JPH0957090A - 流体供給装置 - Google Patents

流体供給装置

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JPH0957090A
JPH0957090A JP7240553A JP24055395A JPH0957090A JP H0957090 A JPH0957090 A JP H0957090A JP 7240553 A JP7240553 A JP 7240553A JP 24055395 A JP24055395 A JP 24055395A JP H0957090 A JPH0957090 A JP H0957090A
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fluid
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electrochemical cell
bag
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JP7240553A
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Satoru Saito
哲 斉藤
Yuko Fujita
雄耕 藤田
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Japan Storage Battery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が簡単、安価、取扱い容易、かつ従来の
ベローズやダイヤフラムあるいは電気化学的輸液ポンプ
の欠点を除去した流体供給装置を提供する。 【解決手段】 二つの部室1、2を有する袋状体と電気
化学セル部11とを備え、袋状体の外壁3、4及び部室
1、2を区切る隔壁5を柔軟性を有するシートで形成
し、袋状体を容器10中に収納し、部室1を流体の貯蔵
部とし、部室2を気体加圧部として、電気化学セル部1
1に直流電流を通電したとき発生する気体を部室2に導
入することにより、部室1に設けた流体供給口8から流
体を供給するように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は流体を精度よく供給
するための、流体供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、薬液を微量ずつ、しかも精度よく
人体に注入するために各種輸液ポンプが使用されるよう
になってきた。
【0003】従来の輸液ポンプは、その方式の違いによ
ってシリンジポンプ、ペリスタルティック(ロータ式)
ポンプ、フィンガーポンプ、ベローズポンプの4種類に
分類される。これらのうち、ベローズポンプ以外のもの
は、いずれも薬液を押し出すための駆動源としてステッ
ピングモータ、ロータリソレノイドモータ、あるいは直
流モータなどのモータを使い、薬液吐出量の制御に複雑
な機構を採用しているので、その重量および寸法とも一
般に大きく、また高価でもある。そのため、病院のベッ
ドサイドで使われるのが普通であり、携帯用あるいは使
い捨て型にするには不向きである。また、ベローズポン
プは、フレオンガスの気化圧を利用してベローズを押
し、それによって薬液を吐出させる方式のものである
が、フレオンガスの気化圧を制御することが難しく、特
に微量の薬液を長時間かけて注入する場合には、その注
入精度に問題がある。
【0004】一方、本願発明者のひとりは、直流電流を
通電することによって、その電流値に比例する量の気体
を発生する電気化学セルを利用し、ポンプ機能とガスの
流量制御機能とを有する装置を提案している(日本特許
番号第1214001号)。近年、この原理を利用して
電気化学的輸液ポンプが提案された(H.J.R.マゲ
ット、米国特許第4,522,698号)。この電気化
学的輸液ポンプは、電解質として機能する含水されたイ
オン交換膜の両面に多孔性のガス拡散電極を接合した電
気化学セルを有しており、該電気化学セルの陽極に水素
を供給し、陽・陰両極間に直流電流を通電したとき、陽
極では水素が水素イオンとなり、生成した水素イオンが
イオン交換膜を通って陰極側に達し、そこで水素が発生
するという電気化学反応が起こることを利用したもので
ある。すなわち、陰極で発生する昇圧された水素をピス
トン、ダイヤフラム、ベローズ等を押すための駆動源と
して利用するものである。また、この電気化学セルの反
応物質として水素の代りに酸素を利用することも可能で
あり、陰極に供給すべき酸素源として空気を用いれば、
輸液ポンプの構造はかなり簡単なものになる。
【0005】さらに、この電気化学的輸液ポンプの改良
型としての、水の電気分解反応を利用する方法(特開平
2−302264)は、イオン交換膜の片面に陰極を、
他面に陽極をそれぞれ一体に接合するか、あるいは片面
に陰極と陽極をそれぞれ絶縁するように離して一体に接
合した電気化学セルに含水させ、両極に直流電流を通電
した際に水の電気分解によって発生する水素か酸素、あ
るいは水素と酸素の混合ガスを輸液ポンプの加圧源とす
るものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】電気化学方式の輸液ポ
ンプで薬液を吐出させる際、まず第一に、いわゆる注射
器の外筒と吸子との間に薬液を吸引し、吸子を電気化学
セルから発生するガスの圧力で押し出すという方式があ
る。しかし、一般に、同じ種類の注射器においても、外
筒と吸子の先端のゴム製ピストンとの摩擦抵抗がばらつ
くために、使用する個々の注射器に応じた電気化学セル
に通電する電流値を設定しなければならないという不便
さがある。また、外筒もしくは吸子にテーパがついてい
るため、吸子の位置によって摩擦抵抗が異なるため、注
射の初期における薬液の吐出速度と末期におけるそれと
が異なるという不都合な現象がしばしば認められた。
【0007】第二に、可とう性もしくは柔軟性を有する
隔壁を有する一定の部屋もしくは容器の中に薬液を入
れ、ガス圧で隔壁を押し、薬液を吐出させる方法があ
る。その具体例として、米国特許第4,902,278
号に記載されているように、円環状の容器の一部に柔軟
性を有する隔壁を配設し、容器の壁の一部と柔軟な隔壁
で囲まれた部屋に薬液を入れ、容器の壁の他の部分と柔
軟な隔壁との間に形成される間隙に電気化学セルから発
生するガスを供給し、薬液を吐出させるという構造が提
案されている。しかしながら、実際にこのような輸液ポ
ンプを製作するには、その構造が複雑にすぎ、容易では
ない。また、特に、薬液の場合、殺菌あるいは減菌操作
を必須とするが、上述の如き構造の場合には、やはり、
これらの操作を行うことが困難である。
【0008】さらに、第一の部室と第二の部室からなる
柔軟性を有する袋状体と電気化学セルとで構成し、第一
の部室の中に流体を入れ、第二の部室に電気化学セルか
ら発生する気体を供給し、第一の部室を圧縮して、その
吐出口から流体を押し出すようにした流体供給装置があ
る。このような流体供給装置においては、電気化学セル
に直流を通電して、その時に発生する気体を第二の部室
に供給した場合、第二給部室を形成する外壁と隔壁のう
ち、まず外壁が外部に向かって膨張し、第二の給室内が
一定の圧力まで上昇した後、隔壁が第一の部室の方向へ
移動し、ここで給じめて流体が供給される。したがつ
て、通電を開始してから、実際に流体の供給が始まるま
でには一定の時間の遅れがあるのが普通であった。ま
た、袋状体の外壁そのものが柔軟性を持っているため
に、外部から流体貯蔵部としての第一の部室や第二の部
室の外壁に力が加わった場合、流体貯蔵部が変形し、流
体供給速度が急に増大して、目的の流体供給速度からず
れる恐れがあった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、第一の部室と
第二の部室からなる柔軟性を有する袋状体と電気化学セ
ルとで構成し、第一の部室の中に流体を入れ、第二の部
室に電気化学セルから発生するガスを供給し、第一の部
室を圧縮してその供給口から流体を押し出す流体供給装
置において、通電を開始してから実際に流体の供給が始
まるまでの時間の遅れをできるだけ小さくするものであ
り、さらに、外部から力が加わった場合でも流体供給速
度に変化がないようにするものであり、その目的とする
ところは、構造が簡単でしかも操作が容易で、特に携帯
用に適した流体供給装置を提供せんとするものである。
【0010】すなわち、本発明になる流体供給装置は、
三枚のシートからなる袋状体と電気化学セルとを備え、
第一のシートと第二のシートと第三のシートを順次積層
して周辺部分を気密状態に保ち、第一のシートと第二の
シートによって第一の部室を形成し、第二のシートと第
三のシートによって第二の部室を形成したものであり、
さらにこの袋状体を、袋状体の膨張を抑止しうる容器中
に収納するか、もしくは袋状体の膨張を抑止しうる押圧
体で押圧し、前記第一の部室を流体の貯蔵部とし、前記
第二の部室を気体加圧部とするものである。
【0011】なお、この二つの部室を有する袋状体を製
作する際、第一の部室を形成する第一のシートと第二の
シートの間の端部に、流体供給口あるいは流体注入口と
して働くチューブを介在させるとともに、第二の部室を
形成する第二のシートと第三のシートの間の端部に、電
気化学セルから発生するガスの導入口として働くチュー
ブを介在させるようにして、全体を接合すればよい。
【0012】袋状体を形成するシートの材料としては、
ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等、特
に熱によって融着するものが望ましいが、これらに限定
されるものではない。また、その材質の選択にあたって
は、使用する流体に接触しても悪影響を及ぼさないこと
と、電気化学セルから発生する酸素あるいは水素の透過
が少ないことに配慮することが必要である。また、各々
のシートは必ずしも単層である必要はなく、複数のシー
ト部材が積層一体化されたものであってもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明になる流体供給装置の作動
原理を図1と図2に基づいて説明する。図1と図2は本
発明の好適な実施例である流体供給装置の断面を示した
もので、これらの図において、1は第一の部室で、流体
貯蔵部として働き、2は第二の部室で、気体加圧部とし
て働く。3は第一のシートで、第一の部室1の外壁を構
成し、4は第二のシートで、第二の部室2の外壁を構成
し、5は第三のシートで、第一の部室1と第二の部室2
とを区切る隔壁としてはたらく。第一のシート3と第二
のシート4と第三のシート5とで、第一の部室1と第二
の部室2を備えた袋状体を形成する。6は第一の部室1
に貯蔵した流体、7は第二の部室2に蓄積した気体、8
は第一の部室1にとりつけた流体供給口、9は第二の部
室にとりつけた気体導入管である。10は袋状体を内部
に収納した容器であり、この容器10の内面と袋状体の
外面は接している。また、この容器10は電気化学セル
から発生する気体の圧力では変形しないような硬い材質
から構成されており、袋状体の膨張を抑止することがで
きる。また、11は電気化学セル、12は電源、13は
スイッチである。
【0014】図1は使用直前の状態を示したもので、第
一の部室1には流体6が貯蔵されている。この状態で
は、三枚のシートはいずれも柔軟性もっているために、
第一のシート3は外部に向かって変形し、容器10の内
壁にほぼ接触した状態になっている。また、第三のシー
ト5は第二のシート4の方向へ大きく変形し、第二のシ
ート4と第三のシート5とはほとんど接触したような状
態になっており、しかも、第二のシート4は容器10の
内壁にほぼ接触した状態になっている。したがって、第
二の部室2の体積はほぼゼロに近い状態になっている。
【0015】この流体供給装置を使用するにあたって
は、まずスイッチ13を入れて電気化学セル11に直流
電流を通電し、その時に電気化学セル11から発生した
気体を、気体導入管9を通して第二の部室2に導入す
る。すると第二の部室5の内部の圧圧が上昇するが、こ
の時、第二の部室2を形成している第二のシート4と第
三のシート5は共に気体の圧力を受けて、第二の部室2
の体積が増大する方向に変形しようとするが、第二のシ
ート4は容器10の内面に接触しており、容器10は気
体の圧力で変形しない材質から構成されているために、
第二のシート4は容器の内壁に押しつけられて変形しな
い。してがって、第二の部室2の体積が増大するために
は第三のシート5が第一のシート3の方向に変形しなけ
ればならない。この第三のシート5の変形は、第二の部
室2に気体が導入されるとほぼ同時に開始される。その
結果、第一の部室1の内部の流体6は、第三のシート5
によって押し出されて、流体供給口8から外部に供給さ
れる。電気化学セル11から気体の発生を続けると、第
二の部室2の体積はどんどん大きくなり、一方、第一の
部室1の体積はどんどん小さくなり、内部の流体6を流
体供給口8から外部に供給し続けることになる。電気化
学セルから発生する気体の体積は通電電気量に比例する
ので、通電電流の大きさを決めることによって、流体の
供給速度を決めることができるものである。
【0016】図2は終了直前の流体供給装置の状態を示
したもので、第二の部室2には電気化学セル11から発
生した気体7が蓄積して、その体積は大きくなってお
り、いっぽう、第一の部室1の中の流体6は、大部分が
供給されて、第一の部室1の体積は小さくなっている。
【0017】なお、本発明において容器を使用する目的
は、電気化学セルから袋状体に気体を導入した場合、袋
状体が膨張することを抑止するものであるため、袋状体
の両側に押圧体を取り付けて押圧し、袋状体の膨張を抑
止するようにしてもよい。
【0018】本発明に使用できる電気化学セルは、一般
的には、直流電流を通電すると通電電気量に比例して気
体を発生するセルなら、あらゆるセルが使用可能である
が、より具体的には次のようなセルの使用が可能であ
る。
【0019】1)固体高分子カチオン交換膜の両面に多孔
性金属電極を接合し、両電極は水と接しており、通電に
よって陽極から発生する酸素または陰極から発生する水
素、あるいは酸素と水素との混合ガスを利用する。な
お、このような水電解セルでは陽極側にも陰極側にもあ
らかじめ水を入れておくのが普通であるが、固体高分子
イオン交換膜はその内部に多量の水を吸収することがで
き、そのことによってプロトン導電性機能を発揮して電
解質として働くものであり、必ずしも陽極側と陰極側と
の両方に水を入れておく必要がなく、どちらか一方の電
極側に水を入れておくだけでもよい。すなわち、もし電
極反応で水が必要になれば、反対側の電極側から固体高
分子イオン交換膜を通して水が供給されるからである。
【0020】2)固体高分子カチオン交換膜の両面に多孔
性金属電極を接合し、陽極は水と、陰極は空気あるいは
酸素と接し、通電によって陽極から発生する酸素を利用
する。
【0021】3)固体高分子カチオン交換膜の片面に陽極
としての多孔性金属電極を接合し、他面には陰極として
の二酸化マンガンを取りつけ、通電によって陽極から発
生する酸素を利用する。
【0022】4)固体高分子アニオン交換膜の片面に陽極
としての多孔性金属電極を接合し、他面には陰極として
の二酸化マンガンやオキシ水酸化ニッケルを取りつけ、
通電によって陽極から発生する酸素を利用する。
【0023】5)電解質にイオン交換膜を用いず、モリブ
ドリン酸(H3 PMo1240・29H2 O)、ウラニル
リン酸(HUO2 PO4 ・4H2 O)、アンチモン酸
(Sb2 5 ・H2 O)などの各種無機プロトン導電体
を用いて水を電気分解し、その時に発生する酸素や水
素、あるいは両者の混合ガスを利用する。
【0024】また、流体供給口に逆流防止弁を設けるこ
とも可能である。
【0025】なお、電気化学セルは、上述の袋状体とは
別置し、電気化学セルから発生する気体を、例えばチュ
ーブを介して第二の部室に導入してもよいし、電気化学
セルを袋状体の第三のシートに接合その他の方法で直接
装着してもよい。
【0026】一方、電気化学セルから発生するガス量
は、1Ahの通電電気量に対し、理論値で水素の場合4
20ml(0℃、1気圧)、酸素の場合210ml(0
℃、1圧)となるが、実際には、作動電流密度にもよる
が、ガスの透過、電極表面での酸素と水素との再結合反
応等により、理論値の70〜95%となる。また、必要
な電気化学セルの大きさは、例えば薬液の設定吐出速度
と総薬液量に依存する。
【0027】一方、電気化学セルの作動には、直流電流
が必要であるが、ベットサイドで用い、かつ、比較的多
量の薬液の供給が必要な場合には、交流電源から直流電
源装置を介して、電気化学セルに直流電流を供給すれば
よい。一方、50mlの薬液を1日で供給するといった
比較的少量の薬液を対象とするような場合には、小型の
電池を電源とすればよい。このような小型の電池を用い
る場合には、電池と電気化学セルとを上述の袋状体の端
部に直接装着すれば、輸液ポンプはまったく携帯型とな
り、患者は自由に行動することができる。
【0028】本発明の流体供給装置は、薬液の患者への
供給に最適であるが、工業用その他のすべての流体及び
気体の供給にも適用が可能である。
【0029】
【実施例】本発明になる流体供給装置の構造および使用
方法を、好適な実施例を用いて詳述する。
【0030】[実施例1] 三枚の有機ポリマーシート
と電気化学セルとからなる、流体供給装置を作製した。
図1は使用前の断面構造を示したものである。第一のシ
ート3、第二のシート4および第三のシート5の材質
は、いずれもポリ塩化ビニルで、大きさは70mm×5
0mm、厚みは0.5mmとし、三枚のシートの端部は
熱融着で一体化した。流体供給口8と気体導入管9の材
質は、いずれもポリ塩化ビニルで、外径5mm、内径4
mmとした。電気化学セル11としては水電解セルを使
用し、固体電解質としての直径12mmの固体高分子プ
ロトン導電体の両面に無電解メッキ法で直径8mmの多
孔性白金電極を接合し、それぞれ陽極および陰極とした
ものであり、また、電源12は電池と定電流回路を組み
合わせたものである。
【0031】この流体供給装置の作製方法としては、三
枚のポリ塩化ビニル製のシートを積み重ね、第一のポリ
塩化ビニル製シート3と第三のポリ塩化ビニル製シート
5の間に、流体供給口8としてのポリ塩化ビニル製チュ
ーブをはさみ、また、第三のポリ塩化ビニル製シート5
と第二のポリ塩化ビニル製シート4の間に、気体導入管
9としてのポリ塩化ビニル製チューブをはさみ、ポリ塩
化ビニル製シートの端部を熱融着すればよい。
【0032】この流体供給装置を例えば生理食塩水の供
給に使用する場合、三枚のポリ塩化ビニルシートからな
る袋状体を、アクリル樹脂からなる半球をふたつ合わせ
た容器10の内部に収納する。まず、第一の部室1を生
理食塩水6で満たす。この状態では、第二のシート4は
容器10の内壁に接触しており、また、第二のシート4
と第三のシート5もほぼ接触した状態になっているため
に、第二の部室2の体積は非常に小さい。つぎに、スイ
ッチ13を入れて、電源12から電気化学セル11に5
0mAの直流電流を流すと、電気化学セル11では水の
電気分解反応が起こり、陽極から発生する酸素を気体導
入管9を通して第二の部室2に導入すれば、通電を続け
ることにより、第二の部室2の内部の酸素の圧力が高く
なり、第三のシート5が生理食塩水を押し、流体供給口
8から1時間当たり10mlの生理食塩水6が、10時
間にわたって供給された。
【0033】なお、第二の部室2に導入する気体として
陰極から発生する水素を使用する場合には、電流は25
mAでよく、また、酸素と水素を共に第二の部室に導入
した場合には、電流は17mAでよい。いずれの場合で
も水の電気分解による一定圧力の酸素あるいは水素の発
生量は、通電電気量(電流×時間)によって決まるた
め、定電流を通電する場合には、単位時間当たりの流体
の供給量は一定となるので、通電電流の大きさを変える
ことによって任意の流体供給量が得られるものである。
【0034】[実施例2] 電気化学セルを第二のシー
トに直接とりつけた、いいかえると、電気化学セルを第
二の部室に一体に装着した流体供給装置を作製した。図
3は使用前の断面構造を示したもので、図における記号
1〜13は図1と同じものを示しており、電気化学セル
11は第二のシート4に直接とりつけられており、この
場合には気体導入管は不必要である。ただし、容器10
の一部に電気化学セルや電源を外部に出す穴14を設け
ておく必要がある。実施例1と同様の電流を流すと同様
の速度で生理食塩水が供給された。
【0035】[実施例3] 第一の部室に、流体注入口
と流体供給口をそれぞれ別に取り付けた、実施例1と同
様の構造の流体供給装置を作成した。実施例1と同様の
電流を流すと同様の速度で生理食塩水が供給された。
【0036】[実施例4] 実施例1と同様の構造で、
流体供給口には逆流防止弁を取り付けた流体供給装置を
作製した。この装置では、使用しない状態では流体供給
口からの液漏れはまったくなく、また、使用中に流体供
給口の外側が減圧状態となっても、液の供給は停止し
た。この構造にすることによって、流体としては液体の
代わりに気体を使用することも可能となる。
【0037】[実施例5] 袋状体や電気化学セルは実
施例1と同様のものを使用し、アクリル樹脂製の箱をふ
たつ合わせた構造の容器を使用した流体供給装置を作製
した。図4はその断面構造を示したもので、図において
記号1〜13は図1と同じものを示しており、15はア
クリル樹脂製の箱である。実施例1と同様の電流を流す
と、同様の速度で生理食塩水が供給された。
【0038】[実施例6] 袋状体や電気化学セルは実
施例1と同様のものを使用し、厚さ5mmのアクリル樹
脂製の2枚の平板を押圧体とし、2枚の平板の間に袋状
体を挟んだ構造の流体供給装置を作製した。図5はその
断面構造を示したもので、図において記号1〜13は図
1と同じものを示しており、16は押圧体としてのアク
リル樹脂製の平板、17はナット、18はボルトで、袋
状体は2枚の押圧体の間に挟まれた状態となっている。
実施例1と同様の電流を流すと、同様の速度で生理食塩
水が供給された。
【0039】
【発明の効果】本発明になる流体供給装置においては、
電気化学セルから発生する気体によって目的の流体の供
給量を決めるものであり、電気化学セルからの気体の発
生量は通電電気量、言い換えると(電流×時間)によっ
て設定することができ、単位時間当りの供給量は電流の
値で、また定電流を通電する場合には、合計の供給量は
時間によって決めることができるという、きわめて簡単
な方法で、流体を精度良く供給することができるもので
ある。
【0040】また、本発明になる流体供給装置は、三枚
の柔軟性を有するシートを積み重ね、その間に流体注入
口や流体吐出口や気体導入管などを挟み、シートの端部
を熱融着などの方法でシールするという、きわめて簡単
な方法で製造することができ、構造が簡単で、任意の大
きさのものを作ることができ、安価となるものである。
【0041】さらに、本発明になる流体供給装置は、三
枚の柔軟性を有するシートからなり、二つの部室を備え
た袋状体と、電気化学セルおよび電源をそなえたもの
で、電気化学セルと電源以外は変形可能であるために、
いろいろな形にして持ち運ぶことができ、衣服のポケッ
ト等に入れて使用する携帯用としてきわめて便利であ
る。
【0042】また、本発明においては、袋状体が電気化
学セルから発生する気体の圧力で変形しない硬い材質か
らなる容器の内部に収納されているために、通電開始か
ら実際に流体の供給が始まるまでの時間の遅れをほとん
どなくすことができるものである。また、本発明になる
流体供給装置においては、袋状体を硬い容器に収納して
いるために、流体供給装置を手で押すとか、何かの間に
挟まるなどによって、外部から圧力が加わった場合で
も、その圧力は袋状体に加わることがなく、したがって
流体供給速度が外部の圧力によって変化するような不都
合を防ぐことができるさらに、本発明になる流体供給装
置全体としては、小型・軽量化が可能で、使用にあたっ
ての操作も容易であり、特に医療用の薬液供給に使用す
る場合、患者にとってきわめて使いやすいものとなる。
【0043】以上のように、本発明になる流体供給装置
は、構造が簡単で、安価で、しかも取り扱いが容易であ
り、従来のベローズやダイヤフラムあるいは電気化学的
輸液ポンプの欠点を取り除くことができるものであり、
その工業的価値はきわめて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる流体供給装置の、使用前の状態の
断面を示す図である。
【図2】本発明になる流体供給装置の、使用終了直前の
状態の断面を示す図である。
【図3】本発明になる実施例2にかかる流体供給装置
の、平面構造を示す図である。
【図4】本発明になる実施例5にかかる流体供給装置
の、平面構造を示す図である。
【符号の説明】
1 第一の部室 2 第二の部室 3 第一のシート 4 第二のシート 5 第三のシート 8 流体供給口 10 容器 11 電気化学セル
【手続補正書】
【提出日】平成7年12月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる流体供給装置の、使用前の状態の
断面を示す図である。
【図2】本発明になる流体供給装置の、使用終了直前の
状態の断面を示す図である。
【図3】本発明になる実施例2にかかる流体供給装置
の、平面構造を示す図である。
【図4】本発明になる実施例5にかかる流体供給装置
の、平面構造を示す図である。
【図5】本発明になる実施例6にかかる流体供給装置
の、平面構造を示す図である。
【符号の説明】 1 第一の部室 2 第二の部室 3 第一のシート 4 第二のシート 5 第三のシート 8 流体供給口 10 容器 11 電気化学セル

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一の部室と第二の部室とを有する袋状
    体と電気化学セル部とを備え、前記袋状体の外壁及び第
    一の部室と第二の部室とを区切る隔壁を柔軟性を有する
    シートによって形成し、前記袋状体を、該袋状体の膨張
    を抑止しうる容器中に収納するか、もしくは該袋状体の
    膨張を抑止しうる押圧体で押圧し、前記第一の部室を流
    体の貯蔵部とし、前記第二の部室を気体加圧部とすると
    ともに、前記第一の部室に流体供給口を設け、前期電気
    化学セル部に直流電流を通電することによって発生する
    気体を前記第二の部室に導入し、前記第一の部室に設け
    た流体供給口から流体を供給するように構成してなるこ
    とを特徴とする、流体供給装置。
  2. 【請求項2】 電気化学セルから発生する気体が、水素
    及び酸素のいずれかもしくは双方であることを特徴とす
    る、請求項1記載の流体供給装置。
  3. 【請求項3】 電気化学セルから発生する気体がチュー
    ブを介して第二の部室に導入されるように構成したこと
    を特徴とする、請求項1又は2記載の流体供給装置。
  4. 【請求項4】 電気化学セルが第二の部室に一体に装着
    されてなることを特徴とする、請求項1又は2記載の流
    体供給装置。
  5. 【請求項5】 流体供給口が流体を予め注入するための
    入口を兼ねることを特徴とする、請求項1、2、3又は
    4記載の流体供給装置。
  6. 【請求項6】 流体の注入口を設けたことを特徴とす
    る、請求項1、2、3又は4記載の流体供給装置。
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