JPH0960500A - トンネル内監視員通路の形成施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 型枠および支保工の準備、組み立ておよび撤
去作業並びに監視員用通路の側壁の仕上げ作業も要せず
作業効率の良いトンネル内監視員通路の形成施工方法を
提供する。 【解決手段】 矩形のＰＣ基板１０と、仕上げ面２１を
形成した矩形の表面板２０を所要間隙Ｍを設けて対峙さ
せると共にトンネルの側壁Ｗから所要距離離れたトンネ
ルの路盤面Ｒ上に前記ＰＣ基板側をトンネル側壁面に対
向させて立設し、次いで前記ＰＣ基板と表面板との間隙
にコンクリートスラリー３０を充填して硬化させた後、
前記ＰＣ基板とトンネルの側壁との間の空間に充填材４
０を充填してその天端面を監視員通路とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、道路用トンネル
内に設けられる監査廊、監視員通路（以下「監視員通
路」という）の形成施工方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】トンネル内に設置される換気設備、照明
設備及び防災設備等の各種の設備機器は、トンネル利用
の安全性等を図るためにメンテナンスが必要である。し
かも、前記設備機器は通過車両の排気ガスや巻き上げる
粉塵、トンネル壁面からの滲出水等により短期間で汚れ
易いので、かなりの頻度で点検作業が必要となる。その
ため、点検作業の安全確保及び点検作業中のスムーズな
車両通行確保等を図る意味から、長大トンネル等には、
図６に示すように、トンネルの側壁Ｗに沿っていわゆる
監視員通路６２が設けられることがある。符号Ｒはトン
ネル内の路盤面である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来、前記監視員通路
の形成施工は、対峙させた型枠をトンネル内の路盤面上
にトンネルの側壁から所要間隔離して設置し、この型枠
内にコンクリートスラリーを充填し硬化させて監視員通
路側壁を形成した後に型枠を外し、次いで前記監視員通
路側壁とトンネルの側壁間の空間に砂を充填し、その砂
の上にコンクリートパネルを敷設する等の手順で実施さ
れ、当該コンクリートパネル上を監視員通路としてい
た。

【０００４】しかし、前記の施工にあっては、型枠等の
作業用材を準備する等の施工管理や施工時に型枠の脱着
作業等が必要なため、非常に煩雑であった。しかも、型
枠取り外し後も監視員通路側壁の仕上げ作業が必要であ
る等、工数的、時間的に相当の負担がかかるものであっ
た。

【０００５】そこでこの発明は、前記の点に鑑みなされ
たもので、型枠および支保工の準備、組み立ておよび撤
去作業、並びに監視員通路側壁の仕上げ作業を要せず、
作業工数が少なくて済み、コストも低減できるトンネル
内監視員通路の形成施工方法を提供しようとするもので
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明は、矩形のＰＣ
基板と、仕上げ面を形成した矩形の表面板を所要間隙を
設けて対峙させると共にトンネルの側壁から所要距離離
れたトンネルの路盤面上に前記ＰＣ基板側をトンネルの
側壁に対向させて立設し、次いで前記ＰＣ基板と表面板
との間隙にコンクリートスラリーを充填して硬化させた
後、前記ＰＣ基板とトンネルの側壁との間の空間に充填
材を充填してその天端面を監視員通路とするトンネル内
の監視員通路の形成施工方法に係る。

【０００７】前記充填材として砂材を用い、その上面に
コンクリートパネルを敷設してこのコンクリートパネル
を天端面としたり、前記充填材としてコンクリートスラ
リーを用い、このスラリーの硬化後の上面を天端面とす
るのが好ましい。また、前記表面板の仕上げ面にはタイ
ル材を貼設しておくのが好ましい。さらに、前記充填材
の充填空間内には電らん管、水道管等の敷設用空間が区
画形成されているのが好ましい。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１はこの発明のトンネル内監視
員通路の形成施工方法の一実施例を示す断面図、図２は
その表面板およびＰＣ基板部分の平面図、図３はその一
部を切り欠いて示す正面図、図４はＰＣ基板の一部を切
り欠いて示す斜視図、図５は図１に示したトンネル内監
視員通路の形成施工完了状態を示す断面図である。

【０００９】この発明のトンネル内監視員通路の形成施
工方法では、図１に示すように、まず矩形のＰＣ基板１
０と表面板２０を所要の間隙を設けて対峙させると共
に、トンネルの側壁Ｗから所要距離離れたトンネルの路
盤面Ｒ上に、前記ＰＣ基板１０と表面板２０をＰＣ基板
１０側がトンネルの側壁Ｗと対向するようにして立設す
る。

【００１０】前記ＰＣ基板１０は、予め工場等で成形さ
れたもので、強度を高めるための配筋材１３が埋め込ま
れた矩形の板状体からなり、上下の所定位置にボルト挿
通孔１２が設けられている。この例では、ＰＣ基板１０
として、横５５１０ｍｍ×縦１０００ｍｍ×コンクリー
ト部分の厚み６０ｍｍのものを所要数横に並べて用いて
いる。

【００１１】前記配筋材１３は、図４からよく理解され
るように、トラス構造からなるもので、その一部がＰＣ
基板１０の内側面１０Ａから露出している。この配筋材
１３の露出する部分は、その後にこのＰＣ基板１０と表
面板２０間に充填されるコンクリートスラリー３０に埋
設され、そのコンクリートスラリー３０の硬化により形
成されたコンクリートとＰＣ基板１０とを強固に一体化
する。なお、配筋材１３はこの形状に限られず、各種構
造のものが用いられる。

【００１２】前記表面板２０は、片面に仕上げ面２１が
形成されたコンクリートパネル等からなる矩形の板状体
で構成される。また、前記仕上げ面２１とは反対となる
内側面２０Ａの上下の所定位置に、ナットＮ１がそのね
じ孔を開口して埋設されている。この例の表面板２０
は、コンクリートパネル２２の片面にタイル材Ｔが貼設
されて仕上げ面２１の形成されたもので、横１８３０ｍ
ｍ×縦１０００ｍｍ×厚み２４ｍｍのものを所要数横に
並べて用いている。

【００１３】前記ＰＣ基板１０と表面板２０は、各々の
内側面１０Ａ，２０Ａが所要の間隙Ｍを残して対峙する
ようにボルトＢで連結される。前記ボルトＢは、両端に
ねじが刻設され、その一端のねじ部分が前記表面板２０
のナットＮ１と螺合し、他端のねじ部分が前記ＰＣ基板
のボルト挿通孔１２に挿通されてＰＣ基板１０の外側面
でナットＮ２と螺合する。前記ＰＣ基板１０と表面板２
０との間隙Ｍで形成する通路壁としての基板厚みは、通
路幅等の寸法により適宜の値とされるが、本実施例では
２５０ｍｍ程度に設定した。

【００１４】前記ＰＣ基板１０と表面板２０がトンネル
の側壁Ｗから所要距離離して立設される路盤面Ｒには、
棒状部材５０が所要間隔で立設されている。そしてこの
棒状部材５０が前記ＰＣ基板１０と表面板２０との間隙
内に位置するように、ＰＣ基板１０と表面板２０が路盤
面Ｒに載置される。

【００１５】前記ＰＣ基板１０とトンネルの側壁Ｗとの
距離は、求められる監視員通路の幅に応じて適宜設定さ
れ、それにより前記ＰＣ基板１０とトンネルの側壁Ｗ間
に充填材の充填空間４１が形成される。なお、この例で
は、前記ＰＣ基板１０と表面板２０をボルトＢで連結し
た後に路盤面Ｒ上に立設したが、その逆、すなわち、連
結前のＰＣ基板１０と表面板２０を路盤面Ｒ上に立設
し、その後ボルトＢ等で連結してもよい。

【００１６】次いで、前記ＰＣ基板１０と表面板２０間
の間隙Ｍに、コンクリートスラリー３０を充填する。こ
の際、ＰＣ基板１０と表面板２０がボルトＢによって連
結されて外方へ離れるのが阻止されているため、コンク
リートスラリー３０の充填圧力によっても、ＰＣ基板１
０と表面板２０間の間隔が広がったり、ＰＣ基板１０あ
るいは表面板２０が外側へ転倒するおそれがない。

【００１７】前記間隙Ｍに充填されたコンクリートスラ
リー３０は硬化して、ＰＣ基板１０および表面板２０並
びに路盤面Ｒと一体化する。その際、コンクリートスラ
リー３０は、ＰＣ基板１０の内側面から露出する配筋材
１３を包み込んで硬化するためＰＣ基板１０との一体化
が強固になり、また、路盤面Ｒに立設された棒部材５０
を包み込んで硬化するため硬化後のコンクリートが路盤
面Ｒに強固に一体化する。その結果、ＰＣ基板１０およ
び表面板２０を路盤面Ｒの所定位置に強固に固定するこ
とができる。なお、前記間隙Ｍ内に充填されたコンクリ
ートスラリー３０の上面に手摺り部材（図示せず）を植
設してもよい。

【００１８】前記コンクリートスラリーの硬化後、前記
ＰＣ基板１０とトンネルの側壁Ｗ間の充填空間４１に充
填材４０を充填し、充填後の充填材４０の天端面を監視
員通路とする。

【００１９】前記充填材４０としては、砂材あるいはコ
ンクリートスラリー等が用いられる。特に、前記充填空
間４１内に、電らん管や水道管等の敷設用空間を区画形
成する場合には、電らん管等の補修や交換等のための掘
り起こしが容易なように、砂材を充填材４０として用い
るのが好ましい。そして、砂材を充填材４０として用い
る場合には、その上面を歩き易くするため、図５に示す
ようにコンクリートパネル４４を敷設して監視員通路と
なる天端面４２を形成するのが好ましい。符号３１は前
記コンクリートスラリーが硬化したコンクリート、Ｐは
電らん管等の敷設管、４５はその敷設用空間である。一
方、コンクリートスラリーを充填材４０として使用した
場合には、硬化したコンクリートスラリーの上面が、監
視員通路となる天端面を構成する。

【００２０】このようにして形成された監視員通路は、
その側壁が表面板２０の仕上げ面２１となるため、その
後の余分な仕上げ作業が不要である。さらに、前記仕上
げ面がタイル材Ｔの貼設により構成されている場合は、
きわめて美麗な監視員通路側壁が得られる。

【００２１】

【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明の
トンネル内監視員通路の形成施工方法によれば、トンネ
ル内監視員通路の側壁となる表面板とＰＣ基板が型枠を
兼ねるため、型枠および支保工の準備、組み立ておよび
撤去作業の必要がなくなり、作業工数の減少およびコス
トの低減効果がある。さらに、監視員通路の側壁はあら
かじめ仕上げられた表面板の仕上げ面で構成されるた
め、施工現場で余分な仕上げ作業を行なう必要がなく、
施工期間の短縮効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のトンネル内監視員通路の形成施工方
法の一実施例を示す断面図である。

【図２】その平面図である。

【図３】その一部をに切り欠いて示す正面図である。

【図４】ＰＣ基板の一部を切り欠いて示す斜視図であ
る。

【図５】図１に示したトンネル内監視員通路の形成施工
完了状態を示す断面図である。

【図６】従来のトンネル内監視員通路を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１０：ＰＣ基板 １３：配筋材 ２０：表面板 ２１：仕上げ面 ３０：コンクリートスラリー ４０：充填材 ４２：天端面 Ｔ：タイル材 Ｗ：トンネルの側壁 Ｒ：路盤面

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 俊介 東京都港区東新橋２丁目４番10号 株式会 社ケー・エフ・シー内 (72)発明者 岩谷 一郎 東京都港区東新橋２丁目４番10号 株式会 社ケー・エフ・シー内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 矩形のＰＣ基板と、仕上げ面を形成した
   矩形の表面板を所要間隙を設けて対峙させると共にトン
   ネルの側壁から所要距離離れたトンネルの路盤面上に前
   記ＰＣ基板側をトンネルの側壁に対向させて立設し、次
   いで前記ＰＣ基板と表面板との間隙にコンクリートスラ
   リーを充填して硬化させた後、前記ＰＣ基板とトンネル
   の側壁との間の空間に充填材を充填してその天端面を監
   視員通路とするトンネル内の監視員通路の形成施工方
   法。
2. 【請求項２】 充填材が砂材であって、砂材の上面にコ
   ンクリートパネルを敷設しこのコンクリートパネルを天
   端面としてなる請求項１記載のトンネル内監視員通路の
   形成施工方法。
3. 【請求項３】 充填材がコンクリートスラリーであっ
   て、このスラリーの硬化後の上面が天端面である請求項
   １記載のトンネル内監視員通路の形成施工方法。
4. 【請求項４】 表面板の仕上げ面は、タイル材の貼設に
   より形成されてなる請求項１記載のトンネル内監視員通
   路の形成施工方法。
5. 【請求項５】 充填材の充填空間内には電らん管、水道
   管等の敷設用空間が区画形成されていることを特徴とす
   る請求項１記載のトンネル内監視員通路の形成施工方
   法。