JPH095230A - 樹脂対金属の摩擦係数測定装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 射出成形機や押出機の可塑化に利用されるス
クリュに類似した円柱状の金属材料からなるテストピー
スとペレット状の樹脂を用いて実際の可塑化装置の使用
に近い状態での樹脂と金属材料間の摩擦係数をテストで
きる摩擦係数測定装置を提供すること。 【構成】 樹脂を充填せる容器の下面に対向してテスト
ピースを回動可能に設置し、樹脂をテストピースに加圧
する加圧ピストンを設け、加圧ピストンには荷重計が付
設され推力発生装置により作動されており、テストピー
スは回転駆動装置により駆動され、テストピースの駆動
軸にはトルク計が付設され、該トルク計からのトルク値
とテストピースにかかる面圧力を摩擦係数算出器に入力
して摩擦係数を算出するようにしたこと。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、合成樹脂と金属材料間
の摩擦係数を測定するための試験装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】射出成形機や押出機の可塑化に利用され
ているスクリュや加熱シリンダの形状、材質、表面処理
の設計及び可塑化シュミレーションに於いて樹脂とスク
リュー及び加熱シリンダ間の摩擦係数は重要なファクタ
である。また、樹脂の噛込み不良現象を解明する上でも
正確な摩擦係数を知ることは重要である。従来、合成樹
脂と金属材料間の摩擦係数を測定する試験方法や試験装
置としては、プラスチックフイルム及びシートの摩擦係
数試験法（ＪＩＳーＫ７１２５）、鋼球とプラスチック
製円盤によるボール／円盤型摩擦試験機、スチール製円
盤とプラスチック製ピンによるピン／円盤型摩擦試験
機、リングオンプレート摩擦試験機等がある。これら試
験機で試験する合成樹脂はペレットではなく、成形もし
くは機械加工されたプラスチック製品を対象としてお
り、該製品の機械特性の一つである摩擦係数を測定する
ために使用しているのが現状である。しかしながら、プ
ラスチックの成形加工の観点からは、ペレット状の樹脂
と金属間の摩擦係数を求めることが大切であるが、従来
の試験機ではこれらのテストを行なうことができない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、スクリュに
類似した円柱状の金属材料からなるテストピースとペレ
ット状の樹脂を用いて実際の可塑化装置の使用に近い状
態での樹脂と金属材料間の摩擦係数をテストできる摩擦
係数測定装置を提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】ペレット状、粉末状、塊
状等の樹脂を充填せる容器の下面に対向してテストピー
スを回動可能に設置し、前記樹脂をテストピースに加圧
する加圧ピストンを設け、該加圧ピストンには荷重計が
付設され、推力発生装置により作動されており、前記テ
ストピースは回転駆動装置により駆動され、テストピー
スの駆動軸にはトルク計が付設され、該トルク計からの
トルク値とテストピースにかかる面圧力を摩擦係数算出
器に入力して摩擦係数を算出するようにしたことを特徴
とする。

【０００８】

【作用】本発明では、テストピース（金属材料）の樹脂
に対する摩擦係数を測定するには、推力設定器からの信
号により加圧ピストンに所定の加圧力をかけるととも
に、回転数設定器からの信号によりテストピースを所定
の回転速度で回動させる。樹脂とテストピース間の摩擦
力はトルク計により測定され、またテストピースにかか
る面圧力は荷重計により測定され、これらの測定値を摩
擦係数算出器に入力することによって摩擦係数μが算出
される。

【０００９】

【実施例】以下、本発明にかかる摩擦係数測定装置の実
施例を図面を参照して説明する。図１は本発明摩擦係数
測定装置を説明するための概要図であって、短辺と長辺
の寸法がそれぞれａ、ｂからなる底無し容器５の下面に
対向して駆動軸８を軸受７で軸支して設置しており、駆
動軸８には金属材料からなるテストピース１０が挿通さ
れ、両端のカラー９、９、キー９´で挟持固定されてお
り、これらのテストピース１０は回転駆動装置１２によ
り駆動軸８とともに回転駆動される。容器５内には樹脂
ペレット６が装填されており、推力発生装置２に接続す
る加圧ピストン４により樹脂ペレットを押圧し、テスト
ピース表面に負荷をかけている。なお、容器５とテスト
ピース１０との位置関係は樹脂ペレット６が両者の隙間
からはみ出さず、容器５自体がテストピースに接触しな
い状態となっている。

【００１０】１１は駆動軸８に伝達されるトルクを計量
するためのトルク計、１３は回転駆動装置１２の回転速
度を制御するための回転数制御装置、１４は回転速度
計、１５は制御器で推力設定器１７、回転数設定器１
８、がそれぞれ接続されている。しかして、推力設定器
１７に目標推力をセットすると推力制御装置１を介して
推力発生装置２に指令が与えられ推力発生装置により発
生した推力は加圧ピストン４を介して樹脂ペレット６を
押圧し、樹脂ペレットが所定の加圧力でテストピース１
０に押付けられる。推力発生装置２と加圧ピストン４の
間に荷重計３を設置し、樹脂ペレット６の上面に加えら
れる加圧力Ｆを検出し該信号は制御器１５を介して推力
制御装置１へフィードバックされ設定推力に制御され
る。テストピースにかかる面圧は推力設定器１７への入
力値を変更することにより容易に変更できる。

【００１１】テストピース１０の回転速度は回転数設定
器１８からの設定値にしたがって回転数制御装置１３に
より回転駆動装置１２へ信号が伝達され所定の回転速度
に制御される。回転駆動装置１２には回転速度計１４が
付設されており、回転速度Ｖは回転速度表示器２０によ
り表示される。テストピース１０は樹脂ペレット６から
の圧力を受けながら回転するため、樹脂と金属の間に摩
擦力が発生し、この反力がトルクＴとなり前記したトル
ク計１１で測定される。１６はテストピースの表面温度
を測定するための非接触温度計である。

【００１２】１９は摩擦係数算出器で該摩擦係数算出器
において、摩擦係数μは図２に示す摩擦係数算出モデル
に従って以下に説明する数１に示される計算式（１）に
より計算される。

【００１３】

【数１】

【００１４】前記トルク計１１からのトルク測定値Ｔ及
びテストピース１０にかかる面圧力ｐを摩擦係数算出器
１９へ入力することにより上記計算式（１）に基ずく計
算が行なわれ摩擦係数が算出される。なお、プラスチッ
クの摩擦係数の測定にはテストピースの表面温度と回転
速度が重要なファクターとなるので、これら所定の条件
下における摩擦係数として算出される。なお、容器に充
填される樹脂の形状はペレット状のものに限らず、粉末
状のものや塊状のものも使用される。

【００１５】

【発明の効果】本発明では、スクリュに類似した円柱状
のテストピースを用いてペレット状等の樹脂をテストピ
ースの円周面に押付け摺動させて樹脂と金属間の摩擦係
数を測定するので、実機の可塑化装置に近い状態でテス
トができるため、精度の高いテストが行なえるととも
に、加圧ピストンにかける加圧力Ｆ、テストピースの回
転速度Ｖを簡単に任意に設定できるので、異なった条件
での幅広い信頼度の高いテスト結果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置の概要図。

【図２】摩擦係数算出モデルの説明図

【図３】容器とテストピースの部分の側面図。

【図４】容器の平面図。

【符号の説明】

１ 推力制御装置 ２ 推力発生装置
３ 荷重計 ４ 加圧ピストン ５ 容器
６ 樹脂ペレット ７ 軸受 ８ 駆動軸
９ カラー １０ テストピース １１ トルク計
１２ 回転駆動装置 １３ 回転数制御装置 １４ 回転速度計
１５ 制御器 １６ 非接触温度計 １７ 推力設定器
１８ 回転数設定器 １９ 摩擦係数算出器 ２０ 回転速度表示器 ａ 容器の短辺の長さ ｂ 容器の長辺の長さ
Ｆ 加圧力 Ｔ トルク Ｖ 回転速度
μ 摩擦係数

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ペレット状、粉末状、塊状等の樹脂を充
   填せる容器の下面に対向してテストピースを回動可能に
   設置し、前記樹脂をテストピースに加圧する加圧ピスト
   ンを設け、該加圧ピストンには荷重計が付設され、推力
   発生装置により作動されており、前記テストピースは回
   転駆動装置により駆動され、テストピースの駆動軸には
   トルク計が付設され、該トルク計からのトルク値とテス
   トピースにかかる面圧力を摩擦係数算出器に入力して摩
   擦係数を算出するようにしたことを特徴とする樹脂対金
   属の摩擦係数測定装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の加圧ピストンに作動する
   加圧力は、推力設定器からの設定値に従って推力制御装
   置によって制御されることを特徴とする樹脂対金属の摩
   擦係数測定装置。
3. 【請求項３】 テストピースの回転速度は回転数設定器
   からの設定値に従って回転数制御装置により制御される
   ことを特徴とする請求項１または請求項２記載の樹脂対
   金属の摩擦係数測定装置。
4. 【請求項４】 非接触温度計をテストピースの近傍に設
   置しテストピースの表面温度を測定できるようにしたこ
   とを特徴とする請求項１または請求項３記載の樹脂対金
   属の摩擦係数測定装置。