JPH0952098A - 湖沼等の浄化装置 - Google Patents

湖沼等の浄化装置

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JPH0952098A
JPH0952098A JP23205595A JP23205595A JPH0952098A JP H0952098 A JPH0952098 A JP H0952098A JP 23205595 A JP23205595 A JP 23205595A JP 23205595 A JP23205595 A JP 23205595A JP H0952098 A JPH0952098 A JP H0952098A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アオコ等の異常発生を防止して、湖沼等の水
の水質保全を図る。 【解決手段】 台船1に揚水ポンプ7を設置し、吸込管
8で深層部の水を吸い込み、吐出管9で表層部の水に混
合させる。台船1内に、船側部に設けた導水口と連通し
且つ船底部1bを貫通するようにした導水室12を区画
形成する。導水室12に水循環装置14を設置する。水
循環装置14は、モータ15によって回転させられるイ
ンペラー17と、散気管20を有する。インペラー17
の回転で表層部の水を導水室12に導いて下向流を作
り、下向流に散気管20で発生させた気泡を乗せて下方
へ強制的に送り、曝気させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は湖沼等において植物
プランクトンやアオコ等の異常発生を防止して水質保全
を図るために用いる湖沼等の浄化装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】湖沼やダム湖等の閉鎖性水域において
は、春から夏にかけて湖水が富栄養化し易い傾向にあ
り、富栄養化すると、水深数メートル程度までの比較的
温度の高い表層部に、植物プランクトンやアオコや藻等
が大量に発生する問題がある。
【0003】かかる植物プランクトン等の異常発生を抑
えて上記湖沼等の水質の保全を図るための対策として
は、表層部に比べて温度が低くなっている水深3〜10
メートル程度の深層部の水を揚水して表層部に放出させ
て循環させることにより、表層部の水温を下げて植物プ
ランクトン等の異常発生を抑えるようにすることが考え
られ、更に、上記揚水により湖底部の流れの停滞を防ぐ
ことができ、この際に、水中に曝気を行って表層部の酸
素溶存量を増やすことにより、窒素やリン等の栄養塩類
の濃度を低下させるようにすることが考えられる。
【0004】かかる考え方にもとづいて、従来、図8に
示す如く、湖沼等の水上に浮かべて船外機bの駆動で航
行できるようにした台船aに、複数の温度センサーc
を、互いに異なる深さで水中に垂下させるように設け
て、該温度センサーcで検出した異なる水深部の水温を
レコーダーdにて記録できるようにし、又、上記台船a
上に、揚水手段昇降装置eを設置して、該揚水手段昇降
装置eに、下端に揚水ポンプの如き揚水手段fを取り付
け且つ内部にホースを有するケーブルgを巻上下できる
ように巻き取り、且つ上記台船a上に空気管昇降装置h
を設置し、該空気管昇降装置hに、先端に下垂管iの上
端を回動自在に連結した回動管jの基端を上下方向へ回
動可能に支持させると共に、上記下垂管iの下端に空気
噴出手段kを取り付け、更に、上記回動管jの基端部
に,配管lを介してブロワmを接続した構成の浄化装置
が提案されている。なお、図8において、nはウインチ
oの操作で昇降するアンカー、pは燃料油タンク、qは
発電装置、rはバラスト水タンクを示し、Aは浄化しよ
うとする高温域,Bは高温域より少し深い低温域を示
す。又、図示してないが、台船a上には所要の制御盤や
水深検知機等を備えている。
【0005】上記従来提案されている浄化装置では、温
度センサーcで検出してレコーダーdで記録した水温に
基づいて浄化する場所と水深を決め、その場所で揚水手
段fと空気噴出手段kの深さを低温域Bに調整した後、
揚水手段fによって低温域Bの水を吸引して揚水し、台
船a上から水面に吐出させるようにして表層部の温度を
下げるようにすると共に、空気噴出手段kによって空気
を気泡にして水中に噴出させることにより、酸素を水中
に曝気することができて効果的に浄化することができる
ものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記提案さ
れている浄化装置を更に一歩進めて、表層部の水を水中
へ下向流として強制的に押し込んで循環と攪拌作用を積
極的に行わせるようにすると同時に水中への曝気もでき
るようにして、構成簡単にして澱みをより効果的になく
すことができるようにしようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、揚水ポンプを台船上に設置して、該揚水
ポンプに接続した吸込管を、その先端の吸込口が湖沼等
の深層部の低温域から表層部の高温域まで変位できるよ
うに昇降可能に配置すると共に、上記揚水ポンプに接続
した吐出管の吐出口を台船外に導設し、且つ上記台船の
吃水線よりも下側に位置する船側部の複数個所に導水口
を部分的に穿設して、該各導水口と連通する台船内の導
水室の船底部に、インペラーの回転により導水室内の水
を船底下方へ押し出すようにする水循環装置を設置し、
更に、該水循環装置の上記インペラーの下部位置に散気
管を組み付け、該散気管に空気を供給する装置を台船上
に設置した構成とする。
【0008】したがって、揚水ポンプの運転により、深
層部の低温域の水が揚水されて表層部の高温域の水に混
合させられ、且つ水循環装置の運転により、表層部の水
が気泡を含む下向流として水中へ強制的に押し流される
と同時に曝気が行われる。
【0009】又、揚水ポンプの吐出管を導水室に導いて
導水室へ揚水を吐出させるようにすると、導水室へ吐出
されたときに発生した気泡を船底下方へ押し込むことが
できて大量の気泡を下向流に乗せることができ、曝気量
を増大させることができることになる。
【0010】更に、水循環装置のドラフトチューブを長
くして伸縮構造とすると、任意の深さの位置へ曝気する
ことができるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0012】図1乃至図6は本発明の実施の一形態を示
すもので、船外機2の駆動で航行できるようにしてあり
且つアンカーウインチ3の駆動で昇降させられるアンカ
ー4によって停泊できるようにしてある台船1に、水深
により異なる温度を検出できるように異なる深さの水中
に垂下させた複数の温度センサー5を備え、該各温度セ
ンサー5で検出した水温をレコーダー6にて記録させら
れるようにする。
【0013】又、上記台船1上には、所要の位置に複数
個の揚水ポンプ7を設置し、該各揚水ポンプ7の吸込側
に、湖沼等の深層部の低温域まで達する長さ(10m程
度)として船側部1aの外方に位置させた吸込管8の上
端を、U字管8b、短管8c、エルボ8dを介して接続
し、上記短管8cをU字管8bの一端に対し回転自在に
接続して、図5に拡大して示す如く、該短管8cの途中
に固定した操作レバー10に、上下方向に配設したシリ
ンダ11のロッド先端(下端)を回動自在に連結して、
該シリンダ11の伸縮作動で操作レバー10を介して短
管8cを回転させることにより吸込管8を短管8cの軸
心を中心に上下方向へスイングさせることができるよう
にし、該吸込管8を上下方向へスイングさせることによ
り吸込管8の下端吸込口8aを深層部の低温域から表層
部の高温域まで昇降変位して任意の深さに位置させられ
るようにし、更に、上記揚水ポンプ7の吐出側に吐出管
9を接続し、該吐出管9の吐出口9aを、台船1の船側
部1aの外方に導いて下向きに配置し、揚水ポンプ7の
駆動により吸込管8にて吸い込んだ深層部の水を吐出管
9を通し湖沼等の水面に向けて吐出させられるようにす
る。
【0014】更に、上記台船1には、上記揚水ポンプ7
の設置位置の近くに、各々船側部1aの吃水線DLより
も下側位置を開口させて導水口13aを形成した導水室
12をそれぞれ区画形成し、該各導水室12の船底部を
上下方向に貫通させて、この貫通部13bに、導水口1
3aより導水室12に導いた水を台船1の底部下方へ下
向流として押し出すための水循環装置14をそれぞれ設
置する。
【0015】上記水循環装置14は、図6にその詳細を
示す如く、導水室12に船底外方へ貫通させた貫通部1
3bに、上端に導水案内部18を有するドラフトチュー
ブ19を挿入して、導水案内部18を貫通部13bの周
縁部に固定し、且つドラフトチューブ19の上端部の内
側に配置したインペラー17を、導水室12の上方位置
に設置したモータ15にシャフト16を介して連結し、
更に、上記ドラフトチューブ19内における上記インペ
ラー17の下部位置に、環状の散気管20を設置し、該
散気管20を台船1に設置したブロワ21に図示しない
空気管を介し接続してなる構成とし、モータ15の駆動
でシャフト16を介しインペラー17を回転させること
により、導水口13aから導水室12内に導入された水
を、導水案内部18よりドラフトチューブ19内を通し
て船底部1bの下方へ下向流として強制的に押し出せる
ようにすると共に、このとき、散気管20から噴出され
た空気を気泡の状態で下向流に乗せて水中へ送り込める
ようにしてある。
【0016】なお、22はバラスト水タンク、23は水
深探知機、24は燃料油タンク、25は発電装置、26
は制御盤、27は開閉弁、28は仕切壁を示す。
【0017】アオコや植物プランクトン等により水が澱
んで水質が悪化している湖沼等を浄化する場合には、先
ず、その湖沼等に台船1を浮かべて航行させ、温度セン
サー5により水深の異なる位置の水温を検出してレコー
ダー6に記録させるようにする。
【0018】水質を悪化させるアオコや植物プランクト
ン等は比較的水温の高い表層部で繁殖することから、上
記レコーダー6に記録された水温に基づいて浄化する場
所と水深を決め、その場所で揚水ポンプ7と水循環装置
14を運転させるようにする。この場合、温度センサー
5により検出された水深の温度勾配を利用して予め設定
された水温域まで吸込管8の吸込口8aを移動させるた
め、シリンダ11により操作レバー10を介して吸込管
8を上下方向に回動調整して、吸込口8aを設定された
水温域、たとえば、深層部の低温域に位置させるように
する。
【0019】次に、台船1上の揚水ポンプ7を運転する
と、吸込管8の吸込口8aより深層部の水が吸い込まれ
て揚水され、台船1上の吐出管9の吐出口9aより湖沼
等の水面に吐出される。これにより深層部の低温域の水
が表層部の高温域の水に混合されることになって表層部
の水温を下げることができる。一方、水循環装置14を
運転すると、導水口13aを通して導水室12に導かれ
た表層部の高温域の水がインペラー17の回転により導
水案内部18からドラフトチューブ19内を通って下向
流として深層部の低温域へ強制的に押し込まれて行く。
これにより積極的に高温域の水と低温域の水とが循環さ
せられることになる。このとき同時に、散気管20を通
して空気を吹き出させると、空気はインペラー17で発
生させられた下向流で剪断されて微細気泡となった後、
気泡の上昇速度よりも大きい水の下降流速によってその
気泡は水深の深い方向へ移動させられ、その後に上昇す
ることにより有効に攪拌作用が行われると共に、気泡の
微細化によって気液接触面積の増加と接触面の更新が助
長されることにより、酸素の水中への溶解が効率よく行
われ、その結果、表層部の酸素溶存量を増やすことがで
きる。
【0020】このように、揚水ポンプ7の運転により、
深層部の低温域の水を表層部の高温域の水に混合させる
ことにより表層部の水温を下げることができると共に、
水循環装置14の運転により、表層部の水を下向流とし
て船底下方へ積極的に押し出して水の循環を強制的に行
うことができて澱みをなくすことができると同時に曝気
することができて栄養塩類の濃度を低下させることがで
きるので、湖沼等の水をより効果的に浄化することがで
きる。
【0021】なお、上記実施の形態では、水循環装置1
4のドラフトチューブ19の長さを台船1の船底部1b
に合わせてあるが、たとえば、ドラフトチューブ19
を、低温域まで達する長さを有する蛇腹式の伸縮構造と
して、その長さを調整できるようにしておけば、図4に
おいて二点鎖線で示す如く、ドラフトチューブ19を伸
長状態とすることによって、インペラー17と散気管2
0で発生させた気泡を含む下向流を深層部の低温域へ容
易に強制的に送り込むことができて、深層部へ曝気する
ことができる。
【0022】次に、図7は本発明の他の実施の形態を示
すもので、図1乃至図6に示した浄化装置と同様な構成
において、揚水ポンプ7に接続してある吐出管9を導水
室12内の吃水線DLよりも上方位置に導き、且つ上記
吐出管9の吐出口9aをインペラー17側へ向けて下向
きに配置したものである。
【0023】図7に示す実施の形態とした場合、揚水ポ
ンプ7の運転で吸込管8を通して揚水された水は吐出管
9にて導水室12内に吐出されることになり、これによ
り、散気管20で発生させる気泡とは別に、インペラー
17の上方位置に気泡を発生させることができるので、
この気泡を下向流に乗せて下方へ送り込むことができ、
したがって、曝気量を増大させることがてきて酸素の溶
解効率を更に向上させることができる。
【0024】なお、本発明は上記実施の形態のみに限定
されるものではなく、たとえば、吸込管8を上下方向に
スイングして先端の吸込口8aの位置を上下方向へ昇降
させる場合を示したが、吸込管8を蛇腹式、テレスコピ
ック式の如き伸縮式として、台船1上からの操作で昇降
させるようにしてもよく、又、図7に示す実施の形態に
おいて、水循環装置14のドラフトチューブ19を、台
船1の船底部1bから下方の所要量延びる長さの伸縮構
造としてもよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない
範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0025】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明の湖沼等の浄化
装置によれば、台船上に、揚水ポンプを設置して、該揚
水ポンプに接続した吸込管の吸込口を任意の水深位置に
置けるように昇降できるようにし、且つ台船内に、船側
部に開口させた導水口に連通する導水室を形成して、該
導水室の船底部を上下方向に貫通させ、該貫通部に、導
水口から導水室に入った表層部の水を強制的に船底下方
へ押し込むようにする水循環装置を設置し、該水循環装
置に散気管を取り付けた構成とし、揚水ポンプの運転に
より深層部の低温域の水を揚水して表層部の高温域の水
に混合させることができるようにすると共に、水循環装
置の運転により表層部の高温域の水を気泡と共に下向流
として船底下方へ強制的に押し出して循環させることが
できると同時に水中に曝気することができるようにして
あるので、深度に応じて湖沼等の水をより効果的に浄化
することができて、湖沼等の水質保全を図ることがで
き、又、揚水ポンプに接続してある吐出管を、水循環装
置を設置させた導水室内の上部位置に導いて、揚水した
水を導水室内に吐出させるようにすることにより、大量
の気泡を下向流に乗せることができることになり、曝気
量を増大させることができて酸素の溶解効率を著しく向
上させることができ、更に、水循環装置のドラフトチュ
ーブを長くして伸縮構造とすることにより、曝気すべき
最良の位置へ容易且つ強制的に曝気することができる、
等の優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の湖沼等の浄化装置の実施の一形態を示
す概要図である。
【図2】図1のII−II矢視図である。
【図3】図1のIII −III 矢視図である。
【図4】図1のIV−IV矢視図である。
【図5】図1のV部拡大図である。
【図6】図4のVI部拡大図である。
【図7】本発明の他の実施の形態を示す概要図である。
【図8】従来提案されている浄化装置の概要図である。
【符号の説明】
1 台船 1a 船側部 1b 船底部 7 揚水ポンプ 8 吸込管 8a 吸込口 9 吐出管 9a 吐出口 12 導水室 13a 導水口 14 水循環装置 17 インペラー 19 ドラフトチューブ 20 散気管 21 ブロワ DL 吃水線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三好 勝夫 東京都江東区豊洲二丁目1番1号 石川島 播磨重工業株式会社東京第一工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 揚水ポンプを台船上に設置して、該揚水
    ポンプに接続した吸込管を、その先端の吸込口が湖沼等
    の深層部の低温域から表層部の高温域まで変位できるよ
    うに昇降可能に配置すると共に、上記揚水ポンプに接続
    した吐出管の吐出口を台船外に導設し、且つ上記台船の
    吃水線よりも下側に位置する船側部の複数個所に導水口
    を部分的に穿設して、該各導水口と連通する台船内の導
    水室の船底部に、インペラーの回転により導水室内の水
    を船底下方へ押し出すようにする水循環装置を設置し、
    更に、該水循環装置の上記インペラーの下部位置に散気
    管を組み付け、該散気管に空気を供給する装置を台船上
    に設置した構成を有することを特徴とする湖沼等の浄化
    装置。
  2. 【請求項2】 揚水ポンプに接続してある吐出管を、導
    水室内に導いた請求項1記載の湖沼等の浄化装置。
  3. 【請求項3】 水循環装置のドラフトチューブを長くし
    て、伸縮構造とした請求項1又は2記載の湖沼等の浄化
    装置。
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