JPH0951127A - 低温動作フィルタ装置 - Google Patents

低温動作フィルタ装置

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JPH0951127A
JPH0951127A JP8072609A JP7260996A JPH0951127A JP H0951127 A JPH0951127 A JP H0951127A JP 8072609 A JP8072609 A JP 8072609A JP 7260996 A JP7260996 A JP 7260996A JP H0951127 A JPH0951127 A JP H0951127A
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秀隆 東野
Masahiro Sakai
全弘 坂井
Kentaro Setsune
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 移動体通信の基地局等に用いられるフィルタ
装置であって、温度安定性及び周波数選択性に優れ、挿
入損失が少なく、小形、低消費電力、低コストの高出力
フィルタ装置を提供する。 【解決手段】 シールドケースブロック1は信号入力部
2a及び出力部2bと、これらの間に接続されたフィル
タ要素11を収納した複数の閉空間10とを有する。こ
のシールドケースブロックを収納する断熱容器4の内部
に冷却板3が配置され、シールドケースブロックはこの
冷却板3に熱接触固定されている。又、各フィルタ要素
がほぼ平行に配置され、各フィルタ要素の面にほぼ平行
な軸を有する円筒状の孔が前記シールドケースブロック
の外部から内部へ貫通するように設けられ、この円筒状
孔の軸方向に移動する移動子の内端部に閉空間の容積を
変化させる導電体からなる接地棒が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、近接した複数の周
波数通信チャネルを用いて通信を行う移動体通信におい
て、基地局等の送信部に使用される高出力の集積化小型
フィルタ装置であって、集合化したフィルタを冷却して
用いるフィルタ装置、特に、電極材料に超伝導体を使用
した高出力用の低温動作フィルタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】800MHz帯から1.5GHz帯の周
波数を用いる移動体通信の基地局等で用いられる送信用
の高出力フィルタとしては、高Q値を有する誘電体共振
器フィルタが広く用いられている。1チャンネルにつき
1つのフィルタが必要であり、通常は16チャネル分の
16個のフィルタを1群として収納した装置が用いられ
ている。各フィルタは、数十ワットの入力に対して40
%程度の挿入損失を有するため、空冷または水却によっ
て冷却しながら用いられる。
【0003】また、基地局の送信部に用いられるジャン
クションボックス形式の電力用フィルタ装置には、図1
3に示す構成のものが用いられている(例えば、奥村善
久他監修、電子情報通信学会編「移動通信の基礎」25
5〜256頁参照)。図13において、僅かに周波数の
異なる16チャネルの送信機がそれぞれのアイソレータ
541を介してそれぞれの共振器542(フィルタ)に
接続されている。各共振器フィルタ542は誘電体共振
器で構成され、接続された送信機からの数kHz〜数1
0kHzの帯域の信号が通過するように設計されてい
る。
【0004】移動体通信ではスペースや設置コストの観
点から、1本のアンテナを共用することが通常行われて
おり、このためにジャンクションボックスが用いられ
る。ジャンクションボックスは、通過帯域周波数の異な
る、共振周波数が近接した複数の帯域通過フィルタの出
力を合波することにより、出力伝送線路を共用するため
の装置である。従来のジャンクションボックスは、空洞
共振器や誘電体共振器等を用いたマイクロ波フィルタの
出力端に接続され、同軸線路等を利用して構成されてい
る。
【0005】図13では、16チャネルの信号をインピ
ーダンス整合させながら1本の線路に結合させるため
に、ジャンクションボックス543が用いられている。
ジャンクションボックス543の内部は、同軸ケーブル
からなる枝線路が図に示すように階層的に接続されて構
成されている。即ち、16個の共振器フィルタの出力側
にλ/4の長さの枝線路544がそれぞれ接続され、そ
れらの枝線路544が4本つづまとめられて4つの合流
点(以下、合波点という)で接続され、それらの合波点
にλ/2の長さの枝線路545がそれぞれ接続され、そ
れらのの枝線路545が2本ずつまとめられて2つの合
波点で接続され、さらに、それらの合波点にλ/2の長
さの枝線路546がそれぞれ接続され、これらの2本の
枝線路546が1つの合波点で接続され、この合波点に
大電力サーキュレータへの出力線路が接続されている。
大電力サーキュレータは更に送信スプリアス防止用の帯
域通過フィルタを介してアンテナへと接続される。
【0006】ジャンクションボックスの動作原理は次の
通りである。合波点から見た場合、共振しているフィル
タはインピーダンス整合がとれているが、他の共振器は
短絡となっている。従って、フィルタの出力端から距離
(2n+1)λ/4の位置で合波すれば、合波点におい
て非共振状態の分岐線路のインピーダンスは無限大とな
る。さらに、合波点から長さ(m+1)λ/2の分岐経
路を経由させた場合には、インピーダンスは変化しない
ため、その位置で再び合波しても不整合損は発生しな
い。その結果、低損失な伝送線路の共用が実現される。
ここで、λはフィルタの平均共振周波数における電気長
での波長であり、n、mは0又は自然数である。
【0007】λ/4の長さの同軸ケーブルの合波点から
みた各共振器フィルタのインピーダンスは、上述の通
り、通過帯域の周波数に対しては出力線路の特性インピ
ーダンスに等しく、それ以外の周波数に対しては極めて
大きくなるので、他のフィルタの特性に与える影響が極
めて少なく、したがって各共振器からの出力の合成(合
波)が容易になる。
【0008】上述したように、従来のフィルタ装置はチ
ャネル数分の誘電体共振器フィルタを1つの収納架に収
納し、同軸ケーブルの枝線路で構成したジャンクション
ボックスによって、各フィルタからの信号を1本の出力
線路へ合流させる構成であったので、装置の大型化が避
けられなかった。
【0009】また、このような高出力フィルタ装置にお
いて、常伝導金属電極で構成された複数の平面回路型フ
ィルタを従来の同軸線路構造のジャンクションボックス
により集積化して常温で動作させることは、低Q値、高
挿入損失のため、現在のところ実用化された例はない。
仮に実施したとしても、各フィルタをシールドケースに
実装してコネクタによりジャンクションボックスに接続
する構成を採らざるを得ず、装置が大型化し、コネクタ
での結合損失の発生が重要な課題となるであろう。
【0010】最近開発の緒についた超伝導薄膜でフィル
タ電極を形成した平面回路フィルタは、高Q値、低損失
で、しかも高出力を扱うことができるという優れた特徴
を有しているが、超伝導状態で動作させるために低温に
冷却する必要がある。従来は、シールドケースに入った
超伝導フィルタ単体をクライオスタットのコールドヘッ
ドに取り付けて実験室レベルで評価実験を行なう程度で
あった。フィルタの信号の入出力は、例えば、汎用のS
MA型コネクタ等によりシールドケースとセミリジッド
ケーブルとを接続し、断熱容器の壁に設けたコネクタに
セミリジッドケーブルの他端側を接続して行っていた。
しかし、このような超伝導平面回路フィルタを複数用い
て移動体通信基地局等の高出力フィルタを構成した例
は、現在のところ報告されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記のような、誘電体
共振器フィルタを複数個収納したフィルタ装置は、電力
損失が大きい。例えば、1.5GHz程度の周波数では
挿入損失が2〜3dB程度と大きい。そこで、フィルタ
装置を大型のラックに収納して空冷または水冷の処置を
施す必要がある。誘電体共振器の1個当たりの寸法が約
100mmφ×120mmHと大型であり、16チャネ
ルのフィルタ部分だけでも、例えば幅25cm、奥行き
25cm、高さ1m程度の大型寸法となる。これに、空
冷または水冷の冷却装置を設置するスペースを含める
と、フィルタ装置全体の寸法は更に大きくなってしま
う。また、所定の送信電力に対する消費電力が大きく不
経済である。
【0012】また、温度変化に起因して共振周波数が変
動すると移動体通信システムの運用を困難にするおそれ
があるため、厳しい温度安定性が要求され、これがフィ
ルタ装置全体のコストを上昇させる一因になっていた。
【0013】また、各フィルタ毎にチャネル周波数の調
整を行わなければならないこともコスト上昇につなが
る。更に、ジャンクションボックスは、その枝線路とし
て大電力用の同軸ケーブルやセミリジッドケーブル等を
数cm〜数10cmの長さに切断したものが用いられる
ので、接続部の製作が難しく、熟練作業者が手作業で加
工、測定、調整を行って製造することが必要であり、こ
のため特性再現性、製造コスト等の面で不利であった。
【0014】加えて、従来の超伝導フィルタに大パワー
のマイクロ波を入射して、常温付近の金属を利用したジ
ャンクションボックスで合波する場合には、導体損によ
るジャンクションボックスの発熱のために、超伝導フィ
ルタ素子の温度がコネクタ部分より上昇して部分的に常
伝導転移を起こし(クエンチ)、常伝導転移した部分が
瞬時に破壊されるという問題点があった。
【0015】或は、ジャンクションボックスをセミリジ
ッドケーブルのような小型ケーブル素材を用いて構成し
てフィルタユニット全体を冷却する構造をとったとして
も、セミリジッドケーブルの最小曲げ半径による制限が
あるために、フィルタ装置が小型化できず、また、ケー
ブルやフィルタ接続部に大電流が流れることにより、接
触抵抗損失及び導体抵抗損失によるジュール熱の発生が
超伝導薄膜の温度上昇を招き、それに伴う臨界電流値の
低下が最大出力電力を制限してしまうという課題があっ
た。
【0016】一方、前述したように、同軸線路等を用い
てジャンクションボックスを構成すると装置が大型化
し、同軸線路からの多量の熱の侵入を除去するために必
要な大型の冷凍機を含めた装置全体が非常に大きく高価
なものになってしまう。
【0017】本発明は、上記のような従来の課題を解決
するためになされたものであり、移動体通信の基地局等
に用いられるフィルタ装置であって、温度安定性及び周
波数選択性に優れ、挿入損失が少なく、小形、低消費電
力、低コストの高出力フィルタ装置を提供することを目
的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明による低温動作フ
ィルタ装置の第1の構成は、信号入力部及び出力部を有
し、これらの間に接続されたフィルタ要素を収納した複
数の閉空間を有するシールドケースブロックと、このシ
ールドケースブロックを収納する断熱容器と、この断熱
容器内に配置された冷却板とを備え、シールドケースブ
ロックが前記冷却板に熱接触固定されていることを特徴
とする。
【0019】このような構成によれば、複数のフィルタ
要素がシールドケースブロック内に収納され、シールド
ケースブロックが冷却板に熱接触固定された状態で断熱
容器内に収納されていることにより、各フィルタ要素の
温度変化を最小に抑えながら装置全体を小型化すること
ができる。たとえ、温度変化が生じても、各フィルタ要
素が同様の温度特性を有する限り(このように構成する
ことは容易である)、各フィルタの共振周波数の間隔は
ほぼ一定に維持される。従って、例えば、1つのフィル
タの共振周波数をモニターして、冷却板の温度を制御す
るといった公知の手段と組み合わせることにより、周波
数の安定化を図ることができる。
【0020】好ましくは、シールドケースブロックが複
数の信号入力部及び出力部を有し、少なくとも1つの閉
空間を有する複数のシールドケースが集合して前記シー
ルドケースブロックを構成している。更に、フィルタ要
素の信号入力線路及び出力線路が、フィルタ要素の基板
上に接合され又は基板内部に埋設された配線部材を介し
て前記シールドケースブロックの信号入力部及び出力部
に接続されている構成が好ましい。
【0021】また、フィルタ要素を収納する閉空間を真
空状態に保持することにより、フィルタ要素を安定して
冷却することができる。あるいは、閉空間を乾燥したヘ
リウム、ネオン、もしくはこれらの混合ガスで充填する
ことにより、30K程度の低温でも液化せず均一に冷却
することができる。また、乾燥したアルゴン、窒素、酸
素、もしくはこれらの混合ガスで充填した場合は、容易
に得られる液体窒素温度(77.3K)まで液化せず均
一に冷却することが出来る。
【0022】好ましい構造として、平面状の各フィルタ
要素がほぼ平行に配置され、各フィルタ要素の面にほぼ
平行な軸を有する円筒状の孔が前記シールドケースブロ
ックの外部から内部へ貫通するように設けられ、前記円
筒状孔の内周面の少なくとも一部に形成された螺旋溝に
螺合する螺子部を有し回転によるねじ送りによって前記
円筒状孔の軸方向に移動する移動子が備えられ、この移
動子の外端部には移動子に回転力を与えるための外力伝
達部が設けられ、内端部には前記閉空間の容積(電気的
な容積)を変化させる導電体の接地棒が設けられてい
る。このような構造によれば、複数のフィルタ要素に対
応して設けられた移動子をシールドケースブロックの外
部から回転して軸方向に移動させることにより、各フィ
ルタ要素の共振周波数を個別に調整することができ、特
に冷却時における特性の微調整が容易になる。更に、接
地棒の先端に誘電体膜を設け、又は誘電体ブロックを固
定することにより、その誘電率に応じて調整可能な周波
数範囲が広がる。
【0023】更に好ましくは、外力伝達部を断熱容器の
外部から駆動手段(熱伝達係数の小さな棒等を用いると
断熱効果があり一層好ましい)によって回転させる構成
とすることにより、低温動作させながら特性の精密調整
を行うことができる。
【0024】各フィルタ要素は、誘電体基板上に形成さ
れた薄膜電極で構成することが好ましく、この場合、各
フィルタ要素の特性の温度変化を揃えることが容易とな
ると共に、小型化にも寄与し得る。さらに、その薄膜電
極を超伝導材料、特に高温酸化物超伝導材料で構成する
ことにより、高いQ値のフィルタ要素が容易に得られ、
しかも、高い臨界電流密度が得られることから、2GH
z帯で数十ワットもの高出力の小形フィルタを実現する
ことができる。
【0025】また、断熱容器の内部を真空状態に保持
し、更に、シールドケースブロックからの熱を断熱容器
の外部に伝導する熱伝導部に前記冷却板を接続すること
により、冷却板を通してフィルタ要素を安定して冷却す
ることができる。或いは、断熱容器の内部に冷媒を充填
して冷却板及びシールドケースブロックを冷却すること
も可能であり、かかる構成によれば、簡易にかつ低コス
トで冷却することができる。
【0026】次に、本発明による低温動作フィルタ装置
の第2の構成は、フィルタ装置を構成するフィルタ要素
が、超伝導薄膜からなるフィルタ電極とその出力端に接
続された長さ(2m+1)λ/4(但しmは0又は自然
数、λは信号の波長)の薄膜結合線路とが同一平面上に
形成され、これらを2枚の接地電極が誘電体を介して挟
んだ構造のフィルタ結合線路ブロックが積層されてフィ
ルタブロックが構成され、積層方向に延びる導電接続手
段によって各フィルタ結合線路ブロックの薄膜結合線路
の他端側が接続されて結合部が形成され、その結合部に
前記薄膜結合線路と同一の特性インピーダンスを有する
出力結合線路が接続されていることを特徴とする。
【0027】この構成によれば、超伝導薄膜からなるフ
ィルタ電極とその出力端に接続した薄膜結合線路とを同
一平面上に形成し、誘電体を介して上下2枚の接地電極
で挟んでフィルタ結合線路ブロックを構成することによ
り、小型、低損失で高Q値のフィルタと結合線路とを一
体に製造したものが得られる。そして、フィルタの製造
行程の標準化、周波数特性の微調整の標準化によって工
数低減、低コスト化が可能になる。
【0028】また、上記のフィルタ結合線路ブロックを
積層してフィルタブロックを構成することにより、各フ
ィルタ結合線路ブロック間の結合が接地電極によって回
避されるとともに装置全体として小型化が可能となる。
更に、各フィルタ結合線路ブロックの(2m+1)λ/
4の長さの薄膜結合線路の他端側が、積層方向に延びる
導電接続手段、つまりビアホール(スルーホール)によ
って接続されて結合部が形成され、その結合部に薄膜結
合線路と同一の特性インピーダンスを有する出力結合線
路が接続されていることにより、複数のフィルタの合波
が薄膜積層構造で可能となる。
【0029】上記超伝導薄膜からなるフィルタ電極は酸
化物超伝導薄膜で構成することが好ましく、この場合、
動作温度を液体窒素温度程度にすることができるので冷
却が容易になる。さらに好ましくは、酸化物超伝導薄膜
の上に金属薄膜を形成した超伝導電極を用いることによ
り、熱伝導率の低い酸化物超伝導薄膜が部分的にクエン
チした(即ち、超伝導特性を失った)場合であっても、
金属薄膜のバイパス路があることによって酸化物超伝導
薄膜の焼損が防止される。
【0030】また、従来のジャンクションンボックスの
ように多くのチャンネルのフィルタを階層的に合波して
一つの出力を得るために、フィルタブロックを複数のフ
ィルタ結合線路ブロックからなる複数のグループに分
け、各グループごとに、積層方向に延びる第1導電接続
手段によって各薄膜結合線路の他端側を接続して第1結
合部を形成し、その第1結合部に前記薄膜結合線路と同
一の特性インピーダンスを有する長さnλ/2(但しn
は自然数、λは信号の波長)の第1出力結合線路を接続
し、積層方向に延びる第2導電接続手段によって各グル
ープの第1出力結合線路の他端側を接続して第2結合部
を形成し、その第2結合部に前記第1出力結合線路と同
じ特性インピーダンスを有する第2出力結合線路を接続
した構造とすることが好ましい。このようにして、従来
のジャンクションボックスとフィルタ回路とが一体化し
た薄膜構造の超小型、低損失、高Q値のフィルタ装置が
実現される。
【0031】更に好ましい構成として、出力結合線路を
囲む誘電体の誘電率又は厚さのうち少なくとも一つをフ
ィルタブロックと異ならせることにより、所定の特定イ
ンピーダンスを維持したままで出力結合線路の幅を広く
することにより、信号の合流に伴って電流密度が大きく
なるのを緩和して、超伝導フィルタ装置全体の扱い得る
電力を大きくすることができる。
【0032】本発明による低温動作フィルタ装置の第3
の構成は、フィルタ装置を構成するフィルタ要素が、基
体A上に形成された超伝導薄膜からなる超伝導フィルタ
と、前記基体Aとは別の基体B上に形成された薄膜導体
からなるジャンクションボックスとが接続され、前記ジ
ャンクションボックスを構成する伝送線路が、前記超伝
導フィルタを構成する伝送線路と同一の特性インピーダ
ンスを有し、かつ前記ジャンクションボックスを構成す
る伝送線路導体の断面積が、前記超伝導フィルタの伝送
線路導体の断面積より大きいことを特徴とする。
【0033】上記の構成によれば、超伝導フィルタとジ
ャンクションボックスとを含む大パワー対応の超伝導フ
ィルタ装置を実現できる。即ち、ジャンクションボック
スを形成する伝送線路を、フィルタを形成する伝送線路
とは別の基体に形成してフィルタを形成する伝送線路よ
り太くすることにより伝送導体の断面積を大きくする。
特に、ジャンクションボックスの基体をフィルタの基体
より厚くし、また、ジャンクションボックスの基体の誘
電率をフィルタの基体の誘電率より小さくして、伝送線
路を太くすることにより、伝送導体の断面積を大きくす
る。伝送線路を太くする等により伝送導体の断面積を大
きくした薄膜型ジャンクションボックスにより、薄膜導
体として金属を用いた場合には熱の発生が抑えられ、薄
膜導体として超伝導体を用いた場合には臨界電流を越え
る電流が流れることを防ぐ。好ましくは、薄膜導体を酸
化物超伝導体、金属、又は両者の積層構造で形成するこ
とにより、さらに大パワーに対応することが可能にな
る。
【0034】本発明による低温動作フィルタ装置の第4
の構成は、フィルタ要素が、超伝導薄膜材料のフィルタ
電極からなる平面回路フィルタを複数個集積したフィル
タ集合体と、基板上に形成された枝線路で構成されたジ
ャンクションボックスとが複数の接続端子で接続され、
共通の冷却面に接触するように固定されて構成されてお
り、前記ジャンクションボックスは、それを含む平面が
各平面回路フィルタの面と交わるように配置され、各接
続端子は、前記平面回路フィルタの面に平行な第1接触
面を一端側に有し、前記ジャンクションボックスの面に
平行な第2接触面を他端側に有する接続導体を含んでい
ることを特徴とする。
【0035】このような構成によれば、高出力で高Q値
を有するフィルタが立体的に配置され、小型かつ低損失
のフィルタ装置が実現される。また、各フィルタ間の温
度ばらつきも少なくなり、特性の安定化にも寄与する。
各平面回路フィルタと平面状のジャンクションユニット
とが平行ではなく互いに交わるように、好ましくはほぼ
直交するように配置され、それらの間の接続が、第1及
び第2の接触面を両端に有する接続導体(接続端子)に
よって行われることにより、小型化のための立体配置構
造と、接続部におけるインピーダンスの連続性(接触抵
抗、導体損失等によるジュール損失の低減)とを両立さ
せることができる。
【0036】第1接触面が平面回路フィルタの面に平行
であり、第2接触面がジャンクションユニットの面に平
行であることにより、平面回路フィルタのフィルタ電極
と第1接触面、及び、ジャンクションユニットの枝線路
と第2接触面とがそれぞれが面接触することができ、こ
れによって上述の接続部におけるインピーダンスの連続
性が得られる。
【0037】あるいは、第1接触面と各平面回路フィル
タのフィルタ電極との間、又は、第2接触面とジジャン
クションユニットの枝線路との間のうちの少なくともい
ずれかに、金属、超伝導体、導電性樹脂等の導電性材料
を介在させることも好ましい。これにより、各接続部で
の接触抵抗が一層低減するとともに、冷却に伴う温度変
化に対して各接続部の電気的特性の安定性が向上する。
【0038】本発明による低温動作フィルタ装置の第5
の構成は、フィルタ装置に含まれるジャンクションボッ
クスが、順番に並んだ4つのフィルタ出力接続部A、
B、C及びDと、前記フィルタ出力接続部A、Bの双方
から距離(2n+1)λ/4だけ離れた第1の合波点E
と、前記フィルタ出力接続部C、Dの双方から距離(2
n+1)λ/4だけ離れ、かつ、前記フィルタ出力接続
部A、Bと前記第1の合波点Eとにより形成される平面
上に存在する第2の合波点Fと、前記第1及び第2の合
波点E、Fの双方から距離(m+1)λ/2だけ離れ、
かつ、前記平面上に存在する第3の合波点Gとを備え、
前記フィルタ出力接続部A、B、C及びDから選ばれる
少なくとも3つのフィルタ出力接続部と前記第1、第2
及び第3の合波点E、F及びGとを、基体上に付着した
薄膜の形態を有し、かつ、同一の特性インピーダンスを
有する直線の分岐線路によって接続した構造を少なくと
も1つ備えていることを特徴とする(但し、λはフィル
タの平均共振周波数における電気長での波長であり、n
及びmは0又は自然数である)。
【0039】この構成によれば、2つのフィルタ出力接
続部A、Bから第1の合波点Eに合波する二等辺三角形
構造と、2つのフィルタ出力接続部C、Dから第2の合
波点Fに合波する二等辺三角形構造と、第1及び第2の
合波点E、Fから第3の合波点に合波する二等辺三角形
構造を用いることにより、ジャンクションボックスを平
面上に構成することが可能となる。ところで、均質で、
膜厚分布のない基体上に形成された同一幅の伝送線路
は、同一の特性インピーダンスと位相定数を有するた
め、実長と電気長とが比例する。従って、前記3つの二
等辺三角形構造を用いることにより、(2n+1)/λ
の等電気長の結合線路を同一平面上に形成することが可
能となり、小型で、低損失な薄膜型ジャンクションボッ
クスを実現することが可能となる。
【0040】この第5の構成において、フィルタ出力接
続部A、B、C及びDが直線上に等間隔で並び、前記フ
ィルタ出力接続部Aと第1の合波点Eを結ぶ直線と、前
記フィルタ出力接続部Dと第2の合波点Fを結ぶ直線と
が交差する位置が第3の合波点Gであることが好まし
い。これによって、第1及び第2の合波点E、Fにおけ
る分岐線路の折れ曲がりによる輻射損失が抑えられる。
【0041】また、ジャンクションボックスの別の構成
は、円弧上に並んだ少なくとも2つのフィルタ出力接続
部と、前記円弧の中心とを、基体上に付着した薄膜の形
態を有し、かつ、同一の特性インピーダンスを有する長
さ(2n+1)λ/4の直線の分岐線路によって接続し
た扇型構造を少なくとも1つ備えた構成を有する(但
し、λはフィルタの平均共振周波数における電気長での
波長であり、nは0又は自然数である)。
【0042】この構成によれば、フィルタ出力接続部を
円弧上に配置し、合波点を円弧の中心とすることによ
り、フィルタ出力接続部が合波点から等距離にある扇型
構造となり、複数のフィルタ出力接続部から同時に一つ
の合波点への合成が可能となる。ところで、均質で、膜
厚分布のない基体上に形成された同一幅の伝送線路は、
同一の特性インピーダンスと位相定数を有するため、実
長と電気長とが比例する。従って、前記扇型構造を用い
ることにより、(2n+1)/λの等電気長の結合線路
を同一平面上に形成することが可能となり、小型で、高
性能(低損失)な薄膜型ジャンクションボックスを実現
することが可能となる。また、フィルタ出力接続部間に
十分なスペースが確保されるため、ジャンクションボッ
クスと同一基体上にフィルタを構成することが可能とな
る。
【0043】また、このジャンクションボックスの構成
では、扇型構造を同一平面上に少なくとも2つ備え、前
記扇型構造の円弧の中心を、基体上に付着した薄膜の形
態を有し、かつ、同一の特性インピーダンスを有する長
さ(m+1)λ/2の直線の分岐線路によって接続した
構造を少なくとも1つ備えていることが好ましい(但
し、mは0又は自然数である)。
【0044】また、これらのジャンクションボックスの
構成において、基体としてLaAlO3 やSrTiO
3 、LaGaO3 、NdGaO3 などを使用する場合
に、基体と分岐線路(酸化物超伝導体)との格子定数の
不整合が小さくなり、分岐線路(酸化物超伝導体)の結
晶性が向上する。その結果、臨界温度、臨界電流密度が
向上し、冷凍機のパワーを低減することが可能になると
共に、大パワーのマイクロ波を扱うことも可能になる。
また、分岐線路を酸化物超伝導体と金属との積層体で構
成することにより、冷凍機の故障等によって超伝導体が
超伝導性を失っても、金属による伝送が確保され、機能
が完全に失われることはないので、ジャンクションボッ
クスの安定性が向上する。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
を実施例と図面に基づいて説明する。図1に本発明の第
1の実施例に係る低温動作フィルタ装置の全体構成を示
す。この低温動作フィルタ装置は4個のフィルタ要素を
備えている。4個のフィルタ要素はシールドケースブロ
ック1の内部の閉空間に収納され、4個の信号入力部2
aと4個の信号出力部2b(図2参照)とがシールドケ
ースブロック1に備えられている。シールドケースブロ
ック1は、熱が伝わり易いように底面が冷却板3に熱的
に接触した状態で固定されている。シールドケースブロ
ック1と冷却板3との間の熱接触固定部に熱伝導グリス
を注入することにより更に熱伝導性が良くなる。冷却板
3は断熱容器4の中で熱伝導部5に接続されて固定さ
れ、シールドケースブロック1から冷却板3に伝わった
熱が熱伝導部5の他端に接続された低温部6に逃がされ
るように構成されている。
【0046】熱伝導部5は熱絶縁材9を介して断熱容器
4に固定され、断熱容器4から熱伝導部5へ熱が伝わる
ことが防止されている。また、シールドケースブロック
1の周囲で断熱容器4の内部の空間を真空状態にするこ
とによって、断熱を有効ならしめている。低温部6は冷
凍機によって冷却される。尚、このような断熱、冷却系
の代わりに、断熱容器4の内部に例えば液体窒素のよう
な冷媒を充填して冷却板3やシールドケースブロック1
を冷却する構成も簡便で効果的である。4個の信号入力
部2aは4本のケーブル7aによって、断熱容器4に備
えられた4個の入力端子8aにそれぞれ接続され、4個
の信号出力部2bは4本のケーブル7bによって、断熱
容器4に設置された4個の出力端子8bにそれぞれ接続
されている。従って、入力端子8aのうちの一つから入
力された信号は、1本のケーブル7a、信号入力部2a
のうちの一つを通り、シールドケースブロック1内の1
つのフィルタ要素を通過した後、一つの信号出力部2
b、1本のケーブル7bを通って出力端子8bの一つか
ら出力される。この際、フィルタ要素の通過周波数帯域
の信号のみがフィルタ要素を通過して出力端子8bへ出
ていくことになる。
【0047】本実施例ではシールドケースブロック1内
に4個のフィルタ要素が収納されているが、各フィルタ
要素間でクロストークが生じないようにする必要があ
る。そこで、各フィルタ要素を収納する空間を閉空間と
し、各フィルタ要素がそれぞれの信号入力部2a及び信
号出力部2bに個別のケーブルで接続される構成とする
ことにより、各フィルタ間の結合を回避して、それぞれ
のフィルタ要素が安定な特性を示すようにしている。
【0048】図2に、一部を切り欠いた斜視図にてシー
ルドケースブロック1の構造を示す。シールドケースブ
ロック1は、信号入力部2a及び信号出力部2bを1個
ずつ備えた閉空間10が4個集合してなり、各閉空間1
0の内部にはフィルタ要素11が一つずつ収納されてい
る。平面状の各フィルタ要素11は互いにほぼ平行にな
るように配置され、各フィルタ要素11の信号入力線路
22aは信号入力部2aに、信号出力線路22bは信号
出力部2bに、それぞれ接続されている。フィルタ要素
11のシールドケースブロック1への固定は、熱抵抗が
小さくなるように熱伝導グリス等を塗布した上で、ネジ
やバネ等による押圧接触によって行われ、これによっ
て、フィルタ要素11で発生する熱の放熱効率が良くな
り、フィルタ要素11の動作安定性が向上する。
【0049】シールドケースブロック1を上下に二分割
できる構造とすることにより、シールドケースブロック
1内部の閉空間にフィルタ要素を組み込む作業がしやす
くなる。この場合、シールドケースブロック1を分割し
た後、各閉空間内にフィルタ要素と信号入力部2aと信
号出力部2bとを組み込み、再びシールドケースブロッ
ク1を組み合わせて密閉することによりシールドケース
ブロック1が出来上がる。また、シールドケースブロッ
ク1をシールドケースの集合体として構成してもよく、
この場合、まず各シールドケースごとに各フィルタ要素
を装着して密閉し、次にそれらのシールドケースを一体
化してシールドケースブロック1とすることになり、組
み立て作業が容易になる。
【0050】シールドケースブロック1の内部の閉空間
を真空にする代わりに、乾燥したヘリウム(He)ガ
ス、ネオン(Ne)ガス、もしくは、これらの混合ガス
で充填し、または、乾燥させたアルゴン(Ar)ガス、
窒素(N2)ガス、酸素(O2)ガス、もしくは、これら
の混合ガスで充填することにより、フィルタ要素11の
温度安定性を向上させることができる。真空の場合に
は、全温度範囲にわたる使用が可能である。アルゴンガ
ス、窒素ガス、酸素ガス、又は、これらの混合ガスを用
いる場合は、液体窒素の温度以上での動作に用いると液
化せず、しかも対流によりフィルタ要素11が有効に冷
却される。ヘリウムガス、ネオンガス、又は、これらの
混合ガスを用いる場合には、液体窒素温度以下でもガス
が液化するまでは上記のような効果が得られる。特に、
ヘリウムガスの場合には、液体ヘリウム温度(4.2
K)の低温まで使用が可能である。
【0051】各フィルタ要素11の信号入力線路22a
及び信号出力線路22bとシールドケースブロック1の
信号入力部2a及び信号出力部2bとの接続について
は、図2に示すように、信号入力部2a及び信号出力部
2bから内側へ突出した接触ピンが誘電体基板12上の
信号入力部2a又は信号出力部2bに接触することによ
って行われる。あるいは、フィルタ要素11の誘電体基
板12上に接合され又は基板内部に埋設された配線部材
(フレキシブル配線板やリード線等)を介して両者を接
続する構造としてもよい。
【0052】また、図2に示すように、シールドケース
ブロック1の上壁面に4個の貫通孔が形成され、ここに
鍔付きの円筒状部材1aが装着されている、この円筒状
部材1aにも貫通孔が形成されており、この貫通孔はフ
ィルタ要素11の基板面にほぼ平行な軸を有する。この
円筒状部材1aの貫通孔には、フィルタ要素11の周波
数特性の微調整のための移動子31が挿通されている。
移動子31は、貫通孔の一部分に設けられた螺旋溝33
と螺合する螺子部34を備え、外端部には移動子31に
回転力を与えるための外力伝達部35が形成されてい
る。貫通孔の他の部分と移動子との間には潤滑剤が介装
されて摺動部32が形成され、シールドケースブロック
1内の閉空間10の気密性が保持されると共に、静電容
量を介してシールドケースブロック1と移動子31の接
地棒36との電気的結合が達成される。また、内端部
(閉空間10側の端部)には、閉空間10の容積を変化
させる導電体からなる接地棒36が設けられ、接地棒3
6の先端には誘電体ブロック37が固定されている。
【0053】円筒状部材1aの貫通孔の内端側に螺子部
34より径が大きいシリンダー部を形成し、これに内嵌
するピストン部を移動子に設け、これらのシリンダー部
とピストン部とで摺動部32を構成してもよい。
【0054】外力伝達部35は六角ネジ形状を有してお
り、ここに冶具を外嵌させて回転すると、貫通孔の螺旋
溝33と螺子部34とのネジ送りによって、接地棒36
が閉空間10の中へ入ったり出たりする。この接地棒3
6の出入り移動により閉空間10の形状が変化し、フィ
ルタ要素11を通る信号によって閉空間10内に形成さ
れる電界分布が変化する結果、フィルタ要素11の周波
数特性が微妙に変化する。このようにして周波数特性の
微調整を行うことができる。このような構成とすること
により、複数のフィルタ要素について、周波数特性の微
調整を同一方向から行うことができるので、フィルタ要
素を動作温度まで冷却した状態で微調整することが容易
になる。
【0055】また、外力伝達部35に断熱容器4の外部
から回転力を伝達する手段として、熱絶縁性の高い、例
えばPTFE(4フッ化エチレン)樹脂からなる棒を介
して外力伝達部35に接続された回転機構を断熱容器4
の外壁面に設けると、冷却動作させながら特性の微調整
をすることが可能となり、調整が容易になる。
【0056】なお、上記の筒状部材1aは、移動子31
と摺動する貫通孔の長さをできるだけ長くするため、そ
して、予め移動子31と螺合させたのちケース壁面の孔
に装着するといった組み立て上の便宜から設けている
が、必ずしも必要なものではない。ケース壁面に設けた
貫通孔に螺旋溝及び摺動部を形成して、移動子31を直
接挿入する構成としてもよい。また、各フィルタ要素に
つき移動子31を一つに限る必要はなく、複数の移動子
を場所を変えて設けることにより、一層緻密な微調整が
可能になる。
【0057】誘電体ブロック37は、誘電体膜で置き換
えることができ、また、無くてもよい。しかし、誘電体
37の誘電率が大きい(例えばテフロン(登録商標)の
場合は約3程度、アルミナの場合は約9程度)ので電界
が誘電体37の内部に集中することから、誘電体37が
ある場合はない場合に比べて移動子の単位変位量に対す
る周波数特性の調整量が大きくなるという効果が得られ
る。
【0058】フィルタ要素11は、誘電体基板12の表
側の面に薄膜電極13をストリップラインフィルタパタ
ーン状に形成し、裏側の面に接地電極を全面形成して構
成されている。薄膜電極13の材料として、銅、銀、金
のような普通の電極材料を常温付近の動作温度で用いる
場合は、フィルタ要素のQ値は高々数100程度にとど
まるが、例えば液体窒素温度(77.3K)程度の低温
まで冷却すると抵抗率が激減し、2GHz程度の周波数
でQ値が数千程度まで大きくなる。更に、薄膜電極13
の材料として超伝導材料を用い、冷却により超伝導状態
で使用する場合は、2GHz程度の周波数でQ値が数万
以上にもなる。その上、薄膜電極13の超伝導材料とし
て、ビスマス系や、イットリウム系、タリウム系等とい
った高温酸化物超伝導材料を用いた場合は、その動作温
度、即ち、超伝導動作状態の温度をNbやNb−Ti、
Nb3Sn等の低温超伝導材料等よりも遥かに高い温
度、例えば、液体窒素温度程度まで上げて動作させるこ
とが可能となり、その結果、冷却が容易になる。また、
臨界電流密度が105〜107A/cm2程度と高い の
で、高出力のフィルタを構成することができる。
【0059】他の具体例としては、誘電体基板12の材
料としてランタンアルミネート(LaAlO3、格子常
数:a軸5.365オングストローム、c軸13.11
オングストローム、誘電率約24)を用い、薄膜電極1
3の材料としてタリウム−2212相(臨界温度〜11
0K)の高温酸化物超伝導薄膜材料を用い、直径約24
mmの円形フィルタパターンを形成してフィルタ要素1
1を構成し、冷凍機の低温部6に接続した冷却板3によ
り70K程度までシールドケースブロック1を冷却して
動作させた結果、約2GHz程度の周波数帯域の通過信
号の電力損失を数十ワット程度まで低下することができ
た。
【0060】尚、薄膜フィルタとしてストリップライン
型、円形フィルタの例を述べたが、これに限定されるも
のではなく、スロットラインフィルタ、コプレーナフィ
ルタ等、他の薄膜フィルタを用いても同様の効果が得ら
れる。
【0061】4個のフィルタ要素を備えた本実施例のシ
ールドケースブロック1の寸法は約50mmW×30m
mD×30mmHであり、断熱容器の外形寸法は約70
mmφ×60mmHである。従来の誘電体共振器を用い
た同一性能のフィルタ装置は約200mmW×200m
mD×150mmHであったので、容積比で約1/26
のサイズに小形化することができた。冷却板3を冷却す
る手段としてスターリングサイクル冷凍機を使用する
と、約120mmW×70mmD×170mmHのスペ
ースを要するが、この場合でも全体として約1/3以下
のサイズに小型化することができる。
【0062】なお、上記実施例において、シールドケー
スブロック内に4個のフィルタ要素を備えた低温動作フ
ィルタ装置の実施例を示したが、これに限るものではな
く、例えば、後述の実施例のようにシールドケースブロ
ック内に複数のフィルタとジャンクションボックスを組
み込んだ構成の低温動作フィルタ装置も本発明の範囲に
入ることはいうまでもない。
【0063】また、上記実施例において、超伝導薄膜と
してタリウム−2212相の高温酸化物超伝導薄膜を用
いたが、これに限らず、同様の機能を有する他の高温酸
化物超伝導薄膜を用いてもよい。また、上記実施例では
薄膜共振器を用いたが、本発明はこれに限定されず、誘
電体共振器をシールドケースブロック1内部の閉空間1
0に収納しても良い。但し、この場合は寸法が大きくな
る。
【0064】次に、本発明の第2の実施例に係る低温動
作フィルタ装置として、フィルタ要素が一体型のものを
説明する。図3に本実施例におけるフィルタ要素の側断
面図を、図4にその平断面図をそれぞれ示す。図3は図
4のB−B断面図であり、図4は図3のA−A断面図で
ある。但し、図3は上下(厚さ)方向の寸法を誇張して
描いている。
【0065】図3に示されているように、このフィルタ
要素はフィルタ電極材料に超伝導薄膜を用いた4層構造
を有している。一番上の層を例にとると、図4からもわ
かるように、超伝導フィルタ電極101aとその出力端
102aに接続された長さλ/4の薄膜結合線路103
aとが同一平面(A−A平面)上に形成され、これらを
2枚の接地電極105が誘電体104を介して上下から
挟んでフィルタ結合線路ブロック106aが構成されて
いる。尚、結合線路103aは入力線路121aと同じ
特性インピーダンス(50オーム)を有し、その長さは
特性上(2m+1)λ/4(但しmは0又は自然数、λ
は信号の波長)であればよく、本実施例の長さλ/4は
m=0の場合に相当する。
【0066】他の3層についても同様に、同じ構造のフ
ィルタ結合線路ブロック106b〜106dが形成さ
れ、これらの4つのフィルタ結合線路ブロック106a
〜106dが積層されてフィルタ要素が構成されてい
る。但し、各層の間の接地電極105は必ずしも2枚が
貼り合わされた構造である必要はなく、1枚の接地電極
がその上下のフィルタ結合線路ブロックに共有されてい
る構造であってもよい。また、接地電極材料は、超伝導
薄膜であればフィルタ特性が優れ望ましいが、金属薄膜
であっても低温に冷やして用いるので常温動作の場合に
比べて抵抗が非常に小さくなるのでフィルタ特性に格段
の改善がみられ、好ましい。
【0067】このようなフィルタ要素が、本実施例にあ
っては2つのフィルタ結合線路ブロックずつ2つのグル
ープに分けられ(106aと106b、106cと10
6d)、各グループごとに、積層方向に延びる第1導電
接続手段としてのビアホール(スルーホール)107
a,107cによって各結合線路101a〜101dの
他端側が接続されて第1結合部108a,108bが形
成されている。そして、薄膜結合線路103a〜103
dと同一の特性インピーダンスを有する長さλ/2の第
1出力結合線路109a,109cが上記第1結合部1
08a,108bに接続されている。尚、第1出力結合
線路109a,109cの長さは特性上nλ/2(但し
nは自然数、λは信号の波長)であればよく、本実施例
の長さλ/2はn=1の場合に相当する。
【0068】さらに、上記の各グループの第1出力結合
線路109a,109cの他端側は、積層方向に延びる
第2導電接続手段としてのビアホール117によって接
続されて第2結合部118が形成され、その第2結合部
に第1出力結合線路109a,109cと同じ特性イン
ピーダンスを有する第2出力結合線路120が接続され
ている。
【0069】以上のような構造により、超伝導フィルタ
電極とその薄膜結合線路とを有する複数のフィルタ結合
線路ブロックが積層されてなるフィルタブロックと、各
出力結合線路が階層的に接続されてなるジャンクション
ボックスに相当するものとを一体にした超伝導電極構成
のフィルタ要素が構成されている。尚、ビアホール10
7a、107c、117が貫通する箇所の接地電極10
5には、ビアホールとの絶縁のために適当な径の孔があ
けられている。また、図示はされていないが、各接地電
極は別のビアホールによって相互に接続されている。
【0070】再び図4の平面図(A−A断面図)を参照
しながら、フィルタ結合線路ブロック106aの説明を
補足する。図に示すように、超伝導フィルタ電極101
aの入力側に入力線路121aが接続されている。他の
フィルタ結合線路ブロック106b〜106dについて
も同様に入力線路121b〜121dが接続されている
(図3参照)。超伝導フィルタ電極101aの出力端1
02aには、入力線路121aと同じ特性インピーダン
ス(50オーム)で長さがλ/4の薄膜結合線路103
aが接続されている。その他端側(第1結合部108
a)にはビアホール107aが設けられているととも
に、長さがλ/2で特性インピーダンスが入力線路12
1aに等しい第1出力結合線路109aに接続されてい
る。出力結合線路109aの他端側(第2結合部18)
先端には、ビアホール117が設けられているととも
に、入力線路121aと特性インピーダンスが等しい
(50オーム)出力線路120に接続されている。
【0071】超伝導フィルタ電極101aは5極構成の
ストリップライン型共振器フィルタの形状としている。
しかし、機能が同じである限り、薄膜状の超伝導電極を
パターン化したものであればどのような形状でも良い。
尚、各フィルタ結合線路ブロックの入力線路121a〜
121dの位置を交互にずらして千鳥状に配置すること
により、送信機の増幅器との接続が容易な構成とするこ
ともできる。
【0072】また、出力線路120を必ずしも最上層の
フィルタ結合線路ブロック106aに設ける必要はな
く、いずれのフィルタ結合線路ブロックに設けてもよい
が、通常は最上層に設けたほうが出力ケーブルとの接続
が容易になる。薄膜結合線路と出力結合線路の長さはビ
アホールの長さを含めて設計すべきであるが、通常はビ
アホールの長さは各線路の長さに比べて無視できるほど
短い。但し、層の数が多くなってビアホールの長さが無
視できないほど長くなる場合は、各線路のパターンを各
フィルタ結合線路ブロックごとに変えることによって長
さを調整する必要がある。
【0073】尚、上記実施例のフィルタ要素では4つの
フィルタ結合線路ブロックからなるフィルタブロックが
2つのフィルタ結合線路ブロックからなる2つのグルー
プに分けられ、4つの超伝導フィルタ電極からの出力が
薄膜結合線路と第1及び第2の出力結合線路とによって
段階的に合流して1つの出力線路120に至る構成につ
いて説明したが、本発明はこの構成に限定されるもので
はない。つまり、各結合部においてビアホールによって
接続される薄膜結合線路や出力結合線路の数は任意であ
る。あるいは、複数の薄膜結合線路をビアホールにより
接続して、出力線路(最終の出力結合線路)に直接接続
する1段のみの接続形態や、上記実施例より多い3段以
上の接続形態をとることも本発明の範囲内に含まれる。
【0074】次に、上記実施例のフィルタ要素の製造方
法の一例について説明する。この例では、超伝導電極材
料に酸化物高温超伝導材料を用い、誘電体104として
2枚の誘電体基板を貼り合わせる方法を用いた。まず、
誘電体基板の材料にランタンアルミネート(LaAlO
3、格子常数:a軸5.365オングストローム、 c軸
13.11オングストローム、誘電率約24)を用い、
この表面にタリウム−2212相(臨界温度〜110°
K)の高温酸化物超伝導薄膜材料を形成した。これを公
知の加工技術を用いて図4に示すような所望のパターン
形状に加工した。用いた基板寸法の関係でパターンをビ
アホール107aの部分で2つに分けたが、大きな基板
を用いることができれば一体に作ることができる。
【0075】各フィルタ結合線路ブロックの超伝導フィ
ルタ電極のパターンは、互いに僅かに異なる通過帯域周
波数となるように設計されている。又、フィルタ結合線
路ブロック106a以外のフィルタ結合線路ブロック1
06b〜106dは第2出力結合線路120に相当する
超伝導薄膜線路パターンを欠いており、さらに、フィル
タ結合線路ブロック106b,106dは第1出力結合
線路に相当する超伝導薄膜線路パターンも欠いている。
【0076】また、別の誘電体基板の表面にも高温酸化
物超伝導薄膜を形成して超伝導体の接地電極とした。ビ
アホールが貫通する箇所の高温酸化物超伝導薄膜はAr
イオンミリングによりエッチング除去し、浮遊静電容量
が小さくなるように少し大きめの孔をあけた。更に、フ
ィルタの超伝導薄膜電極を形成した誘電体基板と、接地
電極を形成した誘電体基板のビアホールの貫通する部分
は、ビアホール部分の特性インピーダンスが薄膜結合線
路の特性インピーダンスに近くなるような寸法の貫通孔
を炭酸ガスレーザー加工機を用いて加工した。
【0077】作成したフィルタ結合線路ブロックのフィ
ルタ電極形成基板と、接地電極形成基板とを図3のよう
な構成となるような向きに貼り合わせて各フィルタ結合
線路ブロックを作製し、冷却して特性測定を行い、超伝
導フィルタ電極を少しずつ削り取る方法あるいはYAG
レーザー照射によるレーザートリミング等により特性の
トリミングを行った。基板を貼り合わせたとき、超伝導
薄膜電極パターンの無い部分には誘電率がほぼ1のギャ
ップ部分ができるが、超伝導薄膜電極の厚みが極薄い
(数百nm)ので特性上の影響は少ない。尚、誘電体基
板と同じ誘電率を有する誘電体材料を、超伝導薄膜電極
上にスパッタ法等で形成した後に平坦化研磨を行い、光
学的精度で基板を貼り合わせることにより、この影響を
除去することが可能である。
【0078】次に、貼り合わせた基板を再び分解し、ビ
アホール部分に、Cr/Auや、銅、銀等の常伝導金属
を薄膜形成した。別の方法としてビアホール内に超伝導
薄膜を形成しても良いし、或いは、導電性ペーストや導
電性樹脂等でビアホール内を充填しても良い。さらに
は、金属等の導電体や、超伝導体のロッドを挿入した
後、金属薄膜や導電性ペースト又は樹脂等で接続するこ
と等も可能である。このようにビアホール部分を加工し
た基板を再び貼り合わせてフィルタ結合線路ブロックを
形成し、更に、フィルタ結合線路ブロックを重ね合わせ
てフィルタブロックを形成する。隣接するフィルタ結合
線路ブロック間のビアホールの接続は接触だけでも充分
であるが、金属箔や導電性ペースト又は樹脂を用いれば
一層確実である。また、入力線路121a〜121d
と、第2出力結合線路120の基板端面部に側に金属薄
膜を蒸着形成し、押圧接触による入出力線路との接続を
確実ならしめた。この金属薄膜(蒸着膜)が無くても接
続が確実に行えるのであれば問題はない。
【0079】以上のようにして図3に示したような4チ
ャネルのフィルタを具備した超伝導フィルタ要素の寸法
は、1.5GHz用で、約65mmW×35mmD×4
mmtとなった。これを入出力コネクタが備えられたシ
ールドケース内に収納して断熱容器に実装して低温動作
フィルタ装置を製造した。冷凍機に接地して約70°K
で動作させたところ、従来の誘電体共振器フィルタ装置
以上の性能が得られた。冷凍器を含めたシステム全体の
寸法で比較すると、従来の同様な機能の誘電体共振器フ
ィルタ装置の約1/3の容積であり、大幅な小型化が実
現できた。また、挿入損失はチャネル当たり約10ワッ
トの信号入力に対して数ワット以下であり、消費電力が
従来より半分以下とかなり少ない。移動体通信基地局シ
ステムの送信部全体として、送信機の増幅器等の電力損
失を考慮しても、顕著な消費電力の低減が可能になる。
【0080】次に、上記実施例の変形例として、超伝導
フィルタ要素の他の構成例を図5に示す。この超伝導フ
ィルタ要素では、フィルタブロック(薄膜結合線路ま
で)と出力結合線路の部分とが分かれており、出力結合
線路を囲む誘電体の誘電率や厚さ(接地電極間の距離)
をフィルタブロックと異ならせることにより、特性イン
ピーダンスを入力線路等と等しく維持したままで出力結
合線路の幅を広くしている。
【0081】出力結合線路には、結合部で接続されてい
る複数の薄膜結合線路の信号電力の総和に等しい電力の
信号が流れる。従って、出力結合線路が薄膜結合線路と
同一幅である場合には、出力結合線路を流れる信号の電
流密度は薄膜結合線路に比べて数倍になる。これらの結
合線路が超伝導材料で形成される場合は、その線路の臨
界電流密度が、取り扱える最大信号電力を決定すること
となる。従って、この実施例のように出力結合線路の幅
を広げて、その線路を流れる信号の電流密度を下げるこ
とにより、超伝導フィルタ装置の取り扱える電力を大き
くすることが可能となる。
【0082】図5からわかるように、2本の薄膜結合線
路103a,103b(又は103c,103d)が第
1結合部108a(又は108c)で1本の出力結合線
路109a(又は109c)に合流しているので、出力
結合線路109a(又は109c)の周囲の誘電体の厚
さ、即ち、その上下の接地電極135の距離を薄膜結合
線路の周囲の誘電体に比べて大きく設計することができ
る。実際上、出力結合線路の上下の接地電極135の間
隔を、合流する薄膜結合線路2本分の上下の接地電極間
隔(即ち2つのフィルタ結合線路ブロック分の厚さ)に
等しくして、これに接合される出力結合線路109a、
109cとの寸法の整合性を実現することが出来る。こ
れは、出力結合線路の部分に使用する誘電体134の基
板厚さをフィルタブロックの部分に使用する誘電体10
4の基板厚さと異ならせることによって実現できる。フ
ィルタブロックの薄膜結合線路(第1結合部)の端面と
出力結合線路との接続は、押圧接触、ワイヤボンディン
グ、金属箔、銀ペースト、導電性樹脂等を用いて行うこ
とができる。
【0083】誘電体の材料を、例えばランタンアルミネ
ートやMgOのように酸化物高温超伝導薄膜を形成でき
る材料とすれば超伝導電極を形成できるので、大電力で
低損失を実現することができる。また、酸化物高温超伝
導薄膜の形成には余り適していない石英ガラス(誘電率
ε=3.5〜4.0)、サファイア(ε=8.6〜1
0.6)、アルミナ磁器(ε=8.0〜11.0)、ス
テアタイト磁器(ε=6.0〜7.0)、ポリ4フッ化
エチレン樹脂(ε=2.0)等を常伝導金属電極材料と
組み合わせて用いることも可能である。
【0084】以上の実施例において、入力線路、接地電
極、薄膜結合線路、出力結合線路、出力線路、ビアホー
ル等は、超伝導材料で形成することが好ましいが、損失
があまり問題にならない場合は、金、銀、銅、アルミニ
ウム、プラチナ等の常伝導金属材料で形成してもよい。
又、超伝導薄膜電極材料としては、タリウム−2212
相の高温酸化物超伝導薄膜材料に限らず、ビスマス系
や、イットリウム系の高温酸化物超伝導材料を用いるこ
ともできる。この場合には液体窒素温度での動作が可能
となる。或いは、液体ヘリウム温度(4.2°K)程度
で使用するのであれば、NbやNb−Ti、Nb3Sn
等の低温超伝導材料等を用いることも可能である。この
場合には、使用できる基板材料の選択肢が高温酸化物超
伝導薄膜材料の場合よりも多くなる。
【0085】次に、本発明の第3の実施例に係る低温動
作フィルタ装置のフィルタ要素を図6(a)及び(b)
に示す。図6(a)は平面図、図6(b)は断面図であ
る。超伝導フィルタ201はTl系超伝導体により形成
されたマイクロストリップライン型のものであり、2G
Hzで3dB帯域幅150KHzの特性を有し、MgO
基体202上に形成されている。一方、フィルタ接続部
を介して、4つの超伝導フィルタ1が5mm間隔で薄膜
型のジャンクションボックス203と接続され、ジャン
クションボックス203は基体202とは別のMgO基
体204上にTl系酸化物超伝導体(臨界温度110
K、臨界電流密度1.0×104A/cm2)205を薄
膜導体として形成されている。フィルタ要素はシールド
ケース内に収納され、断熱容器内に接地されて、冷凍機
により約80Kに冷却されている。基体202と基体2
04の素子形成面と反対の面には、Crを厚さ200オ
ングストローム(20nm)蒸着した上にAu10μm
を蒸着し、基体202と基体204ともベースメタル上
に密着して、同電位とし、接地電極と短絡される。超伝
導フィルタの伝送線路とジャンクションボックスの伝送
線路は、AuまたはAl線によりワイヤーボンディング
する。基体204の厚さは1.0mmで基体202の厚
さ0.5mmの2倍である。伝送線路の特性インピーダ
ンスは50Ωである。伝送線路の特性インピーダンスを
同一に設定する場合、基体の厚さと伝送線路幅はほぼ比
例関係にある。従って、ジャンクションボックス203
の伝送線路幅は、約0.95mmとなり、超伝導フィル
タの伝送線路幅約0.48mmの2倍となる。結果とし
て、臨界電流が2倍になるため、大パワーのマイクロ波
を扱うことができる超伝導フィルタ要素が形成できる。
【0086】周波数2GHz帯で電力1Wのマイクロ波
を入射した結果、ジャンクションボックス伝送線路にお
いて薄膜導体の酸化物超伝導体が超伝導特性を失うこと
はなく、低損失の伝送が確認できた。
【0087】なお、上記実施例では基体202の厚さと
基体204の厚さを異ならせたが、伝送線路を太く(伝
送導体の断面積を大きく)するために他の方法を用いて
もよい。例えば、基体204の誘電率を基体202の誘
電率より小さくする方法がある。具体的には、基体20
4として誘電率10のMgOを用い、基体202として
誘電率16のYAlO3、誘電率24のLaAlO3、誘
電率25のLaGaO 3またはNdGaO3を用いること
ができる。
【0088】なお、上記実施例ではTl系酸化物超伝導
体を薄膜導体として使用したが、酸化物超伝導体の種類
には特に制限はなく、Bi系、Y系など他の超伝導体で
代替可能である。特に、Bi2223相を利用すれば、
毒性が少なく、かつ、臨界温度が100Kを越えるため
冷凍機を高性能にする必要がない点で有利である。ま
た、薄膜導体として金、白金などの金属を用いてもよ
い。さらに、超伝導体と金属の積層体を線路に用いれ
ば、冷凍機が故障して超伝導体が超伝導特性を失って
も、金属により伝送が確保され素子が破壊されることが
ないので、超伝導フィルタ装置の安定性向上に有効であ
る。
【0089】また、上記実施例ではマイクロストリップ
ライン型の超伝導フィルタを用いたが、楕円型の超伝導
フィルタなど、他の型の超伝導フィルタを用いてもよ
い。特に、楕円型超伝導フィルタでは10Wを越える電
力のマイクロ波の共振が確認されており、これを用いれ
ば大電力のマイクロ波を扱うことができる超伝導フィル
タ装置を提供することができる。
【0090】また、上記実施例では、超伝導フィルタと
ジャンクションボックスの伝送線路導体の接続をワイヤ
ーボンディングにより行ったが、フィルムボンディング
や溶接などの方法でも問題ない。
【0091】次に、本発明の第4の実施例に係る低温動
作フィルタ装置のシールドケースブロックを図7に示
す。本実施例では、2つのシールドケース301,31
1を備えてシールドケースブロックを構成し、これらは
互いに接触した状態で冷却台306上に固定されてい
る。2つのシールドケース301,311及び冷却台3
06は、いずれも低温での熱伝導性が良い銅等の材料で
作られている。
【0092】第1のシールドケース301の中には4枚
の平面回路フィルタ303a〜303dと、それぞれの
冷却板304a〜304dとが交互に収納されている。
各平面回路フィルタ303a〜303dは、それぞれの
冷却板304a〜304dに面接触しており、平面回路
フィルタ及び冷却板の各セットは互いに平行に配置され
ている。4枚の平面回路フィルタ303a〜303dに
は超伝導材料からなるフィルタ電極302がそれぞれ備
えられ、各チャネルの周波数帯域に合わせて通過周波数
特性が少しずつ異なるように設計されている。また、冷
却板304a〜304d及びシールドケース301によ
って、各平面回路フィルタ303a〜303dは互い
に、かつ外部から遮蔽されている。
【0093】第2のシールドケース311の中には平面
型ジャンクションユニット(ジャンクションボックスに
相当する)307が収納されている。このジャンクショ
ンユニットは、基板上にストリップラインで形成された
線路長λ/4及びλ/2(λは中心波長)の枝線路30
7aで構成されている。平面回路フィルタ303a〜3
03dの信号出力線路305a〜305dと、枝線路3
07aの入力端部とは、接続端子部材308によって接
続されている。
【0094】ここで、平面回路型フィルタの共振要素の
寸法は動作原理上、半波長(電気長)より小さくするこ
とができないので、平面回路型フィルタを線路長λ/4
の枝線路と同一平面上で接続することは困難である。そ
こで、平面回路フィルタをほぼ平行に並べて、それらの
信号出力線路端部がほほ同一直線上に並ぶように配置
し、これに平面型ジャンクションユニット307を接続
する構成をとることにより、このような配置上の問題を
解決してシールドケースブロックの小型化に成功したの
である。
【0095】枝線路307aの出力端部はシールドケー
ス311に装着された出力コネクタ309に接続されて
いる。各平面型フィルタの入力端部はシールドケース3
01に装着されたSMA等のフィルタ入力コネクタに接
続されている。シールドケース301及び311の内部
は真空状態か、または、ヘリウム等のガスが充填された
状態で密閉されている。
【0096】以上のように構成された超伝導フィルタ装
置は、真空断熱容器内に封入されて冷却されながら動作
する。信号の入出力は真空断熱容器の壁面を貫通して取
り付けられた4個の信号入力コネクタと、1つのアンテ
ナ出力コネクタにより行われる。各チャネルの信号入力
コネクタとフィルタ入力コネクタとの間、および、出力
コネクタ309とアンテナ出力コネクタとの間は、セミ
リジッドケーブル等の同軸線路を用いて接続される。
【0097】次に、フィルタとジャンクションユニット
との接続部分の構造について説明する。シールドケース
301のシールドケース311側の側面には所定間隔で
貫通孔が4箇所形成され、この貫通孔に接続端子308
が圧入されている。この4つの接続端子308を介して
4個の平面回路フィルタ303a〜303dと1つのジ
ャンクションユニット307とが接続される。4つの接
続箇所のうちの1箇所について、図7の上面から見た模
式図を図8に、側面から見た模式図を図9にそれぞれ示
す。なお、図8及び図9においては、図7における平面
回路フィルタ303a〜303dを番号323で示して
いる。
【0098】図8及び図9からわかるように、接続端子
308はシールドケース301の貫通孔に圧入された絶
縁体321と、その中央部の貫通孔に圧入された接続導
体322とからなる。接続端子308の寸法は、その特
性インピーダンスが線路のインピーダンスに等しくなる
ように、そして、信号電流容量に基づいて設計される。
接続導体322は図10に示すように、円柱状の導電部
材の両端部が断面半円状に切削されて軸に平行な第1及
び第2の接触面326,328が形成された形状をして
いる。そして、第1接触面326と第2接触面328と
は直交している。このような角度に設定することによ
り、図8及び図9に示されているように、接続導体32
2の第1接触面326は平面回路フィルタ323の信号
出力線路325に面接触し、第2接触面328はジャン
クションユニット307(枝線路307a)の入力線路
327に面接触し、接続部での接続損失を低減すること
が可能な構成とすることができる。
【0099】また、平面回路フィルタ323の反対側の
面の接地電極324は前述したように冷却板と面接触し
てシールドケース301に接続している。同様に、ジャ
ンクションユニット307の反対側の面の接地電極32
9もシールドケース311に接続している。このよう
に、接続導体322の接触面326及び328がそれぞ
れの接続相手の線路と面接触することによってフィルタ
とジャンクションユニットとが接続されるので、大電流
を流すことができるとともに、反射損失を小さくするこ
とができる。
【0100】尚、接触面326及び328と線路との接
触部に、金属、超伝導体、導電性樹脂等の導電性材料を
充填すれば、さらに接触抵抗が下がり発熱が少なくな
る、その結果、超伝導電極の臨界電流密度の劣化が少な
くなる。また、半田付けや導電性樹脂等によって接続部
を固定すれば、機械的、電気的な安定度が向上する。
【0101】上記実施例の説明において、フィルタ電極
が超伝導薄膜材料からなることを述べたが、他の導体材
料については、超伝導材料で構成してもよく、また、
銅、金、銀等の常伝導金属等で構成してもよいのはいう
までもない。
【0102】次に、上記実施例に関する製造方法の一例
を説明する。この例では、超伝導薄膜材料として酸化物
高温超伝導材料を用いる。また、誘電体基板の材料とし
てランタンアルミネート(LaAlO3、格子定数:a
軸5.365オングストローム、c軸13.11オング
ストローム、誘電率約24)を用い、この両面に超伝導
薄膜電極材料としてタリウム−2212相(臨界温度〜
110K)の高温酸化物超伝導薄膜材料を形成した。こ
れに公知の加工技術による加工を施してフィルタ電極又
は枝線路を一方の面に形成し、平面回路フィルタとジャ
ンクションユニットとを作製した。他方の面はいずれも
そのままで接地電極として用いた。
【0103】作製した4個の平面回路フィルタを冷却板
及び接続端子が装着されたシールドケース301に実装
し、それぞれの接地電極が冷却板に面接触する状態で固
定した。このとき、各接続端子308の接続導体322
の第1接続面328は、図8に示すように、それぞれの
平面回路フィルタ323の信号出力線路325と面接触
する。
【0104】その後、ジャンクションユニット307を
シールドケース311に組み込み、ジャンクションユニ
ット307の各入力線路327が各接続導体322の第
2接触328と面接触するようにしてシールドケース3
11をシールドケース301に固定して、シールドケー
スブロックを作製した。入力線路327と第2接触部3
28との間に隙間ができた場合には、隙間がごく僅かで
あれば静電結合により信号が十分に伝達されるので大し
た問題にはならないが、若干の反射損失が発生する。こ
の場合、隙間に金属箔を挟むか、又は、ジャンクション
ユニット307の接地電極329とシールドケース30
2の接触面との間に金属箔を挿入することにより、反射
損失や、挿入損失特性を改善することができる。或い
は、シールドケース311の接地電極329との接触面
と、接続導体322の第2接触面328との相対距離
(高さ方向)を調節できる機構を備えれば一層好まし
い。
【0105】以上のようにして製造した4チャネルの超
伝導フィルタを備えるシールドケースブロックの寸法
は、1.5GHz用で、約110mmW×50mmD×
40mmHとなった。このシールドケースブロックを、
入出力コネクタを有する断熱容器内の冷却板に設置して
低温動作フィルタ装置を作製し、これを冷凍機に装着し
て約70Kで動作させたところ、従来以上の性能が得ら
れることを確認した。冷凍機を含めたフィルタシステム
全体の寸法で比較すると、従来の同様な機能の誘電体共
振器フィルタ装置の約1/3の容積で、大幅な小型化が
実現できた。また、挿入損失についても、チャネル当た
り約10ワットの信号出力に対して数ワット以下と、従
来より1桁程度少ない消費電力となっている。移動体通
信基地局システムの送信部全体として、増幅器等の電力
損失を含めても大幅な消費電力低減が可能となった。
【0106】尚、上記実施例の説明において、超伝導薄
膜電極材料としてタリウム−2212相の高温酸化物超
伝導薄膜材料を、誘電体基板材料としてランタンアルミ
ネートを挙げたが、本発明はこれらに限定されるわけで
はなく、ビスマス系やイットリウム系、タリウム系とい
った高温酸化物超伝導材料を用いることもできる。この
場合は、液体窒素温度での動作が可能となる。或いは、
液体ヘリウム温度(4.2K)程度で使用するのであれ
ば、NbやNb−Ti、Nb3Sn等の低温超伝導 材料
を用いることも可能である。この場合、使用できる基板
材料の選択肢が、高温酸化物超伝導薄膜材料の場合より
多くなる。次に、本発明の第5の実施例に係る低温動作
フィルタ装置のジャンクションボックスの平面模式図を
図11に示す。0.5mm厚のMgO基体405の一端
に、超伝導フィルタなどの小型マイクロ波フィルタ(2
GHz)の出力接続部401、402、403、404
が直線上に5mmの等間隔で順番に設けられている。M
gO基体405の上には、フィルタ出力接続部401、
402の双方から距離λ/4だけ離れた位置に第1の合
波点406が設けられ、フィルタ出力接続部401、4
02と第1の合波点406とによって第1の二等辺三角
形構造が形成されている。また、MgO基体405の上
には、フィルタ出力接続部403、404の双方から距
離λ/4だけ離れた位置に第2の合波点407が設けら
れ、フィルタ出力接続部403、404と第2の合波点
407とによって第2の二等辺三角形構造が形成されて
いる。また、MgO基体405の上には、第1及び第2
の合波点406、407の双方から距離λ/2だけ離れ
た位置に第3の合波点408が設けられ、第1及び第2
の合波点406、407と第3の合波点408とによっ
て第3の二等辺三角形構造が形成されている。ここで、
λはフィルタの平均共振周波数における電気長での波長
である。MgOの誘電率は10であるので、2GHzの
マイクロ波の場合、λは約47mmとなる。フィルタ出
力接続部401、402、403及び404と、第1、
第2及び第3の合波点406、407及び408とは、
同一幅の分岐線路409によって接続されている。分岐
線路409の特性インピーダンスが50Ωの場合、分岐
線路409の幅は約0.48mmとなる。
【0107】同一のMgO基体405の上には、上記し
た3つの二等辺三角形からなる構造が2組形成され、第
3の合波点408は長さλ/2の分岐線路409によっ
て接続されている。分岐線路409はすべて、2μm厚
の薄膜状Tl系酸化物超伝導体(臨界温度110ケルビ
ン、臨界電流密度1.0×104 A/cm2 )によって
形成されており、ジャンクションボックスとフィルタ
は、シールドケースに組み込まれて断熱容器内に設置さ
れて、低温動作フィルタ装置を構成され、冷凍機によっ
て約80ケルビンに冷却される。
【0108】電力が1Wで、周波数が2GHz帯のマイ
クロ波を入射した結果、小型の冷凍機を用いて低損失の
共用伝送が可能であることが確認された。本実施例のジ
ャンクションボックスの構成によれば、フィルタ出力接
続部401、402、403及び404が直線上に等間
隔で設けられているため、フィルタ出力接続部401、
第1の合波点406及び第3の合波点408は同一直線
上に乗り、同様に、フィルタ出力接続部404、第2の
合波点407及び第3の合波点408も同一直線上に乗
る。従って、第1及び第2の合波点406、407にお
ける分岐線路409の折れ曲がりによる輻射損失が抑え
られる。
【0109】本実施例のジャンクションボックスは、上
記した3つの二等辺三角形を基本とした構造を有してい
るため、同一平面上に形成することが可能となる。そし
て、この構成を採用すれば、同一基体上に形成された薄
膜の形態によってジャンクションボックスを実現するこ
とが可能となり、薄膜型のマイクロ波フィルタと接続す
ることが容易となる。また、伝送線路を従来よりも短く
することが可能となり、損失の少ないジャンクションボ
ックスを実現することが可能となる。
【0110】尚、本実施例においては、フィルタ出力接
続部401、402、403及び404がMgO基体4
05の一端に等間隔で並び、かつ、分岐線路長が1段目
でλ/4、2段目でλ/2である場合を例に挙げて説明
しているが、必ずしもこの構成に限定されるものではな
い。例えば、分岐線路長が1段目で(2n+1)λ/
4、2段目で(m+1)λ/2となり、かつ、フィルタ
出力接続部が等間隔で並んでいない場合であっても、上
記のように3つの二等辺三角形構造を用いることによ
り、同一基体上に形成された薄膜の形態によってジャン
クションボックスを実現することができ、同様の特性を
有するジャンクションボックスを実現することができ
る。ここで、n、mは0又は自然数である。n、mが0
でない構成は、2GHz以上の高周波のマイクロ波を扱
う場合や、誘電率の大きい基体を用いる場合など、伝送
線路長が短くなりすぎて、作製が困難となる場合に有効
である。
【0111】また、本実施例は4つのフィルタ出力接続
部を有する構成が2つ並んだ場合であるが、必ずしもこ
の構成に限定されるものではない。例えば、フィルタ出
力接続部が3つであってもよい。上記構成が3つ以上並
んだ構成の場合は、第3の合波点408をさらに長さ
(l+1)λ/2の伝送線路によって接続すればよい。
但し、lは0又は自然数である。
【0112】次に、本発明の第6の実施例に係る低温動
作フィルタ装置のジャンクションボックスの平面模式図
を図12に示す。本実施例におけるジャンクションボッ
クスは、前述の実施例と異なり、フィルタ出力接続部4
22が、直線上ではなく、合波点421を中心とした半
径がλ/4の長さを有する円弧上に並んだ構造を有して
いる。
【0113】MgO基体405の上には、合波点421
を中心とした円弧上に4つのフィルタ出力接続部422
が5mm間隔で並べられている。各々のフィルタ出力接
続部422は、約0.48mmの幅を有する分岐線路4
23によって合波点421と接続され、扇型構造が形成
されている。
【0114】同一のMgO基体405の上には、上記し
た扇型構造が2組形成され、長さλ/2の分岐線路42
3と同一幅の分岐線路によって接続されている。分岐線
路423の材質、マイクロ波周波数などのその他の条件
は、前述の実施例の場合と同様である。
【0115】なお、図12に示すように、本実施例の基
体405は各フィルタ出力接続部422を結ぶ円弧状の
輪郭を有しているが、基体の外形をこのような外形に限
る必要はない。機能上、各フィルタ出力接続部422に
おいて極端なインピーダンス変化を生じないような信号
接続が実現できればよいのであり、例えば、各フィルタ
出力接続部422の点において分岐線路423にほぼ直
交する平面で基体405が切り取られているような基体
形状としてもよい。このような基体形状では、各フィル
タ出力接続部422の点において分岐線路423に接続
されるフィルタ出力線路の接続端部の接地電極端面を平
面形状とすることが可能となるため、製造が容易であ
る。
【0116】なお、フィルタ出力接続部422とフィル
タ出力線路との接続は、金箔や、銅箔、或は、金線やA
l−Si線等のワイヤーボンディングで行う。ジャンク
ションボックスとフィルタの接地電極間の接続は、金箔
や、銅箔を銀ペースト等を用いて両者に接着することに
より行うことが確実であるが、それらを埋設するシール
ドケースを接続することにより行うことも簡便な方法で
ある。
【0117】前述の実施例と同様に、本実施例のジャン
クションボックスを用いて低温動作フィルタ装置を作製
し、小型の冷凍機を用いて約80ケルビンに冷却して、
電力が2Wで、周波数が2GHz帯のマイクロ波を入射
した結果、低損失の共用伝送が可能であることが確認さ
れた。
【0118】本実施例の扇型を基本としたジャンクショ
ンボックスの構成によれば、上記第1の実施例と同様
に、ジャンクションボックスを同一平面上に構成するこ
とができ、同一基体上に形成された薄膜の形態によって
ジャンクションボックスを実現することが可能となる。
また、フィルタとの接続点を扇型構造にしたことによ
り、フィルタ出力接続部422の数を増やすことが容易
であるので、複数のフィルタ出力接続部422から同時
に一つの合波点421への合成が可能となり、極めて低
損失でコンパクトなジャンクションボックスを実現する
ことができる。
【0119】本実施例のジャンクションボックスの構成
では、扇型構造を採用したことにより、フィルタ出力接
続部間に十分なスペースが確保されるため、フィルタ
を、ジャンクションボックスと同一の基体上に容易に構
成することができる。従って、この場合、フィルタとし
ては、超伝導フィルタなどの薄膜の形態によって構成さ
れる小型フィルタを利用するのが好ましい。
【0120】尚、本実施例におけるジャンクションボッ
クスは分岐線路長がλ/4とλ/2であるが、必ずしも
この構成に限定する必要はない。例えば、前述の実施例
と同様に、それぞれ(2n+1)λ/4、(m+1)λ
/2の長さを有する分岐線路を用いてもよい。但し、
n、mは自然数である。
【0121】また、本実施例のジャンクションボックス
は扇型構造が2つ接続された構成であるが、扇型構造の
数は3つ以上であっても構わない。また、前述の実施例
及び本実施例におけるジャンクションボックスは、分岐
線路としてTl系超伝導体を使用しているが、必ずしも
これに限定されるものではなく、金、白金、銅、銀等の
金属を用いることも可能である。また、分岐線路として
酸化物超伝導体を使用する場合、その種類は特に制限さ
れるものではなく、Bi系、Y系など、Tl系以外の超
伝導体を使用することもできる。特に、Bi 2Sr2Ca
2Cu310+xを利用すれば、毒性が少なく、かつ、臨界
温度は100ケルビンを超えるため、冷凍機を大型化す
る必要はない。また、分岐線路として超伝導体と金属と
の積層体を使用すれば、冷凍機のトラブル等によって超
伝導体が超伝導性を失っても金属によって伝送が確保さ
れ、機能が完全に失われることはないので、ジャンクシ
ョンボックスの安定性が向上する。
【0122】また、ジャンクションボックスの基体に用
いる材料はMgOに限るわけではなく、例えば、LaA
lO3 やSrTiO3 、LaGaO3 、NdGaO3
どを使用することができる。LaAlO3 を使用すれ
ば、酸化物超伝導体からなる分岐線路との格子定数の不
整合が小さいため、分岐線路(酸化物超伝導体)の結晶
性が向上する。その結果、臨界温度、臨界電流密度が向
上し、冷凍機のパワーを低減することが可能になると共
に、大パワーのマイクロ波を扱うことも可能になる。同
様の効果は、SrTiO3 、LaGaO3 、NdGaO
3 を使用した場合にも得られる。特にSrTiO3 を使
用すれば、誘電率が310と大きいために、ジャンクシ
ョンボックスのさらなる小型化を図ることができる。
【0123】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、低損失
かつ高出力で、温度安定性及び周波数特性に優れた小型
の低温動作フィルタ装置を提供することができる。特
に、超伝導材料を用いた薄膜技術によって共振器フィル
タとジャンクションボックスに相当する部分とを一体化
した低損失、小型、高Q値、高出力の超伝導フィルタ要
素を用いることにより、一層の小形化、高性能化が図ら
れる。また、超伝導薄膜材料でフィルタ電極を形成した
複数の平面回路フィルタとジャンクションユニットとを
立体的に配置することにより、冷却効率に優れた小形か
つ低損失の低温動作フィルタ装置を実現することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1の実施例に係る低温動作フィルタ装
置の全体構成を示す一部切欠き斜視図
【図2】図1の低温動作フィルタ装置を構成するシール
ドケースブロックの具体例を示す一部切欠き斜視図
【図3】本発明の第2の実施例に係る低温動作フィルタ
装置の超伝導フィルタ要素を側面からみた断面を模式的
に示す図(図4のB−B断面)
【図4】図3の超伝導フィルタ要素を上面からみた断面
を示す図(図3のA−A断面)
【図5】超伝導フィルタ要素の他の構成例を示す側断面
模式図
【図6】本発明の第3の実施例における超伝導フィルタ
要素の概略図であって、(a)は平面図、(b)は断面
【図7】本発明の第4の実施例に係る低温動作フィルタ
装置のシールドケースブロックの一部切欠き斜視図
【図8】図7のシールドケースブロックのフィルタとジ
ャンクションユニットとの接続部分の平面模式図
【図9】図8の接続部分の側面模式図
【図10】接続端子を構成する接続導体の斜視図
【図11】本発明の第5の実施例に係る低温動作フィル
タ装置のジャンクションボックスの平面模式図
【図12】本発明の第6の実施例におけるジャンクショ
ンボックスの平面模式図
【図13】従来例の電力用フィルタ装置の一例を示す構
成図
【符号の説明】
1 シールドケースブロック 1a 円筒状部材 2a 信号入力部 2b 信号出力部 3 冷却板 4 断熱容器 5 熱伝導部 6 低温部 7a,7b ケーブル 8a 入力端子 8b 出力端子 9 断熱部材 10 閉空間 11 フィルタ要素 12 誘電体基板 13 薄膜電極 22a 信号入力線路 22b 信号出力線路 31 移動子 32 摺動部 33 螺旋溝 34 螺子部 35 外力伝達部 36 接地棒 37 誘電体ブロック 101a,101b,101c,101d 超伝導フィ
ルタ電極 102a,102b,102c,102d 出力端 103a,103b,103c,103d 薄膜結合線
路 104 誘電体 105 接地電極 106a,106b,106c,106d フィルタ結
合線路ブロック 107a,107c,117 ビアホール 108a,108c,118 結合部 109a、109c,120 出力結合線路 121a,121b,121c,121d 入力線路 201 超伝導フィルタ 202 第1の基体 203 ジャンクションボックス 204 第2の基体 205 酸化物超伝導体 301,311 シールドケース 302 フィルタ電極 303a,303b,303c,303d,323 平
面回路フィルタ 304a,304b,304c,304d 冷却板 305a,305b,305c,305d 信号出力線
路 306 冷却台 307 ジャンクションユニット 307a 枝線路 308 接続端子 309 出力コネクタ 321 絶縁体 322 接続導体 324,329 接地電極 325 信号出力線路 326 第1接触面 327 入力線路 328 第2接触面 401,402,403,404,422 フィルタ出
力接続部 405 基体 406 第1の合波点 407 第2の合波点 408 第3の合波点 409,423 分岐線路 421 合波点
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H05K 9/00 ZAA H05K 9/00 ZAAK (31)優先権主張番号 特願平7−136525 (32)優先日 平7(1995)6月2日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平7−136526 (32)優先日 平7(1995)6月2日 (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (37)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 信号入力部及び出力部を有し、これらの
    間に接続されたフィルタ要素を収納した閉空間を有する
    シールドケースブロックと、このシールドケースブロッ
    クを収納する断熱容器と、この断熱容器内に配置された
    冷却板とを備え、前記シールドケースブロックが前記冷
    却板に熱接触固定されていることを特徴とする低温動作
    フィルタ装置。
  2. 【請求項2】 前記シールドケースブロックが複数の信
    号入力部及び出力部を有し、少なくとも1つの閉空間を
    有する複数のシールドケースが集合して前記シールドケ
    ースブロックを構成している請求項1記載の低温動作フ
    ィルタ装置。
  3. 【請求項3】 前記フィルタ要素の基板上に接合され又
    は基板内部に埋設された配線部材を介して前記フィルタ
    要素の信号入力線路及び出力線路が前記シールドケース
    ブロックの信号入力部及び出力部に接続されている請求
    項1記載の低温動作フィルタ装置。
  4. 【請求項4】 前記閉空間が真空状態に保持されている
    請求項1〜3のいずれか1項記載の低温動作フィルタ装
    置。
  5. 【請求項5】 前記閉空間が乾燥したヘリウム、ネオ
    ン、又はこれらの混合ガスで充填されている請求項1〜
    3のいずれか1項記載の低温動作フィルタ装置。
  6. 【請求項6】 前記閉空間が乾燥したアルゴン、窒素、
    酸素、又はこれらの混合ガスで充填されている請求項1
    〜3のいずれか1項記載の低温動作フィルタ装置。
  7. 【請求項7】 平面状の各フィルタ要素がほぼ平行に配
    置され、各フィルタ要素の面にほぼ平行な軸を有する円
    筒状の孔が前記シールドケースブロックの外部から内部
    へ貫通するように設けられ、前記円筒状孔の内周面の少
    なくとも一部に形成された螺旋溝に螺合する螺子部を有
    し回転による螺子送りによって前記円筒状孔の軸方向に
    移動する移動子が備えられ、この移動子の外端部には移
    動子に回転力を与えるための外力伝達部が設けられ、内
    端部には前記閉空間の容積を変化させる導電体の接地棒
    が設けられている請求項1〜6のいずれか1項記載の低
    温動作フィルタ装置。
  8. 【請求項8】 前記接地棒の先端に誘電体膜、又は誘電
    体ブロックが固定されている請求項7記載の低温動作フ
    ィルタ装置。
  9. 【請求項9】 前記フィルタ要素が誘電体基板上に形成
    された薄膜電極から構成されている請求項1〜8のいず
    れか1項記載の低温動作フィルタ装置。
  10. 【請求項10】 前記薄膜電極が超伝導材料からなる請
    求項9記載の低温動作フィルタ装置。
  11. 【請求項11】 前記超伝導材料が高温酸化物超伝導材
    料からなる請求項10記載の低温動作フィルタ装置。
  12. 【請求項12】 前記断熱容器の内部が真空状態に保持
    されている請求項1〜11のいずれか1項記載の低温動
    作フィルタ装置。
  13. 【請求項13】 前記冷却板は、前記シールドケースブ
    ロックからの熱を断熱容器の外部に伝導するための熱伝
    導部に接続されている請求項1〜12のいずれか1項記
    載の低温動作フィルタ装置。
  14. 【請求項14】 前記断熱容器の内部に冷媒を充填して
    冷却板及びシールドケースブロックを冷却する請求項1
    〜11のいずれか1項記載のフィルタ装置。
  15. 【請求項15】 前記外力伝達部を前記断熱容器の外部
    から回転駆動する駆動手段がさらに備えられている請求
    項7項記載の低温動作フィルタ装置。
  16. 【請求項16】 信号入力部及び出力部を有し、これら
    の間に接続されたフィルタ要素を収納した閉空間を有す
    るシールドケースブロックと、このシールドケースブロ
    ックを収納する断熱容器と、この断熱容器内に配置され
    た冷却板とを備え、前記シールドケースブロックが前記
    冷却板に熱接触固定されている低温動作フィルタ装置で
    あって、 前記フィルタ要素は、超伝導薄膜からなるフィルタ電極
    と、その出力端と同一平面上に形成されて接続された長
    さが(2m+1)λ/4(但しmは0又は自然数、λは
    信号の波長)の薄膜結合線路とを誘電体を介して2枚の
    接地電極で挟んでフィルタ結合線路ブロックを構成し、
    複数の前記フィルタ結合線路ブロックを積層してフィル
    タブロックを構成し、その積層方向に延びる導電接続手
    段によって各フィルタ結合線路ブロックの薄膜結合線路
    のフィルタ電極側とは異なる側の端部を接続して結合部
    を形成し、その結合部に前記薄膜結合線路と同一の特性
    インピーダンスを有する出力結合線路を接続した構造を
    有することを特徴とする低温動作フィルタ装置。
  17. 【請求項17】 フィルタ電極が酸化物超伝導薄膜で構
    成されている請求項16記載の低温動作フィルタ装置。
  18. 【請求項18】 フィルタ電極が酸化物超伝導薄膜と、
    その表面に形成された金属薄膜とで構成されている請求
    項16記載の低温動作フィルタ装置。
  19. 【請求項19】 フィルタブロックが複数のフィルタ結
    合線路ブロックからなる複数のグループに分けられ、各
    グループごとに、積層方向に延びる第1導電接続手段に
    よって各薄膜結合線路の他端側が接続されて第1結合部
    が形成され、その第1結合部に前記薄膜結合線路と同一
    の特性インピーダンスを有する長さnλ/2(但しnは
    自然数、λは信号の波長)の第1出力結合線路が接続さ
    れ、積層方向に延びる第2導電接続手段によって各グル
    ープの第1出力結合線路の他端側が接続されて第2結合
    部が形成され、その第2結合部に前記第1出力結合線路
    と同じ特性インピーダンスを有する第2出力結合線路が
    接続されている請求項16〜18のいずれか1項記載の
    低温動作フィルタ装置。
  20. 【請求項20】 出力結合線路を囲む誘電体の誘電率又
    は厚さのうち少なくとも一つをフィルタブロックと異な
    らせることにより、所定の特定インピーダンスを維持し
    たままで出力結合線路の幅を広くしている請求項16〜
    19のいずれか1項記載の低温動作フィルタ装置。
  21. 【請求項21】 信号入力部及び出力部を有し、これら
    の間に接続されたフィルタ要素を収納した閉空間を有す
    るシールドケースブロックと、このシールドケースブロ
    ックを収納する断熱容器と、この断熱容器内に配置され
    た冷却板とを備え、前記シールドケースブロックが前記
    冷却板に熱接触固定され、 前記フィルタ要素は、基体A上に形成された超伝導薄膜
    からなる超伝導フィルタと、前記基体Aとは別の基体B
    上に形成された薄膜導体からなるジャンクションボック
    スとが接続されて構成されている低温動作フィルタ装置
    であって、 前記ジャンクションボックスを構成する伝送線路導体
    が、前記超伝導フィルタを構成する伝送線路と同一の特
    性インピーダンスを有し、かつ、前記ジャンクションボ
    ックスを構成する伝送線路の断面積が前記超伝導フィル
    タの伝送線路導体の断面積より大きいことを特徴とする
    低温動作フィルタ装置。
  22. 【請求項22】 基体Bが基体Aより厚いことを特徴と
    する請求項21記載の低温動作フィルタ装置。
  23. 【請求項23】 基体Bの誘電率が基体Aの誘電率より
    小さいことを特徴とする請求項21記載の低温動作フィ
    ルタ装置。
  24. 【請求項24】 薄膜導体が酸化物超伝導体であること
    を特徴とする請求項21〜23のいずれか1項記載の低
    温動作フィルタ装置。
  25. 【請求項25】 薄膜導体が金属であることを特徴とす
    る請求項21〜23のいずれか1項記載の低温動作フィ
    ルタ装置。
  26. 【請求項26】 薄膜導体が酸化物超伝導体と金属の積
    層構造からなることを特徴とする請求項21〜23のい
    ずれか1項記載の低温動作フィルタ装置。
  27. 【請求項27】 信号入力部及び出力部を有し、これら
    の間に接続されたフィルタ要素を収納した閉空間を有す
    るシールドケースブロックと、このシールドケースブロ
    ックを収納する断熱容器と、この断熱容器内に配置され
    た冷却板とを備え、前記シールドケースブロックが前記
    冷却板に熱接触固定され、 前記フィルタ要素は、超伝導薄膜のフィルタ電極材料か
    らなる平面回路フィルタを複数個集積したフィルタ集合
    体と、基板上に形成された枝線路で構成されたジャンク
    ションボックスとが複数の接続端子で接続され、共通の
    冷却面に接触するように固定されて構成されている低温
    動作フィルタ装置であって、 前記ジャンクションボックスは、それを含む平面と各平
    面回路フィルタの面とが交わるように配置され、各接続
    端子は、前記平面回路フィルタの面に平行な第1接触面
    を一端側に有し、前記ジャンクションボックスの面に平
    行な第2接触面を他端側に有する接続導体を含んでいる
    ことを特徴とする低温動作フィルタ装置。
  28. 【請求項28】 ジャンクションボックスが、それを含
    む平面と各平面回路フィルタの面とがほぼ直交するよう
    に配置され、各接続端子の第1接触面と第2接触面とが
    ほぼ直交している請求項27記載の低温動作フィルタ装
    置。
  29. 【請求項29】 第1接触面が各平面回路フィルタのフ
    ィルタ電極に面接触していると共に、第2接触面が前記
    ジャンクションボックスの枝線路に面接触している請求
    項27又は28記載の低温動作フィルタ装置。
  30. 【請求項30】 第1接触面と各平面回路フィルタのフ
    ィルタ電極との間、及び、前記第2接触面と前記ジャン
    クションボックスの枝線路との間の少なくともいずれか
    に、金属、超伝導体、導電性樹脂等の導電性材料が介装
    されている請求項27〜29のいずれか1項記載の低温
    動作フィルタ装置。
  31. 【請求項31】 信号入力部及び出力部を有し、これら
    の間に接続されたフィルタ要素を収納した閉空間を有す
    るシールドケースブロックと、このシールドケースブロ
    ックを収納する断熱容器と、この断熱容器内に配置され
    た冷却板とを備え、前記シールドケースブロックが前記
    冷却板に熱接触固定されている低温動作フィルタ装置で
    あって、 前記フィルタ要素に含まれるジャンクションボックス
    が、順番に並んだ4つのフィルタ出力接続部A、B、C
    及びDと、前記フィルタ出力接続部A、Bの双方から距
    離(2n+1)λ/4だけ離れた第1の合波点Eと、前
    記フィルタ出力接続部C、Dの双方から距離(2n+
    1)λ/4だけ離れ、かつ、前記フィルタ出力接続部
    A、Bと前記第1の合波点Eとにより形成される平面上
    に存在する第2の合波点Fと、前記第1及び第2の合波
    点E、Fの双方から距離(m+1)λ/2だけ離れ、か
    つ、前記平面上に存在する第3の合波点Gとを備え、前
    記フィルタ出力接続部A、B、C及びDから選ばれる少
    なくとも3つのフィルタ出力接続部と前記第1、第2及
    び第3の合波点E、F及びGとを、基体上に付着した薄
    膜の形態を有し、かつ、同一の特性インピーダンスを有
    する直線の分岐線路によって接続した構造を少なくとも
    1つ備えた構成であることを特徴とする低温動作フィル
    タ装置(但し、λはフィルタの平均共振周波数における
    電気長での波長であり、n及びmは0又は自然数であ
    る)。
  32. 【請求項32】 フィルタ出力接続部A、B、C及びD
    が直線上に等間隔で並び、前記フィルタ出力接続部Aと
    第1の合波点Eを結ぶ直線と、前記フィルタ出力接続部
    Dと第2の合波点Fを結ぶ直線とが交差する位置が第3
    の合波点Gであることを特徴とする請求項31記載の低
    温動作フィルタ装置。
  33. 【請求項33】 信号入力部及び出力部を有し、これら
    の間に接続されたフィルタ要素を収納した閉空間を有す
    るシールドケースブロックと、このシールドケースブロ
    ックを収納する断熱容器と、この断熱容器内に配置され
    た冷却板とを備え、前記シールドケースブロックが前記
    冷却板に熱接触固定されている低温動作フィルタ装置で
    あって、 前記フィルタ要素に含まれるジャンクションボックス
    が、円弧上に並んだ少なくとも2つのフィルタ出力接続
    部と、前記円弧の中心とを、基体上に付着した薄膜の形
    態を有し、かつ、同一の特性インピーダンスを有する長
    さ(2n+1)λ/4の直線の分岐線路によって接続し
    た扇型構造を少なくとも1つ備えた構成であることを特
    徴とする低温動作フィルタ装置(但し、λはフィルタの
    平均共振周波数における電気長での波長であり、nは0
    又は自然数である)。
  34. 【請求項34】 扇型構造を同一平面上に少なくとも2
    つ備え、前記扇型構造の円弧の中心を、基体上に付着し
    た薄膜の形態を有し、かつ、同一の特性インピーダンス
    を有する長さ(m+1)λ/2の直線の分岐線路によっ
    て接続した構造を少なくとも1つ備えた請求項33記載
    の低温動作フィルタ装置(但し、mは0又は自然数であ
    る)。
  35. 【請求項35】 分岐線路が酸化物超伝導体からなる請
    求項31〜34のいずれか1項記載の低温動作フィルタ
    装置。
  36. 【請求項36】 分岐線路が金属からなる請求項31〜
    34のいずれか1項記載の低温動作フィルタ装置。
  37. 【請求項37】 分岐線路が酸化物超伝導体と金属との
    積層体からなる請求項31〜34のいずれか1項記載の
    低温動作フィルタ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024038806A1 (ja) * 2022-08-16 2024-02-22 国立研究開発法人理化学研究所 超伝導受動素子、超伝導受動素子の製造方法、およびその受動素子を含む機器

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WO2024038806A1 (ja) * 2022-08-16 2024-02-22 国立研究開発法人理化学研究所 超伝導受動素子、超伝導受動素子の製造方法、およびその受動素子を含む機器

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