JPH096164A - 定着ローラ - Google Patents

定着ローラ

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JPH096164A
JPH096164A JP14413095A JP14413095A JPH096164A JP H096164 A JPH096164 A JP H096164A JP 14413095 A JP14413095 A JP 14413095A JP 14413095 A JP14413095 A JP 14413095A JP H096164 A JPH096164 A JP H096164A
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  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加熱体に投入するエネルギーを大きくするこ
となくウォームアップ時間を十分に短縮することができ
る定着ローラを提供することである。 【構成】 加熱体を有する定着ローラにおいて、ローラ
表面又はローラ内部の少なくとも一部にカルコゲンを主
成分とする周期律表III乃至VI族の非晶質物質からなり
106個/cm3以上の結晶核を含む発熱層を有すること
を特徴とする定着ローラ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は定着ローラに関し、更に
詳しくは、複写機、プリンター、ファクシミリなどにお
いて電子写真方式等により記録シートに転写されたトナ
ー画像等を熱定着する装置に組み込まれる定着ローラに
関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式を用いる装置、例えば、レ
ーザプリンタなどは、回転する感光体ドラムを有し、こ
の感光体ドラムの感光体部位を帯電部によって一様に帯
電させたのちレーザ走査ユニットからのレーザビームに
よって情報を静電潜像として記録し、現像部においてそ
の静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成し、そ
のトナー像を転写部において搬送されてくる記録シート
上に転写させ、更にその記録シートを熱定着装置を通過
させてトナー像を定着するように構成されている。従来
のこのような熱定着装置においては、例えば、アルミニ
ウムなどの中空円筒からなる芯金の外周面にトナーの粘
着を防止するための弗素樹脂層などからなる粘着防止層
を設けた定着ローラが使用されているが、このような定
着ローラは芯金の中空部に回転中心線に沿ってハロゲン
ランプなどのヒータを配置し、その幅射熱によって定着
ローラを内側から加熱するようになっている。そして定
着ローラと平行にこれに圧接する加圧ローラを設けて、
加圧ローラと定着ローラとの間に記録シートを通過させ
ることにより記録シート上に付着しているトナーが定着
ローラの熱により軟化し、加圧により記録シート上に定
着されるようになっている。
【0003】しかし、こうした熱定着装置では、起動時
に電源が投入されてから定着ローラの表面が定着に必要
な温度に達するまでに比較的に長いウォームアップ時間
がかかる。そこで、一般には主電源を投入したときに定
着ローラのヒータにも通電を開始して定着ローラを予備
加熱しておく方法が取られているが、これでは電力を浪
費するため、これを避ける目的で、定着ローラのウォー
ムアップ時間を短縮する手段が種々提案されている。例
えば、ローラの周表面または周表面近傍に抵抗発熱層を
設ける方法(特開昭55−164860号公報、特開昭
56−138766号公報、特開平2−285383号
公報など)、ローラの中空部の内面を黒化することによ
り幅射率を高め熱の吸収効率を挙げる方法、同じく内面
に凹凸を設けて表面積を大きくする方法(特開平4−3
4483号公報、特開平4−134387号公報な
ど)、ローラをヒートパイプで構成する方法(特開平3
−139684号公報)、ローラを電磁誘導加熱する方
法(特開平4−55055号公報)、ローラを導電性弾
性材料で構成し、これに通電して直接に発熱させる方法
(特開平4−186270号公報)、正特性サーミスタ
材料を用いた円筒状ヒータで定着ローラを形成する方法
(特開平4−42185号公報)などが提案されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の定着ローラで
は、ウォームアップ時間を十分に短縮するには、ヒータ
などの加熱体に大きなエネルギーを投入しなければなら
ないという問題がある。本発明の目的は、加熱体に投入
するエネルギーを大きくすることなくウォームアップ時
間を十分に短縮することができる定着ローラを提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、加
熱体を有する定着ローラにおいて、ローラ表面又はロー
ラ内部の少なくとも一部にカルコゲンを主成分とする周
期律表III乃至VI族の非晶質物質からなり106個/cm
3以上の結晶核を含む発熱層を有することを特徴とする
定着ローラによって達成される。本発明におけるカルコ
ゲンを主成分とする周期律表III乃至VI族の非晶質物質
としては、例えば、セレン、セレン・テルル合金、テル
ル、ゲルマニウム合金、セレン・インジウム系合金、テ
ルル・インジウム系合金、セレン・アンチモン系合金、
テルル・アンチモン系合金などが挙げられ、特にセレ
ン、セレン・テルル合金が好ましい。カルコゲンを主成
分とする周期律表III乃至VI族の非晶質物質からなり1
6個/cm3以上の結晶核を含む発熱層の形成は、例え
ば、高純度(99.999%)のセレンとテルルとを加
熱熔融してテルルの濃度が5重量%以上のSeTe合金
を作成し、或いは高純度(99.999%)のセレンに
SeO2を添加し、加熱熔融して溶存酸素量が1ppm
以上のセレン固溶体を作成し、これらの合金或いは固溶
体を用いて真空蒸着するなどの方法によって行うことが
できる。また、本発明における発熱層は、例えば、ステ
ンレス、アルミニウムなどの芯金内にハロゲンランプ、
赤外線ランプまたはニクロム線などのヒータを内蔵させ
た定着ローラの芯金表面或いは芯金内部、ヒートパイプ
で構成した定着ローラのヒートパイプ表面、抵抗発熱層
を有する定着ローラの抵抗発熱層上、などのように、ロ
ーラ表面又は発熱体からローラ表面に至るローラ内部に
設けることができる。更に、発熱層を被覆し発熱層周端
部を封止する保護層を設けることが好ましく、また定着
ローラ最外周面にはトナーなどの粘着を防止するため離
型層を設けることが好ましい。離型層が保護層を兼ねて
もよい。離型層は従来公知の方法によって設けることが
できるが、フッ素樹脂系の熱収縮性チューブをローラに
被せて加熱することにより設けることが好ましい。
【0006】
【作用】本発明の定着ローラにおいては、非晶質状態の
発熱層が定着ローラの加熱体により加熱されて結晶化温
度に達したときに結晶化熱を放出し、発熱層の温度が急
速に上昇する。これにより、定着ローラ表面が速やかに
定着可能温度に到達するのでウォームアップ時間を十分
に短縮することができる。そして、定着ローラ表面が定
着可能温度に到達した後は、加熱体からの熱によって定
着温度が制御されるが、結晶化した発熱層は熱伝導が高
まるので定着温度の制御が一層容易になる。また複写等
の一連の作業が終了したときには、結晶化した発熱層を
加熱体により一時的にその融点以上の温度にまで加熱
し、ついで放冷すれば発熱層は再び非晶質状態に戻るの
で、再び発熱層を加熱体により加熱して結晶化熱を放出
させることができる。これにより、トナー画像などの定
着時には常に定着ローラ表面を速やかに定着可能温度に
到着させることができる。結晶化熱の放出は、非晶質物
質の結晶化によるものであるから、基本的に降温時の融
点における凝固発熱が防止され蓄積された内部エネルギ
ーが昇温時に放出されることを利用するものである。し
たがって、融解潜熱が大きいと共に非晶質状態と結晶状
態間の完全な相転移が起こることが望ましい。また結晶
化が完全に起こっても結晶化のスピードが緩慢で緩やか
な発熱が緩やかであると、熱の発散が大きくなり、定着
ローラ表面の温度を効率よく急上昇させることが出来な
くなるので、結晶化のスピードが速いことが必要であ
る。
【0007】非晶質物質の加熱昇温による結晶化のスピ
ードの大小は結晶核の密度と結晶粒界面での結晶生長速
度の積の大小に依っている。そしてこの結晶生長速度は
その物質に固有の特性であり、容易に制御出来ないが、
結晶核については、その物質の構造的な歪などの特異点
の存在の他に、不純物等の異分子の存在が結晶核として
働き結晶化を促進する。本発明におけるカルコゲンを主
成分とする周期律表III乃至VI族の非晶質物質からな
り、106個/cm3以上の結晶核を含む発熱層は、融解
潜熱が大きいと同時に非晶質状態と結晶状態間の完全な
相転移が起こるものであり、また結晶化のスピードも速
く、定着ローラ表面の温度を効率よく急上昇させる特性
を有しているものである。更に、発熱層は、(1)ガラ
ス転移点Tgが常温以上であること、(2)結晶化温度
が常温から定着温度約200℃の間にあること、(3)
再度非晶質化するための融点が定着温度以上でなるべく
低いこと、(4)結晶化、熔融の繰り返しに対して変質
しないこと、等の特性を有することが好ましい。この場
合、セレン或いはセレン・テルル合金のようなセレンを
主成分とする発熱層はこのような特性を有しているの
で、特に好ましく使用される。また、セレンに対して良
好な結晶核を形成する物質としては、酸素が特に好まし
い。これはセレンに対して任意の割合で固溶体を作るこ
とから、セレン分子鎖の中の任意の所で結合して存在す
るが、原子半径の大きさの違いにより空間的な歪や結合
力の違いにより電気陰性度が異なり、結晶化の再配列が
しやすくなるためと考えられる。更に、発熱層を被覆し
発熱層周端部を封止する保護層を設けることが好まし
い。結晶化した発熱層は、再び非晶質状態に戻し、加熱
体により加熱して結晶化熱を放出させるようにするため
に、加熱体により一時的にその融点以上の温度にまで加
熱されるが、発熱層を被覆し発熱層側端部を封止する保
護層を設けることにより、発熱層が加熱により熔融し流
動化したときに定着ローラ外に流出するのを防止するこ
とができる。
【0008】発熱層を被覆し発熱層側端部を封止する保
護層を設けるには、例えば、発熱層をローラの軸方向端
部の表面を残して設け、保護層を発熱層とローラの軸方
向端部の発熱層が設けられていない表面とを覆うように
すればよい。また、定着ローラ最外周面にはトナーなど
の粘着を防止するため離型層を設けることが好ましい。
離型層が保護層を兼ねてもよい。離型層は従来公知の方
法によって設けることができるが、フッ素樹脂系の熱収
縮性チューブをローラに被せて加熱することにより設け
ることが好ましい。熱収縮性チューブをローラの両側端
部を包むようにすれば、それにより発熱層側端部を封止
することができる。更に、発熱層と発熱層を被覆する保
護層とを有する定着ローラの発熱層中における結晶核を
保護層に近いほど多くすること、例えば、発熱層が5w
t%以上のTeを含有するSeTe合金であり、Te濃
度を保護層に近いほど高濃度として結晶核を多くするこ
とにより、保護層の近くでより速く発熱がおこり、これ
によって発熱層で発生した熱を速やかに定着ローラ表面
に伝えることができるのでより好ましい。この発熱層
は、SeTe合金の蒸着において蒸発スピードをゆっく
りしてTeの分溜現象を利用することで容易に形成する
ことができる。
【0009】
【実施例】以下に本発明の定着ローラについて、具体的
実施例により説明するが、本発明はこれにより限定され
るものではない。
【0010】試料の製造例1 電子写真感光体に使用される高純度(99.999%)
のSeとTeを用いてTe濃度を3、5、10、15、
20、25、30、35、40、50重量%のSeTe
合金をそれぞれ作成した。Se、Te中の溶存酸素量は
S還元液吸光光度法で測定してND(0.01ppm)
未満であった。
【0011】試料の製造例2 電子写真感光体に使用される高純度(99.999%)
のSeにSeO2を添加し、加熱溶融して溶存酸素量
0.1、0.5、1.0、5.0、10.0、50.
0、100、500、1000ppmおよびND(無添
加0.01ppm未満)の試料を作成した。
【0012】上記のようにして作成した試料をDTA装
置(示差熱分析装置)の中で毎分10℃の昇温スピード
で加熱し、結晶化発熱パターンが終了するのを確認して
融解温度217℃未満で加熱を止めて冷却し、充分結晶
化させた。特に酸素低濃度の試料では結晶化温度が高
く、200℃で保持して熔融するのを避けた。この結晶
化した試料を劈開し、その断面をSEMで観察すると、
球晶状の結晶が観察されるので、その直径を測定して単
位体積当たりの結晶数を算出し、これを結晶化する前の
試料の結晶核数とした。上記製造例1で得られた試料に
ついて、結晶核数とTe濃度との関数を図1に、毎分1
0℃で昇温した時のTe濃度と結晶化開始から終了まで
に要した時間との関係を図3に示した。また、上記製造
例2で得られた試料について結晶核数と溶存酸素量との
関係を図2に、毎分10℃で昇温した時の溶存酸素量と
結晶化開始から終了までに要した時間との関係を図4に
示した。結晶化による発熱の迅速さを見るためには発熱
パターンのピーク半値巾で見るのが望ましいが、結晶化
による発熱パターンを測定すると2重ピークを示すもの
があるので、簡略に相対比較を行うために、発熱パター
ンによる結晶化開始から終了までに要した時間を結晶化
による発熱の迅速さを見る指標とした。
【0013】図3のTe濃度と結晶化開始から終了まで
に要した時間との関係によれば、Te濃度が5wt%以
上の場合に、結晶化開始から終了までに要した時間が短
く結晶化のスピードが速いことが示されており、図1の
結晶核数とTe濃度との関係によれば、Te濃度が5w
t%以上の場合に、106個/cm3以上の結晶核を含ん
でいることが示されている。また、図4の溶存酸素量と
結晶化開始から終了までに要した時間との関係によれ
ば、溶存酸素量が1ppm以上の場合に、結晶化開始か
ら終了までに要した時間が短く結晶化のスピードが速い
ことが示されており、図2の結晶核数と溶存酸素量との
関係によれば、溶存酸素量が1ppm以上の場合に、1
6個/cm3以上の結晶核を含んでいることが示されて
いる。即ち、カルコゲンを主成分とする周期律表III乃
至VI族の非晶質物質に106個/cm3以上の結晶核を含
む場合には、結晶化開始から終了までに要した時間が短
く結晶化のスピードが速いものである。また、上記製造
例2で作成したSeについて溶存酸素量とガラス転移温
度Tg及び再度非晶質化するための融点Tmとの関係を
測定したところ、溶存酸素量を1000ppmまで増加
してもその間Tg及びTmの変化はなかった。図5は、
上記製造例1で得られたSeTe合金におけるTe濃度
とガラス転移温度Tg及び再度非晶質化するための融点
Tmとの関係を測定した結果を示しており、Te濃度が
増えると共にTg及びTmが上昇する関係にある。これ
は、例えばトナー等の性質に応じて定着に必要な温度が
高い場合には、高いTg及びTmを有するTe濃度のS
eTe合金を用いることにより、その温度に速やかに到
達し得るような発熱層を設けることが可能であることを
示している。更に、上記のようにして作成した試料をD
TA装置の中で毎分10℃の昇温スピードで再度非晶質
化するための融点Tmの融解吸熱パターンが終了する温
度まで加熱昇温し、その後毎分10℃で降温して常温に
なった時点で再び昇温することを繰り返しながら、結晶
化温度Tcや結晶化パターンの変化を調べたところ、結
晶化温度Tcや結晶化発熱パターン(開示から終了時
間)の変化はほとんどなく、繰り返し安定性に優れたも
のであった。
【0014】実施例I−1〜9及び比較例I−1〜2 前記試料の製造例1で作成した各種Te濃度のSeTe
合金を真空蒸着で外径20mm、厚さ0.4mmのAl
芯金上に0.1mmの厚さに蒸着して発熱層を形成した
後、導電性PFA樹脂の熱収縮性チューブを被せ、30
0℃に加熱して厚さ約20μmの保護層を兼ねた離型層
を形成し、定着ローラを作成した。
【0015】実施例II−1〜7及び比較例II−1〜3 前記試料の製造例2で作成した各種酸素濃度のSeを真
空蒸着で外径20mm、厚さ0.3mmのSUS303
芯金上に0.1mmの厚さに蒸着して発熱層を形成した
後、導電性PFA樹脂の熱収縮性チューブを被せ、30
0℃に加熱して厚さ約20μmの保護層を兼ねた離型層
を形成し、定着ローラを作成した。このようにして作成
した定着ローラをリコー製ファクシミリF17の定着装
置に組み込み、芯金内に設置してあるハロゲンランプヒ
ーターに電力680Wで入力して定着ローラの表面温度
の昇温スピードを調べた。さらに、電力680Wで入力
した後一時的に入力電力を大きくして300℃まで昇温
して冷却し、次いで電力680Wで入力することを繰り
返し行い、定着ローラを繰り返し使用したときに昇温ス
ピードが低下しないか等、定着ローラの繰り返し安定性
を調べた。その結果を表1(Te濃度変化と定着ローラ
特性との関係)及び表2(溶存酸素量とローラ特性との
関係)に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】 表1及び表2から明らかなように、106個/cm3以上
の結晶核を含んでいるTe濃度5wt%以上のSeTe
合金からなる発熱層を設けてなる定着ローラ、106
/cm3以上の結晶核を含んでいる酸素濃度1ppm以
上のSeからなる発熱層を設けてなる定着ローラは、昇
温スピードが速く、ウォームアップ時間を十分に短縮す
ることができる。また、定着ローラを繰り返し使用した
場合にも昇温スピードの低下がなく、繰り返し安定性に
優れている。なお、実施例II−6及びII−7について
は、定着条件条件下で昇温スピードが放熱スピードより
速く、発熱層に蓄熱による自己熔融現象が生じ、それに
よる吸熱のために、かえって昇温スピードが遅くなった
ものと考えられる。
【0018】実施例III 外径20mm、厚さ0.4mmのAl芯金上に、真空蒸
着によりTe濃度一〇wt%のSeTe合金を蒸着速度
0.5μm/分のゆっくりしたスピードで0.1mmの
厚さに蒸着して発熱層を形成した。このローラの発熱層
上に導電性PFA樹脂のチューブを被せて保護層を形成
し定着し定着ローラを作製した。この発熱層中のTe濃
度勾配をXMAで分析すると、層全体のTe濃度は10
wt%であったが、芯金付近では5wt%で表面に近づ
く程濃度は上昇し、保護層との界面では25wt%であ
った。この定着ローラを用いて上記と同様に昇温スピー
ド、繰り返し安定性を調べたところ、Te濃度が10w
t%で濃度勾配のない発熱層を有する定着ローラよりも
昇温スピードが速く、また繰り返し安定性にも優れてい
るものであった。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、定着ローラにおける発
熱層が定着ローラの加熱昇温時に結晶化温度に達すると
結晶化熱を放出し、その熱が定着ローラの加熱体からの
熱に加わり、定着ローラ表面が速やかに定着可能温度に
到達するので、投入するエネルギーを大きくすることな
くウォームアップ時間を十分に短縮することができ、ま
た、定着ローラを繰り返し使用した場合にも昇温スピー
ドの低下かなく、繰り返しの使用安定性に優れている。
また、Te濃度5wt%以上のSeTe合金からなる発
熱層を設けることにより、Se中の結晶核数を多くする
ことができ急激な発熱が可能となり、またTeはSeと
同族なので繰り返し熔融時に分離析出することがなく、
定着ローラを繰り返し使用した場合の安定性に優れてい
る。更に、Teの添加量を増やすとガラス転移点および
再度非晶質化するための融点が上昇するので、トナー等
の性質に応じて定着に必要な温度が変わっても、定着ロ
ーラ表面がその温度に速やかに到達し得るような発熱層
を設けることが可能である。また、1ppm以上の酸素
を含有するSeからなる発熱層を設けることにより、微
量な酸素の添加で多くの結晶核の形成ができ急激な発熱
が可能となり、また、Seが低融点であるので結晶化し
た発熱層を再び非晶質状態に戻すため加熱体に投入する
電力等をより少なくすることができる。また、発熱層を
被覆し発熱層側端部を封止する保護層を設けることによ
り、発熱層が加熱により熔融し流動化したときに定着ロ
ーラ外に流出するのを防止することができる。更に、ロ
ーラ最外周面に離型層を設けることにより、加熱定着時
にトナー画像等が定着ローラに粘着することを防止でき
る。更に、発熱層と発熱層を被覆する保護層とを有する
定着ローラの発熱層中における結晶核を保護層に近いほ
ど多くすることにより、保護層の近くでより速く発熱さ
せ、発熱層で発生した熱をより速やかに定着ローラ表面
に伝え、定着ローラ表面を速やかに定着可能温度に到達
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1で得られた試料について、Te濃度と
SEM観察から算出した結晶核数との関係を示すグラフ
である。
【図2】製造例2で得られた試料について、溶存酸素量
とSEM観察から算出した結晶核数との関係を示すグラ
フである。
【図3】製造例1で得られた試料について、毎分10℃
で昇温した時のTe濃度と結晶化開始から終了までに要
した時間との関係を示すグラフである。
【図4】製造例2で得られた試料について、毎分10℃
で昇温した時の溶存酸素量と結晶化開始から終了までに
要した時間との関係を示すグラフである。
【図5】製造例1で得られた試料について、Te濃度と
各種熱特性との関係を示すグラフである。Tgはガラス
転移温度を、Tmは融点を示す。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱体を有する定着ローラにおいて、ロ
    ーラ表面又はローラ内部の少なくとも一部にカルコゲン
    を主成分とする周期律表III乃至VI族の非晶質物質から
    なり106個/cm3以上の結晶核を含む発熱層を有する
    ことを特徴とする定着ローラ。
  2. 【請求項2】 発熱層が5wt%以上のTeを含有する
    SeTe合金であることを特徴とする請求項1記載の定
    着ローラ。
  3. 【請求項3】 発熱層が1pmm以上の酸素を含有する
    Seであることを特徴とする請求項1記載の定着ロー
    ラ。
  4. 【請求項4】 発熱層の上に発熱層を被覆し発熱層周端
    部を封止する保護層を有することを特徴とする請求項
    1、2または3記載の定着ローラ。
  5. 【請求項5】 定着ローラ最外周面に離型層を有するこ
    とを特徴とする請求項1、2、3または4記載の定着ロ
    ーラ。
  6. 【請求項6】 離型層が保護層を兼ねていることを特徴
    とする請求項4記載の定着ローラ。
  7. 【請求項7】 加熱体を有する定着ローラにおいて、ロ
    ーラ表面にカルコゲンを主成分とする周期律表III乃至V
    I族の非晶質物質からなり106個/cm3以上の結晶核
    を含む発熱層と発熱層を被覆する保護層とを有し、発熱
    層中の結晶核が保護層に近いほど多いことを特徴とする
    定着ローラ。
  8. 【請求項8】 発熱層が5wt%以上のTeを含有する
    SeTe合金であり、Te濃度が保護層に近いほど高濃
    度であることを特徴とする請求項7記載の定着ローラ。
  9. 【請求項9】 定着ローラ最外周面に離型層を有するこ
    とを特徴とする請求項7または8記載の定着ローラ。
  10. 【請求項10】 離型層が保護層を兼ねていることを特
    徴とする請求項9記載の定着ローラ。
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