JPH09512312A - セルロースパルプの酸素漂白 - Google Patents
セルロースパルプの酸素漂白Info
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- JPH09512312A JPH09512312A JP7527895A JP52789595A JPH09512312A JP H09512312 A JPH09512312 A JP H09512312A JP 7527895 A JP7527895 A JP 7527895A JP 52789595 A JP52789595 A JP 52789595A JP H09512312 A JPH09512312 A JP H09512312A
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- D21C—PRODUCTION OF CELLULOSE BY REMOVING NON-CELLULOSE SUBSTANCES FROM CELLULOSE-CONTAINING MATERIALS; REGENERATION OF PULPING LIQUORS; APPARATUS THEREFOR
- D21C9/00—After-treatment of cellulose pulp, e.g. of wood pulp, or cotton linters ; Treatment of dilute or dewatered pulp or process improvement taking place after obtaining the raw cellulosic material and not provided for elsewhere
- D21C9/10—Bleaching ; Apparatus therefor
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Abstract
(57)【要約】
改良された酸素漂白プロセスであって、パルプは、多価アルコールが10〜70重量%含まれる水性有機媒体の中で漂白され、得られたパルプは、水性雰囲気中で同じ条件でカッパー価8mlまで漂白された同種パルプよりも、2.5cp以上高い粘度を有している。
Description
【発明の詳細な説明】
セルロースパルプの酸素漂白発明の分野
本発明はセルロースパルプの酸素漂白に関する。より具体的には、本発明は水
性有機媒体中の酸素によるセルロースパルプの漂白に関する。発明の背景
木材パルプの酸素漂白は、クラフト法において、カッパー価を小さくし、パル
プの白色度(brightness)を高めるために行なわれ、一般的には、その酸素漂白の
後に過酸化物及び/又は二酸化塩素、オゾンの如き他の漂白処理が行なわれる。
酸素漂白は、非常に安価な化学剤を使用するため、経済的な脱リグニン化方法と
いえる。それゆえ、得られるパルプの特性が消費者の要求を満たすのであれば、
酸素処理段階でパルプのリグニン含有量を少なくすればするほど、漂白処理コス
トを少なくすることができる。
実際のところ、酸素の使用はある程度限られている。その理由は、セルロース
に関する選択性が乏しいためであり、例えばカッパー価約8mlのような低カッパ
ー価のパルプを作るのに用いられると、パルプの粘度は著しく低下してしまう。
パルプ業界では、クラフトパルプ化機
構を変えることによってカッパー価を下げ、酸素漂白の役割を制限して少量のリ
グニンだけを取り除く傾向にある。
酸素漂白段階で、パルプを取りまく水性媒体に有機添加剤を使用することは知
られている。これについては、ミツビシ・ペーパ・ミルズ・リミテッドに対して
発行された1993年3月2日公告の日本特許出願第50−86987号におい
て、酸素漂白段階で少量の非イオン界面活性剤とエチレンジアミンテトラ酢酸の
誘導体を使用することが記載されており、公知の媒体濃縮酸素漂白法に匹敵する
低カッパー価を得ることができる。
サンヨー・ケミカル・インダストリーズ・リミテッドに対して発行された19
93年7月27日公告の日本特許第51−86987号には、エーテル化合物、
ポリオール及び脂肪族一価アルコールの存在下で、セルロースパルプを酸素又は
過酸化物で漂白することが記載されている。エーテル化合物は、多価アルコール
又はそのアルキレン酸化物の付加物(adduct)、望ましくはエチレングリコールか
ら得られる。使用される有機添加剤の量はかなり少なく、得られる効果は格別の
ものでないように思われる。即ち、得られる粘度は、カッパー価がほぼ同じであ
る比較対照のパルプの粘度とほぼ同じである。
ミツビシ・ペーパ・ミルズ・リミテッドに対して発行された1993年10月
26日公告の日本特許第52−
79979号には、酸素とポリエーテル型化合物の非イオン界面活性剤で漂白す
ることにより得られた漂白パルプが記載してあり、有機金属塩とグリコールを含
んでもよいし、含まなくてもよい。得られたパルプは、洗浄をより容易に行なえ
る利点があると記載されている。発明の簡単な説明
本発明の主たる目的は、セルロースパルプを水性有機媒体中で酸素漂白する新
規な方法を提供することであり、従来の酸素漂白されたパルプと比べて、所定の
カッパー価に対する粘度の高い漂白パルプを生成するものである。
広義では、本発明は、セルロースパルプの漂白を行なう酸素漂白プロセスの改
良に関するもので、パルプをカセイアルカリ(caustic)と混合し、酸素漂白段階
でパルプのカッパー価を所望通り低下させることのできる量のカセイアルカリを
、パルプ全体に均一に分配させ、酸素漂白段階において多価アルコールを10重
量%から70重量%の間で含む水性媒体でパルプを取りまき、酸素漂白段階の酸
素圧力の作用下にてパルプを酸素で漂白し、酸素漂白されたパルプを生成するも
ので、得られた酸素漂白パルプは、水の中に添加剤が実質的に含まれていないこ
と以外は同じ条件で同じカッパー価8mlまで漂白された同様な針葉樹パルプより
も、2.5cp以上高い粘度に相当する粘度を有している。
多価アルコールの濃度は、水性媒体の重量を基準とし
て30%〜60%の間の範囲が望ましい。
多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロー
ル、ペンタエリトリトール、ジエチレングリコールからなる群から選択されるこ
とが望ましい。
漂白液は、パルプの重量を基準として0.50%〜2.0%の範囲の硫酸マグネ
シウムを含むことが望ましい。
酸素漂白段階での温度は、60℃〜90℃の範囲が望ましい。
パルプのコンシステンシーは、3%と50%の間が望ましく、20%と45%
の間がより望ましい。図面の簡単な説明
さらなる特徴、目的及び利点については、添付の図面に基づく発明の望ましい
実施例に関する以下の詳細な説明により明らかになるであろう。
図1は、本発明を組み込んだ漂白プロセスの概略説明図である。
図2は、カッパー価に対する粘度をプロットしたもので、漂白媒体におけるエ
チレングリコールの含有率の影響を示している。
図3は、水性媒体に含まれる多価アルコールの種類毎に、カッパー価に対して
粘度をプロットしたものである。
図4は、エチレングリコール30%含有水性媒体を用いて得られた結果と、プ
ロピレングリコール30%含有
水性媒体を用いて得られた結果を比較したものである。
図5は、エチレングリコールとジエチレングリコールが10%含まれる媒体を
用いて得られるパルプについて、カッパー価が異なるときの粘度を比較したもの
である。
図6は、同じ多価アルコールを含む水性媒体を用いて得られるパルプについて
、一方を従来の酸素漂白の処理温度で行ない、他方を従来より低い温度で行なっ
たときのカッパー価に対する粘度を比較したものである。望ましい実施例の説明
図1に示されるように、本発明のプロセスでは、パルプはライン(10)を通じて
適当な容器(16)の中に供給され(ライン(10)中のパルプのコンシステンシーは通
常約30%である)、ライン(12)からは多価アルコール、ライン(14)からはカセ
イアルカリが容器(16)の中のパルプに加えられる(なお、硫酸マグネシウム(Mg
SO4)はライン(15)から添加してもよい)。パルプは、リグニンを所望通り除去
するのに適当な量のカセイアルカリと、パルプを保護するのに適当な量の多価ア
ルコールを含む水性媒体(aqueous medium)の中にあり、低コンシステンシー(例
えば3%)で、ポンプにより、容器(16)からライン(18)を通ってシックナー(20)
に送り込まれる。このシックナーで過剰な媒体は除去され、コンシステンシーは
、酸素漂白反応器(30)(酸素処理段階)の中で用いられる値まで高められる。シッ
クナー(20)の中で除去された媒体は、
ライン(22)を経て容器(16)に戻される。
水性媒体の中には10〜70重量%の多価アルコールが含まれており、水性媒
体中のパルプは、酸素漂白処理段階(30)にて漂白される。水性媒体に含まれる量
が30%と60%の間にあるとき、最も良い結果が得られる。
水性媒体におけるパルプの最適コンシステンシーは、使用される酸素処理段階
の種類に応じて、高、低又は中コンシステンシー(つまり、3%と50%の間)が
選択され、ライン(24)を通って酸素処理段階(30)に運ばれる。酸素処理段階では
、20%〜45%の範囲の高コンシステンシーで処理されることが望ましい。
ライン(26)から酸素が供給され、酸素はポンプ又はその他の混合器(28)により
パルプと混合される。酸素と混合されたパルプは、次に、酸素漂白処理工程(酸
素処理工程)を行なう容器(30)の中に送り込まれ、ここで酸素漂白が行なわれる
。なお、必ずしも、酸素とパルプを予め(28)で混合させる必要はなく、全ての酸
素を、酸素処理工程の行なわれる容器(30)に直接添加してもよい。
一般的に、酸素処理工程における酸素圧力は、大気圧よりも高く、かつ酸素に
よるリグニン除去を達成するのに必要な範囲内であり、例えば約50psig以上で
ある。
酸素処理工程での温度は、従来の酸素処理工程で行なわれる通常の温度であっ
てよく、例えば約100℃と125℃の間である。より高強度のパルプを所望す
る場合、
処理温度は100℃以下で、90℃以下が望ましく、例えば60℃〜90℃の範
囲、特に60℃〜80℃の範囲まで低くすることが望ましく、所望される程度に
まで脱リグニン処理を行なうために、保持時間を延ばすことが望ましい(他のパ
ラメータを変える必要はない)。保持時間を延ばすには、より大きな容器を使用
するだけでよい。多価アルコールを含有した媒体を用いて80℃の温度で処理す
ると、比較のためにカッパー価を同じ6mlとした対照(control)のパルプの粘度
が12.5cpであるのに対し、粘度21cpの漂白パルプを作ることができた。
パルプは酸素処理段階(30)にて、適当時間、通常は30分以上(100℃以下
の温度で処理するときの2倍以上の時間)維持された後、ライン(32)を通じて除
去される。
多価アルコールは、望ましくは(34)で洗浄することにより、パルプから取り除
かれる。洗浄されたパルプは、ライン(36)を通じて、次の漂白処理手段(38)まで
運ばれる。
洗浄器(34)で濾過された濾過物は、ライン(40)を経て、アルコール回収システ
ムに運ばれる。このシステムでは、望ましくは、アルコールと水は第1ステージ
(42)の中で分離され、水は(44)で示される如く蒸発させられる。多価アルコール
と沈澱物質(precipitated materials)はライン(46)を通って第2ステージ(48)ま
で運ばれ、ここで
沈澱物質はアルコールから分離される。沈澱物質は、望ましくは、ライン(50)を
通じて回収装置に戻されて焼却され、多価アルコールはライン(52)を通じてシス
テムに再循環される。
使用される多価アルコールは、望ましくは、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、プロピレングリコール、グリセロール及びペンタエリトリトールか
らなる群から選択される。しかしながら、その他にも高価ではあるが、適当な多
価アルコールがあって、それらもおそらく使用可能であると思われる。
望ましくはエチレングリコールが使用され、エチレングリコール(及びその他
の多価アルコール)を使用する場合、水性漂白媒体中で約25%〜35%エチレ
ングリコール(多価アルコール)の範囲内が望ましい。
硫酸マグネシウムをライン(15)を通じて水性媒体に添加し、漂白プロセス中の
水性媒体が、パルプの乾重量(望ましくは約1%)を基準として約0.50〜2.0
重量%の硫酸マグネシウムを含むと、所定のカッパー価におけるパルプの粘度が
改善されることを見出した。この改善は、漂白媒体が実質的にアルコールを含ま
ない水性媒体の場合にも、或はまた前述した多価アルコールのどれかを含んでい
る場合にも認められることは留意されるべきである。硫酸マグネシウムを用いる
ことにより、約8mlのカッパー価で測定したときのパルプの粘度は、約1cp
〜約2cp改善される。実施例
全てのテストは、カッパー価27.4ml、粘度28.1cpである「べいつが(Wes
tern hemlock)」のクラフトパルプを使用した。全てのテストは、コンシステン
シー25%のパルプについて、酸素処理段階での温度が105℃、圧力100ps
i、処理時間45分の条件で行なった。但し、図6に示す低温テストについては
、温度80℃、処理時間185分の条件で行なった。
投入されたパルプは水酸化ナトリウムと混合されて、例えば3%の低コンシス
テンシーとされるが、漂白容器の中に入る前には25%のコンシステンシーまで
濃縮される。各々の実験において、水酸化ナトリウムは、パルプの乾重量を基準
にして0.5%〜0.8%存在している。
MgSO4が用いられるところでは、MgSO4は、パルプ繊維の重量を基準に
して1%存在している。
漂白媒体として水(アルコールなし)を用いて、比較のための対照例を作製し、
水性媒体に種々の多価アルコールと水の混合物を用いた他の実験例を作製した。
その結果を図2乃至図6に示している。
図2は、硫酸マグネシウム(1%)だけを含有する水性媒体中で酸素漂白された
比較用の対照パルプと、硫酸マグネシウムは含有せずエチレングリコール溶液の
含有量の異なる水性媒体の中で酸素漂白されたパルプについて、
カッパー価に対する粘度をプロットしたものである。
水性媒体中のグリコール濃度が5%のとき、どんな効果も認められないことが
わかる。しかし、グリコール濃度が10%のとき、カッパー価8mlで約2.5cp
の粘度上昇が得られる。エチレングリコールの量が30%まで増すと、カッパー
価8mlでの粘度改善は約7cpのオーダであった。
エチレングリコールの割合が70%まで増えても、エチレングリコール30%
のときの場合と比べてさらなる改善(カッパー価8mlのとき)は殆んど得られな
いか、得られたとしても僅かである。実際、カッパー価が低い(8ml以下)ところ
では、エチレングリコールの割合を増やすことは不利であった。
図3は、多価アルコールは含有せず硫酸マグネシウム(1%濃度)を含有する水
性媒体中で酸素漂白されたパルプ(対照例)と、10%の比較的低濃度の多価アル
コール(硫酸マグネシウムを含まない)を含有する3種類の異なる水性媒体中で酸
素漂白されたパルプについて、カッパー価に対する粘度をプロットしたものであ
る。多価アルコールが用いられると、酸素漂白されたパルプの粘度は著しく高く
なる(対照例との比較)ことがわかる。つまり、エチレングリコール又はグリセロ
ールが用いられたとき、粘度はカッパー価8mlで3.4cp上昇し、ペンタエリト
リトールが用いられたとき、粘度は5.4cp上昇した。
媒体中に多価アルコールと共に1%硫酸マグネシウムを使用したときの効果を
調べるために、媒体中に硫酸マグネシウムを含む場合と含まない場合について、
エチレングリコール10%を含有させてテストを行なった。比較のために、アル
コールは含まないが硫酸マグネシウムを含む水(対照例)について同じテストを行
なった。エチレングリコールを使用した漂白パルプは、カッパー価8mlで対照例
より3cp以上の粘度改善が認められ、エチレングリコールを含む媒体にさらに硫
酸マグネシウムが含まれるとき、さらに1cp以上の粘度上昇が認められた。この
ように、硫酸マグネシウムを多価アルコール含有媒体に添加すると、媒体が水(
アルコールなし)のときと略同じ量だけ粘度の改善が認められることを示してい
る。
図4は、エチレングリコールとプロピレングリコールを濃度30%で比較した
もので、2種類のグリコールとも、カッパー価が約8ml以上ではパルプ粘度につ
いて同じ様な効果を示しており、脱リグニンがさらに行なわれると、エチレング
リコールの方が大きな効果を有することを示している。
図5は、濃度10%のエチレングリコールと濃度10%のジエチレングリコー
ルの効果を比較して示している。ジエチレングリコールとエチレングリコールは
、カッパー価が約8mlより上のところでは非常に似かよっているが、カッパー価
が8ml以下のところでは、エチレングリ
コールの方がすぐれていることがわかる。
カッパー価が約8ml以下になるまで漂白するとき、エチレングリコールを使用
すると、どういうわけかどんな多価アルコールを用いた場合よりも予期せぬ改良
された結果が得られた。
実験では、酸素処理段階の温度は、従来の酸素処理漂白で通常採用される温度
よりもかなり低い温度が用いられた。エチレングリコール30%を含む水性媒体
について、通常の温度(105℃)と時間(45分)にて処理を行なったものと、比
較のために、同じ媒体について、80℃の温度で185分間の酸素処理漂白を行
なったものを図6に示している。酸素処理工程での温度が低く、維持時間の長い
パルプは、従来の温度と維持時間により得られたパルプよりも遥かにすぐれてい
ることは明白である。
また、図6に示されるように、媒体として水を使用したとき、温度を低くした
ときの効果、つまり105℃から80℃にしたときの効果は無視することができ
る程度であり、温度を低くしてもさほど効果も得られない。しかし、媒体として
エチレングリコールを使用したとき、温度を105℃から80℃まで低くすると
、上記の如く、予期し得ぬ程の利点がさらにもたらされる。
前記の知見は、酸素漂白処理中、パルプを取り囲む媒体中に多価アルコールを
用いることは、全体として無塩素の漂白プロセスにおけるオゾンの代替となるこ
とを示
しており、酸素漂白処理は、従来のブラウンストック、又は本発明の酸素による
さらなる脱リグニン処理の如く改良されたパルプ化により得られるブラウンスト
ックを漂白することにより、カッパー価を6〜7mlまで低下させた後、過酸化物
の如き適当な無塩素剤(chlorine-fresequence)で漂白される。
全体として流出液なしのプロセス(effluent free process)を検討した場合、
本発明の改良された酸素処理工程を用いることは費用的に安く、漂白は少量の二
酸化塩素を用いて行なわれ、流出液はパルプから取り除かれ、ミルの回収システ
ムに送られる。
発明を説明したが、当該分野の専門家であれば、添付の請求の範囲に規定され
た発明の範囲から逸脱することなく変形をなし得るであろう。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1996年4月17日
【補正内容】
[英文明細書第2頁]
付加物(adduct)、望ましくはエチレングリコールから得られる。使用される有機
添加剤の量はかなり少なく、得られる効果は格別のものでないように思われる。
即ち、得られる粘度は、カッパー価がほぼ同じである比較対照のパルプの粘度と
ほぼ同じである。
ミッビシ・ペーパ・ミルズ・リミテッドに対して発行された1993年10月
26日公告の日本特許第52−79979号には、酸素とポリエーテル型化合物
の非イオン界面活性剤で漂白することにより得られた漂白パルプが記載してあり
、有機金属塩とグリコールを含んでもよいし、含まなくてもよい。得られたパル
プは、洗浄をより容易に行なえる利点があると記載されている。発明の簡単な説明
本発明の主たる目的は、セルロースパルプを水性有機媒体中で酸素漂白する新
規な方法を提供することであり、従来の酸素漂白されたパルプと比べて、所定の
カッパー価に対する粘度の高い漂白パルプを生成するものである。
広義では、本発明は、セルロースパルプの漂白を行なう酸素漂白プロセスの改
良に関するもので、パルプをカセイアルカリ(caustic)と混合し、酸素漂白段階
でパルプのカッパー価を所望通り低下させることのできる量のカセイアルカリを
、パルプ全体に均一に分配させ、酸素
漂白段階において多価アルコールを10重量%から70重量%の間で含む水性媒
体でパルプを取りまき、酸素漂白段階の酸素圧力の作用下にてパルプを酸素で漂
白し、酸素漂白されたパルプを生成するもので、得られた酸素漂白パルプは、水
の中に添加剤が実質的に含まれていないこと以外は同じ条件で同じカッパー価8
mlまで漂白された同様な針葉樹パルプよりも、2.5×103Pa.s(2.5cp)以
上高い粘度に相当する粘度を有している。
多価アルコールの濃度は、水性媒体の重量を基準として30%〜60%の間の
範囲が望ましい。
多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロー
ル、ペンタエリトリトール、ジエチレングリコールからなる群から選択されるこ
とが望ましい。
漂白液は、パルプの重量を基準として0.50%〜2.0%の範囲の硫酸マグネ
シウムを含むことが望ましい。
酸素漂白段階での温度は、60℃〜90℃の範囲が望ましい。
[英文明細書第4頁〜第8頁]
シックナー(20)の中で除去された媒体は、ライン(22)を経て容器(16)に戻される
。
水性媒体の中には10〜70重量%の多価アルコールが含まれており、水性媒
体中のパルプは、酸素漂白処理段階(30)にて漂白される。水性媒体に含まれる量
が30%と60%の間にあるとき、最も良い結果が得られる。
水性媒体におけるパルプの最適コンシステンシーは、使用される酸素処理段階
の種類に応じて、高、低又は中コンシステンシー(つまり、3%と50%の間)が
選択され、ライン(24)を通って酸素処理段階(30)に運ばれる。酸素処理段階では
、20%〜45%の範囲の高コンシステンシーで処理されることが望ましい。
ライン(26)から酸素が供給され、酸素はポンプ又はその他の混合器(28)により
パルプと混合される。酸素と混合されたパルプは、次に、酸素漂白処理工程(酸
素処理工程)を行なう容器(30)の中に送り込まれ、ここで酸素漂白が行なわれる
。なお、必ずしも、酸素とパルプを予め(28)で混合させる必要はなく、全ての酸
素を、酸素処理工程の行なわれる容器(30)に直接添加してもよい。
一般的に、酸素処理工程における酸素圧力は、大気圧よりも高く、かつ酸素に
よるリグニン除去を達成するのに必要な範囲内であり、例えば約7.25KPa(
50ps
ig)以上である。
酸素処理工程での温度は、従来の酸素処理工程で行なわれる通常の温度であっ
てよく、例えば約100℃と125℃の間である。より高強度のパルプを所望す
る場合、処理温度は100℃以下で、90℃以下が望ましく、例えば60℃〜9
0℃の範囲、特に60℃〜80℃の範囲まで低くすることが望ましく、所望され
る程度にまで脱リグニン処理を行なうために、保持時間を延ばすことが望ましい
(他のパラメータを変える必要はない)。保持時間を延ばすには、より大きな容器
を使用するだけでよい。多価アルコールを含有した媒体を用いて80℃の温度で
処理すると、比較のためにカッパー価を同じ6mlとした対照(control)のパルプ
の粘度が12.5×103Pa.s(12.5cp)であるのに対し、粘度21×103
Pa.s(21cp)の漂白パルプを作ることができた。
パルプは酸素処理段階(30)にて、適当時間、通常は30分以上(100℃以下
の温度で処理するときの2倍以上の時間)維持された後、ライン(32)を通じて除
去される。
多価アルコールは、望ましくは(34)で洗浄することにより、パルプから取り除
かれる。洗浄されたパルプは、ライン(36)を通じて、次の漂白処理手段(38)まで
運ばれる。
洗浄器(34)で濾過された濾過物は、ライン(40)を経て、
アルコール回収システムに運ばれる。このシステムでは、望ましくは、アルコー
ルと水は第1ステージ(42)の中で分離され、水は(44)で示される如く蒸発させら
れる。多価アルコールと沈澱物質(precipitated materials)はライン(46)を通っ
て第2ステージ(48)まで運ばれ、ここで沈澱物質はアルコールから分離される。
沈澱物質は、望ましくは、ライン(50)を通じて回収装置に戻されて焼却され、多
価アルコールはライン(52)を通じてシステムに再循環される。
使用される多価アルコールは、望ましくは、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、プロピレングリコール、グリセロール及びペンタエリトリトールか
らなる群から選択される。しかしながら、その他にも高価ではあるが、適当な多
価アルコールがあって、それらもおそらく使用可能であると思われる。
望ましくはエチレングリコールが使用され、エチレングリコール(及びその他
の多価アルコール)を使用する場合、水性漂白媒体中で約25%〜35%エチレ
ングリコール(多価アルコール)の範囲内が望ましい。
硫酸マグネシウムをライン(15)を通じて水性媒体に添加し、漂白プロセス中の
水性媒体が、パルプの乾重量(望ましくは約1%)を基準として約0.50〜2.0
重量%の硫酸マグネシウムを含むと、所定のカッパー価におけるパルプの粘度が
改善されることを見出した。この改善
は、漂白媒体が実質的にアルコールを含まない水性媒体の場合にも、或はまた前
述した多価アルコールのどれかを含んでいる場合にも認められることは留意され
るべきである。硫酸マグネシウムを用いることにより、約8mlのカッパー価で測
定したときのパルプの粘度は、約1×103Pa.s(1cp)〜約2×103Pa.s
(2cp)改善される。実施例
全てのテストは、カッパー価27.4ml、粘度28.1×103Pa.s(28.1
cp)である「べいつが(Western hemlock)」のクラフトパルプを使用した。全ての
テストは、コンシステンシー25%のパルプについて、酸素処理段階での温度が
105℃、圧力14.50KPa(100psi)、処理時間45分の条件で行なった
。但し、図6に示す低温テストについては、温度80℃、処理時間185分の条
件で行なった。
投入されたパルプは水酸化ナトリウムと混合されて、例えば3%の低コンシス
テンシーとされるが、漂白容器の中に入る前には25%のコンシステンシーまで
濃縮される。各々の実験において、水酸化ナトリウムは、パルプの乾重量を基準
にして0.5%〜0.8%存在している。
MgSO4が用いられるところでは、MgSO4は、パルプ繊維の重量を基準に
して1%存在している。
漂白媒体として水(アルコールなし)を用いて、比較の
ための対照例を作製し、水性媒体に種々の多価アルコールと水の混合物を用いた
他の実験例を作製した。
その結果を図2乃至図6に示している。
図2は、硫酸マグネシウム(1%)だけを含有する水性媒体中で酸素漂白された
比較用の対照パルプと、硫酸マグネシウムは含有せずエチレングリコール溶液の
含有量の異なる水性媒体の中で酸素漂白されたパルプについて、カッパー価に対
する粘度をプロットしたものである。
水性媒体中のグリコール濃度が5%のとき、どんな効果も認められないことが
わかる。しかし、グリコール濃度が10%のとき、カッパー価8mlで約2.5×
103Pa.s(2.5cp)の粘度上昇が得られる。エチレングリコールの量が30
%まで増すと、カッパー価8mlでの粘度改善は約7×103Pa.s(7cp)のオー
ダであった。
エチレングリコールの割合が70%まで増えても、エチレングリコール30%
のときの場合と比べてさらなる改善(カッパー価8mlのとき)は殆んど得られな
いか、得られたとしても僅かである。実際、カッパー価が低い(8ml以下)ところ
では、エチレングリコールの割合を増やすことは不利であった。
図3は、多価アルコールは含有せず硫酸マグネシウム(1%濃度)を含有する水
性媒体中で酸素漂白されたパルプ(対照例)と、10%の比較的低濃度の多価アル
コール(硫酸マグネシウムを含まない)を含有する3種類の異な
る水性媒体中で酸素漂白されたパルプについて、カッパー価に対する粘度をプロ
ットしたものである。多価アルコールが用いられると、酸素漂白されたパルプの
粘度は著しく高くなる(対照例との比較)ことがわかる。つまり、エチレングリコ
ール又はグリセロールが用いられたとき、粘度はカッパー価8mlで3.4×103
Pa.s(3.4cp)上昇し、ペンタエリトリトールが用いられたとき、粘度は5.
4×103Pa.s(5.4cp)上昇した。
媒体中に多価アルコールと共に1%硫酸マグネシウムを使用したときの効果を
調べるために、媒体中に硫酸マグネシウムを含む場合と含まない場合について、
エチレングリコール10%を含有させてテストを行なった。比較のために、アル
コールは含まないが硫酸マグネシウムを含む水(対照例)について同じテストを行
なった。エチレングリコールを使用した漂白パルプは、カッパー価8mlで対照例
より3×103Pa.s(3cp)以上の粘度改善が認められ、エチレングリコールを
含む媒体にさらに硫酸マグネシウムが含まれるとき、さらに1×103Pa.s(
1cp)以上の粘度上昇が認められた。このように、硫酸マグネシウムを多価アル
コール含有媒体に添加すると、媒体が水(アルコールなし)のときと略同じ量だけ
粘度の改善が認められることを示している。
図4は、エチレングリコールとプロピレングリコールを濃度30%で比較した
もので、2種類のグリコールと
も、カッパー価が約8ml以上ではパルプ粘度について同じ様な効果を示しており
、脱リグニンがさらに行なわれると、エチレングリコールの方が大きな効果を有
することを示している。
図5は、濃度10%のエチレングリコールと濃度10%のジエチレングリコー
ルの効果を比較して示している。ジエチレングリコールとエチレングリコールは
、カッパー価が約8mlより上のところでは非常に似かよっているが、カッパー価
が8ml以下のところでは、エチレングリコールの方がすぐれていることがわかる
。
カッパー価が約8ml以下になるまで漂白するとき、エチレングリコールを使用
すると、どういうわけかどんな多価アルコールを用いた場合よりも予期せぬ改良
された結果が得られた。
実験では、酸素処理段階の温度は、従来の酸素処理漂白で通常採用される温度
よりもかなり低い温度が用いられた。エチレングリコール30%を含む水性媒体
について、通常の温度(105℃)と時間(45分)にて処理を行なったものと、比
較のために、同じ媒体について、80℃の温度で185分間の酸素処理漂白を行
なったものを図6に示している。酸素処理工程での温度が低く、維持時間の長い
パルプは、従来の温度と維持時間により得られたパルプよりも遥かにすぐれてい
ることは明白である。
また、図6に示されるように、媒体として水を使用し
たとき、温度を低くしたときの効果、つまり105℃から80℃にしたときの効
果は無視することができる程度であり、温度を低くしてもさほど効果も得られな
い。しかし、媒体としてエチレングリコールを使用したとき、温度を105℃か
ら80℃まで低くすると、上記の如く、予期し得ぬ程の利点がさらにもたらされ
る。
前記の知見は、酸素漂白処理中、パルプを取り囲む媒体中に多価アルコールを
用いることは、全体として無塩素の漂白プロセスにおけるオゾンの代替となるこ
とを示しており、酸素漂白処理は、従来のブラウンストック、又は本発明の酸素
によるさらなる脱リグニン処理の如く改良されたパルプ化により得られるブラウ
ンストックを漂白することにより、カッパー価を6〜7mlまで低下させた後、過
酸化物の如き適当な無塩素剤(chlorine-fresequence)で漂白される。
全体として流出液なしのプロセス(effluent free process)を検討した場合、
本発明の改良された酸素処理工程を用いることは費用的に安く、漂白は少量の二
酸化塩素を用いて行なわれ、流出液はパルプから取り除かれ、ミルの回収システ
ムに送られる。
発明を説明したが、当該分野の専門家であれば、添付の請求の範囲に規定され
た発明の範囲から逸脱することなく変形をなし得るであろう。
請求の範囲
1.セルロースパルプ(10)を漂白するための改良された酸素漂白プロセスであっ
て、パルプ(10)をカセイアルカリ(14)と混合(16)し、酸素漂白段階(30)でパルプ
のカッパー価を所望通り低下させることのできる量のカセイアルカリを、パルプ
全体に均一に分配させ、酸素漂白段階(30)において、酸素漂白を行なえる圧力下
の酸素雰囲気中でパルプを酸素で漂白するもので、該プロセスの特徴とするとこ
ろは、多価アルコールを10重量%乃至70重量%の間の範囲で含有する水性媒
体(24)の中にあるパルプが、酸素漂白段階(30)で漂白され、漂白されたパルプは
、水の中に添加剤が実質的に含まれていないこと以外は同じ条件の下で同じカッ
パー価8mlまで漂白された同様な針葉樹パルプよりも、2.5×103Pa.s(2
.5cp)以上高い粘度を有することにある。
2.多価アルコール(12)は、水性媒体(24)の重量を基準にして30%〜60%を
占めている請求項1に記載のプロセス。
3.多価アルコール(12)は、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリ
セロール、ペンタエリトリトール、ジエチレングリコールからなる群から選択さ
れる請求項1又は2に記載のプロセス。
4.多価アルコール(12)はエチレングリコールである請求項3に記載のプロセス
。
5.水性媒体(24)は、パルプの重量を基準にして0.5%〜2.0%の硫酸マグネ
シウムを含んでいる請求項1乃至4の何れかに記載のプロセス。
6.酸素漂白段階(30)での温度は、60℃〜90℃の範囲である請求項1乃至5
の何れかに記載のプロセス。
7.酸素漂白段階(30)で漂白を行なう間、パルプのコンシステンシーは20%〜
45%の範囲内である請求項1乃至6の何れかに記載のプロセス。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.セルロースパルプを漂白するための改良された酸素漂白プロセスであって、 パルプをカセイアルカリと混合し、酸素漂白段階でパルプのカッパー価を所望通 り低下させることのできる量のカセイアルカリを、パルプ全体に均一に分配させ 、酸素漂白段階において10重量%乃至70重量%の多価アルコールを含む水性 媒体でパルプを取りまき、酸素漂白段階では酸素漂白を行なえる圧力の酸素雰囲 気下でパルプを酸素漂白し、漂白されたパルプを生成するもので、得られた漂白 パルプは、水の中に添加剤が実質的に含まれていないこと以外は同じ条件で同じ カッパー価8mlまで漂白された同様な針葉樹パルプよりも、2.5cp以上高い粘 度と同等の粘度を有している。 2.多価アルコールは、水性媒体の重量を基準にして30%〜60%含まれてい る請求項1に記載のプロセス。 3.多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロ ール、ペンタエリトリトール、ジエチレングリコールからなる群から選択される 請求項1に記載のプロセス。 4.多価アルコールはエチレングリコールである請求項3に記載のプロセス。 5.多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレ ングリコール、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジエチレングリコールか らなる群から選択される請求項2に記載のプロセス。 6.多価アルコールはエチレングリコールである請求項5に記載のプロセス。 7.水性媒体は、パルプの重量を基準にして05%〜2.0%の範囲の硫酸マグ ネシウムを含んでいる請求項1乃至6の何れかに記載のプロセス。 8.酸素漂白段階での温度は、60℃〜90℃の範囲である請求項1乃至7の何 れかに記載のプロセス。 9.酸素漂白段階で漂白を行なう間、パルプのコンシステンシーは20%〜45 %の範囲内である請求項1乃至8の何れかに記載のプロセス。
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