JPH0961822A - 液晶表示装置とその製造方法 - Google Patents

液晶表示装置とその製造方法

Info

Publication number
JPH0961822A
JPH0961822A JP21360995A JP21360995A JPH0961822A JP H0961822 A JPH0961822 A JP H0961822A JP 21360995 A JP21360995 A JP 21360995A JP 21360995 A JP21360995 A JP 21360995A JP H0961822 A JPH0961822 A JP H0961822A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
substrate
alignment
sections
substrates
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP21360995A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuo Toko
康夫 都甲
Takashi Sugiyama
貴 杉山
Kiyoshi Ando
潔 安藤
Hiyakuei Chiyou
百英 張
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Stanley Electric Co Ltd
Original Assignee
Stanley Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Stanley Electric Co Ltd filed Critical Stanley Electric Co Ltd
Priority to JP21360995A priority Critical patent/JPH0961822A/ja
Publication of JPH0961822A publication Critical patent/JPH0961822A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 視角依存性が少なく、ディスクリネーション
ラインが発生しない表示品位の高い液晶表示装置とその
製造方法を提供することである。 【解決手段】 一定の間隔で平行に対向配置された一対
の基板と、前記一対の基板間に挟持された液晶層と、前
記一対の基板の表面上に形成され、画素単位で前記液晶
層に電界を印加する電極と、前記一対の基板のうち少な
くとも一方の基板の対向表面上に形成された配向膜を有
する。この配向膜表面には、プレチルトと単一の基板面
内の配向方向を液晶分子に付与する区分が各画素ごとに
複数画定されている。各画素内で前記区分における液晶
分子の基板面内の配向方向が隣接する前記区分相互で異
なる場合は、その区分間に液晶分子の基板面内の配向方
向が連続して変化している帯状領域が画定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置とそ
の製造方法に関し、特に表示品質の高い液晶表示装置を
提供する配向処理技術に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、一対のガラス基板を張
り合わせ、その間に液晶材料を注入した液晶セルを有す
る。液晶材料の特定の分子配列を電界等の外部からの作
用によって別の異なる分子配列に状態変化させて、光学
的特性の変化を視覚的な変化として表示に利用してい
る。
【0003】液晶分子をある特定の配列状態にするため
には、液晶を挟むガラス基板の表面(ガラス基板上の電
極を覆う配向膜の表面)に配向処理を行うのが普通であ
る。従来のツイストネマチック(TN)形液晶セルで
は、配向処理として液晶層に接する配向膜の表面を綿布
のようなもので一方向に擦るいわゆるラビング法が採用
されている。
【0004】図10に示すように、矢印Rdで示す一方
向にラビング処理した配向膜Foは、配向膜上の液晶分
子LMに矢印Ldで示す基板面内の配向方向とプレチル
ト角θtを付与する。この基板面内の配向方向とラビン
グの方向は、ほぼ一致している。
【0005】プレチルトとは、液晶分子の長軸が基板面
に対しあるプレチルト角θtを持って傾斜している状態
をいう。プレチルトを有する液晶分子に電界をかける
と、液晶分子は、基板面に対し持ち上がっている側の軸
端から立ち上がる。液晶分子の基板面側の軸端から持ち
上がっている軸端を向く矢印の基板面への垂直投影像
(プレチルトの向き)は、基板面内の配向方向Ldと一
致する。
【0006】一方向にラビング処理した配向膜は、液晶
分子にプレチルトと単一方向に揃った基板面内の配向方
向を付与する。よって、これらの液晶分子は、全て同じ
方向から立ち上がることになる。即ち液晶表示装置はあ
る角度からは見えやすく、別の角度からは見えにくいと
いった視角依存性を持つ。観測者にとって表示の見やす
い角度が、特定の角度範囲に制限されてしまうことにな
る。
【0007】このように、大きな視角依存性をもつ液晶
表示装置では、表示画面に対してある角度ではコントラ
ストが極端に低下し、甚だしい場合には表示の明暗が反
転してしまう。
【0008】この視角依存性を小さくし、視野角を拡大
する為に、配向膜の各画素領域内に、複数の異なる基板
面内の配向方向を形成する配向処理方法が検討されてい
る。図9は、従来の配向処理の例を示す。基板上の配向
膜の一部を取り出して図示している。基板上の配向膜面
は、各画素に対応する領域ごとに4つの区分に分けら
れ、各区分ごとの配向膜にプレチルト及び単一の基板面
内の配向方向が付与されている。配向膜面は、全ていず
れかの区分に属しており、ほぼ配向膜全面に液晶分子の
配向を規制する積極的配向処理が施されている。
【0009】図中、破線で囲む画素領域51’〜54’
が、上下の基板の表面上にそれぞれに形成された相互に
対向する電極で画定される一画素に相当する。図に示す
ように、基板上の配向膜面は、画素領域を含む区画51
〜54に分割され、それぞれの区画はさらに面積が等し
い4つの区分に分けられている。例えば区画51は、そ
の中心の回りに相互に4回回転対称となる4つの区分5
1a〜51dに分けられ、それぞれの区分に、矢印D5
1a〜D51dで示すプレチルトの向き及び単一の基板
面内の配向方向が付与されている。
【0010】良好な視角特性を得るには、できるだけ一
画素内の液晶分子の立ち上がる方向があらゆる方向から
均等に立ち上がることが望まれる。よって、矢印D51
a〜D51dに示すように、各区分の配向膜は、相互に
隣接する区分間で基板面内の配向方向が90度異なるよ
うに配向処理されている。
【0011】図9に示すような配向処理をラビング方法
を用いて、基板上の配向膜面に施すには、次のような手
順で配向処理を行っている。まず、配向膜を形成した基
板全面にレジスト膜を塗布する。露光現像工程を用い
て、各区画を4つの区分に分けたうちの1つの区分の配
向膜のみが露出するレジストパターンを形成する。この
上から基板面を一方向にラビングする。露出した区分に
ラビング方向とほぼ同一方向の基板面内の配向方向が付
与される。その後レジスト膜を剥離する。
【0012】新たに、配向処理した区分とは異なる他の
区分のうちいずれか1つの区分の配向膜が露出するレジ
ストパターンを形成する。その上から先のラビング方向
とは異なる一方向にラビングを行う。露出した区分の配
向膜にプレチルトとラビング方向と同一方向の基板面内
の配向方向が付与される。この後レジスト膜を剥離す
る。
【0013】同様なレジストパターンの形成とラビング
工程をさらに2回繰り返し、残りの2つの区分の配向膜
にもプレチルトを有する異なる基板面内の配向方向を付
与する。こうして、図9に示すような配向処理パターン
を基板に形成していた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】図9に示すように、基
板上の配向膜面の1画素に相当する領域を複数の区分に
分割し、各区分同士で相互に異なる基板面内の配向方向
を付与する配向処理を施すと、1画素内での液晶分子の
立ち上がり方向は1方向のみに偏らず、均等に4方向よ
り立ち上がるので、液晶表示装置の視角依存性は改善さ
れる。
【0015】しかし、各区分内の液晶分子には、単一向
きに揃った配向が付与されているが、隣接する区分間で
は、相互に異なる配向方向が付与されている為、隣接す
る区分間に基板面内の配向方向が不連続に変化する境界
線が発生する。例えば図9において、2つの区分51a
と51bの間には、境界線L1 ができる。
【0016】液晶層に電界がかかると、境界線L1 上に
存在する液晶分子は両側の区分51a、51b内の液晶
分子の配向の影響をどちらからも強く受けるため配向状
態が安定しない。ちょっとした条件の変化、例えば印加
電圧の大きさ等で液晶分子の立ち上がり方向が激しく変
化してしまう。こうして、この境界線L1が視覚でとら
えられる欠陥であるディスクリネーションラインとなる
ことが多い。画素領域内にこのようなディスクリネーシ
ョンラインが発生すると、表示品位が低下してしまう。
【0017】本発明の目的は、ディスクリネーションラ
インの発生を低減する表示品位の高い液晶表示装置とそ
の製造方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示装置
は、一定の間隔で平行に対向配置された一対の基板と、
前記一対の基板間に挟持された液晶層と、前記一対の基
板の表面上に形成され、画素単位で前記液晶層に電界を
印加する電極と、前記一対の基板のうち少なくとも一方
の基板の対向表面上に形成された配向膜であって、該配
向膜表面にプレチルトを有する単一の基板面内配向方向
を液晶分子に付与する区分が各画素ごとに複数画定さ
れ、かつ、各画素内で相互に隣接する前記区分に付与さ
れた基板面内配向方向が相互に異なる場合、隣接する区
分間に基板面内の配向方向が基板面内の位置に関して連
続的に変化する液晶分子が存在する帯状領域が画定され
た前記配向膜とを含む。
【0019】前記区分が前記配向膜に積極的に配向処理
した領域であり、前記帯状領域が前記配向膜に積極的に
配向処理していない領域であってもよい。本発明の液晶
表示装置の製造方法は、表面上に電極を有する一対の基
板を準備する工程と、前記一対の基板のうち少なくとも
一方の基板の前記電極上に配向膜を形成する工程と、前
記配向膜表面に、プレチルトと単一の基板面内の配向方
向とを液晶分子に付与する区分を、前記電極で画定され
る各画素領域ごとに複数画定するように配向処理すると
ともに、相互に隣接する前記区分の基板面内の配向方向
が異なる場合、その区分間に帯状領域を残す配向処理工
程と、前記一対の基板を一定の間隔で平行配置して、貼
り合わせる工程と、前記一対の基板間に液晶材料を注入
する工程とを有する。
【0020】液晶分子はその細長い形状に起因して隣接
する液晶分子に沿って並ぼうとする性質を有するので、
帯状領域上の液晶分子は隣接する両側の区分内の液晶分
子の配向に沿った並びかたをしようとする。
【0021】また、帯状領域上の液晶分子は、両側の区
分のいずれか近い方の区分内の液晶分子の配向の影響を
より強く受けるので、どちら側の区分により近いかによ
って配向状態が変わる。この為帯状領域内の液晶分子の
基板面内の配向方向は、均一ではなく、位置により連続
的に変化するものとなる。
【0022】この帯状領域内の液晶分子の配向方向の連
続的な変化が、隣接する区分間での液晶分子の配向の急
激な変化を適度に緩和すると思われる。この状態におい
て、帯状領域内の各液晶分子の配向状態が比較的安定
し、配向方向がちょっとした条件で大きく変化すること
が無くなるので、ディスクリネーションラインは殆ど発
生しなくなる。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は、本実施例において、基板
上の配向膜面に形成する配向処理の状態を示す平面図で
ある。
【0024】配向膜は、液晶セルを構成する一対の基板
の少なくとも一方の基板表面に形成すればよい。まず、
配向膜面を画素を単位とする領域(画素領域11〜1
4)に分ける。この画素領域は、液晶セルにおいて上下
の基板面に形成された透明電極によって電界が印加され
る単位に相当する。各画素領域間には、幅G2の帯状領
域が存在する。
【0025】さらに、この各画素領域に複数の区分を設
け、各区分ごとに、単一の基板面内の配向方向とプレチ
ルトを付与する積極的配向処理を行う。一画素内の相互
に隣接する区分に付与される基板面内の配向方向が異な
るように配向処理する。又、画素領域内の相互に隣接す
る区分間には、帯状領域を設ける。
【0026】例えば、画素領域11には、その中心に4
回回転対称な4つの区分11a〜11dと、各区分間に
幅G1の帯状領域を設ける。画素領域11内の区分11
a〜11dには、図中の矢印D11a〜D11dで示す
ように、互いに隣接する区分の基板面内の配向方向が相
互に90度異なるように、積極的配向処理を行う。
【0027】この他の画素領域12〜14にも、それぞ
れ4つの区分12a〜12d、13a〜13d、14a
〜14dと、各区分間に帯状領域を設け、互いに隣接す
る区分の基板面内の配向方向が相互に90度異なるよう
に、積極的配向処理を行う。
【0028】一方、画素領域内にある各区分間に設けら
れた幅G1の帯状領域、及び各画素領域間にある幅G2
の帯状領域の配向膜面には、積極的配向処理は行わな
い。なお、図1では、配向処理を施した4つの区分11
a〜11dを1組とする領域の大きさは、画素の大きさ
からはみ出すことなく描いているが、1画素の大きさよ
り多少大きくなってもかまわない。
【0029】図1には、画素領域毎に、4つの区分を形
成しているが、1画素内に設ける区分の数は4つに限ら
ない。2つでもよい。この場合は、隣接する区分間で、
基板面内の配向方向が180度異なるよう配向処理する
とよいだろう。勿論、1画素領域に4つ以上の区分を設
けてもよい。いずれの場合も、1画素内に形成する各区
分間に積極的配向処理しない帯状領域を残す。なお、各
区分の面積は、同一面積、同一形状であることが好まし
いだろう。
【0030】図1では、各画素領域ごとの4つの区分
に、基板面内の配向方向が相互に90度異なる配向を形
成している。この場合、液晶セルに組み合わせる偏光板
の偏光軸の方向に対し、液晶分子の配向方向を垂直もし
くは平行方向とできる為、液晶セルの透過率を高く維持
できる。ただし、相互に隣接する区分内の基板面内配向
方向の角度の相違は、特に90度に限定されない。
【0031】次に、図1に示したような配向膜面への配
向処理を、どのような方法で行うかについて述べる。ま
ず、感光性高分子膜を配向膜に用いる第1の配向処理方
法について説明する。感光性高分子膜を用いれば、ラビ
ング法によらず、プレチルトを有する配向を液晶分子に
付与することができる。
【0032】感光性高分子膜とは、光を照射すると何ら
かの構造的変化を生じる高分子材料であり、いわゆる光
偏光記憶膜もこの中に含まれる。感光性高分子膜には、
偏光された光を吸収すると吸収光の偏光方向と直交する
方向に液晶分子を配向するタイプの膜と吸収光の偏光方
向と平行に液晶分子を配向するタイプの膜がある。いず
れの膜を用いてもよいが、以下に、吸収光の偏光方向に
直交に液晶分子を配向させるPVC(ポリビニルシンナ
メート)膜を用いる場合について説明する。
【0033】図2(A)、図2(B)は、光照射による
PVC膜の分子構造の変化を示したものである。図2
(A)は、光照射を行う前のPVC分子を示す。主鎖方
向にn個の分子がつながっており、各分子は図に示すよ
うな側鎖を有する。
【0034】図2(A)の右図は、1つの側鎖に着目し
た時の屈折率楕円体の主光学軸を含む断面を示す。この
屈折率楕円体の長径及び短径は、それぞれ側鎖に対し直
交方向に伝搬する光のうち偏光面が側鎖方向に平行な成
分及び垂直な成分に対する屈折率に対応する。主光学軸
に平行な偏光面を有する光に対する屈折率が、主光学軸
に垂直な偏光面を有する光に対する屈折率より大きい
為、PVC膜中の分子は、光学的に正の複屈折性(Δn
>0)を示す。
【0035】図2(B)に示すように、側鎖と同一の偏
光方向P1を有する紫外線をこの分子に照射すると、偏
光方向P1に沿った側鎖において分子が光架橋し、側鎖
の構造を失う。よって、この方向の側鎖に起因する屈折
率の異方性が失われる。即ち、図2(B)の右図の屈折
率楕円体断面に示すように、照射光の偏光方向の屈折率
異方性が失われると考えられる。
【0036】基板面に塗布した直後のPVC膜では、分
子の側鎖はランダムな方向にほぼ等確率で存在する為、
膜全体としての異方性は示さないが、例えば、基板面法
線方向から一方向の偏光を有する紫外光を照射すると、
この方向のPVC分子の側鎖が架橋し、この方向の屈折
率異方性は失われる。紫外光の偏光方向と直交する側鎖
による面状の屈折率楕円体で示される屈折率異方性を示
すこととなると考えられる。
【0037】さらに、このPVC膜面に対し斜めより、
先の偏光光と直交する偏光方向を持つ別の紫外光を照射
すると、この偏光方向の側鎖の屈折率異方性が失われ
る。その結果、PVC膜は、基板面に対して傾斜した軸
状の屈折率楕円体で示される屈折率異方性を示すように
なると考えられる。
【0038】一般にPVC膜上の液晶分子は、膜の屈折
率楕円体の長軸に沿って並ぶ傾向がある。よって、上述
のように、基板面に対して傾斜した軸状の屈折率楕円体
で示される異方性を有するPVC膜を作製し、その上に
液晶分子を配置すると、これらの液晶分子にプレチルト
を付与することができる。
【0039】上述の感光特性を有するPVC膜を用いた
具体的配向処理工程について以下に述べる。まず、PV
Cをモノクロロベンゼンとジクロロメタンの混合溶剤に
2wt%溶解する。このPVC溶液をスピナにて、既に
必要な電極や素子が形成されている基板上に塗布する。
その後、100℃で約1時間乾燥させて、膜厚約100
nmのPVC膜を形成する。
【0040】基板上にマスクを重ね、その上から偏光を
有する紫外光を基板面に照射する。この時用いるマスク
のパターン例を図3(A)に示す。マスク31は、例え
ば各画素領域ごとに設ける4つの区分中の1つの区分に
対応する部分のみに照射光の透過領域T1b、T2b、
T3b、及びT4bを有している。なお、マスク33中
に示す破線で囲んだ領域は、図1に示した各区分11a
〜11d、12a〜12d、13a〜13d、14a〜
14dに対応している。
【0041】照射光としては、感光性高分子膜が吸収す
る紫外光、例えば高圧水銀灯の254nm、303nm
もしくは313nmの波長の光を用いる。図3(B)に
示すように、PVC膜が表面に形成された基板32の上
面にマスク31を重ね、その上から第1照射光33と第
2照射光34の2種の紫外光を照射する。2種の紫外光
の偏光方向及び光軸と基板との位置関係については、図
3(B)に示すxyz座標を用いて説明する。基板面内
の図中横方向をx軸、奥行き方向をy軸、基板法線方向
をz軸としている。
【0042】まず第1照射光33をz軸方向から基板面
に対し約50秒間照射する。この第1照射光33の偏光
方向33αは、例えばxy面上でx軸を+z軸方向から
みて時計回りに45°回転した方向に平行とする。
【0043】次に第2照射光34を基板面に対し斜めよ
り約5秒間照射する。例えば、入射角θは45°とす
る。第2照射光34の偏光方向34αは、第1照射光3
3の偏光方向33αと直交する関係とする。
【0044】マスクの透過領域T1b〜T4bに対応す
るPVC膜上の光照射領域には、吸収した上述の2種の
照射光の偏光方向に依存した基板面内の配向方向とプレ
チルトを液晶分子に付与する配向処理がなされる。
【0045】即ち、第1照射光の偏光方向と直交する基
板面内の配向方向と、第2照射光の入射角に依存するプ
レチルト角を有するプレチルトを液晶分子に付与するこ
とができる。このようにして、まず図1中の区分11b
〜14bに相当する部分に積極的配向処理がなされる。
【0046】マスク31を外し、新たに図1中の区分1
1a、12a、13a及び14aに相当する部分のみに
透過領域を有する別のマスクを基板32上に重ね、先の
工程と同様に、紫外光の照射を行う。この際、照射領域
の液晶分子に付与できる基板面内の配向方向が、図1中
の矢印D11aと同じ向きになるように照射光の偏光方
向を選択する。即ち、xy面上でx軸を+z軸方向から
みて逆時計回りに45°回転した方向に平行な偏光方向
を有する第1照射光をz軸方向から約50秒照射する。
さらに、入射面および偏光方向がそれぞれ第1照射光の
入射面及び偏光方向と直交する関係にある第2照射光を
基板面に対し、45度の角度から約5秒照射する。こう
して、区分11a、12a、13a及び14aに相当す
る部分に積極的配向処理がなされる。
【0047】さらに、区分11c、12c、13c及び
14c、区分11d、12d、13d及び14dにも、
それぞれ各区分を露出するマスクを基板上に重ね、形成
しようとする配向方向に合った光照射条件を選択して、
上述と同様な手順で積極的配向処理を施す。
【0048】こうして図1に示すように、プレチルトと
単一の基板面内の配向方向を持った区分を、各画素領域
ごとに4つ形成する。マスクには、各画素領域内の各区
分間に、積極的配向処理されない帯状領域を残すように
透過領域が配置されている。なお、適切な幅の帯状領域
を確保する為には、4回の光照射工程で用いるマスクの
位置合わせを正確に行う必要がある。
【0049】なお、第1照射光は必ずしも基板法線方向
から光を照射する必要はなく、基板面に対して斜めより
入射させてもよい。第1照射光と第2照射光の順番を変
えてもよい。
【0050】また、斜めから入射される偏光していない
自然光を照射光として用いてもよいだろう。物体に斜め
より照射された偏光していない自然光は、光の入射面内
の偏光成分であるp成分に較べ、入射面に対し垂直な偏
光成分であるs成分の反射率が高いという性質を持つ。
このことは、反射率の低い偏光成分であるp成分が選択
的に物体中に入射されることを意味する。よって、実質
的に入射面内の偏光方向を有する偏光した光を照射した
ことと同じになるからである。
【0051】なお、偏光した光を吸収すると、吸収光の
偏光方向と同一方向に液晶分子を配向するタイプの感光
性高分子膜を用いた場合は、基板面に対し斜めから偏光
した光を吸収させるだけでも液晶分子にプレチルトを付
与する配向処理を行うことができる。
【0052】なお、上述の感光性高分子膜を用いた配向
処理方法では、ラビングを伴わないので、基板上の機能
素子等を静電破壊するという問題が回避できる。次に、
上述の第1の配向処理方法で配向処理した配向膜を配し
た基板を用いて、液晶表示装置を作製する方法につい
て、図4(A)〜図4(C)を参照し、説明する。
【0053】まず、図4(A)に示すように、一対の基
板41aと41bを一定の間隔を保って貼り合わせ、セ
ル44を作製する。一方の基板41a上には、必要な電
極42aと、その上には、上述の方法で配向処理した感
光性高分子膜43aが設けられている。感光性高分子膜
43aには、積極的配向処理された区分と、積極的配向
処理されていない帯状領域が存在する。説明の便宜上、
図中に帯状領域ND1を大きめに描いている。
【0054】他方の基板41b上には、必要な電極42
bと、その上に配向処理していない配向膜43bが設け
られている。配向膜43bは、感光性高分子膜である必
要はなく、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコ
ール、SiO2 等を用いてもよい。
【0055】図4(B)に示すように、セル44をヒー
タ46で加熱し、カイラルネマティック液晶45をN−
I(N:ネマティック、I:アイソトロピック)相転移
点以上の温度に保ちながらアイソトロピック相(等方
相)で注入する。
【0056】液晶セルのギャップをd、液晶のカイラル
ピッチをpとすると、d/pが約0から約0.75の範
囲の値を取るように調整する。90度ツイストするTN
液晶を作製する場合は、d/p=0.25とする。
【0057】セル44を封止し、その後N−I相転移点
以下まで液晶温度を徐々に下げる。なお、液晶分子の注
入を常温のネマティック状態で行い、セルを封止後液晶
セル全体を加熱してアイソトロピック状態とし、さらに
常温までゆっくり冷却する方法を用いてもよい。
【0058】図5は、セル内の液晶分子が、冷却されて
ネマティック状態となった時の感光性高分子膜43aに
直接接している液晶分子の配向状態を示した平面図であ
る。区分51a〜51d内の液晶分子には、各区分に施
された積極的配向処理に従い、矢印D51a〜D51d
で示す基板面内の配向方向とプレチルトの向きが付与さ
れる。
【0059】積極的配向処理されていない帯状領域上の
液晶分子は、下地の配向膜から配向を付与されない。し
かし、液晶分子はその細長い形状に起因して隣接する液
晶分子に沿って並ぼうとする性質を有するので、隣接す
る両側の区分内の液晶分子の配向に沿った並びかたをし
ようとする。
【0060】また、両側の区分のいずれか近い方の区分
内の液晶分子の配向の影響をより強く受けるので、どち
ら側の区分により近いかによって配向状態が変わる。こ
の為帯状領域内の液晶分子の基板面内の配向方向とプレ
チルト角は、均一ではなく、位置により変化するものと
なるだろう。
【0061】よって、両側の区分からほぼ同距離にある
帯状領域の中心付近の液晶分子の基板面内の配向方向
は、両側の区分内の液晶分子が持つ配向方向の中間の方
向を示すものと思われる。例えば、図5中の左斜め上方
向きの基板面内配向方向に配列した液晶分子が存在する
区分51aと、図中右斜め上方向きの基板面内の配向方
向に配列した液晶分子が存在する区分51b間の帯状領
域内の中央の液晶分子は、破線の矢印DG51で示すよ
うな図中上方向きの基板面内の配向方向を持つだろう。
【0062】図4(C)は、N−I相転移点以下まで冷
却した液晶セルの断面を示す。なお、d/p=0.25
とし、ツイスト角を90度とした場合を示す。図に示す
ように、帯状領域ND1内の液晶分子は、両側の隣接す
る積極的配向処理された区分上の液晶分子の配列に影響
を受け、連続的に変化する基板面内の配向方向とプレチ
ルト角を有すると思われる。
【0063】従来のように、隣接する区分間に、積極的
配向処理されていない帯状領域が設けられていない場合
は、隣接する区分の境界上に存在する液晶分子は、両側
の区分の液晶の配列の影響を大きく受ける。この為、電
界の大きさや、ちょっとした条件の変化で液晶分子の立
ち上がり方向が大きく変化する。このような変化は、画
面上の欠陥、即ちディスクリネーションラインとして視
覚的にとらえられ、表示品位を下げることが多かった。
しかし、上述したように、配向膜面の各区分間に積極的
配向処理をしていない帯状領域を設けると、隣接する区
分間でディスクリネーションラインは殆ど発生しなくな
る。
【0064】これは、帯状領域内の液晶分子に付与され
る基板面内の配向方向とプレチルト角が帯状領域の幅方
向で連続的に変化するからだろう。即ち、連続的に変化
することで、隣接する区分間での液晶分子の配向の急激
な変化が適度に緩和されるものと思われる。この状態に
おいて、帯状領域内の各液晶分子の配向状態が比較的安
定し、配向方向がちょっとした条件で大きく変化するこ
とが無くなるので、ディスクリネーションラインは殆ど
発生しなくなるものと思われる。
【0065】但し、帯状領域の幅が狭すぎると、2つの
区分間の液晶分子のプレチルトの変化を十分に緩和する
ことが難しくなる。一方、幅が広すぎると、帯状領域の
中央に、両側の区分から離れすぎてどちらの区分からも
配向状態の規制を受け得ず、液晶分子の配向が不安定な
部分を作ってしまう恐れがある。このような場合は、や
はり配向が不安定な部分にディスクリネーションライン
が発生してしまうと思われる。よって、ディスクリネー
ションの発生を効果的に抑制する為には、帯状領域の幅
を適切に選択する必要があるだろう。
【0066】一般に、画素領域内の帯状領域の幅G1
は、0.5μmから20μm程度までが適当な範囲と思
われる。例えば、上述の作製方法に従い、上下の基板間
の間隔が5μmの液晶表示装置を形成する場合は、幅G
1を1μm以上10μm以下、好ましくは5μm程度に
選択することが望ましい。尚、上下の基板間の間隔が広
くなると、帯状領域の幅もやや広くした方が好ましいよ
うである。
【0067】なお、図1中の画素領域11と画素領域1
2との間にも、積極的配向処理をしない幅G2の帯状領
域を設けている。この領域上の液晶分子も、隣接する区
分内の液晶分子の配向状態の影響を受けるだろう。例え
ば、図5中、破線の矢印DG52に示すよう、この帯状
領域の中央の液晶分子も、両側に隣接する区分内の液晶
分子が示す基板面内の配向方向の中間的な配向方向を示
すだろう。
【0068】しかし、この領域は画素領域の外にあるの
でブラックマスクで覆われることもあり、直接表示に寄
与しないことが多い。この場合、帯状領域の幅は、隣接
する画素の間隔より狭ければよく、画素内に設ける帯状
領域の幅の選択と同様な基準で幅G2を選択する必要は
ないだろう。
【0069】さて、感光性高分子膜を用いた第1の配向
処理方法では、基板上の各画素領域に相互に異なる配向
方向を有する複数の配向処理領域を形成する為に、すで
に述べたように、異なるマスクを用いた光照射工程を複
数回繰り返す必要がある。従来のように、ラビング方法
を用いる場合は、さらにレジストを塗布し、露光現像工
程によりレジストパターンを配向膜上に形成し剥離する
一連の工程を複数回繰り返す必要があり、工程の負担は
さらに大きい。
【0070】しかし、上述の第1の配向処理方法に替え
て、「転写方法」を用いた配向処理を行うと、これらの
工程の負担を効果的に軽減することが可能となる。以下
に図6〜図8を参照して、転写方法を用いた第2の配向
処理方法について説明する。
【0071】図6(A)、図6(B)は、母基板を作製
する工程を示す。まず、ガラス基板64の上に直接配向
膜63を形成する。この配向膜63は、ポリイミド、ポ
リアミド、ポリペプチドアルコール等を用いればよい。
【0072】さらに配向膜63の上にレジスト膜を塗布
する。露光、現像を経て、各画素領域に設ける4つ区分
のうちの1つの区分、例えば、図1の11bに相当する
区分の配向膜63が露出するようにレジストパターン6
2aを形成する。図3(A)に示したマスクパターンと
同様なレジストパターンを基板上に形成することとな
る。
【0073】図6(A)に示すように、ラビングローラ
61を矢印R1の方向(反時計回り方向)に回転しなが
ら、レジストパターン62aと配向膜63とが形成され
た基板64上を擦る。ラビングローラ61を基板64に
対して矢印T1の方向に移動させ、配向膜63を擦って
行く。ラビングローラ61は、ローラの表面に綿布のよ
うなラビング布を張りつけたものである。
【0074】露出した配向膜面のみに矢印T1と同じ向
きの基板面内の配向方向とプレチルトの向きを付与でき
る配向処理がなされる。例えば、このラビングで図1に
示した区分11b内に相当する配向膜面に矢印D11b
で示す基板面内の配向方向が付与される。
【0075】次に、レジスト膜62aを除去して、新た
なレジスト膜を塗布する。すでに配向処理された区分を
除いて、各画素領域の残りの3つの区分のいずれか例え
ば図1に示す区分11aに対応する配向膜面が露出する
ようなレジストパターン62bを形成する。
【0076】図6(B)に示すように、再びラビングロ
ーラ61を矢印R2で示す方向(時計回り方向)に回転
しながら基板64上を擦り、ラビングローラ61を基板
64に対して矢印T2で示す方向に相対的に移動させ、
配向膜63を擦って行く。例えば、このラビング処理に
より、図1に示した区分11aに相当する配向膜面に矢
印D11aと同じ基板面内の配向方向とプレチルトの向
きを付与する配向処理がなされる。なお、上述の2回の
ラビング処理により形成される2つの区分の間には、ラ
ビングされない帯状領域NRを残す。
【0077】レジストパターン62bを除去し、続けて
各画素領域の残りの2つの区分にもそれぞれ上述と同様
な方法でレジストパターンの形成とラビングを繰り返
し、母基板上の配向膜面に、図1に示したような配向処
理パターンを形成する。即ち、プレチルトと単一の基板
面内の配向方向を付与するように積極的配向処理された
4つの区分を、各画素ごとに形成する。なお、各画素内
の隣接する区分の基板面内の配向方向は相互に直交して
いる。また、画素領域内の各区分間には、積極的配向処
理を行わない帯状領域が残される。
【0078】こうして作製した母基板は、子基板にその
配向パターンを転写するために用いられ、実際の液晶セ
ルの基板として用いられるわけではない。したがって、
母基板は原理的には何回でも使用することができる。
【0079】また、母基板は液晶セルを構成する為には
使用しないので、基板上に電極や能動素子等を形成する
必要がない。この為、ガラス基板上の配向膜面が平坦で
あり、一様なラビングを実現しやすい。
【0080】母基板への配向処理方法として、上述した
ラビング以外のそれほど量産性に優れない方法(斜方蒸
着法、ラングミュア・ブロジェット(LB)法、感光性
高分子膜を用いた方法、延伸高分子膜を用いた方法等)
を用いてもよい。これらの方法で母基板の配向構造を作
製しても、実際の生産性にはほとんど影響を与えない。
【0081】次に、図7(A)〜図8(B)を参照して
母基板から子基板に配向状態を転写する工程を説明す
る。図7(A)で示すように、配向処理された母基板6
4と転写したい子基板65とを対向配置させる。子基板
65上には配向処理していない配向膜66が形成されて
いる。配向膜66は、たとえばポリイミド膜、ポリアミ
ド膜、ポリビニールアルコール膜等の有機膜、及びSi
2 膜、ITO(インジウム−錫−酸化物)膜等の無機
膜であってもよい。
【0082】子基板65は、液晶セルに用いられる基板
であり、基板上の配向膜66の下部に液晶表示に必要な
電極構造EL等を有する。母基板64と子基板65間を
シール材等で固定封止する必要はない。この場合、両基
板間の間隔に特に制限はないが、きれいな転写を行うた
めには出来るだけ狭く、かつ均一な間隔が望ましい。
【0083】ネマティック液晶材料67を加熱してアイ
ソトロピック状態とし、対向配置した母基板64と子基
板65間に注入する。この液晶材料中にはカイラル材を
含まないものとする。液晶材料の注入は、真空注入、毛
細管注入等の方法を用いて行なうことができるが、一方
の基板上に液晶をたらし、その上に他方の基板を重ねて
もよい。
【0084】液晶材料の注入後、液晶材料67を相転移
温度以下(たとえば室温)まで徐々に冷却し、ネマティ
ック相に相転移させる。図7(B)で示すように、母基
板上の積極的配向処理された区分内の配向膜に接する液
晶分子LM1は、その配向処理に従って配向する。一
方、積極的配向処理されていない帯状領域NRの配向膜
に接する液晶分子は、下地の配向膜によっては配向を付
与されず、隣接する区分内の液晶分子の配向状態の影響
を受ける。よって、図7(B)に示すように、帯状領域
NR内の液晶分子は、隣接する一方の積極的配向処理さ
れた区分上の液晶分子の配向状態から他方の区分上の液
晶分子の配向状態にその位置に従ってすこしづつに変化
する配向が付与されるものと思われる。尚、帯状領域と
の液晶分子のプレチルト角は、積極的配向処理された領
域との液晶分子のプレチルト角に比較し、やや小さくな
るものと思われる。
【0085】さらに、液晶材料が冷却され、全体がネマ
ティック相に転移していく過程で、母基板上の配向膜界
面の液晶分子の配向状態が、次第に液晶層の厚さ方向の
液晶分子の並びを規制していき、界面の液晶分子の配向
状態によって規制された配向状態が液晶層全厚さに及
ぶ。こうして、母基板64上の配向膜に形成された配向
状態が、対向する子基板65上の配向膜66に転写され
る。
【0086】配向膜界面にある液晶分子は、一旦基板表
面に吸着されると容易には動かなくなる性質を有する。
これを一般にメモリ効果という。従って、こうして製作
された子基板65の配向膜66界面の液晶分子が配向膜
66に吸着され、その初期配向状態が保存される。
【0087】図8(B)に示すように、母基板64と子
基板65とを分離して余分な液晶材料67を取り除く
と、子基板65上の配向膜66表面に吸着された液晶層
が残る。配向膜66に吸着された液晶分子LM2は、基
板面内の配向方向およびプレチルトをそのままの状態に
維持する。
【0088】子基板と母基板の分離を液晶がネマチック
状態もしくは低温状態にある時に行なうと、転写した配
向膜66上の液晶配向状態が乱れることがある。そこ
で、図8(A)に示すように、一旦液晶を高温状態、特
にN−I点以上に加熱して配向膜表面近傍以外の液晶を
等方相(アイソトロピック相)にしてから、母基板と子
基板の分離を行なえば、転写基板上の液晶配向状態がほ
とんど乱れない。
【0089】配向状態の乱れの原因は転写基板上の液晶
配向のアンカリングエネルギ、特に方位角方向のアンカ
リングが弱いためと考えられ、分離時に基板を動かすと
きのバルクの液晶の動きに影響され、転写基板上の配向
が乱れるものと考えられる。高温になるに従い、液晶の
粘度や弾性定数が低下し、特にN−I点以上では液晶の
弾性定数が急激に小さくなる。このため、分離時にバル
クの液晶が動いても、転写基板上の液晶配向が、バルク
の液晶の動きによって影響を受けにくくなると考えられ
る。
【0090】ただし、ある温度を越えると、転写した配
向状態も乱れてしまうことがある為、転写基板を分離す
る際の温度を子基板上の配向膜に吸着した液晶分子の配
向状態が維持できる温度範囲とすることが必要である。
【0091】上述の場合には、カイラル剤を含まない液
晶材料67を使用したために、液晶分子は厚さ方向でね
じれずに、母基板64の配向状態と実質的に同じ状態が
子基板65側に転写されることになる。但し、図7
(B)から明らかなようにプレチルトの向きは、母基板
上に形成されたものと逆向きとなる。
【0092】なお、一旦作製した子基板を2代目の母基
板とし、配向処理していない基板を2代目子基板として
配向状態をさらに転写してもよい。この場合は2代目母
基板とする基板は、母基板同様、電極や駆動素子を有さ
ないものでよい。
【0093】カイラル材を適量ネマチック液晶材料に添
加してアイソトロピック相で注入してもよい。添加量や
ギャップ間隔に応じたねじれ角が液晶分子に生じるので
母基板64の配向状態にそのねじれ角を加味した配向状
態が子基板65側に転写されることになる。
【0094】カイラル材を含む液晶を用いる場合、転写
時のセル厚が均一でないと子基板上の液晶配向方向が場
所により異なってしまう。従って、カイラル剤を含む液
晶を用いる場合にはギャップ間隔を厳密に制御管理する
ことが好ましい。
【0095】作製する液晶表示装置の液晶材料としてカ
イラル材を含む液晶材料を用いる場合は、転写工程で
も、母基板と子基板間に挟む液晶材料として同じカイラ
ル材を同量含む液晶材料を用いることが好ましいだろ
う。この時転写時の母基板と子基板との間隔を、液晶表
示装置のセルの基板間隔とあわせてもよいだろう。
【0096】カイラル材を用いる場合に限らず、転写時
に用いた液晶材料は、配向膜界面に残るので、厳密にツ
イスト角の制御を行う為には、転写時に用いる液晶材料
と液晶表示装置の液晶セル内に入れる液晶材料材料を合
わせるほうが好ましいだろう。
【0097】転写する子基板に形成する配向膜と転写に
用いる液晶には、高温でも結合力の強い材料を用いるこ
とが望ましい。本実施例では、配向膜として、ポリイミ
ドSE−510(日産化学製)、液晶材料としてフッ素
系混合液晶(チッソ製、N−I点:108℃)を用い
た。これらの材料の場合、160℃以上に加熱したとき
転写子基板上の配向の乱れが生じる。したがって、10
8〜160℃の範囲で分離工程を行なうことが望まし
い。
【0098】転写方法を用いて子基板65上に転写され
た液晶分子の配向状態も、図5に示した先の実施例にお
いて得られた液晶分子の配向状態とほぼ同じものと考え
られる。
【0099】こうして得られた子基板65を、液晶セル
を構成する一対の基板の一方の基板として用いて、実施
例中の先に示した方法と同様な工程で液晶表示装置を作
製することができる。この時、一対の基板の他方の基板
として、配向膜に配向処理を行ってない基板を用いても
よいし、配向膜を持たない基板を用いてもよい。また、
一対の基板の両方に配向状態が転写された基板を用いて
もよい。この際、液晶セル中の液晶分子のツイスト角に
合わせて、上下の基板の配向方向を調整する必要があ
る。
【0100】液晶セル内の液晶層が、液晶セル間で90
度ツイストするカイラル材を添加したネマティック液晶
材料を用いた場合には、先に示す方法に準じて作製した
液晶セル内の液晶層の配向状態は、図4(C)に示す配
向状態とほぼ同じものと考えられる。
【0101】よって、感光性高分子膜を用いた第1の配
向処理方法を用いた場合と同様に、第2の配向処理方法
である転写方法を用いた場合においても、作製した液晶
表示装置は、ディスクリネーションラインの発生の少な
い良好な表示品位を提供できる。
【0102】転写方法を用いれば、一旦母基板を形成し
た後は、簡便な方法で多数の子基板への転写が可能であ
るとともに、転写に使用する母基板64を一度製作して
おけば、配向構造を維持できる限り半永久的に使用でき
る。よって、配向処理工程の負担を軽減し、プロセスコ
ストを低減することができる。
【0103】また、母基板面での積極的配向処理はラビ
ングで行ったが、子基板への配向状態の転写自体はラビ
ングを伴わない。この為、子基板上の素子や電極が静電
気により破壊等されることがない。
【0104】以上述べたように、本実施例によれば、配
向膜を各画素領域ごとに、配向処理の単位である区分を
複数もうけ、隣接する区分の基板面内の配向方向が相互
に異なるように配向処理を行っている。また、この隣接
する区分間には、帯状領域を残している。帯状領域内の
各液晶分子は配向の向きが比較的安定であり、印加電圧
等の変化で配向の向きが大きく変化することが少なく、
隣接する区分間でのデイスクリネーションラインの発生
が抑制される。よって、表示品位を改善することができ
る。
【0105】以上実施例に沿って本発明を説明したが、
本発明はこれらに制限されるものではない。種々の変
更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明で
あろう。
【0106】
【発明の効果】配向膜面に設けた帯状領域の存在が、基
板面内の配向方向が相互に異なる隣接する区分間に発生
していたディスクリネーションラインの存在を低減さ
せ、液晶表示装置の表示品質を大幅に改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による配向膜上の配向処理状態
を示す基板の平面図である。
【図2】本発明の実施例に用いるPVC膜の分子構造を
示す図である。
【図3】本発明の第1の配向処理方法を用いた配向処理
工程を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施例による液晶表示装置の作製工程
を説明する液晶表示セルの断面図である。
【図5】本発明の実施例による配向膜上の液晶分子に付
与される配向状態を示す基板の平面図である。
【図6】本発明の第2の配向処理方法を用いた配向処理
工程を説明する液晶基板とラビングローラの断面図であ
る。
【図7】本発明の第2の配向処理方法を用いた配向処理
工程を説明する母基板と子基板の断面図である。
【図8】本発明の第2の配向処理方法を用いた配向処理
工程を説明する母基板と子基板の断面図である。
【図9】従来の方法により配向処理された基板上の配向
膜面の配向処理状態を示す配向膜の平面図である。
【図10】ラビング処理により、液晶分子に付与される
配向の様子を示す斜視図である。
【符号の説明】
11〜14・・・画素領域 11a〜11d、12a〜12d、13a〜13d、1
4a〜14d・・・区分 G1、G2・・・帯状領域の幅 D11a〜D11d・・・基板面内の配向方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 張 百英 神奈川県横浜市青葉区荏田西1−3−1 スタンレー電気株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一定の間隔で平行に対向配置された一対
    の基板と、 前記一対の基板間に挟持された液晶層と、 前記一対の基板の表面上に形成され、画素単位で前記液
    晶層に電界を印加する電極と、 前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板の対向表面
    上に形成された配向膜であって、該配向膜表面にプレチ
    ルトを有する単一の基板面内配向方向を液晶分子に付与
    する区分が各画素ごとに複数画定され、かつ、各画素内
    で相互に隣接する前記区分に付与された基板面内配向方
    向が相互に異なる場合、隣接する区分間に基板面内の配
    向方向が基板面内の位置に関して連続的に変化する液晶
    分子が存在する帯状領域が画定された前記配向膜とを含
    む液晶表示装置。
  2. 【請求項2】 前記区分が前記配向膜に積極的に配向処
    理した領域であり、前記帯状領域が前記配向膜に積極的
    に配向処理していない領域である請求項1に記載の液晶
    表示装置。
  3. 【請求項3】 各画素ごとに、前記区分が4つ設けられ
    るとともに、相互に隣接する区分内の液晶分子に付与さ
    れる基板面内の配向方向が直交する請求項1および2に
    記載の液晶表示装置。
  4. 【請求項4】 前記各画素内にある前記帯状領域の幅
    が、0.5μm〜20μmである請求項1から3のいず
    れかに記載の液晶表示装置。
  5. 【請求項5】 表面上に電極を有する一対の基板を準備
    する工程と、 前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板の前記電極
    上に配向膜を形成する工程と、 前記配向膜表面に、プレチルトと単一の基板面内の配向
    方向とを液晶分子に付与する区分を、前記電極で画定さ
    れる各画素領域ごとに複数画定するように配向処理する
    とともに、相互に隣接する前記区分の基板面内の配向方
    向が異なる場合、その区分間に帯状領域を残す配向処理
    工程と、 前記一対の基板を一定の間隔で平行配置して、貼り合わ
    せる工程と、 前記一対の基板間に液晶材料を注入する工程とを有する
    液晶表示装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記配向膜を形成する工程において、 前記配向膜が、偏光した光を吸収すると偏光方向に基づ
    いて液晶分子を配向させる性質を生じる感光性高分子膜
    であり、 前記配向処理工程が、前記各画素内の前記区分ごとに、
    偏光した光を吸収させる光吸収工程を有する請求項5に
    記載の液晶表示装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記光吸収工程が、 前記各画素内の区分ごとに、第1偏光光を吸収させる工
    程と、 前記各画素内の区分ごとに、前記第1偏光光の偏光方向
    と直交する偏光成分を主に有する第2偏光光を吸収させ
    る工程とを有し、 前記第1偏光光および第2偏光光の少なくとも一方の光
    軸は、前記感光性高分子膜の表面に対し斜めに傾いてい
    る請求項6に記載の液晶表示装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記配向処理工程が、 前記一対の基板とは別の母基板上に形成された他の配向
    膜面の前記各画素ごとに、プレチルトと単一の基板面内
    の配向方向とを液晶分子に付与する他の区分を複数形成
    するとともに、相互に隣接する他の区分の基板面内の配
    向方向が異なる場合、その区分間に配向処理されていな
    い他の帯状領域を残すように、配向処理する第1の配向
    処理工程と、 前記配向処理された母基板と、前記一方の基板をある間
    隔で平行に対向配置し、該母基板と該一方の基板との間
    に一次液晶材料を挟み、前記母基板の配向状態に対応し
    た配向状態を前記一方の基板上に転写する転写工程と、 前記母基板と前記一方の基板とを分離する工程とを有す
    る請求項5に記載の液晶表示装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記転写工程において、前記一次液晶材
    料をアイソトロピック相で前記母基板と前記一方の基板
    との間に配置し、その後に前記一次液晶材料を液晶相に
    相転移させて配向させる請求項8に記載の液晶表示装置
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記転写工程において、前記母基板と
    前記一方の基板との間に挟む前記一次液晶材料が、カイ
    ラル材を含まない請求項8及び9に記載の液晶表示装置
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記転写工程において、前記母基板と
    前記一方の基板との間に挟む前記一次液晶材料が、 前記液晶材料を注入する工程において、前記一対の基板
    間に注入する液晶材料と同一材料である請求項8から1
    0のいずれかに記載の液晶表示装置の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記母基板の配向処理工程が、 前記他の配向膜面のうちプレチルトを付与しようとする
    区分のみを露出させるように、マスクパターンを前記他
    の配向膜面上に配置し、前記マスクパターンの上から前
    記他の配向膜面を単一向きにラビングし、その後前記マ
    スクパターンを除去する工程を、 前記他の配向膜面の全ての前記他の区分に配向処理が行
    われるまで、マスクパターンで露出させる区分を1回ご
    とに変えながら繰り返す工程を有する請求項8に記載の
    液晶表示装置の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記母基板の配向処理工程において、 前記マスクパターンが、前記他の配向膜面にレジスト膜
    を塗布し、該レジスト膜を露光現像して得られる請求項
    12に記載の液晶表示装置の製造方法。
JP21360995A 1995-08-22 1995-08-22 液晶表示装置とその製造方法 Withdrawn JPH0961822A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21360995A JPH0961822A (ja) 1995-08-22 1995-08-22 液晶表示装置とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21360995A JPH0961822A (ja) 1995-08-22 1995-08-22 液晶表示装置とその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0961822A true JPH0961822A (ja) 1997-03-07

Family

ID=16642021

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21360995A Withdrawn JPH0961822A (ja) 1995-08-22 1995-08-22 液晶表示装置とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0961822A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6313898B1 (en) 1998-06-23 2001-11-06 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Liquid crystal display device having intermediate alignment film in a region between adjacent pixels
KR100339896B1 (ko) * 1998-06-01 2002-06-10 가네꼬 히사시 액정 표시 장치
US6747715B2 (en) * 2000-12-04 2004-06-08 Kabushiki Kaisha Toshiba Polarized light reflecting element, liquid crystal display element using the same, and method of manufacturing polarized light reflecting element
KR100515546B1 (ko) * 2001-02-19 2005-09-20 세이코 엡슨 가부시키가이샤 액티브 매트릭스 액정 디스플레이 및 전자 장치
JP2008083208A (ja) * 2006-09-26 2008-04-10 Epson Imaging Devices Corp 液晶装置及びその製造方法、並びに電子機器
KR100980023B1 (ko) * 2008-05-19 2010-09-03 삼성전자주식회사 액정 표시 장치
JP2013113938A (ja) * 2011-11-25 2013-06-10 Dainippon Printing Co Ltd パターン位相差フィルム、画像表示装置、パターン位相差フィルムの製造用金型及びパターン位相差フィルムの製造方法
JP2013242424A (ja) * 2012-05-21 2013-12-05 Dainippon Printing Co Ltd パターン位相差フィルム、画像表示装置、パターン位相差フィルムの製造用金型及びパターン位相差フィルムの製造方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100339896B1 (ko) * 1998-06-01 2002-06-10 가네꼬 히사시 액정 표시 장치
US6313898B1 (en) 1998-06-23 2001-11-06 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Liquid crystal display device having intermediate alignment film in a region between adjacent pixels
US6747715B2 (en) * 2000-12-04 2004-06-08 Kabushiki Kaisha Toshiba Polarized light reflecting element, liquid crystal display element using the same, and method of manufacturing polarized light reflecting element
KR100515546B1 (ko) * 2001-02-19 2005-09-20 세이코 엡슨 가부시키가이샤 액티브 매트릭스 액정 디스플레이 및 전자 장치
JP2008083208A (ja) * 2006-09-26 2008-04-10 Epson Imaging Devices Corp 液晶装置及びその製造方法、並びに電子機器
KR100980023B1 (ko) * 2008-05-19 2010-09-03 삼성전자주식회사 액정 표시 장치
US8149361B2 (en) 2008-05-19 2012-04-03 Samsung Electronics Co., Ltd. Liquid crystal display
JP2013113938A (ja) * 2011-11-25 2013-06-10 Dainippon Printing Co Ltd パターン位相差フィルム、画像表示装置、パターン位相差フィルムの製造用金型及びパターン位相差フィルムの製造方法
JP2013242424A (ja) * 2012-05-21 2013-12-05 Dainippon Printing Co Ltd パターン位相差フィルム、画像表示装置、パターン位相差フィルムの製造用金型及びパターン位相差フィルムの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2773795B2 (ja) 液晶配向構造の製造方法及び液晶表示装置
US9541795B2 (en) Liquid crystal display device and method for manufacturing the same
EP0788012B1 (en) Manufacture of a homeotropic orientation liquid crystal display
JP3518849B2 (ja) 液晶ディスプレイデバイスおよびその製造方法、ならびに基板およびその製造方法
US6469763B2 (en) Liquid crystal cell and method of manufacture
US5882238A (en) Method for manufacturing bend-aligned liquid crystal cell using light
JPH09105941A (ja) 液晶表示装置
US20090002612A1 (en) Liquid Crystal Display Panel and Fabrication Method For Liquid Crystal Display Panel
GB2325530A (en) Liquid crystal device
JPH06294959A (ja) 液晶表示装置とその製造方法
JP5225526B2 (ja) 液晶デバイス
KR101429290B1 (ko) 액정 표시 장치 및 그 제조 방법
JPH0961822A (ja) 液晶表示装置とその製造方法
JP2004302260A (ja) 液晶表示装置およびその製造方法
JP4801272B2 (ja) 液晶デバイス
JPH10197870A (ja) 液晶表示素子及びその製造方法
JPH09146096A (ja) 液晶表示装置及びその製造方法
JP2773794B2 (ja) 液晶表示素子の製造方法
KR100268031B1 (ko) 액정표시소자의 광배향막 형성방법
JPH0815707A (ja) 液晶表示素子とその製造方法
KR0163885B1 (ko) 고분자 분산형 액정 표시 장치 및 그 제조 방법
JP2001051277A (ja) 液晶素子及びその製造方法並びに液晶表示素子及びその駆動方法
JP3059630B2 (ja) 液晶表示パネル及びその製造方法
GB2309792A (en) Aligning liquid crystals
JP3986387B2 (ja) 液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20021105