【発明の詳細な説明】
発明の名称
抽出蒸留の使用によるテトラフルオロエタン
からの不純物の分離および除去
発明の分野
本発明はアルコールを使用する抽出蒸留法を用いることによりテトラフルオロ
エタンから不純物を除去する分野に関する。
発明の背景
1,1,1,2テトラフルオロエタンまたはその異性体の1,1,2,2テトラフルオロエタ
ンを製造するための慣用的な方法では好ましくない不純物が一般に含まれる。
ハイドロフルオロカーボン134a(HFC-134a)としても知られる1,1,1,2テトラ
フルオロエタン(CF3CH2F)およびその異性体の1,1,2,2テトラフルオロエタン(
CF2HCF2HまたはHFC-134)のような塩素を含まないフルオロカーボンを高純度で
得る方法が求められている。これらのフルオロカーボンは他の多くの応用のうち
特に冷媒、膨張剤、クリーニング剤、エーロゾル噴射剤、伝熱媒体、消火剤、動
力サイクル作動流体、重合媒体、粒状体除去流体、担持流体、バフ研磨剤、置換
乾燥剤として有用である。
発明の概要
テトラフルオロエタン製品つまりHFC-134aおよびHFC-134を製造するために水
素化分解が使用できる。例えば、CFC-114および(または)CFC-114aを水添脱ハ
ロゲン化することによりHFC-134aおよびHFC-134を製造する方法が英国特許第1,5
78,933号、米国特許第4,996,379号およびD.G.GheringらによるJournal of Chro
magra-
plic Science 第30巻(1992年)の280〜284ページの記事中に開示されており、参
照によってその開示は本記載中に加入されている。出発物質中の異性体の純度が
変化するので、あるいは水添脱ハロゲン化中の異性化のため、生成物の混合物は
典型的に134a異性体と134異性体との両方を含有する。
化学反応の性質のため生成物は、他の不純物もあるが特にクロロテトラフルオ
ロ−エタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリフルオロエタン、ジフルオロ
エタンのようなテトラフルオロエタン以外の他の種々な異性体共生成物、種々の
ハロゲン化された炭素原子1個の生成物、ハロゲン化された炭素原子2個の不飽
和生成物も含有するであろう。いずれか一方のテトラフルオロエタン製品中に他
の異性体または不純物がたとえ比較的少量でも存在すると、これらの製品の多く
の応用で好ましくなく、例えば約50ppmより多くのHCFC-31およびHCFC-1112のよ
うな化合物は有害でありうる。CFC-12のようなクロロフルオロカーボン不純物は
環境に有害であると考えられまた市場から規制されつつある。テトラフルオロエ
タン製品中のいくつかの不純物は慣用的な蒸留によって容易に除去できるが、沸
点の近接する他のいくつかの少量の不純物を慣用的な方法を用いて除去すること
はたとえ不可能でなくとも困難である。
特にHFC-134およびHFC-134aはそれらの大気圧沸点がHFC-134aは−26.5℃そし
てHFC-134は−19.7℃と近接しているので、慣用的な蒸留を用いることにより互
いを分離するのは極めて困難である。HFC-134に対するHFC-134aの比揮発度はHFC
-134aの純度が100%に近づくと0℃で約1.20であり、このため分離が極めて困難
となり、大型で高価な蒸留塔が必要になる。
HFC-134aをHFC-134を分離しそしてHFC-134aおよび(または)HFC-134から沸点
の近接する他のフルオロカーボン不純物を除去する抽出蒸留方法が必要である。
本発明者は特にメタノール、ブタノール、エタノール、プロパノール、これら
の異性体および環式化合物の少くとも一つのようなアルコールを含むまたはそれ
からなる抽出剤による抽出蒸留を用いることにより1,1,2,2テトラフルオロエタ
ン(HFC-134)を1,1,2,2テトラフルオロエタン(HFC-134a)を分離できることを
見出している。ヒドロキシル(-OH)基を含む別な化合物が抽出剤として使用でき
るが、このような化合物は上記したアルコールほど好ましくない。ヒドロキシル
基を含むこのような化合物は比較的高価な装置とプロセス条件との使用を必要と
するであろう。例えばそれによってエネルギー費用が増大する。
本発明者は、別な化合物も多くあるが特にクロロフルオロメタン(HCFC-31)
、クロロジフルオロメタン(HCFC-22)、2−クロロ−1,1−ジフルオロエチレン
(HCFC-1122)、1−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HCFC-124a)、クロ
ロペンタフルオロエタン(CFC-115)、ジクロロジフルオロメタン(CFC-12)、1
,1−ジフルオロメタン(HFC-152a)の少くとも一つのような他のフルオロカーボ
ン不純物は、本発明の方法を用いることによって同時にそして(または)別個な
操作でテトラフルオロエタンから除去できることも見出している。
本発明の方法によって、同一の化学的な化合物の別個な二つの異性体つまり定
義からすると化学的組成が同一であるが原子配列のみが異なるものを分離するこ
とができることは驚くべきであり、また
予想外であるのは、効果的な抽出蒸留剤は二つの化合物とある程度異なった相互
作用をせねばならないからである。アルコールまたはヒドロキシル基を含む抽出
剤が、二つの化学的異性体と異なる相互作用をし、これらの二つの異性体が抽出
蒸留を用いることにより分離できるであろうことはこれまで知られていなかった
。アルコールを含む抽出剤により他のフルオロカーボン不純物が同時に除去でき
るということもまた驚くべきでありまた予想外であった。
図面の簡単な説明
図1は本発明の方法の一態様を実施するのに使用できる抽出蒸留系の略解図で
ある。
図2はCFC-115とHFC-134とから実質的になる共沸混合物組成物および共沸混合
物様組成物の温度約11.2℃でのグラフ表示である。
図3はHFC-134とHCFC-124aとから実質的になる共沸混合物組成物および共沸混
合物様組成物の温度約−0.2℃でのグラフ表示である。
図4はHFC-152aとHFC-134とから実質的になる共沸混合物組成物および共沸混
合物様組成物の温度約10℃でのグラフ表示である。
図5はCFC-12とHFC-134aとから実質的になる共沸混合物組成物および共沸混合
物様組成物の温度約0℃でのグラフ表示である。
図6はCFC-115とHFC-134aとから実質的になる共沸混合物組成物および共沸混
合物様組成物の温度約25℃でのグラフ表示である。
図7はHFC-134aとHCFC-1122とから実質的になる共沸混合物組成物および共沸
混合物様組成物の温度約35℃でのグラフ表示である。
詳細な説明
第1の混合物の主な成分であるHFC-134aおよびHFC-134は、それ
らの分離されそして純粋な状態でそれぞれ沸点約−26.5℃および約−19.7℃を有
する。0℃近くでの比揮発度は134aが100%に近づくにつれ約1.2でありまた134
が100%に近づくにつれ約1.3であることがわかった。これらのデータは他の異性
体を実質的に含まないテトラフルオロエタン異性体を得るために二つのテトラフ
ルオロエタン異性体を分離するために慣用的蒸留方法を用いるのは極端に困難で
あろうことを示す。「実質的に含まない」とは、所望のテトラフルオロエタン異
性体製品は好ましくない異性体つまり他の不純物を約1.0wt%より少なく、普通
は約0.05wt%より少なくそしてある場合には重量で約10ppmより少なく含有する
ことを意味する。
HFC-134とHFC-134aとの比揮発度を測定するために、いわゆるPTx法を用いた。
この方法においては容積が既知のセル内の絶対全圧が、既知の様々な二元組成に
ついて定温で測定される。PTx法の使用は、1970年にWiley-Interscience Publis
herより刊行のHarold R.Null著の「Phase Equilibrium in Process Design」の12
4〜126ページ中に一層詳細に記載されており、その開示は参照によって本明細書
中に加入されている。
以上の測定は液相での非理想性を表わす、Non-Random,Two-Liquid(NRTL)式
のような活性係数式モデルを用いることによりPTxセル内の平衡気液組成へと変
換される。NRTL式のような活性係数式の使用は、McGraw Hill出版社刊のReid,P
rausnitzおよびPoling著の「The Properties of Gases and Liquids」(第4版
)の241〜387ページ中に、およびButterworth Publishers 1985年刊のStanley M
.Walas著の「Phase Equilibria in Chemical Enginee-ring」の165〜244ページ
中に一層詳細に記載されており、上記した
参考文献の各々のすべての開示は参照によって本明細書中に加入されている。
何らかの理論または説明によって拘束されるのを望まないが、NRTL式はHFC-13
4とHFC-134aとの混合物および(または)以下の別な混合物が理想的な挙動をする
か否かを十分に予測することを可能にしまたこのような混合物中の諸成分の比揮
発度を十分に予測することを可能にすると思われる。
PTx測定および上記の一連の計算の結果を、HFC-134a/HFC-134系、HFC-134a/
メタノール系およびHFC-134/メタノール系に関する比揮発度を示す下記の表1
から表3に要約する。
上記の表1、2および3において「比揮発度」は上記の表に示す
温度で測定したPTxセルの圧力を用いて算出したものであった。
比較的低い濃度でのHFC-134に対するHFC-134aの比揮発度は慣用的な蒸留法を
用いることによってHFC-134aを分離するのを可能とするのに十分であるが、HFC-
134aの純度が100%に近づくにつれ比揮発度は1.0に近づく。1.0に近接する比揮
発度は、慣用的な蒸留を用いることによってHFC-134aから痕跡量のHFC-134をま
たHFC-134から痕跡量のHFC-134aを除去することを困難とするであろう。例えば
慣用的な蒸留では大型かつ高価な蒸留塔を使用することが必要となる。
表2および表3はメタノールがHFC-134aおよびHFC-134から容易に分離できる
ことを示す。一層重要なことであるが、表2および表3がHFC-134aまたはHFC-13
4中のメタノールの量が増加するにつれあるいはHFC-134aまたはHFC-134のモル分
率が零に近づくにつれ、メタノールに対するHFC-134aの比揮発度およびメタノー
ルに対するHFC-134の比揮発度が劇的に異なり始めることを示す。表2を表3と
比較すると、HFC-134aの液モル分率が約0.94で、またHFC-134のそれが0.93であ
る場合、メタノールに対するHFC-134aおよびHFC-134の比揮発度は実質的に同じ
、つまり5.7または6.0である。しかしながら、HFC-134aまたはHFC-134の液モル
分率が約0.00に近づくにつれ、メタノールに対するHFC-134aの比揮発度はメタノ
ールに対するHFC-134に比揮発度に約2倍である。これは驚くべきまた予想外の
結果であり、この結果は、HFC-134aとHFC-134とを含む混合物にメタノールのよ
うな抽出剤を添加すると、これらの化合物を分離するのに抽出蒸留工程を用いる
ことを可能にすることを示す。HFC-134aとエタノールまたはプロパノールとのあ
るいはHFC-134とエタ
ノールまたはプロパノールとの混合物を使用することにより類似のPTx測定を実
施した。以下に一層詳細に述べる抽出蒸留の実施例を明らかにするためにこれら
のPTx測定を用いた。
アルコールを含有する本発明の抽出剤を使用することにより慣用的蒸留法にま
つわる問題を解決できる。「慣用的蒸留」とは分離すべき混合物中の成分の比揮
発度のみが分離のために用いられる工程をさすよう意図されるが、一方「抽出蒸
留」は分離すべき成分の比揮発度を増加するある種の抽出剤の能力に依存する。
抽出蒸留は、連続的蒸留塔を操作することにより典型的に実施され、この塔は商
業的に利用できる別な機器のうち特に二つの供給点(例えば、分離すべき混合物
を導入するのに使用する第2の供給点の上方に位置する第1の供給点に抽出剤を
導入する)、再沸器、還流を塔に返戻するための塔頂凝縮器を有する多段蒸留塔
からなる。
HFC-134aとHFC-134との比揮発度が近接している事実からみて、容易に入手で
きかつ低価格の弗素を含有しないある種の化合物を用いる抽出蒸留によりこれら
が分離できることは驚くべきそして予想外の結果であった。HFC-134aおよび(ま
たは)HFC-134から別なフルオロカーボン不純物を除去するのにこれと同じ方法お
よび装置が同時にあるいは別個に使用できることもやはり驚くべきであった。そ
の異性体を実質的に含まない精製されたHFC-134aおよび(または)HFC-134を得
ることができる。異性体を実質的に含まないテトラフルオロエタンはまた一般に
実質的に純粋である。「実質的に純粋な」とか「精製された」というのは、回収
されたテトラフルオロエタンが重量百分率基準でテトラフルオロエタン純度が少
くとも約99%であることを意味する。
本発明の一態様において抽出剤例えばメタノールは抽出蒸留塔の上方の供給点
に導入されるが、分離を必要とする第1の混合物、例えばHFC-134とHFC-134aと
からなるものが塔の比較的低い個所に導入される。液状の抽出剤は塔の中央に位
置するトレイを通過して下方に流れそして第1の混合物と接触することにより第
2の混合物が形づくられる。抽出剤の存在下にあるとき、HFC-134aはHFC-134と
比較すると揮発性が一層高く、そのためHFC-134を実質的に含まないHFC-134aが
塔頂から流出することが可能となる。塔頂から流出するHFC-134aは慣用的な還流
凝縮器を用いて凝縮できる。この凝縮した流れの少くとも一部は還流として塔頂
に返戻されてよく、また残りの部分は有用な製品例えば実質的に純粋なHFC-134a
として回収される。所望ならばHFC-134aはさらに精製するために第2の抽出蒸留
塔および(または)第2の慣用的蒸留塔に移送されてよい。例えば、回収された
HFC-134aはフルオロカーボン不純物を除去するために第2の抽出蒸留塔に移送さ
れてよい。
HFC-134、抽出剤および別なフルオロカーボン不純物は塔底から流出する第3
の混合物を形づくり、一方この混合物は慣用的蒸留または他の既知の方法を用い
て分離するためにストリッパーまたは慣用的蒸留塔へと続いて送入されることが
できる。所望ならば、抽出剤は次いで抽出蒸留塔に循環される。ある場合には、
HFC-134は抽出剤から分離されそして有用な製品として回収される。例えば抽出
剤は慣用的蒸留を用いてHFC-134から除去できる。回収されたHFC-134は、フルオ
ロカーボン不純物を除去するために第2または第3の慣用的蒸留塔および(また
は)抽出蒸留塔に移送されてよく、これによって実質的に純粋なHFC-134が得ら
れる。
所望ならば抽出剤は水での抽出のように他の何らかの適当な方法によって除去
できる。例えばHFC-134aまたはHFC-134とアルコールとの混合物は水中に通過さ
れることにより、混合物からアルコールが優先的に抜き出される。
第1の混合物中のHFC-134aおよびHFC-134の量に関係するが、HFC-134は比較的
多量のHFC-134aを含有する混合物から除去されることができ、あるいはその逆も
いえ、これによって異性体を実質的に含まない所望のテトラフルオロエタンが生
成される。
抽出蒸留塔の塔頂から流出し、次いで凝縮され引続いて塔に返戻される物質と
、製品として除去される物質の量との比率は普通還流比と称される。還流比は抽
出蒸留塔の物理的特性を規定するであろう。一般に還流比が増大すると、回収さ
れたHFC-134aの純度の増大が起きるであろう。例えば回収されるHFC-134a中の抽
出剤の量は、なくならないまでも減少しうる。
本発明を実施するために使用できる特定の条件は、他のパラメータもあるが、
特に塔の直径、選定した供給点、塔内の分離段の数のような相互に関連のある多
くの設計パラメータによって決まる。蒸留系の操作圧力は約15〜350psia、普通
は約50〜300psiaの範囲内にあるだろう。一般に、分離すべき混合物に対して抽
出剤の供給速度を増大したりあるいは還流比を増大すると、得られる塔頂製品の
純度が増大するであろう。塔頂凝縮器の温度および伝熱面積は通常、塔頂製品を
実質的に完全に凝縮するのに十分でありあるいは望むならば部分凝縮によって所
望の還流比を得るのに十分である。
本方法の所定の工程で採用する温度は、圧力と、蒸留塔の設計上の特徴、例え
ば抽出剤と第1の混合物との比の関数である。温度は
典型的には、約200psiaの操作圧力に基づき約−25℃〜約200℃の範囲にあろう。
第1の混合物つまりHFC-134aおよび(または)HFC-134を含有する混合物中の
フルオロカーボン不純物の量は、慣用的な蒸留を用いて減少することができる。
慣用的蒸留方法は、異性体を実質的に含まないHFC-134aまたはHFC-134を製造で
きないが、他のフルオロカーボン不純物の最初の量を減少するために慣用的な蒸
留が使用できる。例えば、第1の混合物から比較的多量のまたは多量の不純物例
えばトリクロロトリフルオロエタン(CFC-113)を除去するために慣用的蒸留を使
用でき、続いてこの第1の混合物はHFC-134aとHFC-134とを分離するために本発
明方法に従って処理される。
抽出剤の有効量は大幅に変化しうる。しかし一般に抽出剤の量を増大すると回
収されるテトラフルオロエタンの純度が高まるであろう。抽出剤とテトラフルオ
ロエタンとの比は典型的に、重量基準で約2.0:1〜約10:1の範囲にあるが、
必要に応じてより高い比率を用いることができる。
本発明のいくつかの態様は図面を参照すると一層良く理解できる。以下図面を
参照するとし、図1は本発明の蒸留方法の一つの態様を実施するのに用いうる系
を図式的に説明する。HFC-134aと不純物としてのHFC-134、HCFC-31およびHCFC-1
122とからなる第1の混合物が導管1を経て抽出塔2に供給される。少くとも一
つの液体抽出剤が導管3を経て抽出塔2に供給され、そして混合物1より上方の
位置において塔2に導入される。一つまたはそれ以上の抽出剤、フルオロカーボ
ン、特にHFC-134、HCFC-31、HCFC-1122からなる第2の混合物が塔2の底部から
除去され水蒸気で加熱される再沸器4へと
移送される。ある場合には再沸器は抽出塔2に付属している。この第2の混合物
は導管5を経て供給物タンク6に供給される。供給物タンク6には補充の抽出剤
もまた導管7を経て供給され、これによって第3の混合物ないしは抽出剤の循環
がなされる。ポンプ8はこの第3の混合物をストリッピング混合物塔9へと移送
する。ストリッピング塔9は非抽出剤から抽出剤を分離する。抽出剤は塔9から
抜き出されて水蒸気加熱される第2の再沸器10に供給される。ある場合には再沸
器10は塔9に付属している。ポンプ11は冷水冷却器12を、次いで深冷器13を経て
抽出剤を再沸器10から移送する。必要なら、抽出剤が冷却器12に達する以前にそ
の過剰な量をパージすることができる。深冷器13は典型的に約−25℃の圧力で操
作される。深冷器13から流出した後、抽出剤は導管3を経て抽出塔2に供給され
る。
HFC-134はストリッピング塔9から排ガスとして流出し、そして凝縮器14に導
入される。この凝縮器は典型的には約−25℃の温度で操作される。還流条件下で
ポンプ15はHFC-134の一部をストリッピング塔9に返戻する。HFC-134の残りの部
分は導管16を経て系から取り出される。
抽出塔2からは排ガスもまた除去される。この排ガスはHFC-134および別なフ
ルオロカーボン不純物を実質的に含まないHFC-134aでありうる。HFC-134a製品は
導管17を経て凝縮器18に移送される。凝縮器18は典型的には約−25℃で操作され
る。還流条件下でポンプ19はHFC-134a製品の一部を抽出塔2に返戻する。HFC-13
4a製品は導管20を経て系から取り出せる。
所望なら本発明の方法の第2の態様は図1に示すように導管16お
よび(または)20から製品を第3の塔に移送することによって実施できる。第3
の塔は製品の組成に従って慣用的蒸留塔または抽出蒸留塔のいずれかであってよ
い。例えば導管1内の第1の混合物はHFC-134aと、HFC-134、HCFC-31、HCFC-112
2、CFC-12およびCFC-115から選択される一つまたはそれより多くの不純物とから
なってよい。導管20中の製品はHFC-134a、CFC-12およびCFC-115からなる。導管5
内の抽出蒸留塔2から流出した第2の混合物はHFC-134、抽出剤、HCFC-31およ
びHCFC-1122からなる。導管16中の製品はHFC-134、HCFC-31およびHCFC-1122から
なる。導管16および(または)20中の製品は追加的なまたは残留するハロカーボ
ン不純物のいずれかを除去するために第3の塔に移送されてよい。
本発明の第3の態様においては、図1の系と実質的に同じ仕方で操作されるが
、ただし導管1中の第1の混合物はHFC-134と、HFC-134a、HFC-152a、CFC-115お
よびCFC-12から選択される一つまたはそれより多くの不純物を含む。この系にお
いては、所望の製品はHFC-134/メタノールの混合物として抽出蒸留塔2の底部
から流出する。HFC-134/メタノールの混合物はHFC-134とメタノールとを分離す
るために導管5を経て蒸留塔9に移送される。ある場合には導管16および(また
は)20内の製品流は、追加的なまたは残留するハロカーボン不純物のいずれかを
除去するために第3の慣用的蒸留塔または抽出蒸留塔に移送される。
共沸混合物的組成物または共沸混合物様組成物の形成を最小にするプロセス条
件で本発明の方法を実施することにより最良の結果が通常得られるが、このよう
な組成物はHFC-134aおよび(または)HFC-134を精製するのに用いうる。形成さ
れる共沸混合物的組成物
または共沸混合物様組成物には、特に、1,1,1,2テトラフルオロエタン(HFC-134
a)とジクロロジフルオロメタン(CFC-12)との;1,1,1,2テトラフルオロエタン
(HFC-134a)とクロロペンタフルオロエタン(CFC-115)との;1,1,1,2テトラフル
オロエタン(HFC-134a)とクロロ−1,1−ジフルオロエチレン(HCFC-1122)との;
クロロペンタフルオロ−エタン(CFC-115)と1,1,2,2テトラフルオロエタン(HFC
-134)との;1,1,2,2テトラフルオロエタン(HFC-134)と1−クロロ−1,1,2,2−
テトラフルオロエタン(HCFC-124a)との;1,1−ジフルオロエタン(HFC-152a)と
1,1,2,2テトラフルオロエタン(HFC-134)とのそれぞれ混合物の一つまたはそれよ
り多くを含んでよい。
本明細書および添付の請求の範囲で用いる際、下記の用語は以下の定義を有す
るものとする。
「共沸混合物」または「共沸混合物的」組成物とは、単独の物質として挙動す
る二つまたはそれより多くの物質の一定に沸騰する液状混合物を意味する。共沸
混合物的組成物または混合物を特徴づける一つの方法は、この液体の部分的蒸発
または蒸留により生成する蒸気が、それが蒸発されまたは留出される液体と同じ
組成を有するということ、例えば混合物が組成の変化なしに留出/還流するとい
うことである。一定に沸騰する組成物はそれが、同一の成分の非共沸混合物的な
混合物の沸点と比較する場合に最高または最低の沸点を示すので、共沸混合物的
と特徴づれられる。共沸混合物的な組成はまた、モル分率の関数としてプロット
する時、所与の温度でのある混合物の蒸気圧が最高または最低であると特徴づけ
ることができる。
「共沸混合物様」組成物とは、単独の物質として挙動する二つまたはそれより
多くの物質の一定に沸騰する、あるいは実質的に定沸点の液状混合物を意味する
。共沸混合物様組成物を特徴づける一つの方法は、この液体の部分的蒸発または
蒸留により生成する蒸気が、それが蒸発されまたは留出される液体と実質的に同
じ組成を有するということ、例えば混合物が組成の実質的な変化なしに留出/還
流するということである。共沸混合物様組成物は、所与の温度での蒸気圧をモル
分率の関数としてプロットすることによって示される領域であって最高蒸気圧ま
たは最低蒸気圧に隣り合うことによっても特徴づけられる。
典型的にみて、蒸発または留出除去によるなどして約50wt%の組成物が除去さ
れた後に、もとの組成と残留する組成との間の変化がもとの組成に対して約6%
より少なくまた通常は約3%より少ないならば、組成物は共沸混合物様である。
「有効量」とは本発明の組成物の各成分が一緒にされる時に、共沸混合物的組
成物または共沸混合物様組成物を形づくりに至る上記各成分の量をさすことにす
る。この定義には、各成分の量が含まれ、これらの量は共沸混合物的組成物また
は共沸混合物様組成物が異なる圧力で、ただしおそらく沸点は異なって存在しつ
づける限り、組成物にかかる圧力に応じて変化するであろう。有効量には、本明
細書で述べたのとは異なる温度および圧力において共沸混合物的組成物または共
沸混合物様組成物を形づくる本発明の組成物の各成分の、重量百分率で表わされ
うるような量も包含される。従って、本発明には、もとの組成物の約50wt%が蒸
発または留出除去されて残留する組成物が生まれた後に、もとの組成と残留する
組成との間の変化
がもとの組成に対して典型的には約6%より少なくまた通常は約3%またはそれ
より少ないような、HFC-134aおよび(または)HFC-134の少くとも一つの有効量
と少くとも一つのフッ素化分子とから実質的になる共沸混合物的組成物または共
沸混合物様組成物が包含される。
選択する条件に応じて多くの形をとって表われるであろう一定に沸騰する混合
物は実際上以下のいくつかの基準のいずれかによって特徴づけることができる。
*組成物は、特に、HFC-134a(「A」)とフッ素化ハロカーボン(「B」)との、ある
いはHFC-134(「C」)とフッ素化ハロカーボン(「D」)との共沸混合物として規定し
うるが、これは、「共沸混合物」という用語が規定的であると同時に制限的であ
り、また一定に沸騰する組成物でありうるこの独特な物質組成について有効量の
A、B(あるいはC、D)を必要とすることによる。
*異なる圧力において所与の共沸混合物の組成が少くともある程度変化するで
あろうし、また圧力の変化は沸点を少くともある程度変化させるであろうことは
当技術に熟達する者にとって周知である。従って、特に、HFC-134a(「A」)とフッ
素化ハロカーボン(「B」)との、またはHFC-134(「C」)とフッ素化ハロカーボン(「
D」)との共沸混合物は、温度および(または)圧力に関係して組成が変化する独
特なタイプの関係を表わす。従って共沸混合物を規定するために、一定した組成
でなく組成範囲がしばしば用いられる。
*組成は、特に、HFC-134a(「A」)とフッ素化ハロカーボン(「B」)とのあるい
はHFC-134(「C」)とフッ素化ハロカーボン(「D」)との特定の重量百分率の関係ま
たはモル百分率の関係として規定されうる
とはいえ、このような特定の値はただ一つの特定の関係のみを指し示すのであり
、また実際には所与の共沸混合物についてA、B、C、D)によって表わされる
一連の上記のような関係が実際に存在し、それが圧力の影響下で変化することが
認められる。
*特に、HFC-134a(「A」)とフッ素化ハロカーボン(「B」)とのまたはHFC-134(「
C」)とフッ素化ハロカーボン(「D」)との共沸混合物は、所与の圧力での沸点によ
って特徴づけられる共沸混合物として組成物を特徴づけることができ、従って利
用できる分析機器によって制約されまた同機器なみの精度しかない特定的な数値
的組成によって本発明の範囲を不当に制限することなく、同定のための特徴づけ
がなされる。
本発明の共沸混合物または共沸混合物様組成物は、本発明の抽出蒸留方法を実
施する場合は慣用的な蒸留装置を操作することにより、そして特に混合、合体を
含めての任意の便利な方法によって有効量の成分を一緒にすることによってつく
られてよい。最良の結果を得るのに好ましい方法は、所望の量の成分を秤量した
後それらを適当な容器内で一緒にすることである。
HFC-134aおよびHFC-134は、上記に規定した共沸混合物的組成物または共沸混
合物様組成物を慣用的な蒸留方法で使用することを含む方法においてこれらの共
沸混合物的組成物または共沸混合物様組成物を使用することにより精製すること
ができる。例えばこれらの共沸混合物を形成させる温度および圧力において慣用
的な蒸留塔が操作される。共沸混合物的組成物または共沸混合物様組成物が最高
沸点または最低沸点を有するかに従って、組成物はそれぞれ塔底物中にあるいは
塔頂製品として収集されよう。例をあげるならば、例
えばHFC-134a/HCFC-1122またはHFC-134a/CFC-12から実質的になる共沸混合物
的組成物または共沸混合物様組成物は塔頂製品として収集され、一方HFC-152a/
HFC-134から実質的になる組成物は慣用的蒸留塔の塔底物中に収集される。塔頂
からの組成物の場合、共沸混合物的組成物または共沸混合物様組成物は収集され
そして凝縮されうる。いずれの場合も、回収された共沸混合物的組成物または共
沸混合物様組成物はテトラフルオロエタンとフッ素化ハロカーボン不純物とを含
有する。回収された組成物は所望なら、前述した本発明の方法に従って処理され
る第1の混合物つまり供給物流として使用でき、例えば、大部分の量のフルオロ
カーボン不純物を除去するために共沸蒸留を用いることができ、この場合、共沸
混合物は抽出蒸留を用いることにより続いて分離される。
以下の実施例は本発明のいくつかの態様を例示するために示されるのであり、
添付の請求の範囲を限定はしない。百万部あたりの部(ppm)で表わす濃度はフル
オロカーボンの重量を基準ともする。つまり別記ない限り、濃度は抽出剤を含ま
ない基準で表示される。以下の実施例では上記したNRTL相互作用パラメータが使
用される。以下の実施例において各蒸留塔は、運転効率または性能効率100%を
基準とする。各蒸留法の性能を最大化するために、抽出蒸留では比較例とは異な
る塔の設計および操作条件を採用した。各比較例では慣用的蒸留を示しそしてそ
の直後に、同一の出発組成物に応用される本発明の抽出蒸留の使用を示す実施例
を記載する。すべての例において塔の凝縮器は第1の蒸留段に数える。
比較例 1
本比較例においては、50wt%のHFC-134と50wt%のHFC-134aとを
含有する2000ポンド/時の供給物流を精製するために62段を有する塔内での慣用
的蒸留を用いた。供給物を−5℃の温度で40段に供給した。塔の凝縮器圧力は34
.7psiaであり、塔底圧力はこれより3psi高かった。留出物温度は−5.1℃であり
、また塔底温度は還流の流量に従って0.1〜3.4℃と変化した。これらの操作条件
下でHFC-134a製品は塔頂物(留出物)流となって塔から流出した。HFC-134製品は
塔底物流となって流出した。HFC-134a塔頂製品中のHFC-134が100ppmである組成
に合格するように条件を設定しまたHFC-134製品の回収率およびHFC-134の最終的
な流れの純度に対する影響を示すように還流の流量を変化させた。
この慣用的な方法を用いた結果を下記の表4に示す。
所望の純度のHFC-134aを93%回収するために、150,000ポンド/時より大きい
還流流量が必要であった。蒸留塔の塔底から流出するHFC-134は回収されたHFC-1
34aに見合った純度を有するようにさらに精製する必要があろう。
実施例 1
本発明のこの例においては、50wt%のHFC-134と50wt%のHFC-
134aとを含有する2000ポンド/時の供給物流を精製するために67段を有する抽出
蒸留塔を使用した。供給物を50段に、メタノール抽出剤を15段にともに−5℃で
導入した。塔の凝縮器圧力は34.7psiaであり、塔底圧力はこれより3psi高かっ
た。留出物温度は−5.1℃であり、また塔底温度は抽出剤の流量に従って82〜87
℃と変化した。これらの操作条件下でHFC-134a製品は塔頂物(留出物)流となっ
て塔から流出したであろう。HFC-134製品はメタノールとともに塔底流となって
流出した。HFC-134a塔頂製品中のHFC-134が10ppmであるという組成に合格するよ
うに条件を設定しまた塔底製品の純度に対する影響を示すように抽出剤の供給速
度を変化させた。
本発明の抽出蒸留方法を用いた結果を下記の表5を示す。
表5は、抽出蒸留剤としてメタノールを使用することにより、塔頂製品と塔底
製品とがともに純粋である、つまり製品が10〜13ppmの不純物を含有することま
たそれぞれの回収率が約100%であることを示す。本例においては塔頂物流は、0
.01ppmより少ないメタノールを含有し、これは所望なら水での抽出により除去で
きる。
比較例1において不純物の水準を比較すると塔頂物では10ppmそして塔底物で
は6.6%(66,000ppm)であった。
比較例 a
本比較例においては、1000ポンド/時のHFC-134と5ポンド/時のHFC-152aと
を含有する(名目的濃度が5000ppmである)1005ポンド/時の供給物流を精製する
ために、62段を有する塔内で慣用的蒸留を実施した。供給物を−5℃で25段に導
入した。塔の凝縮器の圧力は34.7psiaでありまた塔底圧力はこれより3psi高か
った。留出物温度は1.7℃でありまた塔底温度は4.0℃であった。
この蒸留工程の結果を下記の表6に示す。目標は純粋なHFC-134を塔頂製品と
して得るための要件としてできるだけ多くのHFC-134とともにHFC-152aを塔底物
として除去することであった。
表6はこれらの化合物を分離するために慣用的蒸留が有効でないことを例示す
る。HFC-152aとHFC-134との間で共沸混合物が形づくられるので回収効率は限定
される。しかしながら本例は、共沸蒸留を用いることにより、HFC-152aとHFC-13
4とからなる第1の混合物からHFC-152aの濃度がいかに減少されうるかを例示す
る。
実施例 2
本発明の方法のこの実施例においては、比較例2におけるのと同じ供給物流を
精製するために57段を有する抽出蒸留塔内で抽出蒸留を実施した。供給物を40段
にそしてメタノール抽出剤を15段にとも
に−5℃で供給した。塔の凝縮器圧力は34.7psiaでありまた塔底圧力はこれより
3psi高かった。留出物温度は−3.1℃でありまた塔底温度は抽出剤の流量に従っ
て82〜86℃と変化した。これらの操作条件下でHFC-134製品はメタノール抽出剤
とともに塔底物流となって塔から流出したであろう。HFC-134塔底製品中のHFC-1
52aが10ppmであるという組成に合格するように条件を設定した。
抽出蒸留工程の結果を下記の表7に示す。
メタノールを抽出剤として使用することにより、塔頂製品と塔底製品とがとも
に純粋であった。塔頂物は0.01ppmより少ないメタノールを含有したが、これは
所望ならば水での抽出により除去できる。
比較例 3
この比較例においては、1000ポンド/時のHFC-134と5ポンド/時のHCFC-124a
とを含有する(名目的な濃度が5000ppmである)1005ポンド/時の供給物流を精
製するために、比較例2に記載した塔で慣用的蒸留を実施した。供給物を−5℃
で25段に導入した。塔の凝縮器圧力は34.7psiaであり、塔底圧力はこれより3ps
i高かった。留出物温度は1.7℃であり、また塔底温度は4℃であった。
この慣用的蒸留工程の結果を下記の表8に示す。目標は塔底物と
して純粋なHFC-134を得る要件としてHFC-134とともに塔頂製品としてHCFC-124a
を除去することであった。
表8に示す還流比を用いることにより、HCFC-124aは混合物から効果的に除去
されなかった。HFC-134aとHCFC-124aとの間で共沸混合物が形成されるので回収
効率は限定される。しかしながら本例は、共沸蒸留を用いることにより、HFC-13
4aとHCFC-124aとからなる第1の混合物からHCFC-124aの濃度がいかに減少されう
るかを例示する。
実施例 3
本発明のこの例においては、比較例3におけるのと同じ供給物流を精製するた
めに57段を有する塔内で抽出蒸留を実施した。供給物およびメタノール抽出剤は
実施例2と同じ条件で供給した。留出物温度は1.7℃であり、また塔底温度は抽
出剤の流量に従って88〜90℃と変化した。これらの操作条件下でHFC-134製品は
塔頂流として塔から流出したであろう。HFC-134留出物製品中のHCFC-124aが10pp
mであるという組成に合格するように条件を設定した。塔底物の組成に対する影
響を示すように抽出剤の供給量を変化させた。
この抽出蒸留工程の結果を下記の表9に示す。
流量7500ポンド/時またはそれ以上のメタノールを抽出剤として使用すること
により、実質的に純粋なHFC-134の組成物を収率約100%で塔頂物として得た。塔
頂物はまた0.9〜1.3ppmと変化する比較的少量のメタノールも含有したが、これ
は所望なら水での抽出によって除去できた。
比較例 4
この比較例においては、1000ポンド/時のHFC-134と5ポンド/時のCFC-115と
を含有する(名目上の濃度が5000ppmである)1005ポンド/時の供給物流を精製
するために、比較例2に記載の塔および供給物の条件において実施した。留出物
温度は−19℃でありまた塔底温度は4℃であった。これらの操作条件の下でHFC-
134製品は塔底流として塔から流出したであろう。CFC-115不純物はHFC-134との
共沸混合物として塔頂流となって流出した。
この慣用的蒸留工程の結果は下記の表10に示す。
表10はHFC-134の一部が塔頂物として共沸混合物を形づくりそして塔頂物のCFC
-115の純度が比較的低いことを示す。HFC-134とCFC-115との間で共沸混合物が形
づくられるのでHFC-134の回収効率は限定される。しかし本例は、共沸蒸留を用
いることによりHFC-134とCFC-115とを含む第1の混合物からCFC-115の濃度がい
かに減少されうるかを例示する。
実施例 4
本発明のこの例においては比較例4におけるのと同じ供給物流を精製するため
に、実施例2に記載した塔および供給物の条件で抽出蒸留を実施した。留出物温
度は−18℃であり、また塔底温度は抽出剤の流量に従って23〜49℃と変化した。
これらの操作条件下でHFC-134製品は抽出剤とともに塔底流として塔から流出し
たであろう。HFC-134塔底製品中のCFC-115が10ppmであるという組成に合格する
ように条件を設定し、そして塔頂物の組成に対する影響を示すように抽出剤の供
給量を変化させた。
この抽出蒸留方法の結果を下記の表11に示す。
メタノールを抽出剤として使用することにより、CFC-115とHFC-134との分離を
比較例4よりも改善することができた。塔頂物もまた比較的少量の例えば1.5〜1
.8ppmと変化する抽出剤メタノールを
含有するがこれは所望なら水での抽出で除去できる。
比較例 5
本比較例では1000ポンド/時のHFC-134と5ポンド/時のCFC-12とを含有する
(名目的な濃度が5000ppmである)1005ポンド/時の供給物流を精製するために
比較例2に記載された塔および供給物の条件で慣用的蒸留を実施した。留出物温
度は−10℃であり、塔底温度は40℃であった。
この慣用的蒸留の結果は下記の表12に示す。
表12はHFC-134の一部が塔頂物として共沸混合物を形づくり、また塔頂物のCFC
-12の純度が比較的低いことを示す。
実施例 5
本発明のこの例においては比較例5に記載したのと同じ供給物流を精製するた
めに、実施例2に記載した塔および供給物の条件で抽出蒸留を実施した。供給物
は40段に、そしてメタノール抽出剤は15段に導入した。留出物温度は−6.0〜−7
5℃と変化し、また塔底温度は抽出剤の流量に従って23〜62℃と変化した。これ
らの操作条件下でHFC-134製品は抽出剤とともに塔底流として塔から流出したで
あろう。HFC-134塔底製品中のCFC-12が1ppmであるという組成に合格するように
条件を設定し、そして塔頂物の組成に対する影響を示
すように抽出剤の供給量を変化させた。
この抽出蒸留の結果を下記の表13に示す。
メタノールを抽出剤として使用することにより、CFC-12とHFC-134とを実質的
に完全に分離することができた。塔頂物はやはり比較的少量の例えば0.01〜0.04
ppmと変化するメタノールを含有するが、このような量は所望なら水での抽出に
より除去できた。
比較例 6
この比較例においては、1000ポンド/時のHFC-134と333ポンド/時のCFC-12と
を含有する(名目的な濃度は25%である)1333ポンド/時の供給物流を精製する
ために、62段を有する塔で慣用的蒸留を実施した。供給物を−5℃で25段に導入
した。塔の凝縮器圧力は34.7psiaであり、塔底圧力はこれより3psi高かった。
留出物温度は−13℃であり、また塔底温度は−3℃であった。
この慣用的蒸留の結果を下記の表14に示す。
HFC-134aを塔頂物として回収できたが、回収率および純度は比較的近かった。
HFC-134aとCFC-12との間で共沸混合物が形づれられるので、HFC-134aの回収効率
は限定された。しかしこの例は共沸蒸留を用いることによってHFC-134aとCFC-12
とを含む第1の混合物からCFC-12の濃度をいかに減少しうるかを示す。
実施例 6
本発明のこの例においては、比較例6に記載したのと同じ供給物流を精製する
ために57段を有する塔内で抽出蒸留を実施した。供給物およびメタノール抽出剤
は実施例2に記載したのと同じ条件および位置で供給した。留出物温度は−12〜
−7.5℃と変化し、また塔底温度は抽出剤の流量に従って48〜77℃と変化した。
これらの操作条件下でHFC-134a製品は抽出剤とともに塔底流として塔から流出し
たであろう。HFC-134塔底製品中のCFC-12が10ppmであるという組成に合格するよ
うに条件を設定し、そして塔頂物の組成に対する影響を示すように抽出剤の供給
量を変化させた。
この抽出蒸留工程の結果を下記の表15に示す。
メタノールを抽出剤として使用することにより、CFC-12とHFC-134aとを実質的
に完全に分離した。塔頂物はやはり比較的少量の例えば0.34〜0.97ppmと変化す
るメタノールを含有するが、このような量は所望なら水での抽出により除去でき
た。
比較例 7
本比較例では1000ポンド/時のHFC-134aと5ポンド/時のHCFC-31とを含有す
る(名目的な濃度が5000ppmである)1005ポンド/時の供給物を精製するために
比較例2に記載された塔および供給物の条件で慣用的蒸留を実施した。留出物温
度は−5℃であり、塔底温度は還流量に従って−2.4〜−2.9℃であった。
この慣用的蒸留の結果を下記の表16に示す。
塔頂製品としてのHFC-134aの回収率は50%であった。HFC-134aの回収率は比較
例高い例えば50:1の還流比を用いることにより約92
%まで増加できた。
実施例 7
本発明のこの実施例においては、比較例7におけるのと同じ供給物流を精製す
るために実施例2に記載した塔および供給物の条件で抽出蒸留を実施た。供給物
を40段にそしてメタノール抽出剤を15段に導入した。留出物温度は−5.1℃であ
りまた塔底温度は90℃であった。これらの操作条件下でHFC-134a製品は塔頂流と
なって塔から流出したであろう。HFC-134a塔頂製品中のHCFC-31が10ppmであると
いう組成に合格するように条件を設定した。
抽出蒸留の結果を下記の表17に記載する。
メタノールを抽出剤として使用することにより、塔頂物および塔底物を実質的
に純粋な製品として回収した。塔頂物はまた0.6ppmのメタノールを含有したが、
これは所望ならば水での抽出により除去できた。
比較例 8
本比較例においては比較例4に記載の蒸留塔で慣用的な蒸留を実施した。供給
物は同一であったが、ただし主要な成分がHFC-134でなくHFC-134aであった。操
作条件もまた同一であったが、ただし留出物温度が−20℃でありまた塔底温度−
2.9%であった。HFC-134a製品は塔底物流となって塔から流出しまたCFC-115の不
純物はHFC-134aとの共沸混合物として塔頂物流中で流出した。
この慣用的蒸留の結果を表18に示す。
表18はHFC-134aの一部が塔頂物として共沸混合物を形づくること、また塔頂物
CFC-115の純度が比較的低いことを示す。HFC-134aとCFC-115との間で共沸混合物
が形づくられるので、HFC-134aの回収効率は限定された。しかしこの例は共沸蒸
留を用いることによってHFC-134aとCFC-115とを含む第1の混合物からCFC-115の
濃度をいかに減少しうるかを示す。
実施例 8
本発明のこの例においては比較例8におけるのと同じ供給物流を精製するため
に、実施例4に記載した塔および供給物の条件で抽出蒸留を実施した。供給物は
40段に、そしてメタノール抽出剤は15段に導入した。留出物温度は−18℃であり
、また塔底温度は抽出剤の流量に従って10〜32℃と変化した。これらの操作条件
下でHFC-134a製品は抽出剤とともに塔底流として塔から流出したであろう。HFC-
134a塔底製品中のCFC-115が10ppmであるという組成に合格するように条件を設定
し、そして塔頂物の組成に対する影響を示すように抽出剤の供給量を変化させた
。
抽出蒸留の結果を下記の表19に示す。
表19は抽出剤としてメタノールを使用することにより、CFC-115を実質的に含
まないHFC-134aが回収でき、また実質的にHFC-134aを含まないものとしてCFC-11
5が回収できることを示す。塔頂物は比較的少量の例えば1.5〜1.8ppmと変化する
メタノールをやはり含有したが、この量は所望なら水での抽出により除去できた
。
比較例 9
本比較例では1000ポンド/時のHFC-134aと5ポンド/時のHCFC-1122とを含有
する(名目的な濃度が5000ppmである)1005ポンド/時の供給物流を精製するため
に比較例2に記載された塔および供給物の条件で慣用的蒸留を実施した。留出物
温度は還流比に従って−5.3〜−6.4℃であり、塔底温度は−2.9℃であった。
この慣用的蒸留の結果を下記の表20に示す。
HFC-134aとCFC-115との間で共沸混合物が形づくられるので、HFC-134aの回収
効率は限定された。しかしこの例は共沸蒸留を用いることによってHFC-134aとCF
C-115とを含む第1の混合物からCFC-115の濃度をいかに減少しうるかを示す。
実施例 9
本発明の方法のこの実施例においては、比較例9に記載したのと同じ供給物流
を精製するために57段を有する塔内で抽出蒸留を実施した。供給物を40段にそし
てメタノール抽出剤を15段にともに−5℃で供給した。塔の凝縮器圧力は34.7ps
iaでありまた塔底圧力はこれより3psi高かった。留出物温度は−5.1℃でありま
た塔底温度は抽出剤の流量に従って88〜91℃と変化した。これらの操作条件下で
HFC-134a製品は塔頂流となって塔から流出したであろう。HFC-134a塔頂製品中の
HCFC-1122が100ppmであるとう組成に合格するように条件を設定した。
抽出蒸留工程の結果を下記の表21に示す。
メタノールを抽出剤として使用することにより製品回収率は99.8%もの高さに
増大した。塔頂物は0.03ppmのメタノールをやはり含有したが、これは所望なら
水での抽出により除去できた。
上記の諸実施例はHFC-134aとHFC-134とを互いに分離しまた多く
のフルオロカーボンから分離するために抽出剤が使用できることを例示する。あ
る場合には、一つまたはそれより多くの抽出剤を組合わせて使用できる。例えば
抽出剤の混合物を使用することにより、抽出剤の費用を最少化しながら所望の純
度を有するHFC-134aを得るように本発明の方法を最大化することができる。ある
いは別に、本発明の方法の効率を最大化するために、一つまたはそれ以上の化学
的に関連するまたは別個である一連の抽出剤を使用することができる。
実施例 10
本実施例はCFC-115とHFC-134;HFC-134とHCFC-124a;HFC-152aとHFC-134;CFC
-12とHFC-134a;CFC-115とHFC-134a:HFC-134aとHCFC-1122から実質的になる二
元的な一組の混合物の間に共沸混合物的組成物および共沸混合物様組成物が存在
することを例証する。
各々の二元的な一組の比揮発度を測定するためにいわゆるPTx法を使用した。
この方法においてはそれぞれの二元的な一組について、既知のPTxセル内の全絶
対圧を既知の様々な二元組成物に関して一定の温度で測定した。これらの測定値
は次いで、NRTL式を用いてセル内の平衡気液組成へと転換した。選択した蒸気と
液体との組の試料を得、そしてそれら各々の組成を確認するように分析を行った
。
CFC-115/HFC-134;HFC-134/HCFC-124a;HFC-152/HFC-134;CFC-12/HFC-13
4a;CFC-115/HFC-134a;およびHFC-134a/HCFC-112の各系について、測定した
蒸気圧をPTxセル中の組成と対比させて図2〜7にそれぞれ示す。各図において
実験上のデータ点は黒丸で示したコンピュータモデルを用いて曲線を描いた。
次に図2を参照するとして、同図は11.2℃において約72.4モル%
のCFC-115と27.6モル%のHFC-134とから実質的になる混合物が組成に関する範囲
にわたって最高の圧力を有することから示されるごとく、CFC-115とHFC-134とか
ら実質的になる共沸混合物的組成物および共沸混合物様組成物がこの温度におい
て形づくられることをグラフ的に例示する。この知見に基いて、−50℃および8.
8psiaにおいて約93モル%のCFC-115の7モル%のHFC-134との共沸混合物的組成
物または共沸混合物様組成物が形成され、また55℃および326psiaにおいて約65.
9モル%のCFC-115と約34.1モル%のHFC-134との共沸混合物的組成物または共沸
混合物様組成物が形成されるということが計算された。従って本発明では8.8psi
aでの約−50℃から326psiaでの約55℃の沸点を有する、約65〜約93モル%のCFC-
115と約35〜7モル%のHFC-134とから実質的になる共沸混合物的組成物または共
沸混合物様組成物が提供される。
次に図3を参照するとして、同図は−0.2℃において約96.9モル%のHFC-134と
3.1モル%のHCFC-124aとから実質的になる混合物が組成に関する範囲にわたって
最高の圧力を有することから示されるごとく、HFC-134とHCFC-124aとから実質的
になる共沸混合物的組成物および共沸混合物様組成物がこの温度において形づく
られることをグラフ的に例示する。この知見に基いて、−20℃および14.4psiaに
おいて約99.9モル%のHFC-134と0.1モル%のHCFC-124aとの共沸混合物的組成物
または共沸混合物様組成物が形成され、また60℃および199psiaにおいて約91.9
モル%のHFC-134と約8.1モル%のHCFC-124aとの共沸混合物的組成物または共沸
混合物様組成物が形成されるということが計算された。従って本発明では14.4ps
iaでの約−20℃から199psiaでの約60℃の沸点を有する、約91〜約99.9モル%の
HFC-134と約9〜0.1モル%のHCFC-124aとから実質的になる共沸混合物的組成物
または共沸混合物様組成物が提供される。
次に図4を参照するとして、同図は10℃において約93.7モル%のHFC-134と6.3
モル%のHFC-152aとから実質的になる混合物が組成に関する範囲にわたって最高
の圧力を有することから示されるごとく、HFC-152aとHFC-134とから実質的にな
る共沸混合物的組成物および共沸混合物様組成物がこの温度において形づくられ
ることをグラフ的に例示する。この知見に基いて、−25℃および11.5psiaにおい
て約99.9モル%のHFC-134と0.1モル%のHFC-152aとの共沸混合物的組成物または
共沸混合物様組成物が形成され、また50℃および153psiaにおいて約83.1モル%
のHFC-134と約16.9モル%のHFC-152aとの共沸混合物的組成物または共沸混合物
様組成物が形成されるということが計算された。従って本発明では11.5psiaでの
約−25℃から153psiaでの約50℃の沸点を有する、約83.1〜約99.9モル%のHFC-1
34と約16.9〜約0.1モル%のHFC-152aとから実質的になる共沸混合物的組成物ま
たは共沸混合物様組成物が提供される。
次に図5を参照するとして、同図は0℃において約58.3モル%のCFC-12と41.7
モル%のHFC-134aとから実質的になる混合物が組成に関する範囲にわたって最高
の圧力を有することから示されるごとく、CFC-12とHFC-134aとから実質的になる
共沸混合物的組成物および共沸混合物様組成物がこの温度において形づくられる
ことをグラフ的に例示する。この知見に基いて、−50℃および6.8psiaにおいて
約62.8モル%のCFC-12と37.2モル%のHFC-134aとの共沸混合物的組成物または共
沸混合物様組成物が形成され、また50℃および235psiaにおいて約46.9モル%のC
FC-12と約53.1モル%のHFC-134aとの共沸
混合物的組成物または共沸混合物様組成物が形成されるということが計算された
。従って本発明では6.8psiaでの約−50℃から235psiaでの約50℃の沸点を有する
、約46.9〜約62.8モル%のCFC-12と約53.1〜約37.2モル%のHFC-134aとから実質
的になる共沸混合物的組成物または共沸混合物様組成物が提供される。
次に図6を参照するとして、同図は25℃において約67.9モル%のCFC-115と32.
1モル%のHFC-134aとから実質的になる混合物が組成に関する範囲にわたって最
高の圧力を有することから示されるごとく、CFC-115とHFC-134aとから実質的に
なる共沸混合物的組成物および共沸混合物様組成物がこの温度において形づくら
れることをグラフ的に例示する。この知見に基いて、−50℃および9.4psiaにお
いて約80.5モル%のCFC-115と19.5モル%のHFC-134aとの共沸混合物的組成物ま
たは共沸混合物様組成物が形成され、また60℃および330psiaにおいて約63.1モ
ル%のCFC-115と約36.9モル%のHFC-134aとの共沸混合物的組成物または共沸混
合物様組成物が形成されるということが計算された。従って本発明では9.4psia
での約−50℃から330psiaでの約60℃の沸点を有する、約63.1〜約80.5モル%のC
FC-115と約36.9〜約19.5モル%のHFC-134aとから実質的になる共沸混合物的組成
物または共沸混合物様組成物が提供される。
次に図7を参照するとして、同図は35℃において約15.6モル%のHCFC-1122と8
4.4モル%のHFC-134aとから実質的になる混合物が組成に関する範囲にわたって
最高の圧力を有することから示されるごとく、HFC-134aとHCFC-1122とから実質
的になる共沸混合物的組成物および共沸混合物様組成物がこの温度において形づ
くられることをグラフ的に例示する。この知見に基いて、−50℃および5.0psia
において約39.3モル%のHCFC-1122と60.7モル%のHFC-134aとの共沸混合物的組
成物または共沸混合物様組成物が形成され、また40℃および149psiaにおいて約1
6.1モル%のHCFC-1122と約83.9モル%のHFC-134aとの共沸混合物的組成物または
共沸混合物様組成物が形成されるということが計算された。従って本発明では5.
0psiaでの約−50℃から149psiaでの約40℃の沸点を有する、約16.1〜約39.3モル
%のHCFC-1122と約83.9〜約60.7モル%のHFC-134aとから実質的になる共沸混合
物的組成物または共沸混合物様組成物が提供される。
本発明のいくつかの態様を特に詳細に述べたが、当技術に熟達する者なら、他
の態様および変改が添付の請求の範囲によって包含されることを理解するであろ
う。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1996年1月19日
【補正内容】
請求の範囲
1.1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびフ
ルオロカーボン不純物を含む第1の混合物に少くとも一つのアルコールからなる
少くとも一つの抽出剤を添加して第2の混合物をつくり、
抽出蒸留帯内で第2の混合物を抽出蒸留することにより第2の混合物中のテ
トラフルオロエタン異性体から少くとも一つのフルオロカーボン不純物を分離し
、
これによって必要ならば、抽出剤とフルオロカーボン不純物とを含む第3の
混合物をつくりそしてこの第3の混合物から抽出剤を分離し、そして
少くとも一つのテトラフルオロエタン異性体を回収する
ことからなる上記の第1の混合物中のテトラフルオロエタン異性体を精製する
方法。
2.1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびフ
ルオロカーボン不純物を含む第1の混合物に少くとも一つのアルコールからなる
少くとも一つの抽出剤を添加して第2の混合物をつくり、
抽出蒸留帯内で第2の混合物を抽出蒸留することにより第2の混合物中の1,
1,2,2−テトラフルオロエタンから1,1,1,2−テトラフルオロエタンを分離し、そ
してそれによって1,1,2,2−テトラフルオロエタンを回収しそして抽出剤、1,1,1
,2−テトラフルオロエタンおよびフルオロカーボン不純物を含む第3の混合物を
つくり、そして
必要ならばこの第3の混合物から1,1,2,2−テトラフルオロエタン
を分離することからなる上記の第1の混合物中のテトラフルオロエタン異性体を
分離する方法。
3.1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびフ
ルオロカーボン不純物を含む第1の混合物に少くとも一つの抽出剤を添加して第
2の混合物をつくり、
抽出蒸留帯内で第2の混合物を抽出蒸留することにより第2の混合物中の別
な異性体およびフルオロカーボン不純物から異性体のうちの実質的に一つだけを
分離することによって、実質的に純粋でありまた他の異性体を実質的に含まない
ように分離された異性体を回収し、そして
必要に応じて、抽出剤、フルオロカーボン不純物および異性体の一つを含む
第3の混合物を塔底物流においてつくる
ことからなる上記の第1の混合物から、精製されたテトラフルオロエタン異性
体を製造する方法。
4.1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびフ
ルオロカーボン不純物を含む第1の混合物に少くとも一つのアルコールからなる
少くとも一つの抽出剤を添加して第2の混合物をつくり、
抽出蒸留帯内で第2の混合物を抽出蒸留することにより第2の混合物中の1,
1,2,2−テトラフルオロエタンから1,1,1,2−テトラフルオロエタンを分離するこ
とにより、抽出剤、1,1,1,2−テトラフルオロエタンを実質的に含まない1,1,2,2
−テトラフルオロエタンおよびフルオロカーボン不純物を含む第3の混合物をつ
くり、そして
必要ならこの第3の混合物から1,1,2,2−テトラフルオロエタンを
分離する
ことからなる上記の第1の混合物中のテトラフルオロエタン異性体を分離する
方法。
5.抽出剤がメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールならびにこれ
らの環式化合物および異性体化合物からなる群から選択される少くとも一つのア
ルコールからなる、請求項1、2、3または4に記載の方法。
6.回収されたテトラフルオロエタン異性体が蒸留されて、実質的に純粋なテト
ラフルオロエタンが得られる、請求項1、2、3または4に記載の方法。
7.回収されたテトラフルオロエタン異性体が水で抽出されて抽出剤が除去され
、実質的に純粋なテトラフルオロエタンが得られる、請求項1、2、3または4
に記載の方法。
8.フルオロカーボン不純物がクロロフルオロメタン(HCFC-31)、クロロジフル
オロメタン(HCFC-22)、2−クロロ−1,1−ジフルオロエチレン(HCFC-1122)
、1−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HCFC-124a)、クロロペンタフ
ルオロエタン(CFC-115)、ジクロロジフルオロメタン(CFC-12)および1,1−ジ
フルオロエタン(HFC-152a)からなる群に属する少くとも一つからなる、請求項1
、2、3または4に記載の方法。
9.抽出剤、フルオロカーボン不純物および異性体の一つからなる第3の混合物
を塔底流において形づくりそしてこの第3の混合物から異性体を分離することを
さらに包含し、この分離された異性体が他の異性体を実質的に含まない、請求項
3または4に記載の方法。
10.回収されるテトラフルオロエタン異性体がフルオロカーボン不純物を実質的
に含まない請求項1記載の方法。
11.回収される1,1,1,2−テトラフルオロエタンが1,1,2,2−テトラフルオロエタ
ンを実質的に含まない請求項2記載の方法。
12.回収される異性体が実質的に純粋であり、また他の異性体を実質的に含まな
い請求項3記載の方法。
13.第2の混合物中の抽出剤とテトラフルオロエタンとの比が2:1〜10:1の
範囲にある、請求項1、2、3また4に記載の方法。
14.抽出蒸留が約−25℃〜200℃の温度で実施される請求項1、2、3または4
に記載の方法。
15.抽出蒸留が約15〜350psiaの圧力で実施される、請求項1、2、3また4に
記載の方法。
16.8.8psiaでの約−50℃から326psiaでの約55℃までの沸点を有する、約65〜約
93モル%のCFC-115と約35〜7モル%のHFC-134とから実質的になる共沸混合物的
組成物または共沸混合物様組成物。
17.14.4psiaでの約−20℃から199psiaでの約60℃までの沸点を有する、約91〜
約99.9モル%のHFC-134と約9〜0.1モル%のHCFC-124aとから実質的になる共沸
混合物的組成物または共沸混合物様組成物。
18.11.5psiaでの約−25℃から153psiaでの約50℃までの沸点を有する、約83.1
〜約99.9モル%のHFC-134と約16.9〜約0.1モル%のHFC-152aとから実質的になる
共沸混合物的組成物または共沸混合物様組成物。
19.6.8psiaでの約−50℃から235psiaでの約50℃までの沸点を有する、約46.9〜
約62.8モル%のCFC-12と約53.1〜約37.2モル%のHFC-134aとから実質的になる共
沸混合物的組成物または共沸混合物様組成物。
20.9.4psiaでの約−50℃から330psiaでの約60℃までの沸点を有する、約63.1〜
約80.5モル%のCFC-115と約36.9〜約19.5モル%のHFC-134aとから実質的になる
共沸混合物的組成物または共沸混合物様組成物。
21.5.0psiaでの約−50℃から149psiaでの約40℃までの沸点を有する、約16.1〜
約39.3モル%のHCFC-1122と約83.9〜約60.7モル%のHFC-134aとから実質的にな
る共沸混合物的組成物または共沸混合物様組成物。
22.HFC-134とCFC-115、HCFC-124aおよびHFC-152aからなる群に属する一つの有
効量とから実質的になる共沸混合物的組成物または共沸混合物様組成物。
23.HFC-134aとCFC-12、CFC-115およびHCFC-1122からなる群に属する一つの有効
量とから実質的になる共沸混合物的組成物または共沸混合物様組成物。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,C
Z,EE,FI,GE,HU,JP,KG,KP,KR
,KZ,LK,LR,LT,LV,MD,MG,MN,
MX,NO,NZ,PL,RO,RU,SG,SI,S
K,TJ,TT,UA,UZ,VN