JPH0963960A - スパッタリングによる薄膜形成方法及びその装置 - Google Patents

スパッタリングによる薄膜形成方法及びその装置

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JPH0963960A
JPH0963960A JP21558795A JP21558795A JPH0963960A JP H0963960 A JPH0963960 A JP H0963960A JP 21558795 A JP21558795 A JP 21558795A JP 21558795 A JP21558795 A JP 21558795A JP H0963960 A JPH0963960 A JP H0963960A
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sputtering
film
target
substrate
plasma
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JP21558795A
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Hideaki Shimamura
英昭 島村
Hide Kobayashi
秀 小林
Akira Yajima
明 矢島
Hiroyuki Shida
啓之 志田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】異物の発生しないスパッタ成膜方法及び装置の
実現を目的とする。 【構成】スパッタターゲット120と成膜対象基板10
3との対向面間の隙間にプラズマ放電を形成し、基板表
面に薄膜を形成するスパッタリングによる薄膜形成方法
であって、スパッタターゲットのスパッタ主面と成膜対
象基板とのなす距離d0をプラズマのダークスペース
(イオンシース)の少なくとも2倍以上とし、好ましく
はできる限り2倍に近接させ、しかも放電空間に導入す
るスパッタガスの圧力を20mTorr〜2Torr、実用的に
好ましくは50〜200mTorrとする。 【効果】極微小な異物起因での歩留り低下を解消し、例
えば微細化された半導体配線薄膜の形成に極めて有効で
ある。ターゲットを厚くしターゲット寿命を延ばすこ
と、また、交換の周期をも2〜3倍に延長することがで
き、半導体装置の生産歩留りの向上と、装置稼働率の向
上によるスループットの大幅アップを実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スパッタリングによる
薄膜形成方法及びその装置に係り、特に電子デバイスを
構成する薄膜を形成するのに好適な薄膜形成方法及びそ
の装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スパッタリング装置の一般的な構成は、
適当な真空排気手段とそれによって真空排気される真空
槽、真空槽内を適当な動作圧力に維持するArガスの導
入手段、スパッタリングターゲット、スパッタリングタ
ーゲットに接続され、スパッタリングターゲットを負の
高電位に維持するスパッタリング用の電源からなる。更
にスパッタリングによって成膜を行う対象となる基板
と、その基板を成膜工程中に保持するための基板ホルダ
を備えている。
【0003】スパッタリングによる成膜技術は非常に広
い範囲で、様々な用途に利用されているが、ここでは電
子デバイスを製造するために薄膜の形成に使用する場合
の従来技術について説明を行う。このような電子部品製
造の用途では、幾何学的な大きさが非常に小さく、成膜
工程で形成する膜の厚さもミクロンオーダの非常に薄い
ものである。また、平面的な大きさも超LSIに見られ
るように、時にはミクロンオーダ以下の寸法を持つ。
【0004】このような電子部品の成膜工程では、小さ
な異物の工程中の成膜対象基板への付着であっても、そ
の電子部品を不良品としてしまう。このためにプラズマ
処理工程で発生する異物は厳しく管理されなければばな
らない。異物の発生については十分な対策を行い完全に
発生を抑えることが望まれている。
【0005】プラズマを利用した成膜工程では、成膜対
象基板以外の場所にも、膜が形成される。この不要な成
膜が直接真空槽の壁面で起こると、清掃が大変であるの
で、通常は、真空槽の壁面を防着シールド板と呼ぶ、板
材で覆い、この不要な成膜を受ける。この不要な膜形成
の厚さがある限界を越えると、膜が剥がれたりすること
でそれが基板上に付着することが異物の原因となる。上
記成膜対象の基板上以外に付着するスパッタ粒子を不要
堆積物と呼ぶことにする。したがって、この不要堆積膜
の厚さがある厚さになると、この防着シールド板を交換
したり、防着シールド板もしくは真空槽の壁面から付着
物(不要堆積膜)を機械的に掻き落すなどして清掃作業
を行うことが行われている。
【0006】上記剥離異物の低減のためには付着膜剥離
の少ない真空部品を用いることが重要である。例えばス
パッタ成膜の場合、一般的に使用される防着板はステン
レス、Al、Cu等の数種類の材料について異物発生頻
度との対応を調査し選ばれる。また、投錨効果を期待し
たブラスト処理、もしくはAl溶射が施されたものが用
いられる。
【0007】さらには、真空槽の壁面を防着シールド板
で覆う代わりに、ターゲット板の外周上方に同一材料か
らなる他の筒状電極を設け、基板をこの筒状電極の開口
部の縁に接近させて僅かな隙間を形成すると共に、基板
とこれらターゲット電極とで囲まれた空間に放電領域を
形成し、スパッタされた成膜粒子を真空槽の壁面に飛散
させない構成とするものが提案されている。なお、この
種の技術に関連するものとして、例えば特開昭62−7
7460号公報が挙げられる。
【0008】また、ターゲットと基板電極との間の距離
を接近させる方法として、目的は異なるが例えば特開平
7−18437号公報に記載されているように、放電開
始を容易にするためにターゲットと基板電極との間の距
離を、放電開始可能距離に設定して放電を開始させた
後、これら両者間の距離を近接させて放電を維持しなが
ら基板表面に薄膜形成を行なう方法が知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本来、対象とする薄膜
を形成したい場所は、成膜対象の基板上に限られるが、
スパッタ粒子は基板以外の真空槽のいたるところに飛散
し付着する。これはスパッタリングの性質であり、即ち
ターゲットから飛び出したスパッタ粒子がランダムな方
向に飛翔するためである。
【0010】先に説明したように、成膜対象の基板上以
外に付着するこの不要堆積物が真空槽の内壁に直接堆積
しては真空槽の清掃に多大な時間を要し、生産効率を著
しく低下させる。そのため一般的には前述したように真
空槽の内壁とスパッタ粒子発生源(スパッタターゲッ
ト)との間に真空槽の内壁に直接スパッタ粒子を付着さ
せないように真空槽の内壁に防着シールドを設けてい
る。
【0011】しかし、従来の防着シールドでは、これに
付着した不要堆積物が剥離して飛散し、それが基板上に
付着して所謂異物発生源となる前に交換するか、或いは
メンテナンスを行う。その都度装置は生産を停止するこ
ととなり、生産性を大きく低下させる。また、異物が発
生すること自身で製品の歩留りが低下し、大きな問題と
なる。
【0012】さらにまた、防着シールドの代わりに、基
板をこの筒状電極の開口部の縁に接近させて僅かな隙間
を形成するスパッタ装置の場合は、磁場発生手段等が複
雑で大型化するため、電極のスペース効率が悪く、故障
ポテンシャルも高い。また、ターゲットで閉じ込められ
た空間を形成するため、その中の残留ガスが増加し成膜
中の不純物濃度が増加する。さらには、円板と円筒ター
ゲットから飛び出したスパッタ粒子の一部はお互いのタ
ーゲットにも付着し、これらが再度スパッタされてター
ゲットから飛び出す。この繰り返しが多くなるとターゲ
ット自身が汚染され異物発生の要因となる。
【0013】したがって、本発明の目的は、上記従来の
問題点を解決することにあり、防着シールドの寿命を延
ばし、基板上の異物発生を抑えて生産性の高いプラズマ
処理でのスパッタリングによる薄膜形成方法及びその装
置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】成膜対象基板上に異物を
付着させないことを目的として、種々のスパッタ条件を
検討する上で本発明は発生した。
【0015】まず、成膜対象基板以外にできるだけ成膜
させないことが必要であり、そのためにはターゲットか
ら飛び出して成膜対象基板方向以外に飛翔するスパッタ
粒子の量を減少させることが有効である。そのために
は、ターゲットと成膜対象基板との間隔をできる限り近
づけることである。然しながら、スパッタリングの為の
プラズマを発生・維持させる為には、カソード側とアノ
ード側の両電極表面にプラズマシース(イオンシース)
を形成できるだけの空間が必要であり、上記ターゲット
と成膜対象基板との間隔を上記ダークスペース空間を確
保できるだけ以上に離さねばならない。
【0016】上記プラズマシースの幅を小さくすれば、
上記ターゲットと成膜対象基板との間隔を更に小さくす
ることができる。そのためには、スパッタガスの圧力を
高くし、プラズマ中のイオン(電子も同様に)の平均自
由行程を短くすればよい。
【0017】然しながら、どんなに上記手段を実行した
上であっても成膜対象基板以外に付着するスパッタ粒子
はゼロにはならない。
【0018】そこで、防着シールド上に堆積する速度を
基板上に対比して著しく低下させることが有効である。
そのためには、単純には、防着シールドをスパッタ源か
ら離すことが必要である。然しながら、徒に真空槽を大
きくすることは、装置スペースを大きくしてしまった
り、装置内の基板搬送機構に無理を与える等の問題があ
り、得策でないことは明白である。
【0019】そこで、真空槽のサイズを従来のレベルで
実効的に防着シールドとターゲットとの距離を離す効果
を出すためにも、スパッタガス圧を高くしスパッタ粒子
の平均自由行程を短くすることが有効である。
【0020】また更に、防着シールドに堆積した不要堆
積物が剥離しても成膜対象基板上に到達しにくいよう
に、防着シールド上の不要堆積物が堆積する領域を成膜
対象基板に対し相対的に位置を移動させる手段を具備す
ることで解決できる。
【0021】以上の様にスパッタ粒子の平均自由行程が
小さくなると、成膜対象基板上での成膜速度分が不均一
になる場合がある。こういった場合には、磁石を回転さ
せたり、特公昭59−22788号公報(特許1249
013号)に代表される、所謂2重磁極プラズマ移動型
スパッタ電極を用いプラズマの発生位置を成膜対象基板
に対し相対的に移動させる等して、成膜対象基板上での
膜厚分布を均一にできる。
【0022】以上の知見に基づいて本発明はなされたも
のであり、その達成手段を以下に具体的に述べる。
【0023】すなわち、本願発明の目的を達成するため
の第1の発明となるスパッタリングによる薄膜形成方法
は、スパッタターゲットと成膜対象基板との対向面間の
隙間にプラズマ放電を形成し、基板表面に薄膜を形成す
るスパッタリングによる薄膜形成方法であって、スパッ
タターゲットのスパッタ主面と成膜対象基板とのなす距
離d0をプラズマのダークスペース(イオンシース)の
少なくとも2倍以上とし、好ましくはできる限り2倍に
近接させ、しかも放電空間に導入するスパッタガスの圧
力を20mTorr〜2Torr、実用的に好ましくは50〜2
00mTorrとすることを特徴とする。
【0024】このスパッタリングによる薄膜形成の代表
的な応用例としては、成膜対象基板として半導体ウェ
ハ、ターゲット材として配線導体金属が挙げられ、これ
によって信頼性の高い微細な配線パターンの形成を実現
可能とする。
【0025】また、本願発明の目的を達成するための第
2の発明となるスパッタ成膜装置は、真空槽を構成する
筐体内に、少なくとも真空排気手段と、スパッタガス導
入手段と、スパッタターゲットを保持するスパッタ電極
と、ターゲット主面に対向させて成膜対象基板を置載す
る基板ホルダと、ターゲットと成膜対象基板との隙間に
プラズマを発生するための電源を含むプラズマ発生手段
とを具備してなるスパッタ成膜装置であって、少なくと
もターゲットと成膜対象基板の外周を囲むように、これ
ら外周から所定距離d1をおいて防着シールドを配設す
ると共に、ターゲットと成膜対象基板との間隙に対向し
て防着シールドの位置を相対的に移動させる防着シール
ド移動機構とを真空槽に配設し、防着シールドの特定位
置に堆積する不要堆積膜の付着量に対応させて防着シー
ルドの位置を相対的に移動させるようにしたことを特徴
とする。
【0026】防着シールドの特定位置に堆積する不要堆
積膜は、スパッタ成膜時間もしくは成膜量を支配するス
パッタ条件に基づいて真空槽外部から容易に知ることが
できる。したがって、防着シールドの特定位置に特定量
の不要堆積膜が堆積する前に防着シールドを防着シール
ド移動機構により移動して、ターゲットと成膜対象基板
との間隙に対向する防着シールドの位置を常に異物発生
の恐れのない面が維持できるように管理する。すなわ
ち、特定量の不要堆積膜とは、基板上への成膜時に異物
発生の恐れのある堆積量(限界堆積量)のことで、この
膜厚に達する前に防着シールドの位置を移動するもので
ある。
【0027】防着シールド移動機構としては、各種の移
動機構から選択されるが、例えばべローズで真空を保持
しながらべローズの一端に取り付けた昇降可能な移動機
構によって防着シールドを上下に移動する構成とする。
【0028】そして好ましくは、ターゲットと成膜対象
基板の外周から(一般に基板よりもターゲットの方が大
きいのでターゲット外周を基準とする)防着シールドま
での距離d1がスパッタガスに依って決まるスパッタ粒
子の平均自由行程の100倍以上、望ましくは200倍
以上とすることである。
【0029】また、スパッタターゲットと成膜対象基板
の間にプラズマ放電を形成するためのプラズマ発生手段
としては、真空槽を構成する筐体を一方の端子、筐体か
ら電気的に絶縁されたスパッタ電極を他方の端子とし、
これら両端子間に直流もしくは高周波電力を印加してス
パッタターゲットと成膜対象基板との間にプラズマ放電
を形成する構成が代表例として挙げられる。
【0030】本発明においては、スパッタターゲットと
成膜対象基板との間隔d0をイオンシースの少なくとも
2倍以上で極力2倍に近づけることが重要であることか
ら、基板表面の高さを正確に位置決めすることが必要と
なる。そのためには、例えばべローズで真空を保持しな
がらべローズの一端に取り付けた昇降可能な移動機構に
よって基板を保持する基板ホルダを上下に移動させる構
成とする。
【0031】
【作用】ターゲットと成膜対象基板との間隔を短くする
ことで、ターゲットから真空槽を見たときの立体角が小
さくなるので、防着シールド上に成膜する不要堆積物の
量が小さくなる。
【0032】更に、少なくとも20mTorr以上という高
スパッタガス雰囲気中では、当然のことながらスパッタ
粒子の平均自由行程も短くなるので、ターゲットから飛
散したスパッタ粒子の方向ベクトルの総和は概略スパッ
タ面に対し垂直となる。従って、プラズマと対向した部
分への成膜が支配的となるので、換言すれば、スパッタ
ガス圧力を高くするほど成膜対象基板上への成膜速度に
比べ成膜対象基板以外への成膜速度が小さくなる。結果
として、防着シールドへの堆積量を小さくでき、目的と
する成膜対象基板への限定成膜が可能となるのである。
【0033】また、スパッタガス圧力を高くすることは
別の作用も同時に発生する。即ち一旦堆積した不要堆積
物がたとえ剥離したとしても、防着シールドからの飛散
物は高いスパッタガスに散乱されてしまい、成膜対象基
板へ到達できないのである。防着シールドを成膜対象基
板から離せば離す程、この効果は大きい。
【0034】また、長期間の使用ではどうしても防着シ
ールドへ不要堆積膜が成長する場合もある。そういった
場合には、不要堆積膜の剥離限界に至る前に、不要堆積
膜が成長した領域を成膜対象基板に対し順次相対的に移
動させることで、常にフレッシュな防着シールド面を対
向させることができ、結果として成膜対象基板へ異物を
付着させないことができる。
【0035】また、スパッタガス圧力を高めることで膜
厚分布が不均一になる場合にはプラズマの発生位置を成
膜対象基板に対し相対的に移動させる等して、スパッタ
粒子のターゲットからの飛び出し位置を変化させること
で成膜対象基板上での膜厚分布を均一にできる。
【0036】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面にしたがって
説明する。図1は、本発明のスパッタ装置の真空槽とな
るスパッタ室101及び基板搬送室117の要部断面模
式図を表わしており、これら両真空室はゲートバルブ1
15により真空的に接続されている。
【0037】ここでは成膜対象基板としては、半導体装
置を製造する為のシリコンウェハ(以下ウェハ)を用い
た。ウェハ103は、基板ホルダ(ウェハホルダ)10
4に支持されており、ウェハホルダは図面ではスパッタ
処理を行う面に位置しており、ウェハホルダ移動機構1
19によって上下移動できる構成となっており、ウェハ
103をこのウェハの搬送の為に搬送室117に具備さ
れた搬送アーム(或いは搬送ロボット)116の位置す
る搬送面の高さまで移動できる。
【0038】このウェハホルダ移動機構119は、スパ
ッタ室101内のべローズにて真空を保持し、べローズ
内の移動機構によって基板(ウェハ)103を上下に正
確に位置決めできる構成となっている。
【0039】ウェハ103は、プレーナマグネトロンス
パッタ電極102に取り付けられたTiターゲット12
0に静止対向している。このスパッタ電極102は、絶
縁物114によりスパッタ室(真空槽)101と電気的
に絶縁されている。排気ポンプとしては、低温トラップ
付きの大流量型の複合ターボ分子ポンプ105をメイン
バルブ121を介して接続し、バックポンプとしては、
高真空化を図るためにドライポンプ106を用いた。
【0040】混合器(図示せず)により予め混合された
Arと窒素の混合ガスをガス流量制御器111により制
御しスパッタガスとしてスパッタ室(真空槽)101へ
導入した。図示のようにスパッタ電源108(この例で
は直流電源)より高電圧をスパッタ電極102に印加
し、ターゲット120上にプラズマ118を発生させ、
スパッタ成膜を行った。すなわち、この例では直流電源
108の陰極をスパッタ電極102に接続し、陽極を接
地すると共に真空槽101を構成する筐体側も接地し、
真空槽101に電気的に接続されたアノード113とス
パッタ電極102とで放電を開始する構成とした。
【0041】本実施例に用いたスパッタ電極102に
は、特公昭59−22788号公報(特許124901
3号)に代表される、所謂2重磁極プラズマ移動型スパ
ッタ電極を用いた。このスパッタ電極102は、円形タ
ーゲットの中心軸に沿って内側と外側に電磁石コイルを
コアキシャルに巻いた構造をしており(図示せず)、
内、外のコイルに投入する電流値の比を変化させること
で、ターゲット上に漏洩する円形トンネル状磁場の半径
を変化させることで、ターゲット上で発生させるプラズ
マの半径を任意に制御できる構成となっている。
【0042】ターゲット120とウェハ103乃至はウ
ェハホルダ104との外周を囲む位置に距離d1離した
位置に、上部に鍔付の円筒状の防着シールド109を設
置した。この防着シールド109は鍔部109aに接続
された防着シールド上下機構110によって、その位置
を図中の矢印の方向に上下移動させることができる。
【0043】また、この防着シールドは、鍔部109a
を持たない単なる円筒状であっても構わない。この場合
は、防着シールド上下機構110の端部で円筒シールド
の外周を抱えこむか、あるいは防着シールド上下機構1
10の端部を円筒の端部に取り付ければよい。
【0044】この防着シールド上下機構110の構成
は、外部のべローズによって真空が保持され、その一端
に接続された移動機構によって防着シールド109のウ
ェハ103とターゲット120との間隙に対向する位置
(不要堆積物が堆積する領域)を上下に正確に位置決め
できる構成となっている。この防着シールド109で殆
どの不要堆積物を付着させることができる。
【0045】なお、この防着シールド109により覆う
ことができないその他の部分は、第2の防着シールド1
12を設置して付着させる構成としたが、この第2の防
着シールド112は補助的なものであり必要に応じて設
ければよく、必ずしも必要としない。
【0046】図2は、ターゲット/ウェハ間距離d0
変化させた時の防着シールド109上での不要堆積物の
付着領域の幅d2の変化を示している。この図より、タ
ーゲット/ウェハ間距離d0を小さくすると、防着シー
ルド109上での不要堆積物の付着領域の幅d2が小さ
くなっていることが分かる。すなわち、ターゲット/ウ
ェハ間距離d0を小さくすることで防着シールド109
上への不要堆積物の量を少なくできることを示してい
る。
【0047】図3は、プラズマ118の半径を100m
mに固定した時のウェハ103上での成膜速度をウェハ
中心での値に対して正規化した相対成膜速度分布として
示している。なお、ターゲット/ウェハ間距離d0は5
0mmとし、環状のプラズマ118の中心位置をウェハ
103の中心に一致させている。
【0048】先ず、Arガスと窒素ガスの流量比を1対
1として全圧力を3mTorrに設定した。このときウェハ
上での相対成膜速度は図示(■印)のように均一であっ
た。さらに全圧力を30mTorrに増やすと、ウェハ上で
の成膜速度は図示(□印)のように断面が2山の環状の
分布形状となり、さらに300mTorrと増やしていくと
その傾向は益々強くなる。こらは、スパッタガス圧力を
増加させることでスパッタ粒子の平均自由行程が短くな
り、プラズマが発生している所の成膜速度が大きくなっ
た為である。換言すれば、プラズマが対向している位置
以外へのスパッタ粒子の飛び出し量が少なくなっている
と云える。
【0049】すなわち、ターゲット外周方向への不要な
スパッタ粒子の飛び出しが減少しているということであ
る。当然、プラズマの内側の分布も悪くなるが、これ
は、スパッタ電極の特徴であるプラズマ移動を成膜時間
内に行い、スパッタ粒子の飛び出し位置を変化させ、ま
た必要であればスパッタ電力等を制御してウェハ上で均
一な膜厚分布となるようにすればよい。
【0050】図4は、防着シールド109の取り付け位
置を変ることでターゲット最外周から防着シールドまで
の距離d1を変化させた時の、ウェハ上での成膜速度に
対する防着シールド109上のA点(図1参照)での相
対成膜速度を対数プロットしたものである。なお、ター
ゲット/ウェハ間距離d0は50mmとしている。
【0051】この図から明らかなように、防着シールド
109をウェハ103から遠ざけることでA点での相対
成膜速度を低下させることができることが分かる。ま
た、その相対成膜速度の低下の程度を表わすグラフの傾
きは、スパッタ圧力を増加させる程大きくなり、2Torr
では、d1が50mmの時、相対成膜速度をウェハ上で
の1/50まで低下させることができた。
【0052】例えば防着シールド109をターゲット外
周から50mm離したとし、スパッタ圧力を2Torrとす
ると、スパッタ粒子の平均自由行程は約0.035mmである
から、防着シールド109とターゲット120との距離
1はスパッタ粒子の平均自由行程の1429倍(=50mm÷0.
035mm)であるといえる。同様に、200mTorrに於いて
防着シールド上への成膜速度をウェハ上の1/10倍に
したい場合には、グラフを外挿して考えるとd1は約7
0mmでり、平均自由行程は約0.35mmであるから、防着
シールド109とターゲット120との距離d1を平均
自由行程の200倍と設計すれば良い。なお、スパッタ
粒子の平均自由行程(単位:mm)は、7×10-2/ス
パッタ圧力(単位:Torr)で計算したものである。
【0053】図1の防着シールド109上のA点に許容
し難い量の不要堆積物が付着したので、この防着シール
ド109を上昇させて、B点を元のA点の位置まで移動
させた。すると、防着シールド109を移動する前まで
プロセス後にウェハ上に付着していた異物が付着しない
ようになった。この実施例ではTi薄膜の形成例を示し
たものであり、半導体配線膜の微細化された配線薄膜の
形成に極めて有効であることを確認した。
【0054】なお、本発明は、上記実施例に限定される
ものでなく発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々形態を
変えて実施することができる。例えば、形成する薄膜の
材料としては、Ti金属に限らず、Cu、Al、Wなど
の金属や、Si等の半導体、あるいはこれらの合金や酸
化物などを用いることが可能である。
【0055】また、成膜対象基板としても、Si、G
e、GaAsなどの半導体ウェハに限らず、TFTを用
いた液晶ディスプレイーなどの基板として用いられる所
謂ガラス基板を用いることも可能である。
【0056】また、本実施例では、基板上での膜厚分布
を均一なものとする例として、所謂2重磁極プラズマ移
動型スパッタ電極を用いたが、プラズマをターゲット上
で発生させ、なおかつターゲットとの相対位置を変えて
基板上での均一な膜厚分布を得る手段としては、他に永
久磁石をターゲット裏面に配設し、磁石を偏心させて回
転させたり、単純な並進運動を行なわせる方法がある。
【0057】また、プラズマ位置は固定し、成膜対象基
板を偏心回転するか、並進運動させることでも膜厚分布
均一化の目的は達成できる。
【0058】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により所期
の目的を達成することができた。すなわち、スパッタ成
膜時にこれまで多発していたプロセス起因の異物が減少
した。また、ターゲット交換とターゲット交換の間に1
乃至は5回も行っていた従来の防着シールドのメンテナ
ンス作業をターゲットライフ内には行う必要がなくな
り、ターゲットの寿命が尽きてターゲット交換の時(或
いは2〜3回のターゲット交換時)に1回だけに同時に
交換すれば良くなった。
【0059】更に、防着シールドの寿命が従来のターゲ
ット寿命の2〜3倍に延長できたので、従来よりもター
ゲットを厚くしターゲット交換の周期をも2〜3倍に延
長できるようになった。
【0060】これらの効果により半導体装置の生産歩留
りの向上と、装置稼働率の向上によるスループットの大
幅アップを実現できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例となる装置構成を示した概略
断面図。
【図2】ターゲット−ウェハ間の距離d0と防着シール
ド上の成膜領域幅d2との関係を示した特性図。
【図3】ウェハ中心からの距離とウェハ上に堆積するス
パッタ膜の相対成膜速度との関係を示す特性図。
【図4】ターゲット最外周から防着シールド面上までの
距離d1と、ウェハ上の成膜速度に対する防着シールド
面上の相対成膜速度との関係を示す特性図。
【符号の説明】
101…スパッタ室、 102…スパッタ電極、 103…ウェハ、 104…ウェハホルダ(基板ホルダ)、 105…ターボ分子ポンス、 106…バックポンプ、 107…低温トラップ、 108…スパッタ電源、 109…防着シールド、 109a…防着シールドの鍔部、 110…防着シールド移動機構、 111…スパッタガス導入機構、 112…第2の防着シールド、 113…アノード、 114…絶縁、 115…ゲートバルブ、 116…搬送アーム、 117…搬送室、 118プラズマ、 119…ウェハホルダ上下機構、 120…スパッタターゲット、 121…メインバルブ。
フロントページの続き (72)発明者 志田 啓之 東京都小平市上水本町五丁目20番1号 株 式会社日立製作所半導体事業部内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スパッタターゲットと成膜対象基板との対
    向面間の隙間にプラズマ放電を形成し、基板表面に薄膜
    を形成するスパッタリングによる薄膜形成方法であっ
    て、スパッタターゲットのスパッタ主面と成膜対象基板
    とのなす距離d0をプラズマのイオンシースの少なくと
    も2倍以上で、限りなく2倍に近接させ、しかも放電空
    間に導入するスパッタガスの圧力を20mTorr〜2Torr
    として成るスパッタリングによる薄膜形成方法。
  2. 【請求項2】スパッタガスの圧力を50〜200mTorr
    として成る請求項1記載のスパッタリングによる薄膜形
    成方法。
  3. 【請求項3】成膜対象基板を半導体ウェハもしくはガラ
    ス基板とし、前記基板上に薄膜層を形成する工程を有し
    て成る請求項1もしくは2記載のスパッタリングによる
    薄膜形成方法。
  4. 【請求項4】プラズマ発生位置を成膜対象基板に対し、
    相対的に移動させながら成膜する工程を有して成る請求
    項1もしくは2記載のスパッタリングによる薄膜形成方
    法。
  5. 【請求項5】真空槽を構成する筐体内に、少なくとも真
    空排気手段と、スパッタガス導入手段と、スパッタター
    ゲットを保持するスパッタ電極と、ターゲット主面に対
    向させて成膜対象基板を置載する基板ホルダと、ターゲ
    ットと成膜対象基板との隙間にプラズマを発生するため
    の電源を含むプラズマ発生手段とを具備してなるスパッ
    タ成膜装置であって、少なくともターゲットと成膜対象
    基板の外周を囲むように、これら外周から所定距離d1
    をおいて防着シールドを配設すると共に、ターゲットと
    成膜対象基板との間隙に対向して防着シールドの位置を
    相対的に移動させる防着シールド移動機構とを真空槽に
    配設して成り、防着シールドの特定位置に堆積する不要
    堆積膜の付着量に対応させて防着シールドの位置を相対
    的に移動させながら成膜するようにして成るスパッタ成
    膜装置。
  6. 【請求項6】プラズマ発生位置を成膜対象基板に対し、
    相対的に移動させる機構を具備して成る請求項5記載の
    スパッタ成膜装置。
  7. 【請求項7】プラズマ発生手段の電源を直流電源、もし
    くは高周波電源として成る請求項5記載のスパッタ成膜
    装置。
  8. 【請求項8】防着シールドに固定された防着シールド移
    動機構により、防着シールドを上下移動させる構成とし
    て成る請求項5記載のスパッタ成膜装置。
JP21558795A 1995-08-24 1995-08-24 スパッタリングによる薄膜形成方法及びその装置 Pending JPH0963960A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009203495A (ja) * 2008-02-26 2009-09-10 Nippon Hoso Kyokai <Nhk> カルーセル式マグネトロンカソード及びスパッタ装置
JP2016108610A (ja) * 2014-12-05 2016-06-20 信越化学工業株式会社 スパッタリング装置、スパッタリング方法及びフォトマスクブランク

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