JPH0952715A - ビスマス鉛化合物 - Google Patents

ビスマス鉛化合物

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JPH0952715A
JPH0952715A JP34457295A JP34457295A JPH0952715A JP H0952715 A JPH0952715 A JP H0952715A JP 34457295 A JP34457295 A JP 34457295A JP 34457295 A JP34457295 A JP 34457295A JP H0952715 A JPH0952715 A JP H0952715A
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Hiroshi Kodama
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐酸、耐アルカリ性および耐熱性に優れ、酸
性、中性、および、アルカリ性のいずれの水溶液中でも
有効であって、さらに、イオン交換容量およびイオン交
換速度が大きい新規なビスマス鉛化合物を提供し、この
ビスマス鉛化合物を用いて、効率的な無機陰イオンの固
化および除去を可能とする。 【解決手段】 BiPbO2 (NO3 )で表せられるビ
スマス鉛化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、(NO3 )基を
含む新規なビスマス鉛化合物とその製造法、及びこれを
利用した無機陰イオン交換体や無機陰イオンの除去方法
に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、水
溶液や有機溶剤から塩化物イオンやヨウ化物イオン等の
無機陰イオンの除去、産業廃液の処理、原子力発電廃液
からの放射性イオンの除去や固定化、気体中のイオン性
成分の回収及び除去に有用な新規なビスマス鉛化合物と
その製造法、並びにその利用方法としての無機陰イオン
交換体や、無機陰イオンの固化・除去法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、塩化物イオン等の
無機陰イオンの除去は各種の産業分野、たとえば化学工
業、食品工業、産業廃液処理、原子力発電の廃液処理等
において重要な課題となっており、そのための処理材と
してのイオン交換体が開発されてきている。また、特
に、放射性塩化物イオンや放射性ヨウ化物イオンを安定
な固化体として保存することが必要とされている。
【0003】このイオン交換体としては、従来は主とし
て有機系イオン交換体が用いられてきているが、有機系
イオン交換体は無機陰イオンに対する交換性能が低く、
また無機陰イオンの除去材や放射性無機陰イオンの固化
除去材として用いるには、その安定性に問題があった。
そこで、無機陰イオンの除去、その固化材として無機系
イオン交換体が注目されている。
【0004】しかしながら、これまでに知られている無
機系陰イオン交換体は、耐酸性、耐アルカリ性、およ
び、耐熱性に弱く、したがって、この無機陰イオン交換
体の使用については、安定性に問題があり、しかも多く
の複雑な前処理が存在したり、汎用性に欠けるといった
欠点があった。また、従来の無機系陰イオン交換体は、
一般的にイオン交換容量およびイオン交換速度が小さい
といった欠点が指摘されており、効率的なイオン交換を
行うことは、実際には不可能であった。
【0005】この発明は、以上の通りの事情に鑑みてな
されたものであり、従来の無機イオン交換体の欠点を解
消し、耐酸性、耐アルカリ性および耐熱性に優れ、か
つ、イオン交換容量およびイオン交換速度が大きい無機
陰イオン交換体等として有用な新しい物質系とその製造
方法およびそのイオン交換体やイオン固化体としての利
用方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、BiPbO2 (NO3 )で表さ
れるビスマス鉛化合物とその製造法及びその利用方法を
提供する。すなわち、この発明では、上記の化合物を提
供するとともに、ビスマス元素と鉛元素と酸素元素と硝
酸基(NO3 )とのモル比が略1:1:2:1になるよ
うに調整した混合物を原料として、この原料に水を加え
または加えずに、この原料を加熱反応させることを特徴
とするビスマス鉛化合物の製造方法を提供する。
【0007】さらに、この発明においては、前記のビス
マス鉛化合物を有効成分とする無機イオン交換体、そし
てこれを用いて塩化物イオンやヨウ化物イオン等を除去
し固定化する方法をも提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】さらに詳しく説明すると、まず、
目的とする上記のビスマス鉛化合物を製造するためのこ
の発明の方法では、例えば、酸化ビスマス、酸化鉛、硝
酸ビスマス、硝酸鉛などの適宜な化合物を原料として用
いる。これらの化合物のうち、必要なものを組み合わせ
て混合した物を原料物質として用いる。原料物質の平均
的な組成はビスマス元素と鉛元素の比がモル数で略1:
1であり、かつ、ビスマス元素と酸素元素及びビスマス
元素と硝酸基の比がモル数でそれぞれ略1:2及び1:
1になるように出発物質の組成を調整するのが好まし
い。なお、ビスマス元素に対して酸素元素と硝酸基の含
まれる割合は通常はこの比より多くてもかまわない。な
ぜなら、過剰に存在する酸素や硝酸基は最終的には放出
され、生成物の組成に影響を与えない。
【0009】出発物質からBiPbO2 (NO3 )が生
成する化学反応の式は、たとえば次の通りに例示するこ
とができる。
【0010】
【化1】 反応(1)及び(2)は室温近傍の温度では進行しない
ので、反応(1)は通常は200℃以上に加熱して、反
応(2)は通常は300℃以上に加熱して反応させるの
が好ましい。また、反応の際に粉末原料に水を加えてあ
ると、反応開始温度を下げることができる。例えば反応
(2)で、原料に水を加えた状態で反応を行うと250
℃でも純粋なBiPbO2 (NO3 )が得られる。
【0011】開放した容器中でこれらの反応を行なう
と、NO3 の一部が反応せずに大気中に放出されたり、
加えた水が大気中に放出されたりして、目的の化合物の
収量が低下するので、密閉した容器を用いることが望ま
しい。しかし、密閉した容器内で上記の化学反応による
合成を行うとき、共存する水や未反応の硝酸基がガス成
分として存在し、密閉した容器内の圧力を大気圧より高
くする。そこで、密閉した容器として、耐圧性容器を用
いるか、又は、密閉容器を圧力容器に入れて使用するこ
とが望ましい。
【0012】そして、この発明のBiPbO2 (N
3 )の式で表される化合物は、無機陰イオン交換体と
して有用であり、これによって、ハロゲン化物イオンた
とえば塩化物イオンやヨウ化物イオン等の無機陰イオン
を効果的に除去可能とし、しかも安定な固化体に変える
ことができる。酸性、中性及びアルカリ性のいずれの水
溶液においてもイオン交換性は有効である。
【0013】なお、一部のビスマス酸化物硝酸化物系化
合物はハロゲンイオンに対してイオン交換性をもつこと
が知られているが、そのような化合物はその組成中に含
まれる水酸基や硝酸基がハロゲンイオンとイオン交換す
ることが明らかにされている。この発明のビスマス鉛化
合物の場合にも、その組成中に硝酸基を有しており、こ
れが塩化物イオンやヨウ化物イオン等とイオン交換する
ことが確かめられた。そして、この発明の場合には、従
来の知見からは予測できない優れたイオン交換性を実現
している。
【0014】そして、この発明の化合物からなるイオン
交換体は、ハロゲン化物イオンだけでなく、各種の無機
陰イオンの交換体、その固化・除去剤としてもその有効
性が期待される。イオン交換体として使用態様において
も様々に可能であって、粒状体、粉状体、これらのバイ
ンダーを用いて多孔結合体等々としてその使用態様は適
宜に考慮される。
【0015】
【実施例】以下、実施例を示してさらに詳しくこの発明
のビスマス鉛化合物とその製造法、並びにこれを利用し
た無機陰イオン交換体の実施の形態について説明する。実施例1 PbOとBi2 3 とBi(NO3 3 ・5H2 Oを
3:1:1のモル比で混合した粉末試料を出発原料に用
いた。この原料、約0.2gを白金カプセルに入れて封
入した。そして、このカプセルを圧力容器に入れた後、
一定温度に予め加熱してある電気炉中にて、24時間加
熱した。加熱中、圧力容器の内部を約100〜1000
kg/cm2 に加圧したが、これは白金カプセルの内圧
が分解により放出されるガス成分により上昇して、カプ
セルが破壊するのを防ぐためである。加熱後、急冷して
試料を取り出し、組成の分析及び構造解析を行った。
【0016】生成物の組成の分析は熱重量分析と質量分
析とを併用した方法で行った。BiPbO2 (NO3
を高温まで加熱するとやがて分解する。分解の様子を熱
天秤を用いて調べてその結果を図1に示した。この図1
から明らかなように、分解は450℃付近から始まり、
600℃付近で完了した。このとき、試料の重量は1
0.58%減少した。この分解の際に放出される気体成
分を、質量分析計による同時観察によって調べた。その
結果を図2に示した。分解によって放出される主な成分
はNO、O2 、O、Nなどであり、これらはNO3 の分
解成分である。このほか、不純物として、微量のCO2
が放出されているが、その量は図2から明らかなように
極めてわずかであり無視できる。従って、BiPbO2
(NO3 )を加熱分解したときの反応は次のように記述
できる。
【0017】
【化2】 この反応式で、(s)は固体を、(g)は気体を表す。
NOはさらに分解、反応してO2 やNなどを生成する。
従って、熱分解が式(3)に従って行われるならば、そ
のときの減少する試料の重量は10.59%と計算され
る。この値と図1に示した実験から求めた値、10.5
8%とを比べると大変良い一致を示している。このこと
は生成物の組成がBiPbO2 (NO3 )であり、これ
が式(3)に従って分解したことを示している。
【0018】以上の熱重量分析と質量分析の結果から、
本発明の生成物の組成はBiPbO2 (NO3 )である
ことが確かめられた。そして、化合物BiPbO2 (N
3 )の構造解析はその粉末試料のX線回折パターンの
解析によって行った。化合物Bi2 2 (CO3 )とB
iPbO2 I、及びこの発明の方法で合成した化合物B
iPbO2 (NO3 )の粉末試料のそれぞれのX線回折
パターンを図3のA,B,Cに示した。これらのパター
ンを比べると、A,B,Cは類似したパターンであるこ
とが分かる。また、化合物BiPbO2 (NO3 )のパ
ターン(C)と化合物Bi2 2 (CO3 )のパターン
(A)が特に良く類似している。このことはそれら二つ
の化合物の構造が基本的に同一であることを示してい
る。
【0019】化合物Bi2 2 (CO3 )の構造は既に
明らかにされている。それによると、この化合物は正方
晶系の構造を有し、格子定数はa=3.867,c=1
3.686であると報告されている。この発明では、化
合物BiPbO2 (NO3 )について、これが正方晶系
の構造を有するとして、構造解析を行った。その結果、
BiPbO2 (NO3 )の格子定数は、a=3.971
0,c=14.8189であると解析された。また、す
べてのピークについて面指数(h k l)、面間隔
(dÅ)の計算値(d1 )と実測値(d2 )、及びX線
ピークの相対反射強度(I%)の実測値(I2 )を求め
た。その結果を示したものが表1である。すべてのピー
クについて指数付けができ、またそれぞれの計算値と実
測値が非常に良い一致を示すことから、この構造解析の
結果が正しいことを示している。これらの結果と前述の
組成分析の結果から、合成した化合物はBiPbO
2 (NO3 )の組成をもつ単一な相であると結論づけら
れる。
【0020】
【表1】 実施例2 上記実施例1において、反応温度を100〜450℃と
した製造例を表2に示した。純粋なBiPbO2 (NO
3 )を24時間の加熱により合成するには200℃近傍
か、それ以上の温度で反応させることが望ましいことが
わかる。
【0021】
【表2】 なお、純粋なBiPbO2 (NO3 )を生成するのに必
要な加熱時間は24時間より短くてもよい。例えば、3
50℃で2時間加熱して出発原料を取り出したところ、
純粋なBiPbO2 (NO3 )が生成していた。実施例3 実施例1に記載した原料を200℃以下の温度で加熱し
ても、加熱時間を24時間より長くすれば、ほぼ純粋な
BiPbO2 (NO3 )を製造することができることを
確認した。すなわち、実施例1に記載したのと同様の装
置、方法、原料を用いて、150℃でいろいろな時間加
熱して実施した例を表3に示した。表3より明らかなよ
うに、この温度でも、6日以上加熱するとほぼ純粋なB
iPbO2 (NO3 )が得られる。
【0022】
【表3】 実施例4 PbOとBi2 3 とPb(NO3 2 を1:1:1の
モル比で混合した粉末試料を出発原料に用いた。この原
料、約0.2gを白金カプセルに入れて封入した。そし
て、実施例1に記載したのと同様の装置、方法を用いて
24時間、加熱反応させた。加熱後、急冷して試料を取
り出し、粉末X線回折パターンによって同定した。
【0023】反応温度、100〜450℃で実施した例
を示したものが表4である。純粋なBiPbO2 (NO
3 )を24時間の加熱により合成するには300℃近傍
か、それ以上の温度で反応させることが望ましいことが
わかる。
【0024】
【表4】 この場合にも、純粋なBiPbO2 (NO3 )を生成す
るのに必要な加熱時間は24時間より短くても良い。例
えば、350℃で2時間加熱して出発原料を取り出した
ところ、純粋なBiPbO2 (NO3 )が生成してい
た。実施例5 実施例4で用いたのと同一の組成と量の出発原料にさら
に純水、0.2mlを加えて白金カプセル中に封入し
た。そして、実施例1に記載したのと同様の装置、方法
を用いて24時間、200、250、300℃の温度で
加熱反応させた。加熱後、急冷して試料を取り出し、粉
末X線回折パターンによって同定した。結果を表5に示
した。この表5から明らかなように、純粋なBiPbO
2 (NO3)を24時間の加熱によって合成するには2
50℃近傍かそれ以上の温度で反応させることが望まし
く、この温度は実施例3に比べて50℃低く、これは出
発原料に水を加えた結果である。
【0025】
【表5】 実施例6 化合物BiPbO2 (NO3 )、約0.1g(約2×1
-4グラム分子)と0.1mol dm-3及び0.05
mol dm-3のNaCl溶液(HNO3溶液を用いて
pH=1に調整)、1ml(Cl-1:約1×10-4グラ
ムイオン及び約0.5×10-4 グラムイオン)を蓋付
き容器に入れて、恒温槽中にて25℃の温度で時間を変
えて反応させ、反応の進み具合を調べた。反応中、容器
を震盪することによって、溶液を攪拌した。一定時間経
過後、容器を取り出し、液体と固体を分離して、溶液中
に残留する塩化物イオンの濃度をイオンクロマトグラフ
で測定した。
【0026】添付した図面の図4は、反応時間と残留す
る塩化物イオンの割合(%)との関係を示したものであ
る。いずれの濃度でも、反応は極めて早く進み、反応開
始後80分以内に残留する塩化物イオンの濃度はほぼ一
定値に達している。その値は0.1mol dm-3Na
Cl溶液中での反応では、約21%、0.05mold
-3NaCl溶液中での反応では、約0.3%であっ
た。以上の結果は、化合物BiPbO2 (NO3 )が強
酸性(pH=1)溶液中でも無機陰イオン交換体として
安定かつ有効に作用していることを示している。実施例7 化合物BiPbO2 (NO3 )、約0.1g(約2×1
-4グラム分子)と0.1mol dm-3及び0.05
mol dm-3のNaCl溶液0.1moldm-1(N
aOH溶液を用いてpH=13に調整)、1ml(C
l:約1×10-4グラムイオン及び約0.5×10-4
ラムイオン)を蓋付き容器に入れて、恒温槽中にて25
℃の温度で時間を変えて反応させ、反応の進み具合を調
べた。反応中、容器を震盪することによって、溶液を攪
拌した。一定時間経過後、容器を取り出し、液体と固体
を分離して、溶液中に残留する塩化物イオンの濃度をイ
オンクロマトグラフで測定した。
【0027】添付した図面の図5は、反応時間と残留す
る塩化物イオンの割合(%)との関係を示したものであ
る。反応は比較的早く進み、0.1mol dm-3のN
aCl溶液中の反応では、反応開始してから、約3時間
でほぼ終了した。このとき残留する塩化物イオンの割合
は約2%であった。又、0.05mol dm-3のNa
Cl溶液中の反応では、反応は非常に早く進み、反応開
始してから、約30分でほぼ終了した。このとき残留す
る塩化物イオンの割合は約1%であった。
【0028】以上の結果は、化合物BiPbO2 (NO
3 )が強アルカリ性(pH=13)溶液中でも無機陰イ
オン交換体として安定かつ有効に作用していることを示
している。実施例8 化合物BiPbO2 (NO3 )、約2.0g(約4×1
-3グラム分子)と0.05mol dm-3のNaCl
溶液(pH=1及びpH=13に調整)10ml(Cl
-1:約5×10-4グラムイオン)及び化合物BiPbO
2 (NO3 )、約2.0g(約4×10-3グラム分子)
と0.005mol dm-3のNaCl溶液(pH=1
及びpH=13に調整)10ml(Cl:5×10-5
ラムイオン)とを蓋付き容器に入れて密閉し、恒温槽中
にて25℃で24時間、容器を攪拌しながら反応させ
た。この実施例では、実施例1及び2に比べて塩化物イ
オンに対するイオン交換体の割合を大きくしてある。ま
た、塩化物イオンの濃度も変えてある。
【0029】結果を表6に示した。この表6から明らか
なように、pH=1およびpH=13のいずれの溶液に
おいても、塩化物イオンが効率よく除去されている。
【0030】
【表6】 実施例9 様々なpH値を示すNaCl溶液中での化合物BiPb
2 (NO3 )のイオン交換容量を測定した。なお、イ
オン交換容量とはイオン交換体1g当たりの吸着または
イオン交換したイオンの当量数(またはミリグラム当量
数)で表し、単位はmeqe g-1(グラム当たりの当
量数)またはmeqe g-1(グラム当たりのミリグラ
ム当量数)である。
【0031】化合物BiPbO2 (NO3 )、約97m
gと0.2mol dm-3のNaCl溶液1mlとを蓋
付き容器に入れて密閉し、恒温槽中にて25℃、50℃
及び75℃の各温度で24時間反応させた。反応中、容
器を震盪することによって、溶液を攪拌した。反応後、
容器を取り出し、液体と固体を分離して、溶液中に残存
する塩化物イオンの濃度をイオンクロマトグラフで測定
することにより、イオン交換容量を求めた。溶液のpH
は1から13まで変化させたが、pHの調整に酸性側で
は硝酸溶液を、アルカリ性側では水酸化ナトリウム溶液
を用いた。
【0032】添付した図面の図6は、25℃、50℃及
び75℃で測定された塩化物イオンのイオン交換容量と
水溶液のpHとの関係を示したものである。図に示した
イオン交換容量の最大理論値(1.96meqe
-1)とは、BiPbO2 (NO3 )の(NO3 -
すべてCl- と置換したとして計算したイオン交換容量
の値である。
【0033】この図6から明らかなように、この発明の
イオン交換体は、25℃、50℃及び75℃の反応では
強酸性及び強アルカリ性溶液で高いイオン交換容量を示
す。また、これより高い温度、75℃では、酸性、中
性、アルカリ性、いずれの領域でも高いあるいは有限な
イオン交換容量を示す。pH=12、13の溶液中での
反応で、50℃及び75℃で測定されたイオン交換容量
の値はほぼ最大理論値に等しく、ほとんどすべての(N
3 - がCl- と置換していることを示しており、イ
オン交換の効率が非常に高いことを示している。実施例10 BiPbO2 (NO3 )、約0.1g(約2×10-4
ラム分子)と0.1mol dm-3のNaI溶液(HN
3 溶液を用いてpH=1に調整)、1ml(I- :約
1×10-4グラムイオン)を蓋付き容器に入れて、恒温
槽中にて25℃及び50℃の各温度で時間を変えて反応
させ、反応の進み具合を調べた。反応中、容器を震盪す
ることによって、溶液を攪拌した。一定時間経過後、容
器を取り出し、液体と固体を分離して、溶液中に残留す
るヨウ化物イオンの濃度をイオンクロマトグラフで測定
した。
【0034】添付した図面の図7は、反応時間と残留ヨ
ウ化物イオンの割合(%)との関係を示したものであ
る。いずれの温度でも、反応は極めて早く進み、反応開
始後、15分以内に90%以上のヨウ化物イオンが除去
され、ほぼ一定値に達している。その一定値は、25℃
での反応では、約95%、50℃での反応では、約93
%であった。以上の結果は、化合物BiPbO2 (NO
3 )が強酸性(pH=1)溶液中でも無機陰イオン交換
体として安定かつ有効に作用していることを示してい
る。実施例11 BiPbO2 (NO3 )、約0.1g(約2×10-4
ラム分子)と0.1mol dm-3のNaI溶液(Na
OH溶液を用いてpH=13に調整)、1ml(I-
約1×10-4グラムイオン)を蓋付き容器に入れて、恒
温槽中にて25℃及び50℃の各温度で時間を変えて反
応させ、反応の進み具合を調べた。反応中、容器を震盪
することによって、溶液を攪拌した。一定時間経過後、
容器を取り出し、液体と固体を分離して、溶液中に残留
するヨウ化物イオンの濃度をイオンクロマトグラフで測
定した。
【0035】添付した図面の図8は、反応時間と残留ヨ
ウ化物イオンの割合(%)との関係を示したものであ
る。反応は25℃では比較的早く進み、反応開始してか
ら、約6時間で終了した。このとき約99.95%のヨ
ウ化物イオンが除去された。50℃では非常に早く進
み、反応開始から45分後で、約99.1%、2時間後
で、約99.97%のヨウ化物イオンが除去された。以
上の結果は、化合物BiPbO2 (NO3 )が強アルカ
リ性(pH=13)溶液中でも無機陰イオン交換体とし
て安定かつ有効に作用していることを示している。実施例12 BiPbO2 (NO3 )、約2.0g(約4×10-3
ラム分子)と0.05mol dm-3のNaI溶液(p
H=1及びpH=13に調整)、10ml(I- :約5
×10-4グラムイオン)及びBiPbO2 (NO3 )、
約2.0g(約4×10-3グラム分子)と0.005m
ol dm-3のNaI溶液(pH=1及びpH=13に
調整)、10ml(I-1:5×10-5グラムイオン)と
を蓋付き容器に入れて密閉し、恒温槽中にて25℃で2
4時間、容器を攪拌しながら反応させた。この実施例で
は、実施例6及び7に比べてヨウ化物イオンに対するイ
オン交換体の割合を大きくしてある。また、ヨウ化物イ
オンの濃度も変えてある。
【0036】結果を表7に示す。この表7から明らかな
ように、pH=1およびpH=13のいずれの溶液にお
いても、ヨウ化物イオンが効率よく除去されている。
【0037】
【表7】 実施例13 この実施例においては、いろいろなpH値を示すNaI
溶液中でのBiPbO2 (NO3 )のイオン交換容量を
測定した。なお、イオン交換容量とはイオン交換体1g
当たりの吸着又はイオン交換したイオンの当量数(又は
ミリグラム当量数)で表し、単位はeqe g-1(グラ
ム当たりの当量数)又はmeqe g-1(グラム当たり
のミリグラム当量数)である。
【0038】BiPbO2 (NO3 )、約97mgと
0.2mol dm-3のNaI溶液1mlとを蓋付き容
器に入れて密閉し、恒温槽中にて25℃、50℃及び7
5℃の各温度で24時間反応させた。反応中、容器を震
盪することによって、溶液を攪拌した。反応後、容器を
取り出し、液体と固体を分離して、溶液中に残留するヨ
ウ化物イオンの濃度をイオンクロマトグラフで測定する
ことにより、イオン交換容量を求めた。溶液のpHは1
から13まで変化させたが、pHの調整に酸性側では硝
酸溶液を、アルカリ性側では水酸化ナトリウム溶液を用
いた。
【0039】添付した図面の図9は、25℃、50℃及
び75℃で測定されたヨウ化物イオンのイオン交換容量
と水溶液のpHとの関係を示したものである。この図6
に示したイオン交換容量の最大理論値(1.96meq
e g-1)とは、BiPbO 2 (NO3 )の(NO3
- がすべてI- と置換したとして計算したイオン交換容
量の値である。
【0040】この図9から明らかなように、この発明の
イオン交換体は25℃と50℃との反応では酸性及びア
ルカリ性溶液で高いイオン交換容量を示す。また、これ
より高い温度、75℃では、pH=2付近を除き、酸
性、中性、アルカリ性、いずれの領域でも高いイオン交
換容量を示す。その値はほぼ最大理論値に等しく、ほと
んどすべての(NO3 - がI- と置換していることを
示しており、イオン交換の効率が非常に高いことを示し
ている。
【0041】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この発明に
より、イオン交換容量及びイオン交換速度が大きく、か
つ耐酸、耐アルカリ性に及び耐熱性に優れ、酸性、中性
及びアルカリ性いずれの水溶液中でも有効な、新規なビ
スマス鉛化合物と、これを有効成分とする塩化物イオ
ン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオンをはじめと
する無機陰イオンの固化及び除去材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】BiPbO2 (NO3 )の熱重量分析曲線を示
す図である。
【図2】質量分析曲線を示す図である。AがNOの分圧
を、BがO2 の分圧を、CがCO2 の分圧を、DがNの
分圧を、EがOの分圧を示す曲線である。
【図3】粉末X線回折パターンを示す図である。Aが化
合物Bi2 2 (CO3 )の場合、Bが化合物BiPb
2 Iの場合、Cが化合物BiPbO2 (NO3 )の場
合である。
【図4】種々のイオン交換反応時間におけるpH=1の
溶液中に残留している塩化物イオンの量を示す図であ
る。
【図5】種々のイオン交換反応時間におけるpH=13
の溶液中に残留している塩化物イオンの量を示す図であ
る。
【図6】種々のpHの溶液中でのイオン交換容量の値を
示す図である。
【図7】種々のイオン交換反応時間におけるpH=1の
溶液中に残留しているヨウ化物イオンの量を示す図であ
る。
【図8】種々のイオン交換反応時間におけるpH=13
の溶液中に残留しているヨウ化物イオンの量を示す図で
ある。
【図9】種々のpHの溶液中でのイオン交換容量の値を
示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年2月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】以上の熱重量分析と質量分析の結果から、
本発明の生成物の組成はBiPbO(NO)である
ことが確かめられた。そして、化合物BiPbO(N
)の構造解析はその粉末試料のx線回折パターンの
解析によって行った。化合物Bi(CO)とB
iPbOI、及びこの発明の方法で合成した化合物B
iPbO(NO)の粉末試料のそれぞれのX線回折
パターンを図3のA,B,Cに示した。これらのパター
ンを比べると、A,B,Cは類似したパターンであるこ
とが分かる。また、化合物BiPbO(NO)のパ
ターン()と化合物Bi(CO)のパターン
)が特に良く類似している。このことはそれら二つ
の化合物の構造が基本的に同一であることを示してい
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】粉末X線回折パターンを示す図である。が化
合物Bi(CO)の場合、Bが化合物BiPb
Iの場合、が化合物BiPbO(NO)の場
合である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 BiPbO2 (NO3 )で表されるビス
    マス鉛化合物。
  2. 【請求項2】 ビスマス元素と鉛元素と酸素元素と硝酸
    基(NO3 )との比がモル比で略1:1:2:1になる
    ように調整した原料混合物を加熱反応させることを特徴
    とする請求項1のビスマス鉛化合物の製造法。
  3. 【請求項3】 原料混合物に水を加えて加熱反応させる
    ことを特徴とする請求項2のビスマス鉛化合物の製造
    法。
  4. 【請求項4】 BiPbO2 (NO3 )で表わされるビ
    スマス鉛化合物を有効成分とする無機陰イオン交換体。
  5. 【請求項5】 請求項4のイオン交換体からなるハロゲ
    ン化物イオン交換体。
  6. 【請求項6】 ハロゲン化物イオンが塩化物イオンまた
    はヨウ化物イオンである請求項5のハロゲン化物イオン
    交換体。
  7. 【請求項7】 請求項1の化合物または請求項4の無機
    陰イオン交換体によって無機陰イオンを除去することを
    特徴とする無機陰イオンの除去方法。
  8. 【請求項8】 無機陰イオンがハロゲン化物イオンであ
    る請求項7の除去方法。
  9. 【請求項9】 塩化物イオンまたはヨウ化物イオンを除
    去する請求項8の除去方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021094521A (ja) * 2019-12-17 2021-06-24 株式会社東芝 高温水の浄化装置及び高温水の浄化方法

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