソースガスのためのバルブ43d、43eを期間T1中の適切な時刻に変更できる)。これらのバルブの制御は、気相成長装置11のコントローラ11aにより行われる。コントローラ11aには、成膜シーケンスのための制御プログラムが格納されており、制御プログラムを用いてバルブの開口量が調整される。
図1を参照すると、時刻t5においてInソースガスおよびNソースガスの流量が減少される。この実施例では次いでGaAs半導体が成長されるので、InソースガスおよびNソースガスの流量は実質的にゼロになる。時刻t5において、ガリウムソースガスおよび砒素ソースガスが供給されている。図1では時刻t5の前後においてガリウムソースガスおよび砒素ソースガスの流量が変化していないけれども、必要な場合には、これらの原料ガスの流量を変更することができる。時刻t5〜時刻t6の間において、第5のIII−V化合物半導体領域(本実施例では、GaAs領域)が成長される。時刻t6において、ガリウムソースガスおよび砒素ソースガスの供給が停止される。これにより、一例の成膜シーケンスが終了する。
本実施の形態では、窒素をV族構成元素として含む第2のIII−V化合物半導体の成長の開始において、窒素のための第1の原料ガスおよびIII族構成元素のための第3の原料ガスの流量を変更しているけれども、本発明はこのような実施の形態に制限されるものではない。例えば、窒素をV族構成元素として含む第2のIII−V化合物半導体の成長の開始において、窒素のための第1の原料ガスおよび他のV族構成元素のための第2の原料ガスの流量を変更することもできる。この成膜においても、第1の原料ガスの流量が、第2の原料ガスの流量が変化する時間より長い第1の時間で第1の値から初期値へ変化するように制御されるとき、原料ガスの流量の変化に起因して2つの半導体層の界面に生じる現象が低減される。さらに、窒素をV族構成元素として含む第2のIII−V化合物半導体の成長の開始において、窒素のための第1の原料ガス、他のV族構成元素のための第2の原料ガスおよびIII族構成元素のための第3の原料ガスの流量を変更することもできる。
本実施の形態における好適な実施例では、第1の値は実質的にゼロであることができる。また、第2の値は実質的にゼロであることができる。さらに、第3の値は実質的にゼロであることができる。
本実施の形態では、第2のIII−V化合物半導体の成長中において、第1の原料ガスG1の流量は他のいずれのV族構成元素のための原料ガスG2の流量より大きい。また、第2のIII−V化合物半導体の窒素の組成と前記第2のIII−V化合物半導体の他のV族構成元素の組成の和との比は1より小さい。時間T1および/またはT4は3秒以上であることが好ましい。この程度の変化時間であれば、これまでのように原料ガスを変化させる時間に比べて長い。
本実施の形態では、第2のIII−V化合物半導体は、III族構成元素としてガリウムを含むと共にV族構成元素としてヒ素および窒素を含むことを好ましく、例えばGaNAs半導体である。本実施の形態に係る方法は、V族構成元素としてヒ素および窒素を含む半導体を成長するときに好適である。
本実施の形態では、全V族原料ガスG2に対する第1の原料ガスG1の供給モル比[第1の原料ガス]/[第2の原料ガス]は3以上であることが好ましい。この方法は、第1の原料ガスG1の供給モル比が上記の値より大きいときにより好適である。
本実施の形態では、上記の時間T1および/またはT4は、第1の原料ガスG1の供給の開始から終了までの時間の1/3以下であることが好ましい。また、上記の時間T1および/またはT4は、第2のIII−V化合物半導体を成長するための時間の1/3以下であることが好ましい。
(第2の実施の形態)
図4は、半導体光素子の構造を示す図面である。半導体光素子61は、例えば量子井戸構造を有する半導体発光素子である。半導体光素子61は活性領域63を備える。活性領域63は、一または複数の井戸層65と一または複数の障壁層67とを含む。井戸層65および障壁層67は、交互に配列されている。これらの配列は、第1のガイド層69と第2のガイド層71との間に設けられている。活性領域63は、第1導電型クラッド層73と第2導電型クラッド層75との間に位置している。第2導電型クラッド層75上にはコンタクト層77が設けられており、またコンタクト層77上には電極79が設けられている。バッファ層79は、基板81上に設けられている。半導体光素子61において、バッファ層79、第1導電型クラッド層73、活性領域63、第2導電型クラッド層75およびコンタクト層77が順に配置されている。
図4は、半導体光素子の構造を示す図面である。半導体光素子61は、例えば量子井戸構造を有する半導体発光素子である。半導体光素子61は活性領域63を備える。活性領域63は、一または複数の井戸層65と一または複数の障壁層67とを含む。井戸層65および障壁層67は、交互に配列されている。これらの配列は、第1のガイド層69と第2のガイド層71との間に設けられている。活性領域63は、第1導電型クラッド層73と第2導電型クラッド層75との間に位置している。第2導電型クラッド層75上にはコンタクト層77が設けられており、またコンタクト層77上には電極79が設けられている。バッファ層79は、基板81上に設けられている。半導体光素子61において、バッファ層79、第1導電型クラッド層73、活性領域63、第2導電型クラッド層75およびコンタクト層77が順に配置されている。
半導体光素子61の一例の半導体レーザ素子では、
活性領域63:
井戸層65:Ga0.66In0.34N0.01As0.99、7nm
障壁層67:GaAs、8nm
第1のガイド層69:GaAs、140nm
第2のガイド層71:GaAs、140nm
第1導電型クラッド層73:n型AlGaAs、1.5μm
第2導電型クラッド層75:p型AlGaAs、1.5μm
コンタクト層77:p型GaAs、200nm
バッファ層79:n型GaAs、200nm
基板81:GaAs基板、350μm
である。
活性領域63:
井戸層65:Ga0.66In0.34N0.01As0.99、7nm
障壁層67:GaAs、8nm
第1のガイド層69:GaAs、140nm
第2のガイド層71:GaAs、140nm
第1導電型クラッド層73:n型AlGaAs、1.5μm
第2導電型クラッド層75:p型AlGaAs、1.5μm
コンタクト層77:p型GaAs、200nm
バッファ層79:n型GaAs、200nm
基板81:GaAs基板、350μm
である。
半導体光素子61の一例においては、井戸層65は、Al、Ga、In、N、P、AsおよびSbの少なくともいずれかを含む化合物半導体で構成されている。井戸層65の化合物半導体は、少なくともAsとNのいずれかを含むことができる。この方法によれば、井戸層65が少なくともAsとNのいずれかを含む化合物半導体から構成される量子井戸構造を形成するときに好適である。
半導体光素子61の別の例においては、井戸層65は、Al、Ga、In、N、P、AsおよびSbの少なくともいずれかを含む化合物半導体で構成されている。この化合物半導体としては、GaInNAsSb等が例示される。また、井戸層65の化合物半導体は、少なくともAsおよびPのいずれかを含むことができる。
半導体光素子61の別の例においては、障壁層67および/またはガイド層69、71は、Al、Ga、In、N、P、AsおよびSbの少なくともいずれかを含む化合物半導体で構成されている。この化合物半導体としては、GaAsSb等が例示される。第2および第3のIII−V化合物半導体の他方は、少なくともAsとNのいずれかを含むことができる。
(実施例1)
MOVPE法により、端面発光型レーザダイオード(LD)を作製する。このレーザダイオードは、SiドープのGaAs基板上にGaInNAs井戸層を含む活性層を有する。井戸層の成長には、Ga、In、N、As、Al原料としてそれぞれトリエチルガリウム(TEGa)、トリメチルインジウム(TMIn)、ジメチルヒドラジン(DMHy)、ターシャリーブチルアルシン(TBAs)、トリメチルアルミニウム(TMAl)を用いる。GaAs基板上に、200nmのn型GaAsバッファ層を成長する。この上に、1.5マイクロメートルのn型AlGaAsクラッド層を成長する。この上に、活性層を成長する。活性層は、140nmのアンドープGaAsガイド層、7nmのアンドープGaInNAs量子井戸層、8nmのアンドープGaAs障壁層、7nmのアンドープGaInNAs量子井戸層、140nmのアンドープGaAsガイド層から構成される。活性層上にが、1.5マイクロメートルのp型AlGaAsクラッド層を成長する。その上にp型GaAsコンタクト層を成長する。
MOVPE法により、端面発光型レーザダイオード(LD)を作製する。このレーザダイオードは、SiドープのGaAs基板上にGaInNAs井戸層を含む活性層を有する。井戸層の成長には、Ga、In、N、As、Al原料としてそれぞれトリエチルガリウム(TEGa)、トリメチルインジウム(TMIn)、ジメチルヒドラジン(DMHy)、ターシャリーブチルアルシン(TBAs)、トリメチルアルミニウム(TMAl)を用いる。GaAs基板上に、200nmのn型GaAsバッファ層を成長する。この上に、1.5マイクロメートルのn型AlGaAsクラッド層を成長する。この上に、活性層を成長する。活性層は、140nmのアンドープGaAsガイド層、7nmのアンドープGaInNAs量子井戸層、8nmのアンドープGaAs障壁層、7nmのアンドープGaInNAs量子井戸層、140nmのアンドープGaAsガイド層から構成される。活性層上にが、1.5マイクロメートルのp型AlGaAsクラッド層を成長する。その上にp型GaAsコンタクト層を成長する。
この活性層の成長では、GaAsに対してはTEGaおよびTBAsを原料ガスとして用いるとともに、GaInNAsに対してはTEGa、TMIn、MDHy、TBAsを原料ガスとして用いる。原料ガスの流量は、
TEGa:3×10−5モル/分
TMIn:2×10−5モル/分
DMHy:3×10−2モル/分
TBAs:3×10−4モル/分
である。この実施例では、V族元素の供給モル数比(DMHy:TBAs)は、100:1である。
TEGa:3×10−5モル/分
TMIn:2×10−5モル/分
DMHy:3×10−2モル/分
TBAs:3×10−4モル/分
である。この実施例では、V族元素の供給モル数比(DMHy:TBAs)は、100:1である。
この実験として、GaInNAs層を成長するときに、TMInおよびDMHyの供給量をゼロから一気に必要量までに変化させている。GaInNAs層の成長時間は30秒である。このようにして得られたエピタキシャルウエハの活性層の領域を二次イオン質量分析(SIMS)を用いて窒素組成の分布を調べた。SIMS結果によれば、窒素濃度がGaInNAs層界面に集中している。このウエハから作製されたレーザダイオードに長期通電評価を実施した。この結果、パワーの寿命は非常に短く、所望の長期信頼性は得られなかった。
一方、GaInNAs層の成長が始まる際に、DMHyの供給量をゼロから5秒間をかけて傾斜させて初期値へ向けて変化させている。GaInNAs層の成長時間は30秒である。GaInNAs層の成長が終了する際には、DMHyの供給量を最終量から一気に減少する。この実施例では、DMHyの供給量をゼロに変化させている。このようにして得られたエピタキシャルウエハの活性層の領域を二次イオン質量分析(SIMS)を用いて窒素組成の分布を調べた。SIMS結果によれば、GaInNAs層界面おける窒素濃度のパイルアップは低減されている。このウエハから作製されたレーザダイオードに長期通電評価を実施した。この結果、パワーの寿命は非常に長時間であり、良好な長期信頼性が得られた。
(実施例2)
SiドープGaAs基板上にGaNAsを井戸層とする単一量子井戸構造の活性層を作製してエピタキシャルウエハを作製する。井戸層の成長には、Ga、N、As原料としてそれぞれTEGa、DMHy、TBAsを用いる。GaAs基板上に、200nmのn型GaAsバッファ層、7nmのアンドープGaNAs量子井戸層、100nmのアンドープGaAsキャップ層から構成される。GaNAs量子井戸層のための原料ガスの流量は
TEGa:7×10−5モル/分
DMHy:3×10−3モル/分
TBAs:3×10−4モル/分
である。この実施例では、V族元素の供給モル数比(DMHy:TBAs)は、10:1である。また、GaNAs層の成長が始まるとき、DMHyの供給量をゼロから5秒間をかけて傾斜をつけて初期値へ向けて変化させている。GaNAs層の成長が終了する際は、DMHyの供給量を最終量から一気に減少させて、ゼロまでに変化させている。このエピタキシャルウエハの活性層の領域のSIMS分析を行い、窒素組成の分布を調べた。SIMS結果によれば、GaInNAs層界面おける窒素原子のパイルアップは低減されている。
SiドープGaAs基板上にGaNAsを井戸層とする単一量子井戸構造の活性層を作製してエピタキシャルウエハを作製する。井戸層の成長には、Ga、N、As原料としてそれぞれTEGa、DMHy、TBAsを用いる。GaAs基板上に、200nmのn型GaAsバッファ層、7nmのアンドープGaNAs量子井戸層、100nmのアンドープGaAsキャップ層から構成される。GaNAs量子井戸層のための原料ガスの流量は
TEGa:7×10−5モル/分
DMHy:3×10−3モル/分
TBAs:3×10−4モル/分
である。この実施例では、V族元素の供給モル数比(DMHy:TBAs)は、10:1である。また、GaNAs層の成長が始まるとき、DMHyの供給量をゼロから5秒間をかけて傾斜をつけて初期値へ向けて変化させている。GaNAs層の成長が終了する際は、DMHyの供給量を最終量から一気に減少させて、ゼロまでに変化させている。このエピタキシャルウエハの活性層の領域のSIMS分析を行い、窒素組成の分布を調べた。SIMS結果によれば、GaInNAs層界面おける窒素原子のパイルアップは低減されている。
(実施例3)
SiドープGaAs基板上にGaNAsを井戸層とする単一量子井戸構造の活性層を作製してエピタキシャルウエハを作製する。井戸層の成長には、Ga、N、As原料としてそれぞれTEGa、DMHy、TBAsを用いる。GaAs基板上に、200nmのn型GaAsバッファ層、7nmのアンドープGaNAs量子井戸層、100nmのアンドープGaAsキャップ層から構成される。GaNAs量子井戸層のための原料ガスの流量は、
TEGa:7×10−5モル/分
DMHy:1×10−3モル/分
TBAs:3×10−4モル/分
である。この実施例では、V族元素の供給モル数比(DMHy:TBAs)は、約3:1である。この実施例では、GaNAs層の成長が始まるとき、DMHyの供給量をゼロから5秒間をかけて傾斜をつけて初期値へ向けて変化させている。GaNAs層の成長が終了する際は、DMHyの供給量を最終量から一気に減少させて、ゼロまでに変化させている。このエピタキシャルウエハの活性層の領域のSIMS分析を行い、窒素組成の分布を調べた。SIMS結果によれば、GaInNAs層界面おける窒素原子のパイルアップは低減されている。
SiドープGaAs基板上にGaNAsを井戸層とする単一量子井戸構造の活性層を作製してエピタキシャルウエハを作製する。井戸層の成長には、Ga、N、As原料としてそれぞれTEGa、DMHy、TBAsを用いる。GaAs基板上に、200nmのn型GaAsバッファ層、7nmのアンドープGaNAs量子井戸層、100nmのアンドープGaAsキャップ層から構成される。GaNAs量子井戸層のための原料ガスの流量は、
TEGa:7×10−5モル/分
DMHy:1×10−3モル/分
TBAs:3×10−4モル/分
である。この実施例では、V族元素の供給モル数比(DMHy:TBAs)は、約3:1である。この実施例では、GaNAs層の成長が始まるとき、DMHyの供給量をゼロから5秒間をかけて傾斜をつけて初期値へ向けて変化させている。GaNAs層の成長が終了する際は、DMHyの供給量を最終量から一気に減少させて、ゼロまでに変化させている。このエピタキシャルウエハの活性層の領域のSIMS分析を行い、窒素組成の分布を調べた。SIMS結果によれば、GaInNAs層界面おける窒素原子のパイルアップは低減されている。
(実施例4)
MOVPE法により、SiドープのGaAs基板上に単一量子井戸構造を有する活性層を有する。活性層の成長には、Ga、In、N、As原料としてそれぞれTEGa、TMIn、DMHy、TBAsを用いる。GaAs基板上に、150nmのn型GaAsバッファ層を成長する。この上に、50nmのアンドープGaNAs層、7nmのアンドープGaInNAs量子井戸層、100nmのアンドープGaAsキャップ層を形成する。この量子井戸層の成長では、GaAsに対してはTEGaおよびTBAsを原料ガスとして用い、GaNAsに対してはTEGa、MDHy、TBAsを原料ガスとして用いるとともに、GaInNAsに対してはTEGa、TMIn、MDHy、TBAsを原料ガスとして用いる。GaNAs層の成長のための原料ガスの流量は、
TEGa:3×10−5モル/分
DMHy:1×10−3モル/分
TBAs:3×10−4モル/分
である。この実施例では、V族元素の供給モル数比(DMHy:TBAs)は、約3:1である。GaInNAs層の成長のための原料ガスの流量は、
TEGa:3×10−5モル/分
TMIn:2×10−5モル/分
DMHy:3×10−2モル/分
TBAs:3×10−4モル/分
である。この実施例では、V族元素の供給モル数比(DMHy:TBAs)は、100:1である。GaNAs層の成長が始まる際に、DMHyの供給量をゼロから5秒間をかけて傾斜させて初期値へ向けて変化させている。GaNAs層の成長時間は20秒である。GaNAs層の成長が終了する際には、DMHyの供給量を最終量から一気にGaInNAs層の初期値に変化させる。この実施例では、GaInNAs層の成長が終了する際には、DMHyの供給量をゼロに変化させている。このようにして得られたエピタキシャルウエハの活性層の領域を二次イオン質量分析(SIMS)を用いて窒素組成の分布を調べた。その結果、窒素濃度がGaInNAs層界面に集中している。窒素濃度がGaNAs層界面に集中している結果は得られなかった。
MOVPE法により、SiドープのGaAs基板上に単一量子井戸構造を有する活性層を有する。活性層の成長には、Ga、In、N、As原料としてそれぞれTEGa、TMIn、DMHy、TBAsを用いる。GaAs基板上に、150nmのn型GaAsバッファ層を成長する。この上に、50nmのアンドープGaNAs層、7nmのアンドープGaInNAs量子井戸層、100nmのアンドープGaAsキャップ層を形成する。この量子井戸層の成長では、GaAsに対してはTEGaおよびTBAsを原料ガスとして用い、GaNAsに対してはTEGa、MDHy、TBAsを原料ガスとして用いるとともに、GaInNAsに対してはTEGa、TMIn、MDHy、TBAsを原料ガスとして用いる。GaNAs層の成長のための原料ガスの流量は、
TEGa:3×10−5モル/分
DMHy:1×10−3モル/分
TBAs:3×10−4モル/分
である。この実施例では、V族元素の供給モル数比(DMHy:TBAs)は、約3:1である。GaInNAs層の成長のための原料ガスの流量は、
TEGa:3×10−5モル/分
TMIn:2×10−5モル/分
DMHy:3×10−2モル/分
TBAs:3×10−4モル/分
である。この実施例では、V族元素の供給モル数比(DMHy:TBAs)は、100:1である。GaNAs層の成長が始まる際に、DMHyの供給量をゼロから5秒間をかけて傾斜させて初期値へ向けて変化させている。GaNAs層の成長時間は20秒である。GaNAs層の成長が終了する際には、DMHyの供給量を最終量から一気にGaInNAs層の初期値に変化させる。この実施例では、GaInNAs層の成長が終了する際には、DMHyの供給量をゼロに変化させている。このようにして得られたエピタキシャルウエハの活性層の領域を二次イオン質量分析(SIMS)を用いて窒素組成の分布を調べた。その結果、窒素濃度がGaInNAs層界面に集中している。窒素濃度がGaNAs層界面に集中している結果は得られなかった。
以上説明したように、実験例では、ヒ素原料ガスTBAsの供給モル量に対して、V族元素の窒素原料ガスDMHyの供給モル量が3〜100倍と大きい。このように供給比が大きい場合、GaInNAs層の成長ステップの開始と同時にDMHyの供給が開始されると、GaInNAs層の成長ステップが開始された後にTBAsガスとDMHyガスが混合され始める。しかしながら、上記のように供給比が大きいので、TBAsガスとDMHyガスとが均一に混合されない。その結果、GaInNAs層の成長表面には、供給比の大きい原料ガスであるDMHyガスが過剰に供給され、この結果、窒素(N)原子がパイルアップし窒素濃度が局所的に大きくなる。この現象は、GaInNAs層の成長開始直後に起こるので、GaInNAs層の界面(下地のGaAs層との境界面)に窒素がパイルアップする。この窒素濃度のパイルアップは、界面での非発光準位の形成や、ミクロの歪に起因した欠陥を形成する。この結果として、良好なGaInNAs量子井戸層の特性が得られない。
これに対して、GaInNAs層の成長開始時にDMHy供給方法を変更している。DMHyの供給量が、ゼロから傾斜して所望の供給量に到達している。この方法では、供給比が100倍もの大きな場合でも、供給比の多い原料ガスの供給量がゼロから徐々に増加していくことから、TBAsガスとDMHyがほぼ好適に混合される。原料ガスが混合された後に、基板上の領域に供給されるので、一方の構成元素のパイルアップは起こらない。結果として良好なGaInNAs量子井戸層の特性が得られる。これまでの実験結果から、本出願の手法は、[第1の原料ガス量]/[第2の原料ガス量]の比の値が3以上の範囲内で効果を発揮する、つまりNが界面でパイルアップして特性悪化していた現象が低減されてパイルアップなどがなくなる良い効果が出ている。また、GaInNAsだけでなく、V族として窒素とほかの元素を含むIII−V化合物半導体(例えば、GaNAs)でも同様の方法が有効である。
以上説明したように、原料ガスの流量の大きな変化に起因した該原料ガスの混合の不均一が2つの半導体層の界面に及ぼす影響を低減して、界面付近における窒素組成の望まれない変化を縮小できる。なお、ガリウム原料としてTEGaを用いたが、これに限定されること無く、例えばトリメチルガリウム(TMGa)等を用いることができる。インジウム原料としてTMIn用いたが、これに限定されること無く、例えばトリエチルインジウム(TEIn)等を用いることができる。燐原料としてTBP用いたが、これに限定されること無く、例えばフォスフィン(PH3)等を用いることができる。ヒ素原料としてTBAsを用いたが、これに限定されること無く、例えばアルシン(AsH3)等を用いることができる。窒素原料としてDMHyを用いたが、これに限定されること無く、例えばターシャリーブチルヒドラジン等を用いることができる。
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本実施の形態では、例えば、レーザダイオードといった半導体発光素子を説明したけれども、本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
11…気相成長装置、13…ガス供給系、15…排気装置、17…除害装置、21…キャリアガスライン、23a〜23h…マスフローコントローラ(MFC)、G1、G2、G3、G4…原料ガス、27a…DMHy用容器、27b…TBAs用容器、27c…TMGa用容器、27d…TMIn用容器、31a…DMHy用ライン、31b…TBAs用ライン、31c…TMGa用ライン、31d…TMIn用ライン、63…活性領域、65…井戸層、67…障壁層、69…第1のガイド層、71…第2のガイド層、73…第1導電型クラッド層、75…第2導電型クラッド層、77…コンタクト層、79…バッファ層、81…基板
Claims (9)
- 気相成長法を用いて、V族構成元素として窒素元素およびヒ素元素を含むIII−V化合物半導体を成長する方法であって、
窒素のための第1の原料ガス、窒素以外の少なくとも一種類のV族構成元素のための第2の原料ガス、およびIII族構成元素のための第3の原料ガスを用いて、ヒ素およびリンの少なくともいずれかをV族構成元素として含む第1のIII−V化合物半導体からなる半導体領域上に、窒素をV族構成元素として含む第2のIII−V化合物半導体を成長する工程を備え、
前記第1の原料ガスの流量は、第2のIII−V化合物半導体を成長する前記工程において、前記第2のIII−V化合物半導体の成長における初期値へ該初期値より小さい第1の値から第1の時間で変化するように制御されると共に、前記第2のIII−V化合物半導体の成長における最終値から該最終値より小さい第2の値へ第2の時間で減少しており、
前記第1の時間は前記第2の時間より長い、ことを特徴とする方法。 - 気相成長法を用いて、V族構成元素として窒素元素およびヒ素元素を含むIII−V化合物半導体を成長する方法であって、
窒素のための第1の原料ガス、窒素以外の少なくとも一種類のV族構成元素のための第2の原料ガス、およびIII族構成元素のための第3の原料ガスを用いて、ヒ素およびリンの少なくともいずれかをV族構成元素として含む第1のIII−V化合物半導体からなる半導体領域上に、窒素をV族構成元素として含む第2のIII−V化合物半導体を成長する工程を備え、
前記第1の原料ガスの流量は、第2のIII−V化合物半導体を成長する前記工程において、前記第2のIII−V化合物半導体の成長における初期値へ該初期値より小さい第1の値から第1の時間で増加するように制御されると共に、前記第2のIII−V化合物半導体の成長における最終値から該最終値より小さい第2の値へ第2の時間で変化しており、
前記第3の原料ガスの流量は、第2のIII−V化合物半導体を成長する前記工程において、前記第2のIII−V化合物半導体の成長における所望の値へ該所望の値より小さい第3の値から第3の時間で変化しており、
前記第1の時間は前記第3の時間より長い、ことを特徴とする方法。 - 前記第1の時間は3秒以上である、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された方法。
- 全V族原料ガスに対する前記第1の原料ガスの供給モル比[第1の原料ガス]/[第2の原料ガス]は3以上である、ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載された方法。
- 前記第1の時間は、前記第2のIII−V化合物半導体を成長する時間の1/3以下である、ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載された方法。
- 第3のIII−V化合物半導体を成長する工程をさらに備え、
前記第2および第3のIII−V化合物半導体の一方は井戸層を構成しており、
前記第2および第3のIII−V化合物半導体の他方は障壁層またはガイド層を構成しており、
前記井戸層は、Al、Ga、In、N、P、AsおよびSbの少なくともいずれかを含む化合物半導体で構成されており、
前記井戸層の前記化合物半導体は、少なくともAsとNのいずれかを含む、ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載された方法。 - 第3のIII−V化合物半導体を成長する工程をさらに備え、
前記第2および第3のIII−V化合物半導体の一方は井戸層を構成しており、
前記第2および第3のIII−V化合物半導体の他方は障壁層またはガイド層を構成しており、
前記井戸層は、Al、Ga、In、N、P、AsおよびSbの少なくともいずれかを含む化合物半導体で構成されており、
前記井戸層の前記化合物半導体は、少なくともAsおよびPのいずれかを含む、ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載された方法。 - 第3のIII−V化合物半導体を成長する工程をさらに備え、
前記第2および第3のIII−V化合物半導体の一方は井戸層を構成しており、
前記第2および第3のIII−V化合物半導体の他方は障壁層またはガイド層を構成しており、
前記第2および第3のIII−V化合物半導体の他方は、Al、Ga、In、N、P、AsおよびSbの少なくともいずれかを含む化合物半導体であり、
前記第2および第3のIII−V化合物半導体の他方は、少なくともAsとNのいずれかを含む、ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載された方法。 - 前記第1の原料ガスの前記第1の値は実質的にゼロである、ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載された方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009081192A (ja) * | 2007-09-25 | 2009-04-16 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 半導体光素子を作製する方法、及びiii−v化合物半導体結晶を成長する方法 |
JP2010165736A (ja) * | 2009-01-13 | 2010-07-29 | Sumitomo Electric Ind Ltd | Iii−v化合物半導体を成長する方法 |
-
2005
- 2005-12-01 JP JP2005348158A patent/JP2007157842A/ja active Pending
Cited By (2)
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JP2009081192A (ja) * | 2007-09-25 | 2009-04-16 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 半導体光素子を作製する方法、及びiii−v化合物半導体結晶を成長する方法 |
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