【発明の詳細な説明】
バリヤパッケージ
発明の分野
本発明は、一緒にラミネートされてレンズ、特に眼科用レンズを形成するタイ
プのレンズウエハを貯蔵するための湿気バリヤパッケージ、および湾曲変化を最
小にするようにレンズウエハを貯蔵する方法に関する。
発明の背景
眼科用レンズは、従来1つの一体型のガラスまたはプラスチックとして形成さ
れていた。このようなレンズを特別に規定された仕様に合うように研磨または成
形するには、高価な装置、高度に熟練した技術、および相当の時間が必要である
。2つのレンズウエハが透明な接着剤と一緒に結合されるラミネートされたレン
ズ構築物を用いて、眼科用レンズがより速い方法で経済的に作製され得ることが
見出されている。各レンズウエハは、ほぼ湾曲した形状を有する2つの表面(前
面および後面)を有する。代表的には、2重レンズウエハを備えるラミネート眼
科用レンズの作製において、一方のウエハの前面は、他方のウエハの後面に結合
し、これらの境界面の外形が一致しなければならない。原理的には、任意に与え
られるレンズウエハの前面および後面の両方は、結合または境界面として役立ち
得る。ラミネートによって所望の規定を有する眼科用レンズが製造されることを
確実にするためには、レンズウエハ表面が元の形態から曲がらないことが重要で
ある。レンズウエハは、例えば、米国特許第5,149,181号、第4,867,553号、およ
び第4,645,317号、ならびに英国特許出願GB 2,260,937A号に記載されている。
ラミネート構築物は、種々の形態の予め作製された比較的少量のストックのレ
ンズウエハから、任意の多くの異なる光学パラメーターの組合わせを有するレン
ズの組立てを可能にする。レンズのパワー(power)は2つのウエハのパワーの合
計であるので、異なる組合わせのウエハを対にして用いること(pairing)は、例
えば、任意の多くの異なるパワーを有するレンズを提供し得る。
しかし、眼の治療を行う専門家は、このようなレンズウエハが有する問題に直
面している。所定の光学的パワーを有するレンズが一貫して生産され得ないこと
、完全なレンズの最終的なパワーが所望のパワーからずれること、および最終的
なパワーを充分に予想することができないことが見出されている。このパワーの
一部のずれが、レンズの製造後のレンズウエハの形状の変化、および一緒にラミ
ネートされて、最終レンズを形成する前のレンズウエハの形状の変化、および特
に、最終レンズ内に存在する面(すなわち、境界面)の湾曲の変化に寄与され得
ることが見出されている。
発明の要旨
本発明は、レンズの湾曲の不安定性のレベルを最小にすることによって、所望
のパワーを有するラミネート眼科用レンズを製造するレンズウエハを提供する。
このようなレンズウエハは、ウエハを使用する用意ができるまで貯蔵する湿気バ
リヤパッケージ中またはフィルムコーティング中でウエハをカプセル化すること
によって製造される。レンズウエハをこのような方法で貯蔵することによって、
ウエハが大気の湿度の変化に曝されることがかなり低減する。本発明の局面は、
光学デバイスにおける使用のために、湿度が平衡に保たれた精度のレンズウエハ
を提供することである。
本発明の特徴は、本発明の湿気バリヤパッケージまたはフィルムがレンズウエ
ハ内の湿度の一様な分布を促進することである。さらに、一旦レンズウエハ内の
湿度レベルが平衡に達すると、含水量は、外部環境の相対湿度が変動し得る場合
でさえ、パッケージ内で一様に分布される。その結果、カプセル化されたレンズ
ウエハは一定の光学湾曲を有し、そしてカプセル化されたレンズウエハから作製
された、ラミネートレンズは所望のパワーを有する。
従って、構成の局面の一つにおいて、本発明は、好ましくは以下を含むレンズ
ウエハを貯蔵するのに適切なパッケージに関する:金属層とシール可能な内部層
とを含む多層バリヤ材料;該多層バリヤ材料は、その中でレンズウエハを包み込
むのに適合したシール可能なポケットを規定しており、該多層バリヤ材料は、約
0.005グラム/100平方インチ/日未満の水蒸気伝達速度を有する。
他の構成の局面において、本発明はまた、90%の相対湿度および100°Fで、約
0.005グラム/100平方インチ/日未満の水蒸気伝達速度を有する湿気バリヤフィル
ムを有するレンズウエハに関する。1つの実施態様において、湿気バリヤは、レ
ンズウエハ上にコートティングされている。
本発明はまた、レンズウエハを湿気バリヤパッケージ内に貯蔵するかまたはレ
ンズウエハを耐湿気コーティング(例えば、フィルム)でコートティングするか
のいずれかによって、レンズウエハを、元の所定の光学的パワー(例えば、製造
後の初期境界湾曲)に維持する方法に関する。このことにより、レンズウエハは
、ラミネートされて、眼科用レンズを形成する場合にひずみがなくなる。
さらに、この方法の他の局面において、本発明は、ウエハの製造後および眼科
用レンズへのラミネート前に生じるレンズウエハの湾曲における変化を抑制する
方法に関する。この方法は、以下を包含する:
1)その中でレンズウエハを包み込むのに適合したシール可能なポケットを規
定する、実質的に水不透過性の材料から形成されるパッケージを提供する工程;
2)レンズウエハを上記包囲物(enclosure)内に挿入する工程;および
3)ポケットをシールしてレンズウエハをその中で包み込み、それにより、レ
ンズウエハが、パッケージの外部環境から実質的に隔離される湿度環境に維持さ
れる工程。
本発明はまた、ラミネート眼科用レンズの作製に使用するためのレンズウエハ
を貯蔵する方法に関し、以下の工程を包含する:
1)レンズウエハを提供する工程;および
2)レンズウエハ表面をフィルムでコーティングしてレンズウエハをその中で
カプセル化し、それによって、レンズウエハをパッケージの外部環境から実質的
に隔離される湿度環境に維持する工程。
カプセル化の時点でレンズウエハの含水量は重要ではない。含水量が高く、そ
してレンズウエハ表面の湾曲に変化をもたらす際に、レンズウエハは、好ましく
は、シールされたパッケージ(またはフィルム)中に、湿気レベルを安定化させ
、そして湾曲を硬化後の値近くまで戻すのに充分な時間に対して貯蔵される。
好ましくは、バリヤパッケージ内の金属層は、金属箔、好ましくはアルミニウ
ムを含有し、そして該シール可能な内部層は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直
鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、イオノマー、およびそれらの混合物のよう
な熱可塑性材料を含有する。必要に応じて、多層バリヤ材料はさらに、ポリオレ
フィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびそれらの混合物)、ポ
リエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド(例えば、ナ
イロン)、ハロゲン化ポリオレフィン(例えば、ポリビニルクロライドおよびポ
リビニリデンクロライドならびにそれらの混合物)、およびそれらの混合物から
なる群から選択される、耐パンク性(puncture resistant)および耐摩耗性の材料
を含有する外部保護層を含む。
パッケージの多層バリヤ材料はさらに、膠、熱可塑性樹脂、またはそれらの混
合物から選択される材料をそれぞれ含有する1つまたはそれ以上の中間層を含み
得る。
図面の簡単な説明
図1は、ラミネート以前の一対のレンズウエハの断面図である。
図2は、本発明のレンズバリヤパッケージの概略図である。
図3は、試験2において研究された、湿度レベルの変化に対するパッケージさ
れていないレンズウエハの湾曲の変化を示すグラフである。
図4は、試験2において研究された、パッケージされていないレンズウエハの
含水量に対する湿度レベルの変化の効果を示すグラフである。
図5は、試験3において研究された、バリヤパッケージ内にパッケージされた
レンズウエハの時間に伴う湾曲および含水量の変化を示すグラフである。
図6は、試験4において研究された、バリヤパッケージ内にパッケージされた
レンズウエハの時間に伴う湾曲および含水量の変化を示すグラフである。
図7は、試験5において研究された、バリヤパッケージ内にパッケージされた
レンズウエハの時間に伴う湾曲および含水量の変化を示すグラフである。
図8は、試験6において研究された、パッケージ前の時間が変化し、そして40
%の相対湿度を有するときのバリヤパッケージ内にパッケージされたレンズウエ
ハの湾曲の変化を示すグラフである。
図9は、試験6において研究された、パッケージまでの時間の変化に対する、
バリヤパッケージ内にパッケージされたレンズウエハの含水量の変化を示すグラ
フである。
好ましい実施態様の詳細な説明
本発明は、湿気の吸収がレンズウエハの境界面の湾曲(または境界湾曲)の変
化をもたらす重要なファクターであるという発見に一部が基づいている。さらに
、境界湾曲の変化の絶対値は、異なるウエハ形態およびウエハ材料の中で変化す
るようだが、周囲の湿度、ウエハの含水量の変化の速度、および元の硬化後の湾
曲値からのずれの間に大きな相関関係があることが見出されている。硬化後の湾
曲は、モールドからのレンズウエハの取り外しに続いて、一般に用いられる加熱
期間後に存在する湾曲を意味する。このような加熱は、あるいは鋳型からウエハ
を取り外す際に起こり得る、ウエハ形状を変化させるプロセス効果を克服するた
めに、またはウエハおよびそれに結合した表面コーティングを充分に重合させる
ために使用される。
図1は、透明接着剤の薄層によって一緒に結合され、ラミネートされたレンズ
を形成し得る、前面および後面ウエハレンズを示す。前面ウエハは、前面Aおよ
び後面Bを有している。同様に、後面ウエハは、前面Cおよび後面Dを有してい
る。面Bおよび面Cは、適合する外形を有する境界湾曲面である。原理的には、
任意に与えられるレンズウエハに対して、前面および後面の両方が、結合または
境界面として役立ち得る。ラミネートにより、所望の規定を有する眼科用レンズ
が製造されることを確実にするためには、レンズウエハ表面が元の形態から曲が
らないことが重要である。しかし、後面のウエハの構造によって示されるように
、レンズウエハの厚みが一様でないので、湿気吸収の速度は一様ではない。例え
ば、負のパワーを有するレンズの薄い中間領域は、より厚い外部領域と比較して
、相対湿度の変動により鋭敏である。従って、一旦、相対湿度が連続的に変化す
る環境に、所望の境界湾曲(すなわち光学的パワー)を有するレンズウエハが曝
された場合、その表面湾曲は不安定になる。
レンズウエハが本明細書中に記載されるようなパッケージ中に置かれ、次いで
シールされる場合、示される湾曲変化(従って、ラミネート後のパワーの変化)
はかなり低減することが見出されている。このようなパッケージの使用により、
外部条件に関わりなく、レンズウエハの含水量および湾曲が急速に安定化され、
平衡に達することを可能にし、湾曲が、さらに外部条件に関わりなく、またはパ
ッケージ前の条件でさえ、その硬化後の値に近い値に達することも見出されてい
る。従って、このようなパッケージを使用すると、レンズウエハがその予測され
た形状を有し、それゆえ、製造されるラミネートレンズの最終的な全体のパワー
が所望の値を有することを確実にすることが可能となる。
従って、本発明は、作製するラミネートレンズに使用されるレンズウエハの貯
蔵のための湿気バリヤパッケージを提供し、このパッケージはその中にレンズウ
エハを包み込むようにシールされるのに適合し、そして湿気伝達の速度が低い多
層材料から形成されるパッケージを含み、それによってシールされたパッケージ
内部の湿度の条件が、パッケージの外部の湿度変化から実質的に隔離される。明
らかなように、本発明のバリヤパッケージは任意の物品を貯蔵するのに使用され
得るが、このパッケージは、レンズウエハ、特に湿度に敏感なプラスチック(例
えば、ポリカーボネート、アクリレート/メタクリレート、およびアリルカーボ
ネート)レンズウエハに特に適している。
図2に示されるように、本発明の湿気バリヤパッケージ2は、好ましくは、端
部4で折り畳まれたバリヤ材料のシートから形成され、レンズウエハを貯蔵する
ためのパウチを形成する。このシートは、以下でさらに詳細に記載しているよう
に、開口端を10に残しているパッケージの対向する長辺6、8で、ヒートシール
を通して、または接着剤によって、共にシールされるシートの面が対向した多層
構造を含む。対向して配置された切り欠き12は、開口端に隣接して提供される。
パッケージの寸法は重要ではないが、レンズウエハを貯蔵するための代表的なパ
ウチの寸法は、11.4cm(4 1/2インチ)の長さ、8.9cm(3 1/2インチ)
の最小内寸法、および0.76cm(3/10インチ)の最大シール幅を有する。開口端
を経てレンズウエハをパッケージ内に挿入した後、パッケージは端部10でヒート
シールされ、レンズウエハを包み込むシールされたパッケージを形成する。パッ
ケージの開口は、対向して配置された切り欠き12により容易になっている。種々
の
他のパッケージの形状が用いられ、シール後、レンズウエハがパッケージ内で全
体的に包み込まれるように提供されることが理解される。
パッケージの材料は、金属箔(好ましくはアルミニウムであるが、金のような
他の材料が用いられ得る)の中心層を有する多層構造を含む。これは、熱可塑性
樹脂の外部保護耐パンク層に結合し、この外部保護耐パンク層もまた、もろい金
属層を支持するのに役立つ。この外部層は、装飾または情報伝達(instructive)
目的のためのプリントが施され得、金属箔に対して内側で対面している面に付与
され得る。以下でさらに記載するように、金属箔は、湿気の透過の制御に特に有
効である。
パッケージの多層構造が「中心」金属層を含む一方で、この構造が、金属から
作製される中間の層を有する奇数の層を有するものに限定されないことが理解さ
れる。
外部保護層は、好ましくはポリアミド、ポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレ
フィン、またはポリエステルを含む。特に、好適な材料は、ナイロン(例えば、
ナイロン66)、ポリビニルクロライド、ポリプロピレン、ポリエチレン、また
はポリビニリデンクロライド、例えば、SaranTM(DOW Chemical Co.,Midland,M
ichiganから入手可能である)である。外部保護層は、1つまたはそれ以上のこ
のような層を含み得る。
金属箔の反対の面は、パッケージの対向する内面が一緒にヒートシールされ得
るように低融点の熱可塑性材料が結合されている。この内部層は、例えば、低密
度ポリエチレン(LDPE)または直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)あるいはSurlynT M
(E.I.du Pont de Nemours & Co.,Wilmington,Delawareから入手可能である
)のようなイオノマーを含み得る。パッケージの内側に配置されているこの層は
、パッケージのヒートシールを可能にする。イオノマーは、5〜10%までのアク
リル酸コポリマーまたはメタクリル酸コポリマーを含有するエチレンコポリマー
を、亜鉛、ナトリウム、マグネシウム、バリウム、またはアルミニウムの酢酸塩
または酸化物のような金属塩で中和した生成物である。
パッケージ材料は、さらに、外部保護層と金属箔との間、および/または金属
箔と内部のヒートシール可能な熱可塑性樹脂層との間に配置された、膠または熱
可塑性樹脂を含む1つまたはそれ以上の中間層を含有し得る。膠の場合、これは
、アクリレートのような感圧接着剤を含有し得る。このような中間層は、さらに
パッケージ強度および保全性を増大させるのに役立つ。
多層構造における各層の厚みは重要ではないが、各層は、この構造が所望の程
度の湿気バリヤ保護を達成し、そして必要な構造保全性を有するように充分な材
料を含むべきである。明らかなように、個々の厚みは、他のものの中で、構造の
全体の厚み、使用される特別な材料、および存在する層の全体の数に依存する。
プラスチックレンズウエハのための湿気バリヤパッケージを構築するために、
好ましくは中心金属層は、約5μm〜約120μmの厚み、より好ましくは約6μm〜
約10μmの厚みを有する。同様に、外部保護層は、好ましくは約10μm〜約300μm
、より好ましくは約50μm〜約100μmの厚みを有し;そして内部層は、好ましく
は約10μm〜約200μm、より好ましくは約20μm〜約100μmの厚みを有し;そして
最後に、各個々の中間層は、使用される場合、好ましくは約10μm〜約200μm、
さらに好ましくは約20μm〜約100μmの厚みを有する。アルミニウム箔が0.0003
インチ(7.62μm)未満の厚みである際に、アルミニウム箔はピンホールを含み
、そしてピンホールの存在は、湿気保護を維持するのに有害であると考えられる
。
本発明の適切な湿気バリヤは、レンズウエハまたは他の基材を包み込むか、ま
たはカプセル化する、パッケージ、フィルム、および容器を包含するが、これら
に限定されない。湿気バリヤは、好ましくは90%の相対湿度(R.H.)および100
°Fで測定した、約0.05グラム/100平方インチ/日未満、好ましくは約0.005〜約0
.0005グラム/100平方インチ/日の間またはそれ未満、そしてより好ましくは約0.
001〜約0.0005グラム/100平方インチ/日の間またはそれ未満の水蒸気伝達速度を
有する耐湿性材料から構成される。明らかなように、高湿度および/または高温
環境内で基材を貯蔵するための、耐湿性材料は、より低い水蒸気伝達速度を有す
る材料から選択されるべきである。
プラスチックレンズウエハを貯蔵するためのバリヤパッケージについて、多層
構造は、好ましくは、90%の相対湿度(R.H)および100°Fで測定した、約0.002
グラム/100平方インチ/日未満、そしてより好ましくは約0.001〜約0.0005グラム
/100平方インチ/日の間またはそれ未満の水蒸気伝達速度を有する。
明らかなように、湿気バリヤパッケージについての多層構造内の個々の層の数
は重要ではない。好ましくは、多層構造は3個〜12個の層を有する。3層構造は
、最も好ましくは、ヒートシール可能な内部層、金属層、および耐パンク性の外
部層を含む。上記のように、多層構造は、隣接する層を一緒に結合し、多層構造
を無傷に保つために使用される接着剤(例えば、膠)を必要に応じて含み得る。
アルミニウムの中心層を有する好ましい湿気バリヤパッケージは、以下を含む
5層構造を有する:
1. SurlynTMの内部ヒートシール層、
2. アルミニウムとSurlynTMとの間に位置するポリエチレンの第1の中間層
;
3. 中心アルミニウム箔;
4. アルミニウムに結合したポリエチレンの第2の中間層;および
5. 外部保護ナイロン層。
アルミニウムの中心層を有する他の好ましい湿気バリヤパッケージは、以下を
含む5層構造を有する:
1. 直鎖状低密度ポリエチレンの内部層;
2. アルミニウムと内部層との間に位置するポリエチレンの第1の中間層;
3. 中心アルミニウム箔;
4. アルミニウムに結合したポリエチレンの第2の中間層;および
5. ポリエチレンテレフタレートの外部保護層。
シール可能な内部層および外部保護層に対して、熱可塑性樹脂材料として使用
されるポリマーの分子量は重要ではない。主な規準は、それらから形成される多
層構造が水蒸気伝達速度によって定義されるように、実質的に水不透過性である
ことである。
実施例
タイプAからGに示される種々の多層構造から作製されるパッケージの効果を
比較し、評価するために試験を行った。パッケージの外側から始まる構造の各層
の組成および厚みを以下に示す。
タイプA 5層フィルム:
1)25μmの厚み(100ゲージ)の2軸ナイロン;
2)15#のポリエチレン;
3)18μm(0.0007インチ)のアルミニウム箔;
4)18#のポリエチレン;
5)44μm(1.75ミル)のSurlynTM。
タイプB 4層フィルム:
1)50#の紙;
2)10#のポリエチレン;
3)127μm(0.005インチ)のアルミニウム箔;
4)18#のポリエチレン。
タイプC 6層フィルム:
1)25μm(100ゲージ)のナイロン;
2)10#のポリエチレン;
3)51μm(2ミル)の高バリヤフィルム;
4)10#のポリエチレン;
5)10#のポリエチレン;
6)64μm(2.5ミル)の直鎖状低密度ポリエチレン。
タイプD 3層フィルム:
1)12μm(48ゲージ)のポリエチレンテレフタレート;
2)7#のポリエチレン;
3)38μm(1.5ミル)の直鎖状低密度ポリエチレン。
タイプE 4層フィルム:
1)12.5μm(50ゲージ)の延伸ポリプロピレン;
2)7#の白色ポリエチレン;
3)7.2μm(0.00285インチ)のアルミニウム箔;
4)21#の直鎖状低密度ポリエチレンの共押出し物。
タイプF 5層フィルム:
1)25μm(100ゲージ)の2軸ナイロン;
2)15#のポリエチレン;
3)7.6μm(0.0003インチ)のアルミニウム箔;
4)15#のポリエチレン;
5)50μm(200ゲージ)の直鎖状低密度ポリエチレン。
タイプG 5層フィルム:
1)12μm(48ゲージ)のポリエチレンテレフタレート;
2)12#の白色ポリエチレン;
3)7.6μm(0.0003インチ)のアルミニウム箔;
4)12#のポリエチレン;
5)38μm(1.5ミル)の直鎖状低密度ポリエチレン。試験1
(水透過性についてのパッケージの測定およびレンズ境界湾曲における
効果)。試験1の段階1において、予め外界の温度および湿度の条件で約8週間
の期間にわたって、保存しておいた種々の光学的仕様のアリルジグリコールカー
ボネートモノマーに基づくポリマー(CR-39TMとしてPPG Industries,Inc.,Har
tford、Conn.から入手可能である)から作製した種々のレンズウエハを使用した
。-2.00D球面後面レンズおよび連続的なタイプの前面レンズを含むタイプのレン
ズについて検討し、それらのいくつかは抗反射コーティングを含んでいた。レン
ズウエハを、乾燥オーブン内に50℃で約3時間置き、湿気を追い出した。成分を
充分に冷却した(約15分〜20分)後、境界湾曲および含水量(重量)を測定した
。3個から4個のウエハを図2に示すタイプのパッケージ中に置いたが、これら
はタイプA〜タイプGの材料で構成され、これらを従来のヒートシールデバイス
を用いてシールした。(レンズウエハを個々にパッケージした。)このようなデ
バイスは、数秒間にわたって約250℃の温度を用いる衝撃型のシーラー、または
長期間にわたって約150℃〜200℃の低温でシールする棒型のシーラーであり得、
両方とも約10psiを用い得る。6個のウエハを、コントロールとしてパッケージ
されていない状態で残した。パッケージされたウエハおよびパッケージされない
ウエハを、25℃に維持したオーブン内に保存し、一部を水で満たして、約70%の
相対湿度を有する環境を作製した。多くの顕著なカーブの変化がパッケージの24
時
間と48時間との間で起こり、従って、この試験においてウエハをパッケージせず
、そして2日後に再測定することが、本出願人によって予め見出されている。次
いで、最もうまく挙動を示した材料を、以下に記載されるように段階2における
3個の他のバリヤ材料と比較した。
表1は、試験の結果を示し、含水量(含水量の%)および境界湾曲(ジオプタ
ーで測定)のシフトを示す。パッケージされていないレンズウエハが顕著な湿気
吸収および湾曲変化を示したことが容易に明らかである。タイプAの材料は、湿
気吸収および湾曲変化を制限する際に、最も効果的な挙動を示したが、タイプB
、CおよびDのそれぞれは、より小さい程度ではあるが、依然として効果的であ
った。
ここで、HCは、硬くコーティングされたレンズウエハを示す。
ARは、抗反射コーティングされたレンズウエハを示す。
UNは、コーティングされていないレンズウエハを示す。
PROGは、連続的なタイプのレンズウエハを示す。
段階2において、材料タイプAとパッケージされていないコントロールとを比
較して、材料タイプE、F、およびGを評価するために、さらなる試験を行った
。成分を100℃で約1時間オーブン中に置く乾燥プロセスを除いて、試験1の段
階1について上記と同様の手順で行った。硬く(耐摩耗性)コーティングされた
後面レンズウエハおよびコーティングされていない-2.00D(境界曲線)後面レン
ズウエハを使用した。
試験1の段階2の結果を表2に示す。
この表から示され得るように、材料タイプA、F、およびGのパッケージ(そ
れぞれ5層フィルムを含有する)は、湿気の吸収およびカーブのドリフトの見地
から等しく充分な挙動を示し、パッケージされていないウエハと比較して含水量
および湾曲変化の顕著な減少を示したが、材料タイプE(4層フィルム)はわず
かに効果が低いだけであった。
このデータは、バリヤパッケージの効果に対する重要な規準が、材料が水蒸気
を透過させる速度であることを示唆している。単に2層構造PETおよびPE層を含
有する材料について、この速度は、0.005グラム/m2/日のオーダーを有する(90
℃および100%の相対湿度の条件で測定した。)。これは、材料タイプA、B、
E、FおよびGによって例示されるように、金属箔含有材料についての0.0006グ
ラム/m2/日のオーダーの代表的な値と対照的である。
パッケージされなかった3つのレンズウエハについて表2のデータを検討する
と、ウエハを硬質の耐摩耗性コーティング(例えば、フィルム)でコーティング
することによって、いくらかの湿気保護が得られることがわかる。このコーティ
ングは、コーティングされていないウエハと比較して、境界湾曲の変化量を低減
させた。耐摩耗性のコーティングは、無機材料または有機材料、あるいは両材料
の組み合わせから作製され得る。無機材料は、例えば、二酸化ケイ素および二酸
化チタンのような金属酸化物を包含し、そして好ましくは約0.1μm〜約2μm、
より好ましくは約0.25μm〜約1μmの範囲の厚みを有する。有機材料は、例えば
、シロキサン、アクリルまたはビニルベースの化合物を包含し、そして好ましく
は約0.5μm〜約20μm、より好ましくは約1μm〜約5μmの範囲の厚みを有する
。バリヤパッケージの水蒸気伝達速度に比較し得る水蒸気伝達速度を有するより
厚い耐摩耗性コーティングが、レンズウエハをカプセル化するのに使用され得る
ことが予想される。湿気バリヤパッケージの代わりに湿気バリヤコーティングを
使用する1つの利点は、コーティングがレンズウエハの光学特性(より詳細には
、2つのレンズウエハから形成された、ラミネートレンズの光学特性)を妨げな
い際に、このコーティングがラミネートの前に除去される必要がないことである
。
フィルムコーティングの形態の湿気バリヤは、90%の相対湿度(R.H.)および
100°Fで、約0.05グラム/100平方インチ/日未満、好ましくは約0.005〜約0.0005
グラム/100平方インチ/日の間またはそれ未満、そしてより好ましくは約0.001〜
約0.0005グラム/100平方インチの間またはそれ未満の水蒸気伝達速度を有する耐
湿性のフィルムから構成される。明らかなように、高湿度および/または高温環
境で基材を貯蔵するために、耐湿性の材料は、より低い水蒸気伝達速度を有する
材料から選択されるべきである。
プラスチックレンズウエハをカプセル化するために、フィルムコーティングは
、好ましくは90%の相対湿度(R.H.)および100°Fで測定された、約0.002グラ
ム/100平方インチ/日未満、好ましくは約0.001〜約0.0005グラム/100平方インチ
/日またはそれ未満の水蒸気伝達速度を有する。
明らかなように、レンズウエハを湿気バリヤでコーティングすることは、湿度
が平衡に達したレンズウエハを提供することであり得る。さらに、コーティング
されたレンズウエハは、さらなる湿気保護のために本発明の湿気パッケージ中に
貯蔵され得る。
バリヤパッケージ材料の効果をさらに検討するために、より拡張した時間にわ
たる挙動、および特に湾曲の任意の安定化が起こるかどうか、およびこれがパッ
ケージする時点で最初の含水量によって影響されるかどうか、ならびにレンズウ
エハの形成とレンズウエハのバリヤパッケージ内へのシールとの間の時間間隔を
確かめるために試験を行った。試験2
球状後面の形状の36個のパッケージされていないウエハを、種々の相対
湿度条件を用いた3つの別々の環境;すなわち、約0%の相対湿度をシュミレー
トするための2段階ポンプを有する真空オーブン、30%近くの湿度レベルを常に
示す部屋、および25℃に維持され、一部が水で満たされ、70%の相対湿度条件を
作り出す実験室のオーブンに置いた。2週間の期間にわたって、ウエハを数日ご
とに取り出し、水分含量、重量および湾曲変化について評価した。
この試験の結果を図3および4に示す。これらのグラフは、レンズウエハが湿
気および湾曲の見地から安定な状態に達することを示す。湿度0におけるウエハ
は、2日後から安定な中心となる(central)湾曲を示したが、相対湿度30%およ
び70%におけるウエハは、湾曲が急峻になり、次いで平らになることを示した。
約12日後、すべての3つの環境においてのウエハの境界湾曲は、硬化後の湾曲値
の0.05D内に戻った。試験3
10個の-2.00DウエハをタイプAの材料または同様のバリヤ材料内にパッ
ケージし、70%の相対湿度環境に置いた。1日に1個のパッケージ(週末を除く
)を取り出し、開封し、そして湾曲および含水量の変化を追跡する測定を行った
。図5に示す結果は、レンズの水分含量がほとんど同時に0.05%近くに安定化し
た(含水量はパッケージ前の0.02%である。)ことを示す。境界湾曲は、パッケ
ージ後1日の間は急峻になり、次いで1日と4日との間の時間で硬化後の湾曲値
である0.05D以内で平衡に達した(このグラフにおいて、時間0での値はすべて
のレンズの平均である。)試験4
10個の-1.75D〜-1.00D(Toric)のウエハについて、タイプAの材料ま
たは同様の材料中にパッケージする前に、約0.2%まで24時間湿気を吸収させた
。パッケージを70%の相対湿度で老化亢進性環境下に貯蔵し、週末を除いて、毎
日1つのウエハを取り出し、そして測定した。図6に示す結果は、パッケージ後
、含水量がゆっくりと減少したことを示し、約10日後、約0.15%で安定化の兆候
を示すが、湾曲は約10日間で平らになり、次いで安定化したことを示す。(この
グラフにおいて、時間0および1日での値は、すべてのパッケージされていない
レンズの平均である。)
明らかなように、このデータは、湿度が静的な環境に貯蔵されたレンズウエハ
が平衡に達し、その結果、その中の含水量が均一に分布されることを立証してい
る。さらに、一旦平衡に達したレンズウエハは、それらの境界湾曲を維持する。
反対に、湿度が連続的に変化する動的環境に貯蔵されたレンズウエハは、境界湾
曲の変動を受ける。試験5
10個の抗反射コーティングがなされた-1.75D〜1.25D(Toric)のウエハ
をタイプAのバリヤ材料パッケージ内に包み込み、シールし、そして70%の相対
湿度のオーブン中に貯蔵し、7日後、このウエハをパッケージから取り出し、測
定した。この試験の結果を図7に示す。ここで、平均値を標準的なずれと一緒に
プロットする。(平均の水分(すなわち、湿度)および平均の湾曲(すなわち、
ジオプター)についての標準的なずれの上限および下限を、平均的な水分値およ
び平均的なカーブ値のすぐ上および下に示す。)明らかなように、バリヤパッケ
ージ中で7日後、平均境界湾曲は、元の硬化後の値に戻り、平均含水量は、0.05
%増加した。変化の分布は、含水量およびレンズ湾曲の両方について穏やかであ
った。試験6
54個の負の球状後面、36個の負の円環体(toric)後面、および54個の
連続的タイプの前面を、この試験のためにキャストした。16部の「硬化後」に続
いて、含水量およびウエハ湾曲の測定を行い、次いで直ちに70%の相対湿度のオ
ーブン内に置き、半分をタイプAの材料をベースとするバリヤパッケージ中に包
み込み、そして半分をパッケージされないままにした。残りの128個のウエハを
、それぞれ40%および65%の相対湿度環境に置いた2つのグループに分けて、パ
ッケージ前に種々のレベルの湿気を吸収させた。6個の前面レンズウエハおよび
10個の後面レンズウエハを、硬化後、15時間、18時間、21時間、または24時間の
期間でそれぞれの「維持された環境」から取り出した。各段階で、ウエハを測定
し、半分をパッケージし、すべてを70%の相対湿度のオーブン中に置いた。48時
間後、これらをすべて取り出し、そして測定して含水量および湾曲変化の量を決
定した。
40%の相対湿度に維持された後面レンズについての試験の結果を、図8および
図9に示す。これらのグラフは、硬化後とちょうどパッケージ前との期間、次い
で湿度条件(40%)においた場合の48時間の期間のパッケージの間の湾曲(図8
)および湿気レベル(図9)の変化を示す。(図8および図9について、カーブ
A、B、CおよびDは、それぞれ(1)硬化後すぐ、(2)15時間後、(3)21
時間後、そして(4)24時間後にパッケージされたウエハの測定結果である。カ
ーブEは、70%R.H.オーブン内に置かれて21時間後のコントロールのパッケージ
されていないウエハについてである。明らかなように、パッケージの時間が遅く
なると、ウエハは湿気を吸収し、そして平均境界面のカーブは急峻になる。一旦
パッケージすると、湿気は本質的に安定化し、湾曲は硬化後の値近くまで平らに
なる。これは、パッケージの時点での含水量が重要でないことを示す。
湾曲および含水量の絶対値は、試験中の種々のウエハ形態および相対湿度条件
で変化するが、得られたすべての結果は、図8および図9のグラフによって充分
に例示される共通の傾向を示す。
試験3〜6の結果は、(試験2と比較して)バリヤパッケージの使用がウエハ
によって吸収される水分の量を顕著に制限し、そして湾曲が、ウエハの最初の水
分含量およびパッケージの環境に依存せず、そしてウエハの硬化後の値に近い値
まで急速に安定化することを可能にする。この結果はまた、ウエハの硬化とパッ
ケージとの間の時間が重要でないことを示す。従って本発明においては、本発明
のバリヤパッケージ内に貯蔵する前にレンズウエハから湿気を除去するために加
熱する(または他の技術を用いる)必要はない。
0.0006グラム/m2/日またはそれ未満の代表的な伝達速度を示すバリヤ材料が、
代表的には10日の期間内に硬化後の値の+2%の値内まで急速な湾曲の安定化を
生じることが見出されている。このずれの範囲は、受容可能な一定のパワーを有
する、固定されたラミネートレンズを製造する見地から、一般に受容可能である
ことが見出されている。いかなる特別の理論によっても制限されることを意図し
ないが、レンズウエハがパッケージされていない場合、湿度変化は、ウエハを越
えて特異な湿気吸収を導き、これは高い負のレンズの中心および正のレンズの端
でより高く、特異な応力および形状のひずみを導くことが考えられる。これらの
応力およびひずみは、一旦レンズウエハが水分含量の見地から、ウエハを通して
平衡状態に達すると軽減される。大変低い速度の湿気の進入のみを可能にする外
部環境から、パッケージ内部の環境を実質的に隔離するバリヤパッケージの使用
によって、レンズウエハを通しての湿気の急速な平衡化が可能となり、外部条件
に関わりなく、ウエハが意図された湾曲をすばやく呈し、かつ維持することが可
能となる。
明らかなように、レンズウエハ、特にポリマー製のレンズウエハを貯蔵する本
発明の方法においては、使用される特別のシール可能なパッケージ材料は重要で
はない。主な規準は、パッケージ材料が貯蔵条件(例えば、温度および相対湿度
)下で低い水蒸気透過性を示すことである。上記実施例の各レンズウエハはバリ
ヤパッケージ中に個々に貯蔵されたが、各バリヤパッケージが2つまたはそれ以
上のウエハを収容するように設計され得ることが理解される。
本明細書中に開示された主題はまた、優先権主張した英国特許出願第9403829.
6号にも開示されており、その全体について本明細書中で参考として援用される
。
本発明の好ましい実施態様のみが特別に開示され、上述されているが、本発明
の多くの改変および変化形が、本発明の精神および意図された範囲から逸脱する
ことなく、上記の教示の観点から、および添付の請求項の範囲内で可能であるこ
とが認識される。
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