JPH0954509A - 熱定着装置 - Google Patents

熱定着装置

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Publication number
JPH0954509A
JPH0954509A JP20952995A JP20952995A JPH0954509A JP H0954509 A JPH0954509 A JP H0954509A JP 20952995 A JP20952995 A JP 20952995A JP 20952995 A JP20952995 A JP 20952995A JP H0954509 A JPH0954509 A JP H0954509A
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JP
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belt
thin film
film belt
heating head
roller
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Application number
JP20952995A
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English (en)
Inventor
Shigefuka Nagata
茂深 永田
Takahiro Yokota
高広 横田
Masahiro Ishino
正浩 石野
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜ベルトを使用した熱定着装置でこのベル
トの片寄りによるその側部の損傷を防止して、長寿命化
と装置の小型化を図る。 【解決手段】 薄膜ベルトとしてのエンドレスベルト6
1は、テンションローラ14とベルト駆動ローラ62の
2つのローラと、発熱ヘッド11とプレッシャロール1
2の間に掛け渡されている。ベルト駆動ローラ62に
は、その軸方向と直交する方向に所定の間隔で所定幅の
スリットが刻まれている。このローラ表面に圧接してい
るエンドレスベルト61が片寄ろうとすると、ローラ表
面がこれに伴って撓り、この復元力がベルト駆動ローラ
62表面におけるエンドレスベルト61の片寄ろうとす
る力を減少させる。したがって、この側部がローラ端部
のフランジと接触する際の圧力が軽減し、損傷が防止で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複写機やある種のプ
リンタのように画情報の記録の行われた用紙に対して熱
的な定着を行う熱定着装置に係わり、詳細にはエンドレ
スな薄膜ベルトを介して用紙に熱エネルギを与えること
で熱定着を行うようにした熱定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ホストコンピュータやLAN(ローカル
エリアネットワーク)に接続されたある種のプリンタで
は、印刷要求が全く不定期に発生する。このようなプリ
ンタでは、その電源を常時投入しておき熱定着が何時で
も可能な状態を保持しておく必要があった。これは、定
着装置が電源の投入から所望の定着温度に到達するまで
比較的長い時間を必要とし、印刷要求が発生してから定
着装置を立ち上げると、印刷までの待機時間が長くなり
すぎるためであった。しかしながら、これでは定着装置
が常時電力を消費することになり、経済的ではない。同
様の問題は、例えば複写機でも発生した。定着装置の熱
的な立ち上がりに比較的長い時間を必要とするために、
複写の要求があった時点で複写機の電源を投入すること
ができず、結局、仕事が行われている時間帯は複写機の
通電を行って定着装置を加熱しておく必要があった。
【0003】そこで、熱定着装置の熱的な立ち上がりを
短縮する各種の試みが行われている。このうちの1つと
して、発熱ヘッドとエンドレスな薄膜ベルトを使用した
熱定着装置が注目されている。
【0004】図8は、従来、特開平3−41490号公
報等によって提案された熱定着装置の一例を表わしたも
のである。発熱ヘッド11はプレッシャロール12と対
向して配置されている。これらの間とベルト駆動ローラ
13およびテンションローラ14には、エンドレスベル
ト15が掛け渡されている。ベルト駆動ローラ13は矢
印16方向に定速で回転するようになっており、エンド
レスベルト15もこれにより定速で回転するようになっ
ている。定着を行おうとする用紙18はガイド板19に
沿って矢印で示す搬送方向21に進行するようになって
いる。そして、用紙18の先端がプレッシャロール12
とベルト駆動ローラ13の間に到達した後は、エンドレ
スベルト15の移動と共に移動し、発熱ヘッド11の熱
エネルギによって定着されて、プレッシャロール12の
後方に配置されたガイド板22に沿って排出される。
【0005】このような熱定着装置でエンドレスベルト
15は、用紙18の幅以上の幅を有する耐熱性の薄膜ベ
ルトで構成されており、発熱ヘッド11の熱エネルギを
用紙18に伝達する役割を果たしている。このエンドレ
スベルト15は、走行させるにつれて、次第に所定の方
向に片寄ってきて、遂には用紙18の定着領域から外れ
てしまうといった事態の発生が考えられる。そこで、ベ
ルト駆動ローラ13やテンションローラ14には、それ
らの端部に鍔(フランジ)が設けられており、エンドレ
スベルト15がある程度移動するとその側部がフランジ
に当たり、それ以上その方向には移動できないようにし
ている。
【0006】図9は、エンドレスベルトの一方の側部が
ベルト駆動ローラのフランジに当たった状態を示したも
のである。エンドレスベルト15は矢印31方向に移動
する結果として、その側端がベルト駆動ローラ13のフ
ランジ32に当たっている。エンドレスベルト15はそ
の側端がフランジ32に当たった後も矢印31方向に片
寄ろうとする。エンドレスベルト15は薄膜ベルトで構
成されているので、その片寄ろうとする力がある程度以
上強いと側端部がフランジ32に対して捲れ(めくれ)
上がるような状態となる。
【0007】図10は、この状態を表わしたものであ
る。エンドレスベルト15の捲れ上がった状態が進展す
ると、遂にはその部分15Aが折れてしまったり、亀裂
が発生する。そしてエンドレスベルト15全体の交換が
必要となる。
【0008】そこで、図8に示した従来の熱定着装置で
は、エンドレスベルト15がベルト駆動ローラ13上で
所定以上片寄ったらこれを修正する機構を設けている。
すなわち、この装置ではエンドレスベルト15の走行す
る経路上に、ベルト寄り検知センサ41を配置してお
り、片寄りが発生したときにこれを検知するようになっ
ている。また、テンションローラ14はテンショナ42
によって所定方向に引っ張られた状態となっている。ソ
レノイド42のプランジャ43の一端を取り付けたアー
ム44の他端は、このテンションローラ14の回転軸に
回動自在に取り付けられている。
【0009】図11は、図8に示した熱定着装置の2つ
のローラとその周辺を上から見たものである。ソレノイ
ド42からプランジャ43が押し出された状態では、ベ
ルト駆動ローラ13とテンションローラ14がほぼ平行
に配置されており、このときエンドレスベルト15は設
計上、わずかに矢印51方向に片寄っていく習性を与え
られている。例えば、ベルト駆動ローラ13とテンショ
ンローラ14の間隔が、矢印51方向に進むほどわずか
ずつ狭まっていれば、このような習性が与えられる。こ
れにより、エンドレスベルト15が矢印51方向に移動
すると、遂にはその右端がベルト寄り検知センサ41と
接触し、あるいは光学的に検出される。
【0010】エンドレスベルト15の片寄りがこのよう
にして検出されると、このベルト寄り検知センサ41の
検出に連動してソレノイド42がプランジャ43を吸引
する。すると、図で一点鎖線で示したようにテンション
ローラ14の図で右端部分がソレノイド42側に移動
し、ベルト駆動ローラ13の右端部分との間隔が広が
る。図ではこの状態を誇張して描いている。
【0011】これにより、エンドレスベルト15は矢印
15方向と逆方向にわずかずつ移動して、ベルト寄り検
知センサ41が再び用紙の検知を行わなくなる。この時
点で、ソレノイド42の励磁が解かれると、再びベルト
駆動ローラ13とテンションローラ14は以前の配置関
係となる。すなわち、ソレノイド42の励磁と非励磁が
交互に切り替えられることによって、エンドレスベルト
15の側部はこれらのローラ13、14の側端に配置さ
れたフランジ32に接触あるいは圧接することがなくな
り、エンドレスベルト15自体の損傷を防止することが
できる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のこの
ような熱定着装置では、エンドレスベルト15の片寄り
を検出する回路や、ベルト駆動ローラ13とテンション
ローラ14の平行度を制御するための機構が必要となっ
た。この結果、熱定着装置全体が複雑な回路装置とな
り、高価となるばかりでなく、装置が大型化するという
問題があった。また、電気部品を使用しているので、誤
動作が発生するとエンドレスベルト15の片寄りを助長
するような制御が行われてしまう可能性もあり、装置の
信頼性が高くないといった問題もあった。
【0013】更に、このエンドレスベルトが片寄ってそ
の一側端がフランジに当たると、薄膜状のベルトに“し
わ”が発生する場合があり、これがその損傷の原因とな
ることもあった。
【0014】そこで本発明の目的は、簡単な機構でエン
ドレスベルトの側部の損傷を防止することのできる熱定
着装置を提供することにある。
【0015】本発明の他の目的は、エンドレスベルトの
“しわ”の発生を防止することのできる熱定着装置を提
供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、(イ) 定着を行おうとする用紙の搬送方向と直交
する方向に発熱素子を配置した発熱ヘッドと、(ロ)こ
の発熱ヘッドと摺接するエンドレスな薄膜ベルトと、
(ハ)発熱ヘッドと対向配置され用紙の定着時にこれを
薄膜ベルトを介して発熱ヘッドに圧接させるプレッシャ
ローラと、(ニ)このプレッシャローラを回転させる駆
動手段と、(ホ)薄膜ベルトを掛け渡されその両端部に
軸方向への薄膜ベルトの移動を阻止する壁部材を有し、
これら壁部材に挟まれた可撓性のロール状部材の表面に
は軸方向と直交する方向に向いたスリットがこの軸方向
に間隔を置いて所定の深さで複数刻まれている1または
複数のローラとを熱定着装置に具備させる。
【0017】すなわち請求項1記載の発明では、エンド
レスな薄膜ベルトを掛け渡す所定のローラの可撓性を有
する表面にその回転軸方向と直交する方向に複数個のス
リットを所定の深さで刻むようにしている。これによっ
て、スリット間の円板状の可撓性の部材は、薄膜ベルト
の移動方向に撓ると共に、この反対方向に復元しようと
する反発力を発生させる。したがって、薄膜ベルトが移
動してフランジ等の壁部材にその側部が接触したとして
も、その圧力は十分小さくなり、薄膜ベルトの損傷を防
止することができる。
【0018】請求項2記載の発明では、(イ)定着を行
おうとする用紙の搬送方向と直交する方向に発熱素子を
配置した発熱ヘッドと、(ロ)この発熱ヘッドと摺接す
るエンドレスな薄膜ベルトと、(ハ)発熱ヘッドと対向
配置され用紙の定着時にこれを薄膜ベルトを介して発熱
ヘッドに圧接させるプレッシャローラと、(ニ)このプ
レッシャローラを回転させる駆動手段と、(ホ)薄膜ベ
ルトを掛け渡されその両端部に軸方向への薄膜ベルトの
移動を阻止するフランジを有し、これらフランジに挟ま
れた可撓性のロール状部材の表面にはこの軸方向と直交
する方向に左右対称となるようにそれぞれ反対方向に所
定角度傾斜した螺旋状のスリットが所定の深さで刻まれ
ているベルト駆動ローラと、(ヘ)このベルト駆動ロー
ラと発熱ヘッドの間に少なくとも掛け渡された薄膜ベル
トを緊張状態に保つテンション印加手段とを熱定着装置
に具備させる。
【0019】すなわち請求項2記載の発明では、エンド
レスな薄膜ベルトを掛け渡す所定のローラの可撓性を有
する表面にその回転軸方向と直交する方向に左右対称と
なるようにそれぞれ反対方向に所定角度傾斜した螺旋状
のスリットが所定の深さで刻まれるようにしている。こ
れによって形成される螺旋状の可撓性の部材は、薄膜ベ
ルトの移動方向に撓ると共に、この反対方向に復元しよ
うとする反発力を発生させる。したがって、薄膜ベルト
が移動してフランジにその側部が接触したとしても、そ
の圧力は十分小さくなり、薄膜ベルトの損傷を防止する
ことができる。また、螺旋状のスリットの回転の向きを
適切に設定することによって、薄膜ベルトは回転軸の両
端部に移動する力を受け、その表面が緊張するので、し
わの発生も防止される。
【0020】請求項3記載の発明では、(イ)定着を行
おうとする用紙の搬送方向と直交する方向に発熱素子を
配置した発熱ヘッドと、(ロ)この発熱ヘッドと摺接す
るエンドレスな薄膜ベルトと、(ハ)発熱ヘッドと対向
配置され前記用紙の定着時にこれを薄膜ベルトを介して
発熱ヘッドに圧接させるプレッシャローラと、(ニ)こ
のプレッシャローラを回転させる駆動手段と、(ホ)薄
膜ベルトを掛け渡されその両端部に軸方向への前記薄膜
ベルトの移動を阻止する壁部材を有し、これらフランジ
に挟まれた可撓性のロール状部材の表面にはこの軸方向
と直交する方向に左右対称となるようにそれぞれ反対方
向に所定角度傾斜した螺旋状のスリットが所定の深さで
刻まれており、かつロール状部材の中央部ほど周辺部よ
りも直径が増大したタイコ状となっている1または複数
のローラとを熱定着装置に具備させる。
【0021】すなわち請求項3記載の発明では、エンド
レスな薄膜ベルトを掛け渡す所定のローラの可撓性を有
する表面にローラの軸方向と直交する方向に左右対称と
なるようにそれぞれ反対方向に所定角度傾斜した螺旋状
のスリットが所定の深さで刻まれている。これによって
請求項2記載の発明と同様の効果が得られるようにして
いる。また、これらのローラは中央部ほど周辺部よりも
直径が増大した外形がタイコ状のものとなっているの
で、薄膜ベルトは中央ほどその速度が速くなり、中央に
寄る傾向を有し、フランジにその側部が接触する可能性
を低減する。また、薄膜ベルトが中央に寄るとき、前記
したスリットの存在によって薄膜ベルトの周辺が前の位
置に取り残される方向の力を受けるので、ベルト表面が
緊張することになる。このような結果として、“しわ”
の発生と薄膜ベルトの損傷を効果的に防止することがで
きる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下実施の実施の形態を実施例を
基に詳細に説明する。
【0023】図1は、本発明の一実施例における熱定着
装置を表わしたものである。この図1で図8と同一部分
には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略
する。本実施例では、用紙18の幅以上の幅を有する耐
熱性の薄膜ベルトから構成されたエンドレスベルト61
が、ベルト駆動ローラ62とテンションローラ14およ
び発熱ヘッド11の間に掛け渡されている。テンション
ローラ14はテンショナ42によって所定方向に引っ張
られた状態となっている。また、ベルト駆動ローラ62
とテンションローラ14にはそれらの端部にそれぞれフ
ランジ32A、32Bが取り付けられている。フランジ
32A、32Bは、図で手前側のみ図示しているが、奥
側にもそれぞれ存在している。プレッシャロール12
は、駆動モータ64によって駆動力を与えられ、矢印6
5方向に定速で回転するようになっている。用紙18
は、矢印で示す搬送方向21に搬送され、発熱ヘッド1
1とプレッシャロール12の間を通過し、このとき熱エ
ネルギが与えられて定着されることになる。
【0024】図2は、ベルト駆動ローラの構造を表わし
たものである。ベルト駆動ローラ62は、耐熱性に優
れ、かつ可撓性のシリコンロールからなり、その表面に
所定の深さで軸方向と直交するように1.5mm幅のス
リット71を1.5mm間隔で、両端部を除いた全域に
均一に刻んだ形状となっている。ベルト駆動ローラ62
の両端部62A、62Aは、この図には示していないフ
ランジの固定のためにスリット71が刻まれていない。
このベルト駆動ローラ62の表面に、エンドレスベルト
61が掛け渡されることになる。
【0025】図3は図9に対応するもので、このベルト
駆動ローラにエンドレスベルトが掛け渡された初期状態
を表わしたものである。エンドレスベルト61の側端
は、ベルト駆動ローラ62の端部に配置されたフランジ
32Aから少なくとも所定の距離tだけ離れて配置され
ている。図示しない他の端部についても同様である。本
実施例のベルト駆動ローラ62の回転軸は、テンション
ローラ14の回転軸が平行になるように配置されてい
る。しかしながら、これらのローラ14、62の回転軸
同士の微妙な平行度の狂い等によって、エンドレスベル
ト61は次第にベルト駆動ローラ62の軸方向に沿って
移動する。
【0026】図4は、一方のフランジに接触する位置ま
でエンドレスベルトが移動した状態を示したものであ
る。エンドレスベルト61は、図1に示したテンション
ローラ14がテンショナ42によってベルト駆動ローラ
62と反対方向に引っ張られているために、スリット7
1の刻まれたシリコンロール表面に圧接している。した
がって、エンドレスベルト61がベルト駆動ローラ62
の所定の回転軸方向81に移動すると、これに伴って多
数の円板状のロール表面がこれに追従するようにこの回
転軸方向81に倒れる。シリコンは可撓性の物質なの
で、この倒れた接触部分ではこの所定の回転軸方向81
と逆方向にエンドレスベルト61を押し返そうとする力
が働く。この反発力(復元力)は、エンドレスベルト6
1が所定の回転軸方向81に移動するほど強くなる。
【0027】このために、エンドレスベルト61の移動
はある時点で移動させようとする力とこれに対する反発
力とが釣り合うことになり、停止する。また、このよう
なエンドレスベルト61の停止が行われずに、図4に示
すようにその側部がフランジ32Aと接触する位置まで
移動したとしても、この反発力の存在によって接触圧は
十分低減する。すなわち、エンドレスベルト61の側端
部はフランジ32Aと比較的弱い力で接するので、図1
0で説明したようにこの側端部がフランジ32Aに競り
上がり、あるいは捲れ上がってその部分から亀裂が生じ
るといった事態を回避することができる。この結果、エ
ンドレスベルト61が長期間安定して走行できるように
なり、その寿命が十分長くなる。
【0028】第1の変形例
【0029】図5は、ベルト駆動ローラの構造の他の例
を第1の変形例として表わしたものである。このベルト
駆動ローラ83のシリコンロールの部分の長さをLとす
ると、それぞれL/2ずつの長さの領域で、かつ両端部
の所定幅を除いて、互いに反対方向に回転した螺旋状の
スリットが形成されている。これらのスリットの傾斜角
は、ベルト駆動ローラ83の回転軸と直行する方向に対
して数度程度となっている。
【0030】このようなベルト駆動ローラ83では、そ
の回転によってそれぞれの端部方向に向けてエンドレス
ベルト61(図3等参照)を移動させようとする力が働
く。これにより、耐熱性の薄膜ベルトから構成されたエ
ンドレスベルト61は、両側部を外側に引っ張られる状
態となり、常に緊張状態に保たれる。これにより、“し
わ”の発生が防止される。
【0031】しかも、シリコン部材は可撓性なので、エ
ンドレスベルト61がベルト駆動ローラ83の回転軸の
いずれかの方向に移動すると、螺旋状の先端部位がこの
移動方向に撓り、これと逆方向に反発力が発生する。し
たがって、先の実施例で説明したと同様にエンドレスベ
ルト61の移動しようとする力は移動量に応じて減殺さ
れ、ある程度の距離だけ移動した時点で停止するように
なる。また、先の実施例と同様に仮にエンドレスベルト
61の側部がフランジ32A(図3参照)と接触する位
置まで移動したとしても、その接触圧は十分小さいもの
で、エンドレスベルト61の耐久性を十分確保すること
ができる。
【0032】第2の変形例
【0033】図6は、エンドレスベルトの断面構造を表
わしたものである。この第2の変形例ではエンドレスベ
ルト91の両側部91A、91Bの厚さを他の部分に比
べて厚くすることにした。図で下側がローラと接触する
側の面である。このようにエンドレスベルト91の両側
部91A、91Bが厚いので、この部分の耐久性が高ま
る。したがって、両側部91A、91Bの一方がフラン
ジに比較的弱い力で長期間接触したとしても、捲れや折
れ、あるいはこの部分から亀裂が生じる危険が大幅に低
減する。
【0034】なお、この第2の変形例ではエンドレスベ
ルト91の両端部が厚くなっている分だけこれらの部分
で熱エネルギの伝達が悪くなり、定着の能力が落ちるこ
とになる。しかしながら、エンドレスベルト91の幅に
多少の余裕を設けておけば、この厚くなった部分が用紙
の領域外となるので、定着に何ら問題が発生しない。ま
た、エンドレスベルト91の幅にあまり余裕がない場合
であっても、定着する用紙の側部ぎりぎりまで文字等の
情報が存在することはまれなため、この意味でも定着の
点で問題が発生することは非常に少なくなる。
【0035】また、第2の変形例ではエンドレスベルト
91の両側部の厚さを連続的に厚くしたが、この両側部
のみ薄膜状の部材を2層あるいは多層に重ねた構成にし
てもよい。図10等に示した従来の熱定着装置では、エ
ンドレスベルトの側部がフランジにかなりの圧力で接触
するため、このように端部の厚さを不連続に変化させる
と、その変化した部分に無理が生じてベルトの折れが発
生するおそれがある。しかしながら、本発明の場合には
エンドレスベルトがフランジと接触してもその圧力は低
いので、段差部分でベルトが折れるという事態を回避す
ることができるからである。
【0036】第3の変形例
【0037】図7は、本発明の第3の変形例におけるベ
ルト駆動ローラの形状の概要をその軸方向と直交する方
向に誇張して表わしたものである。ベルト駆動ローラ1
01はその回転軸方向の中央部ほど直径が大きく、周辺
部ほど直径が減少しており、タイコ型の形状となってい
る。スリット102は、第1の変形例で示したように回
転軸方向と直交する方向に左右対称となるようにそれぞ
れ反対方向に所定角度傾斜した螺旋状のスリットが所定
の深さで刻まれている。
【0038】この第3の変形例によれば、この図に示さ
ないエンドレスベルトがベルト駆動ローラ101に掛け
られたとき、その中央部に近いほど周辺部よりも速度が
速くなる。この結果、エンドレスベルトは中央部に寄る
傾向を有し、その周辺部がベルト端部101A、101
Bと接触する可能性が低減する。また、エンドレスベル
トの周辺部は、スリット102の作用によってベルト自
体が中央部に移動するのに逆らう方向の力を受ける。こ
の結果、エンドレスベルトは緊張状態を保つことにな
り、しわが発生することがない。
【0039】なお、以上説明した実施例および変形例で
はローラの両端に別部品としてフランジを付けたが、ロ
ーラの両端に一体的にフランジを形成したり、端部に所
定のリング状の部品を嵌合させ、フランジとしてもよ
い。また、実施例および変形例ではベルト駆動ローラの
表面にスリットを刻んだが、他のローラ、例えばテンシ
ョンローラ14についても同様の処理を行うことは有効
である。更に実施例ではスリット71の幅と間隔をそれ
ぞれ1.5mmとしたが、この値はスリットの深さ等に
応じて適宜変更することができることはもちろんであ
る。また、ローラの材質は耐熱性を有し可撓性であれ
ば、シリコン以外のものを使用することができることも
当然である。
【0040】更に第1の変形例ではエンドレスな薄膜ベ
ルトを掛け渡す所定のローラの可撓性を有する表面にそ
の回転軸方向と直交する方向に左右対称となるようにそ
れぞれ反対方向に所定角度傾斜した螺旋状のスリットが
所定の深さで刻まれるようにしたが、このようなスリッ
トは対称形に設けなくてもよい。例えば薄膜ベルトの移
動を阻止する壁部材に挟まれた可撓性のロール状部材の
表面に、この軸方向と直交する方向に所定角度傾斜した
螺旋状のスリットが所定の深さで刻まれている1または
複数のローラを配置するようにしてもよい。これによっ
て形成される螺旋状の可撓性の部材は、薄膜ベルトの移
動方向に撓ると共に、この反対方向に復元しようとする
反発力を発生させるので、薄膜ベルトが移動してフラン
ジ等の壁部材にその側部が接触したとしても、その圧力
は十分小さくなり、薄膜ベルトの損傷を防止することが
できる。したがって、この場合にも熱定着装置のサイズ
のコンパクト化とコストダウンを図ることができる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明
によれば、エンドレスな薄膜ベルトを掛け渡す所定のロ
ーラの可撓性を有する表面にその回転軸方向と直交する
方向に複数個のスリットを所定の深さで刻むようにして
おり、これによって、スリット間の円板状の可撓性の部
材は、薄膜ベルトの移動方向に撓ると共に、この反対方
向に復元しようとする反発力を発生させるので、薄膜ベ
ルトが移動してフランジ等の壁部材にその側部が接触し
たとしても、その圧力は十分小さくなり、薄膜ベルトの
損傷を防止することができる。すなわち、特別の電気部
品や複雑な機構を何ら必要とすることなく、薄膜ベルト
の寿命を延ばすことができ、熱定着装置のサイズのコン
パクト化とコストダウンを図ることができる。
【0042】更に請求項2記載の発明によれば、エンド
レスな薄膜ベルトを掛け渡す所定のローラの可撓性を有
する表面にその回転軸方向と直交する方向に左右対称と
なるようにそれぞれ反対方向に所定角度傾斜した螺旋状
のスリットが所定の深さで刻まれるようにしている。こ
れによって形成される螺旋状の可撓性の部材は、薄膜ベ
ルトの移動方向に撓ると共に、この反対方向に復元しよ
うとする反発力を発生させるので、薄膜ベルトが移動し
てフランジにその側部が接触したとしても、その圧力は
十分小さくなり、薄膜ベルトの損傷を防止することがで
きる。また、螺旋状のスリットの回転の向きを適切に設
定することによって、薄膜ベルトは回転軸の両端部に移
動する力を受け、その表面が緊張するので、しわの発生
も有効に防止することができる。
【0043】したがって、熱定着装置のサイズのコンパ
クト化とコストダウンを図ることができるばかりでな
く、エンドレスな薄膜ベルトの厚さが薄くても“しわ”
の発生を防止することができるので、その寿命を十分長
くすることができ、発熱ヘッドの熱効率を高めることが
できる。
【0044】更に請求項3記載の発明によれば、エンド
レスな薄膜ベルトを掛け渡す所定のローラの可撓性を有
する表面にこの軸方向と直交する方向に左右対称となる
ようにそれぞれ反対方向に所定角度傾斜した螺旋状のス
リットが所定の深さで刻まれている。これによって請求
項2記載の発明と同様の効果を得ることができる。ま
た、これらのローラは中央部ほど周辺部よりも直径が増
大した外形がタイコ状のものとなっているので、薄膜ベ
ルトは周速度の高い中央に寄る傾向を有し、薄膜ベルト
が移動してフランジにその側部が接触する可能性を低減
している。また、直径が増大した外形がタイコ状のもの
となっているので、薄膜ベルトは中央ほどその速度が速
くなり、中央に寄る傾向を有し、フランジにその側部が
接触する可能性を低減する。また、薄膜ベルトが中央に
寄るとき、前記したスリットの存在によって薄膜ベルト
の周辺が前の位置に取り残される方向の力を受けるの
で、ベルト表面が緊張することになる。このような結果
として、“しわ”の発生と薄膜ベルトの損傷を効果的に
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例における熱定着装置の概略
構成図である。
【図2】 本実施例のベルト駆動ローラの構造を一部省
略して表わした平面図である。
【図3】 本実施例のベルト駆動ローラにエンドレスベ
ルトが掛け渡された初期状態を表わした一部断面図であ
る。
【図4】 図3に示したエンドレスベルトがベルト駆動
ローラの一方のフランジに接触する位置まで移動した状
態を示した一部断面図である。
【図5】 本発明の第1の変形例におけるベルト駆動ロ
ーラの構造を一部省略して表わした平面図である。
【図6】 本発明の第2の変形例におけるエンドレスベ
ルトの断面図である。
【図7】 本発明の第3の変形例におけるベルト駆動ロ
ーラの構造を一部省略して表わした平面図である。
【図8】 従来提案された熱定着装置の一例を表わした
概略構成図である。
【図9】 図8に示した装置でエンドレスベルトの一方
の側部がベルト駆動ローラのフランジに当たった状態を
示した一部断面図である。
【図10】 図8に示した装置でエンドレスベルトの一
方の側部がフランジに捲れ上がった状態を示した一部断
面図である。
【図11】 図8に示した熱定着装置の2つのローラと
その周辺を上から見た要部平面図である。
【符号の説明】
11…発熱ヘッド、12…プレッシャロール、14…テ
ンションローラ、18…用紙、32A、32B…フラン
ジ、42…テンショナ、61…エンドレスベルト、6
2、83、101…ベルト駆動ローラ、64…駆動モー
タ、71、102…スリット

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 定着を行おうとする用紙の搬送方向と直
    交する方向に発熱素子を配置した発熱ヘッドと、 この発熱ヘッドと摺接するエンドレスな薄膜ベルトと、 前記発熱ヘッドと対向配置され前記用紙の定着時にこれ
    を薄膜ベルトを介して発熱ヘッドに圧接させるプレッシ
    ャローラと、 このプレッシャローラを回転させる駆動手段と、 前記薄膜ベルトを掛け渡されその両端部に軸方向への前
    記薄膜ベルトの移動を阻止する壁部材を有し、これら壁
    部材に挟まれた可撓性のロール状部材の表面には前記軸
    方向と直交する方向に向いたスリットがこの軸方向に間
    隔を置いて所定の深さで複数刻まれている1または複数
    のローラとを具備することを特徴とする熱定着装置。
  2. 【請求項2】 定着を行おうとする用紙の搬送方向と直
    交する方向に発熱素子を配置した発熱ヘッドと、 この発熱ヘッドと摺接するエンドレスな薄膜ベルトと、 前記発熱ヘッドと対向配置され前記用紙の定着時にこれ
    を薄膜ベルトを介して発熱ヘッドに圧接させるプレッシ
    ャローラと、 このプレッシャローラを回転させる駆動手段と、 前記薄膜ベルトを掛け渡されその両端部に軸方向への前
    記薄膜ベルトの移動を阻止するフランジを有し、これら
    フランジに挟まれた可撓性のロール状部材の表面にはこ
    の軸方向と直交する方向に左右対称となるようにそれぞ
    れ反対方向に所定角度傾斜した螺旋状のスリットが所定
    の深さで刻まれているベルト駆動ローラと、 このベルト駆動ローラと前記発熱ヘッドの間に少なくと
    も掛け渡された前記薄膜ベルトを緊張状態に保つテンシ
    ョン印加手段とを具備することを特徴とする熱定着装
    置。
  3. 【請求項3】 定着を行おうとする用紙の搬送方向と直
    交する方向に発熱素子を配置した発熱ヘッドと、 この発熱ヘッドと摺接するエンドレスな薄膜ベルトと、 前記発熱ヘッドと対向配置され前記用紙の定着時にこれ
    を薄膜ベルトを介して発熱ヘッドに圧接させるプレッシ
    ャローラと、 このプレッシャローラを回転させる駆動手段と、 前記薄膜ベルトを掛け渡されその両端部に軸方向への前
    記薄膜ベルトの移動を阻止する壁部材を有し、これらフ
    ランジに挟まれた可撓性のロール状部材の表面にはこの
    軸方向と直交する方向に左右対称となるようにそれぞれ
    反対方向に所定角度傾斜した螺旋状のスリットが所定の
    深さで刻まれており、かつロール状部材の中央部ほど周
    辺部よりも直径が増大したタイコ状となっている1また
    は複数のローラとを具備することを特徴とする熱定着装
    置。
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