【発明の詳細な説明】
樹脂ブレンドの水ベースビニルコーティング組成物およびその使用
発明の分野
本発明は、修飾エポキシ樹脂を有する樹脂ブレンドにおけるビニル(アクリル
)樹脂およびその使用に関する。本発明の有用性は、缶またはコイルのコーティ
ングに非常に適切であると見出されている、樹脂ブレンドの水ベースコーティン
グ組成物に関する。
発明の背景
特に缶コーティングの領域において、食品および飲料工業における使用が意図
されるコーティングは、一般に市販により受容可能となるための多くの必要性を
満たすことが予想される。このコーティングは、ベース金属に充分接着すべきで
あり、そして容器自体の処理に耐える柔軟特性、伸長特性、および接着特性を有
すべきである。コーティングはまた、ときには容器およびその内容物の処理の間
に遭遇し得る熱に耐え得るものでなければならない。さらに、コーティング自体
は、コーティングされた容器内に入れられる食品または飲料の味覚に影響を及ぼ
すべきでない。フィルムの連続性は、求められている別の特性であり、そしてこ
の必要性の1つの局面は、コーティングにより突起が形成されないことである。
突起形成(blistering)は、コーティング内にトラップされてなるコーティングの
硬化時のガス副生成物から生じる欠陥であり、そしてコーティングが比較的厚い
ようなコーティング領域と特に関連した問題である。突起形成の傾向があるコー
ティングには、最大の許容され得るコーティングの厚みがコーティングされる物
品の任意の部分を超えないことを確実にするために、コーティングの間に取られ
るべき特別な予防策が要求される。突起形成を含むことなく許容され得るコーテ
ィングの厚みについて、より大きな範囲が許容され得るか否かが所望されている
。耐突起形成はまた、(例えば、金属の連続したストリップをコーティングする
ための製造ラインロール上の)コーティングラインの速度に関連する。突起形成
は、実際に塗布されるコーティングの厚みにも関わらず、比較的突起形成のない
状態
の低い(low blister-free)厚みを有するコーティングを用いる高いライン速度に
より、誘発され得ることが見出された。従って、コーティングに対して、より高
いライン速度のために、突起形成のない状態のより高い厚みを有することが所望
されている。
好ましくは避けられる別の欠陥は白化である。この白化は、水の吸収により生
じると考えられているフィルム内のくもり(haziness)である。白化は、製缶プロ
セスの間に高温、高湿条件に曝される容器のコーティングで特に明らかである。
従来技術は、代表的には実質的に過剰量のアミンまたはアンモニアを用いて、
比較的低分子量を維持するために、本明細書中に含まれるタイプの水分散性組成
物の使用が意図されるエポキシ樹脂を脱官能基化していた。1:1に近い当量比を
用いることは、樹脂をゲル化する危険を伴い、コーティングの目的を無用にする
と考えられていた。しかし、このアプローチは、過剰のアミンまたはアンモニア
が続いて脱官能基化した生成物から生じる(drive)場合に、大気への放出を防ぐ
ための高価な捕集装置を必要としていた。
米国特許第4,605,476号(Hartら)は、エポキシ樹脂のブレンドを含有する、
水性缶コーティングを開示している。このブレンドは、アンモニアまたはアミン
、およびN-(アルコキシメチル)アクリルアミドまたはメタクリルアミドを取り
込み得るアクリル酸コポリマーで脱官能基化されている。モノアルコールは、ア
クリル酸成分の共重合溶媒として開示されている。これらのコーティングは、比
較的低いライン速度で受容可能な性能を提供するが、突起形成に対する感受性は
ライン速度の増大と共に増加する。より速いライン速度を含むコーティング塗布
条件におけるより大きな範囲(特に、改良された耐突起形成性)を提供すること
が所望されている。
米国特許第4,174,333号(Hartmanら)は、アンモニアまたはアミンで脱官能基
化され、そして無水物と反応したエポキシ樹脂を含有する水性の缶コーティング
を開示している。これらのコーティングは、上記特許に関して上述した同様の改
良点の利点を有する。
発明の要旨
従来技術は、本明細書中に開示されるタイプの水分散性コーティングに使用す
るポリエポキシドを脱官能基化するために実質的に過剰のアンモニアおよび/ま
たはアミンを用いていたが、本発明はエポキシ基の当量とアンモニアまたはアミ
ンの当量との比を1:1近くで用いている。この当量比は1:1.5から1.5:1、好ま
しくは1:1.3から1.3:1の範囲であり得る。これは、過剰のアミンまたはアンモ
ニアの発散が捕集される必要がある限界を実質的に減少させるだけでなく、脱官
能基化したエポキシを含有するコーティング組成物が、高温の処理条件に曝され
る場合に、改良された耐白化性および耐染色性を示すことが見出されている。さ
らに、これらのコーティングの金属基材への接着は、アルミニウム基材が代表的
に曝されるコーティング前の前処理(例えば、クロム化合物との前処理)が、本
発明のコーティングを用いる場合に、実施され得るという点で充分優れている。
本発明はさらに、必須のフィルム形成体(film-former)として、以下の樹脂ブ
レンドを含有するコーティング組成物を含む:
(i)5重量%〜95重量%の、(a)ポリエポキシドと(b)アミン、アンモニア、
およびそれらの混合物からなる群より選択されるメンバーとの反応生成物(ここ
で、(a)の当量と(b)の当量との比は1.5:1〜1:1.5の範囲である)、ならびに
(ii)約5重量%〜95重量%の、酸基含有モノマーから生成されたビニル付加
コポリマー。
本発明はまた、ポリエポキシドを脱官能基化する方法を包含し、以下の工程を
含む:ポリエポキシドを溶媒中に溶解する工程;およびアンモニア、アミン、ま
たはそれらの混合物をポリエポキシド溶液に導入して、少なくとも1時間の期間
で60℃未満の温度に維持しながらそれらを反応させる工程。このプロセスにより
、上記のほぼ1:1の比は、ゲル化することなく達成され得る。
特定のビニル付加コポリマーが、水性コーティング中で脱官能基化されたエポ
キシ樹脂とブレンドする場合に、耐突起形成に関する改良された範囲を提供する
ことが、さらに発見されている。これらの新規なビニル付加コポリマーは、酸基
含有モノマー、N-(アルコキシメチル)アクリルアミドまたはN-(アルコキシメ
チル)メタクリルアミドモノマーと、少なくとも1つの他のビニルモノマーとか
ら生成され、共重合は、ポリオールを含む溶媒の存在下で行われ、ここで、この
ポリオール分子は、異なる反応性を有するOH基を含有する。
さらに、コーティングの厚みの範囲の増加は、共重合がビニル付加コポリマー
のアクリルアミド基と反応性を示すアルコール溶媒の存在下で行われる場合に生
じる。ポリオールは、これに関してモノアルコールよりも実質的に反応性が高い
ことが見出されている。しかし、多くのポリオールは、この目的のために使用さ
れる場合、受容され得ない分子量の増加を生じ、いくつかの場合において、樹脂
を意図される目的に対して無用にさせるゲル化を生じることが見出されている。
ゲル化を避けるために、このポリオールはアクリルアミド基に対して異なる反応
性を有するOH基により特徴づけられるものである。言い換えれば、ポリオールは
一級OH基、二級OH基、または三級OH基の組合せを包含するが、2つまたはそれ以
上の一級OH基、2つまたはそれ以上の二級OH基、あるいは2つまたはそれ以上の
三級OH基を有する組合せは避けられる。
本発明はさらに、必須のフィルム形成体として、以下の樹脂ブレンド:
(i)約5重量%〜95重量%のアンモニアまたはアミン脱官能基化エポキシ;
ならびに
(ii)約5重量%〜95重量%の、酸基含有モノマー、N-(アルコキシメチル)
アクリルアミドまたはN-(アルコキシメチル)メタクリルアミドモノマーと、少
なくとも1つの他のビニルモノマーとから生成されるビニル付加コポリマー、を
含有するコーティング組成物を含み、この反応は、ポリオールを含む溶媒の存在
下で行われ、ここで、ポリオール分子は、異なる反応性を有するOH基を含有する
。
本発明はまたさらに、必須のフィルム形成体として、以下の樹脂ブレンドを含
有するコーティング組成物を含む:
(i)約5重量%〜95重量%のアンモニアまたはアミン脱官能基化エポキシ;
ならびに
(ii)約5重量%〜95重量%の、酸基含有モノマーと少なくとも1つの他のビ
ニルモノマーとから生成されたビニル付加コポリマー。
コーティングの塗布範囲の改良は、樹脂がビニル付加樹脂中に含まれる酸基を
むしろ完全に中和しないことによって水中に分散される場合、このタイプの組成
物を用いて見出されている。特に、これらの改良を、65%未満の中和、好ましく
は50%未満の中和で見出した。
上記およびこの記載を通じての重量%の値は、特に指示がない限り、全樹脂固
形分含量に関する樹脂固形分含量に基づく。
本発明の実施において、コーティング組成物は、さらにアミノプラスト、フェ
ノール樹脂、および/または尿素-ホルムアルデヒド樹脂のような硬化剤を含有
し得る。それから得られるコーティングは、優れたフィルム特性を有する連続フ
ィルムである。
発明の詳細な説明
ビニル付加樹脂
好適なビニル付加樹脂は、約5重量%〜約25重量%のα,β-エチレン性不飽和
カルボン酸と、約75重量%〜約95重量%の少なくとも1つの他の共重合可能なビ
ニルモノマーとの重合により形成され得る。得られるコポリマーは、約20〜約35
0、好ましくは約45〜約150の酸価を有する。好適なビニル付加樹脂は、約7%〜
約15%のα,β-エチレン性不飽和カルボン酸と約85%〜約93%の他の共重合可能
なビニルモノマーとから形成される。適切なα,β-エチレン性不飽和カルボン酸
の例としては、アクリル酸およびメタクリル酸のような3個〜8個の炭素原子を
含有するものが挙げられる。両方とも好ましい。イタコン酸、マレイン酸、フマ
ル酸、不飽和ジカルボン酸のモノエステル(例えば、メチル水素マレエートおよ
びエチル水素フマレート)ならびにそれらが存在する無水物のような酸も用いら
れ得る。
ビニル付加樹脂に対する他の共重合可能なビニルモノマーは、所望の特性に依
存して広範な材料から選択され得る。例えば、他の共重合可能なモノマーの少な
くとも一部分が、スチレン、α-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、ビニルト
ルエン、およびビニルキシレンのようなビニル芳香族化合物であり得る。このよ
うなモノマーは、これらの優れた耐水性および耐低温殺菌性のために好ましい。
用いられ得るさらなるモノマーは、アルキル基内に1個〜3個の炭素原子を含有
するメタクリル酸のアルキルエステルである。このようなエステルの具体的な例
としては、メチルメタクリレートおよびエチルメタクリレートがある。用いられ
得、そしてコーティングに対して柔軟性を提供するモノマーは、アルキル基内に
2個〜17個の炭素原子を有するアクリル酸のアルキルエステルおよびアルキル基
内に4個〜17個の炭素原子を有するメタクリル酸のアルキルエステルである。こ
のタイプのモノマーの例としては、エチルアクリレート、プロピルアクリレート
、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチル-ヘキシルアクリレー
ト、ブチルメタクリレート、2-エチル-ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタ
クリレート、およびステアリルメタクリレートがある。さらなる他のモノマーと
しては、エチレン、プロピレンなどのようなビニルモノマー、ビニルハライド、
ビニリデンハライド、ビニルバーサテート(vinyl versatate)、ビニルアセテー
ト、ジアルキルマレエート、アリルクロライド、アリルアルコール、1,3-ブタジ
エン、2-クロロブテン、メチルビニルエーテル、アクリルアミド、メタクリルア
ミド、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルが挙げられる。任意の上記
ビニルモノマーの混合物が用いられ得、そして好ましい。別々に形成されたビニ
ル付加樹脂の混合物がまた使用され得る。
さらに、モノマーは、ビニル付加コポリマー(copolymerization)内に含まれ得
る。ビニル付加コポリマー樹脂内に含まれる第3のモノマーの好適な例としては
、アルコキシ基内に1個〜4個の炭素原子を有するN-(アルコキシメチル)アク
リルアミドまたはN-(アルコキシメチル)メタクリルアミドがある。この群の好
適なメンバーとしては、N-(ブトキシメチル)アクリルアミドがある。他のメン
バーの例としては、N-(ブトキシメチル)メタクリルアミドおよびN-(エトキシ
メチル)アクリルアミドが挙げられる。これらのアクリルアミドモノマーは、代
表的にはモノマー混合物の10重量%〜50重量%の範囲の量で含有され得る。
上記ビニル付加樹脂は、溶液重合技術による共重合可能なアクリルモノマーの
混合物の重合を開始するフリーラジカルにより調製され得る。通常、モノマーは
、溶媒または溶媒混合物内に溶解され、そして遊離モノマーの含量を約0.5%未
満、好ましくは約0.1%未満まで減少させるまで重合される。フリーラジカル開
始剤の例としては、アゾビス(α-γ)-ジメチルバレロニトリル、t-ブチルパー
ベン
ゾエート、t-ブチルパーアセテート、およびベンゾイルパーオキシドが挙げられ
る。通常、溶媒はまず加熱により還流され、そしてモノマーとフリーラジカル開
始剤との混合物が同時かつ徐々に還流する溶媒に添加される。さらなる触媒が必
要に応じて添加され、そして反応混合物は、反応混合物の遊離モノマー含量を減
じるように重合温度で保持される。
共重合は、溶媒の存在下で行われる。塗布範囲における利点は、溶媒中にポリ
オールを含有することにより得られ得ることがまた発見された。ここで、このポ
リオール分子は種々の反応性を有するOH基を含有する。コーティングの厚みの範
囲の増大は、共重合が、好ましくはビニル付加コポリマー中に含まれるアクリル
アミド基と反応性を示すアルコール溶媒の存在下で行われる場合に生じることが
見出された。ポリオールは、これに関してモノアルコールよりも実質的により反
応性を示すことが見出された。しかし、多くのポリオールの使用は、受容され得
ない分子量の増加を導き、いくつかの場合においては、意図される目的に対して
樹脂を無用にさせるゲル化を生じる。
ゲル化を避けるために、この目的に有用なポリオールは、アクリルアミド基に
関して種々の反応性を有する(すなわち、一級OH基、二級OH基、または三級OH基
の組合せでなる分子構造を有するが、1つの分子上に2つまたはそれ以上の一級
OH基、2つまたはそれ以上の二級OH基、あるいは2つまたはそれ以上の三級基で
あることを避ける)OH基により特徴付けられるものである。好ましくは、ポリオ
ールは、1つの一級OH基と1つの二級OH基とを含有し、例としてはプロピレング
リコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-ブタンジオール、1,2-オクタンジオー
ル、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、および2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジ
オールが挙げられる。一級、二級、および三級アルコールの組合せを有する適切
なポリオールの例としては、3-メチル-1,2,3-ヘキサントリオールがある。
これらのポリオールの類似のより高い同族体の使用がさらに意図される。好ま
しくは、いくつかのモノアルコールではなく、上記で特徴付けられるポリオール
の1つまたはそれ以上からなる溶媒の全アルコール含量は、本発明の利点から著
しく逸脱することなく含有され得る。他の非アルコール溶媒は、ポリオールと混
合され得る。ポリオールと使用され得る非アルコール溶媒の例としては、アセト
ン、メチルエチルケトン、およびメチルイソブチルケトンのようなケトンが挙げ
られる。トルエンまたはキシレンのような穏やかなレベルの水不溶性溶媒がさら
に使用され得る。上記のような種々の反応性を示すOH基を有するポリオールは、
ビニル付加共重合の間に用いられる全溶媒の少なくとも5重量%、好ましくは少
なくとも20重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%を含む。
ビニル付加共重合がプロピレングリコールのようなポリオール中で行われる場
合、約50モル%のN-(アルコキシメチル)アクリルアミド基がポリオール溶媒と
反応することを観察した。モノアルコールは、かなり低い程度(例えば、ブチル
これらの反応は、ガスクロマトグラフィーおよびC13NMRのプロピレングリコー
ルのメチレンピークのシフトによって測定されるようなポリオールの損失により
確認される。N-(アルコキシメチル)アクリルアミド基の間の反応がまた生じる
と考えられており、この反応は他の場合で予想されるよりも大きな分子量の増加
を説明する。ビニル付加コポリマーを含有するコーティング中のこの反応生成物
の存在は、観察される改良された塗布範囲の少なくともいくつかの原因であると
考えられている。しかし、ポリオールの使用は一般に、ゲル化を生じる過度の分
子量の増加により、多くの場合において受容され得ないことが見出された。この
ゲル化は、意図される使用に対して樹脂を無用にさせる。
アクリル酸由来の酸基の存在は、水分散能を提供するためにこれらの樹脂に必
要とされており、さらに、ゲル化の問題に含まれるようである。酸基は反応に加
わらないようである(なぜなら、酸価が変化しないから)が、酸基は、OH基とN-
(アルコキシメチル)アクリルアミドとの反応を触媒すると考えられている。
モノマー仕込み物内にアクリル酸を有しないコポリマーは、ゲル化の問題を伴
うことなく製造され得る。OH基とN-(アルコキシメチル)アクリルアミドとの所
望の反応をゲル化することなく提供するために、2つの一級OH基を有するポリオ
ールは避けられるべきであることが見出された。2つの一級OH基を有するポリオ
ール内で行われた共重合が最も迅速にゲル化したが、ヒドロキシル基が両方とも
二級であるポリオールにもまた、ゲル化の問題が存在することが見出された。ゲ
ル化することなく、所望の反応生成物を首尾良く生成することが必要とされると
見出されたのは、異なる反応性を示すOH基(例えば、1つの一級OHおよび1つの
二級OH)を有するポリオールを使用することであった。ゲル化に関わるのがN-(
アルコキシメチル)アクリルアミドであるということは、それをブチルメタクリ
レートと置き換えた場合に、コポリマーが、溶媒として用いたポリオールのタイ
プに関わらず、比較的低分子量の増加と共に生成されたという事実により確認さ
れた。
エポキシ樹脂
本発明のコーティング処方物のアミン脱官能基化エポキシ成分は、ポリエポキ
シドとアンモニアまたは少なくとも2つの活性水素原子を有するアミンとを反応
させることにより調製され得る。本明細書中で有用なポリエポキシド樹脂は、1
分子当たり1.0個を上回るエポキシ基を有する化合物またはその化合物の混合物
である。
ポリエポキシドの好ましいクラスは、ビスフェノールAのようなポリフェノー
ルのポリグリシジルエーテルである。これらは、アルカリの存在下でポリフェノ
ールとエピクロロヒドリンとのエーテル化により生成される。フェノール化合物
は、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン;1,1-ビス(4-ヒドロキシフェ
ニル)エタン;1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)イソブタン;2,2-ビス(4-ヒ
ドロキシt-ブチルフェニル)プロパン;ビス(2-ヒドロキシナフチル)メタン;
1,5-ジヒドロキシナフタレン;および1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-アリルフェニ
ル)エタンであり得る。ポリエポキシドの他の非常に有用なクラスは、ポリフェ
ノール樹脂から同様に生成される。
多価アルコールの類似のポリグリシジルエーテルがさらに適切である。このエ
ーテルは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオー
ル、1,2,6-ヘキサントリオール、グリセロール、および2,2-ビス(4-ヒドロキシ
シクロヘキシル)プロパンのような多価アルコールから誘導される。
環脂肪族ポリエポキシド樹脂がまた用いられ得る。このような樹脂は環状オレ
フィンと有機過酸(例えば、過酢酸)とのエポキシ化により調製される。
上記ポリエポキシド樹脂に加えて、ペンダントエポキシ基を含有する付加重合
ポリマーは本発明に利用され得る。このようなポリマーは、グリシジルアクリレ
ートおよびグリシジルメタクリレートのようなモノマーを包含する広範な重合性
ビニルモノマーを共重合させることにより製造される。適切なビニルモノマーは
、エポキシ基と反応性を示す基を含有しないものを包含し、好ましくは1個〜8
個の炭素原子を含有する飽和アルコールのα,β-エチレン性不飽和カルボン酸エ
ステルおよびベンゼンのクラスのモノビニル芳香族モノマー(例えば、スチレン
およびビニルトルエン)を包含する。
上記のように、ポリエポキシド樹脂は、アンモニアまたは少なくとも2個の活
性水素原子を有するアミンと反応させられる。活性水素原子は、化合物中の同一
の窒素原子(例えば、一級アミン)または異なる窒素原子(例えば、ジ-または
ポリアミン)上に存在し得、ここで、活性水素原子は同一の窒素原子上、あるい
は2つまたはそれ以上の窒素原子上に存在し得る。一級アミンの例としては、エ
チルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、およびブチルアミンが挙げ
られる。ポリアミンの例としては、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレン
ジアミン、ブチレンジアミン、ヘキシレンジアミン、ジエチレントリアミン、テ
トラエチレンペンタミン、N-メチルエチレンジアミン、N-メチルブチレンジアミ
ン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジプロピルエチレンジアミン、および
N,N-ジメチルヘキシレンジアミンが挙げられる。好ましくは、アンモニアまたは
モノエタノールアミンが別々にまたは任意に組み合わせて用いられ、最も好まし
くはアンモニアである。代表的には、アンモニアは水酸化アンモニウムとして溶
液で用いられる。
ポリエポキシドとアンモニアまたはアミンとの反応は開環反応を伴い、得られ
るゲル化していない生成物は、ポリエポキシド樹脂のアミン末端生成物である。
ポリエポキシド樹脂中に含まれる1,2-エポキシ基の実質的に全てがアンモニアま
たはアミンと反応させられることが所望される。この理由のために、エポキシ脱
官能基化反応におけるエポキシ基に対して過剰モルのアンモニアまたはアミンが
代表的には用いられる。過剰とは、エポキシ基と一級アミン基との比が1:1.5
〜1:6であるとして表され得る。より大過剰が用いられ得るが、アンモニアま
たはアミンの過度の放出により好ましくない。
製造設備において捕獲される必要のある過剰の揮発性アンモニアまたはアミン
の量を最小限にすることが所望される際には、製造設備において捕獲される必要
のある過剰の揮発性アンモニアまたはアミンの量を最小限にするために、エポキ
シと一級アミン基との比が1:1またはほぼ1:1で使用され得ることを見出し
た。例えば、過剰の揮発性アンモニアまたはアミンの量を最小限にすることが所
望される場合においては、1.5:1〜1:1.5の比が用いられ得る。本発明の特別
な実施態様では、好ましい比は1.3:1〜1:1.3の間の範囲である。
ポリエポキシド樹脂とアンモニアまたはアミンとの反応は、広範な温度、好ま
しくは30℃〜100℃にわたって起こる。反応時間は、反応に用いられる温度によ
って変化する。しかし、エポキシ基と一級アミン基とのモル比が1.5:1〜1:1
.5の間の範囲にある場合、ポリエポキシド樹脂とアンモニアまたはアミンとの反
応は、その後除去される必要のある有機溶媒で希薄にする不必要な量を必要とす
ることなくゲル化を避けるために制御された条件下で行われる。詳細には、エポ
キシとアミンとの間の反応は、比較的低温(60℃未満)で比較的長時間(少なく
とも1時間)にわたって行われる。これらの反応条件下で、反応するのは実質的
に一級アミンのみであると考えられている。
溶媒または溶媒混合物が、好ましくはより優れた反応制御を達成する目的でエ
ポキシ樹脂とアンモニアまたはアミンとの反応において含まれる。任意の非反応
性溶媒が用いられ得、例としてはケトンおよびアルコールが挙げられる。生成物
はさらなる溶媒で適切な粘度まで希釈され得る。このさらなる溶媒の例としては
、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、キシレン、エタノール、プロパノ
ール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールのブチルエーテル、
およびプロピレングリコールが挙げられる。
コーティング組成物
好ましい実施態様のコーティング組成物は、約5%〜約95%、好ましくは約20
%〜約75%のビニル付加樹脂および約5%〜約95%、好ましくは約20%〜約75%
の修飾または脱官能基化エポキシ樹脂を有する樹脂ブレンドを含む。組成物
の固形分含量は、水、有機溶媒、または水と有機溶媒との混合物を含む組成物と
平衡して約20%〜約60%の範囲である。水が主な液体媒体である組成物が好まし
い。
樹脂ブレンドは、上記ビニル付加樹脂および修飾または脱官能基化エポキシ樹
脂から2つの(alternative)方法で調製される。2つのうちの一方において、ビ
ニル付加樹脂および修飾または脱官能基化エポキシ樹脂が別々に製造される。樹
脂ブレンドを本明細書中において有用な水ベースの組成物に適合させる場合にお
いて、酸基含有ビニル付加コポリマーは、修飾または脱官能基化エポキシ樹脂と
ブレンドする前後のいずれかに塩基で少なくとも部分的に中和され、続いて水が
加えられてコーティング組成物を形成する。
有機または無機の塩基が本明細書中において有用であり得る。塩基の例示的な
例としては、アンモニア、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、またはトリ
アルキルアミン(例えば、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジ
ブチルアミン、およびシクロヘキシルアミン);モノアルカノールアミン、ジア
ルカノールアミン、またはトリアルカノールアミン(例えば、エタノールアミン
、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ジイソプ
ロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、およびジエチルエタノールアミ
ン);モルホリン;ならびに無機水酸化物(例えば、水酸化カリウムおよび水酸
化ナトリウム)がある。通常、最終水性分散体のpHは、7〜10、好ましくは9未
満に調節される。中和の割合は、樹脂ブレンドを水分散性にするような割合であ
る。樹脂ブレンドは、ビニル付加コポリマー内の酸基に基づいて20%から95%ま
で部分的に中和され得る。
コーティングの塗布範囲に対するさらなる改良は、樹脂ブレンドのカルボキシ
ル基含量を部分的に中和することから見出された。例えば、本発明のコーティン
グの塗布範囲に対する改良は、(ビニル付加コポリマー内の酸基に基づいて)65
%未満、好ましくは50%未満の樹脂ブレンドのカルボキシル基含量を部分的に中
和することから見出された。
樹脂ブレンドを調製するための別の方法は、ビニル付加樹脂とポリエポキシド
樹脂とをブレンドする工程、および次いで、エポキシド基とアンモニアまたはア
ミンとを反応させる工程を包含する。
より耐久性を有するフィルムを得るために、外部架橋剤を上記コーティング組
成物に添加することがしばしば所望される。その例としては、アミノプラスト樹
脂、フェノプラスト(phenoplast)樹脂、およびイソシアネート、好ましくはブロ
ックポリイソシアネートが挙げられる。フィルム形成樹脂の一部として用いられ
る架橋剤のレベルは、約40%までの範囲であり得、好ましくはフィルム形成樹脂
の約5%〜約20%である。N-(アルコキシメチル)メタクリルアミドおよびN-(
アルコキシメチル)アクリルアミドから誘導されるビニル付加樹脂が外部架橋剤
なしで架橋し得る間、このような試薬が添加され得る。
アミノプラスト樹脂はアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデ
ヒド、クロトンアルデヒド、およびベンズアルデヒド)とアミノまたはアミド基
含有物質(例えば、尿素、メラミン、およびベンゾグアナミン)との縮合生成物
である。アルコールおよびホルムアルデヒドとメラミン、尿素、またはベンゾグ
アナミンとの反応から得られる生成物が、それらの優れた水分散性のために水性
ベースのコーティング組成物において好ましい。エーテル化された生成物を製造
するために使用される有用なアルコールは、1価アルコール(例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコー
ル、シクロヘキサノール、およびエトキシエタノール)である。エーテル化され
たメラミン-ホルムアルデヒド樹脂が好ましいアミノプラスト樹脂である。
フェノール樹脂は、アルデヒドとフェノールとの縮合生成物を含む。ホルムア
ルデヒドおよびアセトアルデヒドが好ましいアルデヒドである。種々のフェノー
ルが用いられ得る(例えば、フェノール、クレゾール、p-フェニルフェノール、
p-tert-ブチルフェノール、p-tert-アミルフェノール、およびシクロペンチルフ
ェノール)。
多くのブロックポリイソシアネートは満足し得る架橋剤である。これらの試薬
は当該分野において周知である。一般に、有機ポリイソシアネートは揮発性アル
コール、ε-カプロラクタム、またはケトキシムでブロックされる。これらのブ
ロックポリイソシアネートは、高温(例えば、約100℃を超えて)でブロックさ
れなくなる。
本発明のコーティング組成物は、他の任意の成分(例えば、顔料、充填剤、酸
化防止剤、流動制御剤、界面活性剤など)を含有し得る。
本発明のコーティングは、容器に意図されるシート状のアルミニウムのストッ
クをコーティングするために高速ロールコーティングライン上で用いられる場合
に特に利点を有することが見出されたが、このコーティングは任意の基材、特に
金属製の基材に、任意の従来のプロセスにより塗布され得た。このコーティング
はまた、電着に適合され得る。代表的には、このコーティングは、200℃〜300℃
のオーダーの高温下で硬化される。
実施例
本発明の実施態様と本発明の範囲外の実施態様との比較を以下に示す。
実施例A1〜A17は、種々のアルコール溶媒を用いるビニル付加共重合の手
順を開示している。表1に示される結果は、実施例A1〜A14において、分子
量におけるこれらの溶媒の選択の効果を表す。
実施例A1〜A10およびA12〜A14においては、27.5%のN-(ブトキシ
メチル)アクリルアミド(NBMA)、10%のブチルアクリレート、50%のスチレン、
および12.5%のアクリル酸の、同様のモノマー混合物の共重合を種々のジヒドロ
キシ官能性アルコール中で行った。実施例A11においては、N-(ブトキシメチ
ル)アクリルアミドを、比較のためにブチルメタクリレートで置き換えた。実施
例A15においては、メチルエチルケトンをプロピレングリコールで置き換え;
実施例A16においては、それをプロピレングリコールのプロピルエーテルで置
き換え;そして実施例A17においては、それをプロピレングリコールのブチル
エーテルで置き換えた。全ての反応条件を一定に保った。これは、温度をメチル
エチルケトンの添加によって調節したことを含む。
実施例E1においては、ビニル付加コポリマーとブレンドされ得る修飾エポキ
シ樹脂を開示している。
実施例D1〜D5は、実施例E1の修飾エポキシ樹脂とブレンドした実施例A
1〜A14のビニル付加コポリマーのいくつかの分散体の製造を開示している。
次いで、これらの分散体を実施例F1〜F5に示されるようなコーティング処方
物中に取り込んだ。
実施例D6〜D9は、実施例E1の修飾エポキシ樹脂とブレンドした実施例A
1のビニル付加コポリマーの分散体の製造を開示している。これらの分散体を種
々の量のアミンで中和し、次いで、実施例F6〜F9に示されるようなコーティ
ング処方物中に取り込んだ。
実施例D10〜D14は、実施例E1の修飾エポキシ樹脂とブレンドした実施
例A1、A2、およびA15〜A17のビニル付加コポリマーのいくつかの分散
体の製造を開示している。次いで、これらの分散体を実施例F10〜F15に示
されるようなコーティング処方物中に取り込んだ。
実施例F1〜F9のコーティング処方物をコーティングの塗布範囲について試
験した。観察結果を表2に示す。実施例F10〜F15のコーティング処方物を
、クロスハッチテープ試験により接着性について試験し、そして白化、退色性、
突起形成性、および接着性の劣化について評価した。これらの観察結果を表3に
示す。
実施例A1
酸基含有ビニル付加樹脂を以下のように調製した:
フラスコ仕込み物を、スターラー、滴下漏斗、温度計、冷却器、および窒素導
入口を備えた5リットルの丸底フラスコ内に入れた。混合物を加熱して、140℃
で還流した。モノマーおよび開始剤仕込み物を4時間にわたって反応混合物に同
時に供給した。これらの添加の完了時に開始剤(スカベンシャー)仕込み物を3
つに等しく分けて添加した。各添加後、反応混合物を1.5時間保持した。得られ
た生成物を60℃未満に冷却し、続いて希薄溶媒を添加した。生成物を室温で保存
した。生成物の分析は以下の通りであった:固形分理論値46%、粘度3275センチ
ポアズ(第4号(number 4)のスピンドルを有するBrookfield粘度計、20rpmにて
)、ガスクロマトグラフィーで測定したプロピレングリコール含量14.56%(理
論値17.36%)、塩基滴定により測定した酸当量1403.0(理論値1410)、重量平
均分子量70,000。
実施例A2
リコールのブチルエーテル)で置き換えたこと以外は、実施例A1と同様にした
。分析:固形分理論値46%、粘度5360センチポアズ、ガスクロマトグラフィーに
よ
実施例A3
ールのブチルエーテル)で置き換えたこと以外は、実施例A1と同様にした。分
値17.36%)、重量平均分子量約112,000。
実施例A4
テル)で置き換えたこと以外は、実施例A1と同様にした。分析:固形分理論値
量平均分子量約93,000。
実施例A5
プロピレングリコールをエチレングリコールで置き換えたこと以外は、実施例
A1と同様にした。分析:生成物は、最後のモノマーの供給物(feed)の添加後、
粘度が非常に高く、そして最初の1/3の開始剤(スカベンジャー)供給物の添加
の間にゲル化した。
実施例A6
エチレングリコールをジエチレングリコールで置き換えたこと以外は、実施例
A5と同様にした。分析:反応生成物は、モノマーおよび開始剤供給物の添加の
間にゲル化した。
実施例A7
プロピレングリコールをDPG(ジプロピレングリコール)で置き換えたこと以
外は、実施例A1と同様にした。分析:反応生成物は、2/3の開始剤(スカベン
ジャー)供給物の添加後、非常に粘稠であり、そして保持期間の間にゲル化した
。
実施例A8
プロピレングリコールをポリプロピレングリコール(分子量425;1モルのプ
ロピレングリコールと6モルのプロピレンオキシドとの反応生成物)で置き換え
たこと以外は、実施例A1と同様にした。分析:反応生成物は、モノマーおよび
開始剤供給物の添加の完了後にゲル化した。
実施例A9
テートのメチルエーテル)で置き換えたこと以外は、実施例A1と同様にした。
分析:反応生成物は、モノマーおよび開始剤供給物の添加の完了時にゲル化した
。
実施例A10
プロピレングリコールをキシレンで置き換えたこと以外は、実施例A1と同様
にした。分析:固形分理論値46%、キシレン含量20.17%(理論値20.18%)、お
よび重量平均分子量66,800。
実施例A11
モノマー供給物において、N-(ブトキシメチル)アクリルアミドを、ブチルメ
タクリレートで置き換えたこと以外は、実施例A2と同様にした。分析:固形分
理論値45%、重量平均分子量約10,000。
実施例A12
プロピレングリコールを1,3-ブタンジオールで置き換えたこと以外は、実施例
A1と同様にした。分析:固形分理論値46%、粘度4,460センチポアズ、1,3-ブ
タンジオール含量13.65%(理論値17.41%)、および重量平均分子量約33,660。
実施例A13
プロピレングリコールを1,3-プロパンジオールで置き換えたこと以外は、実施
例A1と同様にした。生成物はゲル化した。
実施例A14
プロピレングリコールを1,2-オクタンジオールで置き換えたこと以外は、実施
例A1と同様にした。分析:固形分理論値35.45%、粘度380センチポアズ、1,2-
オクタンジオール含量12.19%(理論値16.5%)、および重量平均分子量約60,74
4。
実施例A15
希薄仕込み物において、メチルエチルケトンをプロピレングリコールで置き換
えたこと以外は、実施例A1と同様にした。分析:固形分理論値46%、粘度13,3
80センチポアズ、および重量平均分子量169,344。
実施例A16
り入手可能なプロピレングリコールのプロピルエーテル)で置き換えたこと以外
は、実施例A1と同様にした。分析:固形分理論値46%および粘度4380センチポ
アズ。
実施例A17
り入手可能なプロピレングリコールのブチルエーテル)で置き換えたこと以外は
、実施例A1と同様にした。分析:固形分理論値46%、粘度5380センチポアズ。
表1の結果は、両方のOH基が同様の反応性を有する(すなわち、全てが一級ま
たは全てが二級の)ジオール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、およびポリプロピレン
グリコール)中で行われた共重合反応がゲルを生じたことを示す。一方、反応が
、片方のヒドロキシル基が一級であり、そして他方が二級であるジオール(プロ
ピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,2-オクタンジオール)中で行われた
場合に、得られたポリマーはゲル化せず、例えば、150,000未満の測定可能な分
子量を有していた。モノアルコール中で調製されたコポリマーは、OH基が一級ま
たは二級のいすれであるかに関わらず、ゲルを形成する傾向がないことを示した
。しかし、モノアルコール中で調製されたそれらのコポリマーは、本発明の実施
態様に対して見出されたコーティングの塗布範囲において改良点を示さなかった
。
実施例E1
修飾エポキシ官能性樹脂を以下のように調製した:
仕込み物1を5リットルのフラスコに入れ、そして105℃〜110℃まで加熱した
。フラスコの内容物を30分間または溶解するまで、この温度に保持した。溶解し
た場合、仕込み物2を添加し、そして混合物を135℃まで加熱した。次いで、反
応混合物を160℃〜190℃まで発熱させ、次いで、160℃で1.5時間保持した。保持
期間に続いて、生成物を90℃まで冷却させた。仕込み物3を添加し、そして生成
物を冷却し、そして室温で保存した。重合したエポキシ樹脂は約1450のエポキシ
当量および65%の固形分理論値を有していた。
実施例D1
修飾エポキシ樹脂のエポキシ基とアンモニアとの脱官能基化、ビニル付加(ア
クリル)コポリマーとの混合、および水中での混合物の分散を以下のようにして
行った:
仕込み物1を5リットルの丸底フラスコに入れ、そして35℃〜37℃まで加熱し
た。次いで、仕込み物2を15分にわたって表面下に添加した。フラスコの内容物
を30分にわたって55℃まで加熱し、そして2時間この温度で保持した。90℃未満
の温度に保持しながら、過剰のアンモニアおよび修飾エポキシからのいくらかの
溶媒を留去した。次いで、仕込み物3をフラスコに添加し、そして内容物を30分
間撹拌(mix)した。アクリルポリマーのいくらかの溶媒を、内容物を110℃まで加
熱することにより留去した。次いで、仕込み物4を添加し、そして内容物を15分
間保持した。仕込み物5および6をそれぞれ90分および120分にわたって添加し
た。生成物を冷却し、そして室温で保存した。分析:反応生成物は42%の固形分
含量、1240センチポアズの粘度(第4号のスピンドルを有するBrookfield粘度計
、20rpmにて)、8.51のpH、約5800Åの粒径を有しており、そして43.5%の酸基
がジメチルエタノールアミンで中和された。
実施例D2
実施例A1のアクリルポリマーを実施例A2のアクリルポリマー(ブチルCarb
たポリマー性分散体は、11,900Åの粒径および42%の固形分含量を有していた。
実施例D3
えたこと以外は、実施例D3と同様にした。得られたポリマー性分散体は、4010
Åの粒径、8.7のpH、596センチポアズの粘度、および42%の固形分含量を有して
いた。
実施例D4
えたこと以外は、実施例D3と同様にした。得られたポリマー性分散体は、4270
Åの粒径、8.55のpH、790センチポアズの粘度、および42%の固形分含量を有し
ていた。
実施例D5
アクリルポリマーA1をアクリルポリマーA12(溶媒として用いた1,3-ブタ
ンジオールと共に)で置き換えたこと以外は、実施例D3と同様にした。得られ
たポリマー性分散体は、4,170Åの粒径、8.25のpH、1,640センチポアズの粘度、
および42%の固形分含量を有していた。
実施例D6
使用したDMEAの量が43.6部であり、その結果アクリルポリマーにおける酸基の
中和の割合が62.5%であったこと以外は、実施例D1と同様にした。得られたポ
リマー性分散体は、3900Åの粒径、8.9のpH、3590センチポアズの粘度、および4
2%の固形分含量を有していた。
実施例D7
使用したDMEAの量が35.5部であり、その結果アクリルポリマーにおける酸基の
中和の割合が50%であったこと以外は、実施例D1と同様にした。得られたポリ
マー性分散体は、5400Åの粒径、8.65のpH、2290センチポアズの粘度、および42
%の固形分含量を有していた。
実施例D8
使用したDMEAの量が27.5部であり、その結果アクリルポリマーにおける酸基の
中和の割合が39%であったこと以外は、実施例D1と同様にした。得られたポリ
マー性分散体は、9,660Åの粒径、8.3のpH、500センチポアズの粘度、および42
%の固形分含量を有していた。
実施例D9
使用したDMEAの量が25.4部であり、その結果アクリルポリマーにおける酸基の
中和の割合が36%であったこと以外は、実施例D1と同様にした。得られたポリ
マー性分散体は、11,700Åの粒径、8.2のpH、570センチポアズの粘度、および42
%の固形分含量を有していた。
実施例D10
本発明の好ましくない実施態様により、修飾エポキシ樹脂E1のエポキシ基と
小過剰のアンモニアとの脱官能基化(エポキシとアンモニアとの当量比1:1.5
)、実施例A1のビニル付加共重合した(アクリル)ポリマーとの混合、およ
び水中での混合物の分散を以下のようにして行った:
仕込み物1を5リットルの丸底フラスコに入れ、そして35℃〜37℃まで加熱し
た。次いで、仕込み物2を15分にわたって表面下に添加した。フラスコの内容物
を30分にわたって55℃まで加熱し、そしてエポキシ当量が無限大になるまでこの
温度で保持した(4時間から6時間)。次いで、仕込み物3をフラスコに添加し
、そして内容物を30分間撹拌し、続いて、仕込み物4を添加した。仕込み物5を
2時間にわたって添加し、続いて仕込み物6を添加した。次いで、反応混合物を
加熱して還流し、そして300gの溶媒を留去した。生成物を40℃未満に冷却し、
そして室温で保存した。分析:反応生成物は42%の理論固形分含量、1890センチ
ポアズの粘度、8.59のpH、約4040Åの粒径を有していた。39.0%の酸基がジメチ
ルエタノールアミンで中和された。
実施例D11
本実施例においては、小過剰のアンモニアを再び用いた(エポキシとアンモニ
アとの当量比1:1.5)。仕込み物3のポリマーを実施例A15の生成物で置き
換えたこと以外は、分散体を実施例D10と同様の方法で調製した。得られたポ
リマー性分散体は不安定であり、そして2層に分離した。
実施例D12
本実施例において、エポキシとアンモニアとの当量比は、本発明の好ましい実
施により1:1であった。水酸化アンモニウムの量を36.4gまで減らし、そして
仕込み物3のポリマーを実施例A2の生成物で置き換えたこと以外は、分散体を
実施例D10と同様の方法で調製した。得られたポリマー性分散体は、6100Åの
粒径、995センチポアズの粘度、7.85のpH、および42%の固形分理論値を有して
いた。
実施例D13
本実施例において、エポキシとアンモニアとの当量比は、本発明の好ましい実
施により1:1であった。仕込み物3のポリマーを実施例A16の生成物で置き
換えたこと以外は、分散体を実施例D12と同様の方法で調製した。得られたポ
リマー性分散体は、800センチポアズの粘度、7.9のpH、および39.2%の固形分を
有していた。
実施例D14
本実施例において、エポキシとアンモニアとの当量比は、本発明の好ましい実
施により1:1であった。仕込み物3のポリマーを実施例A17の生成物で置き
換えたこと以外は、分散体を実施例D12と同様の方法で調製した。得られたポ
リマー性分散体は、1090センチポアズの粘度、8.0のpH、および39.0%の固形分
含量を有していた。
比較分散体
最初に1:1のエポキシとアンモニアとの当量比、次いで1:1.5のエポキシ
とアンモニアとの当量比を用いて、両方の場合の反応を65℃の高温で行ったこと
以外は、実施例D1およびD10〜D14と同様の手順を用いた。両方の場合に
おいて、生成物は、エポキシ脱官能化反応の間にゲル化した。
コーティング処方物
実施例D1〜D14に記載のポリマー性分散体を、さらなるフィルム形成体(
例えば、フェノール樹脂および/または尿素-ホルムアルデヒド樹脂、ならびに
水)と合わせて、コーティング処方物F1〜F15を作製した。使用したさら
なるフィルム形成体の量は重要ではないが、代表的には各々、樹脂固形分を基準
として0重量%〜3重量%の量で存在し得る。以下の実施例F1〜F15の各々
において、尿素-ホルムアルデヒド樹脂は「Beetle 80」(American Cyanamidの
エーテル化し、ブチル化した尿素-ホルムアルデヒド)であり、そしてフェノー
ル樹脂は「Uravar FB209」(DSM Resinsのブタノールおよびトルエンの57%固形
分溶液)である。次いで、これらの処方物を、塗布特性について評価する前に、
さらなる水を用いて#4フォードカップで代表的には15秒から25秒の塗布粘度に
した。
実施例F1
成分 重量部
エポキシ-アクリル分散体(実施例D1) 2,512
尿素-ホルムアルデヒド樹脂 40
フェノール樹脂溶液 66
脱イオン水 359
実施例F2
成分 重量部
エポキシ-アクリル分散体(実施例D2) 31182
尿素-ホルムアルデヒド樹脂 53
フェノール樹脂溶液 87
脱イオン水 259
実施例F3
成分 重量部
エポキシ-アクリル分散体(実施例D3) 2,501
尿素-ホルムアルデヒド樹脂 39
フェノール樹脂溶液 64
脱イオン水 360
実施例F4
成分 重量部
エポキシ-アクリル分散体(実施例D4) 2,501
尿素-ホルムアルデヒド樹脂 38
フェノール樹脂溶液 62
脱イオン水 279
実施例F5
成分 重量部
エポキシ-アクリル分散体(実施例D5) 2556
尿素-ホルムアルデヒド樹脂 38
フェノール樹脂溶液 62
脱イオン水 546
実施例F6
成分 重量部
エポキシ-アクリル分散体(実施例D6) 2,514
尿素-ホルムアルデヒド樹脂 40
フェノール樹脂溶液 66
脱イオン水 425
実施例F7
成分 重量部
エポキシ-アクリル分散体(実施例D7) 2,555
尿素-ホルムアルデヒド樹脂 42
フェノール樹脂溶液 69
脱イオン水 387
実施例F8
成分 重量部
エポキシ-アクリル分散体(実施例D8) 2,513
尿素-ホルムアルデヒド樹脂 39
フェノール樹脂溶液 65
脱イオン水 377
実施例F9
成分 重量部
エポキシ-アクリル分散体(実施例D9) 2,500
尿素-ホルムアルデヒド樹脂 40
フェノール樹脂溶液 67
脱イオン水 275
実施例F10
成分 重量部
エポキシ-アクリル分散体(実施例D6) 153.5
尿素-ホルムアルデヒド樹脂 2.2
フェノール樹脂溶液 3.6
脱イオン水 16.5
実施例F11
成分 重量部
エポキシ-アクリル分散体(実施例D10) 150.0
尿素-ホルムアルデヒド樹脂 2.2
フェノール樹脂溶液 3.6
脱イオン水 20.0
実施例F12
実施例D11の分散体の分離により評価しなかった。
実施例F13
成分 重量部
エポキシ-アクリル分散体(実施例D12) 153.5
尿素-ホルムアルデヒド樹脂 2.2
フェノール樹脂溶液 3.6
脱イオン水 16.5
実施例F14
成分 重量部
エポキシ-アクリル分散体(実施例D13) 168.2
尿素-ホルムアルデヒド樹脂 2.2
フェノール樹脂溶液 3.6
脱イオン水 1.5
実施例F15
成分 重量部
エポキシ-アクリル分散体(実施例D14) 169.3
尿素-ホルムアルデヒド樹脂 2.2
フェノール樹脂溶液 3.6
脱イオン水 0.4
性能試験
各処方物F1〜F9についての塗布特性をGasway Corporation lab coater(
モデルRPP044)およびGrieve Corporation高速オーブン(モデルVA-1000)を用
いて評価した。lab coaterをステンレス鋼製のピックアップロールおよびウレタ
ンゴムで被覆した塗布ロール(両方とも直径8インチ)を用いてセットアップ
した。これらのロールを代表的な2本ロールリバースモードで操作した。lab co
aterのライン速度は、代表的には1分当たり150メートル〜165メートルであった
。塗布ロールの速度は、代表的には1分当たり150メートル〜170メートルであり
;そしてピックアップロールの速度は、代表的には1分当たり30メートル〜60メ
ートルであった。オーブンの温度は、滞留時間10秒〜15秒で、代表的には260℃
〜288℃であった。
処方物F1〜F9を各々リザーバー内に濾過し、ピックアップロールをリザー
バー内に一部浸漬し、そして塗布ロールおよびピックアップロールを駆動するモ
ータをスタートさせた。0.019ゲージ(0.48ミリメートルの厚み)のアルミニウ
ムパネル(Aluminum Company of AmericaのA272A前処理した5182H19合金)を、
ラインとして作動するステンレス鋼製のベルトに取り付けた。ラインを上記の速
度でスタートし、そしてコーティングをアルミニウムパネルに塗布した。次いで
、コーティングしたアルミニウムパネルを即座に高速オーブンに移し、硬化させ
た。冷却後、次いて、4平方インチ(25.8平方センチメートル)当たりのフィル
ム重量を測定し、そしてこのフィルムを溶媒の突起形成または空気の混入のよう
ないくつかの欠点の徴候について検査した。フィルムの欠点が肉眼で観察される
まで、この手順をフィルムの重量を増加させて繰り返した。次いで、欠点のない
最大のフィルムの厚みを、表2に示すように記録した。フィルムの厚みを、基材
の4平方インチ(25.8平方センチメートル)当たりの乾燥コーティング重量とし
て表す。
実施例F10〜F15の処方物を、40%の共通した固形分含量に調節し、そし
て巻き線型ドローダウンバーにより市販の前処理したアルミニウムシートストッ
クに塗布した。試験の苛酷さを増大するために、これらのコーティングを前処理
を行っていないアルミニウム基材上に塗布した。ガス燃焼オーブン内でパネルを
465°F(240℃)のピーク金属温度まで焼成することにより、硬化を完結させた
。
た容器中にシールし、そして蒸気レトルト内で250°F(121℃)にて1時間処理
した。次いで、パネルをクロスハッチテープ試験により接着性について評価し、
そして白化、退色性、突起形成性、および接着性の劣化について評価した。
クロスハッチテープ接着試験を以下のように行った:コーティングに、フィル
ムの約1/16インチ(1.6ミリメートル)間隔で11個の平行な切り目を入れた。11
個の同様の切り目を90°で最初の11個の切り目と交差させて作製した。接着テー
プを、コーティングに対して堅く押圧することにより切り目の領域にわたって付
与し、空隙と空気ポケットとを取り除いた。次いで、テープをコーティングした
表面の平面に対して直角に急激に引っ張った。接着性を切り目を入れた領域内の
基材に残る正方形のパーセントとして記録した。
比較目的のために、同様の試験を市販により入手可能なビニル樹脂ベースのコ
ーティング処方物(比較処方物)を用いて行った。この処方物は、アルミニウム
缶の最終ストックに対して工業的に標準のコーティングである。比較コーティン
グを前処理したアルミニウム基材(これは未処理の基材よりもより優れた接着性
および白化結果を生じると予想される)上に塗布した。結果を表3に示す。
驚くべきことに、全てのアクリル/脱官能基化エポキシコーティングは、たと
え市販のビニルベースのコーティングが前処理した面上に塗布されたとしても、
市販のビニルベースのコーティングよりも優れた耐白化性および耐着色性を示し
た。表3のデータは、脱官能基化工程においてアンモニアの量を低下させること
がさらになお性能を向上させたことを示す。過剰のアンモニアを有することなく
脱官能基化されたエポキシ樹脂を含む例は、最も優れた耐白化性と耐着色性とを
示した。
本発明を実施する最良の形態を開示するための特別な実施態様を参照して、本
明細書中に本発明を開示したが、当業者に公知の他の改変および変更が、添付の
請求の範囲により規定される本発明の範囲を逸脱することなく取り込まれ得るこ
とを理解すべきである。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
// C09D 125/08 7446−4J C09D 125/08
133/02 7824−4J 133/02
133/04 7824−4J 133/04
133/24 7824−4J 133/24
163/00 8016−4J 163/00
(31)優先権主張番号 08/219,603
(32)優先日 1994年3月29日
(33)優先権主張国 米国(US)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),CA,JP,KR
(72)発明者 アンブローズ, ロナルド アール.
アメリカ合衆国 ペンシルバニア 15101,
アリソン パーク,ウィンチェスター
ドライブ 4312
(72)発明者 オードワイヤー, ジェイムズ ビー.
アメリカ合衆国 ペンシルバニア 16059,
バレンシア,スプリング バレー ロー
ド 111
(72)発明者 フィッツジェラルド, ローレンス ジェ
イ.
アメリカ合衆国 ペンシルバニア 15044,
ギブソニア,ラムスゲート ドライブ
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